【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF WASHINGTON THROUGH ITS CENTER FOR COMMERCIALIZATION
【文献】
J V Chapman, et al., Experimental Cell Research, 2011, 317, pp1736-1745
【文献】
D C Kasper,et al., Rapid Commun. Mass Spectrom., 2010, 24, pp986-994
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
本発明の以下の概要は、本発明に特有の革新的な特性の一部を理解することを容易にするために提供され、そしてすべてを説明することを意図するものではない。本発明の種々の態様の十分な理解は、すべての明細書、請求項、図面および要約を全体として見ることにより達成し得る。
【0008】
質量分析などの検出システムを用いた酵素反応を検出するための、改良された組成物および方法が提供される。これらの組成物は、水性溶媒系における溶解度の向上、および/または標的酵素との反応性の向上を提供し、それによりアッセイ効率、再現性および精度が向上する。
【0009】
本発明は、サンプル中のライソゾーム酵素活性のレベルを評価するのに有用な化合物を提供する。ライソゾーム酵素活性の検査は、例えば、新生児の代謝異常のスクリーニングをする場合だけでなく、酵素活性に影響する病状の人、または酵素補充療法、遺伝子治療もしくは骨髄移植などの薬物治療中の人を評価する場合に有用である。本明細書に記載の化合物は、標的酵素に対する基質および酵素アッセイにおける対照または標準として有用な関連分子を含む。
【0010】
本発明の1つの目的は、酵素、例として欠乏するとライソゾーム病をもたらす酵素の活性を検出するのに適した基質を提供することである。以下の一般式を有する基質が提供される。
【化1】
式中、Aは単糖類または二糖類であり;B1は、C
1-C
20アルキレン;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン、置換または非置換C
6-C
20アリーレンであり;B2は、C
2-C
7ウレタン;C
2-C
7アミド、C
2-C
7エステル、C
2-C
7ウレイド、C
2-C
7カルバマート、C
2-C
7カルボニル;C
1-C
7アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
7アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルであり、B3は、C
1-C
20アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル、N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル、C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル、
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;
C2-C
20アルキニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルキニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルキニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環である。N、OまたはSを含む置換基は、別々に任意にヒドロキシル、アミノ、チオール、エーテル、チオエーテルまたは第2級アミンである。いくつかの実施形態において、Aはアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり、任意にαまたはβグリコシド結合を介して分子の残りの部分と結合している。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。B1部分は、任意にメチレ
ン基またはC
2アルキレン基である。B2部分は、任意にC
2-C
7アミドである。B3部分は、任意にN、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルキルである。いくつかの実施形態において、置換基は、D-グルコースまたはD-ガラクトースであるA、メチレンであるB1、C
2-C
7アミドであるB2、およびヒドロキシルとして存在するOを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルであるB3を含む。
【0011】
一般式IIの化合物も提供され、
【化2】
これは、ライソゾーム病の検出のための基質として同様に有用である。式IIに従って、Aはアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり;R
1はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
20アルケニルであり;R
2はC
1-C
20アルキル、N、OもしくはSを含む置換基を有する
C1-C
20アルキル、
C2-C
20アルケニルまたはN、OもしくはSを含む置換基を有する
C2-C
20アルケニルである。R
1またはR
2は、任意にN、OもしくはSの置換またはN、OもしくはSを含む置換基を含有する
C2-C20アルキニルであり得ることが理解される。いくつかの実施形態において、式IIの基質は、AをD-グルコースまたはD-ガラクトースとして、R
1をC
4-C
6アルキルとして含み、そしてR
2はC
13-C
20アルキル、N、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルキル、C
13-C
20アルケニルまたはN、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルである。
任意に、R
2はC
13アルキルである。
【0012】
ライソゾーム病の有無を検出するか、または単に酵素の有無を検出するのに適した、式IIIの構造を含む基質も提供される。
【0014】
式中、Aは単糖類または二糖類であり;B1は、C
1-C
20アルキレン;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン;および置換または非置換C
6-C
20アリーレンであり;R
1'は、置換または非置換CもしくはNであり;R
2'は置換または非置換C、置換または非置換N、OもしくはSであり;R
3'は置換または非置換C、NもしくはOであり;R
4'はなしであるか、置換または非置換C
1-C
2、OもしくはSであり;R
1は:C
1-C
6アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
7アルキル:N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルであり;R
5'はなしであるか、置換または非置換C
1-C
2、OもしくはSであり;R
6'はC
1-C
20アルキル、ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル;C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル;
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環である。Aは任意にアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり、任意にαまたはβグリコシド結合を介して分子の残りの部分と結合している。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。いくつかの実施形態において、式IIIによる基質は以下:
【0015】
【化4】
[式中、R
2'は置換もしくは非置換Cまたは置換もしくは非置換Nである];
【0017】
【化6】
[式中、R
2''はHまたはメチルであり、R
2’’’はHまたはメチルである];
あるいは
【化7】
[式中、R
3'は置換または非置換Cであり;
【0018】
R
4'はなしであるか、置換もしくは非置換C
1-C
2、OまたはSである]である。
【0019】
本発明に含まれる前記または他のいずれの基質においても、Aは任意にアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり、任意にαまたはβグリコシド結合を介して分子の残りの部分と結合していることが理解される。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。
【0020】
いくつかの実施形態において、式IIIによる基質は以下:
【0021】
【化8】
[式中、R
2'は置換もしくは非置換Cまたは置換もしくは非置換Nであり;R
6'はC
1-C
20アルキル、ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル;C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル;
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環である];
【0022】
【化9】
[式中、R
2'は置換もしくは非置換Cまたは置換もしくは非置換Nであり;R
2はC
13-C
20アルキル、ヘテロ原子含有C
13-C
20アルキル、N、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルキル;C
13-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有C
13-C
