特許第6466914号(P6466914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466914
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】変換コネクタ、及び、カテーテルセット
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20190128BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20190128BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   A61B8/12
   A61B1/00 526
   A61B10/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-508487(P2016-508487)
(86)(22)【出願日】2015年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2015000865
(87)【国際公開番号】WO2015141136
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-57093(P2014-57093)
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】時田 昌典
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/039955(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/145711(WO,A1)
【文献】 特開2013−176561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/12
A61B 1/00
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換コネクタであって、
コネクタコアと、
当該コネクタコアを回動自在に支持し、変換コネクタを保護するためのカバーとを有し、
前記コネクタコアは、
一方端側が、超音波画像診断装置及び光学的診断装置の双方で利用可能なカテーテルに設けられた電極と電気的に接続するための電極を有し、かつ、当該カテーテルのコネクタと係合するために、前記駆動シャフトを回転させる回転部と同一の形状を有し、
他方端側が、前記駆動シャフトを回転させる回転部に係合する形状を有すると共に、前記カテーテルに設けられた電極を前記駆動シャフトを回転させる回転部に設けられた電極と電気的に接続するための電極を有する
ことを特徴とする変換コネクタ。
【請求項2】
前記一方端側は、
前記カテーテルのコネクタを挿入する挿入孔と、
当該挿入孔の底部に設けられ前記ファイバの端部を保護する保護孔と
が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の変換コネクタ。
【請求項3】
前記挿入孔には、前記挿入孔端では全周に渡る幅を有し、挿入するにつれて幅が狭くなる案内溝が設けられることを特徴とする請求項2に記載の変換コネクタ。
【請求項4】
前記カバーは、少なくとも前記コネクタコアの長さよりも長い寸法を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の変換コネクタ。
【請求項5】
超音波画像診断装置及び光学的診断装置の双方で利用可能なカテーテルと、当該カテーテル用の変換コネクタで構成されるカテーテルセットであって、
前記カテーテルは、
カテーテルの一方端に位置し、超音波送受信部及び光送受信部を有する回転自在なイメージングコアと、
前記超音波受信部から延びる電気信号線と、前記光送受信部から延びるファイバを収容すると共に前記イメージングコアに回転力を伝達するための駆動シャフトと、
カテーテルの他方端に位置し、前記駆動シャフト内の前記電気信号線と電気的に接続された電極を側面に有し、かつ、前記ファイバの端部を回転中心位置に露出させ、前記光学的診断装置が有する前記駆動シャフトを回転させる駆動部に係合する形状を有するコネクタとを有し、
前記変換コネクタは、
コネクタコアと、
当該コネクタコアを回動自在に支持し、変換コネクタを保護するためのカバーとを有し、
前記コネクタコアは、
一方端側が、前記カテーテルに設けられた電極と電気的に接続するための電極を有し、かつ、当該カテーテルのコネクタと係合するために、前記光学的診断装置の前記駆動部のコネクタの形状を有し、
他方端側が、前記超音波画像診断装置の前記駆動シャフトを回転させる駆動部のコネクタに係合する形状を有すると共に、前記カテーテルに設けられた電極を前記超音波画像診断装置の前記駆動部のコネクタに設けられた電極と電気的に接続するための電極を有する
