(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466905
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】面シールおよび圧力逃がしポートを備える2位置弁
(51)【国際特許分類】
F16F 9/34 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
F16F9/34
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-502714(P2016-502714)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-512316(P2016-512316A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014028136
(87)【国際公開番号】WO2014143944
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】61/786,684
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/208,410
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505318721
【氏名又は名称】テネコ オートモティブ オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Tenneco Automotive Operating Company Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ロースル,マシュー エル.
(72)【発明者】
【氏名】マリン,トーマス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マクガーイー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー,ジェフリー ティー.
【審査官】
鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−506807(JP,A)
【文献】
特開2009−002360(JP,A)
【文献】
実開平07−044362(JP,U)
【文献】
特開2011−236937(JP,A)
【文献】
特開2008−106783(JP,A)
【文献】
特表2006−514231(JP,A)
【文献】
特開昭61−065929(JP,A)
【文献】
特開平05−180260(JP,A)
【文献】
特開2002−130515(JP,A)
【文献】
特開平06−026546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
F16k 31/06− 31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデジタル弁アセンブリを収容するためのロッドガイドアセンブリを有するショックアブソーバであって、
上側作動チャンバと下側作動チャンバとを画定する圧力チューブと、
前記圧力チューブの周囲に配置された貯蔵チューブと、
前記圧力チューブと前記貯蔵チューブとの間に画定された貯蔵器チャンバと、
前記ロッドガイドアセンブリ内に配置され、スリーブを形成し、前記ショックアブソーバにより画定される前記上側作動チャンバおよび前記貯蔵器チャンバのうちの一方と連通する流入口と、前記上側作動チャンバおよび前記貯蔵器チャンバのうちの他方と連通する流出口とを有するガイド部材であって、前記流入口および前記流出口のうちの一方は、前記貯蔵器チャンバ内に直接開くように、前記スリーブに形成されるガイド部材と、
第1の位置と第2の位置との間で前記ガイド部材内に移動可能に配置されたスプールを有するデジタル弁アセンブリであって、前記スプールは、前記スプールおよび前記ガイド部材が面シールを形成する前記第1の位置と、前記流入口から離れた前記第2の位置との間で移動可能であり、前記第2の位置に移動することにより、前記上側作動チャンバおよび前記貯蔵器チャンバのうちの前記一方から前記デジタル弁アセンブリまでの流路を確立し、前記面シールは、前記流入口と前記流出口との間の連通を遮断し、前記流路は、前記流入口と前記流出口との間の連通を可能にし、前記スプールは、前記スリーブに面する環状面で形成されたドーナツ型溝を有する側面を有し、前記ドーナツ型溝の縁は、前記スプールが前記第1の位置にあるときに、前記ガイド部材と共に前記面シールを形成し、前記ドーナツ型溝は、前記スプールが前記第2の位置に動かされたときに、前記スプールの周りの流路の一部を形成するのを補助する、デジタル弁アセンブリと、
前記スプールに隣接して配置され、前記スプールを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように構成されたコイルアセンブリと、
を含むショックアブソーバ。
【請求項2】
前記ショックアブソーバは、前記下側作動チャンバと前記貯蔵器チャンバとの間に配置された第2の弁アセンブリをさらに含む、請求項1に記載のショックアブソーバ。
【請求項3】
前記スリーブが前記スプールのまわりに環状に配置され、
前記スリーブが第1の調量面を画定する第1の突起を有する、請求項1に記載のショックアブソーバ。
【請求項4】
前記スプールは、前記第1の調量面に対して移動して前記面シールを形成するように構成された第1の表面を画定する、請求項3に記載のショックアブソーバ。
【請求項5】
前記スリーブは、第2の調量面を有する第2の突起を画定する、請求項4に記載のショックアブソーバ。
【請求項6】
前記スプールは、前記第2の調量面に対して移動してスリップシールを形成するように構成された第2の表面を画定する、請求項5に記載のショックアブソーバ。
【請求項7】
前記スプールは、前記第1の突起と前記第2の突起との間に溝を画定する環状面を有する、請求項5に記載のショックアブソーバ。
