(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被写体を撮像するように構成されたビデオスコープと、前記ビデオスコープで撮像した被写体の像を用いてホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理部を有するプロセッサと、を有する少なくとも1つの内視鏡装置と、
前記内視鏡装置の前記プロセッサと相互通信可能に接続されるように構成された管理装置と、を備え、
前記内視鏡装置は、前記ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、前記ホワイトバランス調整処理の時に得られるモニタリング用被写体像を前記管理装置へ送信するように構成された制御部を備え、
前記管理装置は、前記モニタリング用被写体像を記録するように構成されたメモリと、記録した前記モニタリング用被写体像を用いて前記内視鏡装置の劣化を管理するように構成された管理本体部と、を備えることを特徴とする内視鏡管理システム。
前記内視鏡装置は、被写体を撮像するように構成されたビデオスコープと、前記ホワイトバランス調整処理部を備え、前記ホワイトバランス調整処理部が、前記ビデオスコープで撮像した被写体の像を、前記モニタリング用被写体像として用いてホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理部を有するプロセッサと、を備える請求項2に記載の内視鏡管理システム。
前記内視鏡装置が、前記内視鏡装置の前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報を前記モニタリング用被写体像の送信に合わせて送信する、請求項1または3に記載の内視鏡管理システム。
前記ビデオスコープの使用履歴の情報は、前記ビデオスコープの過去通電した累積時間を表すスコープ累積通電時間あるいは前記ビデオスコープを前記プロセッサに接続させたスコープ接続回数を含む、請求項5に記載の内視鏡システム。
前記内視鏡装置が、前記内視鏡装置の前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報を前記モニタリング用被写体像の送信に合わせて送信する、請求項1及び請求項3〜6のいずれか1項に記載の内視鏡管理システム。
前記内視鏡装置は、前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報及び前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報を、前記モニタリング用被写体像とともに前記管理装置へ送信し、
前記管理本体部は、前記メモリに記録された、異なる日時の複数のモニタリング用被写体像と、前記複数のモニタリング用被写体像のそれぞれに合わせて送信された前記スコープ関連情報および前記プロセッサ関連情報の少なくとも1つと、を対応させることにより、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性の有無を判断する、請求項1に記載の内視鏡管理システム。
前記管理装置は、前記モニタリング用被写体像を、前記内視鏡装置の前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報及び前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報のすくなくとも一方とともに表示するように制御されたモニタと接続されている、請求項1または3に記載の内視鏡管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡装置では、ビデオスコープ内の信号ケーブルの使用に伴う劣化などによって観察画像に異常が生じることがある。しかしながら、スコープ累積使用時間など情報を管理システム側へ送信しても、観察画像の異常の有無を管理システムにおける管理装置の側で把握することができない。
【0006】
一方、モニタリング用の観察画像を定期的に管理システムの管理装置へ送信させることは、オペレータにとって面倒な作業であり、送信し忘れなどが生じやすい。また、管理装置側のファイリング装置に記録された記録画像中のモニタリング用被写体像はそれぞれ相違し、また、被写体像ごとに色合いなど画質も異なる。そのため、モニタリング用被写体像を固定して統一するのは難しい。
特に、内視鏡装置のビデオスコープは、可撓性を有する細いケーブルと、ケーブルの先端に設けられた撮像素子や光学系等を備える小さな先端部と、を備え、人体内に挿入され、場合によっては、人体内の生体組織と接触しながら挿入される挿入部を有するので、ビデオスコープの使用に伴ってケーブルや先端部の劣化は避けられない。このため、ビデオスコープの劣化を管理することは重要である。
【0007】
したがって、オペレータが特別な操作をすることなく、統一したモニタリング用被写体像を管理装置が取得できることが求められる一方、管理装置が、内視鏡装置の機器劣化を的確に把握できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、内視鏡管理システムである。当該内視鏡管理システムは、
被写体を撮像するように構成されたビデオスコープと、前記ビデオスコープで撮像した被写体の像を用いてホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理部を有するプロセッサと、を有する少なくとも1つの内視鏡装置と、
前記内視鏡装置の前記プロセッサと相互通信可能に接続されるように構成された管理装置と、を備える。
前記内視鏡装置は、前記ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、前記ホワイトバランス調整処理の時に得られるモニタリング用被写体像を前記管理装置へ送信するように構成された制御部を備え、
