(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物のパラペットまたはその内側にパラペットの長さ方向に所定間隔おきに設置されかつ先端部が建物の外方に突き出すようにのびている複数の支持アームと、複数の支持アームの先端部に架設されてパラペットに沿うようにのびているレールと、レールに走行可能に組み付けられている走行装置と、走行装置にロープを介して昇降自在に吊り下げられているゴンドラ本体とを備えているモノレール式ゴンドラであって、
支持アームが、固定アーム部材と、固定アーム部材にその長さ方向に沿ってスライド自在に組み付けられている可動アーム部材と、可動アーム部材の先端部に設けられているレール取付部材とを有しており、
可動アーム部材は、レール取付部材が側面より見てパラペットの上方またはその内側に引き込まれているレール取付位置と、レール取付部材が側面より見てパラペットから所定距離だけ建物の外方に突き出している少なくとも1つのレール設置位置との間でスライドさせられるとともに、レール設置位置において固定解除可能な固定手段によって固定レール部材に固定されるようになっており、
固定アーム部材が、上方に開口した溝形の横断面を有しかつ可動アーム部材が長さ方向にスライド自在に嵌め入れられるスライドガイド部を備えており、レール取付部材が、スライドガイド部の上方開口を通って上方にのびている、モノレール式ゴンドラ。
レールが、隣り合う支持アームのレール取付部材に架設されて直列状に接続されている複数のレール部材よりなり、各レール部材の両端部は、レール取付部材に垂直軸を中心として回動自在に連結されている、請求項1記載のモノレール式ゴンドラ。
レール部材の両端部における建物に近い方の側面に、垂直なピン挿通孔を有するブラケットが取り付けられており、ブラケットは、隣り合うレール部材の端部に設けられたものどうしが、上下に重ねられてピン挿通孔が合致するように、上下方向にずれて設けられており、
レール取付部材が、ピン挿通孔に挿通しうるように可動アーム部材の先端部から上方にのびかつ上端部に抜け止め部を有しているレール取付ピンよりなる、請求項2記載のモノレール式ゴンドラ。
レール部材の両端部に設けられたブラケットのうち少なくともいずれか一方のブラケットのピン挿通孔が、レール部材の長さ方向に沿ってのびた長孔よりなる、請求項3記載のモノレール式ゴンドラ。
走行装置が、ゴンドラ本体を吊り下げるためのロープの一端部がそれぞれ接続される駆動トロリおよび従動トロリと、駆動トロリおよび従動トロリの間に配されかつライフラインの一端部が接続されるライフライントロリと、駆動トロリおよび従動トロリとライフライントロリとをそれぞれ連結する2つの連結バーとを備えており、2つの連結バーの両端部は、駆動トロリ、従動トロリまたはライフライントロリに、垂直軸を中心として回動自在に連結されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載のモノレール式ゴンドラ。
支持アームが、先端部がレール取付部材から所定距離だけ建物の外方に突き出すように可動アーム部材に取り付けられかつ先端部に養生ネットが吊り下げられるネット吊下げアーム部材をさらに備えている、請求項1〜6のいずれか1つに記載のモノレール式ゴンドラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のモノレール式ゴンドラの場合、支持アームの先端部がパラペットから建物の外方に突き出したままの状態で、同先端部にレールを取り付けるとともに、同レールに走行装置を組み付ける必要があるため、作業者がパラペットから身体を乗り出して作業を行うことになり、安全性や作業性の点で問題があった。
また、従来のモノレール式ゴンドラでは、外壁に対するパラペットの出幅が異なる建物ごとに、それに対応した長さの支持アームを用意する必要があり、コストや部品管理の負担等の点で問題があった。
【0005】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、レール等の設置作業をパラペットから身を乗り出すことなく建物内で安全にかつ迅速に行うことができ、また、外壁に対するパラペットの出幅が異なる建物にも容易に適用することができるモノレール式ゴンドラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)建物のパラペットまたはその内側にパラペットの長さ方向に所定間隔おきに設置されかつ先端部が建物の外方に突き出すようにのびている複数の支持アームと、複数の支持アームの先端部に架設されてパラペットに沿うようにのびているレールと、レールに走行可能に組み付けられている走行装置と、走行装置にロープを介して昇降自在に吊り下げられているゴンドラ本体とを備えているモノレール式ゴンドラであって、
支持アームが、固定アーム部材と、固定アーム部材にその長さ方向に沿ってスライド自在に組み付けられている可動アーム部材と、可動アーム部材の先端部に設けられているレール取付部材とを有しており、
可動アーム部材は、レール取付部材が側面より見てパラペットの上方またはその内側に引き込まれているレール取付位置と、レール取付部材が側面より見てパラペットから所定距離だけ建物の外方に突き出している少なくとも1つのレール設置位置との間でスライドさせられるとともに、レール設置位置において固定解除可能な固定手段によって固定アーム部材に固定されるようになっている、モノレール式ゴンドラ。
【0008】
2)レールが、隣り合う支持アームのレール取付部材に架設されて直列状に接続されている複数のレール部材よりなり、各レール部材の両端部は、レール取付部材に垂直軸を中心として回動自在に連結されている、前記1)のモノレール式ゴンドラ。
