特許第6466916号(P6466916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6466916オレフィンブロックコポリマーを含有する押出可能な接着剤配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466916
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】オレフィンブロックコポリマーを含有する押出可能な接着剤配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20190128BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20190128BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190128BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   C08L53/00
   C09J153/00
   C09J11/08
   C08J5/00CES
【請求項の数】11
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-508969(P2016-508969)
(86)(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公表番号】特表2016-515665(P2016-515665A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】US2014033622
(87)【国際公開番号】WO2014172179
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年3月28日
(31)【優先権主張番号】61/813,463
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ダブリュ・ヒメルバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ビー・グリフィス
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−532676(JP,A)
【文献】 特表2008−545811(JP,A)
【文献】 特表2013−500359(JP,A)
【文献】 特表2014−514390(JP,A)
【文献】 特表2014−527559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08J 5/00−5/24
C09J 1/00−201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分を含む組成物であって、
A)エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー、
B)非水素化脂肪族C樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族修飾C樹脂、テルペン樹脂、水素化C樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される粘着付与剤、
前記組成物が、1〜50g/10分のメルトインデックス(I)、及び7.5〜13のI10/I比を有し、
前記IおよびI10は、Iの場合、190℃/2.16kgの条件で、I10の場合、190℃/10kgの条件でASTM D1238に従って測定されるメルトインデックスである、
前記組成物。
【請求項2】
成分Aが、前記組成物の重量に基づいて、50重量パーセント以上の量で存在する、請求項1に記載の前記組成物。
【請求項3】
成分Bが、前記組成物の重量に基づいて、5〜30重量パーセントの量で存在する、請求項1または2に記載の前記組成物。
【請求項4】
前記組成物が、成分C)オイルを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項5】
成分Cが、前記組成物の重量に基づいて、2〜25重量パーセントの量で存在する、請求項4に記載の前記組成物。
【請求項6】
前記組成物が、0.860〜0.900g/ccの密度を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ステンレス鋼上での試験により23℃/50%RHでの24時間の滞留期間後に、0.4〜14.0N/インチのPSTC(PSTC−101、方法A;N/インチ)を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項8】
前記組成物が、−70℃〜−20℃のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項9】
前記組成物が、110℃〜130℃の融解温度(Tm)を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項10】
前記組成物が、100℃〜120℃の結晶化温度(Tc)を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の前記組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年4月18日に出願された米国仮特許出願第61/813,463号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
保護ラップ、粘着性締結具、及び再封式フィルム等の可塑性包装は、良好な押出加工のために良好な接着性及び適切なレオロジーを必要とする。従来の保護ラップ、例えば自動車用ラップは、しばしば、費用のかかる溶媒に基づく技術を用いて形成される。粘着性締結具及び再封式フィルムは、しばしば、複雑な複数ステップのプロセスを用いて形成される。溶媒を必要とすることなく、他の基材上に押出することができ、かつ押出加工のために良好な調節可能な接着性及び適切なレオロジーを有する新たな接着剤組成物の必要性が存在する。
【0003】
接着剤配合物は、以下の参考文献:米国特許第8222339号、同第7989543号、同第7524911号;米国公開第20120165455号;及びLi Pi ShanらのDevelopment of Olefin Block Copolymers for Pressure Sensitive Adhesive(出典:PSTC(2007年5月16〜18日、フロリダ州オーランド)で発表された論文)に開示される。
【0004】
しかしながら、上述のように、従来のフィルム製作設備を用いて、溶媒を必要とすることなく、他の基材上に押出することができ、かつ押出加工のために良好な接着性及び適切なレオロジーを有する新たな接着剤組成物の必要性が存在する。これらの必要性は、以下の本発明によって満たされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、以下の成分を含む組成物を提供し、
A)エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー、
B)粘着付与剤、
本組成物は、1〜50g/10分のメルトインデックス(I2)、及び7.5〜13のI10/I2比を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
上述のように、本発明は、以下の成分を含む組成物を提供し、
A)エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー、
B)粘着付与剤、
本組成物は、1〜50g/10分のメルトインデックス(I2)、及び7.5〜13のI10/I2比を有する。
【0007】
発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0008】
発明の組成物の各成分(例えば、AまたはB)は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0009】
一実施形態では、本組成物は、1〜40g/10分、更には1〜30g/10分、更には1〜20g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0010】
一実施形態では、本組成物は、2〜50g/10分、更には3〜50g/10分、更には4〜50g/10分、更には5〜50g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0011】
一実施形態では、本組成物は、7.6〜13、更には8〜11のI10/I2比を有する。
【0012】
