特許第6466917号(P6466917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6466917強いガラス/ポリマー中間層接着力を有する合わせガラス構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6466917
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】強いガラス/ポリマー中間層接着力を有する合わせガラス構造
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20190128BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20190128BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20190128BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20190128BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   C03C27/12 R
   C03C27/12 D
   C03C21/00 101
   C03C27/12 F
   B32B17/10
   B32B27/30 102
   B60J1/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-509013(P2016-509013)
(86)(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公表番号】特表2016-522138(P2016-522138A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014033970
(87)【国際公開番号】WO2014176059
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年4月7日
(31)【優先権主張番号】61/814,569
(32)【優先日】2013年4月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ウィリアム キース
(72)【発明者】
【氏名】フリスク,マーク スティーヴン
【審査官】 田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−519967(JP,A)
【文献】 米国特許第06432522(US,B1)
【文献】 国際公開第2012/051038(WO,A1)
【文献】 特表2009−500278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラス構造において、
2mmより薄い厚さを有する2枚のガラス板、及び
少なくとも7の打撃接着力値を有する前記2枚のガラス板への接着力をもつ、前記2枚のガラス板の間のポリマー中間層を有し、前記中間層は、イオノマー、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアセテート、熱可塑性ポリウレタン、又は熱可塑性材料で形成され、かつ、前記合わせガラス構造は、平均破壊高(MBH)が少なくとも20フィート(約6.1m)の貫入抵抗を有することを特徴とする合わせガラス構造。
【請求項2】
前記2枚のガラス板の内の少なくとも一方または両方が化学的に強化され、2.0mmをこえない厚さ、1.5mmをこえない厚さまたは1mmをこえない厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス構造。
【請求項3】
前記中間層が、イオノマー、ポリカーボネートまたはポリビニルブチラールで形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の合わせガラス構造。
【請求項4】
前記中間層が、少なくとも8または少なくとも9の打撃接着力値を有する前記2枚のガラス板への接着力をもつことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の合わせガラス構造。
【請求項5】
合わせガラス構造を形成する方法において、
第1のガラス板、第2のガラス板及びポリビニルブチラールの中間層を提供する工程、
前記第1のガラス板の上面上に前記中間層を重ねる工程、
集成スタックを形成するために前記中間層上に第2のガラス板を重ねる工程、及び
前記中間層の軟化温度にあるかまたはそれより高い温度に前記集成スタックを加熱して、前記中間層を前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板に貼り合わせる工程、を有してなり、
少なくとも7の打撃接着力値を有する接着力で前記中間層が前記2枚のガラス板に接合されるように、前記中間層と前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板の間に接着抑制剤が用いられないことを特徴とする方法であって、前記合わせガラス構造は、平均破壊高(MBH)が少なくとも20フィート(約6.1m)の貫入抵抗を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
合わせガラス構造を形成する方法において、
第1のガラス板、第2のガラス板及びイオノマーの中間層を提供する工程、
前記第1のガラス板の上面上に前記中間層を重ねる工程、
集成スタックを形成するために前記中間層上に第2のガラス板を重ねる工程、及び
前記中間層の軟化温度にあるかまたはそれより高い温度に前記集成スタックを加熱して、前記中間層を前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板に貼り合わせる工程、を有してなり、
少なくとも7の打撃接着力値を有する接着力で前記中間層が前記2枚のガラス板に接合されるように、前記中間層と前記第1のガラス板及び前記第2のガラス板との間に接着促進剤が用いられないことを特徴とする方法であって、前記合わせガラス構造は、平均破壊高(MBH)が少なくとも20フィート(約6.1m)の貫入抵抗を有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は2013年4月22日に出願された米国仮特許出願第61/814569号の優先権の恩典を主張する。上記仮特許出願の明細書の内容はその全体が参照として本明細書に含められる。
【技術分野】
【0002】
本開示は全般には合わせガラス構造、さらに詳しくはポリマー中間層と少なくとも1枚のガラス板の間の接着力が比較的強い合わせガラス構造に関し、この合わせガラス構造は自動車用グレージング並びにその他の乗物用途及び建築用途に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