【0009】
3)レール部材の両端部における建物に近い方の側面に、垂直なピン挿通孔を有するブラケットが取り付けられており、ブラケットは、隣り合うレール部材の端部に設けられたものどうしが、上下に重ねられてピン挿通孔が合致するように、上下方向にずれて設けられており、
レール取付部材が、ピン挿通孔に挿通しうるように可動アーム部材の先端部から上方にのびかつ上端部に抜け止め部を有しているレール取付ピンよりなる、前記2)のモノレール式ゴンドラ。
【0010】
4)レール部材の両端部に設けられたブラケットのうち少なくともいずれか一方のブラケットのピン挿通孔が、レール部材の長さ方向に沿ってのびた長孔よりなる、前記3)のモノレール式ゴンドラ。
【0011】
5)レール取付ピンが、ピン本体と、ピン本体の上端部に水平方向に折り曲げ可能に連結されて前記抜け止め部を構成する折れピンとを有しており、
ピン本体の上端部に、上下方向にのびる長孔を有する垂直板状の薄肉部が設けられており、
折れピンに、下端面から上方に向かって切り込まれかつ薄肉部を嵌め入れうるスリット部が形成されており、
折れピンおよびピン本体が、長孔およびスリット部にまたがって挿通される水平な連結ピンによって、相対回動自在に連結されており、
折れピンの下端部およびピン本体における薄肉部の付け根部分に、互いに上下方向から嵌め合わせうる嵌合部が形成されている、前記3)または4)のモノレール式ゴンドラ。
【0012】
6)固定アーム部材が、上方に開口した溝形の横断面を有しかつ可動アーム部材が長さ方向にスライド自在に嵌め入れられるスライドガイド部を備えており、レール取付ピンが、スライドガイド部の上方開口を通って上方にのびている、前記3)〜5)のいずれか1つのモノレール式ゴンドラ。
【0013】
7)走行装置が、ゴンドラ本体を吊り下げるためのロープの一端部がそれぞれ接続される駆動トロリおよび従動トロリと、駆動トロリおよび従動トロリの間に配されかつライフラインの一端部が接続されるライフライントロリと、駆動トロリおよび従動トロリとライフライントロリとをそれぞれ連結する2つの連結バーとを備えており、2つの連結バーの両端部は、駆動トロリ、従動トロリまたはライフライントロリに、垂直軸を中心として回動自在に連結されている、前記1)〜6)のいずれか1つのモノレール式ゴンドラ。
【0014】
8)支持アームが、先端部がレール取付部材から所定距離だけ建物の外方に突き出すように可動アーム部材に取り付けられかつ先端部に養生ネットが吊り下げられるネット吊下げアーム部材をさらに備えている、前記1)〜7)のいずれか1つのモノレール式ゴンドラ。
【発明の効果】
【0015】
前記1)のモノレール式ゴンドラによれば、レール取付部材にレールを取り付ける作業やレールに走行装置を組み付ける作業を、上記特許文献1記載のモノレール式ゴンドラのように作業者がパラペットから身体を乗り出すことなく、建物内で安全に行うことができる上、作業時に部品や工具等を落下させる危険性もなく、また、作業性も向上する。
また、前記1)のモノレール式ゴンドラによれば、可動アーム部材の固定アーム部材に対するスライド位置を変えることによって、外壁に対するパラペットの出幅が異なる建物にも容易に適用することができるので、上記特許文献1記載のモノレール式ゴンドラのように外壁に対するパラペットの出幅が異なる建物ごとにそれに対応した長さの支持アームを用意する必要がなく、コストや部品管理等の負担が低減される。
【0016】
前記2)のモノレール式ゴンドラによれば、レールを設置する際、例えば、全ての支持アームの可動アーム部材をレール取付位置まで引き込んだ状態で、各レール部材の両端部を所要のレール取付部材に連結した後、可動アーム部材を1スパン(レール部材1つ分)ずつ順番にレール取付位置まで押し出せばよいので、レールの設置作業を一人でも簡単に行うことができる。
【0017】
前記3)のモノレール式ゴンドラによれば、レール部材の両端部に設けられたブラケットのピン挿通孔に、支持アームのレール取付ピンを挿通させるだけで、レール部材の連結作業を簡単に行うことができる。
【0018】
前記4)のモノレール式ゴンドラによれば、レール部材どうしを、一直線上に連結する他、ブラケットのピン挿通孔を構成する長孔の長さ分だけ角度を付けて折れ曲がり状に連結することができるので、例えば外壁が曲面形状である建物にも支障なく設置することができる。
【0019】
前記5)のモノレール式ゴンドラによれば、レール部材の両端部に設けられたブラケットのピン挿通孔にレール取付ピンを挿通させる際、折れピンおよびピン本体の嵌合部どうしを嵌め合わせておくことにより、折れピンが自立した状態に保持されるので、折れピンが自然に倒れないように手で介添する必要がなく、従って、レール取付ピンの挿通作業を効率よく行うことが可能となり、作業性が向上する。
【0020】
前記6)のモノレール式ゴンドラによれば、固定アーム部材をその先端部がパラペットから建物の外方に突き出すように設置した場合でも、レール取付ピンを建物内に支障なく引き込むことができるので、支持アームによるレール等の支持強度を損なわずに、レール等の設置作業時の安全性を確保することができる。
【0021】
前記7)のモノレール式ゴンドラによれば、各支持アームの可動アーム部材をレール取付位置まで引き込んだ状態で、各レール部材の両端部を所要のレール取付部材に連結するとともに、レール部材に走行装置を組み付けておいてから、可動アーム部材を1スパン(レール部材1つ分)ずつ順番にレール取付位置まで押し出すことにより、レールおよび走行装置の設置が完了するので、同設置作業を一人でも簡単に行うことができる。
