特許第6467119号(P6467119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467119流体冷却されるアンテナアセンブリへの熱フィードバック制御された流量の流体流のためのシステムおよびそれを用いて組織にエネルギーを導く方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467119
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】流体冷却されるアンテナアセンブリへの熱フィードバック制御された流量の流体流のためのシステムおよびそれを用いて組織にエネルギーを導く方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
   A61B18/18
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-52613(P2012-52613)
(22)【出願日】2012年3月9日
(65)【公開番号】特開2012-187405(P2012-187405A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年12月18日
【審判番号】不服2017-4478(P2017-4478/J1)
【審判請求日】2017年3月30日
(31)【優先権主張番号】13/043,694
(32)【優先日】2011年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513109016
【氏名又は名称】コビディエン エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リチャード,エー.ウィルヤード
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ,ディー.ブラナン
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 内藤 真徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/260235(US,A1)
【文献】 特表2008−520382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織にエネルギーを導くように構成された電気外科手術装置であって、前記電気外科手術装置は、遠位放射部を有するアンテナアセンブリおよび電気外科手術用電力発生源を含む、電気外科手術装置と、
前記電気外科手術用電力発生源に動作可能に接続されたエネルギー照射装置と、
前記電気外科手術装置に冷却流体を供給するように構成された冷却剤供給システムであって、前記冷却剤供給システムは、
冷却剤源と、
前記冷却剤源から前記電気外科手術装置まで流体流を供給するために前記電気外科手術装置に流体的に接続された第1の流体流路であって、前記第1の流体流路が前記遠位放射部まで延在する、第1の流体流路と、
前記エネルギー照射装置から前記冷却剤源まで流体流を供給するために前記電気外科手術装置に流体的に接続された第2の流体流路であって、前記第2の流体流路が前記遠位放射部まで延在する、第2の流体流路と、
前記第1の流体流路および前記第2の流体流路に流体的に接続された第3の流体流路と、
前記第3の流体流路に流体連通して配置された流量制御装置と、
を含む、冷却剤供給システムと、
前記冷却流体の温度を示す少なくとも1つの温度センサであって、前記温度センサは前記遠位放射部内に配置される、温度センサと、
処理装置を含み、かつ前記電気外科手術装置に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成されたフィードバック制御システムと、
を含む電気外科手術システムであって、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの温度センサに通信可能に接続され、かつ前記流量制御装置に通信可能に接続されており、
前記処理装置は、前記少なくとも1つの温度センサから出力された少なくとも1つの電気信号を用いた所望の流量の決定に基づき、前記流量制御装置を制御するように構成されている、電気外科手術システム。
【請求項2】
前記フィードバック制御システムは、前記処理装置に動作可能に接続している記憶装置をさらに含む、請求項に記載の電気外科手術システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記流量制御装置の少なくとも1つの動作パラメータを調整するための少なくとも1つの設定に対する温度データのマッピングを表す、記憶装置に格納されたデータを用いて前記所望の流量を決定するように構成されている、請求項に記載の電気外科手術システム。
【請求項4】
前記第1の流体流路に流体連通して配置された流体移動装置をさらに含む、請求項に記載の電気外科手術システム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記流体移動装置の少なくとも1つの動作パラメータを調整するための少なくとも1つの設定と共に、前記流量制御装置の少なくとも1つの動作パラメータを調整するための少なくとも1つの設定に対する温度データのマッピングを表す記憶装置に格納されたデータを用いて前記所望の流量を決定するように構成されている、請求項に記載の電気外科手術システム。
【請求項6】
前記流体移動装置は多段速度ポンプであり、前記少なくとも1つの動作パラメータはポンプ速度である、請求項に記載の電気外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科手術装置に関し、より詳細には、流体冷却されるアンテナアセンブリへの熱フィードバック制御された流量の流体流のためのシステムおよびそれを用いて組織にエネルギーを導く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の疾患の治療では、悪性の組織増殖(例えば腫瘍)を破壊する必要がある。腫瘍細胞を加熱および破壊するために電磁放射線を使用することができる。治療では、癌性腫瘍が認められた組織に焼灼プローブを挿入する場合がある。プローブを配置したら、電磁エネルギーをプローブから周囲組織内に送る。
【0003】
癌などの疾患の治療では、ある種の腫瘍細胞が、健康な細胞に通常有害である温度よりも僅かに低い高温で変性することが分かっている。温熱療法などの公知の治療方法は、隣接する健康な細胞を不可逆的な細胞破壊が生じる温度よりも低い温度に維持しながら、異常細胞を41℃超の温度に加熱する。このような方法では、組織を加熱、焼灼および/または凝固させるために電磁放射線の照射を行う。このような方法を行うために、時としてマイクロ波エネルギーが利用される。電磁放射線を利用して組織を加熱する他の処置も組織の凝固、切断および/または焼灼を含む。
【0004】
電磁放射線を利用する電気外科手術装置は、様々な使用および用途のために開発されている。短時間に高バーストエネルギーを供給して様々な組織に対する切断および凝固作用を達成するのに使用することができる複数の装置が利用可能である。焼灼処置を行うために使用することができる複数の異なる種類の装置が存在する。典型的には、焼灼処置で使用されるマイクロ波装置は、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器および標的組織にエネルギーを導くためのアンテナアセンブリを有するマイクロ波外科手術器具(例えば、マイクロ波焼灼プローブ)を備える。マイクロ波発生器と外科手術器具は典型的に、マイクロ波エネルギーを発生器から器具に伝送するため、および、器具と発生器との間で制御、フィードバックおよび識別信号を通信するための複数の導体を有するケーブルアセンブリによって動作可能に接続されている。
【0005】
モノポール型、ダイポール型およびヘリカル型などの数種類のマイクロ波プローブが使用されており、それらを組織焼灼用途で使用することができる。モノポールおよびダイポールアンテナアセンブリでは、マイクロ波エネルギーは一般に、導体の軸から離れるように垂直に放射される。モノポールアンテナアセンブリは典型的に、単一の細長い導体を含む。典型的なダイポールアンテナアセンブリは、2つの細長い導体を含み、それらは直線状に並べられ、電気絶縁体を挟んで互いに対して端と端で配置されている。ヘリカルアンテナアセンブリは、様々な構成で形成することができる螺旋状の導体を含む。ヘリカルアンテナアセンブリの主な動作モードは、螺旋による放射場が螺旋軸に対して垂直な平面において最大となるノーマルモード(ブロードサイド)、および螺旋軸に沿って放射が最大となる軸方向モード(エンドファイア)である。
【0006】
マイクロ波伝送線路は典型的に、薄い内側導体を含み、内側導体は、伝送線路の長手軸に沿って延在し、かつ誘電体によって取り囲まれており、さらに誘電体の周りの外側導体によって取り囲まれているため、外側導体も伝送線路の軸に沿って延在している。アンテナの変形形態の1つでは、伝送線路または同軸ケーブルの長さなどの導波路構造に、エネルギーが「漏洩する」あるいは案内構造から離れるように放射される複数の開口が設けられている。この種の構造は通常、「漏洩同軸」または「漏れ波」アンテナと呼ばれている。
【0007】
悪性細胞を変性させるために必要な温度と、健康な細胞に通常有害な温度との差が小さいため、より予測可能な温度分布を得て、周囲の正常な組織の損傷を最小にしながら腫瘍細胞を根絶するために、公知の加熱パターンおよび精密な温度制御が必要とされる。過度な温度によって、組織への有害作用が生じる可能性がある。加熱中に過度に加熱された領域の組織は、乾燥し、焦げてしまうことがある。組織の温度が100℃まで上昇すると、蒸発により、あるいは治療された細胞の液体水の拡散によって、組織は水分を失い、乾燥する。この組織の乾燥によって、組織の電気特性および他の材料特性が変化し、治療が妨げられることがある。例えば、組織が乾燥するにつれて組織の電気抵抗は増加し、組織への電力供給が次第に難しいものとなる。乾燥した組織が装置に付着し、電力の伝達を妨げることがある。100℃を上回る組織温度で、組織の固形成分は焦げ始める。乾燥した組織と同様に、焦げた組織は電流への抵抗が比較的高く、治療を妨げることがある。