20アルケニル;またはN、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルである];あるいは
【0023】
【化10】
[式中、R
2はC
13-C
20アルキル、ヘテロ原子含有C
13-C
20アルキル、N、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルキル;C
13-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有C
13-C
20アルケニル;またはN、OもしくはSを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルである]を含む。本発明に含まれる前記または他のいずれの基質においても、Aは任意にアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり、任意にαまたはβグリコシド結合を介して分子の残りの部分と結合している。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。
【0025】
【化11】
式中、nは0、1、2、3、4または5である。Aは任意にアルドヘキソースまたはケトヘキソースであり、任意にαまたはβグリコシド結合を介して分子の残りの部分と結合している。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。
【0026】
本発明のいずれの基質も、任意に、1元素の安定な2番目に多い同位体または他の標識を含む。いくつかの実施形態において、安定な2番目に多い同位体はそれぞれ、
2H、
13C、
15N、
17O、
18O、
31Pまたは
34Sからなる群より選択される。
【0027】
本発明の別の目的は、酵素機能の阻害剤として、酵素活性の検出方法のための内部標準として、または治療薬として使用され得る分子を提供することである。そのような分子は任意に式Vの構造を含み、
【0029】
式中、B1は、C
1-C
20アルキレン、ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン、置換または非置換C
6-C
20アリーレンからなる群より選択され;B2は、C
2-C
7ウレタン;C
2-C
7アミド、C
2-C
7エステル、C
2-C
7ウレイド;C
2-C
7カルバマート;C
2-C
7カルボニル;C
1-C
7アルキル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルからなる群より選択され;B3は、C
1-C
20アルキル基;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル基;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル;C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル;
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;
C2-C
20アルキニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルキニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルキニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、B1はメチレンである。任意に、B2はC
2-C
7アミドである。任意に、B3はN、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニルである。いくつかの実施形態において、B1はメチレンであり、B2はC
2-C
7アミドであり、B3はヒドロキシルとして存在するOを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルである。
【0030】
本発明のいずれの分子も、任意に1元素の安定な2番目に多い同位体または他の標識を含む。いくつかの実施形態において、安定な2番目に多い同位体はそれぞれ、
2H、
13C、
1
5N、
17O、
18O、
31Pまたは
34Sからなる群より選択される。
【0031】
被験者の酵素の欠乏有無の検出のため、酵素の有無またはレベルの検出方法もまた提供される。酵素は任意に、酵素の欠損がライソゾーム病をもたらす酵素である。酵素の有無またはレベルの検出方法において、式I〜VIの組成物の使用は、水性溶媒系の酵素の溶解度が向上する結果、アッセイの確実性を向上させる。酵素活性の検出方法は、標的の酵素を含むサンプルを本明細書に記載のあらゆる基質またはそれらの等価物と、標的の酵素が基質に作用して酵素生成物を生じることが可能な条件下で接触させることおよび酵素生成物を検出することを含む。任意に、前記の標的の酵素は酸性β-グルコセレブロシダーゼであり、そしてその前記基質は式Iの基質であって、式中、前記B2はC
2-C
7アミドであり、B3はN、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニルである。任意に、標的の酵素は酸性ガラクトセレブロシドβ-ガラクトシダーゼまたは酸性β-グルコセレブロシダーゼであり、式中、B2はC
2-C
7アミドであり、B3はヒドロキシルとして存在するOを含む置換基を有するC
13-C
20アルケニルである。
【0032】
任意に、酵素活性の検出方法に使用する基質は、化合物1〜80のいずれか1以上、任意に1もしくは7の基質あるいはそれらのいずれかの組み合わせである。任意に、1つの方法は接触ステップの間または後に内部標準を反応溶液に添加することを含む。そのような内部標準は、任意に組成物81〜86のいずれかの標準である。
【0033】
検出ステップは、任意に質量分析により、任意にMS/MSなどの多重反応モニタリングによる。検出ステップは、任意に免疫測定法、HPLC、質量分析または1000ダルトン未満の分子量を有する分子を検出する他の適切な方法による。
【発明を実施するための形態】
【0041】
特定の実施形態の以下の記載は、本質的に単に例示的なものであり、そして本発明の範囲、その利用または使用を制限することを意図するものでは全くなく、それらはもちろん変化し得る。組成物および方法は、本明細書に含まれる非限定的な定義および専門用語に関して記載される。これらの定義および専門用語は、本発明の範囲または実施の制限として機能するよう設計されたものではなく、説明および記述目的のみのために示される。方法または組成物が個々のステップの順序でまたは特定の物質を使用して記載される一方、当業者によって容易に理解されるようにいろいろ用意した複数のパートまたはステップを本発明の記載が含み得るように、ステップまたは物質は代替可能であることが理解される。従って、あらゆるA成分があらゆる他のA成分と代替可能であり、あらゆるB1成分があらゆる他のB1成分と置換可能であり、あらゆるB2成分があらゆる他のB2成分と置換可能であり;あらゆるB3成分があらゆる他のA成分と置換可能であり、あらゆるR
1成分があらゆる他のR
1成分と置換可能であり、あらゆるR
2成分があらゆる他のR
2成分と置換可能であり、あらゆるR
1’成分があらゆる他のR
1'成分と置換可能であり、あらゆるR
2'成分があらゆる他のR
2'成分と置換可能であり、あらゆるR
3'成分があらゆる他のR
3'成分と置換可能であり、あらゆるR
4'成分があらゆる他のR
4'成分と置換可能であり、あらゆるR
5'成分があらゆる他のR
5'成分と置換可能であり、またはあらゆるR
6'成分があらゆる他のR
6'成分と置換可能であるように、以下の組成物の種々の成分が任意に互いに置換されることが理解される。A、B1、B2、B3、R
1、R
2、R
1’、R
2’、R
3’、R
4’、R
5'またはR
6'のすべての組み合わせが、当業者によって容易に理解されるように本明細書に含まれる。
【0042】
本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであって、制限することを意図するものではない。本明細書で用いるように、単数形「a」、「an」および「the」は複数形を含むことを意図し、その意味が明らかに他のものを指さない限り「少なくとも1つ」を含む。「または(or)」は「および(and)/または(or)」を意味する。本明細書で用いる用語「および(and)/または(or)」は、関連して記載される要素の1以上から構成される、あらゆるおよびすべての組み合わせを含む。「含有する(comprises)」および/もしくは「含有している(comprising)」または「含む(includes)」および/もしくは「含んでいる(including)」を本明細書で用いる場合、規定する特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素および/または組成物の存在を明確にし、1以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、組成物および/もしくはそれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるだろう。用語「またはそれらの組み合わせ」は、前述の要素の少なくとも1つを含む組み合わせを意味する。
【0043】
他に定義されない限り、本明細書で用いるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書に定義されているような用語は、関連分野および本開示の文脈でのそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書に明確にそのように定義されない限り理想的または型通りの意味で解釈されないことがさらに理解されるだろう。
【0044】