また、前記7)のモノレール式ゴンドラによれば、レール部材どうしが建物の外壁に応じて所定角度を付けて折れ曲がり状に連結されている場合であっても、走行装置を支障なく走行させることができる。
さらに、前記7)のモノレール式ゴンドラによれば、ライフライントロリが駆動トロリおよび従動トロリと連動するため、ライフラインの架け替えが不要となる。
【0022】
前記8)のモノレール式ゴンドラによれば、ネット吊下げアーム部材の取付作業を、作業者がパラペットから身体を乗り出すことなく建物内で安全に行うことができる上、作業時に部品や工具等を落下させる危険性もなく、また、作業性も向上する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜
図21を参照して説明する。
以下の説明において、
図2の下を「前」といい、
図2の上を「後」といい、
図2の左右を「左右」というものとする。
【0025】
図1〜
図3に示すように、この発明によるモノレール式ゴンドラ(1)は、建物(B)の屋上(B1)のパラペット(B2)に左右方向(長さ方向)に所定間隔おきに設置されかつ先端部がパラペット(B2)から建物(B)の前方(外方)に突き出すように前後方向にのびている複数の支持アーム(2)と、複数の支持アーム(2)の先端部に架設されてパラペット(B2)に沿うように左右方向にのびているレール(3)と、レール(3)に走行可能に組み付けられている走行装置(4)と、走行装置(4)にロープ(6)を介して昇降自在に吊り下げられているゴンドラ本体(5)とを備えてなる。
【0026】
各支持アーム(2)は、パラペット(B2)と直交するように前後方向にのびる固定アーム部材(20a)と、固定アーム部材(20a)に長さ方向にスライド自在に組み付けられた可動アーム部材(20b)と、可動アーム部材(20b)の前端部(先端部)に設けられたレール取付ピン(レール取付部材)(20c)とを有している。
可動アーム部材(20b)は、レール取付ピン(20c)が側面より見てパラペット(B2)の上方またはその内側に引き込まれているレール取付位置(
図3に二点鎖線で示した位置)と、レール取付ピン(20c)が側面より見てパラペット(B2)から所定距離だけ建物(B)の前方(外方)に突き出している2つのレール設置位置(1つは
図3に実線で示した位置)との間でスライドさせられるとともに、各レール設置位置において2本の固定ピン(固定手段)(8)によって固定アーム部材(20a)に固定されるようになっている。
【0027】
レール(3)は、隣り合う支持アーム(2)のレール取付ピン(20c)に架設されて直列状に接続されている複数のレール部材(30)よりなる。各レール部材(30)の両端部は、レール取付ピン(20c)に同ピン(20c)の垂直軸を中心として回動自在に連結されている。
【0028】
走行装置(4)は、右側の駆動トロリ(40a)と、左側の従動トロリ(40b)と、駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)の中間に配されかつライフライン(9)の一端部が接続されるライフライントロリ(40c)と、駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)とライフライントロリ(40c)とをそれぞれ連結する左右2つの連結バー(40d)とを備えている。駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)には、デッキ板(51)に設置された左右のウィンチ(7)から繰り出されるワイヤロープ(6)の先端部がそれぞれ接続されている。2つの連結バー(40d)の両端部は、駆動トロリ(40a)、従動トロリ(40b)またはライフライントロリ(40c)に、垂直軸を中心として回動自在に連結されている。
【0029】
ゴンドラ本体(5)は、左右に長いデッキ板(51)を有するデッキ型のものである。デッキ板(51)の左右両側には、ワイヤロープ(6)が巻かれたリール(71)およびワイヤロープ(6)を昇降させる昇降モータ(72)を有するウインチ(7)が固定状に設置されている。そして、左右のウインチ(7)のリール(71)から繰り出されるワイヤロープ(6)の先端部が、それぞれ駆動トロリ(40a)と従動トロリ(40b)に接続されており、昇降モータ(72)の駆動操作によってデッキ(50)が昇降させられるようになっている。
【0030】
次に、モノレール式ゴンドラ(1)の各構成要素をより詳しく説明すると、まず、
図4および
図5に示すように、支持アーム(2)の固定アーム部材(20a)は、パラペット(B2)に締付固定されるクランプ部(21)と、上方に開口した溝形の横断面を有しかつ可動アーム部材(20b)が長さ方向にスライド自在に嵌め入れられるスライドガイド部(22)とを備えている。レール取付ピン(20c)は、スライドガイド部(22)の上方開口を通って上方にのびている。