【0008】
マイクロ波焼灼プローブは、流体循環を利用して熱活性成分を冷却し、アンテナ放射部に誘電体装荷することができる。マイクロ波焼灼装置の操作中に、適切な冷却が維持されない(例えば、冷却流体の流れが妨げられる)場合、それ以外には熱破損しやすい装置部品を冷却するのに不十分である場合、増加した反射電力によって生成された熱により、焼灼装置は急速に破損しやすくなる。そのような場合、破損までの時間は、アンテナアセンブリに伝達される電力、および冷却剤流が減少または妨害される持続時間および程度に依存する。
【0009】
焼灼プローブを冷却することによって、アンテナの全体的な加熱パターンを強化し、アンテナの損傷を防止し、臨床医または患者に対する危害を防止してもよい。いくつかの手順の間、冷却量は、過剰な加熱およびそれにより生じる組織への有害作用を防止するのに十分でないことがある。焼灼装置を冷却するためのいくつかのシステムによって、焼灼装置が低電力設定で動作している場合などに、焼灼装置を過冷却してしまうことがある。過冷却によって、適切な治療が妨げられたり、それ以外には標的焼灼部位から熱エネルギーが除去されることで、装置の組織に対する効果が妨げられたりすることがある。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、組織にエネルギーを導くように構成された電気外科手術装置と、電気外科手術装置に関連する1つまたは複数の温度センサと、電気外科手術装置に通じている流体流路と、流体流路に流体連通して配置された流量制御装置とを含む電気外科手術システムに関する。本システムは、1つまたは複数の温度センサに通信可能に接続し、かつ流量制御装置に通信可能に接続された処理装置も含む。処理装置は、1つまたは複数の温度センサから出力された1つまたは複数の電気信号を用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置を制御するように構成されている。
【0011】
本開示は、組織にエネルギーを導くように構成された電気外科手術装置と、冷却流体を電気外科手術装置に供給するように構成された冷却剤供給システムとを含む電気外科手術システムにも関する。冷却剤供給システムは、冷却剤源と、冷却剤源から電気外科手術装置まで流体流を供給するために電気外科手術装置に流体的に接続された第1の流体流路と、エネルギー照射装置から冷却剤源まで流体流を供給するために電気外科手術装置に流体的に接続された第2の流体流路と、第1の流体流路および第2の流体流路に流体的に接続された第3の流体流路と、第3の流体流路に流体連通して配置された流量制御装置とを含む。また、本システムは、電気外科手術装置に関連する1つまたは複数の温度センサと、熱フィードバック制御された流量の流体流を電気外科手術装置に供給するように構成されたフィードバック制御システムとを含む。フィードバック制御システムは、1つまたは複数の温度センサに通信可能に接続され、かつ流量制御装置に通信可能に接続された処理装置を含む。処理装置は、1つまたは複数の温度センサから出力された1つまたは複数の電気信号を用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置を制御するように構成されている。
【0012】
本開示は、エネルギー照射装置を用意する最初の工程を含む、流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法にも関する。エネルギー照射装置は、アンテナアセンブリと、少なくとも1つの冷却剤接続をエネルギー照射装置に提供するハブとを含む。本方法は、エネルギー照射装置に流体流を提供するためにハブに流体的に接続された流体流路を含む冷却剤供給システムを用意する工程と、組織へのエネルギー伝達のために、アンテナアセンブリにエネルギーが供給されている場合に組織内にエネルギー照射装置を配置する工程と、流体流路に流体連通して配置された流量制御装置に動作可能に接続されたフィードバック制御システムを用いて、エネルギーが供給されている場合にアンテナアセンブリに熱フィードバック制御された流量の流体流を供給する工程とを含む。
【0013】
本開示は、エネルギー照射装置と、エネルギー照射装置に冷却流体を供給するように構成された冷却剤供給システムとを用意する最初の工程を含む、流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法にも関する。エネルギー照射装置は、アンテナアセンブリと、アンテナアセンブリの少なくとも一部に冷却流体を循環させるように構成された冷却剤チャンバとを含む。冷却剤チャンバは、冷却剤供給システムに流体的に接続されている。また、本方法は、組織へのエネルギー伝達のために、アンテナアセンブリにエネルギーが供給されている場合に組織内にエネルギー照射装置を配置する工程と、エネルギー照射装置に関連する1つまたは複数の温度センサから出力された1つまたは複数の電気信号を用いた所望の流量の決定に基づき、冷却剤供給システムに関連する流量制御装置を制御するように構成された処理装置を含むフィードバック制御システムを用いて、エネルギーが供給されている場合にアンテナアセンブリに熱フィードバック制御された流量の流体流を供給する工程とを含む。
【0014】
流体冷却されるアンテナアセンブリへの熱フィードバック制御された流量の流体流のための本開示のシステムおよびそれを用いて組織にエネルギーを導く方法の目的および特徴は、添付の図面を参照しながらその様々な実施形態の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】エネルギー伝達装置と、本開示の一実施形態に係るエネルギー伝達装置に流体的に接続された流体供給システムに動作可能に関連するフィードバック制御システムとを含む電気外科手術システムの概略図である。
図2】本開示の一実施形態に係るフィードバック制御システム(例えば、図1のフィードバック制御システム)の概略図である。
図3】本開示に係る図1の電気外科手術用電力発生源の一実施形態を含む電気外科手術システムのブロック図である。
図4】本開示に係る流体供給システムの別の実施形態に動作可能に接続しているフィードバック制御システムの別の実施形態と共に示されている図1のエネルギー伝達装置を含む電気外科手術システムの概略図である。
図5】本開示の別の実施形態に係るフィードバック制御システムの概略図である。
図6】本開示の一実施形態に係る流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法を示すフローチャートである。
図7】本開示の別の実施形態に係る流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、流体冷却されるアンテナアセンブリへの熱フィードバック制御された流量の流体流のための本開示のシステムおよびそれを用いて組織にエネルギーを導く方法の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図の説明全体にわたって、同様の符号は、同様もしくは同一の要素を指すものとする。図面に示しかつ本説明で使用され、かつ従来同様に、対象上の相対的な位置づけについて述べる場合、「近位」という用語は、使用者に近い方の本装置のその部分またはその部品を指し、「遠位」という用語は、使用者から遠い方の本装置のその部分またはその部品を指す。
【0017】
本説明は、「一実施形態では」、「実施形態では」、「いくつかの実施形態では」または「他の実施形態では」という語句を用いる場合があるが、これらの語句はそれぞれ、本開示に係る同一または異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指すものとする。本説明のための「A/B」という形態の語句は、AまたはBを意味する。本説明のための「Aおよび/またはB」という形態の語句は、「(A)、(B)または(AおよびB)」を意味する。本説明のための「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」という形態の語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)」を意味する。
【0018】
電磁エネルギーは一般に、エネルギーの増加または波長の減少によって、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線およびガンマ線に分類される。本説明で使用されている「マイクロ波」とは一般に、300メガヘルツ(MHz)(3×10サイクル/秒)〜300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲の電磁波を指す。
【0019】
本説明で使用されている「焼灼処置」とは一般に、例えば、マイクロ波焼灼、高周波(RF)焼灼またはマイクロ波もしくは高周波焼灼補助下切除などの任意の焼灼処置を指す。本説明で使用されている「エネルギー照射装置」とは一般に、マイクロ波もしくはRF電気外科手術用発生器など電力発生源から組織にエネルギーを移動させるために使用することができる任意の装置を指す。本明細書の目的では、「エネルギー伝達装置」という用語は、「エネルギー照射装置」という用語と同義である。本説明で使用されている「伝送線路」とは一般に、ある点から別の点までの信号の伝播のために使用することができる任意の伝送媒体を指す。
【0020】