一実施形態では、本組成物は、7.7〜13、更には8.0〜12、更には8.2〜11のI10/I2比を有する。
【0013】
一実施形態では、成分Aは、本組成物の重量に基づいて、50重量パーセント以上、更には55重量パーセント以上、更には60重量パーセント以上の量で存在する。
【0014】
一実施形態では、成分Aは、本組成物の重量に基づいて、50〜95重量パーセント、更には60〜90重量パーセント、更には65〜85重量パーセント、更には70〜85重量パーセントの量で存在する。
【0015】
一実施形態では、成分Bは、本組成物の重量に基づいて、5〜30重量パーセント、更には7〜25重量パーセント、更には9〜20重量パーセントの量で存在する。
【0016】
一実施形態では、本組成物は、成分C)オイルを更に含む。更なる実施形態では、本オイルは、鉱油である。
【0017】
一実施形態では、成分Cは、本組成物の重量に基づいて、2〜25重量パーセント、更には4〜20重量パーセント、更には6〜15重量パーセントの量で存在する。
【0018】
一実施形態では、本組成物は、0.850g/cc〜0.910g/cc、更には0.860g/cc〜0.900g/cc、更には0.870g/cc〜0.890g/ccの密度を有する。
【0019】
一実施形態では、組成物Aの本粘着付与剤は、環球式軟化点(ASTM E28)によって決定される、80℃〜140℃、更には85℃〜135℃、更には90℃〜130℃、更には90℃〜125℃の軟化温度を有する。
【0020】
一実施形態では、成分Bの本粘着付与剤は、環球式軟化点(ASTM E28)によって決定される、80℃〜120℃、更には85℃〜115℃、更には90℃〜110℃の軟化温度を有する。
【0021】
一実施形態では、成分Bの本粘着付与剤は、非水素化脂肪族C樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族修飾C樹脂、テルペン樹脂、非水素化C樹脂、水素化C樹脂、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
一実施形態では、成分Bの本粘着付与剤は、非水素化脂肪族C樹脂、水素化脂肪族C樹脂、非水素化C樹脂、水素化C樹脂、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
一実施形態では、本組成物中の成分Aの量は、本組成物中の成分Bの量よりも多い。
【0024】
一実施形態では、本組成物は、1.0〜10.0N/インチ、更には2.0〜20.0N/インチの180°剥離接着力(PSTC101の方法Aに従う;N/インチ)を有する。
【0025】
一実施形態では、本組成物は、0.4〜14.0N/インチ、更には0.6〜14.0N/インチ、更には0.8〜14.0N/インチ、更には1.0〜14.0N/インチの180°剥離接着力(PSTC101の方法Aに従う;N/インチ)を有する。
【0026】
一実施形態では、本組成物は、DSCによって決定される、−70℃〜−20℃、更には−65℃〜−30℃、更には−62℃〜−40℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0027】
一実施形態では、本組成物は、DSCによって決定される、110℃〜130℃、更には112℃〜125℃、更には115℃〜122℃の融解温度(Tm)を有する。
【0028】
一実施形態では、本組成物は、DSCによって決定される、100℃〜120℃、更には102℃〜118℃、更には104℃〜115℃の結晶化温度(Tc)を有する。
【0029】
一実施形態では、本組成物は、DSCによって決定される、15J/g〜35J/g、更には16J/g〜32J/g、更には17J/g〜30J/gの結晶化のデルタHを有する。
【0030】
一実施形態では、本組成物は、DSCによって決定される、0.4×10
〜3.0×10ダイン/cm、更には0.5×10〜2.5×10ダイン/cm、更には0.5×10〜2.0×10ダイン/cmの貯蔵弾性率(25℃のG’)を有する。
【0031】
本発明はまた、発明の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0032】
一実施形態では、本物品は、フィルムまたは衛生吸収製品(例えば、おむつ)から選択される。
【0033】
一実施形態では、本物品は、自動車用保護ラップである。
【0034】
発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0035】
発明の組成物の成分Aは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0036】
発明の組成物の成分Bは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0037】
発明の組成物の成分Cは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0038】
発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0039】
本発明の組成物が、共押出接着剤として使用され得、費用削減及び減少した環境的廃棄物の両方を提供することが発見されている。本発明の組成物を使用して、単純な構造の「より低い製造費用」の物品を形成することができ、これは、その製造プロセスにおいて溶媒の使用を必要としない。本発明の組成物はまた、スチレン系組成物の代わりに、保護ラップ及び再閉鎖可能包装等の積層及び粘着性適用においてスチレン系組成物に関連した臭気、色、及び費用を削減するためにも使用され得る。本発明の組成物は、容易に押出可能/加工可能であり、ペレット化され得る。
【0040】
A.エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー
本明細書で使用されるとき、用語「エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー」、「オレフィンブロックコポリマー」、または「OBC」は、エチレン/α−オレフィン多ブロックコポリマーを意味し、エチレン、及び化学的または物理的特性の点で異なる2つ以上の重合モノマー単位の多ブロックまたはセグメントを特徴とする重合形態の1つ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを含む。用語「インターポリマー」及び「コポリマー」は、本明細書において、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーという用語及び本節で論じられる同様の用語と同義に使用される。コポリマー中の「エチレン」または「コモノマー」の量について言及するとき、これがそれらの重合単位を意味することが理解される。いくつかの実施形態では、多ブロックコポリマーは、以下の式によって表すことができ、
(AB)
式中、nは、少なくとも1、好ましくは、1よりも大きい整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上であり、「A」は、ハードブロックまたはセグメントを表わし、「B」は、ソフトブロックまたはセグメントを表わす。好ましくは、A(複数可)及びB(複数可)は、実質的に分岐状または実質的に星形状の様式とは対照的に、実質的に線状の様式で結合される。別の実施形態では、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖と一緒にランダムに分布されている。言い換えると、ブロックコポリマーは、通常、以下のような構造を有しない。
AAA−AA−BBB−BB。
【0041】
更に他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマー(複数可)を含む第3の種類のブロックを有しない。なおも他の実施形態では、ブロックA及びブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布されたモノマーまたはコモノマーを有する。言い換えると、ブロックAまたはブロックBのいずれかも、残りのブロックとは実質的に異なる組成物を有する先端セグメントのような2つ以上の明確な組成物のサブセグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0042】