クランプ部(21)は、前後方向にのびるメインフレーム(211)と、メインフレーム(211)の前端部から下方にのびた固定ジョー(212)と、メインフレーム(211)の後部に前後方向スライド自在に組み付けられた可動ジョー(213)とを備えている。メインフレーム(211)は、角鋼管等の角管材よりなる。メインフレーム(211)の左右両側面の後部には、複数のピン挿通孔(211a)が、長さ方向に所定間隔おきに形成されている。メインフレーム(211)の後端部には、横U形リング(211b)が取り付けられており、同リング(211b)に支持アーム(2)の落下を防止するためのワイヤロープ(10)の一端部が締結されるようになっている。固定ジョー(212)の下端部には、左右方向にのびかつ締付時にパラペット(B2)の前側面に押し当てられる棒状の当接部(212a)が設けられている。可動ジョー(213)は、その上端部に、メインフレーム(211)をスライド自在に挿通しうる中空筒状の挿通部(213a)を有する垂下状のものであって、その下端部に前後に貫通したネジ孔(213b)を有しており、同ネジ孔(213b)に締付用雄ネジ(214)がねじ込まれている。締付用雄ネジ(214)の後端部にはハンドル(214a)が設けられている。締付用雄ネジ(214)の前端部には、締付時にパラペット(B2)の後側面に押し当てられる円板状の当接部(214b)が設けられている。可動ジョー(213)の挿通部(213a)の左右側壁には、メインフレーム(211)のピン挿通孔(211a)に合致する高さ位置に、ピン挿通孔(213b)があけられている。そして、可動ジョー(213)を、そのピン挿通孔(213b)とメインフレーム(211)の所要のピン挿通孔(211a)とが合致するようにスライドさせて、これらのピン挿通孔(213b)(211a)に固定ピン(11)を挿通させることにより、可動ジョー(213)がメインフレーム(211)に固定されるようになっている。したがって、可動ジョー(213)のスライド位置を調整することにより、固定ジョー(212)と可動ジョー(213)との間隔を変更調整することができ、前後幅の異なる様々なパラペット(B2)にクランプ部(21)を締付固定することが可能である。
メインフレーム(211)の前端側部分に、上方に開口した横断面略U形のスライドガイド部材(220)が嵌め被せられて溶接等により接合一体化されている。スライドガイド部材(220)の底壁の前端部は、固定ジョー(212)を通すために切り欠かれている。スライドガイド部材(220)の左右側壁は、メインフレーム(211)の上面から所定距離だけ上方に突出するような高さを有している。スライドガイド部材(220)の左右側壁の上端縁部は、互いに向かい合うように内方に折り曲げられている。スライドガイド部材(220)に囲まれたメインフレーム(211)の前端側部分の上面には、例えばモノマーキャストナイロン等の摩擦抵抗が小さい材料よりなる滑り板(23)が配置固定されている。そして、滑り板(23)と、スライドガイド部材(220)の左右側壁における滑り板(23)よりも上方部分とによって、前記スライドガイド部(22)が構成されている。スライドガイド部材(220)の左右側壁の前端部には、養生用ステージ(図示略)等を吊り下げるための側方凸部(221)が設けられている。スライドガイド部材(220)の左右側壁上部における前後両端部分には、ピン挿通孔(222)が形成されている。
【0031】
支持アーム(2)の可動アーム部材(20b)は、角鋼管等の角管材(241)の左右側壁外面に、ステンレス鋼板等の板材(242)を溶接等によって接合してなるものであり、スライドガイド部(22)の長さの約2倍程度の長さを有している。但し、可動アーム部材(20b)の長さは適宜変更可能である。可動アーム部材(20b)の左右側壁には、その前後端部および長さ中央部におけるスライドガイド部材(220)のピン挿通孔(222)と同じ高さ位置に、計3つのピン挿通孔(243)が、スライドガイド部材(220)のピン挿通孔(222)と同じピッチであけられている。
図5に示すように、スライドガイド部(22)に収容された可動アーム部材(20b)は、その角管材(241)の底壁が滑り板(23)上面にスライド自在に載置され、左右板材(242)の上縁部がスライドガイド部材(220)の左右側壁の折り曲げられた上縁部の下方にやや隙間をあけて配置され、角管材(241)の上部がスライドガイド部(22)の上方開口に一部が上方に突き出すように配置されている。可動アーム部材(20b)上面の長さ中央部および後端部には、後述するネット取付アーム部材(20d)を取り付けるためのブラケット(244)(245)が設けられている。可動アーム部材(20b)上面における前記2つのブラケット(244)(245)間の箇所に、スライド操作用のハンドル(246)が取り付けられている。また、可動アーム部材(20b)には、左右側壁の対応するピン挿通孔(243)にまたがるようにブッシュ(246)が挿通されて溶接等により接合されている(
図5参照)。
可動アーム部材(20b)は、2つのレール設置位置それぞれにおいて、2本(または1本)の固定ピン(8)により、固定アーム部材(20a)のスライドガイド部(22)に固定される。
図4では、可動アーム部材(20b)は、レール取付ピン(20c)がパラペット(B2)から前方に最も突き出す第1のレール設置位置にあり、この位置では、可動アーム部材(20b)の中央部および後端部のピン挿通孔(243)がスライドガイド部材(220)の前後2つのピン挿通孔(222)に合致させられ、これらのピン挿通孔(243)(222)に固定ピン(8)が挿通させられている。固定ピン(8)は、
図5に示すように、水平なピン本体(81)と、ピン本体(81)の先端部にピン本体(81)の長さ方向と直交する方向に折り曲げ可能に連結されて抜け止め部(8a)を構成する折れピン(82)とを備えている。ピン本体(81)の基端部には、ワイヤ取付用のリング(83)が取り付けられている。このリング(83)に落下防止用ワイヤ(12)の一端部が接続され、同ワイヤ(12)の他端部が例えば可動ジョー(213)に取り付けられたアイナット(213c)に接続されることにより、抜き挿し時に固定ピン(8)がパラペット(B2)から誤って落下するのが防止される。
なお、可動アーム部材(20b)の固定手段として、ボルト・ナットを使用することも可能であるが、工具が不要であって作業性に優れ、落下の問題が生じ難いことから、上記の固定ピン(8)を使用するのがより好ましい。