前記管理装置は、前記モニタリング用被写体像を記録するように構成されたメモリと、記録した前記モニタリング用被写体像を用いて前記内視鏡装置の劣化を管理するように構成された管理本体部と、を備える。
【0009】
本発明の他の一実施形態も、内視鏡管理システムである。当該内視鏡管理システムは、オペレータの操作に従って、ホワイトバランス調整処理を実行するホワイトバランス調整処理部を有する少なくとも1つの内視鏡装置と、
前記内視鏡装置と相互通信可能に接続される管理装置とを備える。
前記内視鏡装置が、前記ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、ホワイトバランス調整処理時に得られるモニタリング用被写体像を前記管理装置へ送信し、
前記管理装置が、受信したモニタリング用被写体像をメモリに記録する。
【0010】
前記内視鏡装置は、被写体を撮像するように構成されたビデオスコープと、前記ホワイトバランス調整処理部を備え、前記ホワイトバランス調整処理部が、前記ビデオスコープで撮像した被写体の像を、前記モニタリング用被写体像として用いてホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理部を有するプロセッサと、を備える、ことが好ましい。
【0011】
前記管理装置に送信するモニタリング用被写体像はホワイトバランス調整の時に得られる画像(以降、ホワイトバランス調整時の画像という)である。ホワイトバランス調整時の画像は、通常、ホワイトバランス調整器具の筒内面を写し出した画像である。このため、例えば、ホワイトバランス調整処理された、筒内面を写し出したカラー静止画像が、モニタリング用被写体像として送信される。ここで「ホワイトバランス調整処理時」とは、ホワイトバランス調整処理開始後でホワイトバランス調整処理前、調整処理完了直後、あるいは完了してから所定期間経過後、も含まれる。ビデオスコープの先端部を、調整器具である筒内に長時間保持するのは難しいことなどを考慮すれば、「ホワイトバランス調整処理時」は、ホワイトバランス調整処理完了直後であることが好ましい。したがって、内視鏡装置は、ホワイトバランス調整処理完了直後のモニタリング用被写体像を管理装置に送信することが好ましい。
【0012】
前記内視鏡装置が、前記内視鏡装置の前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報を前記モニタリング用被写体像の送信に合わせて送信することが好ましい。
前記スコープ関連情報は、前記ビデオスコープの使用履歴の情報及び前記ビデオスコープの識別情報を含む、ことが好ましい。
前記ビデオスコープの使用履歴の情報は、前記ビデオスコープの過去通電した累積時間を表すスコープ累積通電時間あるいは前記ビデオスコープを前記プロセッサに接続させたスコープ接続回数を含む、ことが好ましい。
前記内視鏡装置が、前記内視鏡装置の前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報を前記モニタリング用被写体像の送信に合わせて送信する、ことが好ましい。
【0013】
前記プロセッサは、前記ビデオスコープで撮像した前記被写体の像に行う画像処理のオン/オフを切り替えることが可能な処理回路を備え、
前記処理回路は、前記ホワイトバランス調整処理の実行時、前記画像処理をオフに切り替える、ことが好ましい。
【0014】
前記内視鏡装置は、前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報及び前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報を、前記モニタリング用被写体像とともに前記管理装置へ送信し、
前記管理本体部は、前記メモリに記録された、異なる日時の複数のモニタリング用被写体像と、前記複数のモニタリング用被写体像のそれぞれに合わせて送信された前記スコープ関連情報および前記プロセッサ関連情報の少なくとも1つと、を対応させることにより、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性の有無を判断する、ことが好ましい。
また、前記スコープ関連情報は、前記ビデオスコープの過去通電した累積時間を表すスコープ累積通電時間の情報を含み、
前記管理装置が、前記スコープ累積通電時間が所定時間以上の場合、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性がある、と判断する、ことが好ましい。
【0015】
前記管理装置は、
前記メモリに記録される前記モニタリング用被写体像の画像解析に基づいて、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性の有無を判断する、ことが好ましい。
前記管理装置が、前記モニタリング用被写体像の色合いの変化が許容範囲を超える場合、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性がある、と判断する、ことが好ましい。例えば、前記モニタリング用被写体像のR(赤),G(緑),B(青)のカラー画像信号の比に基づいて判断することができる。
前記管理装置は、前記内視鏡装置のメンテナンスの必要性の判断結果を前記内視鏡装置へ報知する、ことが好ましい。
前記管理装置は、前記モニタリング用被写体像を、前記内視鏡装置の前記ビデオスコープに関連したスコープ関連情報及び前記プロセッサに関連したプロセッサ関連情報のすくなくとも一方とともに表示するように制御されたモニタと接続されている、ことが好ましい。
【0016】
本発明の他の一態様は、内視鏡装置である。当該内視鏡装置は、
