(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0019】
図1は本発明に係る実施形態のモータ1のシャフト11に沿った断面図であり、
図2はモータ1の一部分解斜視図である。
図1に示すように、モータ1は、ロータ10と、ステータ20と、ケーシング30と、を備えている。
【0020】
(ロータ)
ロータ10は、シャフト11と、シャフト11の外周面に固定されたマグネット12を含んでいる。
本実施形態では、マグネット12を、直接、シャフト11の外周面に固定している場合を示しているが、シャフト11の外周面にロータヨークが固定され、そのロータヨークの外周面にマグネット12を固定するようにしてもよい。
【0021】
また、ロータ10は、第1軸受13と、第2軸受14と、第1軸受13と第2軸受14の間に予圧を付与するスプリング15と、を備えている。
第1軸受13は、マグネット12よりもシャフト11の第1端側(図右側)の位置に配置され、シャフト11に固定されており、第2軸受14は、マグネット12よりもシャフト11の第2端側(図左側)の位置に配置され、シャフト11に固定されている。
【0022】
本実施形態では、第1軸受13として転がり軸受を用いており、第1軸受13は、シャフト11に固定される内輪13aと、外輪13bと、内輪13aと外輪13bの間に介在し、内輪13aと外輪13bを相互に回転可能に架橋するボール13cと、を備えている。
【0023】
なお、シャフト11と内輪13aとの間の固定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、シャフト11が内輪13aに圧入されることで固定される圧入固定でもよく、接着剤を用いた接着固定でもよい。
【0024】
また、本実施形態では、第2軸受14にも転がり軸受を用いており、第2軸受14は、シャフト11に固定される内輪14aと、外輪14bと、内輪14aと外輪14bの間に介在し、内輪14aと外輪14bを相互に回転可能に架橋するボール14cと、を備えている。
【0025】
なお、第2軸受14においても、第1軸受13と同様に、シャフト11と内輪14aとの間の固定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、シャフト11が内輪14aに圧入されることで固定される圧入固定でもよく、接着剤を用いた接着固定でもよい。
【0026】
一方、第2軸受14の外輪14bは、例えば、ケーシング30に固定され、第1軸受13の外輪13bはケーシング30に隙間嵌めされている。
そして、スプリング15が、第1軸受13の外輪13bの第1端側(図右側)に配置され、外輪13bを外輪13bの第2端側(図左側)に付勢している。
【0027】
このため、第1軸受13の内輪13aと外輪13bとの間に予圧が付加されるとともに、そのスプリング15による付勢力がシャフト11を介して第2軸受14の内輪14aに伝達され、第2軸受14の内輪14aと外輪14bとの間にも予圧が付加される。
【0028】
(ステータ)
ステータ20は、電磁鋼板が積層された円筒状のステータコア21と、ステータコア21の内周面及び端面上に設けられたインシュレータ22と、インシュレータ22によってステータコア21と絶縁するようにステータコア21の内側に配置されるコイル24と、を備えている。
【0029】
なお、ロータ10は、マグネット12がコイル24との間に隙間を介してコイル24の内側に位置するように、第1軸受13及び第2軸受14でステータ20に対して回転可能にケーシング30に取り付けられている。
【0030】
図3はステータ20だけを示した斜視図であり、
図4はステータ20の第1端側を正面に見た平面図である。
なお、
図3ではステータコア21の電磁鋼板が積層されていることを示す線を省略している。
また、
図4ではインシュレータ22の一部及びコイル24の端部24aの図示を省略している。
【0031】
図1及び
図3に示すように、ステータ20は、ステータコア21の第1端側に設けられた2つの端子23及び1つの短尺端子25を備えている。
これら2つの端子23及び1つの短尺端子25は、インシュレータ22によってステータコア21と絶縁するようにステータコア21に対して一体化されている。
【0032】
図4に示すように、2つの端子23は同じ形状をしており、離間して線対称に配置されている。