図4に二点鎖線で示すように、可動アーム部材(20b)は、レール取付位置において、側面から見てレール取付ピン(20c)がパラペット(B2)の上方に位置するように建物(B)の屋上(B1)内に引き込まれている。この位置で、可動アーム部材(20b)の前端部のピン挿通孔(243)がスライドガイド部材(220)の後端部のピン挿通孔(222)と合致させられており、これらのピン挿通孔(243)(222)に固定ピン(8)が挿通されることにより、レール(3)取付時にレール取付ピン(20c)が不用意に移動しないように固定される。なお、レール(3)取付時におけるレール取付ピン(20c)の位置は、
図4の二点鎖線の位置よりも更に後側(建物(B)の屋上(B1)の内側)であってもよく、この場合、固定ピン(8)は必ずしも使用することを要しない。また、例えばスライドガイド部(22)を後方に向かって更に長くのびたものとすることによって、可動アーム部材(20b)をより後側に大きく引き込むことが可能となり、その位置でも可動アーム部材(20b)安定した状態に保持することができる。また、可動アーム部材(20b)は、スライドガイド部(22)の後端から抜き取ることが可能である。
【0032】
レール取付ピン(20c)は、
図10、
図11等に詳しく示すように、可動アーム部材(20b)上面の先端部に垂直に立てられているピン本体(25)と、ピン本体(25)の上端部に水平方向に折り曲げ可能に連結されて前記抜け止め部(260)を構成する折れピン(26)とを有している。
ピン本体(25)の可動アーム部材(20b)への固定構造に関し、可動アーム部材(20b)における角筒材(241)上下壁の先端部に互いに合致する円形の貫通孔があけられ、これらの貫通孔に円柱状の取付ベース(27)が嵌め入れられて溶接等により上下壁に接合されており、取付ベース(27)の上面にはネジ孔(271)があけられている。ピン本体(25)には、その下端部に雄ネジ部(251)が形成されているとともに、雄ネジ部(251)の上方に締付用リング(281)が外嵌されて溶接されている。そして、ピン本体(25)が、その雄ネジ部(251)をワッシャ(282)を介して取付ベース(26)のネジ孔(261)にねじ込むことによって、可動アーム部材(20b)の先端部に上方突出状に固定されている。
ピン本体(25)の上端部には、上下方向にのびる長孔(252a)を有する垂直板状の薄肉部(252)が設けられている。折れピン(26)には、その下端面から上方に向かって切り込まれかつ薄肉部(252)を嵌め入れうるスリット部(261)が形成されている。折れピン(26)およびピン本体(25)は、長孔(252a)およびスリット部(261)にまたがって挿通される水平な連結ピン(29)によって、相対回動自在に連結されている。そして、折れピン(26)の下端面に、スリット部(261)を挟んでその両側から下方に突出した嵌合凸部(嵌合部)(262)が形成されているとともに、ピン本体(25)における薄肉部(252)の付け根部分に、嵌合凸部(262)と上下方向から嵌め合わせられる嵌合凹部(嵌合部)(253)が形成されている。
【0033】
レール(3)を構成する各レール部材(30)は、
図6〜
図8等に詳しく示すように、前方に開口した略C形の横断面を有し、かつ支持アーム(2)のピッチとほぼ同じ長さを有する鋼材等の金属材よりなる。
レール部材(30)の左右端部における建物(B)に近い方の後側面に、垂直なピン挿通孔(31a)を有するブラケット(31)が取り付けられている。左右のブラケット(31)は、隣り合うレール部材(30)の端部に設けられたものどうしが、上下に重ねられてピン挿通孔(31a)が合致するように、上下方向にずれて設けられている。
ブラケット(31)は、上下2枚の水平なベース板(311)と、両ベース板(311)の一端部どうしに貫通状に渡し止められた垂直な連結ピン(312)と、両ベース板(311)の他端部どうしに貫通状に渡し止められた垂直なボス(313)とを備えており、ボス(313)の中心孔によって前記ピン挿通孔(31a)が形成されている。そして、両ベース板(311)の一側縁が、レール部材(30)の後側面に溶接等によって接合されている。
レール部材(30)の両端部には、ブラケット(31)に近接する上面または下面部分に、隣り合うレール部材(30)の端部を受けるL形の受け具(32)が溶接等により固着されている。
なお、レール(3)の端に位置するレール部材(30)の端部には、やや長さ中央側に寄った箇所に、上下2つのブラケット(31)が、これらのピン挿通孔(31a)が合致するように取り付けられており、これらのピン挿通孔(31a)に、最も端に位置する支持アーム(2)のレール取付ピン(20c)が挿通されている(
図1参照)。また、同レール部材(30)の端部には、走行装置(4)がレール(3)から外れるのを阻止するストッパ(33)が取り付けられている。但し、レール(3)の端の構造は、上記に限定されず、例えば、後面の一端部の上部分または下部分にブラケットが取り付けられ、他端部にストッパが取り付けられた所要長さの端部レール部材を使用してもよい。
また、ブラケット(31)に関し、建物(B)の外壁(B3)が平面であって、レール部材(30)どうしをパラペット(B2)に沿って一直線上に連結する場合には、
図7に示すように、レール部材(30)の両端部に設けられたブラケット(31)のピン挿通孔(31a)を、いずれも円形の孔とすればよい。
一方、例えば建物(B)の外壁(B3)が平面より見て曲面形状であって、レール部材(30)どうしを一定の角度を付けて折れ曲がり状に連結する必要がある場合には、