【請求項8】
前記スプールが前記スリーブに対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに、前記スリーブに対する前記スプールの移動が、前記第1の表面と前記第1の調量面との相互作用によって限定され、前記第2の表面は前記第2の調量面に隣接して位置付けられてスリップシールを形成する、請求項6に記載のショックアブソーバ。
【請求項9】
前記スプールの前記ドーナツ型溝はドーナツ型空洞の一部を画定する、請求項8に記載のショックアブソーバ。
【請求項10】
前記ドーナツ型空洞は、前記スプールが前記第1の位置にあるときに前記ガイド部材と係合するように構成されたベアリング面を画定する、請求項9に記載のショックアブソーバ。
【請求項11】
第2のデジタル弁を有する下側ガイドアセンブリであって、前記第2のデジタル弁が、前記貯蔵器チャンバと連通する第2の流入口と前記下側作動チャンバと連通する第2の流出口とを有する第2のスリーブを有する、下側ガイドアセンブリと、
前記第2のスリーブ内に、前記第2の流入口と前記第2の流出口との間で移動可能に配置された第2のスプールと、
をさらに含む、請求項1に記載のショックアブソーバ。
【請求項12】
少なくとも1つのデジタル弁アセンブリを収容するためのロッドガイドアセンブリを有するショックアブソーバであって、前記デジタル弁アセンブリは、
前記ロッドガイドアセンブリ内に配置され、前記ショックアブソーバによって画定される上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバと流体連通するガイド部材であって、さらにスリーブを形成するガイド部材と、
前記ガイド部材内に配置されたデジタル弁アセンブリであって、前記スリーブは、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバのうちの一方と連通する流入口と、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバのうちの他方と連通する流出口とを画定し、前記流入口および前記流出口のうちの少なくとも一方は、前記スリーブに形成されており、前記貯蔵器チャンバ内に直接開いているデジタル弁アセンブリと、
自身の側壁ベアリング面の上に環状面を有するドーナツ型溝を備え、前記スリーブ内に移動可能に配置されたスプールであって、前記スプールの前記環状面が前記スリーブに面し、前記スプールは、前記流入口に隣接する表面と前記ドーナツ型溝の前記環状面が当接して面シールを形成する第1の位置と、第2の位置とから移動可能であり、前記第2の位置に移動することにより、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバから前記デジタル弁アセンブリへの流路を、前記流路の一部として前記ドーナツ型溝を用いて確立し、前記面シールは、前記流入口と前記流出口との間の連通を遮断し、前記流路は、前記流入口と前記流出口との間の連通を可能にするスプールと、
前記スプールに隣接して配置され、前記スプールを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるコイルアセンブリと、
を含むショックアブソーバ。
【請求項13】
前記スリーブは第1の調量面を画定する第1の突起を有し、前記スプールは、前記第1の調量面に対して移動して前記面シールを形成するように構成された第1の表面を画定する、請求項12に記載のショックアブソーバ。
【請求項14】
前記スリーブは第2の突起を画定し、前記第2の突起は第2の調量面を有し、前記スプールは、前記第2の調量面に対して移動してスリップシールを形成するように構成された第2の表面を画定する、請求項13に記載のショックアブソーバ。
【請求項15】
前記スプールの前記ドーナツ型溝はドーナツ型空洞の一部を画定し、前記ドーナツ型空洞は、前記第1の突起のまわりに画定される環状面を有する、請求項13に記載のショックアブソーバ。
【請求項16】
前記スプールは、前記コイルアセンブリに送信された信号に応答して、前記スリーブに対して前記第1の位置から前記第2の位置へと移動し、前記スリーブに対する前記スプールの移動は、前記第1の表面と前記第1の調量面との相互作用によって限定される、請求項13に記載のショックアブソーバ。
【請求項17】
弁シートとボール弁要素とをさらに含み、前記ボール弁要素は前記スプールと前記弁シートとの間に配置される、請求項12に記載のショックアブソーバ。
【請求項18】
前記ボール弁要素は、流体流れに応答して前記弁シートから遠ざかるように移動可能であり、付勢スプリングからの力に応答して前記弁シートに向かって移動可能である、請求項17に記載のショックアブソーバ。
【請求項19】
前記スプールは、前記ボール弁要素の運動を軸方向に制限する、ボール弁要素係合特徴部を含む、請求項18に記載のショックアブソーバ。
【請求項20】
少なくとも1つのデジタル弁アセンブリを収容するためのロッドガイドアセンブリを有するショックアブソーバであって、前記デジタル弁アセンブリは、
前記ロッドガイドアセンブリ内に配置され、前記ショックアブソーバによって画定される上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバと流体連通するガイド部材であって、スリーブをさらに形成するガイド部材と、
前記スリーブ内に配置されるデジタル弁アセンブリであって、前記スリーブは、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバのうちの一方と連通する流入口と、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバのうちの他方と連通する流出口とを画定し、前記スリーブは、環状突起ベアリング面を有する環状突起を画定するデジタル弁アセンブリと、