合わせガラスは建築用途及び、自動車、車両、機関車及び航空機を含む、建築用途及び乗物用途または輸送用途における窓及びグレージングとして用いることができる。合わせガラスは、高欄及び階段におけるガラスパネルとして及び、壁、柱、エレベータキャブ及びその他の建築用途のための装飾パネルまたはカバーとして、用いることもできる。合わせガラスは、看板、ディスプレイ、電化製品、電子装置及び家具のためのガラスパネルまたはカバーとして用いることもできる。建築用途及び乗物用途に用いられる一般的な合わせガラスのタイプには、透明及び色付きの合わせガラス構造がある。本明細書に用いられるように、グレージングまたは合わせガラス構造(合わせガラス)は、少なくとも1枚のガラス板がポリマーの層、フィルムまたはシートに貼り合わされている、窓、パネル、壁またはその他の構造の、透明、準透明、半透明、または不透明な部分である。しかし、そのような貼り合わせ構造は、看板、電子ディスプレイ、電子装置及び電化製品のカバーガラスとして、またその他の多様な用途にも、用いることができる。
【0004】
そのような合わせガラスの貫入抵抗は、ステアケース法またはエネルギー法によって平均破壊高(MBH)を測定することができる、2.27kg(5ポンド)球落下試験を用いて決定することができる。例えば、米国において乗物に使用するための自動車用フロントガラスは、ANSI(米国国家規格協会)規定Z26.1に見られる最小貫入抵抗仕様(12フィート(約3.66m)において合格率100%)に合格しなければならない。世界の他の国々においても満たされることが要求される同様の規定がある。米国及び欧州のいずれにおいても、建築用途における合わせガラスの使用に対して最小貫入抵抗が満たされなければならない特定の要求規定がある。
【0005】
ステアケース法は、様々な高さから30.5×30.5cmの試料上に鋼球を落下させることができる衝撃タワーを利用する。MBHは、試料の50%が球を持ちこたえ、50%が貫入させるであろう、球落下高として定義される。試験合わせガラス試料はANSI規定Z26.1に説明されるフレームと同様の支持フレームに水平に支持される。必要であれば、合わせガラスを所望の試験温度に状態調節するため、環境室が用いられる。試験は、支持フレームに試料を支持し、予想されるMBHに近い高さから球を合わせガラス試料上に落すことで行われる。球が合わせガラスに貫入すれば、不耐として結果が記録され、球が持ちこたえられれば、耐球として結果が記録される。結果が耐球であれば、落下高を前の試験より0.5m高くしてプロセスが反復される。結果が不耐であれば、落下高を前の試験より0.5m低くしてプロセスが反復される。試験試料の全てが用いられてしまうまでこの手順が反復される。次いで結果が表にされ、それぞれの落下高について%保持率が計算される。次いでこれらの結果が%保持率対高さとしてグラフにされ、データの最良フィッティングを表す直線がグラフ上に引かれる。MBHは一般に、5ポンド(2.27kg)の球が合わせガラスに貫入するであろう確率が50%になる高さである。
【0006】
ガラス板へのポリマー中間層の接着力は打撃接着力試験(pummel adhesion test)を用いて測定することができる(打撃接着力値は無単位である)。打撃試験は、合わせガラスにおけるPVBまたはその他の中間層へのガラスの接着力を測定する、標準的な方法である。試験は、合わせガラスを一晩0°F(−18℃)に状態調節する工程及び、続いて、ガラスを砕くために試料を1ポンド(約0.45kg)のハンマーで「打撃する」すなわち衝撃を加える工程を含む。接着力は、PVB中間層から剥がれ落ちたガラスによって生じた露出PVBの総面積で判断される。中間層に接着されていない全てのガラス破片が取り除かれる。中間層シートに接着したままのガラスが目視によって1セットの既知の打撃スケール標準と比較され、数値が大きいほど、より多くのガラスが中間層に接着したままでいる。すなわち、ゼロの打撃接着力値は中間層に接着しているガラスが全く残っていないことを意味しており、10の打撃接着力値は100%のガラスが中間層に接着したままでいることを意味する。一般的なガラス/PVB/ガラス合わせガラスに対して許容できる貫入抵抗(または耐衝撃強度)を達成するには、ガラス/PVB界面接着力レベルが約3〜7打撃接着力単位に維持されるべきである。一般的なガラス/PVB/ガラス合わせガラスに対して許容できる貫入抵抗は、3〜7、好ましくは4〜6の打撃接着力値において達成される。2より小さい打撃接着力値では、衝撃中に一般的なガラス/PVB/ガラスのシート及びガラスからあまりにも多くのガラスが失われ、合わせガラス一体性に関わる問題(すなわち、剥離)及び長期耐久性に関わる問題もおこり得る。7より大きい打撃接着力値では、一般的なガラス/PVB/ガラスのシートへのガラスの接着力が強すぎ、この結果、エネルギー散逸能力が低く、貫入抵抗が低い、合わせガラスになり得る。
【0007】
グレージング構造は一般に、ポリビニルブチラール(PVB)中間層を有する(熱処理されているかまたはアニールされている)2層の2mm厚ソーダ石灰ガラスを含む。このような合わせガラス構造には、低コスト及び、自動車及びその他の用途に十分な、衝撃抵抗及び剛性を含む、いくつかの利点がある。しかし、これらの限定された衝撃抵抗のため、これらの合わせガラス構造は通常、路傍の石が当たるか、野蛮な行為及び/またはその他の衝撃イベントに遭遇した場合に、劣悪な挙動を示し、破壊する確率が高い。ほとんどの自動車用合わせガラス構造はPVB中間層材料を用いている。許容できるPVB中間層のガラスへの接着力及び貫入抵抗を達成するために、PVBフィルムのガラスへの接着力を減じるため、調整塩類またはその他の接着抑制剤がPVB配合に添加される。しかし、PVB中間層のガラスへの接着力の低減は、破壊後のガラス保持を低下させる、望ましくない効果を有する。建築用途に広く用いられているイオノマー中間層、例えばデュポン社からのSentryGlas(登録商標)に対しては、イオノマー中間層のガラスへの接着力を強めるために接着促進剤が必要であることが多い。
【0008】
本明細書に挙げられるいかなる参考文献も、あるいは本明細書に説明される背景技術も、従来技術をなすとは認めていない。出願人は、挙げられるいかなる文書についてもその正確性及び妥当性に異議を申し立てる権利を明白に有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
多くの乗物用途において、燃費は乗物の重量の関数である。したがって、そのような用途に対してはグレージングの重量を、その強度及び遮音特性を犠牲にせずに、低減することが望ましい。前述の観点において、より厚く、より重いグレージングに付随する耐久性、遮音及び破損性能特性を有するかまたはこえる、より薄く、経済的なグレージングまたは合わせガラスが望ましい。
【0010】
本開示は、少なくとも1枚の薄い化学強化ガラス板と少なくとも1枚の、PVB層または「SentryGlas」層のような、ポリマー層の間の接着力レベルが比較的強い、自動車用途、建築用途及びその他の用途のための合わせガラスに関する。本開示にしたがう合わせガラスはガラスとポリマー層の間に比較的強い接着力を有し、優れた破壊後ガラス保持特性も有する。本開示に説明されるような合わせガラスは比較的強い接着力と比較的高い貫入抵抗の優れた組合せも示し、これは従来のソーダ石灰ガラス/PVB合わせガラスが示す強い接着力における劣った貫入抵抗とは正反対である。さらに、本開示の合わせガラスには、許容できる貫入抵抗あるいはPVBまたは「SentryGlas」のガラスへの接着力を与えるための、接着力調整剤が必要ではない。対照的に、従来のソーダ石灰ガラス/PVB合わせガラスは強い接着力レベルにおいて劣った貫入抵抗を示す。さらに、PVBシートを一例のガラス板に貼り合わせるいくつかの実施例において、得られる合わせガラスの高貫入抵抗は、PVBをガラス板に接合する際の接着抑制剤の必要を排除し得る。さらに、「SentryGlas」シートを一例のガラス板に貼り合わせる別の実施例において、化学強化ガラスの「SentryGlas」シートへの強い接着力は、「SentryGlas」をガラス板に接合する際の接着促進剤の必要を排除し得る。さらに、薄い化学強化ガラス板と「SentryGlas」の間の比較的強い接着力は、「SentryGlas」をソーダ石灰ガラスに貼り合わせる場合におけるように、ガラス板のいずれの側に「SentryGlas」が接触するかには依存しない。