本説明で使用されている「流体」とは一般に、液体、気体、1種以上の油溶性ガスを含む液体、気体と液体、気体と懸濁物質、液体と懸濁物質の混合物、または気体と液体と懸濁物質の混合物を指す。本説明で使用されている「流量」とは一般に体積流量を指す。体積流量は、単位時間当たりにシステムの1点を通過する流体の体積の測定値、例えば、SI単位の立方メートル/秒(m−1)または立方フィート/秒(cu ft/s)として定義してもよい。一般的に言えば、体積流量は、流れの断面積と流速の積として計算することができる。機械弁の文脈では、所与の弁通過流(through-flow)方向における流量は、所与の流れ通過構成の可変的な制限幾何学形状とその制限形状全体の圧力降下との関数とみなしてもよい。本明細書の目的では、「流量(fluid-flow rate)」という用語は、「流量(rate
of fluid flow)」という用語と同義である。
【0021】
本説明で使用されている「圧力センサ」とは一般に、圧力値を表す信号を生成することができる任意の圧力検出装置を指す。本明細書の目的では、「圧力変換器」という用語は、「圧力センサ」という用語と同義である。
【0022】
本明細書で使用されている、「コンピュータ」という用語は一般に、意図的な方法で情報を変換するあらゆるものを指す。本説明の目的では、「ソフトウェア」および「コード」という用語は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせに適用可能なものとして解釈されるべきである。本説明の目的では、「非一時的」コンピュータ可読媒体としては、一時的に伝播している信号を唯一の例外として、全てのコンピュータ可読媒体が挙げられる。
【0023】
本開示の様々な実施形態は、流体冷却されるアンテナアセンブリを含む焼灼プローブなどの電気外科手術装置への熱フィードバック制御された流量の流体流のためのシステムを提供する。実施形態は、マイクロ波周波数または他の周波数の電磁放射線を用いて実施してもよい。様々な実施形態に係るエネルギー照射装置に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成された冷却剤供給システムおよびフィードバック制御システムを含む電気外科手術システムは、約300MHz〜約10GHzの間で動作するように設計および構成されている。本明細書に記載されているように、電気外科手術装置への熱フィードバック制御された流量の流体流のためのシステムは、治療される組織内に挿入または配置され得る直線状もしくはループ状の放射アンテナ部などのいずれかを有するマイクロ波アンテナアセンブリなどの各種装置と共に使用してもよい。
【0024】
冷却剤供給システムに流体連通して配置されたエネルギー照射装置に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成されたフィードバック制御システムを含む本開示の電気外科手術システムの様々な実施形態は、マイクロ波焼灼に適しており、マイクロ波焼灼補助下手術切除のために組織を予め凝固させるのに用いられる。以下に説明する様々な方法は、標的組織のマイクロ波焼灼および完全な破壊を目的としているが、電磁放射線を導く方法は、例えば、心臓組織内の電気的刺激の伝導を妨げるために標的組織が部分的に破壊されるか損傷を受ける他の治療法と共に使用し得ることを理解されたい。さらに、以下の説明はダイポールマイクロ波アンテナの使用について説明しているが、本開示の教示は、モノポール型、ヘリカル型または他の好適な種類のアンテナアセンブリにも応用することができる。
【0025】
図1は、エネルギー照射装置またはプローブ100と、電気外科手術用電力発生源28(例えば、マイクロ波もしくはRF電気外科手術用発生器)と、冷却剤供給システム11に動作可能に関連するフィードバック制御システム14とを含む、本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム10を示す。プローブ100は、電気外科手術用電力発生源28に動作可能に接続されており、冷却剤供給システム11に流体連通して配置されている。いくつかの実施形態では、冷却剤供給システム11の1つまたは複数の部品は、電気外科手術用電力発生源28に完全にまたは部分的に組み込まれていてもよい。冷却剤供給システム11は、本説明では後でより詳細に説明するが、プローブ100に冷却流体「F」を供給するように構成されている。プローブ100は、本説明では後でより詳細に説明するが、プローブへの電気および/または冷却剤接続を提供するように構成されたハブ142に一体的に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、プローブ100は、ハンドルアセンブリ(図示せず)から延在していてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、電気外科手術システム10は、それに接触している媒体の温度を表す信号を生成することができる1つまたは複数のセンサ(本明細書では温度センサという)および/または流量を表す信号を生成することができる1つまたは複数のセンサ(本明細書では流量センサという)を含む。そのような実施形態では、フィードバック制御システム14は、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管に動作可能に関連する1つまたは複数の温度センサおよび/または1つまたは複数の流量センサから出力された1つまたは複数の信号を用いて、プローブ100に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成されていてもよい。
【0027】
本開示に係る図1のフィードバック制御システム14などのフィードバック制御システムの一実施形態は、図2により詳細に示されている。但し、他のフィードバック制御システムの実施形態(例えば、図4および図5にそれぞれ示されているフィードバック制御システム414および514)を、様々な構成で冷却剤供給システムと共に使用し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、フィードバック制御システム14またはその1つまたは複数の部品は、電気外科手術用電力発生源28に完全にまたは部分的に組み込まれていてもよい。
【0028】
図1に示す実施形態では、フィードバック制御システム14は、電気外科手術用電力発生源28内に配置されているかそれ以外の方法で関連する処理装置82に動作可能に関連している。処理装置82は、電気外科手術用電力発生源28の1つまたは複数の部品またはモジュール(例えば、ユーザインタフェース121および発生器モジュール86)に通信可能に接続していてもよい。処理装置82は、追加または代わりとして、温度を表す1つまたは複数の信号(本明細書では温度データという)および/または流量を表す1つまたは複数の信号(本明細書では流量データという)を受信するために、1つまたは複数の温度センサ(例えば、図1に示す2つのセンサ「TS」および「TS」)および/または1つまたは複数の流量センサ(例えば、図1に示す1つのセンサ「FS」)に通信可能に接続していてもよい。温度センサ、流量センサおよび/または他のセンサ(例えば、圧力センサ)を処理装置82に電気的に接続するために、伝送線路が設けられていてもよい。
【0029】
フィードバック制御システムの実施形態は、追加または代わりとして、独立型構成で配置された処理装置および/またはプローブ100内に配置されたかそれ以外の方法でそれに関連する処理装置に動作可能に関連していてもよい。プローブ100がハンドルアセンブリ(図示せず)から延在しているいくつかの実施形態では、フィードバック制御システムは、ハンドルアセンブリ内に配置された処理装置に動作可能に関連していてもよい。ハンドルアセンブリの実施形態の例は、同一出願人による2010年1月13日に出願された「装置のハンドルにユーザインタフェースを備えた焼灼装置、それを含むシステムおよびそれを用いた組織の焼灼方法(ABLATION DEVICE WITH USER INTERFACE AT DEVICE HANDLE, SYSTEM
INCLUDING SAME, AND METHOD OF ABLATING TISSUE USING SAME)」という発明の名称の米国特許出願第12/686,726号に開示されている。
【0030】
電気外科手術用電力発生源28は、電気外科手術装置と共に使用するのに適した任意の発生器を含んでいてもよく、様々な周波数の電磁エネルギーを供給するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、電気外科手術用電力発生源28は、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されている。いくつかの実施形態では、電気外科手術用電力発生源28は、約400MHz〜約500KHzの動作周波数で電気手術用エネルギーを供給するように構成されている。本開示に係る電気外科手術用電力発生源(例えば、図1の電気外科手術用電力発生源28)の一実施形態は、図3により詳細に示されている。
【0031】
プローブ100は、組織焼灼用途での使用に適したアンテナアセンブリ(またはアンテナアレイ)などの任意の好適な種類の1つまたは複数のアンテナを含んでいてもよい。説明および理解を容易にするために、プローブ100は、単一のアンテナアセンブリ112を含むものとして記載されている。いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ112は、外装138内に実質的に配置されている。プローブ100は一般に、アンテナアセンブリ112の周りに画定された冷却剤チャンバ137を含む。いくつかの実施形態では、冷却剤チャンバ137は、本説明では後でより詳細に説明するが、外装138によって画定された内腔を含む。
【0032】