ことを特徴とするカテーテルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波や光干渉を用いた画像診断装置に用いられるカテーテルのための変換コネクタ、及びカテーテルセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置、とりわけ、血管内腔の画像を取得する装置には、血管内超音波診断装置(IVUS:IntraVascular Ultra Sound)や光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)等がある。
【0003】
超音波診断装置、光干渉断層診断装置(例えば特許文献1)とも、回転自在で、且つ、その回転軸の軸方向に移動自在なイメージングコアを収容するカテーテルを用いる。そして、両装置とも、イメージングコアの回転と移動の駆動源として機能するプルバック部(MDU(モータードライビングユニット)とも呼ばれる)を有する。
【0004】
超音波診断装置に利用するカテーテル内のイメージングコアは、電気信号により駆動される超音波を発振する素子、並びに、超音波を受信し、電気信号として出力する検出素子を有する。なお、超音波の送受信を1つの素子で行っている場合もある。よって、超音波診断装置に利用されるプルバック部には、回転と移動を規定する動力原のほかに、カテーテルと電気的に接続するためのいくつかの電気的な接続端子を有することになる。
【0005】
一方、光干渉断層診断装置で利用されるカテーテル内のイメージングコアには、電気的な回路は無く、血管組織に向けて光を出射するためのレンズと、そのレンズに接続された光ファイバを収容する構造を持つ。よって、光干渉断層診断装置に利用されるプルバック部には、回転と移動を規定する動力原のほかに、カテーテル内の光ファイバと光学的な接続を行うための構造を持つことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−267867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一本のカテーテルで超音波診断と光干渉断層診断を可能にするためには、イメージングコア内に存在する超音波素子との電気的接続、レンズとの光学的な接続が必要になる。現在の超音波診断装置、光干渉断層診断装置には電気的接続と光学的接続の両方を有しているものはなく、専用の装置を開発しなければならない。しかし、カテーテルの製造コストと比較して装置の製造コストは高額であり、ユーザーが新規の装置を購入するためには多額の費用が必要である。
【0008】
本発明者は上記点に鑑み、超音波診断と光干渉断層診断の両機能を有するカテーテルに対して、好適な構造のコネクタの装着、非装着の切換を行うことにより、超音波診断装置、光干渉断層診断装置のいずれにも利用でき、もって、診断装置の開発コストを抑える技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のカテーテルは以下の構成を有する。すなわち、
超音波画像診断装置及び光干渉画像診断装置に利用可能なカテーテルであって、
カテーテルの一方端に位置し、超音波送受信部及び光送受信部を有する回転自在なイメージングコアと、
前記超音波受信部から延びる電気信号線と、前記光送受信部から延びるファイバを収容すると共に前記イメージングコアに回転力を伝達するための駆動シャフトと、
カテーテルの他方端に位置し、前記駆動シャフト内の前記電気信号線と電気的に接続された電極を側面に有し、かつ、前記ファイバの端部を回転中心位置に露出させ、前記駆動シャフトを回転させる回転部に係合する形状を有するコネクタとを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカテーテルは、超音波画像診断装置、光干渉画像診断装置のいずれにも利用でき、その装置製造に係るコストを削減できる。
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態における画像診断装置の外観図である。
図2】実施形態におけるプローブの構造を示す図である。
図3】実施形態におけるカテーテルの先端部の断面構造である。
図4A】実施形態におけるカテーテルの後端の構造を説明するための図である。
図4B】実施形態におけるカテーテルの後端の構造を説明するための図である。
図5A】実施形態における変換コネクタの構造を説明するための図である。
図5B】実施形態における変換コネクタの構造を説明するための図である。
図5C】実施形態における変換コネクタの構造を説明するための図である。
図6】実施形態における変換コネクタを装着した際の、カテーテルの後端の断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、一般的な、血管内超音波診断装置(以下、IVUS装置)、又は、光干渉断層診断装置(以下、OCT装置)、又は、超音波診断と光学的診断とのハイブリッド装置などの画像診断装置100の外観構成を示している。IVUS装置、OCT装置は、それぞれ固有の構造に起因する固有の処理を有するが、それらの説明は本発明とは直接には関係しないので、以下では、共通な構成について説明する。
【0015】
