特許第6467064号(P6467064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467064
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/31 20060101AFI20190128BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   A61M5/31 520
   A61M5/315 550A
【請求項の数】14
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-545988(P2017-545988)
(86)(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公表番号】特表2017-535400(P2017-535400A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】AU2014001066
(87)【国際公開番号】WO2016004452
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年11月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518009467
【氏名又は名称】ジェイ−ニック プロプライアタリー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ポーロス
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05290261(US,A)
【文献】 米国特許第5319162(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/178 − 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を受け入れるためでありかつそこから一定用量の薬剤を小分け供給するための小分け供給開口部と、プランジャを受け入れるためのプランジャ開口部とを有する、投薬室と、
薬剤容器から前記小分け供給開口部を通して前記投薬室へ薬剤を引き出すようにプランジャを前記投薬室から部分的に引き戻すことができ、かつ、前記小分け供給開口部を通して前記投薬室から前記薬剤を小分け供給するように前記投薬室内への前記プランジャの部分的な又は完全な挿入ができるように、前記プランジャ開口部を通して配置可能でありかつ前記投薬室内で移動可能なプランジャと、
前記薬剤が引き出される前記薬剤容器を受け入れる検証室であって、前記検証室が、前記投薬室又は前記プランジャと一体的であるか前記投薬室又は前記プランジャへの固定アタッチメントである、検証室と、
前記薬剤容器が前記検証室から取り外されるのを防ぐように動作可能な不正干渉防止ロック機構とを備え、
前記投薬室内へ開放した前記薬剤容器から引き出された前記薬剤が、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の識別体の目視検査によって確実に識別されかつ検証することができるように、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の目視検査が可能となるように前記検証室が構成されている、シリンジ。
【請求項2】
前記薬剤容器は、前記薬剤容器内で貯蔵されている前記薬剤にアクセスできるように破断される脆弱なシールを有するタイプであり、前記検証室は、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の破断されたシールから前記シリンジの使用者を保護するように、シャープコンテナとして機能する、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項3】
前記薬剤容器はアンプルである、請求項2に記載のシリンジ。
【請求項4】
前記検証室は、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の目視検査を可能とする透明窓を有する、請求項1〜3のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項5】
前記検証室は、前記投薬室内における前記薬剤の識別体を含み、かつ前記投薬室内における溶質の識別体を含む、請求項1〜4のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項6】
前記不正干渉防止ロック機構は、捕捉機構又は一方向ラチェット手段を有する、請求項1〜5のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項7】
シリンジの投薬室の中の薬剤又は投薬室から小分け供給された薬剤を識別する方法であって、
前記投薬室から前記シリンジのプランジャを部分的に引き戻すことによって薬剤を薬剤容器からシリンジの投薬室内へ引き出すステップと、
前記薬剤容器を前記シリンジの検証室内へ挿入するステップであって、前記検証室が、前記投薬室又は前記シリンジの前記プランジャと一体的であるか前記投薬室又は前記シリンジの前記プランジャへの固定アタッチメントである、ステップと、
前記薬剤容器が前記検証室から取り外されるのを防ぐよう不正干渉防止ロック機構を動作させるステップとを備え、
前記投薬室内へ前記薬剤容器から引き出された前記薬剤が、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の識別体の目視検査によって確実に識別されかつ検証することができるように、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の目視検査が可能となるように前記検証室が構成されている、方法。
【請求項8】
前記薬剤容器は、前記薬剤容器内で貯蔵されている前記薬剤にアクセスできるように破断される脆弱なシールを有するタイプであり、前記検証室は、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の破断されたシールから前記シリンジの使用者を保護するように、シャープコンテナとして機能する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤容器はアンプルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
薬剤を受け入れるためでありかつそこから一定用量の薬剤を小分け供給するための小分け供給開口部と、プランジャを受け入れるためのプランジャ開口部とを有する、投薬室と、
薬剤容器から前記小分け供給開口部を通して前記投薬室へ薬剤を引き出すようにプランジャを前記投薬室から部分的に引き戻すことができ、かつ、前記小分け供給開口部を通して前記投薬室から前記薬剤を小分け供給するように前記投薬室内への前記プランジャの部分的な又は完全な挿入ができるように、前記プランジャ開口部を通して配置可能でありかつ前記投薬室内で移動可能なプランジャと、
前記薬剤が引き出される前記薬剤容器を受け入れる開口部を有する検証室であって、前記検証室が、前記投薬室又は前記プランジャと一体的であるか前記投薬室又は前記プランジャへの固定アタッチメントである、検証室と、