プローブ100は、アンテナアセンブリ112に接続された給電路110を含んでいてもよい。給電路110を電気外科手術用電力発生源28に電気的に接続するために、伝送線路16が設けられていてもよい。給電路110は、本説明では後でより詳細に説明するが、プローブ100に流入および流出する冷却流体および/または緩衝流体の流れを容易にするために接続ハブ142に接続されていてもよい。
【0033】
図1に示す実施形態では、フィードバック制御システム14は、プローブ100に流体的に接続された冷却剤供給システム11の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)に流体連通して配置された流量制御装置50に動作可能に関連している。流量制御装置50は、流量制御装置50を通過する流量を調整または制御することができる任意の好適な装置(例えば、弁の中の流路を通過する流体の流れを選択的に妨害または制限するように動作可能な任意の好適な種類の弁)を含んでいてもよい。処理装置82は、1つまたは複数の温度センサ(例えば、図2に示す「TS」、「TS」〜「TS」)から受信した温度データを用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、流量制御装置50は、弁体54と、弁体54に動作可能に接続された電気機械アクチュエータ56とを含む弁52を備える。弁体54は、玉弁、仕切弁、バタフライ弁、プラグ弁または任意の他の好適な種類の弁として実施してもよい。図1に示す実施形態では、アクチュエータ56は、伝送線路32を介して処理装置82に通信可能に接続されている。処理装置82は、接続ハブ142に流体的に接続された流体流路(例えば、冷却剤供給システム11の第1の冷却剤流路19)内の流量を選択的に調整して所望の流量を達成するようにアクチュエータ56を作動させることによって流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。所望の流量は、処理装置82に関連するコンピュータプログラムおよび/または論理回路によって決定してもよい。所望の流量は、追加または代わりとして、ルックアップテーブル「TX、Y」(図2および図5に示す)から選択しても記憶装置8(図2および図5に示す)に格納されたコンピュータアルゴリズムによって決定してもよい。
【0035】
分岐流路21に流体連通して配置された好適な圧力除去装置40を含む実施形態によって、第1の冷却剤流路19内の流量の選択的な調整に関係なく、流体移動装置60を実質的に一定の速度および/またはほぼ一定の負荷(上部圧力)下で動作させることができる。本開示に係る、分岐流路21に流体連通して配置された好適な圧力除去装置40を利用することで、流体移動装置60を単一の速度装置(例えば、単一の速度ポンプ)として実施することができる。
【0036】
フィードバック制御システム14は、ルックアップテーブル「TX、Y」(図2および図5に示す)(式中、Xは列を意味し、Yは行を意味する)に格納されたデータ「D」(例えば、流量制御装置50の1つまたは複数の動作パラメータを適切に調整して所望の温度および/または所望の焼灼を達成するための設定に対する温度データのマッピングを表すデータ)または他のデータ構造を利用して、所望の流量を決定してもよい。図1に示す実施形態では、電気外科手術システム10は、それに接触している媒体の温度を表す信号を生成することができる第1の温度センサ「TS」およびそれに接触している媒体の温度を表す信号を生成することができる第2の温度センサ「TS」を含む。フィードバック制御システム14は、流量制御装置50を制御するための第1の温度センサ「TS」および/または第2の温度センサ「TS」から受信した信号を利用するように構成されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、電気外科手術システム10は、例えば、伝送線路36を介して処理装置82に通信可能に接続された流量センサ「FS」を含む。いくつかの実施形態では、流量センサ「FS」は、第1の冷却剤流路19または第2の冷却剤流路20に流体連通して配置されていてもよい。処理装置82は、流量センサ「FS」から受信した1つまたは複数の信号を用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、第1の温度センサ「TS」および/または第2の温度センサ「TS」から受信した1つまたは複数の信号と共に流量センサ「FS」から受信した1つまたは複数の信号を用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。図1に示す電気外科手術システム10は1つの流量センサ「FS」を含むが、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管に流入および流出する流量の測定値を提供するように構成された複数の流量センサ(例えば、図2に示す「FS」、「FS」〜「FS」)を用いて他の実施形態を実施してもよい。
【0038】
電気外科手術システム10は、追加または代わりとして、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管に流入および流出する流量の測定値を提供するように構成された1つまたは複数の圧力センサ(例えば、図5に示す「PS」、「PS」〜「PS」)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、電気外科手術システム10は、プローブ100内に配置された圧力センサとは対照的に、冷却剤供給システム11の1つまたは複数の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)に流体連通して配置された1つまたは複数の圧力センサ(例えば、圧力センサ70)を含み、それにより、プローブ100のコストおよび複雑性を低減する。
【0039】
図1に示す実施形態では、処理装置82は、冷却剤供給システム11の流体流路に流体連通して配置された圧力センサ70に動作可能に関連している。処理装置82は、伝送線路30または無線リンクを介して圧力センサ70に通信可能に接続されていてもよい。処理装置82は、追加または代わりとして、プローブ100内に配置された(例えば、冷却剤チャンバ137に流体連通して配置された)1つまたは複数の圧力センサに動作可能に関連していてもよい。
【0040】
圧力センサ70としては、任意の好適な種類の圧力センサ、圧力変換器、圧力伝送器または圧力スイッチが挙げられる。圧力センサ70(本明細書では「圧力変換器」ともいう)は、様々な部品(例えば、抵抗素子、容量素子および/またはピエゾ抵抗素子)を含んでいてもよく、冷却剤供給システム11内の任意の好適な位置に配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、圧力変換器70は、流体移動装置60と流量制御装置50との間(例えば、流量制御装置50の位置またはその近傍)に配置された第1の冷却剤流路19に流体連通して配置されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、処理装置82は、1つまたは複数の圧力センサから受信した圧力データを用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、圧力変換器70から受信した1つまたは複数の信号と共に、第1の温度センサ「TS」および/または第2の温度センサ「TS」および/または流量センサ「FS」から受信した1つまたは複数の信号を用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するように構成されていてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、処理装置82は、アンテナアセンブリ112および/または接続ハブ142に動作可能に関連する1つまたは複数の温度センサに接触した媒体(例えば、冷却流体「F」)の温度を表す検出温度信号と共に、使用者によって提供された時間および電力設定に基づき、アンテナアセンブリ112に伝達される電力量を制御するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、例えば、所定の時間間隔にわたって所定の温度閾値未満の温度を表す検出温度信号が処理装置82によって受信された場合に、アンテナアセンブリ112に伝達される電力量を減少させるように構成されていてもよい。
【0043】
処理装置82は、1つまたは複数の圧力センサ(例えば、圧力変換器70)から受信した圧力データを用いたプローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管内の流体の圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かの決定に基づき、電気外科手術用電力発生源28に関連する1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されていてもよい。電気外科手術用電力発生源28に関連する動作パラメータの例としては、温度、インピーダンス、電力、電流、電圧、動作モードおよび電磁エネルギーの照射期間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、場合により好適な部品(図示せず)によって増幅および/または調整された圧力値を表す圧力変換器70の出力信号は、処理装置82によって受信され、電力がアンテナアセンブリ112に伝達される際の制御のために、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管内の流体の圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かの決定に使用される。