【0011】
本開示の一実施形態にしたがえば、2枚の厚さが2mmより薄いガラス板及び、合わせガラスが少なくとも7,少なくとも8または少なくとも9の打撃接着力値を有するように2枚のガラス板に接着している、2枚のガラス板の間のポリマー中間層を有する合わせガラス構造が提供され得る。本開示に説明されるような合わせガラスの中間層は約0.5mmから約2.5mmの範囲にある厚さを有する。別の実施形態にしたがえば、合わせガラスは少なくとも20フィート(約6.1m)の平均破壊高(MBH)の貫入抵抗を有し得る。2枚のガラス板の内の少なくとも一方は化学的に強化することができる。もちろん、2枚のガラス板のいずれをも化学的に強化することができ、いずれもが1.5mmをこえない厚さを有することができる。別の実施形態において、2枚のガラス板の内の少なくとも一方は、2mmをこえない、1.5mmをこえない、または1mmをこえない、厚さを有することができる。中間層の例は、イオノマー、ポリビニルブチラール(PVB)、またはその他の適するポリマーで形成することができる。本開示に説明されるような合わせガラスにおける(デュポン社からの「SentryGlas」)のようなイオノマー中間層は約0.5mmから約2.5mm、または0.89mmから約2.29mmの範囲にある厚さを有することができる。本明細書に説明されるような合わせガラスにおけるPVB中間層は約0.38mmから約2mm、または約0.76mmから約0.81mmの範囲にある厚さを有することができる。
【0012】
本開示は、第1のガラス板、第2のガラス板及びポリビニルブチラール中間層を提供する工程並びに、集成スタックを形成するため、第1のガラス板の上面に中間層を重ねる工程及び中間層の上に第2のガラス板を重ねる工程を含む、合わせガラス構造を形成する方法も説明する。この方法は、中間層を第1のガラス板及び第2のガラス板に、少なくとも7の打撃接着力値をもって中間層が2枚のガラス板に接合されるように、貼り合わせるため、中間層と第1のガラス板及び第2のガラス板の間に接着抑制剤を用いずに、中間層の軟化温度ないしそれより高い温度まで集成スタックを加熱する工程も含む。
【0013】
本開示は、第1のガラス板、第2のガラス板及びイオノマー中間層を提供する工程並びに、集成スタックを形成するため、第1のガラス板の上面に中間層を重ねる工程及び中間層の上に第2のガラス板を重ねる工程を含む、合わせガラス構造を形成する方法も説明する。この方法は、中間層を第1のガラス板及び第2のガラス板に、少なくとも7の打撃接着力値をもって中間層が2枚のガラス板に接合されるように、貼り合わせるため、中間層と第1のガラス板及び第2のガラス板の間に接着促進剤を用いずに、中間層の軟化温度ないしそれより高い温度まで集成スタックを加熱する工程も含む。
【0014】
さらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本開示の記述及び特許請求の範囲に、また添付図面にも、説明されるように実施形態を実施することによって認められるであろう。上述の全般的説明及び以下の詳細な説明のいずれもが例示に過ぎず、特許請求の範囲の本質及び特質を理解するための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面はさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。図面は1つ以上の実施形態を示し、記述とともに、様々な実施形態の原理及び動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本開示の一実施形態にしたがう合わせガラス構造の簡略な断面図である。
図2図2は本開示の別の実施形態にしたがう合わせガラス構造の簡略な断面図である。
図3図3は本開示の実施形態にしたがう様々なガラス板の層深さ対圧縮応力のグラフである。
図4図4はソーダ石灰ガラス/PVB合わせガラスに対する貫入抵抗対接着力のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本主題の理解を容易にするため、同様の要素には同様の参照数字が付されている図面を参照して、強いガラスのポリマー中間層への接着力を有する合わせガラス構造についての様々な実施形態を説明する。
【0017】
本主題の以下の説明は有効な教示及び、その最良の、現在知られている実施形態として提供される。当業者であれば、本開示に説明される実施形態に多くの変更がなされ得るが、それでも本主題の有益な結果を得られることを認めるであろう。本主題の望ましい恩恵のいくつかが、本主題の特徴のいくつかを選択することにより、他の特徴は用いずに、得られることも明らかであろう。したがって、当業者であれば、本主題の多くの改変及び翻案が可能であり、いくつかの状況においては望ましくさえあって、本開示の一部であることを認めるであろう。したがって、以下の説明は本主題の原理の例証として提供され、本主題を限定するものではない。
【0018】
当業者であれば、本主題の精神及び範囲を逸脱することなく、本開示に説明される実施形態例に多くの改変が可能であることを了解するであろう。したがって、説明は与えられた例への限定を目的としておらず、またそのように解されるべきではなく、添付される特許請求項及びそれらの等価形態によって与えられる全保護範囲が認められるべきである。さらに、本開示の特徴の内のいくつかの使用が、他の特徴の対応する使用無しに、可能である。したがって、例示または例証のための実施形態の上記説明は本主題の原理の説明のために与えられ、本主題を限定するものではなく、実施形態への改変及び実施形態の置換を含むことができる。
【0019】
図1は本開示の一実施形態にしたがう合わせガラス構造(または単に合わせガラス)10の簡略な断面図である。図1を参照すれば、合わせガラス構造10はポリマー中間層のそれぞれの側に張り合わされた2枚のガラス板12及び14を有することができる。ガラス板12及び14の少なくとも一方はイオン交換プロセスによって化学的に強化されているガラスで形成することができる。ポリマー中間層16は、例えば、PVBまたは、「SentryGlas」のような、イオノマー材料で形成することができる。比較的硬いPVBはソルーシア(Solutia)社からのSaflex DGである。例として、中間層は、標準PVB、遮音PVB、エチレンビニルアセテート(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはその他の適するポリマーまたは熱可塑性材料で形成することができる。
【0020】