前記検証室の前記開口部を遮断しかつ前記薬剤容器が前記検証室から取り外されるのを防ぐ又は少なくとも阻止するように動作可能な不正干渉防止閉鎖体とを備え、
前記投薬室内へ開放した前記薬剤容器から引き出された前記薬剤が、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の識別体の目視検査によって確実に識別されかつ検証することができるように、前記検証室内でロックされた前記薬剤容器の目視検査が可能となるように前記検証室が構成されている、シリンジ。
【請求項11】
前記検証室が、前記投薬室と一体的であるか前記投薬室への固定アタッチメントである、請求項1〜6及び10のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項12】
前記検証室が、前記投薬室と一体的である、請求項1〜6及び10のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項13】
前記検証室が、前記プランジャと一体的であるか前記プランジャへの固定アタッチメントである、請求項1〜6及び10のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【請求項14】
前記検証室が、前記プランジャと一体的である、請求項1〜6及び10のいずれかを一項に記載のシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ、特に皮下針注射器に関する。但し、本発明は、この形態のシリンジに限定されるものではなく、針無しシリンジなど他の形態も含むことができる。
【0002】
本発明は、救急隊員によるなどによって主に緊急事態に使用するために開発されたものであり、この用途を参照して以下に説明する。但し、本発明はこの特定の使用分野に限定されるものではないことが分かるはずである。
【背景技術】
【0003】
現在、シリンジは、治療を実施するために所定範囲の薬剤の1つ又はそれ以上を患者体内に与えるために使用される。しかし、その使用は正確である必要がある。
【0004】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、「薬剤」は、治療、製薬、栄養又は医薬物質を含むが、刺激剤、凝固剤などを含めて生理的に効果のある物質又は治療薬として使用される物質も含む。
【0005】
正確な用量の正確な薬剤が投与されることは重要である。したがって、シリンジは、ドーセージ正確な計測が行えるように細かい目盛りを持つ投薬室(dosage chamber)を備える。投薬室は、通常、既知の濃度の薬剤と要求される投与濃度まで薬剤を希釈するための調剤溶液(dosage solution)との混合物で充填される必要がある。この調剤溶液は、単なる精製水又は医療用食塩水であることが多い。
【0006】
非常に濃縮されかつ正確に濃縮された薬剤を提供するための安全な密閉された方法としてアンプルが使用される。このようなアンプルは、製造現場においては厳密に監視され、その後、病院又はその他の医薬販路など配給エリアにおいて高度のセキュリティの下で責任が持たれる。この高度の管理は、多数の理由によって維持される。即ち、
a)安全性の点で、不正確に使用された場合、薬剤は非常に有毒である可能性がある。
b)非医療の目的で乱用するために、違法薬物販路において高い価値がある。
c)薬剤の消費期限があるので、効力を維持しかつ効力を監視するためである。
【0007】
アンプルの通常の使用法は、使い捨てアンプルである。これは、本体と薄い首部を有するガラス製アンプルとすることができる。したがって、アンプルは、明らかに密閉されて、不正干渉(tampering)がないことを示すことができる。したがって、薬剤のタイプ、品質、量及び濃度が明らかに分かる。アンプルは、首部を破断することによって破断され、皮下針が内容物を引き出すために挿入される。別個の単一使用または複数使用用のアンプル又はその他の容器は、精製水又は医療用食塩水又はその他の適切な溶液の調剤溶液を収容する。正確な量の調剤溶液をシリンジの投薬室の中へ挿入するまたは引き寄せることができる。
【0008】
但し、多くの場合、治療医以外の他の者によってその使用以前の時点で既知の濃度の要求される用量の薬剤と要求される投与濃度まで薬剤を希釈するための調剤溶液とを投薬室に充填して、シリンジを準備する必要がある。治療医以外の他の者は、例えば、病院又は診療行為に当たる補助救急隊員又は看護師又はその他の医療補助者又はその他の有資格診療所職員である。
【0009】
要求量の要求される薬剤によるシリンジの準備と薬剤を投与するためのシリンジの使用との間には時間差が生じる可能性がある。これは、交通事故、産業事故、家庭事故及び救急医療など事故またはその他の緊急事態に対処するとき救急隊員が遭遇するまず求められる他の治療又は物理的な治療状況から生じる可能性がある。更に、異なる用量の異なる薬剤の複数のシリンジを必要とする複数の治療が必要となる可能性がある。更に、同じ事故または緊急事態において同じ治療医の治療を受ける複数の患者がいるために、複数のシリンジが必要となるかもしれない。
【0010】
基本的に、救急隊員か、医療補助者か、医師又はその他の内科医であるかに関係なく治療者は、投与前に薬剤について充分に認識し、チェックしなければならないことは基本である。これには、所定量の薬剤が入っている事前に準備されたシリンジが実際に特定可能な供給源から引き出されることをチャックし、所与の時に所与の患者の治療のための正確な薬剤を確認することを含む。
【0011】
事前に準備された治療を確認しなければならないことによって緊急時に時間が消費された場合、治療の遅れは命に係わる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、先行技術の欠点の少なくとも1つ又はそれ以上を改善する又は実質的に軽減するシリンジ、シリンジへの取外し不能のアタッチメント又は改良された識別方法を提供すること又は少なくとも対案を提供することを目的とする。
【0013】
本明細書において先行技術の情報に言及する場合、この言及は、その情報が技術上、オーストラリアにおいて又はその他の国において周知の知識の一部を形成することを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1形態によれば、正確な用量の薬剤を受け入れられる投薬室であって、正確な用量の薬剤を小分け供給するための開口部を有する投薬室と、投薬室の開口部から正確な用量の薬剤を小分け供給するために投薬室内に配置可能なプランジャと、投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するためにシリンジに取り付けられた識別体とを備える、アンプルと使用するためのシリンジが提供される。
【0015】
識別体は、投薬室へのアタッチメントとすることができる。
【0016】
識別体は、投薬室への固定アタッチメントとすることができる。
【0017】
識別体は、投薬室と一体的とすることができる。
【0018】
識別体は、プランジャへのアタッチメントとすることができる。
【0019】
識別体は、プランジャへの固定アタッチメントとすることができる。
【0020】
識別体は、プランジャと一体的とすることができる。
【0021】
識別体は、印刷情報通知体を受け入れるための受容体として形成できる。
【0022】