いくつかの実施形態では、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管内の流体の圧力レベルが所定の閾値未満であるという決定に応答して、処理装置82は、アンテナアセンブリ112に伝達される電力量を減少するように、および/または電気外科手術用電力発生源28とプローブ100との間のエネルギー伝達を停止するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管内の流体の圧力レベルが所定の閾値を超えているという決定に基づき、電気外科手術用電力発生源28とプローブ100との間のエネルギー伝達を可能にするように構成されていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、圧力変換器70は、圧力除去装置40の破壊圧力未満の検出圧力を示すために、所定の信号を出力するように構成されている。処理装置82に関連するコンピュータプログラムおよび/または論理回路は、圧力変換器70からの信号に応答して電気外科手術用電力発生源28および流量制御装置50を使用可能にするように構成されていてもよい。処理装置82に関連するコンピュータプログラムおよび/または論理回路は、プローブ100へのエネルギー伝達が可能となる時点と、例えば、流体移動装置60の電源が入れられたことおよび/またはアンテナアセンブリ112の作動が可能となる前にプローブ100が流体の流れを受容していることを確認するために圧力信号が検出される時点との間で特定の時間が経過するとエラーコードを表す信号を出力し、かつ/またはインジケータ装置129を作動させるように構成されていてもよい。
【0046】
図1に示すように、給電路110は、アンテナアセンブリ112を接続ハブ142に接続している。接続ハブ142は、例えば、円筒状、長方形などの様々な好適な形状を有していてもよい。接続ハブ142は一般に、流体流出口177および流体流入口179を画定するハブ本体145を含む。ハブ本体145は、ハブ本体145の1つまたは複数の部分から延在する1つまたは複数の分岐部、例えば、3つの分岐部164、178および176を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハブ本体145から延在する1つまたは複数の分岐部は、例えば、冷却流体および/または緩衝流体の接続ハブ142への流入および流出を容易にするために、1つまたは複数のコネクタおよび/または出入口を収容するように構成されてもよい。
【0047】
図1に示す実施形態では、ハブ本体145は、ケーブルコネクタ165を収容するように構成された第1の分岐部164と、流体流入口179を収容するように構成された第2の分岐部178と、流体流出口177を収容するように構成された第3の分岐部176とを含む。但し、他の接続ハブの実施形態も使用し得ることを理解されたい。ハブの実施形態の例は、同一出願人による2009年3月10日に出願された「冷却され、誘電的に緩衝されたマイクロ波ダイポールアンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という発明の名称の米国特許出願第12/401,268号および「マイクロ波アンテナを冷却する装置および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という発明の名称の米国特許第7,311,703号に開示されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、流量センサ「FS」は、第1の冷却剤流路19に流体連通して配置されており、例えば、流体流入口179内に配置されているかそれ以外の方法で第2の分岐部178に関連しており、第2の温度センサ「TS」は、第2の冷却剤流路20に流体連通して配置されており、例えば、流体流出口177内に配置されているかそれ以外の方法で第3の分岐部176に関連している。他の実施形態では、第2の温度センサ「TS」は、流体流入口179内に配置されているかそれ以外の方法で第2の分岐部178に関連していてもよく、流量センサ「FS」は、流体流出口177内に配置されているかそれ以外の方法で第3の分岐部176に関連していてもよい。
【0049】
冷却剤供給システム11は一般に、プローブ100まで通じている第1の冷却剤流路19およびプローブ100から通じている第2の冷却剤流路20を有する実質的に閉鎖したループと、冷却剤源90と、例えば、第1の冷却剤流路19に流体連通して配置された流体移動装置60とを含む。いくつかの実施形態では、冷却剤供給システム11は、第1の冷却剤流路19および第2の冷却剤流路20に流体連通して配置された第3の冷却剤流路21(本明細書では「分岐流路」ともいう)を含む。第1の冷却剤流路19、第2の冷却剤流路20および第3の冷却剤流路21の導管の配置は、図1に示す構成とは異なっていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、圧力除去装置40は、分岐流路21に流体連通して配置されていてもよい。圧力除去装置40は、所定の設定圧力で開き、指定された超過圧力で定格容量を流すように構成された任意の種類の装置(例えば、ばね式の圧力除去弁)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、第1の冷却剤流路19内への流体の逆流を防止するのに適した1つまたは複数の流量制限装置(図示せず)が、分岐流路21に流体連通して配置されていてもよい。流量制限装置は、逆止弁または任意の他の好適な種類の一方向性流量制限器もしくは逆流防止器を含んでもよく、分岐流路21から第1の冷却剤流路19への流体の逆流を防止するために、分岐流路21内の任意の好適な位置に配置されていてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の冷却剤流路19は、冷却剤源90から流体移動装置60まで通じている第1の冷却剤供給ライン66と、流体移動装置60から流量制御装置50まで通じている第2の冷却剤供給ライン67と、流量制御装置50から接続ハブ本体145の第2の分岐部178内に画定された流体流入口179まで通じている第3の冷却剤供給ライン68とを含み、第2の冷却剤流路20は、ハブ本体145の第3の分岐部176内に画定された流体流出口177から冷却剤源90まで通じている第1の冷却剤戻りライン95を含む。分岐流路21を含む実施形態は、第2の冷却剤供給ライン67および第1の冷却剤戻りライン95に流体的に接続された第2の冷却剤戻りライン94を含んでいてもよい。圧力除去装置40は、第2の冷却剤戻りライン94内の任意の好適な位置に配置されていてもよい。冷却剤供給ラインと冷却剤戻りラインとの間隔および相対的な寸法は、図1に示す構成とは異なっていてもよい。
【0052】
冷却剤源90は、冷却流体「F」の貯蔵部を含む任意の好適なハウジングであってもよい。冷却流体「F」は、プローブ100を冷却または緩衝するために使用することができる任意の好適な流体、例えば、脱イオン水または他の好適な冷却媒体であってもよい。冷却流体「F」は、誘電特性を有していてもよく、アンテナアセンブリ112を緩衝する誘電体インピーダンスを提供してもよい。冷却流体「F」は、食塩水などの導電性流体であってもよく、例えば、インピーダンスを低下させて、増加した電力を標的組織に送ることができるようにそれを標的組織に送ってもよい。冷却流体「F」の組成は、所望の冷却速度および所望の組織インピーダンス整合特性に応じて変更してもよい。種々の流体、例えば、限定されるものではないが、水、食塩水、Minnesota Mining and Manufacturing社(3M)によって提供されている市販のフロリナート(Fluorinert)(登録商標)パーフルオロカーボン液体などのパーフルオロカーボン、液体クロロジフルオロメタンなどの液体を使用してもよい。他の変形形態では、気体(例えば、亜酸化窒素、窒素、二酸化炭素など)を冷却流体として利用してもよい。さらに別の変形形態では、例えば、上述の液体および/または気体などの液体および/または気体の組み合わせを冷却流体「F」として利用してもよい。
【0053】
図1に示す実施形態では、冷却流体「F」を、第1の冷却剤流路19を通ってプローブ100に流入および流出させるために、流体移動装置60が第1の冷却剤流路19内に設けられている。流体移動装置60は、弁、ポンプ、電力装置、アクチュエータ、継手、マニホールドなどを備えていてもよい。例えば、冷却剤源90に対する流体移動装置60の位置は、図1に示す構成とは異なっていてもよい。図1に示す冷却剤供給システム11は第1の冷却剤流路19内に配置された単一の流体移動装置60を含むが、様々な大きさで互いに対して様々に離間した異なる数の流体移動装置の様々な組み合わせが、第1の冷却剤流路19および/または第2の冷却剤流路20内に設けられていてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、プローブ100は、アンテナアセンブリ112を、プローブ100への電気および/または冷却剤接続を提供するハブ(例えば、接続ハブ142)に接続する給電路110を含む。給電路110は、好適な柔軟な半剛性もしくは剛性マイクロ波導電性ケーブルで形成されていてもよい。給電路110は、様々な導電性材料(例えば、銅、金または同様の導電率値を有する他の導電性金属で構成されていてもよい。給電路110は、一般に組織および/または皮膚を穿孔するために必要とされる強度を与えるステンレス鋼で作られていてもよい。
【0055】
いくつかの変形形態では、アンテナアセンブリ112は、遠位放射部105および近位放射部140を含む。いくつかの実施形態では、一般に誘電体で作られている接合部材(図示せず)は、近位放射部140と遠位放射部105とを結合する。いくつかの実施形態では、遠位放射部105および近位放射部140は、接合部材において一直線に並べられ、さらに、遠位放射部105内を少なくとも部分的に通る内側導体(図示せず)によって支持されている。
【0056】