本開示の実施形態にしたがえば、ガラス板は、コーニング(Corning(登録商標))社のGorilla(登録商標)ガラスのような、イオン交換プロセスを用いて化学的に強化された薄ガラス板で形成することができる。このタイプのプロセスでは、一般にガラス板が溶融塩浴にあらかじめ定められた時間浸漬される。ガラス板の表面またはその近傍でガラス板内にあるイオンが、例えば塩浴からの、より大きな金属イオンと交換される。限定ではない一実施形態において、溶融塩浴の温度は約430℃であり、あらかじめ定められた時間は約8時間である。ガラスへのより大きなイオンの導入は、表面近傍領域に圧縮応力を生成することでガラス板を強化する。圧縮応力とバランスをとるため、対応する引張応力がガラス板の中央領域に誘起され得る。
【0021】
本開示及び添付される特許請求の範囲に関して用いられる「薄(い)」は、2.0mmをこえない、1.5mmをこえない、1.0mmをこえない、0.7mmをこえない、0.5mmをこえない、あるいは、約0.5mmから約2.0mm、約0.5mmから約1.5mm、または約0.5mmから約1.0mmまたは約0.5mmから約0.7mmの範囲内の、厚さを有するガラス板を意味し得る。
【0022】
本開示に説明されるような合わせガラスのポリマー中間層は約0.5mmから約2.5mmの範囲にある厚さを有することができる。本開示に説明されるような合わせガラスの(デュポン社からの「SentryGlas」のような)イオノマー中間層は約0.5mmから約2.5mmまたは0.89mmから約2.29mmの範囲にある厚さを有することができる。本開示に説明されるような合わせガラスのPVB中間層は約0.38mmから約2mmまたは約0.76mmから約0.81mmの範囲にある厚さを有することができる。
【0023】
米国特許第7666511号、同第4483700号及び同第5674790号の各明細書に説明されているように、コーニング社の「Gorilla」ガラスは、ガラス板をフュージョンドローし、次いでガラス板を化学強化することで作製される。以降でさらに詳細に説明されるように、コーニング社の「Gorilla」ガラスは比較的深い圧縮応力層深さ(DOL)を有し、比較的高い、曲げ強さ、耐ひっかき性及び衝撃抵抗を有する表面を提供する。ガラス板12及び14並びにポリマー中間層16は、ガラス板12,中間層16及びガラス板14が順次に重ね合わされ、押し合わされて、中間層16がガラス板に接着するように、中間層材料の軟化温度より若干高い温度に加熱される。
【0024】
外層ガラス板12及び14の一方または両方として「Gorilla」ガラスを用い、PVB中間層16を用いて、作製された合わせガラスは強い接着力(すなわち、良好な破壊後ガラス保持)及び優れた貫入抵抗のいずれも示す。0.76mm厚強接着力グレード(RA)PVBを2枚の1mm厚「Gorilla」ガラスとともに用いて作製した合わせガラスの試験は、約9から約10の範囲にある比較的高い打撃接着力値を示すことができる。本開示にしたがうPVB中間層を有する薄い合わせガラスは、約7.5から約10、約7から約10、約8から10、約9から約10の範囲にあるか、あるいは少なくとも7,少なくとも7.5,少なくとも8または少なくとも9の、比較的高い打撃接着力値を示し、さらに約20〜24フィート(約6.1〜7.3m)の範囲にあるかまたは少なくとも20フィート(約6.1m)のMBHを含む非常に良好な衝撃特性を示すことができる。これは、上述したMBHと打撃接着力との間の関係に関する従来の知見とは反対である。このタイプの貼り合わせガラス構成の衝撃データにおいては、5ポンド(約2.27kg)の球を用いる24フィート(7.32m)の高さからの3回中2回球落下試験で、球は合わせガラスに貫入しなかった。
【0025】
建築用途に対し、目標は荷重の下での撓みの最小化及び破壊後ガラス保持を最大化とすることができる。これらの用途には、ポリカーボネートまたはデュポン社からの「SentryGlas」のような硬い中間層が広く用いられ得る。0.89mm厚「SentryGlas」及び2枚の1mm厚「Gorilla」ガラス板を用いて作製された合わせガラスの試験は、約10の極めて高い打撃接着力値及び、標準の無硬化PVBを用いて作製された同様の合わせガラスのほぼ2倍の縁端強度で示されるような、荷重印加時の低減された撓みを示す。本開示にしたがう(「SentryGlas」のような)イオノマー中間層を有する薄い合わせガラスは、約7.5から約10、約7から約10、約8から約10、約9から約10の範囲にある、あるいは少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8または少なくとも9の、比較的高い打撃接着力値を有することができ、さらに、約20〜24フィート(約6.1〜7.3m)の範囲にあるかまたは少なくとも20フィート(約6.1m)のMBHを含む非常に良好な衝撃特性を示すことができる。
【0026】
図2は、本開示の別の実施形態にしたがう合わせガラス構造の簡略な断面図である。図2を参照すれば、3枚以上の薄ガラス板22,24,26が隣り合うガラス板の間のポリマー中間層とともにあり得る。そのような実施形態においては、外側のガラス板22及び26だけを化学的に強化することが有利であり得るが、内側のガラス板24(または複数枚のガラス板)も強化ガラスとすることができる。いずれの場合も、内側のガラス板はソーダ石灰ガラスで作製することができる。さらに剛性が必要であれば、内側または中央のガラス板24を、少なくとも1.5mm、少なくとも2.0mmまたは少なくとも3.0mmの厚さを有する、比較的厚いガラス板とすることができる。あるいは、合わせガラス20の内側のガラス板の1枚以上または内側のガラス板の全てを、化学強化ガラス板、薄ガラス板または薄い化学強化ガラス板とすることができる。
【0027】
本開示の実施形態にしたがう合わせガラスに用いるための化学強化ガラス板の形成に適するイオン交換可能なガラスの例は、アルカリアルミノケイ酸ガラスまたはアルカリアルミノホウケイ酸ガラスであるが、他のガラス組成も考えられる。本明細書に用いられるように、「イオン交換可能」は、ガラスがガラスの表面またはその近傍にあるカチオンを、径がより大きいかまたはより小さい、原子価が同じカチオンと交換できることを意味する。一例のガラス組成は、SiO,B及びNaOを含み、(SiO+B)≧66モル%及びNaO≧9モル%である。一実施形態において、ガラス板は少なくとも6重量%の酸化アルミニウムを含む。別の実施形態において、ガラス板は、アルカリ土類酸化物の含有量が少なくとも5重量%であるように、1つ以上のアルカリ土類酸化物を含む。いくつかの実施形態において、適するガラス組成はさらにKO,MgO及びCaOの内の少なくとも1つを含む。特定の実施形態において、ガラスは、61〜75モル%のSiO,7〜15モル%のAl,0〜12モル%のB,9〜21モル%のNaO,0〜4モル%のKO,0〜7モル%のMgO及び0〜3モル%のCaOを含むことができる。
【0028】
合わせガラスの形成に適する別のガラス組成例は、60〜70モル%のSiO,6〜14モル%のAl,0〜15モル%のB,0〜15モル%のLiO,0〜20モル%のNaO,0〜10モル%のKO,0〜8モル%のMgO,0〜10モル%のCaO,0〜5モル%のZrO,0〜1モル%のSnO,0〜1モル%のCeO,50ppmより少ないAs及び50ppmより少ないSbを含み、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0029】