具体的には、端子23は、先端部23aと、先端部23aの反対側の後端部23bと、先端部23aと後端部23bの間を架橋する架橋部23cと、を有しており、架橋部23cは、円筒状のステータコア21(図示せず)の第1端側の端面に沿った円弧形状とされている。
なお、この2つの端子23の後端部23bは給電コネクタに接続される端子部分である。
【0033】
そして、端子23の後端部23bと同様の部分、つまり、給電コネクタに接続される端子部分を構成する1つの短尺端子25は、2つの端子23と離間するとともに、ステータ20の同じ側に配置された端子23の後端部23bの間に位置するように設けられている。
【0034】
このように配置された2つの端子23及び1つの短尺端子25には、
図3に示すように、各相に対応したコイル24の端部24aが接続される。
なお、本実施形態では、3相型のモータの場合を示しているため、ステータ20は、コイル24の端部24aが接続される2つの端子23及び1つの短尺端子25を有しているが、端子23及び短尺端子25の数は必要とされる相数に応じて増やしても減らしてもよい。
【0035】
(ケーシング)
図1に示すように、ケーシング30は、第1端側(図右側)が開放端とされ、ステータ20を収容する有底状のステータ収容部を構成するケーシング本体31と、ケーシング本体31の開放端(図右側)に設けられるケーシング端面部32と、そのケーシング端面部32の第1端側(図右側)に設けられたケーシングキャップ33と、ケーシングブロック34と、を備えている。
【0036】
ケーシング本体31は、底部にシャフト11の第2端側(図左側)を外部に導出する貫通孔31cが設けられており、その貫通孔31cの第1端側(図右側)には、第2軸受14の外輪14bを圧入固定する固定部31caが形成されている。
【0037】
また、ケーシング端面部32にもシャフト11の第1端側(図右側)を導出する貫通孔32aが設けられており、その貫通孔32aには、第1軸受13が隙間嵌めされるとともにスプリング15が収容される。
より具体的には、この貫通孔32aは、第2端側(図左側)の直径が第1軸受13を隙間嵌めする大きさとされる一方、第1端側(図右側)の直径がスプリング15を収容できる大きさとされている。
【0038】
そして、ケーシングキャップ33にも、シャフト11の第1端側(図右側)を導出する貫通孔33aが設けられており、この貫通孔33aの直径がスプリング15の外径よりも小さくされることで、スプリング15の第1端側(図右側)を受ける受部としての役割を果たすようになっている。
【0039】
(放熱性の向上)
次に、放熱性を向上させるための構成等について詳細に説明する。
図2に示すように、ケーシング本体31には、第1端側(図右側)から切り欠かれたほぼ矩形状の開口部31aが形成され、その開口部31aには、ステータ20の端子23が配置される。
そして、ケーシングブロック34は、ケーシング本体31の開口部31aを塞ぐように開口部31aに配置される(
図1参照)。
【0040】
図2に示すように、ケーシングブロック34は、ステータ20の端子23の先端部23aを収容するスリット状の収容部34aを有しており、
図1に示すように、ケーシングブロック34がケーシング本体31の開口部31aに配置された状態のときには、ステータ20の端子23の先端部23aが、その収容部34a内に収容された状態とされる。
【0041】
また、ケーシング本体31は、
図1に示すように、端子23の先端部23aと反対側の後端部23b(
図3参照)及び短尺端子25を配置する開口部31bを有しており、この開口部31bも開口部31aと同様にケーシング本体31の第1端側(図右側)から切り欠かれたほぼ矩形状に形成されている。
なお、後端部23b及び短尺端子25は、給電コネクタに接続される端子部分であり、開口部31bには、図示しない給電コネクタを着脱可能に受け入れる、後端部23b及び短尺端子25を収容するコネクタ筐体が設けられる。
【0042】
そして、ケーシング本体31には、例えば、金属のように熱伝導性の高い材料(少なくとも、熱伝導率が1W/(m・K)以上の材料が好ましい)を用い、ケーシングブロック34にはシリコンゴムのような絶縁性を有し、かつ、熱伝導性の高い材料(少なくとも、熱伝導率が1W/(m・K)以上の材料が好ましい)を用いるようにする。
つまり、ケーシング本体31及びケーシングブロック34には、熱伝導性に優れ、高い放熱性が得られる材料が用いられる。
【0043】