好ましくは、エチレンは、全ブロックコポリマーの大部分のモル画分を含む、すなわち、エチレンは、全ポリマーの少なくとも50モルパーセントを含む。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを含み、全ポリマーの実質的な残りは、好ましくは3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1つの他のコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、50モル%〜90モル%のエチレン、好ましくは60モル%〜85モル%、より好ましくは、65モル%〜80モル%を含み得る。多くのエチレン/オクテンブロックコポリマーについては、好ましい組成物は、全ポリマーの80モルパーセントを超えるエチレン含有量、及び全ポリマーの10〜15、好ましくは15〜20モルパーセントのオクテン含有量を含む。
【0043】
オレフィンブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、ポリマーの重量に基づいて、エチレンが95重量パーセント超または98重量パーセント超、最大100重量パーセントの量で存在する重合単位のブロックである。言い換えると、ハードセグメント内のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、5重量パーセント未満または2重量パーセント未満であり、極力ゼロに近いほどに低くなり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンに由来する全てのまたは実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、ポリマーの重量に基づいて、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が5重量パーセント超、または8重量パーセント超、10重量パーセント超、または15重量パーセント超である重合単位のブロックである。いくつかの実施形態では、ソフトセグメント内のコモノマー含有量は、20重量パーセント超、25重量パーセント超、30重量パーセント超、35重量パーセント超、40重量パーセント超、45重量パーセント超、50重量パーセント超、または60重量パーセント超であり得、最大100重量パーセントであり得る。
【0044】
ソフトセグメントは、OBCの総重量の1重量パーセント〜99重量パーセントで、またはOBCの総重量の5重量パーセント〜95重量パーセント、10重量パーセント〜90重量パーセント、15重量パーセント〜85重量パーセント、20重量パーセント〜80重量パーセント、25重量パーセント〜75重量パーセント、30重量パーセント〜70重量パーセント、35重量パーセント〜65重量パーセント、40重量パーセント〜60重量パーセント、または45重量パーセント〜55重量パーセントで、OBC中に存在し得る。逆に言うと、ハードセグメントは、同様の範囲で存在できる。ソフトセグメント重量百分率及びハードセグメント重量百分率は、DSCまたはNMRから獲得されたデータに基づいて計算され得る。このような方法及び計算は、例えば、Colin L.P.Shan,Lonnie Hazlittらの名義で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された表題「Ethylene/α−Olefin Block Interpolymers」の米国特許第7,608,668号に開示されており、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。具体的には、ハード及びソフトセグメント重量百分率及びコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄〜第63欄に説明されるように決定され得る。
【0045】
オレフィンブロックコポリマーは、好ましくは線状様式で結合する2つ以上の化学的に明確な領域またはセグメント(「ブロック」として称される)ポリマー、すなわち、懸垂またはグラフト化様式よりも、重合エチレン系官能性に関して端から端まで結合される化学的に分化した単位を含むポリマーである。一実施形態では、本ブロックは、組み込まれたコモノマーの量または種類、密度、結晶化度の量、このような組成のポリマーに起因する結晶子径、立体規則性の種類または程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、分岐の量(長鎖分岐または高分岐を含む)、均一性、または任意の他の化学的または物理的特性の点で異なる。連続的モノマー添加、可動性触媒、またはアニオン性重合技術によって生成されるインターポリマーを含む先行技術のブロックインターポリマーと比較すると、本発明のOBCは、一実施形態では、その調製において使用される複数の触媒と組み合わされるシャトリング剤(複数可)の効果に起因する、両方のポリマーの多分散の独自の分布(PDIまたはMw/MnまたはMWD)、ブロック長分布、及び/またはブロック数分布によって特徴付けられる。
【0046】
一実施形態では、OBCは、連続プロセスにおいて生成され、1.7〜3.5、または1.8〜3、または1.8〜2.5、または1.8〜2.2の多分散インデックス、PDI(またはMWD)を有する。バッチまたは半バッチプロセスにおいて生成された場合、OBCは、1.0〜3.5、または1.3〜3、または1.4〜2.5、または1.4〜2のPDIを有する。
【0047】
加えて、オレフィンブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなくシュルツ・フローリー分布に当てはまるPDIを有する。本発明のOBCは、多分散ブロック分布ならびにブロックサイズの多分散分布の両方を有する。このことは、改善された識別可能な物理的特性を有するポリマー生成物の形成をもたらす。多分散ブロック分布の理論的利益は、Potemkin,Physical Review E(1998)57(6),pp.6902−6912、及びDobrynin,J.Chem.Phvs.(1997)107(21),pp9234−9238において以前にモデル化され考察されている。
【0048】
一実施形態では、本発明のオレフィンブロックコポリマーは、ブロック長の最も可能性の高い分布を有する。一実施形態では、オレフィンブロックコポリマーは、
a) (A)1.7〜3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏温度単位)、及び密度(d、グラム/立方センチメートル単位)を有し、Tm及びdの数値が以下の関係に相当する、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、かつ/または
b) (B)1.7〜3.5のMw/Mnを有し、融解熱、ΔH(J/g単位)、及び最も高いDSCピークと最も高い結晶化分析分割(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(摂氏温度単位)によって特徴付けられ、ΔT及びHの数値が以下の関係を有する、
Hがゼロを超え、最大130J/gである場合、ΔT>−0.1299ΔH+62.81
Hが130J/gを超えるΔ場合、ΔT≧48℃であり、
このCRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は、30℃である、かつ/または
c) (C)弾性回復Re(パーセント単位、300パーセントの引張)及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを使って測定された1サイクルを有し、密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、以下の関係を満たす、
Re>1481−1629(d)、かつ/または
d) (D)画分が量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは、量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とするTREFを用いて分画された場合、40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、Tが、TREF画分(℃単位で測定された)のピーク溶離温度の数値である、かつ/または、
e) (E)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、G’(25℃)とG’(100℃)の比率が1:1〜9:1の範囲であるように定義される。
オレフィンブロックコポリマーはまた、
f) (F)画分が少なくとも0.5〜最大1のブロックインデックス、及び分子量分布(Mw/Mn単位、1.3を超える)を有することを特徴とするTREFを用いて分画された場合、40℃〜130℃で溶離する分子画分、かつ/または