また別の例のガラス組成は、63.5〜66.5モル%のSiO,8〜12モル%のAl,0〜3モル%のB,0〜5モル%のLiO,8〜18モル%のNaO,0〜5モル%のKO,1〜7モル%のMgO,0〜2.5モル%のCaO,0〜3モル%のZrO,0.05〜0.25モル%のSnO,0.05〜0.25モル%のCeO,50ppmより少ないAs及び50ppmより少ないSbを含み、14モル%≦(LiO+NaO+KO)≦18モル%及び2モル%≦(MgO+CaO)≦7モル%である。
【0030】
別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、61〜75モル%のSiO,7〜15モル%のAl,0〜12モル%のB,9〜21モル%のNaO,0〜4モル%のKO,0〜7モル%のMgO及び0〜3モル%のCaOを含むか、これらから基本的になるかまたはこれらからなる。
【0031】
特定の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、アルミナ、少なくとも1つのアルカリ金属及び、いくつかの実施形態においては、50モル%より多くのSiO,別の実施形態においては、少なくとも58モル%のSiO,また別の実施形態においては、少なくとも60モル%のSiOを含み、
【0032】
である。この比において、成分量はモル%で表され、改質酸化物は酸化アルカリ金属である。このガラスは、特定の実施形態において、58〜72モル%のSiO,9〜17モル%のAl,2〜12モル%のB,8〜16モル%のNaO及び0〜4モル%のKOを含むか、これらから基本的になるかまたはこれらからなり、比:
【0033】
である。
【0034】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラス基板は、60〜70モル%のSiO,6〜14モル%のAl,0〜15モル%のB,0〜15モル%のLiO,0〜20モル%のNaO,0〜10モル%のKO,0〜8モル%のMgO,0〜10モル%のCaO,0〜5モル%のZrO,0〜1モル%のSnO,0〜1モル%のCeO,50ppmより少ないAs及び50ppmより少ないSbを含むか、これらから基本的になるかまたはこれらからなり、12モル%≦(LiO+NaO+KO)≦20モル%及び0モル%≦(MgO+CaO)≦10モル%である。
【0035】
また別の実施形態において、アルカリアルミノケイ酸ガラスは、64〜68モル%のSiO,12〜16モル%のNaO,8〜12モル%のAl,0〜3モル%のB,2〜5モル%のKO,4〜6モル%のMgO及び0〜5モル%のCaOを含むか、これらから基本的になるかまたはこれらからなり、66モル%≦(SiO+B+CaO)≦69モル%、(NaO+KO+B+MgO+CaO+SrO)>10モル%、5モル%≦(MgO+CaO+SrO)≦8モル%、[(NaO+B)−Al]≦2モル%、2モル%≦(NaO−Al)≦6モル%及び4モル%≦[(NaO+KO)−Al]≦10モル%である。
【0036】
化学強化ガラスは、また無化学強化ガラスも、いくつかの実施形態において、0〜2モル%の、NaSO,NaCl,NaF,NaBr,KSO,KCl、KF,KBr及び/またはSnOを含む群から選ばれる少なくとも1つの清澄剤をバッチに含めることができる。
【0037】
一実施形態例において、ガラス内のナトリウムイオンが溶融塩浴からのカリウムイオンで置き換えられ得るが、ルビジウムまたはセシウムのような、より大きい原子半径を有する他のアルカリ金属イオンでガラス内のより小さいアルカリ金属イオンを置き換えることができる。特定の実施形態にしたがえば、ガラス内のより小さいアルカリ金属イオンをAgイオンで置き換えることができる。同様に、硫酸塩、ハロゲン化物、等のような、ただしこれらには限定されない、他のアルカリ金属塩をイオン交換プロセスに用いることができる。
【0038】
ガラスネットワークが緩和し得る温度より低い温度における、より小さいイオンのより大きいイオンによる置換はガラスの表面にわたるイオンの分布を生じさせ、この結果、応力プロファイルが生じる。入りイオンのより大きな体積により、ガラスの表面に圧縮応力(CS)が生じ、中央領域に引張応力(中央引張応力(CT))が生じる。圧縮応力は中央引張応力に関係式:
【0039】
【数1】
【0040】
で関係付けられる。ここで、tはガラス板の全厚を表し、DOLは交換の深さを表し、層深さとも称される。
【0041】
様々な実施形態にしたがえば、1枚以上の、イオン交換され、指定された層深さ対圧縮プロファイルを有する、薄い合わせガラスは、低重量、高い衝撃強さ及び改善された音響減衰を含む、多くの、所望の特性を有することができる。
【0042】
一実施形態において、化学強化ガラス板は、少なくとも300MPa,例えば、少なくとも400,500または600MPaの表面圧縮応力、少なくとも約20μm(例えば、少なくとも約20,25,30,35,40,45または50μm)の層深さ及び/または40MPaより大きく(例えば、40,45または50MPaより大きく)100MPaより小さい(例えば、100,95,90,85,80,75,70,65,60または55MPaより小さい)中央引張応力を有することができる。
【0043】
図3は本開示の実施形態にしたがう様々なガラス板についての層深さ対圧縮応力のグラフである。図3を参照すると、様々なガラス板について層深さ対圧縮応力を示すグラフが図示されている。対照ソーダ石灰ガラスからのデータが菱印SLで表され、化学強化アルミノケイ酸ガラスからのデータが三角印GGで表されている。図示される実施形態に示されるように、化学強化ガラス板についての層深さ対表面圧縮応力データは、約600MPaより大きい圧縮応力及び約20μmより大きい層深さによって定めることができる。領域200は、約600MPaより大きい表面圧縮応力、約40μmより大きい層深さ及び約40MPaと65MPaの間の引張応力によって定めることができる。上述の関係式とは独立にまたは上述の関係式とともに、化学強化ガラスは対応する表面圧縮応力によって表される層深さを有することができる。一例において、表面近傍領域は第1のガラス板の表面から少なくとも[65−0.06×CS]の層深さ(μm)まで広がる。ここでCSは表面圧縮応力であり、少なくとも300MPaの値を有する。この線形関係が図3に傾いた直線で描かれている。満足できるCS及びDOLのレベルは、y軸上のDOL及びx軸上のCSのグラフ上で、直線[65−0.06×CS]より上方にある。
【0044】
別の例において、表面近傍領域は第1のガラス板の表面から、少なくとも[B−M×CS]の値を有する層深さ(単位:μm)まで広がり、ここで、CSは表面圧縮応力であって少なくとも300MPaであり、Bは約50から180に範囲にある(例えば、60,70,80,90,100,110,120,140,150,160±5である)ことができ、Mは独立に約−0.2から約−0.02の範囲にある(例えば、−0.18,−0.16,−0.14,−0.12,−0.10,−0.08,−0.06,−0.04±−0.01である)ことができる。
【0045】
化学強化ガラス板の弾性率は約60GPaから85GPaの範囲にある(例えば、60,65,70,75,80または85GPaである)ことができる。ガラス板及びポリマー中間層の弾性率は、得られる合わせガラスの機械的特性(例えば撓み及び強度)及び遮音性能(例えば伝送損失)のいずれにも影響し得る。
【0046】