図8に示すように、レール部材(30)の一端部に設けられたブラケット(31)のピン挿通孔(31a)を円形の孔とし、同他端部に設けられたブラケット(31)のピン挿通孔(31b)をレール部材(30)の長さ方向に沿ってのびた長孔とするか、あるいは、両ブラケット(31)のピン挿通孔(31b)を長孔とする。
各レール部材(30)の端部は、受け金具(32)を介して、可動アーム部材(20b)上面の先端部で受けられている(
図4および
図6等参照)。つまり、レール(3)、走行装置(4)、ゴンドラ本体(5)およびこれに乗る作業者を含む全荷重が、支持アーム(2)によって受けられるようになっている。
【0034】
走行装置(4)の駆動トロリ(40a)、従動トロリ(40b)、ライフライントロリ(40c)は、それぞれ、略垂直板状のトロリベース(401)と、トロリベース(401)に水平軸を中心として回転自在に取り付けられた左右1対の走行ローラ(402)と、両走行ローラ(402)の外側に上下1つずつ配置されるようにトロリベース(401)に垂直軸を中心として回転自在に取り付けられた左右2組のガイドローラ(403)とを備えている。
駆動トロリ(40a)のトロリベース(401)には、駆動手段として走行モータ(404)が取り付けられている。走行モータ(404)には、レール(3)を走行可能な滑車(405)に吊り下げられた給電ケーブル(406)を介して、電力が供給されるようになっている。
駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)のトロリベース(401)の下部には、後方にほぼ直角に折れ曲がりかつワイヤロープ(6)の先端部を接続するためのシャックル等の接続金具を備えた吊り下げ部(407)が設けられている。ライフライントロリ(40c)のトロリベース(401)の下部には、ライフライン(9)の先端部を接続するためのシャックル等の接続金具を備えた吊り下げ部(408)が設けられている。
また、各トロリ(40a)(40b)(40c)のトロリベース(401)の上部には、レール(3)への組付け等の際に各トロリ(40a)(40b)(40c)を手で持つためのハンドル(409)が設けられている。
各連結バー(40d)は、鋼材等の角管材よりなり、その両端部に、垂直なピン挿通孔を有するボス(410)が接合されている。また、各トロリ(40a)(40b)(40c)のトロリベース(401)前面における連結バー(40d)と接続される側の端部に、各連結バー(40d)のボス(410)を介在させうる上下1対の水平板状ブラケット(411)が設けられ、両ブラケット(411)にボス(410)のピン挿通孔と合致するピン挿通孔が形成されている。そして、これらのピン挿通孔に連結ピン(412)が挿通されることにより、各トロリ(40a)(40b)(40c)のトロリベース(401)と連結バー(40d)の端部とが回動自在に連結されている。
右側の連結バー(40d)には、走行装置(4)を制御するための制御盤(413)が取り付けられている。
【0035】
ゴンドラ本体(5)は、デッキ板(作業床)(51)と、デッキ板(51)の四隅部を含む周縁部に間隔をおいて立てられた複数の支柱(52)と、隣り合う支柱(52)の上端部間に水平に架設された複数の手摺(53)と、隣り合う支柱(52)の下部間に架設された複数の下部サイドフレーム(54)とを備えている。
各支柱(52)の下端部には、デッキ板(51)の下方に突出するように、キャスタ(55)が取り付けられている。
左右のウィンチ(7)のリール(71)は、デッキ板(51)下面の左部および右部に垂直軸を中心として回転自在に取り付けられている。
リール(71)から繰り出されるワイヤロープ(6)は、左右各リール(71)の中心部からデッキ板(51)を貫通して上方にのびるガイドパイプ(73)に通されている。デッキ板(51)上面の左部および右部に、ワイヤロープ(6)の昇降(繰り出しおよび巻き戻し)を行うための昇降モータ(72)が、ガイドパイプ(73)に隣接して設置されている。
ゴンドラ本体(5)の前側の手摺(53)および下部サイドフレーム(54)には、走行装置(4)による水平方向の移動操作を行うための走行操作盤(56)と、ウィンチ(7)による垂直方向の移動操作を行うための昇降操作盤(57)とが設けられている。昇降操作盤(57)には、ライフライントロリ(40c)から下方にのびる給電ケーブル(13)の先端部が接続されている。ライフライントロリ(40c)に吊り下げられたライフライン(9)には、ロリップ(図示略)の一端部が取り付けられており、ロリップの他端部が作業員のベルト等に取り付けられるようになっている。
【0036】
図17に示すように、ゴンドラ本体(5)は、複数のユニットを組み立てることによって構成されている。具体的には、図示のゴンドラ本体(5)は、左右2つの長尺デッキ板ユニット(50A)、中央の1つの短尺デッキ板ユニット(50B)、左右2つの端部ユニット(50C)、隣り合うデッキ板ユニット(50A)(50B)どうしの間に介在される中間連結ユニット(50D)、および左右2つのウィンチユニット(50E)よりなる。これらのユニット(50A)(50B)(50C)(50D)(50E)のフレームは、好適には、アルミニウム等の軽量金属材から形成されている。これらのユニット(50A)(50B)(50C)(50D)(50E)どうしの連結は、例えば、各端部ユニット(50C)および中間連結ユニット(50D)の支柱(52)に連結用ブラケット(521)を設けておき、同ブラケット(521)を各デッキ板ユニット(50A)(50B)の端部にボルト・ナット等で接合するようにすればよい。詳しい図示は省略したが、各長尺デッキ板ユニット(50A)には、その左右両側部に、ウィンチユニット(50E)を取り付けるための構造が設けられている。