前記スリーブに面する環状ドーナツ型ベアリング面を有するドーナツ型空洞の一部を画定するスプールであって、前記ドーナツ型空洞は、前記スプールの側壁部分の上に開き、前記スプールの全外周の周りに延伸し、前記スプールは、前記スリーブ内に移動可能に配置され、前記環状突起ベアリング面に当接して面シールを形成する第1の位置と第2の位置とから移動可能であり、前記第2の位置に移動することにより、前記上側作動チャンバおよび貯蔵器チャンバのうちの前記一方から前記ドーナツ型空洞を通って前記デジタル弁アセンブリまでの流路を確立し、前記面シールは、前記流入口と前記流出口との間の連通を遮断し、前記流路は、前記流入口と前記流出口との間の連通を可能にし、前記スプールは、前記スプールが前記第2の位置に移動されたときに、前記貯蔵器チャンバ内に部分的に突出するスプールと、
前記スプールに隣接して配置され、前記スプールを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるコイルアセンブリと、
を含むショックアブソーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年3月13日に出願された米国特許出願第14/208,410号明細書の優先権を主張し、さらに、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/786,684号明細書の利益を主張するものである。上記出願の開示全体は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0002】
本開示は、概して、自動車に使用されるサスペンションシステムなどのサスペンションシステムで使用する油圧ダンパまたはショックアブソーバに関する。より詳細には、本開示は、ショックアブソーバ用の改良された弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションでは、必ずしも先行技術ではない、本開示に関連する背景情報が提示される。
【0004】
ショックアブソーバは、走行中に発生する望ましくない振動を吸収するために、自動サスペンションシステムと共に使用される。望ましくない振動を吸収するために、ショックアブソーバは、通常、自動車のばね上部分(ボディ)とばね下部分(サスペンション)との間に連結される。ピストンは、ショックアブソーバの圧力チューブ内に配置され、圧力チューブは、車両のばね下部分に連結される。ピストンは、圧力チューブを貫通するピストンロッドによって、自動車のばね上部分に連結される。ピストンは、圧力チューブを上側作動チャンバおよび下側作動チャンバに分割し、これらチャンバの両方が油圧流体で満たされる。ピストンは、弁を通じて、ショックアブソーバが伸縮するときに上側および下側作動チャンバ間の油圧流体の流れを制限できるため、ショックアブソーバは制振力を発生させることができ、この制振力は、本来であれば車両のばね下部分からばね上部分に伝達されるであろう振動を抑制する。二重チューブショックアブソーバでは、流体貯蔵器または貯蔵チャンバが、圧力チューブと貯蔵チューブとの間に画定される。ベース弁は、下側作動チャンバと貯蔵チャンバとの間に配置されて、同様に制振力を発生させ、この制振力は、本来であれば車両のばね下部分から自動車のばね上部分に伝達されるであろう振動を抑制する。
【0005】
上記のように、二重チューブショックアブソーバの場合、ピストン上の弁は、ショックアブソーバが伸長して制振負荷を発生させたときに、上側および下側作動チャンバ間の制振流体の流れを制限する。ベース弁上の弁は、ショックアブソーバが圧縮されて制振負荷を発生させたときに、下側作動チャンバと貯蔵チャンバとの間の制振流体の流れを制限する。単一チューブショックアブソーバの場合、ピストン上の弁は、ショックアブソーバが伸縮して、制振負荷を発生させたときに、上側および下側作動チャンバ間の制振流体の流れを制限する。運転中、サスペンションシステムは、ジャウンス(圧縮)およびリバウンド(伸長)して動く。ジャウンス動作中に、ショックアブソーバは圧縮されて、二重チューブショックアブソーバでは、ベース弁を通して制振流体を移動させ、または単一チューブショックアブソーバでは、ピストン弁を通して制振流体を移動させる。ベース弁またはピストンに配置された制振弁は、制振流体の流れを制御し、ひいては、発生する制振力を制御する。リバウンド動作中に、ショックアブソーバは伸長して、二重チューブショックアブソーバおよび単一チューブショックアブソーバの両方で、ピストンを通して制振流体を移動させる。ここでもまた、ピストンに配置された制振弁は、制振流体の流れを制御し、ひいては、発生する制振力を制御する。
【0006】
二重チューブショックアブソーバでは、ピストンおよびベース弁は通常、複数の圧縮路および複数の伸長路を含む。二重チューブショックアブソーバでのジャウンスまたは圧縮動作時、制振弁またはベース弁は、流体流れを制御して制振負荷を発生させるために、ベース弁内の圧縮路を開く。ピストン上の逆止弁は、上側作動チャンバ内の制振流体を移動させるために、ピストン内の圧縮路を開くが、この逆止弁は、制振負荷に寄与しない。圧縮動作時、ピストン上の制振弁は、ピストンの伸長路を閉じ、ベース弁上の逆止弁は、ベース弁の伸長路を閉じる。二重チューブショックアブソーバでのリバウンドまたは伸長動作時、ピストン上の制振弁は、流体流れを制御して制振負荷を発生させるために、ピストン内の伸長路を開く。ベース弁上の逆止弁は、下側作動チャンバ内の制振流体を移動させるために、ベース弁内の伸長路を開くが、この逆止弁は、制振負荷に寄与しない。
【0007】
単一チューブショックアブソーバでは、ピストンは通常、複数の圧縮路および複数の伸長路を含む。ショックアブソーバはまた、当技術分野で公知のように、流体のロッド体積流量を補償する手段を含む。単一チューブショックアブソーバでのジャウンスまたは圧縮動作時、ピストン上の圧縮制振弁は、流体流れを制御して制振負荷を発生させるために、ピストン内の圧縮路を開く。ピストン上の伸長制振弁は、ジャウンス動作中に、ピストンの伸長路を閉じる。単一チューブショックアブソーバでのリバウンドまたは伸長動作時、ピストン上の伸長制振弁は、流体流れを制御して制振負荷を発生させるために、ピストン内の伸長路を開く。ピストン上の圧縮制振弁は、リバウンド動作中に、ピストンの圧縮路を閉じる。
【0008】