被写体を撮像するビデオスコープと、
前記ビデオスコープで撮像した被写体の像を用いてホワイトバランス調整処理を実行する画像信号処理部と、前記ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、前記ホワイトバランス調整処理の時に得られるモニタリング用被写体像を外部機器の管理装置へ送信する制御部と、を有するプロセッサと、
を備える。
また、本発明の他の一態様は、前記内視鏡装置と相互通信可能に接続される管理装置であって、前記内視鏡装置から出力された前記モニタリング用被写体像を受信する通信部と、受信した前記モニタリング用被写体像を記録するメモリと、記録した前記モニタリング用被写体像を用いて前記内視鏡装置の劣化を管理する管理本体部と、を有する。
【0017】
本発明の他の一態様は、内視鏡装置の管理方法である。当該管理方法では、ホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理部を有する少なくとも1つの内視鏡装置が、相互通信可能に管理装置と接続されている。
(1)前記内視鏡装置が、前記ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、前記ホワイトバランス調整処理の時に得られるモニタリング用被写体像を前記管理装置へ送信し、
(2)前記管理装置が、受信したモニタリング用被写体像をメモリに記録し、
(3)前記管理装置が、記録した前記モニタリング用被写体像を用いて前記内視鏡装置の劣化を管理する。
【発明の効果】
【0018】
上述の内視鏡管理システム、内視鏡装置、内視鏡装置を管理する管理装置、及び内視鏡装置の管理方法によれば、内視鏡機器の劣化を管理装置が的確に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照して一実施形態である内視鏡管理システム、内視鏡装置、内視鏡装置を管理する管理装置、及び、内視鏡装置の管理方法について説明する。
【0021】
図1は、第1の実施形態における内視鏡管理システムのブロック図である。
【0022】
内視鏡管理システムは、体内に挿入されるビデオスコープ10とプロセッサ30とを備えた内視鏡装置100を複数備え、それぞれの内視鏡装置100が管理装置(以降、ファイリング装置ともいう)200と通信可能に接続する構成になっている。内視鏡管理システムは、例えば病院内に構築することが可能であり、各検査室、手術室にそれぞれ異なるタイプあるいは同一タイプの内視鏡装置100が設置される。一方、中央管理室などにファイリング装置200が設置される。内視鏡装置100のビデオスコープ10は、プロセッサ30に着脱自在に接続可能であり、プロセッサ30にはモニタ60が接続されている。したがって、複数のビデオスコープ10のそれぞれが複数のプロセッサ30のそれぞれに自在に接続可能になっている。ビデオスコープ10は、可撓性を有する細いケーブルと、ケーブルの先端に設けられた撮像素子や光学系等を備える小さな先端部と、を備える。ビデオスコープの使用に伴ってケーブルや先端部の劣化は進行し易い。このため、ビデオスコープ10の劣化を管理することは好ましい。
【0023】
プロセッサ30は、キセノンランプなどの光源32を備え、電源ボタン(図示せず)を操作することによって点灯する。光源32から放射された光は、集光レンズ(図示せず)を介してビデオスコープ10内に設けられたライトガイド11の入射端11Aに入射する。ライトガイド11から射出した光は、配光レンズ(図示せず)を介してスコープ先端部10Tから被写体(観察対象)に向けて照射される。光源32とライトガイド11との間には絞り(図示せず)が設けられており、絞りの開閉によって照明光量が調整される。
【0024】
被写体に反射した照明光は、スコープ先端部10Tに設けられた対物レンズ(図示せず)によって結像し、被写体像がイメージセンサ12の受光面に形成される。CMOS撮像素子あるいはCCD撮像素子などによって構成されるイメージセンサ12は撮像素子駆動回路17によって駆動され、1フィールドもしくは1フレーム分の画素信号がイメージセンサ12から所定のフレームレート(例えば1/60秒あるいは1/30秒間隔)で読み出される。イメージセンサ12の受光面上には、Cy(シアン)、Ye(イエロー)、G(グリーン)、Mg(マゼンタ)あるいはR(赤)、G(緑)、B(青)などのカラーフィルタを配列させたカラーフィルタアレイ(図示せず)が配設されている。
【0025】
イメージセンサ12から読み出された画素信号は、初期回路(図示せず)においてデジタル化された後、プロセッサ30の画像信号処理回路36へ送られる。画像信号処理回路36では、デジタル画素信号に対し、色変換処理、ガンマ補正処理などの画像処理が施される。これにより、R、G、Bのカラー画像信号が生成される。さらに、画像信号処理回路(画像信号処理部)36は、ホワイトバランス調整処理部36aを有し、ホワイトバランス調整処理を行って、R,G,Bのカラー画像信号のゲイン値を調整する。
【0026】
R,G,B画像信号は、RAMなどの画像メモリ(図示せず)に一時的に保存された後、後段信号処理回路37へ送られる。後段信号処理回路37では、オペレータの入力操作による輪郭強調処理といった画像処理、文字情報入力に伴うスーパーインポーズ処理などが、画像信号に対して施される。映像信号がモニタ60に出力され、これによって観察画像がモニタ60に表示される。
なお、一実施形態によれば、画像信号処理回路36及び後段信号処理回路37を含む処理回路は、ビデオスコープ10で撮像した被写体の像に行う画像処理のオン/オフを切り替えることができるように構成される。この処理回路は、ホワイトバランス調整処理の実行時、画像処理をオフに切り替えるように構成される。
【0027】