好ましくは、シリンジは、薬剤を収容する薬剤容器から分離可能な印刷情報通知体を有する。
【0023】
識別体は、内容物を投薬室の中へ供給した後に薬剤を収容する薬剤容器を受け入れるためのチャンバとして形成できる。
【0024】
識別体は、薬剤を収容し薬剤に関する詳細を含むアンプルの形態の薬剤容器を受け入れるためのチャンバとして形成でき、アンプルが破断されると、内容物を投薬室の中へ供給しかつ破断されたアンプルをチャンバ内に保持できるようにする。
【0025】
好ましくは、チャンバは、アンプル上の薬剤に関する詳細を読めるようにする透明の窓を含む。
【0026】
シリンジは、投薬室の中の薬剤の正確な用量が分かるように、識別体を保持するためのセキュリティ機構を含むことができる。
【0027】
好ましくは、セキュリティ機構は、識別体の受入れ及び識別体の除去を防止するロックを可能にするように、一方向ロック可能手段である。
【0028】
好ましくは、セキュリティ機構は、一方向ロック可能手段の捕捉機構を含み、一方向ロック可能手段は、通知体挿入後に印刷情報通知体を受け入れるための受容体をロックするための一方向ラチェット手段である。
【0029】
本発明のシリンジにおいて、セキュリティ機構は、薬剤を収容しかつ薬剤に関する詳細を含むアンプルを取外し不能に受け入れるためのチャンバの一方向保持手段の捕捉機構を含み、アンプルは、内容物を投薬室の中へ供給できるようにするために破断された後、破断されたアンプルはチャンバの中に取外し不能に保持される。
【0030】
本発明の特に好ましい形態において、正確な用量の薬剤を受け入れることができる投薬室であって、正確な用量の薬剤を小分け供給するための開口部を有する投薬室と、投薬室の開口部から正確な用量の薬剤を小分け供給するために投薬室内に配置可能なプランジャと、投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するためにシリンジに取り付けられた識別体であって、識別体が投薬室の中へ内容物を供給した後に薬剤を収容する薬剤容器を受け入れるためのチャンバとして形成された投薬室へのアタッチメントである、識別体と、を備える、アンプルに使用するためのシリンジが提供される。薬剤容器は、薬剤を収容しかつ薬剤に関する詳細をアンプル上に含むアンプルの形態を取り、アンプルが破断されると、投薬室の中へ内容物を供給できるようにしかつ破断されたアンプルをチャンバの中に保持できるようにする。
【0031】
好ましくは、識別体は、プランジャへの固定アタッチメントである。
【0032】
好ましくは、識別体は、プランジャと一体的である。
【0033】
シリンジは、薬剤を収容しかつアンプル上に薬剤の詳細を含むアンプルを取外し不能に受け入れるためのチャンバの一方向保持手段の捕捉機構を含むセキュリティ機構を有し、内容物を投薬室の中へ供給できるようにするためにアンプルが破断された後、破断されたアンプルはチャンバの中に取外し不能に保持される。
【0034】
好ましくは、識別体はプランジャと一体的である。
【0035】
好ましくは、識別体は、溶質(solute)のタイプを知らせるように形成される。
【0036】
好ましくは、識別体は、印刷情報通知体を受け入れるための受容体である。
【0037】
本発明は、シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別する方法を提供する。方法は、
a)投薬室の中に正確な用量の薬剤を配置するために脆弱な薬剤容器の中の詳述される一回量薬剤(single dosage medicine)から正確な用量を使用するステップと、
b)シリンジの受入れ室において使用された後薬剤容器を保持することによって投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するステップと、
c)識別体によって投薬室の中の溶質を識別するステップと、
d)チャンバ内に薬剤容器を固定するステップと、
を含み、シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量は、一回量薬剤に関する詳細及び溶質の識別体によって示される。
【0038】
本発明の他の形態も開示される。
【0039】
他の任意の形態が本発明の範囲に属する可能性があるが、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して、実施例としてのみ下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】先行技術に従ったシリンジの断面略図の例である。
図2】先行技術に従ったシリンジの断面図の例である。
図3】プランジャと一体的なチャンバを有する、本発明の好ましい実施形態に従ったシリンジの断面詳細図である。
図4】プランジャと一体的なチャンバを有する、本発明の好ましい実施形態に従ったシリンジのプランジャの断面略詳細図である。
図5】プランジャと一体的なチャンバを有する、本発明の好ましい実施形態に従ったシリンジの断面図である。
図6】大きいシリンジ及び小さいシリンジ及び使用済みアンプルを保持するためのそれぞれのチャンバとして示される、本発明の好ましい実施形態の2つの形態の斜視図である。
図7】結合形態の大シリンジの図である。
図8A】大シリンジの個別成分の図である。
図8B】大シリンジの個別成分の図である。
図9】結合形体の図6の小シリンジの図である。
図10A図6の小シリンジの個別成分の図である。
図10B図6の小シリンジの個別成分の図である。
図11図6の小シリンジの個別成分の図である。
図12図6の小シリンジの個別成分の図である。
図13A】チャンバをシリンジ本体又はプランジャに取り付けできる、使用済みアンプルを保持するための別個のチャンバの例の図である。
図13B】チャンバをシリンジ本体又はプランジャに取り付けできる、使用済みアンプルを保持するための別個のチャンバの例の図である。
図14A】シリンジの投薬室の中に収容された溶質のタイプ又は溶質の量の通知の実施例の図である。
図14B】シリンジの投薬室の中に収容された溶質のタイプ又は溶質の量の通知の実施例の図である。
図14C】シリンジの投薬室の中に収容された溶質のタイプ又は溶質の量の通知の実施例の図である。
図15A】シリンジの投薬室の中の薬物及び溶質の合成濃度の通知の実施例の図である。
図15B】シリンジの投薬室の中の薬物及び溶質の合成濃度の通知の実施例の図である。
図15C】シリンジの投薬室の中の薬物及び溶質の合成濃度の通知の実施例の図である。
図16A】本発明を応用できるシリンジの既知の保護針又は引込み可能針の図である。
図16B】本発明を応用できるシリンジの既知の保護針又は引込み可能針の図である。
図17A】本発明を応用できるシリンジの既知の保護針又は引込み可能針の図である。
図17B】本発明を応用できるシリンジの既知の保護針又は引込み可能針の図である。
図18A】本発明を応用できる既知の予充填シリンジの図である。
図18B】本発明を応用できる既知の予充填シリンジの図である。
図19】本発明の実施形態に従ったシリンジの使用方法の流れ図である。
図20A図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の図である。
図20B図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の概略図である。