ほとんどのダンパの場合、制振弁は、通常閉/開弁として設計される。この閉/開設計のために、これらの受動弁システムは、車両の様々な動作条件に応じて、発生する制振負荷を調整する能力を制限される。したがって、一部の弁は、同時係属中の共同所有の米国特許第8,616,351号明細書などにおいて、制振流体の抽出流れを含むように設計されている。このタイプの設計は効果的に機能するが、狭い寸法公差で製造される高精度の構成要素を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
このセクションは、本開示の全体的な概要を提示しており、最大範囲の、またはすべての特徴部の包括的な開示ではない。
【0010】
ショックアブソーバは、少なくとも1つのデジタル弁アセンブリを収容するためのロッドガイドアセンブリを含む。デジタル弁アセンブリは、ロッドガイドアセンブリ内に配置されたガイド部材、ガイド部材内に移動可能に配置されたスプール、およびスプールに隣接して配置されたコイルアセンブリを含む。本開示はデジタル弁アセンブリがロッドガイドアセンブリ内に配置されているように例示しているが、デジタル弁アセンブリはまた、参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される米国特許第8,616,351号明細書で開示されているように、ピストンロッドおよび/またはベース弁アセンブリ内に配置することができる。
【0011】
本明細書に提示された説明から、さらなる適用可能分野が明らかになるであろう。この概要における説明および特定の例は、単に例示することを意図され、本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。
【0012】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態を例示することのみを目的とし、すべての可能な実施例ではなく、本開示の範囲を限定することを意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示によるロッドガイドアセンブリ内に2位置弁アセンブリを内蔵したショックアブソーバを有する自動車の図である。
【
図2】本開示によるロッドガイドアセンブリ内に2位置弁アセンブリを内蔵した二重チューブショックアブソーバを部分断面で示した側面図である。
【
図3】
図2に示すショックアブソーバからのロッドガイドアセンブリを部分断面で示した拡大側面図である。
【
図4A-4B】
図2に示すショックアブソーバからのロッドガイドアセンブリ内の2位置弁アセンブリを断面で示した拡大図であり、それぞれ弁アセンブリが開位置および閉位置にある。
【
図4C-4D】
図4Aに示す弁要素の封止面を断面で示した拡大図である。
【
図4E-4F】
図4Bに示す弁要素の封止面を断面で示した拡大図である。
【
図5】
図2に示すショックアブソーバからのロッドガイドアセンブリ内の代替的な2位置弁アセンブリを断面で示した拡大図であり、弁アセンブリが閉位置にある。
【
図6-9】
図2に示すショックアブソーバからのロッドガイドアセンブル内のボール弁要素を有する代替的な2位置弁アセンブリを断面で示した拡大図である。
【
図10】
図2に示すショックアブソーバからの代替的な2位置弁アセンブリを断面で示した拡大図であり、弁アセンブリが閉位置にある。
【
図11-14】ショックアブソーバ内の代替的な2位置弁アセンブリを断面で示した拡大図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって対応する要素を示している。
【0015】
以下の説明は、実際上、単なる例示であり、本開示、用途、または使用法を限定することを意図されていない。
図1には、本教示によるショックアブソーバを有するサスペンションシステムを内蔵した車両が示されており、車両は、全体的に参照番号10で表されている。車両10は、フロントおよびリアアクスルアセンブリを有する乗用車として図示した。しかし、本教示によるショックアブソーバは、他のタイプの車両と共に、または他のタイプの用途で使用することができる。これらの代替となる構成の例には、それらに限定されるものではないが、非独立型フロントおよび/または非独立型リアサスペンションを内蔵した車両、独立型フロントおよび/または独立型リアサスペンションを内蔵した車両、あるいは当技術分野で公知の他のサスペンションシステムがある。さらに、本明細書で使用する「ショックアブソーバ」という用語は、一般にダンパを指すことを意図され、したがって、マクファーソンストラットおよび当技術分野で公知の他のダンパ設計を含む。
【0016】
車両10は、リアサスペンション12、フロントサスペンション14、およびボディ16を含む。リアサスペンション12は、1対のリアホイール18を動作可能に支持するように構成された、横方向に延びるリアアクスルアセンブリ(図示せず)を有する。リアアクスルは、1対のショックアブソーバ20および1対のスプリング22によってボディ16に取り付けられている。同様に、フロントサスペンション14は、1対のフロントホイール24を動作可能に支持するための横方向に延びるフロントアクスルアセンブリ(図示せず)を含む。フロントアクスルアセンブリは、1対のショックアブソーバ26および1対のばね28によって、ボディ16に取り付けられている。ショックアブソーバ20、26は、車両10のばね上部分(すなわち、ボディ16)に対するばね下部分(すなわち、リアサスペンション12およびフロントサスペンション14)の相対運動を弱めるように機能する。
【0017】
ここで
図2を参照すると、ショックアブソーバ20がさらに詳細に示されている。
図2は、ショックアブソーバ20のみを示しているが、ショックアブソーバ26は、ショックアブソーバ20と実質的に同様であることが理解される。ショックアブソーバ26は、車両10のばね上およびばね下質量に連結されるように構成される方法においてのみ、ショックアブソーバ20と異なる。ショックアブソーバ20は、圧力チューブ30、ピストンアセンブリ32、ピストンロッド34、貯蔵チューブ36、ベース弁アセンブリ38、およびロッドガイドアセンブリ40を含む。