提供する組成物は、ライソゾーム病に関連するライソゾーム酵素活性などの加水分解酵素活性を検出するための分析試薬としての有用性を有する。質量分析、HPLCおよび免疫測定法などの分析法に適した溶液に、すでに同定されている組成物よりはるかに容易に溶解する実験用の対照または標準として有用な酵素基質および関連組成物を利用すると、ライソゾーム病に関連する酵素活性の検出は、より実用的かつ扱いが容易である。
【0045】
ライソゾーム酵素の標的となる基質に関連する組成物は任意に、酸性β-グルコセレブロシダーゼ(ABG)、ガラクトセレブロシドβ-ガラクトシダーゼ(GALC)を含む。この基質に対するこれらの酵素の作用は、サンプル中の対応する酵素活性を測定するために使用され、ゆえに基質は、以下のライソゾーム病、すなわちゴーシェ病(ABG);およびクラッベ病(GALC)を検出するのに使用され得る。
【0046】
基質は以下の一般式を有し、
【化13】
式中、Aは単糖類または二糖類であり;B1は、C
1-C
20アルキレン;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン;置換または非置換C
6-C
20アリーレンであり;B2は、C
2-C
7ウレタン;C
2-C
7アミド、C
2-C
7エステル、C
2-C
7ウレイド;C
2-C
7カルバマート;C
2-C
7カルボニル;C
1-C
7アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
7アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルであり;B3は、C
1-C
20アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル;C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル、
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;
C2-C
20アルキニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルキニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルキニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環である。N、OまたはSを含む置換基は、別々に任意にヒドロキシル、アミノ、チオール、エーテル、チオエーテルまたは第2級アミンである。
【0047】
特定のライソゾーム酵素に対する基質の特異性は、例えばAが単糖類または二糖類であるなどの、糖部分Aにおける構造的な変化によって部分的に規定され、そしていくつかの実施形態では、使用する特定の糖部分によって規定される。例示的な糖部分は、ゴーシェ病を検出するためのβ-D-グルコース、およびクラッベ病を検出するためのβ-D-ガラクトースを含む。単糖類は任意にαグルコシド結合またはβグルコシド結合のどちらかによって分子の残りの部分と結合する。さらなる例示的な糖部分は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボースおよびタガトースを、各々D配置またはL配置のどちらかで含むが、これらに限定されない。
【0048】
B1は、糖部分Aを基質の残りの構造に結合させるよう機能するリンカー部分である。B1
はまた、糖部分Aと基質の残りの構造との間のスペーサーとして機能することで、標的の酵素が柔軟に接近できるようにする。リンカーアームB1は、物質の極性、およびゆえにそれらの溶解特性を制御するように設計され得る。場合によって、リンカーアームB1はヒドロフェノール構造を有し得る。従って、一般式Iの基質は、純メタノールまたは純エタノールなどの溶媒において少なくとも部分的に親水性となるように設定され得る。脂肪酸部分は、全体として一般的に基質に水溶解度を付与するために十分に親水性となるよう調製される。このように、基質は水性緩衝液系に可溶性であり得る。しかしながら、当技術分野で知られているように、基質物質の水溶解度を向上させるために、界面活性剤または他のそのような薬剤が薬剤混合物中に含まれ得ることが理解される。
【0049】
B2は、天然のセレブロシドまたは従来の基質の長鎖脂肪酸に
比して、基質に水溶性を提供する。特定のB2構造の短いアルキル鎖長(C
2-C
7の長さ)が、十分な親和性および代謝回転速度を
伴って目的の酵素による認識を
実行可能にすることは予想外であった。さらに、いくつかの実施形態に関するアルケニル鎖における飽和度の不足も同様に、基質としての機能を付与するとは予想されなかった。これらの要素の両方は、単独または別々に、基質を従来の方法によっては達成されなかった十分な溶解特性となるようにする。
【0050】
いくつかの実施形態において、B2は、固形担体または蛍光タグなどの検出タグとの相互作用のための1以上の求核基を含み得る。そのような求核基は、任意に窒素、酸素または硫黄求核基である。任意に、求核基はアミンである。
【0051】
組成物の特徴は、質量分析などの特定の検出手段に用いられる第4級アンモニウムを有する必要がないということである。B2基によって付与される相対的溶解度は、基質を用いた1以上の酵素の検出を向上させるのに十分である。従来の基質と比較して、基質は一般的により親水性であり、恒久的な荷電部分を必要とせず、界面活性剤をほとんどまたは全く必要としない。これは単純化されたアッセイ手段となり、クロロホルムの使用のように、界面活性剤の使用は、重労働である液-液抽出および固相抽出を含む厄介な除去ステップを必要とし得るからである。
【0052】
質量分析での基質の特異性もまた、B2のアルキル基の炭素の長さおよび飽和度における変化によって付与され得る。B2の例示的な化学構造は、ゴーシェ病を検出するための炭素数4の脂肪アシル基、およびクラッベ病を検出するのに特異的な炭素数6の脂肪アシル基を含む。酵素に対する絶対的な特異性がB2によってではなく、しかしより適切にはAの同一性によって付与されることが認識される。B2の異なる鎖長および飽和度は、目的の酵素に対する基質を調整することに加え、多重アッセイフォーマットでの検出のための差別化要因として機能するために使用され得る。例えば、炭素数4の脂肪アシル基を含むB2を有する基質と炭素数6の脂肪アシル基を含むB2を有する第2の基質とを組み合わせた多重アッセイは、生成物が生じるものと生じないものとを検出および同定することを可能にするものである。例えば、基質のいくつかの実施形態を使用した場合、結果が反応生成物中の炭素数4の脂肪アシル基を示したら、このことは、物質中にβ-グルセレブロシダーゼが存在することを示す。基質のいくつかの実施形態を使用した場合、結果が炭素数6の脂肪アシル基を示したら、このことは、ガラクトセレブロシドβ-ガラクトシダーゼの存在を示す。
従って、異なるA基を有する基質と異なる生成物の組成物とを組み合わせることにより、サンプル中に存在する特定の酵素の迅速な同定が容易に達成される。
【0053】
基質は構造的にB3基によって終結する。B3は、異なる鎖長を付与するように構造的に調製され得る。そのような異なる鎖長は、酵素アッセイにおいて異なる基質およびそれらの酵素生成物を互いに区別するために有用である。例えば、質量分析において、炭素原子数12の鎖を含む基質は、炭素原子数14の鎖を含む基質と異なる質量対電荷比を有し、そのようにして炭素原子数12の鎖または炭素原子数14の鎖を含む基質が区別され得る。同様に、免疫測定フォーマットでは、異なる鎖長を有する基質は、特定の化学的な部分に対して選択的な抗体を用いて区別され得る。基質の組み合わせが多重または単一アッセイフォーマットで使用される場合、同様のことが基質の鎖長またはB3の他の構造のあらゆる差異について言えることが理解される。
【0054】
いくつかの実施形態において、基質は以下の構造を有する。
【化14】
【0055】
式中、Aは単糖類または二糖類であって、グリコシド結合を介して分子の残りの部分に結合し;R
1はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
20アルケニルであり;R
2はC
13-C
20アルキルまたはC
13-C
20アルケニルである。任意に、R
1はC
6アルキルまたはC
4アルキルであり、R
2はC
13アルキルである。任意にAはアルドヘキソースまたはケトヘキソースである。任意にAはD-グルコースまたはD-ガラクトースである。任意にAはD-グルコースまたはD-ガラクトースであり、R
1はC
4アルキル、C
5アルキルまたはC
6アルキルであり、R
2はC
13-C
20アルキルまたはC
13-C
20アルケニルである。任意に、AはD-グルコースまたはD-ガラクトースであり、R
1はC
4アルキル、C
5アルキルまたはC
6アルキルであり、R
2はC
13アルキルである。
【0056】
いくつかの実施形態において、基質は以下の構造を有する。
【化15】
式中、Aは単糖類または二糖類であり、B1は、C
1-C
20アルキレン;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン;および置換または非置換C
6-C
20アリーレン基であり;R
1'は置換もしくは非置換CまたはNであり;R
2'は置換または非置換C、置換もしくは非置換N、OまたはSであり;R
3'は置換もしくは非置換CまたはNであり;R
4'はなしであるか、置換もしくは非置換C
1-C
2、OまたはSであり;R
1は:C
1-C
6アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
7アルキル:N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルであり;R
5'はなしであるか、置換または非置換C
1-C
2;OまたはSであり;R
6'はC
1-C
20アルキル、ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル;C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル;