図21図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の図である。
図22図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の概略図である。
図23図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の概略図である。
図24図19のシリンジの使用方法のステップ1〜5の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明において、様々な実施形態において類似する又は同じ参照番号は同じ又は同様の特徴を示す。
【0042】
図面特に先行技術の図1及び2を参照すると、指押し端部21とOリング弾性プランジャ頭20で終端する細長いシャフト22とを持つプランジャ20を有するシリンジ11が示される。プランジャ頭は、投薬室30の開放第1端部33の中へ挿入可能であり、投薬室30の他方の第2端部34から針配列体40を通過して内容物を押し出すことができる。
【0043】
概略的に、投薬室30は、シリンダ31によって形成され、内部空洞32は、開放第1端部33と供給第2端部34との間に延びる。針配列体40は、シリンダ31の第2端部34に取付け可能で患者に皮下投与するための針を保持する針マウント41を含むことができる。但し、針配列体は、他の針無し形態とすることができる。
【0044】
通常、投薬室を備えるシリンジは、正確な用量Dを受け入れ、細かい目盛りによって正確な計測を行うことができる。投薬室は、通常、既知の濃度の薬剤と要求される投与濃度まで薬剤を希釈するための調剤溶液との混合物で予充填する必要がある。しばしば、この調剤溶液は、単なる精製水又は医療用の食塩水である。
【0045】
本発明の実施形態の図面特に図3〜5を参照すると、アンプル45と使用するためのシリンジ12が示される。シリンジは、正確な用量Dの薬剤を受け入れることができる投薬室30を形成する中空円筒形チューブを有する。投薬室30は、患者へ皮下投与するための針42を保持し針に供給を行う針マウントを含む針配列体40を通過するなどして正確な用量の薬剤を小分け供給するための開口部34を有する。プランジャ20は、投薬室30の中へ更に押し込まれることによって投薬室の開口部から正確な用量の薬剤を小分け供給するために、投薬室30の他方の端部の開口部33の中へ配置可能かつ挿入可能である。
【0046】
投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するためにシリンジに取り付けられた識別体50を含むことは、特に重要である。識別体は、プランジャ20に取り付けられるか又はプランジャの修正体であるか、又は投薬室30に取り付けられる又はその修正体であるか又はプランジャ20又は投薬室30と一体的とすることができる。
【0047】
図3〜5に示す実施形態の識別体は、修正された指押し端部を形成するためにプランジャ20のシャフト22の端部に取り付け又は付着された円筒形チャンバ51として形成される、プランジャ20へのアタッチメントである。プランジャの端部に形成された識別体50の円筒形チャンバ51は、一端においてシャフト22の長手に対して直交して延びる環状フィンガープレート52を持つ開口部54と、開口部54によって上端部において開放されかつ他方端55において閉鎖される中央空洞53とを有する。
【0048】
中央空洞は、使用済みカプセルを受け入れるサイズを持つ。1つの形態において示すように、中央空洞は、シャフト22の直径より大きいか又はシャフト22の直径と同じサイズであるか、又はシャフト22の直径より小さくできる。円筒形チャンバ51は透明である。
【0049】
円筒形チャンバ51は、投薬室の中へ内容物を供給した後に薬剤を収容する薬剤容器を受け入れるためのものである。薬剤容器は、薬剤を収容しかつ取外し不能の識別バッジ48に薬剤に関する詳細を含むアンプルの形をとる。
【0050】
アンプル45は、通常、ガラス製であり、投薬室30の中へ正確に1回量の内容物を供給できるようにするために破断されるニップル47を有する。識別体50は、破断されたアンプル45をチャンバ53内に保持する。アンプルバッジ47は、薬剤に関する詳細を含み、内容物を投薬室の中へ供給できるようにするためにアンプルが破断された後に破断アンプルはチャンバの中に保持される。したがって、薬剤の正確な詳細は、たとえシリンジがすぐに使用されず例えば非常時の治療時に5〜30分間使用されない場合でも、常に分かる。
【0051】
識別体50がプランジャ20への固定アタッチメントのとき、識別体は、シリンジ12に取り付けられたままである。但し、識別体チャンバ50の端部プレート52を、正確な用量の供給を必要とするときにプランジャ20を押すためのフィンガープレートとして使用できるので、シリンジを通常に操作できる。好ましくは、破断したアンプル45は、シリンダ53の開口部54の中に挿入され、破断されたニップル47は、鋭い縁が完全に閉じ込められて使用者から離されるように最初にシリンダの中へ導かれる。円筒形チャンバ51は、薬剤に関する詳細を含むアンプルバッジ47が明白に見えるように、透明である。
【0052】
シリンジは、更に、その内面上に捕捉機構56を含むセキュリティ機構を有する。捕捉機構56は、薬剤を収容しかつアンプル上に薬剤に関する詳細を含むアンプル45を取外し不能に受け入れるためのチャンバの一方向保持手段であり、それによって、アンプル45が投薬室の中へ内容物を供給できるようにするために破断された後、破断アンプルはチャンバの中に取外し不能に保持される。
【0053】
識別体は、溶質のタイプも知らせることができる。識別体は、溶質を指示する印刷情報通知体を受け入れるための受容体とすることができる。通知体の第2部分は、溶質の添加によって得られる調剤の濃度を指示できる。
【0054】
但し、識別体は、残っているタグが溶質について指示するように、切離しタグなど他の形態を持つことができる。切離しタグの第2群は、溶質の添加によって得られる調剤の濃度を指示することができる。
【0055】
シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別する方法が提供される。まず、投薬室に正確な用量の薬剤を入れるために脆弱な薬剤容器の中の詳述される一回量薬剤から正確な用量が提供される。次に、シリンジの受入れ室において使用後の薬剤容器を保持することによって、投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別する。また、識別体によって投薬室の中の溶質を識別する。不正干渉又はラベルの付替えがないようにするために、チャンバ内に薬剤容器を固定する。
【0056】
これらのステップによって、1回量薬剤に関する詳細及び溶質に関する識別体によってシリンジの投薬室の中の正確な用量の薬剤を疑念なしに知ることができる。
【0057】
本発明は、図面において開示するもの以外の変形も含むことができる。
【0058】
例えば、シリンジは、投薬室30へのアタッチメントとして識別体を持つことができる。識別体は、円筒形投薬室の周りに締まる一体的Cクランプを有する円筒形チャンバ51のような円筒形チャンバとすることができる。このCクランプは、投薬室から外れないようにするためのロック手段を含むことができる。
【0059】
識別体は、投薬室への固定アタッチメントである円筒形チャンバ51のような円筒形チャンバとすることができる。