ガラス板形成方法の例には、それぞれダウンドロー法の例である、フュージョンドロー法及びスロットドロー法を、またフロート法も、含めることができる。フュージョンドロー法は溶融ガラス原材料を受け入れるためのチャネルを有するドロー槽を用いる。チャネルはチャネルの両側にチャネルの長さに沿って頂部に開かれた堰を有する。チャネルが溶融材料で一杯になると、溶融ガラスは堰から溢流する。重力により、溶融ガラスはドロー槽の外表面を流下する。外表面は下方に及び内向きに延び、よってドロー槽の下端において合体する。2つの流動ガラス表面は下端で合体して、融合し、1枚の流動シートを形成する。フュージョンドロー法は、チャネルにかけて流れる2枚のガラスフィルムが融合するから、得られるガラス板の外表面のいずれもが装置のどの部分にも接触しないという利点を提供する。したがって、フュージョンドローガラス板の表面特性はそのような接触による影響を受けない。
【0047】
スロットドロー法はフュージョンドロー法と異なる。スロットドロー法では溶融原材料がドロー槽に供給される。ドロー槽の底にはスロットが開けられ、ノズルがスロットの長さに延びている。溶融ガラスはスロット/ノズルを流過し、連続シートとして下方に引かれてアニール領域に入る。スロットドロー法は一般に、2枚のシートが融合されるのではなく、1枚のシートがスロットを通して板引きされるから、フュージョンドロー法より薄いガラス板を提供する。
【0048】
ダウンドロー法は、一様な厚さを有し、比較的清純な表面をもつ、ガラス板を生産する。ガラス表面の強度は表面傷の数及び大きさで制御されるから、接触が最小限に抑えられた清純な表面はより高い初期強度を有する。この高強度ガラスが次いで化学的に強化されると、得られる強度は、ラッピング及び研磨された表面の強度より高くなり得る。ダウンドロー法で作成されるガラスでは厚さを2mmより薄くし得る。さらに、ダウンドロー法で作成されるガラスは、費用がかかる研削及び研磨を施さずに最終用途で用いられ得る、非常に平坦で滑らかな表面を有する。
【0049】
フロートガラス法において、ガラス板は、一般にはスズの、溶融金属床上に溶融ガラスを浮かせることによって作製される、平滑な表面及び一様な厚さを特徴とすることができる。一プロセス例において、溶融ガラスが溶融スズ床上に送られて浮遊リボンを形成する。ガラスリボンがスズ浴に沿って流れるにつれて、温度が徐々に下げられて、ついには固体ガラス板がスズから持ち上げられてローラーに載せられる。浴から離れると、ガラス板はさらに冷やされ、内部応力を減じるため、アニールされる。
【0050】
自動車用グレージング及びその他の用途のための合わせガラスは様々なプロセスを用いて形成することができる。一例のプロセスにおいて、1枚以上の化学強化ガラス板が、ポリマー中間層とともに予備プレスにおいてアセンブリに集成され、留め合わされて仮合わせガラスにされて、光学的に澄明な合わせガラスに仕上げられる。2枚のガラス板を有する一実施形態例において、アセンブリは、第1のガラスを横たえる工程、PVBシートのようなポリマー中間層を重ねる工程、第2のガラス板を横たえる工程及び、次いで、余分のPVBをガラス板の縁端に合わせてトリミングする工程によって形成することができる。一例の留め合わせる工程は、界面からほとんどの空気を追い出す工程及びPVBをガラス板にある程度接合する工程を含むことができる。一般に高温高圧で実施される、一例の仕上げ工程はガラス板のそれぞれのポリマー中間層への接合を完了させる。
【0051】
PVBのような熱可塑性材料は予備成形されたポリマー中間層として適用され得る。いくつかの実施形態において、熱可塑性層は少なくとも0.125mm(例えば、0.125,0.25,0.375,0.5,0.75,0.76または1mm)の厚さを有する。熱可塑性層は2枚のガラス板の対向する主表面のほとんどまたは実質的に全てを覆うことができる。熱可塑性層はガラスの縁端を覆うこともできる。熱可塑性層と接触しているガラス板は、熱可塑性材料のガラス板への接合を促進するため、熱可塑性層の軟化点よりも高い、例えば軟化点より少なくとも5℃または10℃高いような、温度に加熱することができる。加熱は熱可塑性層と接触しているガラス板を圧力下において実施することができる。
【0052】
一例の中間層のための選ばれた市販ポリマー中間層材料を表1にまとめてある。表1にはそれぞれの製品試料についてのガラス転移温度及び弾性率も与えられている。ガラス転移温度及び弾性率のデータは、ベンダーから入手できる技術データシートから、あるいはガラス転移温度データ及び弾性率データについてそれぞれ、DSC200示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株),日本国)を用いて、またはASTM D638の方法によって、決定した。ISD樹脂に用いられるアクリル/シリコーン樹脂材料のさらなる説明は米国特許第8624763号明細書に開示されており、遮音性改質PVB樹脂の説明は日本国特許第05138840号明細書に開示されている。これらの特許明細書のそれぞれの内容はそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる。
【0053】
【表1】
【0054】
ポリマー中間層の弾性率は、約1MPaから300MPaの範囲にある(例えば、約1,5,10,20,25,50,100,150,200,250または300MPaである)ことができる。1Hzの荷重レートにおいて、標準PVB中間層の弾性率は約15MPaになることができ、遮音グレードPVB中間層の弾性率は約2MPaになることができる。
【0055】
別の実施形態において、2つ以上のポリマー中間層を1枚の合わせガラスに組み入れることができる。複数の中間層は、接着促進、遮音調整、UV透過率調整及び/またはIR透過率調整を含む、相補的なまたは異なる機能を与えることができる。
【0056】
一例の貼り合わせプロセスにおいて、中間層は一般に中間層の軟化に有効な温度に加熱され、この加熱は中間層のそれぞれのガラス板の表面への合一接合及び中間層のガラス板への接着を促進する。例えばPVBに対し、貼り合わせ温度は約140℃とすることができる。中間層材料内の可動ポリマー鎖のガラス表面との接合が進み、これが接着を促進する。高温はガラス−ポリマー界面からの残留空気及び/または水分の拡散も加速する。
【0057】
必要に応じる圧力印加は中間層材料のフローを促進し、また、そうしなければ中間層に閉じ込められた水及び空気の複合蒸気圧によって誘起されるであろう、気泡形成も抑制する。気泡形成を抑制するため、オートクレーブ内でアセンブリに熱と圧力を同時に印加することができる。
【0058】
合わせガラスは実質的に同等のガラス板を用いて形成することができ。別の実施形態においては、非対称合わせガラスを形成するため、組成、イオン交換プロファイル及び/または厚さのような、個々のガラス板の特徴を独立に変えることができる。
【0059】
合わせガラスは、騒音の低減、UV光及び/またはIR光の透過の低減、及び/または窓開口の美観の向上を含む、有益な効果を提供するために用いることができる。開示される合わせガラスをなす個々のガラス板は、また形成された合わせガラスも、組成、密度、厚さ及び表面計量を含む1つ以上の属性を、また、機械特性、光学特性及び/または音響減衰特性を含む、様々な特性も、特徴とすることができる。
【0060】
より薄いガラス板の使用にともなう重量節減が、110cm×50cmの実寸及び密度が1.069g/cmのPVBの0.76mm厚シートのポリマー中間層を有する合わせガラス例についての、ガラス重量、中間層重量及び合わせガラス重量を与える、下の表2に示されている。
【0061】
【表2】