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子含有C
6-C
20複素環である。
【0057】
酵素活性の検出のための方法もまた提供される。特定の酵素の活性は、同種の基質に作用して酵素生成物を生じる能力または速度によって評価され得る。式I〜IIIの基質の場合、標的酵素の作用は2つの生成物、すなわちA(および/またはA-H。
図5に示すように、糖類が一般的に第1炭素の-OH基で脱離するため)ならびにH-O脂肪酸部分(B)(B部分もまた、
図5に示すように一般的に水酸化型で脱離するため)の産生をもたらす。サンプル中の酵素生成物の量を測定することにより、標的酵素の活性を測定し得る。酵素生成物の定量的評価が望まれる利用のために、以下に詳細に記載され、そして任意に標識された既知の量の、式I〜IIIの非A部分に対応する内部標準をサンプル中に含み得る。
【0058】
個人の血液中の特定のライソゾーム酵素の活性は、その個人がライソゾーム病であるか否かを試験するのに使用され得る。従って基質は、病状、特にゴーシェ病およびクラッベ病などのライソゾーム病を検出するために提供される。ゴーシェ病を検出のためには、例示的な糖部分はβ-D-グルコースであり、例示的な脂肪酸部分(例えば、B1(-B2)(-B3
))はC7アミド基に結合したメチレンのB1および長さが1〜20炭素のアルケニルを含有する置換基を含む。クラッベ病を検出するために、例示的な糖部分はβ-D-ガラクトースであり、そして例示的な脂肪酸部分はC
5アミドに結合したメチレンのB1および長さが1〜20
炭素のアルケニルを含有する置換基を含む。
【0059】
種々の酵素、特に病状もしくは先天性欠損症に関連する酵素または医療目的に有用な他の酵素をアッセイするために基質を調製し得る。そのような調製が可能であるのは、種々の単糖類および二糖類基が、一般式IのAに存在し得るためである。新規に同定された標的酵素に対してであっても、常法を用いて単糖類および/または二糖類基に対するその特異性が一度決定されれば、本明細書が提供する指針を用いて基質を容易に調製し得る。本明細書に記載される基質を使用してアッセイされ得る酵素の限定されない例示は、酸性β-グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシドα-ガラクトシダーゼ、および酸性スフィンゴミエリナーゼを含む。
【0060】
予測されるように、異なる糖類を有し、それぞれが特定のライソゾーム酵素に特異的でおよびサブグループB2またはB3にそれぞれ異なる鎖長を有する基質を合成することができる。このシステムは、構造的に類似するが酵素特異的な基質を使用して、同じサンプルまたはサンプル容器中の2以上のライソゾーム酵素を分析する、任意の多重アッセイを提供する。
【0061】
本発明は、サンプルまたはサンプル容器中の酵素生成物の量を評価するのに有用な実験用の対照または標準として機能する化合物を提供する。質量分析法で使用するために、特定の基質に対応する内部標準は、内部標準が質量対荷電(m/z)比で異なることを除いて、その酵素生成物(例えば脂肪酸部分)と構造的に同一である。従って、提供する内部標準は、酵素生成物の修飾型、例えば安定なアイソトープで標識された酵素生成物の類似体を含み、これは1以上の原子を対応する原子アイソトープで置換することで、対応する酵素生成物に異なる検出可能な質量の差異を生み出す。内部標準および酵素生成物を質量分析によって分析する場合、結果として得られるスペクトルは、それぞれがその独自のピークで表される内部標準および酵素生成物の空間的な分離を示す。内部標準の既知の量は、その既知のm/z比におけるピークの大きさを反映する。酵素生成物の量は、内部標準のピークの大きさに対して、その既知のm/z比でのピークの大きさを比較することによって評価され得る。内部標準を調製するためのアイソトープ標識の例示は、B2またはB3(または両方)のアシル基の
1Hを、
2H(つまり、重水素、D)と置換することである。結果として、置換した
2Hを有する「より重い」内部標準分子は、質量分析で検出される通り、酵素生成物とは異なるm/zである。特定の実施形態において、内部標準は重水素で標識され、対応する切断生成物から3〜9ダルトンの質量変化が起こる。
【0062】
いくつかの実施形態において、基質を検出可能なタグまたは重原子標識で標識する。検出可能なタグは、B2基、B3基、または両方との相互作用が見られ得る。多くの蛍光プローブが当技術分野において反応性アミンの標識に有用であることが認識されている。そのように、いくつかの実施形態は、必要に応じて標識または基質表面と相互作用するのに適切な求核基で終結するB2基またはB3基を含む。例示となる求核基は、窒素または酸素求核試薬を含む。生物分子の特定の標識に対して特に感度の高い標的は、末端アミン基である。基質の特定の実施形態は、この活性末端アミノ基を有するB2またはB3を含む。基質を標識するのに適切な検出可能なタグの例示は、イソチオシアネート、ダンシルおよび他のスルホニルクロリド、7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール誘導体、フルオレスカミン、およびその類似体などの蛍光色素分子を含む。
【0063】
基質は種々の物理的形態で使用することができ、例えば、溶液中および固形担体に結合または固定されている。固形担体は、ポリマー、レジン、金属またはガラス、およびそれらの組み合わせなどの天然物質または合成物質、有機物質または無機物質から成り得る。
適切な固形担体は、種々の物理的形態を有することができ、これは例えば膜;カラム;ビーズなどの中空、固形、半固形、細孔または空洞を含む粒子;ゲル;光ファイバー物質を含む繊維;マトリクスおよびサンプル容器を含み得る。サンプル容器の限定されない例示は、サンプルウエル、管、キャピラリー、バイアルおよびサンプルの保持が可能なあらゆる他のベッセル、グローブまたはインデンテーションを含む。サンプル容器は、マイクロプレート、スライド、マイクロ流体装置などの多試料プラットフォームを含み得る。多くの適切な粒子が当技術分野で知られており、そして例示として、Luminex(登録商標)タイプのコード化粒子、コード化光ファイバー粒子、磁気粒子、およびガラス粒子を含む。基質および/またはその酵素切断生成物の固形担体との共有結合性相互作用は、いくつかのアッセイフォーマットで実施される洗浄工程中に基質および/または生成物を保持し、従って、酵素活性の強くかつ正確なシグナルを生じるのに有用である。
【0064】
アッセイフォーマットに固形担体の使用が望ましい場合、例示的なアミン末端のB2またはB3基の存在が、例えば、高結合固形担体への共有結合のために用いられ得る。高結合固形担体は、化学的に活性な、そうでなければ基質もしくは内部標準に共有結合または高親和性結合が可能な露出部分を有する表面である。例示として、Corning Life Sciencesは、ベンゼン環を破壊して露出したカルボン酸を生じるように照射した高結合マイクロウエルプレートを製造する。これらのカルボン酸は1つの実施形態の基質のリジン誘導体成分の末端アミノ基などによる求核攻撃の影響を受けやすい。この反応は迅速であり、かつ基質/生成物と高結合表面との間の密接な相互作用を生じる。
【0065】
本明細書に記載する方法および提供する組成物は、複数のサンプルを同時にアッセイするような多重フォーマットで実施され得る。例示となる多重フォーマットは、物理的および/または化学的コード化粒子を使用することを含む。多重フォーマットでコード化粒子を使用することは、例えば、米国特許第6,649,414号および米国特許第6,939,720号に記載されている。コードが粒子を互いに識別できるようにするため、複数の異なる粒子を単一の反応混合物中に存在させることができ、複数の異なるサンプルまたは異なる酵素を同時にアッセイすることができる。粒子上のコードは、例えば、使用者の実験目的によって、サンプル源、アッセイする特定の酵素、存在する特定の基質などに対応し得る。
【0066】
提供する方法に有用なサンプルは、1以上の標的酵素を含むかまたは含むことが疑われる。標的酵素は、個人からならびに細胞株および合成タンパク質源などの研究室の材料から得られるサンプル中に含まれ得る。例示的なサンプル源は、実例として、組織のホモジネート;細胞培養溶解物;および尿、液体または乾燥形態の血液、涙、唾液および脳脊髄液を含む体液を含む。必要に応じて、サンプルを特定の細胞の種類を含む画分にさらに分画化し得る。例えば、血液サンプルを血清または赤血球もしくは白血球(white blood cells,白血球(leukocytes))などの特定の血液細胞の種類を含む画分に分画化し得る。必要に応じて、サンプルは組織および液体サンプルなどの組み合わせなどの被験者由来のサンプルの組み合わせであり得る。特定の実施形態において、サンプルは血液であり、これは例えば全血もしくはその血液画分であるかまたは乾燥血液サンプルから再構成され得る。
【0067】
サンプル中の分子の活性または完全性が保持されているサンプルを得る方法は、当業者によく知られる。そのような方法は、適切な緩衝液および/またはヌクレアーゼ、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤を含む阻害剤の使用を含み、これらはサンプル中の分子の変化を保持または最小限化する。そのような阻害剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(P-アミノエチルエーテル)N,N,N1,N1-四酢酸(EGTA)などのキレート剤、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、アプロチニン、ロイペプチン、アンチパインなどのプロテアーゼ阻害剤およびリン酸、フッ化ナトリウム、バナジウム酸塩などのホスファターゼ阻害剤を含む。分子を単離するための適切な緩衝液および条件は当業者によく知られており、そして例えば、特性を明らかにするサンプル中の分子の種類によって変化し得る(例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 47)、John Wiley & Sons、New York(1999);HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988);HarlowおよびLane、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(1999);Tietz Textbook of Clinical Chemistry、第3版 Burtis およびAshwood編集 W.B.Saunders、Philadelphia(1999)を参照)。サンプルはまた、干渉物質の存在を除去または最小限化するために処理され得る。