そうすると、コイル24からの熱が2つの端子23を介してケーシングブロック34に伝達され、さらに、ケーシングブロック34を介してケーシング本体31に伝達されることになり、効率よく伝達された熱がケーシングブロック34及びケーシング本体31から外部に放熱されることになる。
つまり、ケーシングブロック34やケーシング本体31がヒートシンクの役割を果たすようになり、放熱性を高めることができる。
【0044】
ここで、効率的に上述のような熱伝導が行われるためには、2つの端子23とケーシングブロック34との間、及び、ケーシングブロック34とケーシング本体31との間に隙間がないことがよい。
【0045】
そこで、ケーシングブロック34には、シリコンゴムのような柔軟性のある材料を用いるとともにケーシング本体31の開口部31aより大きなサイズとし、開口部31aに圧入することでケーシングブロック34とケーシング本体31との間に隙間ができ難くすることが好適である。
なお、ここで言う柔軟性とは、圧入の変形を許容できることを意味する。
【0046】
ただし、必ずしも圧入にこだわることはなく、ケーシングブロック34をケーシング本体31の開口部31aより小さいサイズとしてケーシングブロック34とケーシング本体31の開口部31aとの間にできる隙間を熱伝導性の高い部材(熱伝導率は、ケーシングブロック34と同等以上であることが好ましい)で埋めるようにしてもよい。
【0047】
例えば、熱伝導性の高い接着剤等を隙間に充填することで、ケーシングブロック34とケーシング本体31の開口部31aとの間にできる隙間を埋める熱伝導性の高い部材が形成されるようにしてもよい。
【0048】
この場合、圧入を伴わないため、ケーシングブロック34に用いる材料には、柔軟性が求められず、セラミック等の絶縁性を有し、かつ、熱伝導性の高い材料を用いることが可能となる。
ただし、接着剤等を充填する手間等を考えると、本実施形態のように柔軟性のある材料を用いるほうが好ましい。
【0049】
また、本実施形態のように、ケーシングブロック34を柔軟性のある材質とする場合には、ケーシングブロック34の端子23の先端部23aを収容する収容部34a(
図2参照)のサイズを端子23の先端部23aよりも小さくしておき、その収容部34aに先端部23aが圧入されるようにすることで端子23とケーシングブロック34との間に隙間ができ難くすることが好適である。
【0050】
ただし、上述したように、ケーシングブロック34に用いる材料が柔軟性を有していない場合には、収容部34aのサイズを端子23の先端部23aの大きさよりも大きくしておいて、収容部34aと先端部23aの間にできる隙間を絶縁性でかつ熱伝導性の高い部材で埋めるようにしてもよい。
【0051】
例えば、絶縁性を有し、かつ、熱伝導性の高い接着剤等を隙間に充填することで、ケーシングブロック34の収容部34aと端子23の先端部23aとの間にできる隙間を埋める絶縁性を有し、かつ、熱伝導性の高い部材が形成されるようにすればよい。
ただし、接着剤が外にはみ出るような状態とならない場合には、絶縁性を有することに限定される必要はなく、高い熱伝導性を有してさえいればよい。
【0052】
ところで、
図4に示したように、端子23の先端部23aは、給電コネクタに接続される端子23の後端部23bと架橋部23cで繋がっているため、この先端部23aにも電流が流れることになる。
【0053】
このため、電流がケーシング本体31に流れないようにするためにケーシングブロック34を絶縁性の材料からなるようにし、端子23の先端部23aはケーシングブロック34から外部に出ない程度の長さとしているが、このケーシングブロック34の収容部34aが貫通していると、ケーシングブロック34がケーシング30の内側に押し込まれたような状態になったときに、端子23の先端部23aが収容部34aから外部に出る可能性がある。
【0054】
そこで、本実施形態では、収容部34aがケーシングブロック34を貫通するスリットとして形成されているが、安全性の面を考えると、先端部23aがより確実に外部に出ないようにするために、収容部34aは、ケーシング30の内側に端子23の先端部23aの挿入口を有する有底凹部として形成することが好ましい。
なお、有底凹部の形状としては、先端部23aの周囲を取り囲むような凹部形状に限定される必要はなく、溝のような形状の凹部であってもよい。
【0055】
(モータの製造方法)
次に、上述のような構成からなるモータ1の製造方法の一例について説明する。