g) (G)ゼロを超え最大1.0の平均ブロックインデックス及び分子量分布(Mw/Mn単位、1.3を超える)を有する。オレフィンブロックコポリマーが、(A)〜(G)の特性のうちの1つ、いくつか、全て、または任意の組み合わせを有し得ることが理解される。ブロックインデックスは、米国特許第7,608,668号に詳細に説明されるように決定され得、その目的のため参照により本明細書に組み込まれる。特性(A)〜(G)を決定するための分析的方法は、例えば、米国特許第7,608,668号、第31欄26行〜第35欄44行に開示され、その目的のため当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
本発明のOBCを調製する際に使用するために好適なモノマーは、エチレン及びエチレン以外の1つ以上の追加の重合可能なモノマーを含む。好適なコモノマーの例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−l−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等の3〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子の線状または分岐状オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン等の3〜30個、好ましくは3〜20個の炭素原子のシクロオレフィン;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、及び5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン等のジ及びポリオレフィン;及び3−フェニルプロペン、4−フェニルプロペン、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、及び3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンが挙げられる。
【0050】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、0.850g/cc〜0.900g/cc、または0.855g/cc〜0.890g/cc、または0.860g/cc〜0.880g/ccの密度を有する。一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、40〜70、好ましくは45〜65、及びより好ましくは、50〜65のショアA値を有する。一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)によって測定されるように、0.1g/10分〜50g/10分、または0.3g/10分〜30g/10分、または0.5g/10分〜20g/10分のメルトインデックス(MIまたはI2)を有する。一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、重合エチレン及び唯一のモノマー型として1つのα−オレフィンを含む。更なる実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選択される。
【0051】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、0.850g/cc〜0.900g/cc、または0.855g/cc〜0.890g/cc、または0.860g/cc〜0.880g/ccの密度を有する。一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)によって測定されるように、0.5g/10分〜50g/10分、または0.7g/10分〜40g/10分、または0.8g/10分〜30g/10分、または1.0g/10分〜20g/10分のメルトインデックス(MIまたはI2)を有する。一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、重合エチレン及び唯一のモノマー型として1つのα−オレフィンを含む。更なる実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、または1−オクテンから選択される。
【0052】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマー中のコモノマーは、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンから選択される。
【0053】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、スチレンを除外する。
【0054】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、エチレン/オクテンブロックコポリマーである。
【0055】
エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、米国特許第7,858,706号(当該文献が参照により本明細書に組み込まれる)に説明されるような鎖シャトリングプロセスによって生成され得る。具体的には、好適な鎖シャトリング剤及び関連する情報は、第16欄39行〜第19欄44行に列挙される。好適な触媒は、第19欄45行〜第46欄19行に説明され、好適な共触媒は、第46欄20行〜第51欄28行に説明される。本プロセスは、文書全体にわたって説明されるが、特に、第51欄29行〜第54欄56行に説明される。本プロセスはまた、例えば、以下の米国特許第7,608,668号;同第7,893,166号;及び同第7,947,793号にも説明される。
【0056】
一実施形態では、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、以下のA〜Eの特性のうちの少なくとも1つを有する:
(A) 1.7〜3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点(Tm、摂氏温度単位)、及び密度(d、グラム/立方センチメートル単位)を有し、Tm及びdの数値が以下の関係に相当する、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)、かつ/または
(B) 1.7〜3.5のMw/Mnを有し、融解熱、ΔH(J/g単位)、及び最も高いDSCピークと最も高い結晶化分析分割(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義されるデルタ量、ΔT(摂氏温度単位)によって特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が以下の関係を有する、
ゼロを超え最大130J/gのΔHに関してΔT>−0.1299ΔH+62.81
130J/gを超えるΔHに関してΔT≧48℃であり、
このCRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃である、かつ/または
(C)弾性回復Re(パーセント単位、300パーセントの引張)及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを使って測定された1サイクルを有し、密度(d、グラム/立方センチメートル)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合、以下の関係を満たす、
Re>1481−1629(d)、かつ/または
(D)画分が量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは、量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とするTREFを用いて分画された場合、40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、Tが、TREF画分(℃単位で測定された)のピーク溶離温度の数値である、かつ/または、
(E)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、G’(25℃)とG’(100℃)の比率が1:1〜9:1の範囲である。
【0057】
エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーは、本明細書に記載の組み合わせまたは2つ以上の実施形態を含み得る。
【0058】
B.粘着付与剤
本発明の組成物は、粘着付与剤を含む。典型的に、粘着付与剤は、弾性率を減少させ表面接着性を改善するように使用される樹脂である。
【0059】
一実施形態では、粘着付与剤は、非水素化脂肪族C(5個の炭素原子)樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族修飾C樹脂、テルペン樹脂、水素化C樹脂、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0060】