【0060】
識別体は、投薬室と一体的な円筒形チャンバ51のような円筒形チャンバとすることができる。
【0061】
識別体は、プランジャへのアタッチメントである円筒形チャンバ51のような円筒形チャンバとすることができる。プランジャのシャフトは、円筒形から十字形、X字形及び他の断面形状まで、形状の範囲を持つことができ、円筒形チャンバ51は、これらの形状に付着する一体的クランプを持つことができる。
【0062】
識別体は、プランジャへの固定アタッチメント又はロック可能なアタッチメント又はプランジャと一体的とすることができる。アタッチメントは、投薬室30の中へ入るプランジャの範囲を制限しないように又はプランジャの小さい行程部分を占めないように、図3〜5に示すようにプランジャの端部に配置できる。
【0063】
識別体は、印刷情報通知体を受け入れるための受容体として形成できる。
【0064】
概略的特徴
本発明は、少なくとも下記のものを組み合わせた新規かつ革新的な多数の特徴を得ることが分かる。即ち、
a)薬物の識別体
b)破断されたアンプルの制御された保持体
c)溶質の通知体
d)不正干渉防止
e)制約のないシリンジの使用
f)改良部品の組み込み(retrofitting)
【0065】
本発明の実施形態は、改良され有益な技術開発を提供する相乗的な改良された組合せで上記の特徴の1つ又はその組合せを含むことができる。
【0066】
a)薬物の識別体
薬物は、あらゆる使用において明確に識別される必要がある。これは、注射される物質(シリンジに最初に充填されるときより後に実施される可能性のある)が何であるかを判定するために、重要である。このような状況は、特に緊急事態において治療が実施されるときに生じる。なぜなら、担当医は、どのような臨床事態にも備えるために準備する必要のある多数のテスト及び手順を引き受けることになる可能性があるからである。但し、薬物は、病院における規定の医療処置など事前計画されたやり方で投与されることもある。病院においては、薬物投与を事前計画された手順に合わせて最初に準備できる。
【0067】
薬物のこのような識別の重要性は、薬物の供給において既に浸透しており、アンプルの使用によって、薬物、薬物の供給源、薬物の濃度、薬物の製造日又は品質保持期限及び更には薬物のバッチ番号さえ明確に識別される。したがって、薬物の購買者から特定のバッチに生じた製造エラーの可能性まであらゆることを容易に識別できる。
【0068】
このような全範囲の知識特に薬物及び薬物の濃度の識別を、アンプルが投与シリンジの中へ空けられた後でもアンプル自体を薬物の識別体として使用することによって維持することは、明らかに有益である。したがって、使用済みアンプルをシリンジと共に保持することは、重要な要素である。
【0069】
但し、使用済みアンプルと投与シリンジの偶発的な不一致がないことが重要なので、単なる配置では充分ではない。アンプルが提供する情報が、使用後でも容易にアクセスでき、しかもシリンジと共に保持されることが更に重要な要素である。この点に関して、特に下記の要件がある。即ち、
i)アンプルの不正干渉防止式の保持
ii)不正干渉防止式にシリンジに保持されたアンプル上の詳細情報が読み取れる。
【0070】
b)破断アンプルの制御された保持体
使用済み薬物アンプルは、シリンジと共に保持される必要がある。概略的に、アンプルは、ガラスは薬物に対して最も反応が小さくかつ薬物を充填する前に最も容易に汚染除去できるので、ガラスで作られる。したがって、このように少量の容器を開けるためにアンプルの首部が破砕された後、破砕容器を安全に保持する必要がある。
【0071】
アンプルは、アンプルを簡単に保持するアーム上の突出クリップによって保持できる。しかし、これは、飛び出た破砕アンプルによる怪我からシリンジの使用者を保護する効果的手段ではない。更に、保持アームがかなりの部分を被覆して、アンプルを単一の相対位置に保持するので、アンプル上の情報を容易に見えるようにする効果的手段ではない。
【0072】
したがって、好ましくは、本発明は、破砕アンプルを受け入れて安全にかつ閉鎖的に保持できる容器を含む。更に、容器の少なくとも一部分が透明なので、シリンジの医療関係使用者は、使用済みアンプルの端部の重要な情報を容易に見ることができる。
【0073】
この容器をシリンジと容易に結合できることは、本発明の大きな利点である。この利点は、容器が、
i)シリンジ本体に取付け可能である
ii)シリンジのプランジャに取付け可能である
iii)シリンジの本体と一体的である、又は
iv)シリンジのプランジャと一体的である
ことによって、得られる。
【0074】
チャンバがシリンジの本体又はプランジャに取付け可能であることによって、シリンジを改装(retrofit)できる。但し、アンプルとシリンジとの間の関係の確実性を増大するために、シリンジの本体又はプランジャへのチャンバの接続は、可逆的ではなく、チャンバは偶発的に複数のシリンジの1つから外れてシリンジの1つに再取付けできない。
【0075】
但し、チャンバがシリンジの本体又はプランジャと一体的であることによって大きな利益が得られる。このようにして、チャンバは既に完全に結合されているので、チャンバをシリンジと結合するために一切行動を必要とせず、個々のシリンジと結合されているものとして誤認しようがない。更に、チャンバがシリンジの本体又はプランジャの一体的要素であることは、薬物がシリンジに挿入された後に破断アンプル上に重要な情報を保持する際に正確な手順を更に効果的使用できるようにする。なぜなら、医療関係の使用者又は使用者のためにシリンジを準備する者は、情報を容易に利用できる又はすでに手にしている。
【0076】
アンプルから薬剤が挿入されたシリンジに使用済みアンプルを正確に結合する利点に加えて、チャンバは、不正干渉防止閉鎖体を含むことができる。したがって、使用済みアンプルがチャンバに挿入された後に、不正干渉防止閉鎖体は、永久的にアンプルをチャンバの中に保持できる。
【0077】
チャンバは、
i)シリンジ及びシリンジの中へのプランジャの挿入ラインと一線上にすることによって、又は
ii)これに取り付けられる又はこれに一線上位置に一体的に隣接する、
ことによって、シリンジの本体と一体的にできる。
【0078】
これは、チャンバがシリンジ本体の投薬室の一部分を占めて、プランジャからの圧力を受けて投薬室内で移動できることを意味できる。但し、チャンバがシリンジ及びプランジャの挿入線と一線上にない場合、投薬室に隣接する固定された一体的位置に留まりまるが、容易にアクセスできシリンジと結合できる。投薬室の容量は、使用済みアンプルを保持するチャンバの影響を受けることはない。
【0079】
同様に、チャンバは、
i)シリンジへのプランジャの線形挿入部分と一線上であることによって、又は
ii)前記線形位置に一体的に取り付け又はこれに隣接することによって、
シリンジのプランジャと一体とすることができる。
【0080】
チャンバがプランジャ一線上に在る場合、チャンバはプランジャの一部を形成し、投薬室の他方の端から1回量の薬物を押し出すためにシリンジの投薬室の中へ挿入されるように、構造的一体性を持つことができる。このようにして、チャンバは、投薬室の内部寸法に限定される寸法を持つ。使用済みアンプルを保持するチャンバは、投薬室の中への挿入を続行する必要のある部分ではなく、プランジャの一部とすることができる。この点に関して、使用済みアンプルを保持するチャンバは、プランジャの後部を形成する。更に、この形態のチャンバは、投薬室より大きい寸法を持つことができ、したがって投薬室より大きい寸法を持つアンプルを受け入れることができる。