上記のようなユニット型のゴンドラ本体(5)によれば、
図18に示すように、組み合わせるユニットを適宜選択することにより、デッキ板(51)の長さや吊り位置が異なる数種類のゴンドラ本体(5)を組み立てることができるので、バリエーションが豊富となり、費用対効果が高い。具体的には、例えば、
図18(a)の場合、1つの長尺デッキ板ユニット(50A)、左右2つの端部ユニット(50C)および左右2つのウィンチユニット(50E)を組み合わせることにより、デッキ板(51)の長さおよび吊り位置間の距離(吊り芯)が最小となるゴンドラ本体(5)が得られる。
図18(b)では、1つの短尺デッキ板ユニット(50B)、1つの長尺デッキ板ユニット(50A)、1つの中間連結ユニット(50D)、左右2つの端部ユニット(50C)、および左右2つのウィンチユニット(50E)を組み合わせることにより、デッキ板(51)の長さおよび吊り芯が下から2番目となるゴンドラ本体(5)が組み立てられている。
図18(c)の場合、2つの長尺デッキ板ユニット(50A)、1つの中間連結ユニット(50D)、左右2つの端部ユニット(50C)、および左右2つのウィンチユニット(50E)を組み合わせることにより、デッキ板(51)の長さおよび吊り芯が下から3番目となるゴンドラ本体(5)が組み立てられている。また、
図18(d)のゴンドラ本体(5)は、使用するユニット(50A)(50B)(50C)(50D)(50E)は
図1および
図17に示すゴンドラ本体(5)と同じであるが、ウィンチユニット(50E)の取付位置を中央に近い側に変更することにより、吊り芯が小さいものとなされている。
【0037】
次に、上記モノレール式ゴンドラ(1)の設置手順の一例を説明する。
まず、建物(B)のパラペット(B2)に複数の支持アーム(2)を所定間隔おきにかつパラペット(B2)と直交するように設置する。具体的には、各支持アーム(2)の固定アーム部材(20a)を、クランプ部によってパラペット(B2)に締付固定する。次に、可動アーム部材(20b)を固定アーム部材(20a)のスライドガイド部(22)にその後端から嵌め入れて、レール取付ピン(20c)がパラペット(B2)の上方に位置するレール取付位置までスライドさせる。具体的には、例えば、
図16(a)に示すように、レール取付ピン(20c)がスライドガイド部(220)の後端位置付近に来るまで可動アーム部材(20b)をスライドさせておく。この状態では、固定ピン(8)に可動アーム部材(20b)をスライドガイド部(22)に固定しなくても構わない。但し、例えば
図4に示す位置まで可動アーム部材(20b)をスライドさせて、固定ピン(8)によりスライドガイド部(22)に固定することも可能である。また、必要に応じて、固定アーム部材(20a)の横U形リング(211b)に、支持アーム落下防止用ワイヤロープ(10)の一端部を接続し、同ワイヤロープ(10)の他端部を建物(B)の屋上(B1)の所要箇所に接続しておく。
次いで、所要の複数のレール部材(30)を、隣り合う支持アーム(2)における可動アーム部材(20b)の先端部に順次架設する。具体的には、
図9および
図10に示すように、可動アーム部材(20b)先端部のレール取付ピン(20c)を、その折れピン(26)が先端上向きとなるように回動させるとともに、折れピン(26)の嵌合凸部(262)をピン本体(25)の嵌合凹部(253)に嵌め入れておき、この状態で、レール部材(30)両端部のブラケット(31)に設けられたピン挿通孔(31a)に、隣り合う支持アーム(2)のレール取付ピン(20c)を順次挿通させていく。レール取付ピン(20c)は、隣り合うレール部材(30)の端部のブラケット(31)のピン挿通孔(31a)に挿通させた後、
図10(b)に示すように、折れピン(262)を、上方に引っ張って嵌合凸部(262)を嵌合凹部(253)から外すとともに水平横向きになるように回動させて、抜け止め部(260)を形成する。
また、必要数以上のレール部材(30)の取付が完了した段階で、同レール部材(30)に走行装置(4)を組み付ける。具体的には、駆動トロリ(40a)、ライフライントロリ(40c)、従動トロリ(40b)を、これらの走行ローラ(402)およびガイドローラ(403)がレール部材(30)内の所要箇所に同レール部材(30)の一端側から挿入されるように、順次組み付けていく。組み付けが完了したら、駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)と、ライフライントロリ(40c)とを、それぞれ連結バー(40d)によってリンク連結する。
そして、全てのレール部材(30)の取付および走行装置(4)の組み付けが完了したら、
図12に示すように、支持アーム(2)の可動アーム部材(20b)を、1スパン(レール部材(30)1つ分)ずつ順番に前方に押し出して、レール取付位置までスライドさせ、固定ピン(8)によって固定アーム部材(20a)のスライドガイド部(22)に固定する。したがって、作業員は、レール(3)および走行装置(4)の設置作業を、特別な工具を使用することなく、一人でも簡単に行うことができる。また、上記設置作業は、
図13に示すように、建物(B)の外壁(B3)が平面より見て曲面形状である場合であっても、レール部材(30)として少なくとも一端部のブラケット(31)のピン挿通孔が長孔(31b)よりなるもの(
図8参照)を使用することにより、同様に一人で簡単に行うことが可能である。