一実施形態では、粘着付与剤は、0.92g/cc〜1.06g/ccの密度を有する。
【0061】
一実施形態では、粘着付与剤は、80℃〜140℃、または85℃〜130℃または90℃〜120℃、または90℃〜100℃の環球式軟化温度(ASTM E28に従って測定される)を有する。
【0062】
一実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1000パスカル秒(Pa・s)未満の溶融粘度を有する。更なる実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1パスカル秒(Pa・s)以上、更には175℃で5パスカル秒(Pa・s)以上の溶融粘度を有する。
【0063】
一実施形態では、粘着付与剤は、175℃で500Pa・s未満、または175℃で200Pa・s未満、または175℃で100Pa・s未満、または175℃で50Pa・s未満の溶融粘度を有する。更なる実施形態では、粘着付与剤は、175℃で1Pa・s〜100Pa・s未満、または50Pa・s未満の溶融粘度を有する。
【0064】
「C5粘着付与剤」のためのC樹脂は、ペンテン及びピペリレン等のC供給原料から得ることができる。粘着付与剤のためのテルペン樹脂は、ピネン及びd−リモネン供給原料に基づき得る。粘着付与剤のための水素化樹脂は、C供給原料、ロジン、脂肪族またはテルペン供給原料等の芳香族樹脂に基づき得る。
【0065】
好適な粘着付与剤の非限定的な例としては、
Eastman Chemical Companyから入手可能なPICCOTAC1095、REGALITE R1090、REGALREZ1094、及びPINOVAからのPICCOLYTE F−105等の、PICCOTAC、REGALITE、REGALREZ、及びPICCOLYTEの商標名の下で販売される粘着付与剤が挙げられる。
【0066】
粘着付与剤は、本明細書に記載の組み合わせまたは2つ以上の実施形態を含み得る。
【0067】
C.オイル
発明の組成物は、オイルを含み得る。一実施形態では、本オイルは、95モル%を超える脂肪族炭素を含有する。一実施形態では、本オイルのアモルファス部分のためのガラス転移温度は、−70℃未満である。本オイルは、鉱油であり得る。好適なオイルの非限定的な例としては、HYDROBRITE550(Sonneborn)、PARALUX6001(Chevron)、KAYDOL(Sonneborn)、BRITOL50T(Sonneborn)、CLARION200(Citgo)、及びCLARION500(Citgo)の商標名の下で販売される鉱油が挙げられる。本オイルは、本明細書に記載の組み合わせまたは2つ以上の実施形態を含み得る。
【0068】
D.添加剤
発明の組成物は、1つ以上の添加剤を含み得る。添加剤としては、抗酸化、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色素、粘度調節剤、抗ブロック剤、剥離剤、充填剤、摩擦係数(COF)調節剤、誘導加熱粒子、臭気調整剤/吸収剤、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上の更なるポリマーを含む。更なるポリマーとしては、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
定義
その反対が述べられるか、文脈から暗示されないか、または当該分野の通例に反しない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づくものであり、全ての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。
【0070】
本明細書で使用されるとき、用語「組成物」は、組成物を含む材料(複数可)、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物を含む。
【0071】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリマー」とは、同一または異なる種類であろうと、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、一般的な用語ポリマーは、用語ホモポリマー(極微量の不純物がポリマー構造及び/またはバルクポリマー中に組み込まれることができるとの認識で、1つの種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために使用される)、及び以降で定義される用語インターポリマーを包含する。
【0072】
本明細書で使用されるとき、用語「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、一般的な用語インターポリマーは、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、及び2つを超える異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。しかしながら、上述のエチレン/α−オレフィンブロックコポリマーについては用語「コポリマー」の例外を参照されたい。
【0073】
本明細書で使用されるとき、用語「エチレン系ポリマー」とは、(ポリマーの総重量に基づいて)大部分の重量パーセントの重合エチレンモノマーを含むポリマーを指し、随意に、少なくとも1つの重合コモノマーを含み得る。
【0074】
本明細書で使用されるとき、用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)多量のエチレンモノマー、及びインターポリマー中にランダムに分布される少なくとも1つのα−オレフィンを含むインターポリマーを指す。したがって、この用語は、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーを含まない。
【0075】
本明細書で使用されるとき、用語「エチレン/α−オレフィンコポリマー」とは、重合形態で、多量のエチレンモノマー(コポリマーの重量に基づいて)、及び2つのみのモノマー型としてα−オレフィンを含むコポリマーを指す。α−オレフィンは、コポリマー中にランダムに分布される。したがって、この用語は、エチレン/α−オレフィンブロックコポリマーを含まない。
【0076】
本明細書で使用されるとき、用語「オレフィン系ポリマー」とは、重合形態で、多量のオレフィンモノマー、例えばエチレンまたはプロピレン(ポリマーの重量に基づいて)を含むポリマーを指し、随意に、1つ以上のコモノマーを含んでもよい。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「プロピレン系ポリマー」とは、重合形態で、多量のプロピレンモノマー(ポリマーの総重量に基づいて)を含むポリマーを指し、任意に、少なくとも1つの重合コモノマーを含んでもよい。
【0078】
用語「comprising(含む)」、及びこれらの派生語は、いかなる追加の構成要素、ステップまたは手順の存在も、これが本明細書に開示されるかに関わらず、除外するよう意図されていない。いかなる疑惑も回避するために、用語「comprising」の使用を通して本明細書に主張される全ての組成物は、特に断らない限り、ポリマーであろうとまたは別のものであろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含んでもよい。これとは対照的に、用語「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、実現可能性に不可欠ではないものを除いて、いかなる他の構成要素、ステップまたは手順も後続する列挙の範囲から除外する。用語「〜からなる(consisting of)」は、具体的に記述表現または列挙されないいかなる構成要素、ステップまたは手順も除外する。
【0079】
試験方法
DSC
示差走査熱量測定(DSC)を用いて、エチレン(PE)系ポリマー試料及びプロピレン(PP)系ポリマー試料中の結晶化度を測定する。約5〜8ミリグラムの試料を秤量し、DSCパンに設置する。密閉雰囲気を確保するために、蓋をパンに圧着する。試料用パンをDSCセル内に設置し、次いで約10℃/分の速度で、PEの場合、180℃(PPの場合は230℃)の温度まで加熱する。試料をこの温度で3分間保持する。次いで試料を10℃/分の速度で、PEの場合、−60℃(PPの場合は−40℃)まで冷却し、3分間この温度で等温保持する。次に、融解が完了するまで試料を10℃/分の速度で加熱する(第2の加熱)。ポリマー試料(配合物ではない)について、第2の加熱曲線から決定された融解熱(HまたはΔH融解)を、PEの場合、292J/gの理論的融解熱(PPの場合は165J/g)で割り、この量に100を乗じることによってパーセント結晶化度を算出する(例えば、PEの場合、%結晶化度=(H/292J/g)×100であり、PPの場合、%結晶化度=(H/165J/g)×100である)。