【0068】
乾燥血液スポットの形態のサンプルは、一般的に新生児および小児患者由来の血液をスクリーニングする場合に使用する。これらのサンプルを調製するために、血液を採取し、濾紙上に保持する。分析のために、乾燥血液を濾紙から一般的にリン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液およびプロテアーゼ阻害剤などを含む水溶液中に溶出させる。プロテアーゼ阻害剤の条件の特定の例示は、例えば、1以上の以下のもの、すなわち、最終濃度が50〜400μg/mlのAEBSF塩酸塩、最終濃度が0.2〜25 mg/mlのEDTA二水素二ナトリウム塩、最終濃度が0.5〜1 μg/mlのロイペプチンヘミ硫酸塩、および最終濃度が0.5〜1 μg/mlのペプスタチンAを含む。当技術分野で一般的に使用されることが知られているプロテアーゼ阻害剤の混合物を使用し得る。単一の血液サンプルまたは他の種類のサンプルを抽出し、その後の多重アッセイ反応に分配するアッセイ溶液の使用は、自動および高処理スクリーニングに使用され得る。乾燥サンプルの単一的な抽出は、同じサンプル由来のいくつかのサンプルパンチを得ることまたは他のサンプル源の分液を収集することの必要性を回避し、従って濾紙上の血液の不均一な分配およびサンプルの転写における誤差によって生じる変化を低減する。乾燥サンプルを使用する場合、抽出効率は分析される酵素の違いで変化し得る。これらおよび他の種類のサンプルにおいて、標的酵素は異なるアッセイ溶液中に含まれる場合、異なる活性レベルを有し得る。共通のアッセイ溶液の成分は、試験されるそれぞれの酵素が作用するように任意に選択される。
【0069】
いくつかの実施形態において、乾燥血液スポットまたはそれ由来のパンチを、1以上の基質および任意に内部標準を含むアッセイ緩衝液中に直接配置するか、または/ならびに1以上の検出法によって検出する前に、サンプル中に存在する酵素が基質を生成物に変換させるのに十分な時間インキュベーションすることが可能である。
【0070】
提供の基質および生成物を、種々のアッセイフォーマットで使用し得る。酵素アッセイ中の基質消費を観察するのが望ましい場合にアッセイで基質を検出し得る一方、酵素アッセイ中のその形成を観察するのが望ましい場合にアッセイで生成物を検出し得る。例えば生成した生成物の量が消費された基質の量と関連があることを確かめるために、基質および生成物の両方を、両方の視点から酵素反応を観察することが望ましい場合に検出し得る。
【0071】
例えば、基質または生成物の量を、確立されたタンデム質量分析法を用いて検出し得る。質量分析を利用する例示的な酵素アッセイを、以下の通り実施し得る。サンプルを、酵素生成物が生じ得る時間、基質と共にインキュベーションする。インキュベーション時間中、基質は血液サンプル中に存在する標的酵素によって切断されて、それぞれの生成物を生じる。次にタンパク質成分を沈殿させる試薬を添加することにより、反応を停止させる。例示的な試薬は、アルコール、アセトニトリルおよび希トリフルオロ酢酸を含む。次にインキュベーション混合物の一部を新しいアッセイ容器に移す。任意に、メタノール、アセトニトリル、水-メタノール混合液、または水-アセトニトリルなどの希釈試薬を、移動分を希釈するために添加し得る。そのように希釈したサンプルを、タンデム質量分析の感度を相対的に増加させるために、内在性の競合物質の量を低減させる。他の種類の試薬は、多種の質量分析による分析と適合するように、当業者によって選択される。
【0072】
いくつかの実施形態において、希釈したサンプルを、タンデム質量分析器に、手動またはオートサンプラーおよびリキッドハンドラーを用いて自動的に直接注入する。必要に応じて、サンプルを分析の前に誘導体化し得る。試薬をMS/MSシステムに不適合とならないように選択する。例えば、適切な溶媒は、界面活性剤およびクロロホルムなどの腐食性薬剤を欠く。純エタノールおよび純メタノールは、単に機械的乾燥プロセスで容易に蒸発するという理由で、頻繁に使用される。
【0073】
タンデム質量分析器を、添加した基質、対応する生じた酵素生成物および対応する内部標準を同時に検出するように設定し得る。そのような検出を、親イオンスキャン、プリカーサイオンスキャン、または多重反応モニタリングスキャンの手段により達成する。
【0074】
酵素アッセイ中に消費される基質の量または生じる生成物の量もまた、抗体および他の標的特異的結合分子を用いて検出し得る。免疫測定法には、基質、生成物またはその両方を検出するために抗体を使用し得る。そのような方法に有用な抗体は、それらが個々の基質を認識するように特異的であるか、またはそれらが多くのもしくはすべての基質を認識する非特異的なものであり得る。基質または生成物は、任意に特異的な検出を可能にするビオチンまたはアビジンなどの標識を含む。
【0075】
例示として、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ロバ、または抗体の製造に使用される他の適切な動物を含む動物で抗体を製造する。いくつかの適用において、抗体を蛍光タグなどの検出可能なタグで標識することが有用である。非標識化抗体を用いる場合、例示としてローダミンなどの蛍光マーカーで標識された1次抗体のIgG種に特異的な2次抗体を用いて検出を実施し得る。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識化抗体またはアルカリホスファターゼ標識化抗体などの他の抗体検出システムが、本発明で同様に使用可能であることが当技術分野において理解される。
【0076】
複数の酵素特異的な基質を提供することによって単一サンプル中の複数の酵素を試験する場合、基質またはその生成物を認識および識別する抗体が使用され得る。酵素特異的な基質またはその生成物に結合した抗体の複合体を、多くの方法を用いて互いに識別し得る。1つのシナリオにおいて、標的酵素を含むサンプルをアッセイ溶液中で粒子に結合した基質と接触させる。この例示において、それぞれの粒子は特定の基質と結合しており、そしてそれぞれの基質を示す複数の粒子が存在する。標的酵素は基質に作用して、生成物(A)および分子の脂肪酸含有部分(B)を生じる。生成物は粒子に結合して残留する一方、A生成物は溶液中に放出される。次に特定の生成物を認識する抗体をアッセイ溶液に接触させる。酵素アッセイ中に生成物が生じる場合、抗体が生成物に結合して、結合した抗体を有する粒子が生じる。粒子に含まれる異なる生成物を識別するために、異なる生成物の特異性を有する抗体は、異なる蛍光タグなどの異なる標識部分を有し得る。酵素生成物を検出する別の方法として、酵素とインキュベーションした後にビーズに残留している基質を検出するために、基質を認識する抗体が使用され得る。この状況において、酵素反応が起こった場合、いずれの生成物もビーズに付着したまま残留するだろう。いずれの場合においても、選択した基質に特異的な抗体は、ビーズに付着した生成物と有意な交差反応をしないだろう。
【0077】
別のシナリオにおいて、標的酵素を含むサンプルを、アッセイ溶液中でコード化粒子と結合した基質と接触させる。コード化粒子は、互いに識別することを可能にするバーコードまたは光学的特性などの特徴を有する。例えば、コード化粒子は異なる標的酵素の基質に対応する異なるバーコードを有し得る。そのアッセイにおいて、標的酵素は基質に作用して生成物を生じる。脂肪酸生成物は粒子に結合して残留する一方でA生成物は溶液中に放出され、または逆もまた同じである。次に特定の生成物を認識する抗体をアッセイ溶液と接触させる。粒子のコード化は、どの基質が粒子に付着しているかを示すため、抗体は特定の生成物に特異的である必要はなく、従って1つの種類の抗体を、複数の異なる基質由来の生成物を検出するために使用し得る。酵素アッセイ中に生成物が生じる場合、そのような非特異的抗体は生成物に結合して、結合した抗体を有する粒子を生じる。次に、結合した抗体を有する粒子を、例えば抗体のタグまたは粒子の物理的な性質を検出することによって、抗体のないものと識別する。抗体が結合した粒子に含まれる異なる生成物をそれぞれの粒子のコード化に基づいて決定し得る。
【0078】
免疫測定法フォーマットの別の例示として、特定の基質を対象とする抗体を調製する。酵素反応の停止の後、反応溶液を反応性B
2部分が(例えば)末端アミノ基を介してプレートに共有結合的に付着した高結合マイクロタイタープレートに移す。酵素およびアッセイ溶液成分を洗浄により除去する。次に、特定の1次抗体をそれぞれのアッセイウエルでインキュベーションした後、非結合抗体を除去するために次の洗浄を行う。検出および定量のために、任意に2次抗体を使用する。初めの反応の単位時間当たりに生じる生成物が多いほど、測定する酵素の活性は高い。
【0079】
別の免疫測定法フォーマットにおいて、脂肪酸サブグループに特異的な抗体を、標準的なサンドイッチELISAアッセイのマイクロタイタープレートの表面の捕捉抗体として、任意に使用する。脂肪酸部分を対象とするような生成物上に特有のエピトープを有する1次抗体(または脂肪酸部分がビオチンなどの特異的結合対メンバーで修飾されている)が、検出に使用される。当技術分野で認識されるように、標識化2次抗体は任意に前述のように検出に使用される。