その後、駆動トロリ(40a)および従動トロリ(40b)に、ゴンドラ本体(5)に設置された左右のウインチ(7)のリール(71)から繰り出されるワイヤロープ(6)の先端部を接続して、ゴンドラ本体(5)を吊り下げ状態とし、また、ライフライントロリ(40c)にライフライン(9)の一端部を接続する。
こうして、モノレール式ゴンドラ(1)の設置が完了する。一方、モノレール式ゴンドラ(1)の解体時には、上記と逆の順序で解体作業を行えばよい。
したがって、この実施形態のモノレール式ゴンドラ(1)によれば、支持アーム(2)にレール(3)を取り付ける作業やレール(3)に走行装置(4)を組み付ける作業、およびこれらの解体作業を、作業者がパラペット(B2)から身体を乗り出すことなく建物(B)の屋上(B1)内で安全に行うことができる上、作業時に部品や工具等を落下させる危険性もなく、また、作業性の面でも優れている。
【0038】
図19は、上記のモノレール式ゴンドラ(1)を、外壁(B3)に対するパラペット(B2)の出幅が異なる建物(B)において使用した場合の状態を示したものである。
図19に示す建物(B)の場合、外壁(B3)に対するパラペット(B2)の出幅がない
図3の建物(B)と違って、外壁(B3)に対するパラペット(B2)の出幅(W1)が数10cm程度ある。これに対応して、各支持アーム(2)の可動アーム部材(20b)が、
図3の場合と比べてパラペット(B2)からの突出長さがやや短くなる第2のレール設置位置にスライドさせられ、同位置で固定ピン(8)により固定アーム部材(20a)に固定されている。
以上の通り、この実施形態のモノレール式ゴンドラ(1)によれば、外壁(B3)に対するパラペット(B2)の出幅が異なる建物(B)に対しても、可動アーム部材(20b)のスライド位置を変えることによって、容易に設置することが可能である。
【0039】
図20は、上記のモノレール式ゴンドラ(1)に養生ネット(14)を付設した場合の態様を示したものである。同図に示すように、各支持アーム(2)の可動アーム部材(20b)に、ネット取付アーム部材(20d)が、その先端部がレール取付ピン(20c)から所定距離だけ建物(B)の前方(外方)に突き出すように取り付けられている。
ネット取付アーム部材(20d)は、垂直フレーム(281)と、一端側が建物(B)の前方に突き出すように垂直フレーム(281)の高さ中間に略横向きT形に連結された水平フレーム(282)と、垂直フレーム(281)の上端と水平フレーム(282)の前端とを連結する前部斜めフレーム(283)と、垂直フレーム(281)の上端と水平フレーム(282)の後端とを連結しかつ後ろ斜め下方に向かってのびた後部斜めフレーム(284)とを備えている。水平フレーム(282)の前端部には、養生ネット(14)を吊り下げるための吊り下げ部(285)が設けられている。
上記のネット取付アーム部材(20d)は、その水平フレーム(282)および後部斜めフレーム(284)の下端部が、支持アーム(2)における可動アーム部材(20b)の2つのブラケット(244)(245)に、例えば固定ピンによって固定解除可能に取り付けられている。ネット取付アーム部材(20d)の取付作業は、可動アーム部材(20b)をレール取付位置まで引き込んだ状態で行われる。
したがって、この実施形態のモノレール式ゴンドラ(1)によれば、ネット吊下げアーム部材(20d)の取付作業を、作業者がパラペット(B2)から身体を乗り出すことなく建物(B)の屋上(B1)内で安全に行うことができる上、作業時に部品や工具等を落下させる危険性もなく、また、作業性も向上する。
【0040】
図21は、支持アームの態様が異なるモノレール式ゴンドラ(1)を示したものである。
図示のモノレール式ゴンドラ(1)の支持アーム(2X)は、固定アーム部材(20a)の固定構造が、クランプ部(21)に代えて、バランスアーム(21X)よりなるものである。つまり、固定アーム部材(20a)の長さ中間部が、建物(B)の屋上(B1)におけるパラペット(B2)よりもやや後方(内方)部分に立てられた支柱(215)の上端部に連結されているとともに、固定アーム部材(20a)の後端部が、屋上(B1)における支柱(215)よりも後方に設置されたバランスウエイト(216)に連結されている。支柱(215)は、水平な連結バー(217)によってバランスウエイト(216)に連結されている。
支持アーム(2X)のその他の構造は、
図1〜
図20に示す支持アーム(2)と実質的に同一である。
上記態様のモノレール式ゴンドラ(1)によれば、支持アーム(2X)を建物(B)に固定するための作業が不要となり、設置作業がより一層効率化されるという利点がある。
【課題】レール等の設置作業をパラペットから身を乗り出すことなく建物内で安全にかつ迅速に行うことができ、また、外壁に対するパラペットの出幅が異なる建物にも容易に適用することができるモノレール式ゴンドラを提供する。
【解決手段】モノレール式ゴンドラ1は、建物BのパラペットB2に所定間隔おきに設置された複数の支持アーム2と、支持アームに架設されてパラペットに沿うようにのびたレール3と、レールに走行可能に組み付けられた走行装置4と、走行装置にロープ6を介して昇降可能に吊り下げられたゴンドラ本体5とを備えている。支持アームが、固定アーム部材20aと、固定アーム部材に長さ方向にスライド自在に組み付けられた可動アーム部材20bと、可動アーム部材の先端部に設けられたレール取付ピン20cとを有している。可動アーム部材は、レール取付ピンが側面より見てパラペットの上方に引き込まれるレール取付位置と、レール取付ピンがパラペットから所定距離だけ建物の外方に突き出す2つのレール設置位置との間でスライドさせられ、各レール設置位置で固定ピン8により固定アーム部材に固定される。