アンテナアセンブリ112には、エンドキャップまたはテーパー部120が設けられていてもよく、エンドキャップまたはテーパー部120は、最小の抵抗で組織への挿入を可能にするように鋭い先端123で終端していてもよい。エネルギー照射装置100として使用するのに適し得る鋭い先端を有する直線状のプローブの1つの例は、コヴィディエン(Covidien)社によって提供されているEVIDENT(商標)という商標で市販されている。エンドキャップまたはテーパー部120は、例えば、円形、平坦状、四角形、六角形またはシリンドロコニカル形の先端123のような他の形状を有していてもよい。エンドキャップまたはテーパー部120は、高誘電率を有する材料で形成されていてもよく、套管針であってもよい。
【0057】
外装138は一般に、アンテナアセンブリ112またはその一部が配置され得る内腔を画定する外側ジャケット139を含む。いくつかの実施形態では、外装138は、給電路110、近位放射部140および遠位放射部105の上に配置され、かつそれらを包囲しており、エンドキャップまたはテーパー部120を少なくとも部分的に包囲していてもよい。外側ジャケット139は、例えば、ポリマーもしくはセラミック材料などの任意の好適な材料で形成されていてもよい。外側ジャケット139は、低導電率を有する材料で形成された水冷カテーテルであってもよい。
【0058】
図1に示す実施形態によれば、冷却剤チャンバ137は、外側ジャケット139およびエンドキャップまたはテーパー部120によって画定されている。冷却剤チャンバ137は、流体流入口179および流体流出口177に流体連通して配置され、そこを通して冷却流体「F」を循環させるように構成されており、邪魔板、複数の内腔、流量制限装置または、それらの形状に応じて流れを再方向付けるか集結または分散させ得る他の構造を含んでいてもよい。冷却剤チャンバの実施形態の例は、同一出願人による2009年1月8日に出願された「チョークされた誘電体装荷先端ダイポールマイクロ波アンテナ(CHOKED DIELECTRIC LOADED TIP DIPOLE MICROWAVE ANTENNA)」という発明の名称の米国特許出願第12/350,292号、同一出願人による2009年3月10日に出願された「冷却され、誘電的に緩衝されたマイクロ波ダイポールアンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という発明の名称の米国特許出願第12/401,268号および「マイクロ波アンテナの冷却装置および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という発明の名称の米国特許第7,311,703号に開示されている。外装138およびその中に延在している冷却剤チャンバ137の大きさおよび形状は、図1に示す構成とは異なっていてもよい。
【0059】
例えば、電気外科手術システム10を用いるマイクロ波焼灼の間、プローブ100を組織に挿入するか組織に隣接して配置し、そこにマイクロ波エネルギーを供給する。超音波もしくはコンピュータ断層撮影(CT)誘導を用いて、プローブ100を治療される組織の領域内に正確に誘導してもよい。プローブ100は、例えば、手術スタッフによる従来の手技を用いて、経皮的にまたは組織上に配置してもよい。臨床医は、マイクロ波エネルギーが照射される時間長さを事前に決定してもよい。照射持続時間は、腫瘍の大きさおよび位置ならびに腫瘍が続発性もしくは原発性癌であるか否かなどの多くの要因によって決められてもよい。プローブ100を用いるマイクロ波エネルギー照射の持続時間は、破壊される組織領域および/または周囲組織内の熱分配の進行によって決められてもよい。標的組織領域の癌細胞を破壊するために、単一または複数のプローブ100を使用して、短い処置時間(例えば、数秒〜数分)の焼灼を行ってもよい。
【0060】
ほぼ同時に標的組織領域を焼灼するために、複数のプローブ100を様々な配置構成で配置し、より速い処置を可能にしてもよい。複数のプローブ100を使用して、相乗効果で大きな焼灼を生成したり、同時に別々の部位を焼灼したりすることができる。組織焼灼の大きさおよび形状は、エネルギー照射装置の設計、同時に使用されるエネルギー照射装置の数、時間およびワット数などの様々な要因の影響を受ける。
【0061】
動作中、波長(ラムダ(λ))を有するマイクロ波エネルギーは、アンテナアセンブリ112を通って(例えば、近位放射部140および遠位放射部105に沿って)伝送され、かつ周囲媒体(例えば、組織)に照射される。効率的な照射のためのアンテナの長さは、照射されている媒体の誘電性に依存する実効波長(λeff)によって決められてもよい。マイクロ波エネルギーが波長(λ)でその中に伝送されるアンテナアセンブリ112は、周囲媒体に応じて異なる実効波長(λeff)を有していてもよい(例えば、乳房組織に対する肝臓組織)。
【0062】
いくつかの実施形態では、電気外科手術システム10は、アンテナアセンブリ112の遠位放射部105内に配置された第1の温度センサ「TS」を含む。第1の温度センサ「TS」は、エンドキャップまたはテーパー部120内に配置されていてもそれらに接触していてもよい。第1の温度センサ「TS」は、温度の検出を可能にするように任意の好適な位置に配置され得ることを理解されたい。処理装置82は、伝送線路34によって第1の温度センサ「TS」に電気的に接続していてもよい。第1の温度センサ「TS」に接触している媒体の温度を表す検出温度信号を処理装置82によって利用し、電気外科手術用エネルギーの流量および/または冷却剤の流量を制御して所望の焼灼を達成してもよい。
【0063】
電気外科手術システム10は、追加または代わりとして、流体流出口177内に配置されているかそれ以外の方法でハブ本体145の第3の分岐部176に関連している第2の温度センサ「TS」含んでいてもよい。処理装置82は、伝送線路38によって第2の温度センサ「TS」に電気的に接続していてもよい。第1の温度センサ「TS」および/または第2の温度センサ「TS」は、熱電対、サーミスタまたは他の温度検出装置であってもよい。先端123の近くの様々な位置に、温度を測定するように先端123の外側に延在する装置を含む複数のセンサを利用してもよい。
【0064】
図2は、処理装置82および処理装置82に動作可能に接続している記憶装置8を含む、本開示に係る図1のフィードバック制御システム14などのフィードバック制御システムの一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、記憶装置8は、電気外科手術用電力発生源28に関連していてもよい。いくつかの実施形態では、記憶装置8は、電気外科手術用電力発生源28内に組み込まれた記憶装置88(図3に示す)として実施してもよい。いくつかの実施形態では、記憶装置8は、電気外科手術用電力発生源28に通信可能に接続された外部装置81(図3に示す)として実施してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、処理装置82は、例えば、伝送線路「L」を介して、流量制御装置50に通信可能に接続しており、例えば、伝送線路「L」を介して、流体移動装置60に通信可能に接続していてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、流体移動装置60の1つまたは複数の動作パラメータを制御して、冷却剤供給システム11の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)内の流量を選択的に調整するように構成されていてもよい。1つの非限定的な例では、流体移動装置60は、多段速度ポンプとして実施されており、処理装置82は、ポンプ速度を変えて選択的に流量を調整して、所望の流量を達成するように構成されていてもよい。
【0066】
処理装置82は、1つまたは複数の温度センサ(例えば、「TS」、「TS」〜「TS」)(ここで、Nは、整数である)から受信した温度データを用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50の1つまたは複数の動作パラメータを制御するための一連の命令を実行するように構成されていてもよい。温度データは、伝送線路「L」「L」〜「L」を介して伝送しても無線で伝送してもよい。1つまたは複数のセンサ(例えば、「FS」、「FS」〜「FS」)(ここで、Mは整数である)は、追加または代わりとして、例えば、伝送線路「L」、「L」〜「L」を介して、処理装置82に通信可能に接続していてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の流量センサ「FS」、「FS」〜「FS」から受信した、プローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管に流入および/または流出する流量を表す信号を処理装置82によって使用して、所望の流量を決定してもよい。そのような実施形態では、流量データを、温度データと共に、あるいは温度データとは独立して、処理装置82によって使用して、所望の流量を決定してもよい。所望の流量は、ルックアップテーブル「TX、Y」から選択しても記憶装置8に格納されたコンピュータアルゴリズムによって決定してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、温度センサ(例えば熱電対)によって検出された温度に比例しているアナログ信号を、温度および流量のためのルックアップテーブル「TX、Y」と比較することができる電圧入力としてみなしてもよく、処理装置82に関連するコンピュータプログラムおよび/または論理回路を使用して、パルス幅変調(PWM)の必要とされるデューティサイクルを決定し、弁(例えば、弁52)の作動を制御して、所望の流量を達成してもよい。例えば、温度データおよび/または流量データを用いた所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50および流体移動装置60を処理装置82によって協働的に制御し、冷却剤供給システム11の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)内の流量を選択的に調整するように、処理装置82は一連の命令を実行するように構成されていてもよい。