【0080】
さらなる免疫測定法フォーマットにおいて、例示的な抗体はB1部分に結合したα-D-グルコースA基と反応する。基質を、脂肪酸部分のアミノ末端を用いて固形担体に付着し得る。あるいは、基質は溶液中に提供され、反応物はサンプル容器に移され、ここで、例示的な酵素反応を停止させた後、反応液を反応性脂肪酸部分が末端アミノ基を介して容器に共有結合的に付着した高結合マイクロタイタープレートに移す。別の代案として、生成物/基質の別のエピトープに特異的な捕捉抗体を使用する。未反応酵素および緩衝液成分を、洗浄により除去する。次に、残留した基質の検出および定量のために、A-B1部分に特異的な抗体をそれぞれのアッセイウエル内でインキュベーションする。初めの酵素反応後に残留する基質が多いほど、酵素の活性は低い。
【0081】
抗体は、例示として、標識されておらず、そしてマウス、ラット、ウサギ、ウマ、ロバまたは抗体の製造に使用される他の適切な動物を含む動物で製造される。1次抗体の種のIgGに特異的な2次抗体を、例示として、ローダミンなどの蛍光マーカーで標識し、続いて残留した基質の検出に使用する。西洋ワサビペルオキシダーゼ標識化抗体またはアルカリホスファターゼ標識化抗体などの他の抗体検出システムが、本発明で同様に使用可能であることが当技術分野において理解される。
【0082】
適切な免疫測定法フォーマットの別の例示は、例示的なB1部分および/または脂肪酸部分の一部に結合したα-D-グルコースA基に特異的なモノクローナルマウス抗体それ自身が例示として、蛍光マーカーで標識されている。このシステムでは、複数のライソゾーム酵素を、任意に同時に種々の特異的基質に対する活性について分析する。例示は、2酵素システムを含み、ここで2つの基質を使用し、1つはGALCに対して特異的であり、もう一方はABGに対して特異的である。それぞれの基質を生体サンプルと共に反応に同時に添加する。それぞれの基質が任意に脂肪酸基のアミン末端を含むので、両方とも高結合マイクロタイタープレートに同様に結合するだろう。そのそれぞれの基質にそれぞれ特異的な2つの抗体を、マイクロタイタープレートに添加し、その後前記の通り洗浄する。それぞれの抗体は例示として、ローダミンまたはシアニンなどの異なる蛍光色素分子で標識される。そのように、それぞれの抗体の結合を他からの干渉なしに検出および定量し、それぞれの酵素の量を他からの干渉なしに検出および定量し、それぞれの酵素活性の量は同じサンプルからマイクロタイタープレートの同じウエルにおいて検出可能である。
【0083】
いくつかの実施形態において、標的酵素のアッセイは、例示として、血清、血漿、全血、尿、唾液、他の体液または組織溶解物、液体中の組換え酵素または天然の精製酵素、あるいは体液もしくは液体培地中の化学的または機能的に修飾した酵素を含むサンプルをまず得ることから実施される。次に、濾紙サンプルの一部を切除し、そしてアッセイ溶液が添加された非結合アッセイ管またはマイクロタイタープレートウエルに入れる。アッセイ溶液は水溶性緩衝液、基質、標準およびプロテアーゼ阻害剤を含む。次に、サンプル混合液を30分〜20時間の範囲の決められた時間、30〜41℃の範囲の特定の温度でインキュベーションする。インキュベーションが完了した時点で、酵素反応を停止溶液の添加によって停止する。停止溶液は、例示として、0.4 M グリシン/NaOH pH 10.4を6倍の反応容積で添加する。Leonard Rら, J. Biol. Chem., 2006;281:4867-75;Boot, RGら, J. Biol. Chem., 2006; 282:1305-12。生成物の形成量は、既知の体積のサンプルを高結合アッセイ管またはマイクロタイタープレートに移し、そして5分間〜2時間インキュベーションすることによって測定される。非結合物質を、洗浄により除去する。未変化の基質または生成物の検出を、例示として、共役ペルオキシダーゼ酵素アプローチを用いて実施する。
【0084】
さらなるシナリオにおいて、放出されるグルコースまたはガラクトース生成物のレベルは、リアルタイムで共役酵素アプローチによって測定される。非限定的な例示は、ゴーシェ病の診断において、β-グルコセレブロシダーゼに特異的な基質からのグルコースの放出を含む。このアッセイ法において、グルコースは、グルコラクトンを生成して過酸化水素を放出するグルコースオキシダーゼと反応する。放出された過酸化水素を、標準的な蛍光光度計で測定される蛍光分子を生じるペルオキシダーゼとの反応によって検出する。適切なペルオキシダーゼの例示は、西洋ワサビペルオキシダーゼまたは当技術分野に知られるあらゆる他のペルオキシダーゼである。グルコースオキシダーゼによって放出される過酸化水素は、検出基質分子と相互作用する。ペルオキシダーゼは、この基質の蛍光生成物への変換を触媒する。基質と使用するのに適した検出分子はAmplex Redを含み、これは酸化して蛍光生成物レゾルフィンを生じる。Amplex Redおよび遊離のグルコースを検出するキットは、Invitrogen Corpから入手可能である。赤色蛍光生成物の増加は、励起波長571および発光波長585にセットし、通過帯域を5 nmにセットした蛍光光度計で検出する。グリコシダーゼ活性の量が多いほど、より早く赤色蛍光生成物が生じる。
【0085】
いくつかの実施形態において、異なるライソゾーム酵素に対する複数の基質は、固有の脂肪酸構造で製造される。このことは、1つの酵素の生成物阻害を防ぎ、これは1つの基質に対する1つの酵素の触媒活性が、他の酵素のその対象とする基質に対する触媒活性よりかなり大きくなるべきことが特に重要である。このことは、単一変異体のグリコシダーゼを6以上のライソゾーム酵素に対する基質のパネルで選別する条件においてさらに重要である。他のライソゾーム酵素によって生じる生成物は、活性が正確に測定されないような低活性の酵素の機能を阻害し得る。従って、それぞれの酵素に対する基質の特異性および生成物は、任意に異なることが理解される。
【0086】
それぞれの酵素を対象とする複数の基質を組み合わせることによって、1以上の酵素を同時に検出する場合、基質は酵素の特異性を付与する糖部分の種類だけではなく、脂肪酸部分のあらゆる成分の長さにおいても異なり得る。このことは、対応する異なる質量指数を有する異なる基質分子が、調べられる種々の酵素に対応するため、検出方法としてMS/MSを使用する上で特に重要である。
【0087】
記載する基質および標準化合物を用いた酵素のアッセイについて記載するアプローチは、医学的障害の診断の確認に役立つ複数のアッセイの必要性を取り除き、単一の反応で多数の酵素を同時にアッセイすることにまで発展し得る。本方法はまた、特定の生化学的経路を介した化学的フラックスの速度を評価する場合にまたは生化学的シグナル経路を観察するために、いくつかの酵素を同時に測定するのにも用いられ得る。本明細書に記載の化合物を用いて使用可能な高感度の質量分析法の検出のため、これはアッセイ毎に僅かサブマイクログラム量の基質試薬しか必要とせず、低いグラムスケールでの数百の基質試薬の合成が、実質的かつ経済的となる。
【0088】
種々の実施形態において、2、3、4、5、6またはそれ以上のライソゾーム酵素は、提供される基質を使用することにより、活性について同時に測定される。
【0089】
提供される基質を使用する別の例示的形態として、基質は、同じ蛍光色素分子で標識され得るが、しかし他と異なる顕著な質量または荷電特性を有する。酵素の切断反応後に生じる生成物の量は、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で検出する。反応はアルコール、アセトニトリル、または希トリフルオロ酢酸の添加により停止する。インキュベーション混合物の一部を新しいアッセイ容器に移し、そこにメタノール、アセトニトリル、水-メタノール混合液、または水-アセトニトリルなどの純粋な溶液を添加する。反応生成物と未反応の基質とを5μm粒径サイズC
18 HPLCカラムで分離し、そして蛍光光度計または一連の検出器で検出する。生成物の量を、関連生成物の増加量を用いて作成した標準曲線に基づいて算出する。
【0090】
複数の酵素に対する複数の基質を、任意にクロマトグラフィー法によって同時に検出することが、当技術分野において理解される。十分に異なる質量または保持特性を有する基質を使用すれば、それぞれの生成物は、例えば、HPLCカラムで分離可能であり、単回アッセイで定量し得る。あるいはまた、それぞれの基質を、異なるもしくは同じ励起または発光特性を有する異なる蛍光色素分子で標識する。検出を蛍光光度計群により実施可能であり、個々の生成物を互いにおよびそれらの対応する標識化基質を同時に定量し得る。他の検出方法は、同様に適切であり、そして当技術分野において知られる。
【0091】
図2は、ライソゾーム病を検出するための例示的な基質の構造を表す。本構造は、グルコースまたはガラクトースの形態の糖(A)(ここでガラクトースが示される)、および脂肪族基Bから成る。基Bは、リンカーアーム(B
1)をメチレンの形で、C
5-アミノのB
2サブグループならびに10〜30の範囲の炭素長およびOを含む置換基を有するアルケニルの形のB
3サブグループを含む。
図2の構造は、その1つの例示的な実施形態として式IIIに関連して記載もされ得ることが理解される。
【0092】
図3は、ライソゾーム病を検出するための例示的な基質の構造を表す。本構造は、グルコースまたはガラクトースの形の糖(A)(ここでガラクトースが示される)、および脂肪族基Bから成る。基Bは、リンカーアーム(B
1)をメチレンの形で、C
7-アミノのB
2サブグループならびに10〜30の範囲の炭素長およびOを含む置換基を有するアルケニルの形のB
3サブグループを含む。
図3の構造は、その1つの例示的な実施形態として式IIIに関連して記載もされ得ることが理解される。
【0093】