【0062】
表2を参照すれば、個々のガラス板の重量を減じることで、合わせガラスの総重量を劇的に低減することができる。いくつかの用途において、より軽い総重量はより大きな燃費低減に直結する。
【0063】
合わせガラスは、例えば、パネル、カバー、窓またはグレージングとしての使用に適合させることができ、適するいかなる形状寸法にもつくることができる。いくつかの実施形態において、合わせガラスは、10cmから1m以上まで独立に変わり得る(例えば、0.1,0.2,0.5,1,2または5mの)長さ及び幅を有することができる。単独で、合わせガラスは0.1mより大きい、例えば、0.1,0.2,0.5,1,2,5,10または25mより大きい、面積を有することができる。これらの寸法は例示に過ぎず、本明細書に添付される特許請求の範囲を限定するべきではないことは当然である。
【0064】
合わせガラス例は実質的に平形とするかまたは何らかの用途のための形状につくることができる。例えば、合わせガラスはフロントガラスまたはカバープレートとして用いるための湾曲パーツまたは成形パーツとして形成することができる。成形合わせガラスの構造は単純にも複雑にもなり得る。いくつかの実施形態において、成形合わせガラスは、ガラス板が2つの独立な方向で異なる曲率半径を有する、複雑な曲面を有することができる。したがって、そのような成形ガラスは、ガラスが、与えられた次元に平行な軸に沿って湾曲し、同じ次元に垂直な軸に沿っても湾曲する、「交差曲率」を有するとして特徴を表すことができる。例えば、自動車のサンルーフは、一般に、約0.5m×1.0mの大きさがあり、短軸に沿う2〜2.5mの曲率半径及び長軸に沿う4〜5mの曲率半径を有する。
【0065】
いくつかの実施形態にしたがう成形合わせガラスは曲げファクターで定めることができ、与えられた部分に対する曲げファクターは[与えられた軸に沿う曲率半径]/[その軸の長さ]に実質的に等しい。すなわち、0.5m及び1.0mのそれぞれの軸に沿って2m及び4mの曲率半径を有する自動車のサンルーフにおいて、それぞれの軸に沿う曲げファクターは4とすることができる。成形合わせガラスは2〜8の範囲にある(例えば、2,3,4,5,6,7または8の)曲げファクターを有することもできる。
【0066】
合わせガラスを曲げる及び/または成形する方法は、重力曲げ、プレス曲げ及びこれらの複合である方法を含むことができる。重力曲げの従来方法においては、薄く平坦なガラス板が、低温の予備カットされた1枚または複数枚のガラス板を、硬い、あらかじめ成形された曲げ工具の外面支持面上におくことによって、自動車のフロントガラスのような湾曲形状に成形され得る。曲げ工具は金属または耐熱材料を用いて作製することができる。一例の方法において、連接型曲げ工具を用いることができる。曲げに先立ち、ガラスは一般に少数の接触点においてのみ支持される。ガラスは通常、徐冷窯内で高温にさらされることで加熱され、加熱は、重力によりガラスが垂下するかまたは落ち込んで外面支持面と同形になることを可能にするようにガラスを軟化させる。次いで、一般に支持面全体がガラスの外面と接触するであろう。
【0067】
関連する技法はプレス曲げであり、プレス曲げでは平ガラス板が実質的にガラスの軟化点に対応する温度まで加熱される。加熱されたガラス板は次いで、相補成形面を有する雄金型部材と雌金型部材の間で所望の湾曲にプレスまたは成形される。いくつかの実施形態において、重力曲げ法とプレス曲げ法の複合を用いることができる。
【0068】
別の実施形態において、化学強化ガラス板は1.4mmをこえないかあるいは1.0mmより薄い厚さを有することができる。別の実施形態において、化学強化ガラス板の厚さは、対向する外側のガラス板または内側のガラス板の、第2のガラス板の厚さと、それぞれの厚さが5%より大きくは、例えば、5,4,3,2または1%より小さくしか、変わらないように、実質的に等しくすることができる。別の実施形態において、第2の(例えば内側の)ガラス板は2.0mmより薄いかまたは1.4mmより薄い厚さを有することができる。理論にはこだわらずに、出願人等は、実質的に同等の厚さを有する対向ガラス板を含む合わせガラスが最大一致周波数及び、対応する、一致ディップにおける最大音響伝送損失を与えると考えている。そのような構造設計は、例えば自動車用途における合わせガラスに対し、有益な遮音性能を提供し得る。
【0069】
本明細書に開示されるような合わせガラス構造は、優れた耐久性、衝撃抵抗、強靱性及び耐ひっかき性を示す。ガラス板または合わせガラスの強度及び機械的衝撃性能は、表面欠陥及び内部欠陥のいずれも含む、ガラス内の欠陥によって制限され得る。合わせガラスが衝撃を受けると、衝撃点は圧縮状態におかれ、衝撃点を囲むリングまたは「輪」が、また衝撃されたガラス板の対蹠面は引張り状態にされる。一般に、破壊の原点は、最高引張応力点またはその近傍における、通常はガラス表面上の、きずにあり得る。これは対蹠面で起こり得るが、リング内でもおこり得る。ガラス内のきずが衝撃イベント中に引張り状態にされると、きずは伝搬するであろうし、ガラスは破壊するであろう。したがって、大きな圧縮応力の強さ及び深さ(層深さ)が好ましい。本開示に説明される実施形態の示表面例への制御されたきずの付加及び本開示に説明される実施形態の表面の酸エッチング処理は、内部及び外部の衝撃イベント時に所望の破壊性能をもつ、そのような合わせガラスを提供する。
【0070】
化学強化により、本明細書に開示される合わせガラスの一方または両方の外表面は圧縮応力下にあり得る。きずが伝搬し、破損がおこるためには、衝撃による引張応力がきずの先端における表面圧縮応力を上回らなければならない。いくつかの実施形態において、化学強化ガラスの高い圧縮応力及び大きい層深さが無化学強化ガラスの場合より薄いガラスの使用を可能にし得る。
【0071】
別の実施形態において、合わせガラスは、化学強化ガラスのような、ただしこれには限定されない、内部ガラス板及び外部ガラス板を有することができ、外側化学強化ガラス板は少なくとも300MPa(例えば、少なくとも400,450,500,550,600,650,700,750または800MPa)の表面圧縮応力、少なくとも約20μm(例えば、少なくとも約20,25,30,35,40,45または50μm)の層深さ及び/または、40MPaより大きく(例えば、40,45または50MPaより大きく)、100MPaより小さい(例えば、100,95,90,85,80,75,70,65,60または55MPaより小さい)、中央引張応力を有する。そのような実施形態は、外側化学強化ガラス板の表面圧縮応力の1/3から1/2であるか、または外側ガラス板の表面圧縮応力に等しい、表面圧縮応力を有する内側ガラス板(例えば内側化学強化ガラス板)も有することができる。
【0072】
機械特性に加えて、合わせガラス例の音響減衰特性も評価した。当業者には了解されるであろうように、市販の遮音PVB中間層のような、中央遮音中間層16を有する合わせガラス構造は音響波を減衰させるために用いることができる。本明細書に開示される化学強化ガラスの合わせガラスは、多くのグレージング用途に必要な機械特性ももつ薄い(及び軽量の)構造を用いながらも、音響伝送を劇的に抑えることができる。
【0073】