【0068】
フィードバック制御システム14は、流量制御装置50を制御して、検出温度が上昇すると、より長期間の流れを可能にし(例えば、弁52を開いた状態に保持し)、検出温度が低下すると、より短期間の流れを可能にするように構成されていてもよい。電気外科手術システム10は、流量制御装置50のPWM制御を無視して、アンテナアセンブリ112の最初の作動後すぐに弁52を開いた状態に保持するように構成されていてもよい。この目的のために、タイマーを利用して、アンテナアセンブリ112の作動後に、制御装置50を所定の時間間隔(例えば約1分)で動作しないようにしてもよい。いくつかの実施形態では、使用者によって提供された設定(例えば、時間および電力設定)に応じて、流量制御装置50のPWM制御を無視する所定の時間間隔を変更してもよい。いくつかの実施形態では、電気外科手術用電力発生源28は、電気外科手術用電力発生源28とプローブ100との間のエネルギー伝達を可能にする前に流量制御装置50が開いている否かという決定を含む自己検査ルーチンを実行するように構成されていてもよい。
【0069】
図3は、処理装置82と動作可能に通信している発生器モジュール86と、処理装置82に通信可能に接続されたユーザインタフェース121と、ユーザインタフェース121に通信可能に接続されたアクチュエータ122とを含む、図1の電気外科手術用電力発生源28の一実施形態を含む電気外科手術システム300のブロック図である。アクチュエータ122は、任意の好適なアクチュエータ、例えば、フットスイッチ、ハンドスイッチ、口作動式スイッチ(例えば、噛み作動式スイッチおよび/または呼吸作動式スイッチ)などであってもよい。プローブ100は、例えば、図1に示す伝送線路16を介して、発生器モジュール86のエネルギー出力に動作可能に接続されている。ユーザインタフェース121は、可聴インジケータ、および照明付きインジケータ(例えば、単色もしくは色が変わるLEDインジケータ)などの視覚インジケータであってもよい知覚可能な感覚的警報または他の感覚的警報を提供するように構成されたインジケータ装置129を含んでいてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、発生器モジュール86は、約915MHzのエネルギーを供給するように構成されている。発生器モジュール86は、追加または代わりとして、約2450MHz(2.45GHz)〜約5800MHz(5.8GHz)のエネルギーを供給するように構成されていてもよい。本開示は、発生器モジュール86が約915MHzまたは約2450MHzまたは約5800MHz以外の周波数を生成するように構成されている実施形態および発生器モジュール86が可変周波数エネルギーを生成するように構成されている実施形態を想定している。
【0071】
様々な実施形態に係る処理装置82は、使用者がユーザインタフェース121を介して、エネルギー伝達装置(例えば、プローブ100)の動作特性をプレビューできるようにプログラムされている。処理装置82は、メモリ(例えば、記憶装置88または外部装置81)に格納された一連の命令を実行することができる任意の種類の計算装置、計算回路あるいは任意の種類の処理装置または処理回路を含んでいてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、記憶装置88は、処理装置82に動作可能に接続され、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)および/または不揮発性メモリ(例えば、NV−RAM、フラッシュおよびディスクベースの記憶装置)を含んでいてもよい。記憶装置88は、本開示に係る所望の流量の決定に基づき、流量制御装置50を制御するために、処理装置82に対して実行可能な一組のプログラム命令を含んでいてもよい。電気外科手術用電力発生源28は、外部装置81への通信リンクを提供するように構成されたデータインタフェース31を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、データインタフェース31は、USBインタフェース、メモリカードスロット(例えば、SDスロット)および/またはネットワークインターフェイス(例えば、100BaseTイーサネット(登録商標)インタフェースまたは802.11「Wi−Fi」インタフェース)のうちのいずれかであってもよい。外部装置81は、USB装置(例えば、メモリスティック)、メモリカード(例えば、SDカード)および/またはネットワーク接続した装置(例えば、コンピュータまたはサーバ)のうちのいずれかであってもよい。
【0073】
電気外科手術用電力発生源28は、エネルギー照射装置のデータ(例えば、1つまたは複数のエネルギー照射装置に関連するパラメータ)および/または他のデータ(例えば、1つまたは複数のルックアップテーブル「TX、Y」)を格納および読み出すように構成されたデータベース84を含んでいてもよい。データベース84の少なくとも一部を、データインタフェース31を介して外部装置81によって提供されるデータによって維持してもよく、例えば、エネルギー照射装置のデータを、データインタフェース31を介して外部装置81からデータベース84にアップロードしてもよい。
【0074】
図4は、図1の電気外科手術用電力発生源28およびプローブ100と、プローブ100に冷却流体「F」を供給するように構成された冷却剤供給システム411に動作可能に関連するフィードバック制御システム414とを含む、本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム410を示す。いくつかの実施形態では、フィードバック制御システム414は、プローブ100に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成されている。
【0075】
冷却剤供給システム411は、プローブ100に通じている第1の冷却剤流路419と、プローブ100から通じている第2の冷却剤流路420と、第1の冷却剤流路419および第2の冷却剤流路420に流体連通して配置された分岐流路421とを有する実質的に閉鎖したループを含む。冷却剤供給システム411は一般に、冷却剤源90と、流体移動装置60と、冷却剤源90から流体移動装置60まで通じている第1の冷却剤供給ライン66と、図1の冷却剤供給システム11の冷却剤源90に通じている第1の冷却剤戻りライン95とを含む。
【0076】
第1の冷却剤流路19(流体流入口179に流体的に接続されている)に流体連通して配置された流量制御装置50と、分岐流路21に流体連通して配置された圧力除去装置40とを含む図1の冷却剤供給システム11とは対照的に、図4に示す冷却剤供給システム411は、分岐流路421(冷却剤源90に流体的に接続されている)に流体連通して配置された流量制御装置450を含む。図4に示す実施形態では、冷却剤流路419は、流体移動装置60から接続ハブ142内に画定された流体流入口179まで通じている第2の冷却剤供給ライン467を含み、分岐流路421は、第2の冷却剤供給ライン467および第1の冷却剤戻りライン95に流体的に接続された第2の冷却剤戻りライン494を含み、流量制御装置450は、第2の冷却剤戻りライン494に流体連通して配置されている。
【0077】
フィードバック制御システム414は、処理装置、例えば、電気外科手術用電力発生源28に関連する処理装置82または流量制御装置450に動作可能に関連する独立型処理装置(図示せず)を含む。流量制御装置450は、流量制御装置450を通過する流量を調整または制御することできる任意の好適な装置を含んでいてもよい。図4に示す実施形態では、流量制御装置450は、弁体454と、弁体454に動作可能に接続された電気機械アクチュエータ456とを含む弁452を含む。いくつかの実施形態では、アクチュエータ456は、例えば、伝送線路432または無線接続を介して、処理装置82に動作可能に関連している。
【0078】
処理装置82は、アクチュエータ456を作動させ、分岐流路421内の流量を選択的に調整して、プローブ100に通じている第1の冷却剤流路419内の流量に所望の変化を生じさせることによって、流量制御装置450を制御するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、処理装置82は、アクチュエータ456を作動させ、1つまたは複数の温度センサ(例えば、2つのセンサ「TS」および「TS」)から受信したデータおよび/または1つまたは複数の流量センサ(例えば、1つのセンサ「FS」)から受信したデータを用いた所望の流量の決定に基づき、分岐流路421内の流量を選択的に調整することによって、流量制御装置450を制御するように構成されていてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、電気外科手術システム410は、冷却剤供給システム411の1つまたは複数の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路419)に流体連通して配置された1つまたは複数の圧力センサ(例えば、圧力センサ70)を含む。図4に示す実施形態では、圧力変換器70は、流体移動装置60と流量制御装置450との間に配置された第1の冷却剤流路419に流体連通して配置されている。
【0080】
図5は、処理装置82を含む本開示の一実施形態に係るフィードバック制御システム514を概略的に示す。フィードバック制御システム514は、圧力センサ「PS」、「PS」〜「PS」(ここで、Kは整数である)が追加されていること以外は図2のフィードバック制御システム14に類似しており、図2のフィードバック制御システム14に共通する要素の説明は簡潔にするために省略する。