【0018】
圧力チューブ30は、作動チャンバ42を画定する。ピストンアセンブリ32は、圧力チューブ30内にスライド可能に配置され、作動チャンバ42を上側作動チャンバ44と下側作動チャンバ46とに分割している。シール48は、ピストンアセンブリ32と圧力チューブ30との間に配置されて、過度の摩擦力を発生させることなく、圧力チューブ30に対するピストンアセンブリ32のスライド動作を可能にする。シール48はまた、上側作動チャンバ44を下側作動チャンバ46から封止するように機能する。ピストンロッド34は、ピストンアセンブリ32に取り付けられ、上側作動チャンバ44と、ロッドガイドアセンブリ40とを貫通している。ピストンアセンブリ32とは反対側のピストンロッド34の端部は、車両10のばね上質量に固定されるように構成されている。ピストンアセンブリ32内の弁は、圧力チューブ30内でのピストンアセンブリ32の移動中に、上側作動チャンバ44と下側作動チャンバ46との間の流体の移動を制御する。任意選択により、後述のデジタル弁アセンブリをピストンアセンブリ32または上側ロッドガイドアセンブリ40もしくは下側ロッドガイドアセンブリ64内に配置することもできる。圧力チューブ30に対するピストンアセンブリ32の移動により、上側作動チャンバ44で移動する流体の量と、下側作動チャンバ46で移動する流体の量とに差が生じる。これは、主に、ピストンロッド34が上側作動チャンバ44のみを貫通し、下側作動チャンバ46を通らないからである。移動流体の量の差は「ロッド体積」として知られており、その流体はベース弁アセンブリ38を流れる。ベース弁アセンブリ38が後述のいずれの弁も有し得ることが理解されるべきである。
【0019】
貯蔵チューブ36は、チューブ30、36間に配置された流体貯蔵器チャンバ50を画定するように圧力チューブ30を囲んでいる。貯蔵チューブ36の底端は、車両10のばね下質量に連結されるように構成されたベースカップ52によって閉じられている。貯蔵チューブ36の上端は、ロッドガイドアセンブリ40のまわりに延びることができ、または、図示したように、上側缶54で閉じることもでき、さらに、上側缶54は、ロッドガイドアセンブリ40を覆う円筒形とされる。ベース弁アセンブリ38は、チャンバ46、50間の流体の流れを制御するために、下側作動チャンバ46と貯蔵器チャンバ50との間に配置されている。ショックアブソーバ20の長さが伸長する場合(すなわち、ピストンロッド34が、上側缶54の上方外側方向に移動する場合)、「ロッド体積」という概念により、下側作動チャンバ46内の流体量を増量する必要がある。したがって、流体が、貯蔵器チャンバ50からベース弁アセンブリ38を通って下側作動チャンバ46に流れる。反対に、ショックアブソーバ20の長さが縮む場合(すなわち、ピストンロッド34がベース弁アセンブリ38に向かって移動する場合)、「ロッド体積」という概念により、余分な流体を下側作動チャンバ46から除去しなければならない。したがって、流体は、下側作動チャンバ46からベース弁アセンブリ38を通って貯蔵器チャンバ50に流れる。
【0020】
ここで
図3を参照すると、ロッドガイドアセンブリ40がさらに詳細に示されている。ロッドガイドアセンブリ40は、シールアセンブリ60、上側ロッドガイド62、下側ロッドガイド64、回路板66、保持リング68、および少なくとも1つのデジタル弁アセンブリ70を含む。シールアセンブリ60は、上側缶54と接するように、上側ロッドガイド62に組み込まれ、逆止シール72を含む。逆止シール72は、流体が、ピストンロッド34と上側ブッシュ74との境界面から、様々な流体路(図示せず)を通って、貯蔵器チャンバ50に流れるのを可能にするが、貯蔵器チャンバ50から、ピストンロッド34と上側ブッシュ74との間の境界面への逆方向の流体流れを阻止する。一例では、上側ブッシュ74は、ピストンロッド34をスライド可能に保持するために、テフロンコーティングされたベアリングとすることができる。
【0021】
上側ロッドガイド62は、最初に、上側缶54に組み込むことができ、または上側缶54に取り付ける前に、下側ロッドガイド64に前もって組み付けることもできる。次いで、上側缶54は、圧力チューブ30が下側ロッドガイド64に組み付けられた状態で、貯蔵チューブ36に組み付けることができる。特に、圧力チューブ30および貯蔵チューブ36をそれぞれ上側缶54および下側ロッドガイド64に圧入して、ロッドガイドアセンブリ40を圧力チューブ30および貯蔵チューブ36で保持することができる。
【0022】
上側ロッドガイド62は、中心開孔82が貫通し、同心チャネル84が下側面86から延びる略管状の本体80を有することができる。上側ロッドガイド62は、粉末金属成形、金属射出成形(MIM)、または他の鋳造/成形プロセスなどの従来の成形プロセスから製造することができる。上側ロッドガイド62は、中心開孔82の上側部分でシールアセンブリ60を収容することができ、一方、ブッシュ74は、中心開孔82の下側部分に組み込むことができる。ブッシュ74は、ピストンロッド34用の封止面も提供しながら、ピストンロッド34のスライド動作に対応するように、中心開孔82のまわりで上側ロッドガイド62に圧入することができる。同心チャネル84は、少なくとも回路板66を受け入れる大きさとすることができ、回路板66を上側ロッドガイド62内の所定の位置に保持するための複数の支持棒88を含むことができる。
【0023】
本体90は、上側缶54に対して封止し、流れ特性の改善を可能にし、圧力チューブ30と嵌合するために、外径が連続的に小さくなる3つの異なる領域を有することができる。例えば、本体90の上側領域94は、上側缶54の内径と一致した大きさの第1の外径を有することができる。上側領域94は、シールリングまたはOリング98を受け入れるために、第1の外径のまわりに延びる溝96を有することができる。複数の開孔100は、中心開孔92のまわりに同心で配置されるように、上側領域94で本体90を貫通することができる。開孔100は、デジタル弁アセンブリ70を受け入れる大きさとすることができる。ロッドガイドアセンブリ40で使用するのに、4つのデジタル弁アセンブリ70が示されているが、任意の数のデジタル弁アセンブリ70を設けることができる。デジタル弁アセンブリ70は、流体の形態か気体の形態かのいずれかで、流体流れを制限するように構成される。