【0080】
特に明記しない限り、各ポリマーの融点(複数可)(T)は、上に説明されるように、DSCから得られた第2の加熱曲線から決定される(ピークTm)。
ガラス転移温度(T)は、第2の加熱曲線から決定される。結晶化温度(T)は、第1の冷却曲線(ピークTc)から測定される。結晶化のデルタHを第1の冷却曲線から得て、結晶化ピーク下面積を積分することによって計算した。融解のデルタHを第2の加熱曲線から得て、融解ピーク下面積を積分することによって計算した。
【0081】
メルトインデックス
エチレン系ポリマー、または配合物のメルトインデックスを、I2の場合、190℃/2.16kgの条件で、I10の場合、190℃/10kgの条件でASTM D1238に従って測定した。プロピレン系ポリマーのメルト流量(MFR)を230℃/2.16kgの条件でASTM D1238に従って測定した。
【0082】
密度
密度測定のための試料(ポリマー及び配合物)を、ASTM D1928に従って調製した。測定を、試料プレス加工の1時間以内にASTM D792方法Bを用いて行った。
【0083】
GPC方法
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220器具のいずれかからなる。
カラム及び回転ラックコンパートメントは、140℃で動作する。3つのPolymer Laboratoriesの10−ミクロンのMixed−Bカラムを使用した。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。試料を、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。試料を、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製する。注入容量は、100マイクロリットルであり、流量は、1.0ml/分である。
【0084】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量間に少なくとも10進分離で6つの「多剤併用」混合物内に配置される580〜8,400,000g/モルの範囲である分子量を有する21の狭い分子量分布ポリスチレン標準物を用いて実施する。これらの標準物を、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準物を、1,000,000g/モル以上の分子量の場合、「50ミリリットルの溶媒中0.025グラム」、及び1,000,000g/モル未満の分子量の場合、「50ミリリットルの溶媒中0.05グラム」で調製する。ポリスチレン標準物を、80℃で30分間穏やかに撹拌しながら溶解する。狭い標準混合物を最初に泳動させ、最も高い分子量成分が減少する順序で、解重合を最小にする。ポリスチレン標準物ピーク分子量を、以下の等式を用いてポリエチレン分子量に変換する(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレンに説明される通りである)。ポリエチレン当量の分子量の計算を、VISCOTEK TriSECソフトウェアバージョン3.0を用いて実施する。
【0085】
DMS(ポリマー及び配合物)
動的機械的分光測定(Dynamic Mechanical Spectroscopy)(DMS)を、10MPa圧力で180℃にて5分間ホットプレス機内で形成された圧縮成形ディスクで測定し、次いで、90℃/分でプレス機内で水冷却した。試験を、ねじれ試験用の二重の片持ち器具を装備したARES制御引張レオメータ(TA装置)を用いて行った。
【0086】
「1.5mmのプラーク」をプレス加工し、32mm×12mm寸法の棒状に切断した(試験試料)。試験試料を、10mmで分離した(グリップ分離ΔL)器具の両端で固定し、−100℃〜200℃(1ステップ当たり5℃)の連続した温度に供した。各温度で、ねじれ弾性率G’を10ラジアン/秒の角振動数で測定し、引張振幅を0.1パーセント〜4パーセントで維持して、トルクが十分であり、かつ測定結果が線状領域に留まることを確実にした。
【0087】
10gの初期静止力を維持して(オートテンションモード)、熱膨張が起こった場合に試料中のたるみを阻止した。結果として、グリップ分離ΔLは、特にポリマー試料の融解または軟化点を超える温度で増加した。試験を、最大温度でまたは器具間の間隙が65mmに達した場合、停止した。
【0088】
接着性
全ての接着剤試験(180°剥離及びSAFT)は、2ミルのポリエステル(PET)フィルム上、または記されるような他の基材に0.8〜1ミルの接着剤配合物をブレードコーティングすることによって調製された試験標本を使用して、フィルム積層体を形成するが、表10のデータを除く(具体的な調製が以下に考察される−キャスト押出)。最終アセンブリを「1インチ×6インチ」の条片に切断した(接合面積「1インチ×6インチ」)。全ての後続の接着剤試験方法を、制御温度及び相対湿度(RH)(23℃及び50%RH)条件で測定した。全ての後続の試験に関する重複面積をロールダウン機(Cheminstruments RD−3000)上に設置し、1分当たり12インチの速度で、4ポンド重で2回以上(各方向に1回)通過させた。BlueHill v.3のソフトウェア付きのINSTRON Model5564を使用して、全ての剥離試験を完了した。
【0089】
剥離力は、接着剤がコーティングされたフィルムを基材から除去するのに必要な力の単位であった。剥離力を、積層ステップの後、23℃/50%RH(相対湿度)の状態に20分滞留させるか、または23℃/50%RH(相対湿度)の状態に24時間滞留させた後に測定した。
【0090】
180°の剥離力のスクリーニング:180°の剥離力を、ステンレス鋼(2インチ×6インチ、Chemsultants)、塗布パネル(3インチ×6インチ、Test Panels Incorporatedから入手可能;PPG343開始剤、E86WE403ベースコート、及びE126CD005クリアコート)、またはHDPEパネル(McMaster−Carr部品番号8619K446、2インチ×6インチの小片に切断する)を用いて、試験方法PSTC101試験方法Aを用いて測定した。フィルム積層体を、実験の項で説明されるように調製した。剥離紙を除去し、コーティングされたPETをパネルに接着し、上に説明されるロールダウン技術を用いて積層させた。
【0091】
SAFT(剪断接着性不具合温度)
各資料を、ASTM D4498に従って調製した。試験を、Gruenberg CS60H47を用いて実施した。つり下げ用の重量は、1kgであり、ステンレス鋼パネルへの試料積層を、前の接着剤試験と同様に行った。これらのデータを表1〜7に示し、摂氏温度として報告する。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態は、以下の実施例において詳細に説明されるであろう。
【実施例】
【0093】
試薬
INFUSE9107オレフィンブロックコポリマー‐OBC‐0.866g/cmの密度及び1.0g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0094】
INFUSE9507オレフィンブロックコポリマー‐OBC‐0.866g/cmの密度及び5.0g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0095】
INFUSE9807オレフィンブロックコポリマー‐OBC‐0.866g/cmの密度及び15g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0096】
INFUSE9817オレフィンブロックコポリマー‐OBC‐0.877g/cmの密度及び15g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0097】
PICCOTAC1095‐C5粘着付与剤‐94℃の環球式軟化点及び1700のM、Eastman Chemical Companyから入手可能である。
【0098】
PICCOTAC1100‐C5粘着付与剤‐100℃の環球式軟化点C及び2900のM、Eastman Chemical Companyから入手可能である。
【0099】
SONNEBORN HYDROBRITE550‐鉱油‐約0.87g/cmの密度及び約70%のパラフィン系炭素。
【0100】
CHEVRON PARALUX6001‐鉱油‐約0.87g/cmの密度及び約70%のパラフィン系炭素。
【0101】
IRGANOX1010‐抗酸化剤‐ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)。
【0102】