本開示の一実施形態は、薄い、化学的に強化された少なくとも1枚以上の外側ガラス板及び1枚以上の内側ガラス板と組み合わされた比較的硬く堅固な中間層を用いて作製された、薄い合わせガラス構造10及び20を含む。硬質中間層は比較的薄いガラスを用いて作製された合わせガラスに改善された荷重/変形特性を与えることができる。別の実施形態は、遮音中間層のような、比較的軟質の中間層を有することができる。また別の実施形態は比較的軟質の遮音(例えば消音性)中間層を、「SentryGlas」のような、比較的硬質の中間層と組み合わせて用いることができる。
【0074】
音響減衰は中間層剪断弾性率及び中間層の損失係数によって決定され得る。中間層が総合わせガラス厚の大部分を占めていれば、曲げ剛性(荷重変形特性)は主にヤング率によって決定され得る。多層中間層を用いれば、これらの特性を独立に調節して、満足できる剛性及び音響減衰を有する合わせガラス得ることができる。
【0075】
本開示にしたがう合わせガラスのポリマー中間層としての使用のための候補である市販の材料には、「SentryGlas」イオノマー、遮音PVB(例えば、積水化学の薄い0.4mm厚遮音PVB)、EVA、TPU、硬質PVB(例えば、Saflex DG)及び標準PVBがあるが、これらには限定されない。多層中間層の場合、全てにPVB層を用いることが、層どうしの化学的相同性のため有利であり得る。「SentryGlas」はEVAまたはPVBのような他の中間層との化学的相同性が低く、層間にバインダー膜(例えば、ポリエステル膜)が必要になり得る。
【0076】
第1の実験において、PVB中間層を含む合わせガラス及び「SentryGlas」中間層を含む合わせガラスを、積層の脱気及び留め合わせのために真空バッグを用い、ソルーシア社(PVB製造元)及びデュポン社(「SentryGlas」製造元)によって指定される範囲のサイクルで稼働させているオートクレーブを用いて、作製した。「SentryGlas」は使用するまで金属ホイルで裏打ちした袋内に保管され、よって「SentryGlas」が乾燥している(水分<0.2%)ことが保証される。PVB中間層については、実施形態例は<0.6%のシート水分レベルを有し得る。合わせガラスについてガラスの中間層への接着力を測定するため、標準の打撃接着力試験を用いて合わせガラスを試験した。打撃接着力試験は、合わせガラスの一晩の0°F(−18℃)での状態調節及び、これに続く、ガラスを砕くための1ポンド(約0.45kg)のハンマーによる試料衝撃を含む。中間層から剥がれ落ちたガラスによって生じた露出中間層の大きさ、例えば打撃接着力値によって接着力を判定した。
【0077】
標準の自動車ガラス、例えば2.1mm厚または2.3mm厚のソーダ石灰ガラスと貼り合わされたPVBに対する貫入抵抗と打撃接着力の間の関係を図4に示す。MBHで測定されるような、貫入抵抗は接着力が強くなるにつれて許容できないレベルまで低下し得る。比較的厚いソーダ石灰ガラス合わせガラスについては、衝撃抵抗が主としてPVB−ガラス接着力及びPVB中間層の特性によって決定され、ガラスからの寄与はほとんどないことが知られている。図4に示されるように、ソーダ石灰ガラス−PVB合わせガラスでは、貫入抵抗と接着力の間で妥協がなされることが必要である。
【0078】
本開示の実施形態は、自動車、乗り物、電化製品、エレクトロニクス、建築及びその他の用途のため、少なくとも1枚のガラス板とポリマー中間層の間の接着力レベルが比較的高く、打撃接着力値が約7から約10,約8から約10,約9から約10の範囲にあるか、少なくとも7,少なくとも8または少なくとも9の、合わせガラスを提供することができる。ガラスとポリマー中間層の間の高い接着力を有するそのような合わせガラスは、傑出した破壊後ガラス保持特性を示す。そのような合わせガラスは強い接着力と、少なくとも20フィート(約6.1m)のMBHの、高い貫入抵抗レベルの良好な組合せも示し、これは従来のソーダ石灰ガラス合わせガラスが示す強い接着力における劣った貫入抵抗と反対である。本開示に説明される合わせガラスの例には、許容できる貫入抵抗またはガラスへの接着力を与えるための接着力調整剤は必要ではない。コーニング社の「Gorilla」ガラスのような、化学強化ガラスとポリ(ビニルブチラール)(PVB)または「SentryGlas」イオノマーの中間層でつくられた合わせガラスは通常、自動車用及び建築用のグレージングのような用途のためのソーダ石灰ガラスでつくられた合わせガラスと比較すると、強い接着力を有する。強い接着力は、高レベルの破壊後ガラス保持を提供するから、有益である。さらに、PVB中間層とともに「Gorilla」ガラスを用いてつくられた合わせガラスは望ましい、強い接着力と大きな貫入高さ(高い貫入抵抗)の両特性を併合する。
【0079】
対照的に、ソーダ石灰ガラス/PVB合わせガラスは高い接着力レベルにおいて劣った貫入抵抗を有する。さらに、「SentryGlas」への「Gorilla」ガラスの強い接着力は、接着促進剤の必要を排除し、ソーダ石灰ガラス合わせガラスの場合におけるような、「Gorilla」ガラスのいずれの側が「SentryGlas」に接触するかには依存しない。
【0080】
実施形態例は、許容できる機械特性及び/または遮音特性を有する、軽量で薄い合わせガラスを含む。別の実施形態は、ポリマー中間層の個々の層の特性の比較的簡単な調節によって機械的特性及び遮音特性が独立に操作され得る、ポリマー中間層及び合わせガラス構造を含むことができる。本開示に説明される合わせガラス構造の各層は、貼り合わせプロセス中に、合わせて接合される個別のシート層とすることができる。本開示に説明される中間相構造の各層は、複数の層を含む単一中間層を形成するため、合わせて共押し出しすることができる。
【0081】
本説明は多くの詳細を含み得るが、これらの詳細は本開示の範囲への限定と解されるべきではなく、特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解されるべきである。個別の実施形態に関してこれまでに説明したいくつかの特徴は単一の実施形態と組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態に関して説明した様々な特徴は複数の実施形態において個別にまたはいずれか適するサブ組合せで実施することができる。さらに、特徴はいくつかの組合せではたらくとして上で説明され、そのようなものとして初めに特許請求さえされ得るが、特許請求される組合せからの1つ以上の特徴はいくつかの場合にその組合せから削除することができ、特許請求される組合せはサブ組合せまたはサブ組合せの変形に導かれ得る。
【0082】
同様に、動作またはプロセスは図面または図に特定の順序で示されるが、これは、所望の結果を得るためには、そのような動作が示される特定の順序でまたは順次に実施されるか、あるいは示される動作の全てが実施されることが必要であると理解されるべきではない。いくつかの状況においては、マルチタスクまたは並列処理が有利であり得る。
【0083】
図1〜4に示される様々な構成及び実施形態によって示されるように、ポリマー中間層へのガラスの接着力が強い合わせガラス構造についての様々な実施形態を説明した。
【0084】
本開示の好ましい実施形態を説明したが、説明される実施形態は例証に過ぎず、本発明の範囲は、本開示を精査することで当業者には自然に思い浮かぶ等価形態、多くの変形及び改変の全範囲が適合する場合、添付される特許請求項によってのみ定められるべきであることは当然である。
【符号の説明】
【0085】
10,20 合わせガラス構造(合わせガラス)
12,14,22,24,26 ガラス板
16,28,30 ポリマー中間層
図1
図2
図3
図4