画像診断装置100は、カテーテル101と、MDU(Motor Driving Unit:プルバック部とも呼ばれる)102と、操作制御装置103で構成される。MDU102と操作制御装置103は、コネクタ105を介してケーブル104で接続されている。操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られたデータに基づき血管断層像を再構成する処理を行う。操作制御装置103は、本体制御部111、プリンタ及びDVDレコーダ111−1、操作パネル112、表示装置としてのLCDモニタ113、マウス114を有する。操作パネル112、マウス114、LCDモニタ113によりユーザインターフェースを構成することになる。
【0016】
MDU102は、人体の血管に挿入するためのカテーテル101の後端と接続し、カテーテル101内のイメージングコア(詳細後述)の、その回転とその回転軸に沿った移動の動力原として機能する。また、MDU102は、イメージングコアと操作制御装置103との通信の中継装置としても機能する。
【0017】
図2はカテーテル101の外観構成図を示している。カテーテル101は、外管シース200と、外管シース200内に、その送り方向に自在に移動可能に挿入される内管201とで構成される。また、外管シース200の後端もしくはその近傍には係止部200aが設けられ、これがMDU102に固定支持される。また、MDU102は内管201の後端部も把持した状態で図示の右手方向に内管201を引っ張る動作、並びに、内管201内に連結された駆動シャフト(詳細は図3を参照)に回転させる動作を行う。なお、図2における符号201aはプライミングポート(外管シース200と内管201内の空気を排出するための液体(生理食塩水が一般的)の注入口)である。
【0018】
さて、本実施形態の特徴とする点は、内管201の構造と、内管201に脱着自在な変換コネクタ(詳細後述)の構造にある。
【0019】
実施形態における内管201は、IVUS、OCT装置のいずれにも利用できるようにするためハイブリッド構造を有する。IVUS専用、又は、OCT専用のカテーテルと比較すると、実施形態の駆動シャフト330は2つの機能を持つ分だけ、その構造が多少は複雑になる。しかしながら、専用装置製造開発に係るコストを削減できる効果の方が絶大で、後述する変換コネクタの製造に係るコストを含めても、十分なコスト削減が期待でき、結果的に、患者に係る負担軽減に寄与できることになる。
【0020】
以下、実施形態におけるカテーテル101の構造と、変換コネクタについて更に詳しく説明する。
【0021】
図3は実施形態におけるカテーテル101の先端部(血管に挿入される側)の断面構造を示している。
【0022】
内管201は外管シース200に挿入されている。外管シース200におけるシース310は、少なくともその先端部では、光の透過を維持するための透明な材質で構成されている。また、シース310の先端には、内管201内の気泡を排出し、プライミング液でシース内を満たすためのプライミング孔320が設けられている。OCTの場合、光路の媒質が空気であっても光干渉断層画像を構築する際その影響は少ない。しかし、超音波の伝搬経路上に空気があると、空気とカテーテルシース素材、もしくは血液との音響インピーダンスの差が大きいために、生体組織に超音波が到達する前にシースや血液界面で反射してしまい、撮像に十分なエネルギーが生体組織へ透過しない。そこで超音波が拡散してしまい大きく減衰してしまう。実施形態の内管201は、OCTだけでなく、IVUS用としても利用されることを想定しているため、空気を外部排出するためのプライミング孔320を設けている。図示の符号360が、図2のプライミングポート201aから注入されたプライミング液を示している。
【0023】
また、シース310内には、図示の矢印373に沿って回転自在なイメージングコア350が収容されている。このイメージングコア350は、超音波送受信部351、光送受信部352、及び、それらを収容するハウジング353で構成される。また、このハウジング353は、駆動シャフト330に支持される。駆動シャフト330は柔軟で、かつMDU102からの回転をよく伝送できる特性を素材であり、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等により構成されている。この駆動シャフト330は内管201とほぼ同じ長さを有することになる。また、駆動シャフト330の内部には、超音波送受信部351と電気的に接続される信号線ケーブル341、及び、光送受信部352と光学的に接続されるシングルモードファイバ342がその長手方向に収容されている。
【0024】
超音波送受信部351は、実施形態のイメージングコア350がIVUS用として機能するためであり、信号線ケーブル341から印加された信号に従って図示矢印371aに向けて超音波を送信し、血管組織からの反射波371bを受信した場合には、その受信した超音波を電気信号として信号線341を介してMDU102(最終的には操作制御装置103)に向けて送信することになる。実際に血管内に挿入されスキャンする際には、駆動シャフト330及びイメージングコア350が矢印373に沿って回転することになるので、超音波送受信部351は回転軸に直交する面内で超音波の送信と受信を繰り返すこととなる。この結果、血管軸に直交する断面画像を得ることが可能になる。
【0025】