CPUなどを含むシステムコントロール回路40は、タイミングジェネレータ(図示せず)、画像信号処理回路36などへ制御信号を出力し、プロセッサ30が電源ON状態である間プロセッサ30の動作を制御する。動作制御プログラムは、あらかじめROM39に記憶されている。また、システムコントロール回路40は、後述する管理装置200へ画像や各種情報を送信し、さらに管理装置200からの情報を受信する制御部42を備える。
【0028】
ビデオスコープ10がプロセッサ30に接続されると、システムコントロール回路40はビデオスコープ10のROM15に記憶されたスコープ関連情報を読み出し、RAM34に保存する。スコープ関連情報は、少なくともビデオスコープ10の使用履歴の情報及びビデオスコープ10のシリアルNo(識別情報)を含む。一実施形態によれば、スコープ関連情報は、ビデオスコープ10のスコープ機種名、ビデオスコープ10のシリアルNo、イメージセンサ12の特性(画素数など)、ビデオスコープ10のスコープ累積通電時間、スコープ接続回数などの情報を含む。スコープ累積通電時間とは、ビデオスコープ10の過去通電した累積時間をいう。スコープ接続回数とは、ビデオスコープ10が、特定のプロセッサ30に過去接続された累積の回数をいう。使用履歴の情報は、ビデオスコープ10のスコープ累積通電時間及びスコープ接続回数を含む。
【0029】
内視鏡装置100はホワイトバランス調整処理を実行可能である。オペレータが筒状のホワイトバランス調整器具Cにビデオスコープ10の先端部10Tを挿入した状態でホワイトバランスボタン33を操作する。これにより、画像信号処理回路36においてホワイトバランス調整処理が実行される。ホワイトバランス調整器具Cの白色筒内面の画像に基づいて、R,G,Bのカラー画像信号の値の比が1:1:1となるようにR,G,Bのカラー画像信号のゲイン値が調整される。ホワイトバランス調整処理されると、その設定されたゲイン値に基づいてカラー画像信号が生成される。
【0030】
システムコントロール回路40は、ビデオスコープ10をプロセッサ30から取り外す時、スコープ機種およびシリアルNoと関連付けて接続されているビデオスコープ10の使用時間(以下、通電時間という)を検出し、ビデオスコープ10のROM15に記憶されているスコープ累積通電時間に対してスコープ接続(ON)からスコープ取り外し(OFF)までの時間を加え、ROM15に記憶されているスコープ累積通電時間を書き換える。また、システムコントロール回路40は、ビデオスコープ10がプロセッサ30に接続されたとき、そのスコープ機種およびシリアルNoと関連付けて接続回数を1つ増やして、ROM15の接続回数を書き換える。さらにシステムコントロール回路40は、電源ボタンONからOFFまでの光源32の使用時間を検出し、光源累積使用時間を更新してROM39に記録する。
【0031】
一方、管理側に設置されたファイリング装置(管理装置)200は、例えばコンピュータ250で構成される。コンピュータ250には、キーボード300、モニタ400が接続されている。ファイリング装置200は、内視鏡装置100のシステムコントロール回路40と相互にデータ通信可能に接続されるように構成された通信部212と、コントローラ220と、メモリ210と、を備える。
メモリ210は、プロセッサ30からから送信されるモニタリング用被写体像、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報を記録するように構成されている。
コントローラ220は、コンピュータ250のCPU(中央処理ユニット)を含み、記録したモニタリング用被写体像を用いて内視鏡装置100の劣化を管理するように構成された部分である。すなわち、コントローラ220は、内視鏡装置100の劣化を管理するように構成された管理本体部である。
ファイリング装置200の通信部212は、必要に応じて内視鏡装置100へ所定の情報、例えばコマンドデータを送信する。内視鏡装置100のシステムコントロール回路40は、必要に応じて、制御部42を介して、データをファイリング装置200へ送信する。
【0032】
本実施形態では、ホワイトバランス調整処理が施されると、制御部42は、ホワイトバランス調整された被写体像(以下では、モニタリング用被写体像という)を送信するとともに、この送信に合わせてスコープ関連情報、及び光源関連情報を含むプロセッサ関連情報を管理側のファイリング装置(管理装置)200へ送信する。プロセッサ関連情報は、例えば、プロセッサ30の機種名、プロセッサ30のシリアルNo、及びプロセッサ30の稼動時間を含む。光源関連情報は、例えば、光源32の累積使用時間を含む。以下、
図2〜5を用いて内視鏡装置100の管理について詳述する。
【0033】
このような内視鏡管理システムでは、ホワイトバランス調整処理を実行するように構成された画像信号処理回路(画像信号処理部)36を有する少なくとも1つの内視鏡装置100は、相互通信可能に管理装置200と接続されている。
内視鏡装置100が、ホワイトバランス調整処理の実行に応じて、ホワイトバランス調整処理の時に得られるモニタリング用被写体像IMを管理装置200へ送信する。
管理装置200は、受信したモニタリング用被写体像IMをメモリ210に記録する。
さらに、管理装置200は、記録したモニタリング用被写体像IMを用いて内視鏡装置100の劣化を管理する。
【0034】
図2は、プロセッサ30が実行するホワイトバランス調整処理およびモニタリング用画像の送信処理の一例を示したフローチャートである。プロセッサ30の電源がON状態になると
図2に示すフローが開始される。
図3は、モニタリング用被写体像の一例を示した図である。
【0035】
ビデオスコープ10が接続されているとプロセッサ30が判断すると、ビデオスコープ10のROM15からスコープ関連情報、すなわちスコープ機種名、シリアル番号、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)、イメージセンサ特性、スコープ接続回数の情報が読み出される(S101、S102)。