図5は、例示的な基質を用いた一般的な酵素反応を示す。特異的な親和結合および酵素反応により、基質は、糖部分Aおよび脂肪族基Bの2つの基に切断される。基Bは任意にアミドおよび長鎖アルキルまたはアルケニル部分から成る。次に両方の基を任意にMS/MSにより分析する。内部標準もまた同時にMS/MS分析の対象となる。内部標準は任意に、メチル基または分子の他の部分の水素原子を置換した重水素を有する、Bのアイソトープ標識化類似体である。
【0094】
以下の式を有する酵素の活性を検出するための内部標準または対照としての有用性を有する化合物も提供する。
【化16】
【0095】
式中B1は、C
1-C
20アルキレン;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキレン、C
2-C
20アルケニレン;ヘテロ原子含有C
2-C
20アルケニレン、置換または非置換C
6-C
20アリーレンであり;B2は、C
2-C
7ウレタン;C
2-C
7アミド、C
2-C
7エステル、C
2-C
7ウレイド、C
2-C
7カルバマート、C
2-C
7カルボニル;C
1-C
7アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
7アルキル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
7アルキル;C
2-C
7アルケニル;ヘテロ原子含有C
2-C
7アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
7アルケニルであり;B3は:C
1-C
20アルキル;ヘテロ原子含有C
1-C
20アルキル、N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル、C
4-C
20エーテル;C
1-C
20エステル、
C2-C
20アルケニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルケニル;
C2-C
20アルキニル;ヘテロ原子含有
C2-C
20アルキニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
2-C
20アルキニル;C
6-C
20アリール;およびN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含有するC
6-C
20複素環である。N、OまたはSを含む置換基は、別々に任意にヒドロキシル、アミノ、チオール、エーテル、チオエーテルまたは第2級アミンである。
【0096】
いくつかの実施形態において、構造B1-B2-B3は以下の構造を有する。
【化17】
【0097】
式中、R
1はC
1-C
6アルキルまたはC
2-C
20アルケニルであり;式中R
2はC
1-C
20アルキル;
C2-C
20アルケニル;N、OまたはSを含む置換基を有するC
1-C
20アルキル、
C2-C
20アルケニルまたはN、OまたはSを含む置換基を有する
C2-C
20アルケニルであり;およびR
2は式IIに定義される通りである。任意に、R
1はC
6アルキルまたはC
4アルキルであり、R
2はC
13アルキルである。任意に、R
1はC
4アルキル、C
5アルキルまたはC
6アルキルであり、R
2はC
13-C
20アルキルまたはC
13-C
20アルケニルである。任意に、R
1はC
4アルキルまたはC
6アルキルであり、R
2はC
13アルキルである。式Vの組成物は任意に、1以上の安定な2番目に多い同位体を含み、これらは任意に
2H、
13C、
15N、
17O、
18O、
31P、
34S、またはそれらの組み合わせである。
【0098】
本発明の内部標準の特定の説明の実施形態は以下を含むが、これに限定されない。
【化18】
【0099】
式中xは2〜4の間の値であり;R
2はC
1-C
20アルキル、
C2-C
20アルケニルもしくは
C2-C
20アルキニルであり、これらのいずれもがN、OもしくはSで置換されてもよく、またはN、OもしくはSを含む置換基を含んでもよい。任意に、xは2または4でありおよびR
2はC
13アルキルである。いくつかの実施形態において、重同位体が任意に、アミノ基のα-炭素上、脂肪族基を含むヒドロキシルのあらゆる位置またはそれらのあらゆる組み合わせ上に存在することがさらに理解される。
【0100】
式VまたはVIの化合物がまた、拮抗物質、分析対照として、あるいは、甲状腺機能低下症、糖尿病、およびHIVなどの疾患の臨床治療としても機能することがさらに理解される。
【0101】
別の実施形態において、式I〜IIIの基質は任意にAとB1との間の非加水分解性結合で合成される。これは、それらの標的のライソゾーム酵素に対する高い特異性を維持する自殺基質を生じる。これらの分子は、より特異的かつ有効な酵素機能の阻害剤として機能する。
【0102】
基質、酵素生成物、および内部標準を含むすべての試薬は、任意に逆相HPLCによって精製され、そしてオンラインHPLC-MSアッセイまたは適切な画分の収集によるオフラインのどちらかのESI-MSによって特徴付けられる。
【0103】
本発明の種々の態様は、以下の非限定的な実施例によって説明される。実施例は説明目的のためであり、および本発明のあらゆる実施を制限するものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変化および修飾がなされ得ることが理解されるだろう。本明細書に説明される試薬は、市販のものを入手可能であり、またはよく知られる方法によって、容易に入手可能な市販の前駆物質から容易に合成され、そして当業者はそのような試薬が得られ得ることを容易に理解する。
【実施例】
【0104】
実施例1:基質の調製
【0105】
化合物1の調製を、実質的に
下記スキーム1に示すように達成する。
【化19】
簡潔に説明すると、α-D-グルコース修飾化スフィンゴシン(A)(D-グルコシル-β1-1'-D-エリスロスフィンゴシン、Avanti Polar Lipids、Alabaster、AL)を、1 mLの乾燥DMF(Aldrich)に溶解する。1.5等量のペンタノイル-NHSエステル(B)を添加した(DMF中の50 mg/mL保存液より、-20℃保存)。反応はTLCによる測定で2分以内に完了する。反応生成物を、加熱せずにSpeed-Vacで一晩遠心分離した。残渣を1〜1.4 mL のDNF中に採取し、そしてHPLCカラムに6〜7画分で注入した(6 mL/分で流れるVydac C18カラム(218TP1022、22×250 mm))。水中の25%メタノールの溶媒Aおよびアセトニトリル中の20%メタノールの溶媒Bを使用し、35〜100%Bの勾配で、30分以上カラムを流し、次に100%Bで30分間維持した。生成物を、213 nmのUVにより検出する。生成物画分はすべてのHPLCランから収集し、そして溶媒を遠心濃縮器(Speed-Vac、真空オイルポンプ、室温)で除去して、定量的収率に近い化合物1の目的の生成物を得た。
【化20】
(化合物1)
【0106】
得られる化合物1を、固有性を確認するためにNMRによって分析する。結果を
図1Aに示す。得られる化合物の実際の分子量は、545.3948である。前記の方法は、ペンタノイルNHSエステルをそれらのアルキル鎖長を変化させたもので置換することによって他の化合物を合成するのに同様に使用される。
式IIに従って合成されるさらなる化合物を、表1に表す。
[表1]
表1
【0107】
それぞれ表1に記載のようにそれぞれのR
2アルキル鎖長を有する10のグループに列挙される化合物11〜80を合成するために、R
2のアルキル鎖長を14〜20炭素に変化させて、前記のプロセスを繰り返す。このように調製された化合物の固有性および構造の確認は、NMR分析で行った。
【0108】
1つのさらなる実施例として、化合物
9を実質的に
下記スキームIIに示すように合成した。
【化21】
簡潔に説明すると、100 mgのガラクトシルスフィンゴシン(Avanti Polar Lipids社、Alabaster、AL)を、3.3 mL THF+0.56 mL水に溶解させた。この溶液に、1.5等量のヘプタノイルNHSエステルを添加した。この混合液のpHを、ジイソプロピルエチルアミンで8.5〜9.0に調整した(水で湿潤させたpH紙上にスポットして)。反応は、TLCによる測定で2時間以内にほぼ完了する。反応を強制的に完了させるために、さらに0.75等量のヘプタノイルNHSエステルを添加し、前記のようにpHを調整し、そして混合液を合計3〜4時間室温で攪拌した。反応生成物を、加熱せずに一晩Speed-Vacで遠心分離を行った。乾燥残渣を1.4 mLのDMFに溶解し、そして0.2 mL分を前記の通りHPLCカラムに注入した。生成物画分をすべてのHPLCランから収集し、そして溶媒を遠心濃縮器(Speed-Vac、真空オイルポンプ、室温)で除去して、収率81%の目的の生成物を得た。化合物合成は、
図1Bに説明する通り、NMRによって確認する。
【0109】
実施例2:内部標準の調製
【0110】
内部標準は、実施例1のものと同様の方法により作製されるが、実質的にスキームIIIに示すように、糖部分に結合していないスフィンゴシンで開始する。
【化22】
簡潔に説明すると、市販のスフィンゴシン(Avanti Polar Lipids、Alabaster、AL)および適切な脂肪酸のNHSエステルを実施例1のように反応させる。使用する例示NHSエステルは:ペンタノイルNHSエステル、ヘプタノイルNHSエステル、ペンタノイルNHSエステル(それぞれにHからDへの置換を有するまたは有しない)である。内部標準は前記の通りHPLCによって精製し、20〜90%の収率で得られる。
【化23】
化合物81
【0111】
得られる例示的な化合物81を、分子量424を生じる合成を確認するためにNMRにより分析する。スキームIIの方法は、HからDへの置換をスフィンゴシンまたはNHSエステル前駆物質のどちらかに含む他の標識化内部標準の合成に、同様に使用される。式Vに従って合成されるさらなる例示的な化合物を表2に示す。
[表2]
表2
*は、NHS脂肪酸がHからDへの置換を含むことを示す。