また、光送受信部352は実施形態のイメージングコア350がOCT用として機能するためのものであり、図示の回転中心軸に対して、ほぼ45度の傾斜角のミラーと、半球状のボールレンズで構成される。シングルモードファイバ342を介して導かれた光は、ミラーにより進行方向に対して約90度の方向に反射され、レンズを介して矢印372aの血管組織に向けて照射される。そして、血管組織からの反射光(矢印372b)はレンズを介して、今度はシングルモードファイバ342を介してMDU102(最終的には操作制御装置103)に向けて、送信されることになる。スキャン中は、イメージングコア350が回転することになり、IVUSと同様に、血管断面画像を再構成するためのデータが取得可能となる。
【0026】
次に、実施形態のカテーテル101のMDU102に接続する側の構造について説明する。
【0027】
OCTの場合、カテーテル101内の光ファイバとMDU102内の光ファイバとが同一軸となるように接続しなければ、カテーテル101から得られた光を、操作制御装置103に精度よく伝達できない。一方で、IVUSの場合、電気的接続は配線を比較的自由度を持って行うことができるためスリップリングの様な構造を導入することができる。
【0028】
上記点に鑑み、本発明者は、カテーテル101の後端の、MDUに接続する側のコネクタは、OCTのMDU側にダイレクトに嵌合する形状とすることに着想が至った。つまり、実施形態におけるカテーテル101は、そのままでOCT用カテーテルとして利用できるようにした。
【0029】
ただし、係る構造だけの場合、実施形態におけるカテーテル101はIVUS装置用のカテーテルとしては利用できない。理由は、カテーテル101の後端の構造と、IVUSのMDUのコネクタの構造とが一致しないからである。そこで、本発明者は、一方端がOCTやハイブリッドのMDUに嵌合するコネクタと同じ形状とし、他方端がIVUSのMDUのコネクタに嵌合する形状(つまり、IVUS専用のカテーテルの形状)を有する変換コネクタを作製することに着想が至った。この変換コネクタは、更に、カテーテル101内の3つの電極を、IVUSのMDUに設けられた3つの電極と接続する構造を有するものとすれば良い。
【0030】
図4Aは実施形態における内管201の後端部401(MDUに接続する側)の側面断面構造を示している。そして、図4Bは、図4Aの内管201の後端部401の正面図(図示の右手から見た図)を示している。ただし、カテーテルの後端の構造を説明する上で必要な構成のみを図示し、それ以外の構成は簡略化あるいは一部省略している。以下、これらを参照して、実施形態の内管シース201の後端部401の構造を説明する。
【0031】
駆動シャフト330の後端には断面が円形を成す円筒部材410に支持されている。この円筒部材410は、後端部401とゴムパッキン402を介して回転自在に支持されている。よって円筒部材410における、少なくともパッキン402に接する箇所の表面は摩擦が小さくなっている。これによって後端部401と円筒部材410は液密状態を維持されている。
【0032】
また、円筒部材410は、ファイバ342をその中心軸に固定把持しており、ファイバ342の端部がファイバ端342aとして露出している。また、円筒部材410は、その先端部の1か所には突起部411が設けらている。また、円筒部材410には、その回転の軸のブレを抑制するための円盤状の支持部材422が固定されている。この支持部材422の小さい径側の円周に沿った3箇所の表面に、電極321a,b,cが露出している。この3つの電極321a,b,cは、信号線341、すなわち、イメージングコア350における超音波送受信部351からの2本の信号線と駆動シャフトに接続された信号線(グランド)に電気的に接続されている。また、支持部材422の径の大きい部分(フランジ部分)には、周方向に沿って細長い形状を持つ3つのスリット423が設けられている。これら3つのスリットの周方向の範囲内に、3つの電極321a,b,cが存在することなる。
【0033】
また、後端部401を覆うカバー430が設けられていて、円筒部材410が外部との接触するのを防ぎ、かつ、それを保護している。特に、術野(清潔野)で使用されるため、カバー430は有効である。また、このカバー430の周方向の4箇所には、切込み溝431が設けられている。
【0034】
上記構造を有する実施形態のカテーテル101は、そのままでOCT装置のMDUに接続可能となる。接続の際には、円筒部材410の突起部411が、MDU側の受けコネクタに設けられた溝に沿ってガイドされ、ファイバ端部342aが予め決まった角度で、MDU側に設けられたファイバの端部と接続され、本実施形態のカテーテル101がOCT装置用のカテーテルとして機能する。なお、この場合、超音波に係る構成、すなわち、電極321a,b,cはMDUとは非接続状態となり、超音波送受信部351が駆動されることはない。
【0035】
次に実施形態の内管201を、IVUS用カテーテルとして利用するための変換コネクタを図5A乃至5Cを用いて説明する。
【0036】
図5Aは変換コネクタ500の断面構造図である。図示の左手側が、実施形態のカテーテル101と接続する側であり、右手側がIVUS装置のMDUと接続する側である。図5Bは、図5Aの変換コネクタ500を左手側から見た正面図である。
【0037】