【0036】
オペレータによってホワイトバランスボタン33が押下されたとプロセッサ30が判断すると、ホワイトバランス調整処理が実行され、ホワイトバランス調整器具Cの筒内面を写し出したモニタリング用被写体像のカラー画像信号のR,G,Bの値の比が1:1:1となるように、R,G,Bのカラー画像信号のゲイン値が調整される。(S103、S104)。
【0037】
ホワイトバランス調整処理が実行されると、システムコントロール回路40は、プロセッサ30において設定されている画像処理をOFFに切り替える(S105)。例えば、輪郭強調処理がON設定になっていた場合、OFF設定に切り替えられる。
【0038】
そして、ホワイトバランス調整処理が実行された(ゲイン値調整された)後のカラー静止画像が、制御部42から、モニタリング用被写体像としてファイリング装置200へ送信される(S106)。
図3に示すように、モニタリング用被写体像IMは、ホワイトバランス調整器具Cの筒内面の画像になる。スコープ先端部10Tの差し込み位置はガイドされているため、いずれのタイミングで取得されるモニタリング用被写体像IMでも、筒底円の輪郭BRは画面内の略同じ位置に写し出される。
【0039】
また、プロセッサ30に接続されているビデオスコープ10の機種名、ビデオスコープ10のシリアルNo、スコープ累積通電時間、及びスコープ接続回数の情報を含むスコープ関連情報、プロセッサ30に関連するプロセッサ関連情報(プロセッサ30の機種名、プロセッサ30のシリアルNo、プロセッサ稼働時間、及び光源累積使用時間)が、モニタリング用被写体像IMの送信に合わせてファイリング装置200に送信される(S106)。モニタリング用被写体像IM、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報が送信されると、システムコントロール回路40は、OFF設定にしていた画像処理をON設定(輪郭強調ONなど)に設定する(S107)。こうして、ホワイトバランス調整処理およびモニタリング用画像の送信処理が終了する。
【0040】
図4は、ファイリング装置200のコントローラ220が実行するファイリングの一例を示したフローチャートである。
図5は、データベース化された情報を示した図である。
図4に示すファイリング処理は、ここでは
図2に示すメインルーチンに対する割り込み処理として実行される。
【0041】
ステップS201では、ファイリング装置200は、ファイリング装置200と接続するいずれかの内視鏡装置からモニタリング用被写体像IM、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報を受信したか否かを判断する。ファイリング装置200は、上記受信したと判断すると、データベース化が行われる(S202)。具体的には、モニタリング用被写体像IMを、スコープ機種及びスコープシリアルNo(スコープの識別情報)と関連付けてメモリ210に記録する。このとき、ファイリング装置200は、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)、スコープ接続回数、光源累積使用時間、プロセッサ機種名及びプロセッサシリアルNo(プロセッサの識別情報)なども同時にスコープ機種及びスコープシリアルNoと関連付けて記録する。
【0042】
図5には、スコープ関連情報、及び光源関連情報を含むプロセッサ関連情報と関連付けられたモニタリング被写体像IMのデータベースの一部を示している。モニタリング用被写体像IMは、スコープ機種及びスコープシリアルNoごとに関連付けて記録されている。オペレータのキーボード300操作によってモニタリング用被写体像IMがモニタ400に表示され、また、モニタリング用被写体像IMとともにスコープ機種、スコープシリアルNo,スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)、スコープ接続回数などのスコープ関連情報、及び光源関連情報を含むプロセッサ関連情報が表示される。すなわち、ファイリング装置(管理装置)200は、モニタ400と接続され、モニタ400は、モニタリング用被写体像IMを、スコープ関連情報及びプロセッサ関連情報のすくなくとも一方とともに表示するようにコントローラ(管理本体部)220に制御される。
【0043】
コントローラ220は、このようにモニタ400に表示されるモニタリング用被写体像IM、スコープ関連情報、及び光源関連情報を含むプロセッサ関連情報に基づいて、ビデオスコープ10あるいはプロセッサ30の機器の劣化を調べることが可能となる。一実施形態によれば、管理本体部220は、モニタリング用被写体像IMの画像を解析して、画像中のノイズあるいはモニタリング用被写体像IMの色合いを検査することにより、内視鏡装置100の劣化を判断することが好ましい。この場合、モニタリング用被写体像IMとスコープ関連情報、及び光源関連情報を含むプロセッサ関連情報を対応させて、内視鏡装置100の劣化を判断することが好ましい。例えば、スコープ関連情報及びプロセッサ関連情報には、ビデオスコープ10の使用履歴の情報や光源の使用履歴の情報(光源累積使用時間)を含むので、これらの情報とモニタリング用被写体像IMの画像の検査結果(例えば、ノイズや色合いの異常)を対応させて、内視鏡装置100の劣化を確実に判断することができる。