【0024】
開孔100は、本体90の上側領域94から中央領域102まで延びることができる。中央領域102は、上側領域94よりも対応する直径が小さい、不規則な形状の外側面104を有することができる。外側面104は、開孔100の位置および形状に追従することができる。特に、外側面104は、任意の選択された数のデジタル弁アセンブリ70に追従するように、対応して配置することができる。中央領域102は、各デジタル弁アセンブリ70と貯蔵器チャンバ50との間を流体連通するために、各デジタル弁アセンブリ70の位置に対応した複数の開口106を有することができる。さらに、別の流体流路を設けるために、別の開孔108が、開孔100と中心開孔92との間に延びることができる。下側領域110は、中央領域102から延びることができ、すでに説明したように、圧力チューブ30を受けるカラーとして成形することができる。
【0025】
下側ロッドガイド64もまた、中心開孔92が貫通する略管状の本体90を有することができる。上側ロッドガイド62と同様に、下側ロッドガイド64も、粉末金属成形、金属射出成形(MIM)、または他の鋳造/成形プロセスなどの従来の成形プロセスから製造することができる。下側ロッドガイド64は、流れ特性に干渉しないように、中心開孔92の、開口106より実質的に上の位置で、上側シールリング112および下側ブッシュ114を収容することができる。シールリング112およびブッシュ114は、ピストンロッド34用のさらなるシールも提供しながら、ピストンロッド34のスライド動作に対応するように、中心開孔92のまわりで下側ロッドガイド64に圧入することができる。シールリング112は、任意の半径方向隙間を吸収することで、補助シールとして機能するTシールまたはスリップリングとすることができる。ブッシュ114は、シールリング112を中心開孔92内に保持するためのカラーまたは張り出し部として機能することができる。任意選択により、本明細書に記載されているデジタル弁を下側ガイド64に形成された開孔内に設置することができる。
【0026】
回路板66は、すでに説明したように、上側ロッドガイド62のチャネル84内に配置することができ、支持棒88に当接することができる。回路板66は、保持リング68に当接し、回路板66を支持するために、支持棒88とは反対側の面に確実に保持された複数の防振装置116を含むことができる。回路板66を使用して、デジタル弁アセンブリ70を作動させるための電力を供給することができる。例えば、各デジタル弁アセンブリ70は、後でより詳細に説明するように、2つの位置のそれぞれに異なる流れ領域を有する2位置弁アセンブリとすることができる。各デジタル弁アセンブリ70は、2つの位置間を移動するための配線接続を有することができ、配線接続は、回路板66まで延びる。
【0027】
様々なデジタル弁アセンブリ70を保持するために、保持リング68を上側ロッドガイド62と下側ロッドガイド64との間に配置することができる。例えば、図示したように、保持リング68は、上側ロッドガイド62に圧入することができ、または接着剤などで、上側ロッドガイド62または下側ロッドガイド64に固定することもできる。保持リング68は略管状の本体118を有することができ、これは中心開孔120と、それを貫通する同心円状に配置された複数の開孔121とを含む。本体118は上側ロッドガイド62のチャネル84内および/または上側ロッドガイド62と下側ロッドガイド64との間に配置することができる。開孔121は下側ロッドガイド64の本体90の開孔100と整列することができ、これによってデジタル弁アセンブリ70の配線接続をその中に通すことができる。
【0028】
ここで
図3〜4Fを参照すると、各デジタル弁アセンブリ70は、スプール124、ガイド部材またはスリーブ126、スプリング128、およびコイルアセンブリ122を含むことができる。弁アセンブリ70は、貯蔵器チャンバまたは上側作動チャンバのいずれかに連結された流出口と、上側作動チャンバまたは貯蔵器チャンバの他方に連結された入口または流入口流路を有する。スプール124は略管状の本体132を有することができ、これは外径の異なる3つの領域を画定する。例えば、第1の、上側領域134は、スリーブ126の上側部分内にスライドするように受けられる大きさとすることができ、これは上側ロッドガイド62の開孔100内に配置される。第2の、中間領域136は、環状面内に画定された半径方向溝138によって上側領域134から離間されることができる。中間領域136は、上側領域134の外径よりわずかに小さい外径を有することができ、また、突起140を画定するような形状とすることができる。第3の、下側領域142は、第2の半径方向溝144によって中間領域136から離間されることができる。半径方向溝144は、後でより詳細に説明するように、デジタル弁アセンブリ70の運動を補助するような輪郭形状とすることができる。下側領域142は、スリーブ126の下側部分内にスライドするように受けられる大きさとすることができ、これは中間領域136の外径よりわずかに小さい外径を有する。
【0029】
スリーブ126は、半径方向溝138に隣接する第1の突起146と、スプール124の半径方向溝144に対応する第2の突起148を有することができる。第1の突起146は、上側領域134におけるスプール124の内径と同等の大きさの内径を有することができ、それによって弁が開いたときに、スプール124とスリーブ126との間で調量された流れが可能となる。この構成において、弁はスリップシールと面シールの両方を有する。上側領域134と第1の突起146は、弁が閉位置にあるときにスリップシールを形成する。しかしながら、第2の突起148は、中間領域136におけるスプール124の内径よりわずかに小さい内径を有することができる。このようにして、第2の突起148はスプール124内間領域の運動を制限し、中間領域136と封止可能に接触して、漏れを最小化または防止するための面シールとして機能する。