DOW DX5E66‐ポリプロピレン樹脂‐8.7g/10分のMFR(230℃/2.16kg)。Braskemから入手可能である。
【0103】
DOW LDPE5004I‐低密度ポリエチレン‐0.924g/cmの密度及び4.2g/10分のI2(190℃/2.16kg)
【0104】
DOW LDPE748I‐低密度ポリエチレン‐0.920g/cmの密度及び7g/10分のI2(190℃/2.16kg)。
【0105】
ULTRAMID C33‐ポリアミド‐1.12g/cmの密度。
【0106】
DOWLEX2038.68ポリエチレン樹脂‐0.935g/cmの密度及び1g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0107】
AMPLIFY TY1052H‐MAHグラフト化PE結合層濃縮配合物‐0.875g/cmの密度及び1.3g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0108】
AMPLIFY TY1053H‐MAHグラフト化PE結合層濃縮配合物‐0.958g/cmの密度及び2g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0109】
ELITE5960‐高密度ポリエチレン‐0.960g/cmの密度及び0.85g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0110】
BRASKEM PP6D83K‐ランダムコポリマーポリプロピレン‐1.9g/10分のMFR(230℃/2.16kg)。
【0111】
DOW DFDA−7059NT7線状低密度ポリエチレン樹脂‐0.918g/cm3の密度及び2g/10分のI2(190℃/2.16kg)。
【0112】
EVAL H171B‐エチレンビニルアルコール‐1.17g/cmの密度及び1.7g/10分のI2(190℃/2.16kg)。
【0113】
AMPACET10063‐抗ブロックマスターバッチ。
【0114】
AMPACET10090‐スリップマスターバッチ。
【0115】
ENGAGE7447ポリオレフィンエラストマー‐0.865g/cmの密度及び5.0g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0116】
ENGAGE8137ポリオレフィンエラストマー‐0.864g/cmの密度及び13g/10分のI2(190℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0117】
VERSIFY3401エラストマー‐0.865g/cmの密度及び8.0g/10分のMFR(230℃/2.16kg)。Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0118】
表1〜7の配合物(約10グラムの総試料重量)を、ブレード攪拌機を装備した5つのドラムガラスバイアル中に秤量し、バイアルを、1時間撹拌しつつ150℃までホットプレートで加熱した。各配合物を、次いで、CHEMSULTANTSからの「2ミル」の未処理のポリエステルフィルム(PET基材)上に拡散した。PET基材を、ブレードコーティング機に連結されたホットメルトコーティングデバイス(CHEMINSTRUMENTS LL−100Laboratory Laminator)に前もって積載した。
【0119】
コーティングブレード温度を、130℃に設定し、コーティングプレート温度を、110℃に設定した。60psi及び0.5高速読み込みに設定されたCHEMINSTRUMENTS LL−100Laboratory Laminatorを使用して、コーティング機を通して2ミルのポリエステルフィルムを引き出した。各配合物を、0.8〜1ミルのコーティング厚で基材上にコーティングし、シリコーンコーティングされた剥離紙に積層させた。最終の積層体(PET表面原料/配合物/紙)は、0.8〜1ミルの配合物コーティング厚さを有した。3または4インチ幅のフィルム(配合物)を、基材上にコーティングした。積層体を、「25mm×150mm」の試験試料に切断した。各試験試料を、PSTC−101Aを用いて接着剤試験に供した。
【0120】
各試験試料については、剥離紙を除去し、コーティングされたPETを、ロールダウン機を用いて、ステンレス鋼(2インチ×6インチ、Chemsultants)、塗布パネル(3インチ×6インチ、Test Panels Incorporated)、またはHDPEパネル(2インチ×6インチ、McMaster−Carr)のいずれかに接着させた‐試験方法のセクションを参照されたい。
【0121】
【表1A】
【0122】
【表1B】
【0123】
表1Aには、オレフィンブロックコポリマー(OBC)としてINFUSE9507、粘着付与剤としてPICCOTAC1095、及び鉱油としてHYDROBRITE550を含有する配合物を列挙する。OBCは、70〜90重量%の範囲であった。粘着付与剤は、5〜20重量%で変化した。鉱油は、5〜15重量%で変化した。
【0124】
表1Bは、表1Aの本組成物の各々について計算したI2及びI10/I2値を提供する。表1Bに見られるように、I2及びI10/I2値は、望ましい範囲内に存在する。表1Bの値は、表11に組成物データを列挙しJMP Pro10.0.2(SASから入手可能)統計ソフトウェアを用いて計算した。このソフトウェアにおいて、(DOEドロップダウンメニューから選択された)「Mixture Design」を使用して、表11に提供された3つの成分範囲についてI2及びI10/I2応答を評価した(INFUSE9507は、65〜90重量%の範囲であり、PICCOTAC1095は、5〜20重量%の範囲であり、HYDROBRITE550は、5〜15重量%の範囲である)。このソフトウェアにおいて、「Extreme Vertices」タイプを、右側のボックスの「1」を用いて更に選択し、それは、最小のサブセットに設計を限定する(頂点のみ)。表11からの実験データ(I2及びI10/I2)を、ソフトウェアによって生成された表に追加した。表1Aの全ての配合物は、選択された設計内に属する。次いで、設計及びデータを、プログラムのモデリングスクリプトを用いてモデル化した。標準最小2乗パーソナリティを使用し、強調点は、レバレッジ効果を生んだことであった。次いで、予測式を使用して表1Bの値を計算した。
【0125】
I2予測式は、以下の通りである:
I2=5.65*((INFUSE9507−0.65)/0.25)+23.65*((PICCOTAC1095−0.05)/0.25)+32.15*((HYDROBRITE550−0.05)/0.25)。
【0126】
I10/I2予測式は、以下の通りである:
I10/I2=7.7*((INFUSE9507−0.65)/0.25)+11.0333333333333*((PICCOTAC1095−0.05)/0.25)+11.95*((HYDROBRITE550−0.05)/0.25)。
【0127】
代表的な実施例として、実施例8から式を入力することで、以下のようなI2及びI10/I2式を提供した:
I2(g/10分中)=5.65*((0.9−0.65)/0.25)+23.65*((0.05−0.05)/0.25)+32.15*((0.05−0.05)/0.25)、及び
I10/I2=7.7*((0.9−0.65)/0.25)+11.0333333333333*((0.05−0.05)/0.25)+11.95*((0.05−0.05)/0.25)。
表1Bにそれぞれ見られるように、「I2等式」は、小数第1位で四捨五入された場合5.65または5.7g/10分のI2を提供し、「I10/I2等式」は、7.7のI10/I2を提供した。このソフトウェア手法を使用して他の式を評価できる。更に、式のI2及びI10メルトインデックスは、上述のように、ASTM D1238を用いて測定され得る。
【0128】
上述のように、表1Aの配合物を、2ミルのポリエステル、未処理のフィルム上にコーティングし、いくつかの表面に対して(ステンレス鋼または塗布パネル)、接着力の代表として180°の剥離試験を用いて接着性を試験した。OBC、粘着付与剤、及びオイルの比率を変化させることによって、広範囲の接着性がステンレス鋼パネル、ならびにクリアトップコーティングで塗布したパネルに可能であることが見出された。13N/インチを超える接着性は、粘着付与剤及びオイルの低レベルを用いることで達成可能であった。
【0129】