特に、同一スコープ機種、スコープシリアルNo,同一プロセッサ機種、プロセッサシリアルNoに対して時系列的にモニタリング用被写体像IMが記録されることから、モニタリング用被写体像IMの劣化具合を画像比較によって内視鏡装置100の劣化を判断することが可能となる。上記画像比較とは、直近に取得したモニタリング用被写体像IMと、直近に取得したモニタリング用被写体像IMより前に取得したモニタリング用被写体像IMの比較である。直近に取得したモニタリング用被写体像IMより前に取得したモニタリング用被写体像IMは、例えば、取得日時が、直近のモニタリング用被写体像IMに最も近いモニタリング用被写体像IM、直近のモニタリング用被写体像IMの取得日時に対して一定期間以上離れた日時に取得したモニタリング用被写体像IM、あるいは内視鏡装置の使用開始初期に取得したモニタリング用被写体像IMである。
また、ファイリング装置200では、同一スコープ機種、スコープシリアルNoであっても異なるプロセッサ機種、プロセッサシリアルNoの組み合わせによるモニタリング用被写体像IM、及び、異なるスコープ機種、スコープシリアルNoであっても同一のプロセッサ機種、プロセッサシリアルNoの組み合わせによるモニタリング用被写体像IMもファイリングされているので、一実施形態によれば、複数のモニタリング用被写体像IMを調べることにより、管理本体部220は、ビデオスコープ10及びプロセッサ30のうち、どちらが劣化しているかを判断することができる。さらに、一実施形態によれば、モニタリング用被写体像IMと、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)あるいはスコープ接続回数の情報と関連付けて、ビデオスコープ10あるいはプロセッサ30の機器の劣化を予測し判断することができる。
【0044】
ファイリング装置200は、例えば、時系列的に表示した複数のモニタリング用被写体像IMから機器の劣化が有ると判断した場合、その機器を使って作業しているオペレータに機器の劣化がある旨を知らせるコマンドを送信し、機器交換を行うことを促す。また、上記解析によって機器の劣化のタイミング(累積通電時間などによる機器の劣化のタイミング)が抽出できた場合、ファイリング装置200は、対象となる内視鏡装置に機器の劣化が予測される旨を知らせるコマンド送信することができる。
すなわち、コントローラ220は、メモリ210に記録された、異なる日時の複数のモニタリング用被写体像と、モニタリング用被写体像のそれぞれに合わせて送信されたスコープ関連情報およびプロセッサ関連情報の少なくとも1つと、を対応させることにより、ビデオスコープ10あるいはプロセッサ30の機器の劣化を予測し、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無を判断する。
【0045】
このように本実施形態によれば、複数の内視鏡装置100と相互通信可能なファイリング装置200とを備えた内視鏡管理システムにおいて、内視鏡装置100でホワイトバランス調整処理が実行されると、内視鏡装置100は、ホワイトバランス調整処理されたモニタリング用被写体像IMをファイリング装置200へ送信するとともに、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報が同時に送信される。
【0046】
オペレータが特別な操作することなく、モニタリング用被写体像IMを定期的にファイリング装置200へ送信できるため、管理側であるファイリング装置200は、内視鏡装置100の劣化の有無を的確に判断することができる。また、ホワイトバランス調整処理は通常プロセッサ電源ON時に行われるため、モニタリング用被写体像IMの取得間隔も適度な時間間隔となる。さらに、モニタリング用被写体像が筒内面画像であって同一被写体となるため、使用初期に送信されるモニタリング用被写体像IMを基準として画像の劣化の有無を的確に判断することができる。そして、輪郭強調などの画像処理の設定をOFFにしてモニタリング用被写体像IMを送信するため、ファイリング装置200は、自然なコントラストを有し、適切な明るさのモニタリング用被写体像IMを記録することができる。
【0047】
一方、ファイリング装置200は、接続されているビデオスコープ10のスコープ機種及びスコープシリアルNo毎にモニタリング用被写体像IMを対応付けてファイリングするため、接続されているビデオスコープ10のイメージセンサあるいはファイバ特性に応じた色合いをもつモニタリング用被写体IM同士を比較するので、例えば、直近に取得したモニタリング用被写体IMと、直近に取得したモニタリング用被写体像IMより前に取得したモニタリング用被写体IMとの比較するので、様々なビデオスコープがプロセッサ30に接続される使用履歴があっても、画像の異常であるか否かを正確に判断することができる。さらに、プロセッサ機種及びプロセッサシリアルNoとも関連付けてファイリングするため、ビデオスコープ、プロセッサの接続機種が様々に変化しても、スコープ機種及びスコープシリアルNo及びプロセッサ機種及びプロセッサシリアルNoを揃えて、正確にモニタリング用被写体像IMの時系列的変化を解析することができる。
【0048】
なお、上記説明では、モニタリング用被写体像IMを作成するとき、画像処理設定をOFF設定にするが、モニタリング用被写体像IMを作成するとき、画像処理設定をOFF設定にせずON設定を継続し、ON設定の状態でモニタリング用被写体像IMを作成してもよい。この場合、システムコントロール回路42は、画像処理設定の情報をファイリング装置200へ送信し、データベースの一部として記録することが好ましい。機器の劣化の有無を判断するための上述した解析では、この画像処理設定を考慮して解析すればよい。
【0049】
次に、
図6〜8を用いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、ファイリング装置200のコントローラ220が、スコープ関連情報から機器の劣化の有無を判断し、機器の劣化有りと判断した場合、対象の内視鏡装置10へ機器の劣化の有りの旨を報知する。それ以外の構成については、実質的に第1の実施形態と同じである。