モータ1の製造手順の大まかな流れとしては、ロータ10とステータ20を組み付けた組立体及びケーシング30の各パーツの製造工程を実施し、その後、組み立て作業を行うことになるが、ステータ20の製造工程では、以下のようにすることが好適である。
なお、後述するが、組立体の状態のときには、スプリング15は、まだ取り付けられていない。
【0056】
図5は、ステータ20の製造工程で使用する端子部材を示す平面図である。
図5に示すように、端子部材は、端子部27及びその端子部27を保持するフレーム28を含むリードフレームの状態になっている。
そして、フレーム28において、端子部27の両端部側の部分には、成形金型にセットするときの位置合せ用貫通孔28aが設けられている。
【0057】
図6は、ステータ20のインシュレータ22を成形するところを説明するための図である。
図6に示すように、まず、ステータコア21を金型50内に配置するとともに端子部27及び端子部27を保持するフレーム28を含むリードフレームのフレーム28を金型50に保持させてリードフレームを金型50に配置する配置工程を行う。
【0058】
金型50は、ステータコア21を収容する下金型51と、その下金型51に合わせる上金型52とを有しており、下金型51には、
図5に示したリードフレームの位置合せ用貫通孔28aに挿入される位置決めボス51aが設けられている。
【0059】
したがって、下金型51内にステータコア21を収容した後に、下金型51の位置決めボス51aをリードフレームの位置合せ用貫通孔28aに通すようにしてリードフレームを下金型51にセットするだけでステータコア21とリードフレームの位置関係が所定の位置関係となるように、ステータコア21とリードフレームを下金型51にセットできるようになっている。
【0060】
また、上金型52には、下金型51の位置決めボス51aに対応する位置に、その位置決めボス51aを受け入れるボス挿入凹部52aが設けられているので、上述のように、下金型51にステータコア21とリードフレームをセットした後に、そのボス挿入凹部52aに下金型51の位置決めボス51aが挿入されるように下金型51に対して上金型52を合わせるようにするだけで、上金型52が所定の状態にセットされるようになっている。
【0061】
このように上金型52と下金型51とを合わせると、インシュレータ22の形状に合わせた空間が形成されるようになっているため、その空間にインシュレータ22の材料を充填するように金型50にインシュレータ22の材料を供給する。
【0062】
このように金型50にインシュレータ22の材料を供給することで、端子部27の端子23及び短尺端子25となる部分(
図5のハッチング部分参照)とステータコア21の間を絶縁するとともに端子23及び短尺端子25となる部分とステータコア21を一体化するインシュレータ22を成形する成形工程が行われる。
【0063】
図7は、成形工程によって、ステータコア21と端子部27の端子23及び短尺端子25となる部分(ハッチング部分参照)がインシュレータ22で一体化された状態を示す斜視図である。
なお、
図7ではステータコア21の電磁鋼板が積層されていることを示す線を省略している。
図7に示すように、ステータコア21と端子部27の端子23及び短尺端子25となる部分(ハッチング部分参照)がインシュレータ22で一体化された部材が形成されると、次に、上述したケーシングブロック34の収容部34aに収容される端子23の先端部23aを形成するように端子部27を切断する切断工程を行う。
【0064】
なお、この切断工程では、端子23の後端部23bや短尺端子25を形成するように端子部27を切断することも行われる。
【0065】
このような製造方法とすると、製造過程では個別の2つの端子23及び1つの短尺端子25ではなく、リードフレームの状態になっているため、2つの端子23及び1つの短尺端子25の取り扱いが行い易いという利点がある。
【0066】
さらに、2つの端子23をフレーム28に接続するために設けられ、インシュレータ22から導出状態にある部分を適切に残すようにして端子23の先端部23aを形成することが可能であるため、材料の利用効率を高めることも可能である。
【0067】
このようにステータコア21と2つの端子23及び短尺端子25がインシュレータ22で一体化された部品が作製されると、