【0081】
シリンジの投薬室の中へチャンバが前進しないことの利点は、投薬室と使用済みアンプルを保持するチャンバの両方を通して見るのではなく使用済みアンプルを保持するチャンバの厚みのみを通してアンプルの詳細をより容易に見ることができることである。
【0082】
但し、この複雑さはアンプルを読む必要のあるタイミングが投薬室からの薬物の使用及び供給以前であることで解消できる。更に、投与済みの薬剤の詳細が要求される場合、投薬室からチャンバを引き出すことによって、使用済みアンプルを保持するチャンバの単一の透明壁を通して容易に詳細が見える。
【0083】
したがって、全体的に、プランジャと一線上に在るとき、チャンバは、プランジャ全体を形成するか、又はプランジャの端の指押し端部から延びる一部分のみを形成できる。更に、チャンバは、投薬室の直径より小さい、これに等しい又はこれより大きい寸法とすることができる。
【0084】
チャンバの重要な要素は、使用済みアンプルをその中に保持する閉鎖体を含む点である。したがって、チャンバ及びその閉鎖体へ通じる開口部は、チャンバがプランジャと一線上に在るときプランジャの端の指押し端部に位置する。
【0085】
c)溶質の通知体
患者に投与される薬剤は、その識別だけでなくその濃度によって重要である。薬物は、当初、アンプルによって識別される特定の濃度で供給される。投与される薬物の品質は、シリンジの投薬室の長さに沿った数量マークの点によって識別できる。但し、薬物は異なる濃度で投与する必要がある場合がある。したがって、薬物不活性溶質を添加することによって減少した濃度の薬物をシリンジに供給することが知られている。この溶質は、通常、食塩水又は精製水又はこれに類似するものである。
【0086】
したがって、下記の溶質の特徴、即ち
i)溶質のタイプ
ii)溶質の量、及び
iii)その結果得られた薬物の濃度、
を識別することが重要である。上記の情報の2つを得れば、明らかに第3の情報が得られる。
【0087】
本発明において、溶質の特徴を識別するステップが医療関係の使用者又はその助手によって容易に実施できることが、特に有利である。この情報は、シリンジ又はプランジャ又は使用済みアンプルを保持するチャンバの末端に書き入れることができる。但し、手書きは、明確な指示にならず、特にフェルトペン又はボールペン又はこれに類似するもので末端に書くと、情報がにじんで読めなくなる可能性がある。
【0088】
したがって、本発明の特に重要な形態は、シリンジの要素を組み入れる確実な識別又は通知機構を含む。これは、上記の識別される溶質の特徴の1つ又はそれ以上を識別する適切な1つを医療関係の使用者又はその助手が容易に選択できるように、シリンジ本体又はプランジャが、所定の数の事前規定されたスナップオフ部分を持つことができる。
【0089】
d)不正干渉防止
上述のように、シリンジの中に在る薬物の詳細は、濃度及び溶質による濃度の変化などの特徴を含めて明確に識別できることが重要である。したがって、医療関係使用者の助手が薬剤と溶質の要求される混合物をシリンジに用意したような緊急事態において、医療関係使用者が、シリンジの内容物に関する正確な情報を完全に確実に利用できる必要がある。医療関係使用者がこのような確信を持てない場合、シリンジの内容物を混合し直して最初から始めたくなる。
【0090】
医療関係使用者にこのような確信を与えるシステムにおいて提供される確実性の要素は、使用済みアンプルに詳述される正確な情報の量並びに溶質のタイプ及び量の通知機構である。
【0091】
更に、使用済みアンプルを保持するチャンバの不正干渉防止閉鎖体を持つことによって、更に医療関係使用者に確信を与える要素が加わる。更に、チャンバがシリンジと一体的である場合、シリンジの内容物の情報の正確性には疑問の余地がない。チャンバが一体的ではない場合でも、シリンジの本体又はプランジャにチャンバの不正干渉防止式取付け台を持つことが好ましい。これも、シリンジの内容物の情報の正確性を保証する。
【0092】
受入れソケットの中への鋸歯突出部の一方向挿入を含めて不正干渉防止式接続を得る方法は多数ある。別の方法は、単に、張出しリムに係合する鋸歯突出クリップである。
【0093】
e)シリンジ/針の無制約の使用
本発明のシステムにおいて、特徴の1つ又はそれ以上の実質的利点がシリンジ及びバリの使用に悪影響を及ぼさないようにすることが重要である。他の特徴を、引込み可能又は使い捨て針との使用など本発明のシステムの実質的利点と組み合わせることができる。更に、予充填投薬室に使用できる。
【0094】
f)改装
上述の実質的利点を提供するために取られたアプローチは、好ましくは一体的形態に含まれ、したがって、製造時に生成される。但し、新規の特徴及び設計も、使用済みアンプルを保持する一体的チャンバに含まれ、このような変更は、シリンジ本体又はプランジャに取付可能である。これによって、本発明の利点を事前製造シリンジに遡及的に引込み式に応用できる。
【0095】
針/シリンジの実施例
本発明の実施例において、図6に示すものを含めて本発明を応用できる様々なタイプの複数の針が可能である。即ち、
a)中容量〜大容量例えば5ミリリットル(ml)超え
b)小容量、即ち5ml未満
c)引込み式の針を含めた安全針
d)使い捨ての予充填シリンジを含む、他の形態
【0096】
実施例A−中容量〜大容量
図7、8A及び8Bは、中容量〜大容量のシリンジ62の特定の好ましい実施例を示す。特に、これは、使用済みアンプルを保持するチャンバがプランジャ620と一体的であり、シリンジの投薬室630の直径に実質的に等しい直径を有する、中〜大容量のシリンジの好ましい実施例である。
【0097】
図示する実施形態における識別体は、修正指押し端部を形成してしかも他方の端部623がシリンジ630の内容物を押し出せるようにするために、プランジャ620のシャフト622と一体的に取り付けられた円筒形チャンバ621として形成されたプランジャ20へのアタッチメントである。
【0098】
プランジャ620の端部に形成された円筒形チャンバ621は、一端においてプランジャ622の長さに対して直交に延びる環状フィンガープレートを持つ開口部624と、上端部において開口部624によって開放され蝶番式の蓋625によって閉鎖可能なチャンバ621の中央空洞と、を有する。この蓋は、内容物を引き出せないように不正干渉防止式に閉鎖可能とすることができる。中央空洞は、使用済みアンプル45を受け入れるサイズを持つ。
【0099】
実施例B−小容量
図9、10A、10B、11及び12は、小容量即ち5ミリリットル未満のシリンジ72の特定の好ましい実施例を示す。特に、これは、使用済みアンプルを保持するチャンバがプランジャ720と一体的であり、シリンジの投薬室732の直径より実質的に大きい直径を有する、小容量シリンジ72の好ましい実施例である。
【0100】
図示する実施形態の識別体は、プランジャ720のより細いシャフト722の一端に一体的に取り付けられて修正押圧端を形成して、より細い部分722の他方の端部723がシリンジ730の投薬室732の内容物を押し出せるようにする、円筒形チャンバ721として形成され、プランジャ720と一体的である。
【0101】