【0050】
図6は、第2の実施形態におけるファイリングおよび解析処理の一例を示したフローチャートである。
図7は、受信したモニタリング用被写体像IMを時系列的に示した図である。
【0051】
ステップS301、S302の実行は、
図4のステップS201、S202の実行と同じであり、ファイリング装置200のコントローラ220は、モニタリング用被写体像IM、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報をデータベース化して記録する。そしてステップS303では、ファイリング装置200は、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)が50時間以上であるか否かを判断する。
【0052】
ここでは、コントローラ220のデータベース解析により、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)が50時間を超えるとモニタリング用被写体像IMにノイズがある程度目立つことが明らかになったものとして、コントローラ220は、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)50時間を、機器の劣化が統計的に発生するスコープ累積時間の閾値として設定し、この閾値と、スコープ10のスコープ機種及びスコープシリアルNoと同一のスコープ機種及びスコープシリアルNoに対応するデータベース内の最新のスコープ関連情報に含まれるスコープ通電時間(スコープ累積通電時間)と比較することにより、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無の判断処理を行う。
図7では、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)40時間のモニタリング用画像に対し、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)60時間のモニタリング用画像IM’にノイズが比較的多く生じて画質が劣化していることを示している。
【0053】
ステップS303において、ファイリング装置200のコントローラ220は、送られてきた同一機種スコープ及びスコープシリアルNoでのスコープ通電時間(スコープ累積通電時間)が50時間以上であると判断すると、モニタ400に警告表示するように表示画像にスーパーインポーズ処理を施す(S304)。例えば、「スコープ通電時間が50時間を超えたのでメンテナンス実施をお願いします。」などの文字情報がモニタ400に表示される。そして、ファイリング装置200の通信部212は、メンテナンスの必要性有りを知らせる警告コマンドが対象となる内視鏡装置10へ送信する(S305)。
【0054】
図8は、内視鏡装置10におけるメンテナンス警告処理を示したフローチャートである。ここでは、メンテナンス警告処理は、
図6に示すメインルーチンに対する割り込みルーチンとして処理が実行される。
【0055】
ファイリング装置200から警告コマンドを受信すると、モニタ60に警告表示をするために後段信号処理回路37は、スーパーインポーズ処理を実行する(S401、S402)。例えば、「スコープ通電時間が50時間を超えたのでメンテナンスの実施をお願いします。」という文字情報が表示される。なお、ブザーをプロセッサ30に設けた場合、ブザー音を同時に鳴らす、あるいは単独で鳴らすようにしてもよい。
【0056】
このように第2の実施形態によれば、ファイリング装置200のコントローラ220は、データベースを用いた解析によって明らかになったスコープ通電時間(スコープ累積通電時間)の閾値と、データベース内の最新のスコープ関連情報に含まれるスコープ通電時間(スコープ累積通電時間)とを比較することにより、内視鏡装置10のメンテナンスの必要性の有無を判断する。すなわち、コントローラ220は、蓄積されたモニタリング用被写体像を用いて、機器の劣化の有無を予測する累積時間の閾値を設定し、この閾値を用いて、内視鏡装置の劣化を管理する。これにより、モニタリング用被写体像IMを、コントローラ220は確認しなくてもスコープ関連情報のスコープ通電時間(スコープ累積通電時間)だけでメンテナンスの必要性の有無を判断することができる。しかし、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無を正確に判断するには、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)を用いた上記判断に加えて、モニタリング用被写体像IMの劣化の有無を判断して総合的に判断することが好ましい。例えば、ファイリング装置200が、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)を用いた上記判断において、メンテナンスの必要性が有ると判断したが、モニタリング用被写体像IMにおいて画質の劣化が確認できない場合、ファイリング装置200は、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性が高くなったと判断し、この判断結果をモニタ400に表示するとともに、モニタ60にこの判断結果を表示させるために、内視鏡装置100に判断結果を送信してもよい。
【0057】