【0030】
スプリング128は、スプール124を
図4Aに示されるような開位置と
図4に示される閉位置とから付勢することができる。換言すれば、スプリング128はスプール124をコイルアセンブリ122から遠ざかり、開孔100内に配置された封止面に向かうように付勢する。スプール124はスリーブ126内で軸方向に移動して、上側領域134と第1の突起146との間(例えば、
図4Bおよび4E参照)および中間領域136と第2の突起148との間(例えば、
図4Cおよび4F参照)の間隔を変化させる。
【0031】
図4Cにおいて最もよくわかるように、デジタル弁アセンブリ70がその開位置にあるときに、上側領域134、第1の突起146、および半径方向溝138は第1の流路を形成する。任意選択により、第1の突起146は溝150を画定でき、これは第1の流路を通る、およびデジタル弁アセンブリ70を通る流体流れを制限するための調量エッジとして機能できる。
【0032】
図4Dは中間領域136と第2の突起148を示しており、これらが半径方向溝147と共に第2の流路を形成する。上述の第1の流路と同様に、これらの特徴部の確定された表面が第2の流路内の調量構造として機能する。
【0033】
図4Eおよび4Fに示すように、コイルへの電流が切断されると、スプール124は、スプリング128により誘起された力によって開位置から閉位置へと移動される。これによって第1および第2の流路が閉じられる。上側領域134は第1の突起146に対して移動されて、流体流れを制限するスリップシールを形成する。同時に、第2の突起148が中間領域136のベアリング面149と係合して面シールを形成する。第2の突起148がベアリング面149と係合することにより、スプール124のスリーブ126に対する移動を制限し、第1の突起146と上側領域134との間の間隔を位置決めする。
【0034】
図5は、
図2に示すショックアブソーバからのロッドガイドアセンブリ内の代替的な2位置弁アセンブリ270を断面で示した拡大図を表す。弁アセンブリ270はスプール224を有し、これは代替的なスリーブ226に対して移動して、変形可能弁シート227と係合する。スプール224は上側区間234を有し、これはスリーブ226の円筒形部分236によって環状に支持される。スプール224は、半径方向溝240から分離された下側領域238をさらに有する。半径方向溝240は、流体流れがスプール224をスリーブ226内で軸方向に安定させることを可能にする機能を果たす。
【0035】
下側領域238は円錐ベアリング面242を画定し、これが変形可能弁シート227内に画定された開孔248の縁244と係合する。スプール224は付勢スプリング246によって変形可能弁シート227に向かって付勢される。前述のように、電流を付勢コイルに印加すると、円錐ベアリング面242は変形可能弁シート227から引き離される。すると、調量オリフィス229を通じて流体流れを起こすことができる。
【0036】
図6〜9は、本発明によるボール弁要素250を有する代替的な2位置弁アセンブリ270を断面で示した拡大図を表す。代替的なデジタル弁270の各々は、直線運動可能スプール224の中心線と軸方向に整列する調量オリフィス229を有する。スプール224は、流出口オリフィス255を画定するスリーブ226によって半径方向に支持される。ボール弁要素250は弁シート227とスプール224との間に配置される。スプール224は、モノリシックの磁気反応構造とすることができ、これは、弁内の流体がスプール224のまわりの力と軸方向に平衡化できるように構成された軸方向流路254を画定する。これに加えて、スプール224は円錐形ボール要素支持部材256を画定できる。弁シート227は、ベアリングパック260内に画定される変形可能面とすることができる。ベアリングパック260は、調量オリフィス229、スプール224、および付勢スプリング246と軸方向に整列する貫通路262を画定できる。デジタル弁アセンブリ270はカートリッジ266の形態とすることができ、これは開孔100を封止するためのシーリングガスケット272と係合するベアリング面276を有する外側本体268を有する。外側本体268は開孔274を画定でき、これはデジタル弁270を貯蔵器チャンバ50に流体的に連結する。
【0037】
図7および8に示すように、スプール224は相互に連結される複数の部品で形成することができ、それによって機械加工工程が減る。第1の部材280は磁気反応性ベース282であり、これはコイルにより生成された磁場に反応して、略中空の加力部材284に力を付加するように機能する。略中空の加力部材284は、ボール弁要素250と係合する第1の円形端285を有する中空チューブとすることができる。中空の加力部材284と磁気作動ベース282は貫通路286を画定でき、これによって流体がその中を流れてデジタル弁270内の圧力を平衡化し、軸方向の安定性を保持することを可能にする。
【0038】
図9は、開位置にある代替的なデジタル弁270を示している。この状態において、電流がコイルアセンブリ122に印加され、これが付勢スプリング246により生成される力に逆らってスプール224をコイルアセンブリ122に引き寄せる。調量オリフィス229を通る流体流れがボール弁要素250を円錐弁シート227から遠ざける。すると、流体はデジタル弁270と流出口オリフィスを通って貯蔵器チャンバ50に流れる。スプール224の円形ベアリング面290は、デジタル弁アセンブリ70内のボール弁要素250の軸方向運動と半径方向運動を制限する。
【0039】
図10に示されるように、スプール224は平坦ベアリング292面を有することができ、これはベアリングパック260上に画定される平坦ベアリング面294と封止可能に係合するように機能する。図示するように、付勢スプリング246はスプールの平坦ベアリング面292をパックの平坦ベアリング面294に押し付ける。力平衡通路293がスプール224とスリーブ226の両方に形成される。
【0040】