プランジャ720の一端に形成された円筒形チャンバ721は、一端においてプランジャ722の長さに対して直交して延びる環状フィンガープレートを持つ開口部724と、開口部724によって上端部において開放され蝶番式蓋725によって閉鎖可能なチャンバ721の中央空洞と、を有する。この蓋は、内容物を引き出せないように不正干渉防止式に閉鎖可能なとすることができる。中央空洞は、使用済みアンプル45を受け入れるサイズを持つ。
【0102】
実施例C−引込み式
多くのシリンジは、職業上の健康及び安全上の問題及び一般的安全上の問題のために引込み式針を含む。但し、図16及び17に示す実施例などこの機構は、本発明の配列体と組み合わせて容易に使用できる。
【0103】
1つの形態において、引込みのための機構は、シリンジの端部に対する別個のクリップ留め配列体である。これは、シリンジに対して影響を及ぼさないので、所定の範囲の本発明の実施形態をこの引込み式針に容易に使用できる。
【0104】
引込み機構の別の形態において、針は、使用時にはシリンジから突き出されるが、使用後はシリンジの中へ引っ込められる。本発明は、いくつかの形態において、この形態の針を容易に応用できる。必要でかつ適切である場合、投薬室は、1回量の薬物及び溶質を収容できるだけでなく使用後にシリンジを保持するサイズになるように延ばすことができる。更に、投薬室は、詳細を含む通知体を保持する容器を含むことができる。プランジャの操作は、プランジャが投薬室に沿って引き戻されて針が引込まれるための余地を作るように、通知体を保持するチャンバに対して加えることができる。
【0105】
但し、引込み機構は、通知体を保持するチャンバがシリンジと一体的である又は投薬室又はシリンジに沿って取り付けられる本発明の実施形態に、より容易に使用可能である。このようにして、引込み式針の操作は、その通常の機構から変更されずに、本発明の実質的利点を得ることができる。
【0106】
実施例D−使い捨て
使い捨てシリンジは、概略的に健康及び安全性のために1回だけ使用する低コストシリンジを意味する。
【0107】
本発明は、特に使い捨てシリンジに関する。概略的に、コストを低く抑えるために、多様な目的のために多様な様式で同じタイプのシリンジが使用されることが重要である。したがって、1つのタイプの使い捨てシリンジ数百万個を製造できるように1つの型を使用できる。これによって、本発明が目指す所定範囲の問題を改善できる。
【0108】
まず、薬物は、通常、プラスチックの中に長時間保持できない。プラスチックから物質が滲み出すことによって、薬物がプラスチックの中へ滲みることによって及びシリンジの多孔性又は半透明性が薬物に悪影響を及ぼすことによって、薬物が影響を受ける可能性がある。したがって、概略的に、薬物はガラス製アンプルの中に保持することが重要である。アンプルは薬物を保護し、製造から密封され、薬物の詳細な情報を含む。したがって、薬物及び用量の識別の第1の問題は、通知システムによって与えられる。
【0109】
更に、本発明の利点を与えるために容易に改変できるシステムを持つことが重要である。これは、単純にシリンジの構造に改変を加えることによって得られるが、現在のシリンジ及び針を容易に使用しかつ本発明の利点を持つようにプランジャの構造に改変を加えることがより好ましい。
【0110】
更に、システムは、現在の使い捨てシリンジを完全に使用しながら、通知体を受け入れるための取外し不能に取付け可能なチャンバの利点を持つ。
【0111】
実施例E−予充填シリンジ
予充填シリンジの所定場所に薬物を提供するシステムにおいて、様々な状況又は様々な体格の人又はその他の医療上の理由によって、様々な用途の量及び濃度の様々な組合せを提供する必要がある。このためには、同じ薬物のために多様な事前梱包の予充填シリンジが必要であり、医療関係使用者は、このようなシリンジを一定範囲持つ必要がある。
【0112】
通常、梱包が薬物及び濃度を識別することが期待される。したがって、包装が開けられ、皮下針がシリンジに取り付けられ、医療関係使用者の準備が整った時、シリンジは使用までは未識別状態にある。緊急事態において、これは、本発明が改善しようとする同じ問題を抱える。
【0113】
予充填シリンジで特定の薬物が提供され、使用者が溶質を加えるために開封する場合、用量または濃度に関する明確な指示はない。このような状況において、本発明が改善しようとする同じ問題がある。
【0114】
本発明を使用して、この予充填シリンジを多様に改良できる。
【0115】
まず、予充填シリンジは、通知体を受け入れるためのチャンバを含むことができる。即ち、シリンジの中の薬物は、明白に識別される必要があり、通常プラスチックのシリンジはガラス製アンプルのように明白に印刷できる表面を持たない。したがって、薬物が製造時に挿入されるとき、全ての情報を示す関連通知体は、プランジャを投薬室にロックし、通知体を保持するチャンバを投薬室の端部内にロックするか又はプランジャと一体とするか又は投薬室又はプランジャに沿ってロックすることによって可能であり、通知体を保持するチャンバがロックされると、薬物及びその量、用量及び濃度の識別は全て妥当に記されて、容易に見える。
【0116】
次に、予充填シリンジは、特定の濃度の薬物を含むことができる。全範囲の様々な濃度及び用量を提供しなければならない代わりに、予充填シリンジは、溶質の添加によって修正できる。従って、予充填シリンジは、他の実施形態と同様に、その中に溶質の修正された濃度及び詳細の通知体を含めることができるチャンバを含むことができる。予充填シリンジのパッケージは、パッケージにおいて別個に所定範囲の通知体を含むか、又はシリンジに接続でき、シリンジが準備されるとき関連通知体がチャンバに挿入されるように容易に取り外しでき、医療関係使用者は、予充電シリンジを使用する準備ができたとき、薬物の詳細、濃度及び用量の詳細を読んで、このシリンジによって何が投与されるかを正確に知ることができる。
【0117】
使用法
シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別する方法は、
a)シリンジの投薬室の中へ挿入するために正確な用量の詳述される1回量薬剤を提供するステップと、
b)正確な用量の通知体を保持することによって投薬室の中の薬物の正確な用量を識別するステップと、
c)通知体をシリンジに固定するステップと、
を含み、
シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量は、通知体がシリンジに固定されるときに通知体上の詳細によって示され、シリンジを使用して正確な用量を供給できるようにする。
【0118】
図19により詳細に示し、図19〜24に図解するように、シリンジの投薬室の中の薬物の正確な用量を識別する方法300には5つのステップがある。即ち、
i)薬剤がシリンジの中に挿入されるステップ1(310)、又は薬物はシリンジの中へ予充填されている
ii)アンプル上の情報を使用して又はタグによってシリンジの中の薬物を識別するステップ2(320)
iii)薬物の要求される濃度を得るためにシリンジの中へ溶質を挿入するステップ3(330)。このステップは、薬剤の全濃度が要求される場合には任意とすることができる。
iv)溶質及び薬物の濃度を識別し、不正干渉防止式に情報を保持するステップ4(340)
v)薬物及び溶質の識別詳細を検証して、正確であればシリンジを使用するステップ5(350)
【0119】