なお、スコープ通電時間(スコープ累積通電時間)ではなく、スコープ接続回数とモニタリング用被写体像の画質劣化との関係を解析し、スコープ接続回数を用いて内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無の判断を行ってもよい。この場合、ファイリング装置200は、メンテナンスの必要性が生じるスコープ接続回数の下限回数と、スコープ10のスコープ機種及びスコープシリアルNoと同一のスコープ機種及びスコープシリアルNoに対応するデータベース内の最新のスコープ関連情報に含まれるスコープ接続回数とを比較することにより、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無の判断を行う。あるいは、光源累積使用時間とモニタリング用被写体像IMの画質劣化との関係を解析し、光源累積使用時間を用いて内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無を判断してもよい。この場合、ファイリング装置200は、メンテナンスの必要性が生じる光源累積使用時間の下限時間と、プロセッサ30のプロセッサ機種及びプロセッサシリアルNoと同一のプロセッサ機種及びプロセッサシリアルNoに対応するデータベース内の最新のプロセッサ関連情報に含まれる光源累積時間とを比較することにより、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無の判断を行う。
【0058】
次に、
図9、10を用いて、第3の実施形態である内視鏡管理システムについて説明する。第3の実施形態では、ファイリング装置200のコントローラ220は、モニタリング用被写体像IMの画像解析から内視鏡装置100の劣化の有無を判断する。それ以外の構成については、第1、第2の実施形態と実質的に同じである。
【0059】
図9は、第3の実施形態におけるファイリングおよび解析処理の一例を示したフローチャートである。
図10は、第3の実施形態におけるモニタリング用被写体像IMの一例を示した図である。
【0060】
ステップS501、S502の実行は、
図4のステップS201、S202の実行と同じであり、ファイリング装置200のメモリ210は、モニタリング用被写体像IM、スコープ関連情報、及びプロセッサ関連情報をデータベース化して記録する。そしてステップS503では、コントローラ220は、受信したモニタリング用被写体像IMに対して画像解析を実行する。具体的には、コントローラ220は、モニタリング用被写体像IMの白色からのずれの程度をR,G,Bのカラー画素信号のレベルの比から検出する。
【0061】
図10には、正常な色合いのモニタリング用被写体像IMと、色合いが許容範囲を超えたモニタリング用被写体像IM”を示している。ビデオスコープ10内でイメージセンサ12から出力される画素信号をプロセッサ30へ転送する信号ケーブル、あるいは光ファイバなどに劣化が生じると、ホワイトバランス調整処理を実行しても完全な(理想的な)白色にならない場合がある。これは、ホワイトバランス調整処理によるゲイン調整に限度があり、イメージセンサ12や信号ケーブルの特性の変化を、ホワイトバランス調整処理によるR,G,Bのカラー画像信号のゲイン値の調整で対応できないからである。
【0062】
ステップS504では、コントローラ220は、モニタリング用被写体像IMのR,G,Bのカラー画像信号の値の比が許容範囲を超えるか否か(例えば、Rの画素信号平均値がG,Bの画素信号平均値よりも所定値以上の場合)を判断する。モニタリング用被写体像IMのR,G,Bのカラー画像信号の値の比が許容範囲を超える、すなわちモニタリング用被写体像IMの色合いが許容範囲を超える場合、コントローラ220は、モニタ400に警告表示を行わせるとともに、対象となる内視鏡装置100へ、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性がある旨の警告コマンドを通信部212を介して送信させる(S505、S506)。警告コマンドを受信した内視鏡装置100は、第2の実施形態と同様の警告表示処理(
図8参照)を行う。
【0063】
このように第3の実施形態によれば、コントローラ220は、モニタリング用被写体像IMのファイリングに合わせて画像解析を行い、内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無を判断する。コントローラ220は、モニタリング用被写体像IMを時系列的にデータベース化しなくても、受信するモニタリング用被写体像IMだけを解析対象として内視鏡装置100のメンテナンスの必要性の有無を判断することができる。また、予測しないような画質劣化(ハレーション発生など)がモニタリング用被写体像IMに生じても、ファイリング装置200は、ファイリング時に対応することができる。
【0064】
なお、第2の実施形態において、第3の実施形態のように画像解析してもよい。すなわち、コントローラ220は、モニタリング用被写体像IM中の全画素に対するノイズを表す画素の割合を演算し、その割合が閾値以上の場合に内視鏡装置100のメンテナンスが必要であると判断するように構成することも可能である。例えば、
図10に示すモニタリング用被写体像IM”に線状あるいは点状のノイズが含まれる場合がある。このようなノイズは、ビデオスコープ10のスコープ先端部10Tに延びる可撓性を有する細いケーブルの劣化によって起こり易い。画像解析の結果、
図10に示すモニタリング用被写体像IM”のように画像の色合いが変化して、ノイズを表す画素の割合が所定値以上であるとき、内視鏡装置100の緊急メンテナンスが必要であると判断するように構成することも可能である。
【0065】
第1〜3の実施形態で用いるモニタリング用被写体像IMは、ホワイトバランス調整処理完了直後の画像であるが、この画像に限定されない。モニタリング用被写体像IMは、ホワイトバランス調整処理を開始したが、R,G,Bのカラー画像信号のゲイン調整がされていない画像であってもよく、ホワイトバランス調整処理完了後所定期間経過した画像であってもよい。
また、本実施形態の内視鏡管理システムを構成する内視鏡装置100は、複数でなくてもよく、1つの内視鏡装置100がファイリング装置200と接続される構成とすることができる。