表1Aに示される結果に基づいて(3つのレベルの接着性(高、中、及び低))選択したそれぞれの配合物を、更なる研究のために選んだ。表2〜4の配合物は、様々な量の粘着付与剤及びOBCを使用した。上述のように、「180°剥離試験」を用いた実施例15〜47のステンレス鋼及びHDPEパネル上の接着剤試験、ならびにSAFT試験(実施例15〜35)。これらの表に見られるように、OBCの密度を増加させることは、ステンレス鋼に対する接着性を減少させたが(表2及び3を参照)、OBCのメルトインデックスを増加させることは、接着性特性を劇的に変化させなかった(表1、2、及び4を参照)。表3に見られるように、粘着付与剤の軟化点温度を増加させることは、接着性特性への限られた影響を有するか、または影響を有しない。表2に示されるデータはまた、鉱油の除去が可能であることを示すが、ステンレス鋼に対する接着性は、減少した。メルトインデックスを増加させることは、SAFT(表2及び4を参照)を減少させ、鉱油の量を減少させることは、SAFTを増加させた(表2及び3を参照)。表3は、同様のメルトインデックス範囲内で、OBCの密度を増加させることがSAFTに影響を及ぼさないことを示す。更なる配合物を、表4に示す。
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
表5〜7は、上の表1Aの試料と同じ方法で調製し試験した接着性試験試料から生成された種々のランダムコポリマーのデータを示す。これらの表に見られるように、配合物は、SAFT及び剥離の不十分なバランスを示す。表5及び6に見られるように、配合物は、より高い量の粘着付与剤を使って配合された場合でも低SAFTを有する。表7に示される配合物は、比較できる剥離及びSAFTを確かに有するが、しかしながら、OBC系配合物と比較すると、これらの他のポリマー系配合物は、許容される接着性レベルを提供する成分の量のより狭い範囲を有する。
【0134】
【表5】
【0135】
【表6】
【0136】
【表7】
【0137】
いくつかの配合物を、2スクリュー式押出機を用いて調製し、次いで、メルトインデックス及び密度を試験した(表8)。表8に示される配合物を、単一のステップの2スクリュー式押出ラインプロセスによって調製した。重量%の配合物成分を、表8に列挙する。配合動作を、COPERION ZSK−25、25mmの同速回転の2スクリュー式押出機で実施した。本押出機は、48の合計長さと直径との比率(L/D)を有した。押出機には、24kWモータが装備され、1200RPMの最大スクリュー速度を有した。この押出ラインのための供給システムは、「ロスインウェイト式」供給装置からなった。ポリマー前駆体を、K−TRON KCLQX3単一スクリュー供給装置を用いて押出機の主供給口内に供給した。PICCOTAC粘着付与剤を、バレル5でサイドアーム内に供給した。PARALUXプロセスオイルを、Leistritzギアポンプを用いてバレル4で注入ポートを通じて添加した。化合物を、2穴ダイを持つ水面下ペレット化ユニットを用いてペレット化した。ペレットを収集し、2000ppmのPOLYWAX2000(Baker Hughesから入手可能)を使って粉塵化し、次いで、窒素パージ下で24時間乾燥させた。全ての使用について、スクリュー速度を、300RPMに設定した。温度プロファイルを、次の用に設定した:100℃(分域1)、120℃(分域2)、140℃(分域3)、140℃(分域4)、110℃(分域5)、100℃(分域6)、110℃(分域7)。
【0138】
下記の実施例では、異なるメルトインデックスを持ついくつかのOBCを使用した。PICCOTAC1095を、粘着付与剤として使用し、PARALUX6001を、鉱油として使用した。これらの配合された組成物は、約0.88g/ccの密度を持つ、約2〜約40グラム/10分(2.16kgで190℃)のI2値の範囲である。配合された組成物を、キャストまたはブローフィルムラインに押し出すことができ、基材上に押出コーティングでき、他のホットメルトコーティング技術において使用できる。配合物は、それらを広い温度範囲にわたる接着剤適用に好適にする非常に低いTgを有した。表9を参照されたい。本発明の配合物もペレット化することができる。
【0139】
【表8】
【0140】
【表9】
【0141】
表10に提供された接着剤剥離データは、同じ剥離力試験方法PSTC101Aに従う。
【0142】
実施例36〜38を、プロピレン系ポリマー(Dow DX5E66)と一緒に3層キャストフィルムラインに共押出した(実施例45〜47を参照されたい)。接着剤を内層(C)として押し出したが、A/C/Bフィルム構成の外層(A及びB)は、押出プロピレン系ポリマーであった。キャスト押出構造を、2つの「25mmの押出機」及び1つの「30mmの押出機」を持つCollinsの3層キャスト押出ラインを用いて生成した。各押出機を、材料に応じてポリプロピレンまたはポリエチレンのいずれかのために典型的な温度で泳動した。押出機Aの分域1〜8の温度プロファイルは、それぞれ、54℃、220℃、225℃、230℃、235℃、235℃、230℃、230℃であった。押出機Bの分域1〜8の温度プロファイルは、それぞれ、43℃、220℃、225℃、230℃、235℃、235℃、230℃、230℃であった。押出機Cの分域1〜8の温度プロファイルは、それぞれ、49℃、100℃、180℃、200℃、220℃、230℃、230℃、230℃であった。ダイ間隙は、20ミルであり、これは、以下の層厚:A(0.5ミル)、B(1.0ミル)、及びC(0.5ミル)を有する、7.25インチ幅の合計構造で2ミル厚を生成した。層C(接着剤層)に面する剥取ローラーを、マスキングテープで包んで剥離を提供した、しかしながら、剥離紙またはシリコーンローラーはまた機能するであろう。フィルムを、取込ローラーに自己巻取りした。
【0143】
「テープ」または接着剤フィルムを収集し、前の小規模な実施例が行われたことと同じ方法で接着性の試験をした。自己巻取りしたロールを巻き戻し、フィルムを、「1インチ×6インチ」条片に切断して試験方法に適合させた。同じ接着剤を用いるが外層としてポリエチレン樹脂を有する同様の構造もまた作製し、同様の接着性を示した。表10を参照されたい。
【0144】
【表10】
【0145】
表1Aの被覆された設計空間の4つのコーナーを、メルトインデックス、密度、及び他の物理的特性に関して分析した。それらを、表11及び12に報告する。表1Aの全ての試料は、これらの4つのコーナーの実施例(48〜51)を使って見出された範囲内に合理的に属するべきである。これらの配合物は、3000E Haake徳利形ミキサを用いて作製された。成分を表11に列挙される比率で秤量して、「200グラム」の合計試料を作製した。HYDROBRITE550及びINFUSE9507を、7日間51℃にてオーブンで加熱して、オイルをポリマー中に吸収させることを補助して、PICCOTAC1095が次いで添加されたHaake徳利形内での混合を容易にした。徳利形を160℃まで加熱し、粘着付与剤を添加した後で、80RPMの剪断を5分間使用した。
【0146】
【表11】
【0147】
【表12】
【0148】
表5〜7に上述されたものに加えて、いくつかの比較用組成物(実施例52〜59)を調製した。それらを、実施例48〜51と同じ方法で化合した。試料を分割して、いくつかに物理試験を行い(表14及び16)、表13に示される条件を使ってMTP140四面体プレスを用いて、次いで残りの試料を接着剤試験のために2ミルのPET上にプレス加工した(表15に結果を示す)。試料を約2ミル厚にプレス加工し、2ミルの黄銅テンプレートを用いてプレス加工プロセス中に間隙を固化した。PETフィルム、黄銅テンプレートを有する試料、及びシリコーン剥離紙のサンドイッチを調製した。次いで、黄銅テンプレートと一緒に剥離紙を試料から除去し、結果として得られた試料を上述の接着性試験に従って条片に切断し、同じプロトコルに従って試験した。
【0149】
【表13】
【0150】
【表14】
【0151】
【表15】
【0152】
【表16】
【0153】
実施例52及び53を、それぞれ、好ましいものよりも高い量の粘着付与剤及びオイルを用いて調製し、結果として得られたメルトフローがI2の場合は十分であるが、I10/I2比が高いことを示し、共押出ラインで加工する際に困難であることを示している。これらの2つの実施例に関する24時間での接着性はまた、保護ラップ適用に関して高すぎる接着性であるか(実施例52を参照されたく、保護ラップは表面塗料または他の表面処理を除去する可能性がある)、または低すぎるか(実施例53を参照のこと、保護ラップは物品表面に十分接着しない)のいずれかである。
【0154】
実施例54〜57は、好ましい範囲を超えるI2またはI10/I2比のいずれかを有する種々の配合物であるが、成分量の慎重な選択なしでは接着性が大部分の適用において機能するには低すぎるであろうことを示している。
【0155】
実施例58及び59は、それぞれ、それらの不十分な接着性性能において保護ラップ適用に関して52及び53に類似しており、I2及びI10/I2比が良好な加工性能を持つ組成物を有するように好ましい範囲内に存在する必要があることを示している。実施例58及び59は、良好なI10/I2比を有するが、I2は、共押出ラインで十分に加工するには高すぎる。