デジタル弁アセンブリ70は、各コイルアセンブリ122に電力信号を供給し続けることによって、またはデジタル弁アセンブリ70を第2の位置に保持する手段を設け、コイルアセンブリ122への電力供給を切ることによって、第2の位置に保持することができる。デジタル弁アセンブリ70を閉位置に保持する手段には、機械手段、磁気手段、または当技術分野で公知の他の手段があり得る。あるいは、本明細書において開示されるデジタル弁アセンブリは、スプールを通常開の状態で付勢する代替的な付勢スプリングを有することができる。
【0041】
第2の位置を取った後、第1の位置への移動は、各コイルアセンブリ122への電力供給を終わらせることによって、または保持ばねに打ち勝つように、電流を逆流させる、すなわち、各コイルアセンブリ122に供給される電力の極性を逆転させることによって行うことができる。各デジタル弁アセンブリ70を流れる流量には、第1の位置および第2の位置の両方で流れ制御するための離散した設定がある。本開示が、複数のデジタル弁アセンブリ70を使用して説明されたが、任意の数のデジタル弁アセンブリ70を使用することは本開示の範囲内である。
【0042】
図11〜14は、本発明による代替的なスプール224とスリーブ226を有する代替的な2位置デジタル弁アセンブリ370を断面で示した拡大図を表す。各々の代替的なデジタル弁370は、直線運動可能なスプール224の中心線と軸方向に整列する調量オリフィス229を有する。スプール224は、流出口オリフィス255を画定するスリーブ226によって半径方向に支持される。スリーブ226が別々の部材であっても、ガイドアセンブリ内に一体形成してもよいことに留意すべきである。スプール224の第1の端300は弁シート227とスプール224の半径方向に支持される部分298より先端側に配置される。スプール224は、弁内の流体がスプール224のまわりの力と軸方向に平衡化できるように構成された軸方向流路254を画定するモノリシックの磁気反応性構造とすることができ、または上述のように多部品構成であってもよい。
【0043】
スプール224の第1の端300は、スプールが着座した位置から着座していない位置へと移動されたときに流路として機能するドーナツ型空洞302の一部を画定するセグメント308を有する。
図11〜13に示すように、弁がその通常閉の位置、すなわちその着座位置に付勢されると、流体が調量オリフィス229を通って流れることが阻止される。あるいは、デジタル弁を通常開位置へと付勢することができる。ドーナツ型空洞302の付近の弁シート227は、ベアリングパック260内に画定される変形可能面とすることができる。ベアリングパック260は、調量オリフィス229、スプール224、および付勢スプリング246と軸方向に整列する貫通路262を画定できる。ベアリングパック260の貫通路262をドーナツ型空洞302内に配置して、それと係合できるようにすることができる。あるいは、貫通路262を通る流れが、弁シート227に隣接する流れを調量できる。
【0044】
スプール224は、直径が変化する単独のモノリシックな機械加工部品から形成することができる。第1の部分304は、コイルにより生成された磁場に応答してスプール224に力を付加するように機能する磁気反応性ベース306である。スプール224は、ベアリングパック260の貫通路262と係合する外側スプール面310の上に部分的ドーナツ型空洞302を画定する中空チューブとすることができる。前述のように、スプール224と磁気反応性ベース282は、その中を通る流体流れがデジタル弁270内の圧力を平衡化し、軸方向の安定性を保持することを可能にする貫通路を画定できる。
【0045】
図14は、開状態にある代替的なデジタル弁370を示している。この状態では、電流がコイルアセンブリ122に印加され、それが付勢スプリング246に対抗してスプール224をコイルアセンブリ122へと引き付ける。円形またはドーナツ型弁シート227において、調量オリフィス229とドーナツ型空洞302を通る流体流れが可能となる。ドーナツ型空洞302のベアリング面と、スリーブ突起によって画定される円形または環状弁シート227のベアリング面との相互作用が、面シールを形成する。設計に応じて、ドーナツ型空洞は、ベアリングパック260のいずれの側でも、面シールとして機能できることに留意すべきである。コイルアセンブリ122のオンまたはオフにより、スプール224は移動され、調量オリフィス229とドーナツ型空洞302を流体が流れる。その後、流体はデジタル弁370と流出口オリフィス312を通って貯蔵器チャンバ50に流れる。スプール224のドーナツ型空洞302内のベアリング面290は、スプール224の軸方向の運動を制限する。このベアリング面290は平坦でも湾曲していてもよく、またベアリングパック260の形状に対して相補的な形状とすることもできる。
【0046】
複数のデジタル弁アセンブリ70を使用する場合に、複数のデジタル弁アセンブリ70を通る全流れ領域を、個々の各デジタル弁アセンブリ70の位置に応じて、特定の全流れ領域数に設定できることが理解されるべきである。具体的な全流れ領域数は、2n流れ領域と定義でき、nはデジタル弁アセンブリ70の数である。例えば、4つのデジタル弁アセンブリ70を使用する場合、利用可能な全流れ領域数は24、すなわち16の流れ領域となるであろう。さらに、デジタル弁アセンブリは、下側ガイドアセンブリおよび上側ガイドアセンブリの両方、ピストンロッドアセンブリ、および/またはベース弁アセンブリ内で使用可能である。
【0047】
実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示された。実施形態は、網羅的であることを意図されておらず、または本発明を限定することも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴部は、通常、その特定の実施形態に限定されるのではなく、具体的に図示または説明していなくても、適用可能な場合に、選択された実施形態において交換可能であり、使用することができる。同一のものを様々な方法で変えることもできる。そのような変形形態は、本発明からの逸脱とみなすべきではなく、そのような修正形態のすべては、本発明の範囲内に含まれることを意図されている。