図3に示すように、別途作製しておいたコイル24を、その部品の中央に収納し、コイル24の端部24aを、それぞれ対応することになる2つの端子23及び短尺端子25に溶着して接続すると、ステータ20の状態となる。
【0068】
そして、次に、
図1に示すようなロータ10とステータ20の組立体を作製する。
具体的には、第1軸受13及びスプリング15を設ける前のロータ10の部分をステータ20の第2端側(図左側)からステータ20内に挿入する作業を行い、ステータ20の第1端側(図右側)から導出されたシャフト11の第1端側(図右側)に第1軸受13を固定すると、組立体が完成する。
【0069】
このようにして組立体が作製されると、続いて、ステータ20の端子23の先端部23aを収容部34a(
図2参照)に収容するようにケーシングブロック34を取り付ける。
【0070】
そして、そのケーシングブロック34が取り付けられた組立体を、ケーシング本体31の第1端側(図右側)の開放端からケーシング本体31に挿入して行き、ケーシング本体31の固定部31caに第2軸受14の外輪14bを圧入するとともに、ケーシング本体31の開口部31a(
図2参照)にケーシングブロック34を圧入する。
【0071】
続いて、第1軸受13を貫通孔32a内に隙間嵌めするようにケーシング端面部32をケーシング本体31の第1端側(図右側)に配置し、貫通孔32aの第1端側(図右側)に位置する第1軸受13の第1端側にスプリング15を取り付ける。
【0072】
最後に、スプリング15を受けるケーシングキャップ33をケーシング端面部32の第1端側(図右側)に配置し、図示しないネジを用いてケーシング端面部32及びケーシングキャップ33をケーシング本体31に共締めすることで固定する。
【0073】
なお、
図2に示すように、ケーシングキャップ33には、上述のネジを通すための貫通孔33bが形成されており、ケーシング端面部32にも、この貫通孔33bに対応する位置にネジを通すための図示しない貫通孔が設けられている。
そして、ケーシング本体31の第1端側(図右側)の端面には、ネジを螺合接続するための螺合溝が形成された図示しないネジ固定穴が形成されている。
【0074】
以上のような構成からなる本実施形態のモータ1では、コイル24で発生する熱を効率よく、放熱することができるため、コイル24に大量の電流を供給しても、コイル24の温度が上昇することによる抵抗値の増加を抑制することができる。
【0075】
このため、大量の電流を供給してロータ10を高速回転させることができ、モータ1の出力を向上することができる。
また、コイル24の抵抗値が増加することは、そこで電流が熱に変換され、電力損失が発生することを意味するので、そのような抵抗値の増加が抑制できる本実施形態のモータ1は、電力の利用効率も高いものになっている。
【0076】
さらに、ケーシング30に開口を設けるだけとした場合に比べ、開口部31aをケーシングブロック34で塞ぐ構成になっているため、防塵性を高く保つことも可能になっている。
【0077】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではない。
例えば、放熱性を向上させるために設けられている端子23の先端部23aを利用して、コイル24の温度を測定できるようにしてもよい。
【0078】
図8は、端子23の先端部23aを利用してコイル24の温度を測定できるようにした利用例を説明する図である。
図8に示すように、端子23の先端部23aには、温度センサ41(例えば、熱電対の温度計側部)が取り付けられており、その温度センサ41から導出される信号線42をケーシングブロック34の収容部34aを通してモータ1の外部に取り出すようにする。
【0079】
この端子23は、上述したようにコイル24の端部24aが直接接続されているため、コイル24とほぼ同じ温度状態になる。
このため、上述のように、温度センサ41を設け、この端子23の温度状態を計測することでコイル24の温度状態を知ることができる。
【0080】
そして、この計測した温度に基づいて、コイル24が高温になっている場合には、電流の供給量を減らす等の制御を行うことができるため、モータ1のより精密な駆動制御を行うことが可能となる。
【0081】
ただし、温度センサ41で計測した温度を、どのように利用するかは、必要に応じて適宜決めればよく、必ずしも駆動制御に用いられなければならないわけではない。
【0082】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。