**は、スフィンゴシンが末端のHからDへの置換を含むことを示す。
【0112】
実施例3:サンプル中の酵素活性の検出
化合物1および
9の基質を、それぞれ酸性β-グルコセレブロシダーゼ(ABG)およびガラクトセレブロシド-β-ガラクトシダーゼ(GALC)の存在を検出するのに使用する。血液を、同意した成人から静脈穿刺により得て、そして濾紙上にブロットする。それぞれのサンプルについて、3 mm径のディスクを乾燥血液の部分からパンチし、96穴マイクロタイタープレートのウエルに入れる。次に、血液ディスクを最終濃度500 μmol/Lの基質および10 μmol/Lの対応する内部標準を含むアッセイ溶液で直接インキュベーションする。アッセイ溶液に、最終濃度0.5 mol/Lの酢酸ナトリウム緩衝液をタウロコール酸と共に添加する。血液ディスクを含むアッセイ混合液を、15〜24時間、セ氏37℃で、恒温エア振とう機で軌道振とう(150 rpm)しながらインキュベーションする。インキュベーション時間の後、一定の分液の純メタノールをそれぞれの管またはウエルに添加して、酵素反応を停止させる。質量分析器に入れる前に、インキュベーション反応混合液を純メタノールで希釈する。質量分析のために、エレクトロスプレー源をポジティブモードに操作し、そしてイオンを親イオンスキャンモードで検出する。酵素生成物の量は、ブランクを差し引いた内部標準に対する生成物のイオン存在比から算出する。
【0113】
図6は、これまでに使用された基質と比較して、ABGの基質として化合物1を使用することにより予想外に向上した結果を示しており、化合物1では、C
5アミドからC
12アミドに置換した同様の化合物よりも、生成物の検出が2倍向上したことを示す。GALCに
ついて陽性のサンプルは、分子量264.27の陽イオンを示す。対応する内部標準
(IS(internal standard))は、分子量271.31の陽イオンを生じる。
【0114】
実施例4:サンプル中の複数の酵素活性の同時検出
【0115】
化合物1および7の基質を、それぞれ酸性β-グルコセレブロシダーゼ(ABG)およびガラクトセレブロシド-β-ガラクトシダーゼ(GALC)の存在を検出するために同時に使用する。血液を、同意した成人から静脈穿刺により得て、そして濾紙上にブロットする。それぞれのサンプルについて、3 mm径のディスクを乾燥血液の部分からパンチし、96穴マイクロタイタープレートのウエルに入れる。次に、血液ディスクを最終濃度100μmol/Lの基質および最終濃度1μmol/Lの対応する内部標準を含むアッセイ溶液で直接インキュベーションする。アッセイ溶液に、最終濃度0.5 mol/Lの酢酸ナトリウム緩衝液をタウロコール酸と共に添加する(最終アッセイ容量30μl)。血液ディスクを含むアッセイ混合液を、15〜24時間、セ氏37°で、恒温エア振とう機内で軌道振とう(150 rpm)しながらインキュベーションする。インキュベーション時間の後、100 μl分液の50:50メタノール/酢酸エチルをそれぞれの管またはウエルに添加して、酵素反応を停止させる。次に反応物に400 μlのHPLC等級の酢酸エチルおよび200 μlの水を補充する。反応物を遠心分離し、そして残った液体の上層を新しいアッセイプレートに移し、そして窒素存在下で蒸発させる。0.1%ギ酸を含む83%アセトニトリル/17%水の分析緩衝液をMS/MSによって分析する対象となるアッセイプレートおよびサンプルに添加して、酵素生成物および内部標準を検出する。質量分析のために、エレクトロスプレー源をポジティブモードに操作し、そしてイオンを親イオンスキャンモードで検出する。酵素生成物の量は、ブランクを差し引いた内部標準に対する生成物のイオン存在比から算出する。ABGおよびGALCの両方の検出が達成される。
【0116】
実施例5:
別の実施形態において、式Iの基質での反応の生成物を免疫測定法によって定量する。濾紙上にスポットした血液を緩衝液中に戻し、活性成分を遊離させる。1つまたは一連の基質を反応容器に添加し、そして反応を一晩(〜14時間)進行させる。反応を、6倍容量のグリシン/NaOH pH 10.4を添加して停止させる。それぞれの反応のサンプルを高結合照射マイクロタイタープレートのウエルに添加し、そして反応生成物がプレートのウエルに十分に結合させるように一晩インキュベーションする。類似の緩衝液/サンプル中の生成物の標準曲線もまた、定量の基準として役立てるためにプレートに添加する。プレートの表面への結合が完了した後、ウエルをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、噴出ボトル、プレート洗浄機またはあらゆる他の自動もしくは非自動プレート洗浄システムを使用して2回洗浄する。続いて、タンパク質結合のためのすべてのさらなる部分を、例示として、PBS中の3%ウシ血清アルブミンまたは当技術分野で知られるあらゆる他の合成もしくは天然のブロッキング剤を含むブロッキング剤の添加によりブロックする。ブロッキング剤を、2時間室温でインキュベーションする。ウエルを3回PBSで洗浄する。次に、1次抗体をウエルに添加して、残った基質または生成物を認識および結合させる。抗体を、ウエル内で少なくとも2時間インキュベーションする。プレートを4回洗浄して、非結合抗体を除去する。1次抗体が標識されている場合、プレートを検出に使用する。任意に、標識化2次抗体をプレートウエル内に入れ、そしてさらに2時間インキュベーションした後、4回洗浄し、そして蛍光または光学式プレートリーダーなどによる適切な方法によって検出してもよい。
【0117】
実施例6:
別の実施形態において、式IIIの基質による反応の生成物を免疫測定法によって定量する。濾紙上にスポットした血液を緩衝液中に戻し、活性成分を遊離させる。コード化粒子に固定された1つまたは一連の基質を反応容器、好ましくはマイクロプレートウエルに添加し、そして反応を一晩(〜14時間)進行させる。類似の緩衝液/サンプル中の酵素の標準曲線もまた、定量の基準として役立てるためにコード化粒子の別々のセットに添加する。反応を、6倍容量のグリシン/NaOH pH 10.4を添加して停止させる。次に、1次抗体をウエルに添加して、残った基質または生成物を認識および結合させる。抗体を、少なくとも30分間インキュベーションする。1次抗体が標識されている場合、すぐに検出ができる。任意に、標識化2次抗体をプレートウエル内に入れ、そしてさらに30分間インキュベーションしてもよい。検出を、フローサイトメーターにより行う。
【0118】
実施例7:
式Iの例示的な実施形態のB2における活性末端アミノ基あるいは式IIもしくはIIIのR
1またはR
2基は、多くの標識方法に従う。代表的な実施例において、末端アミンを特にフルオロイソチオシアネート(FITC)で標識する。基質の誘導体化を、FITC分子をB2基の末端アミンに付加することにより実施する。類似の修飾は、存在するのであれば末端炭素上ではないアミン基で実施され得る。精製/凍結乾燥した基質を、0.1 M重炭酸ナトリウム緩衝液、pH9.0中に5 mg/mlの濃度で再溶解する。基質と反応する直前に、5 mgのFITC染料を0.5 mlのDMSOに暗下で溶解する。穏やかに攪拌しながら、0.1 mlの染色溶液を基質溶液に添加し、そして暗下で室温にて1時間インキュベーションする。遊離の反応しなかった染料を、リン酸緩衝生理食塩水で事前に平衡化した10×300 mm Sephadex Gカラムでゲル濾過することで除去する。最終生成物の濃度は、質量分析または当技術分野において知られる他の方法により測定する。さらに使用するまで-20℃で保存するために標識化基質を任意に濃縮および分液化する。
【0119】
標識化基質を、グルコセレブロシダーゼ活性の検出およびゴーシェ病の検出のための反応に使用する。それぞれの患者または対照サンプルについて、3 mm径のディスクを乾燥血液の部分からパンチし、微小遠心管または96穴マイクロタイタープレートのウエルに入れる。次に、血液ディスクを最終濃度5μmol/Lの標識化基質および最終濃度0.1μmol/Lの内部標準を含むアッセイ溶液で直接インキュベーションする。血液ディスクを含むアッセイ混合液を、15〜24時間、37℃で、恒温エア振とう機内で軌道振とう(150 rpm)しながらインキュベーションする。インキュベーション時間の後、一定分液の純メタノールをそれぞれの管またはウエルに添加して、酵素反応を停止させる。反応のサンプルをHPLC移動相(メタノール:水:酢酸、82:18:0.1 体積/体積/体積)を含む第2の管に添加する。20μl分液の停止した反応溶液を、4.6×250-mm Symmetry C
18逆相HPLCカラム(Waters、Milford、MA)で、1.3 ml/分の速度で、移動相としてメタノール:水:酢酸、82:18:0.1 体積/体積/体積を使用して均一濃度で分離する。蛍光強度は、蛍光検出器(モデルL-7480;日立、Naperville、IL)をミディアムゲイン感度で使用して継続的に測定する。
サンプル中の標識化生成物の量は、そのピークの領域を既知の濃度の標識化生成物からなる外部標準のそれと比較することによって測定する。反応における生成物の濃度は容易に測定され、そしてグルコセレブロシダーゼの活性は、単位反応時間で生成物モル数を割算して測定する。
【0120】
本明細書に記載するいずれの特許または出版物は、本発明が属する当業者のレベルを示す。これらの特許および出版物は、それぞれ個々の出版物が詳細かつ個々に参照により完全に組み込まれることが示されるのと同じ範囲まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
本発明が、言及される目的を実行し、そして目標および利益を得るため、ならびに本発明に固有のそれらのためによく適合していることを、当業者は容易に理解するだろう。本実施例は、本明細書に記載する方法、手順、処理、分子および特定の化合物と共に、特定の実施形態の現在の代表であり、例示であり、そして本発明の範囲を制限することを意図するものではない。他の実施形態が存在し、そして請求の範囲によって定義される発明の精神の中に含まれることが明らかである。