変換コネクタ500は、コネクタコア510と、コネクタコア510を外部から保護するためのカバー550で構成される。カバー550の内径は、図4A、4Bで示した内管201のカバー430の外径と実質的に同じとなっていて、変換コネクタ500を内管201に装着した際には、カバー550は、内管201の後端はもちろん、コネクタコア510を保護するようになっている。そのため、カバー550の長さは、少なくともコネクタコア510の全長よりも長く、両端のいずれからもコネクタコア510が露出しない寸法を有する。
【0038】
カバー550内の所定位置には、中心に向かう4本の支持部材551が設けられ、その支持部材551がコネクタコア510を回転自在に支持している。図4A、4Bに示した内管201の後端部のカバー430の切込み溝431は、変換コネクタ500をカテーテルに接続した際に、支持部材551を通すためのものである。
【0039】
コネクタコア510における、内管201と接続する側には、3つの電極ロッド511a,b,c、及び、内管201の部材410を挿入する挿入孔512が設けられている。更に、挿入孔512の底部には、円筒部材410を挿入した際に、その先端のファイバ端342aに対して外部からストレスを与えないように保護するための保護孔513が設けられている。3つの電極ロッド511a,b,cは、図4A、4Bのカテーテルのスリット423を通って電極321a,b,cに電気的に接続するためのものである。
【0040】
一方、コネクタコア510における、IVUS装置のMDUと接続する側には、電極ロッド511a,b,cとそれぞれ接続する電極514a,b,cと、MDUとの係合(特に回転軸方向の係合)状態を維持する突起部515が設けられている。
【0041】
3つの電極514a,b,cのそれぞれの信号線は予め規定されている。それ故、変換コネクタ500を実施形態の内管201に接続した際、3つの電極ロッド511a,b,cそれぞれが、内管201に設けられた電極321a,b,cのそれぞれと正しく接続しなければならない。そのため、実施形態では、内管201の後端に変換コネクタ500を接続(装着)する際、ユーザーは格別意識しなくても、電極ロッド511a,b,cそれぞれが、内管201の対応する電極321a,b,cと正しく接続するための案内溝516を挿入孔512に設けた。
【0042】
図5Aにおける挿入孔512を図示の底辺A−A’で切った場合の、挿入孔512の内面の展開図が図5Cである。同図のごとく、案内溝516はテーパー形状であり、左端では、挿入孔512のほぼ全周のサイズの幅を有し、右端では突起部411と実質的に同じ幅を有する。ユーザーにしてみれば、内管201に、変換コネクタ500を装着するとき、内管201の突起部411が、案内溝516の開始する点と衝突しないように差し込んでいけば良い。これにより、円筒部材410及び/又はコネクタコア510が回動しながら、内管201の円筒部材410の突起部411が、案内溝516に沿って案内されていく。この結果、変換コネクタ500の電極ロッド511a,b,cは、カテーテル201の正しいスリット423を通って、正しい電極321a,b,cとそれぞれ電気的に接続されることになる。また、内管201のファイバ端342aは、保護孔513内にて非接触状態で保護される。
【0043】
図6は、実施形態での内管201に変換コネクタ500を装着(接続)した際の断面構造を示している。この状態では、内管201のイメージングコア350における超音波送受信部351に対する2本の信号線と1本のグランドが、電極514a,b,cとして電気的に接続されることになり、尚且つ、コネクタ500はIVUS装置用のMDUに係合する形状となっている。よって、図6の状態では、本実施形態の内管201は、IVUS用のカテーテルとして機能することになる。
【0044】
以上説明したように本実施形態のカテーテル101は、そのままの構成でOCT用のカテーテルとして利用でき、かつ、簡単な構造を持つ変換コネクタを装着すれば、IVUS用のカテーテルとしても利用することが可能となる。OCT,IVUS両方を同時に使用できる専用装置用のカテーテルを製造する場合と比較して、その製造及び維持に係るコストは低くでき、結果的に患者に係るコストも低下させることができる。
【0045】
また、医療機関がIVUSとOCTの両方の装置を設置している場合には、実施形態で説明したカテーテル101と変換コネクタ500のセットを納品すれば良く、IVUSとOCTの使用頻度が変わったとしても、どちらの診断でも利用可能なため、纏めて購入が可能となり、結果、OCT用のカテーテルとIVUS用のカテーテルの在庫管理の負担を軽減することに繋がる。さらには、一度の手技における診断などでIVUSとOCTを併用する場合、従来ではOCT用のカテーテルとIVUS用のカテーテルの計2本を最低でも使用することになるが、実施形態で説明したカテーテル101と変換コネクタ500があれば、1本のカテーテルで併用することができ、医療経済性を高めることにも繋がる。
【0046】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0047】
本願は、2014年3月19日提出の日本国特許出願特願2014−057093号を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6