詳述される1回量薬剤の正確な用量を提供するステップは、シリンジの投薬室の中へ挿入するために脆弱な薬剤容器の中の薬剤を提供するステップを含み、脆弱な薬剤容器は、薬剤の詳細な情報を含む。通常、脆弱な薬剤容器はアンプルであり、投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するステップ2は、使用後の薬剤容器をシリンジの受入れ室の中に保持することによって実施される。したがって、図20に示すように、薬剤はシリンジの中へ挿入されるか又はシリンジに中へ予充填されている。
【0120】
投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するステップは、シリンジ上の受入れ室の中に正確な用量に合致する少なくとも1つの通知体を保持することによって実施される。したがって、図20において、このステップは、使用済みアンプルを受入れ室の中に保持することによって実施される。製造時に投薬室が予充填される場合、情報は、紛らわしくなくシリンジと接続されるように伝達される必要がある。これらの詳細を有するタグを、梱包に含めるか、又は薬物予充填シリンジの受入れ室に予挿入できる。
【0121】
投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別するステップは、識別体によって投薬室の中の溶質を識別する少なくとも1つの通知体を保持することによっても実施される。したがって、ステップ3において、溶質が導入される。
【0122】
したがって、方法のステップ4は、2つの通知体即ち薬剤を識別する通知体及び識別体によって投薬室の中の溶質を識別する通知体を保持することによって、投薬室の中の薬剤の正確な用量を識別する。シリンジの投薬室の中の薬剤の正確な用量は、一回量薬剤の詳細及び溶質の識別体によって示される。
【0123】
但し、重要なのは、医療関係使用者がステップ5を実施したいとき、それ以前のステップが実施されて以来エラーまたは不正干渉がなかったことを知りたいと思うことである。したがって、投薬室の中の薬剤の正確な用量の識別は、受入れ室において識別子によって投薬室の中の溶質を識別する少なくとも1つの通知体を保持し、この少なくとも1つの通知体をチャンバ内に固定することによって、実施される。チャンバの蓋は、不正干渉防止式であり、通知体の挿入後は開放不能である。
【0124】
本発明は、実質的な利点を与えるために多様に実施でき、本発明は実施例に限定されないことが分かるはずである。
【0125】
解釈
実施形態
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態(“one embodiment ”or “an embodiment”)」とは、その実施形態に関連して説明する特定の形体、構造又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書において「1つの実施形態において」と言う句は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではなく、その可能性がある。更に、特定の形体、構造又は特徴は、当業者には明らかなように、1つ又はそれ以上の実施形態において任意の適切な様式で組合せできる。
【0126】
同様に、本発明の実施例の上の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を簡略化しかつ様々な発明的形態の1つ又はそれ以上の理解を助けるために、時には単一の実施形態、図面又は説明においてまとめられることが、分かるはずである。但し、この開示の方法は、主張される発明が各請求項において明白に言及する以上の特徴を要求する意図を反映するものとして解釈されないものとする。むしろ、以下の請求項が示すように、発明的形態は、上に開示した単一の実施形態の全て未満に在る。したがって、「発明を実施するための形態」に続く請求項は、「発明を実施するための形態」に組み入れられ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として自立する。
【0127】
更に、本明細書において説明するいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴(全てではないが)を含むが、様々な実施形態の特徴の組合せは、当業者には分かるように、本発明の範囲内に在り、様々な実施形態を形成する。例えば、以下の請求項において、請求される実施形態のどれもが、任意の組合せで使用できる。
【0128】
様々な対象物例
本明細書において使用する場合、特に指示されない限り、一般対象物を説明するために普通形容詞「第1の」、「第2の」、「第3の」などが使用される場合、これは、単に同様の対象物の様々な事例(instance)を指しており、説明される対象物が、時間的に、空間的に、等級的又はその他において所与の順番でなければならないことを意味しない。
【0129】
具体的詳細
本明細書の説明において、多数の具体的詳細が示される。但し、本発明の実施形態は、これらの具体的詳細無しに実施できることが分かるはずである。他の事例においては、周知の方法、構造及び技法は、本明細書の説明の理解をあいまいにしないために詳細には示していない。
【0130】
用語
図示する本発明の好ましい実施形態を説明する上で、明確化のために具体的用語に助けを求める。しかし、本発明は、このように選択された具体的用語に限定されるものではなく、各具体的用語は、同様の技術的目的を達成するために同様に作用する全ての技術的同等物を含むものとする。「前方」、「後方」、「半径方向」、「周囲方向」、「上方」、「下方」及びこれに類似する用語は、基準点を示すための便宜上の言葉として使用されており、限定的用語として解釈されるものではない。
【0131】
「備える」及び「含む」
以下の請求項及び以上の説明において、明白な言語または必然的示唆によって文脈上要求するのでない限り、「備える」又はその変形は、包括的意味で使用する。即ち、本発明の様々な実施形態において、明示される特徴の存在を指定するが、別の特徴の存在又は追加を排除しない。
【0132】
本明細書において「含む」又はその変形は、少なくともそれに続く要素/特徴を含むことを意味するがその他の要素/特徴を排除しないオープンタームである。したがって、「含む」は「備える」と同義であり、「備える」を意味する。
【0133】
本発明の範囲
したがって、本発明の好ましい実施形態と思われるものについて説明したが、当業者は、本発明の主旨から逸脱することなく、別の修正をこれに加えることができることが分かるはずであり、これらの全ての変更及び修正を本発明の範囲に属するものとして主張するものである。例えば、上に記すどの方式も単に使用できる手順の代表的なものである。ブロック図から機能性を追加又は削除でき、操作は機能ブロック間で交換可能である。本発明の範囲内で、上述の方法にステップを追加又は削除できる。
【0134】
本発明について具体的実施例を参照して説明したが、本発明は他の多くの形態で実施できることが当業者には分かるはずである。
【0135】
産業的応用性
上記のことから、説明する配列体は、病院、手術などの医療センターを含めたシリンジ使用産業に応用できるが、特に重要な産業は、移動治療ユニット、救急車、移動軍隊を含めた緊急医療業である。但し、使い捨て使用が行われる又は医療訓練をほとんど受けていない使用者が効果的、効率的かつ安全にシリンジを使用する必要がある家庭、学校及び商業施設においても重要である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24