【0081】
処理装置82は、1つまたは複数の圧力センサ「PS」、「PS」〜「PS」から受信した圧力データを用いて冷却剤供給システム11の1つまたは複数の流体流路内の流体の圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かの決定に基づき、プローブ100を作動させるために電気外科手術用電力発生源28を使用可能にするように構成されていてもよい。圧力データは、伝送線路「L」「L」〜「L」を介して伝送しても無線で伝送してもよい。処理装置82は、追加または代わりとして、1つまたは複数の圧力センサ「PS」、「PS」〜「PS」から受信した圧力データを用いて冷却剤供給システム11の1つまたは複数の流体流路内の圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かの決定に基づき、電気外科手術用電力発生源28からプローブ10へのエネルギーの伝達を停止するように構成されていてもよい。処理装置82は、追加または代わりとして、1つまたは複数の圧力センサ「PS」、「PS」〜「PS」から受信した圧力データを用いてプローブ100および/またはプローブ100に流体的に接続された導管内の流体の圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かの決定に基づき、一連の命令を実行して、電気外科手術用電力発生源28の1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されていてもよい。
【0082】
以下、図6および図7を参照しながら、本開示に係る流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法について説明する。本明細書に提供されている方法の工程は、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせでも本明細書に提示されているものとは異なる順序でも実施し得ることを理解されたい。組織にエネルギーを導く本開示の方法の実施形態は、コンピュータプロセスまたはコンピュータシステムとして、あるいは事前記録ディスクまたは他の類似したコンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体などの製造品として実施してもよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータシステムによって読み取り可能であり、かつコンピュータプロセスを実行するための命令であるコンピュータプログラムを符合化した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0083】
図6は、本開示の一実施形態に係る流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法を示すフローチャートである。工程610では、エネルギー照射装置100を用意する。エネルギー照射装置100は、アンテナアセンブリ112と、エネルギー照射装置100に1つまたは複数の冷却剤接続(例えば、図1に示す流体流入口179)を提供するハブ142とを含む。
【0084】
工程620では、冷却剤供給システム11(または、図4に示す冷却剤供給システム411)を用意する。冷却剤供給11は、エネルギー照射装置100に流体流を供給するためにハブ142に流体的に接続された流体流路19を含む。いくつかの実施形態では、第1の冷却剤流路19は、冷却剤源90から流体移動装置60まで通じている第1の冷却剤供給ライン66と、流体移動装置60から流量制御装置50まで通じている第2の冷却剤供給ライン67と、流量制御装置50から流体流入口179まで通じている第3の冷却剤供給ライン68とを含む。
【0085】
冷却剤源90は、冷却流体「F」の貯蔵部を含む任意の好適なハウジングであってもよい。冷却流体「F」は、エネルギー照射装置100を冷却または緩衝するために使用することができる任意の好適な流体、例えば、脱イオン水または他の好適な冷却媒体であってもよい。冷却流体「F」は、誘電特性を有していてもよく、アンテナアセンブリ112を緩衝する誘電体インピーダンスを提供してもよい。
【0086】
工程630では、組織へのエネルギー伝達のために、アンテナアセンブリにエネルギーが供給されている場合にエネルギー照射装置100を組織内に配置する。エネルギー照射装置100は、組織内に直接挿入するか、外科手術中に臨床医によって体内に配置されたか、あるいは他の好適な方法によって体内に配置された内腔(例えば、静脈、針、内視鏡またはカテーテル)を介して挿入してもよい。エネルギー照射装置100は、指向性放射パターンによって動作するように構成されていてもよい。
【0087】
電気外科手術用エネルギーは、エネルギー源28からアンテナアセンブリ112を通して組織に伝送してもよい。エネルギー源28は、出力信号を生成するための任意の好適な電気外科手術用発生器であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー源28はマイクロ波エネルギー源であり、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー源28は、選択された位相、振幅および周波数を有する電力を供給する。
【0088】
工程640では、エネルギー照射装置100に通じている流体流路19内に配置された流量制御装置50に動作可能に接続されたフィードバック制御システム14を用いて、エネルギーが供給されている場合にアンテナアセンブリ112に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給する。
【0089】
図7は、本開示の一実施形態に係る流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法を示すフローチャートである。工程610では、エネルギー照射装置100を用意する。エネルギー照射装置100は、アンテナアセンブリ112と、アンテナアセンブリ112の少なくとも一部の周りに冷却流体「F」を循環させるように構成された冷却剤チャンバ137とを含む。
【0090】
工程720では、エネルギー照射装置100に冷却流体「F」を供給するように構成された冷却剤供給システムを用意する。エネルギー照射装置100は、様々な構成で冷却剤供給システムと共に使用してもよい。エネルギー照射装置100の冷却剤チャンバ137は、第1の冷却剤流路19(例えば、冷却剤源90からエネルギー照射装置100に流体流を供給するためにエネルギー照射装置100に流体的に接続されている)に流体連通して配置された流量制御装置50を含む図1に示す一実施形態に係る冷却剤供給システム11に流体的に接続されていてもよい。
【0091】
あるいは、冷却剤チャンバ137は、第1の冷却剤流路419(例えば、冷却剤源90からエネルギー照射装置100に流体流を供給するためにエネルギー照射装置100に流体的に接続されている)および第2の冷却剤流路420(例えば、エネルギー照射装置100から冷却剤源90まで流体流を供給するためにエネルギー照射装置100に流体的に接続されている)に流体連通して配置された第3の冷却剤流路421に流体連通して配置された流量制御装置450を含む図4に示す一実施形態に係る冷却剤供給システム411に流体的に接続されてもよい。
【0092】
工程730では、組織へのエネルギー伝達のために、アンテナアセンブリにエネルギーが供給されている場合にエネルギー照射装置100を組織内に配置する。エネルギー照射装置100は、治療される組織に挿入してもそれに隣接して配置してもよい。
【0093】
工程740では、エネルギー照射装置100に関連する1つまたは複数の温度センサ(例えば、1つの温度センサ「TS」)に通信可能に接続された処理装置82を含むフィードバック制御システム14(または414)を使用して、エネルギーが供給されている場合にアンテナアセンブリ112に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給する。処理装置82は、1つまたは複数の温度センサ「TS」から出力された1つまたは複数の電気信号を用いた所望の流量の決定に基づき、冷却剤供給システム11(または411)に関連する流量制御装置50(または450)を制御するように構成されていてもよい。フィードバック制御システム14(または414)は、ルックアップテーブル「TX、Y」に格納されたデータ「D」(例えば、所望の温度および/または所望の焼灼を達成するために、流量制御装置50(または450)の1つまたは複数の動作パラメータを適切に調整するための設定に対する温度データのマッピングを表すデータ)または他のデータ構造を利用して、所望の流量を決定してもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、処理装置82は、冷却剤供給システム11(または411)の1つまたは複数の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)に流体連通して配置された1つまたは複数の圧力センサ70に通信可能に接続されている。処理装置82は、1つまたは複数の圧力センサ70から出力された少なくとも1つの電気信号を用いて1つまたは複数の流体流路内で検出された圧力レベルが所定の閾値を超えているか否かという決定に基づき、エネルギー照射装置100を作動させるために電気外科手術用発生器28を使用可能にするように構成されていてもよい。
【0095】
処理装置82は、追加または代わりとして、1つまたは複数の圧力センサ70から出力された少なくとも1つの電気信号を用いて1つまたは複数の流体流路(例えば、第1の冷却剤流路19)内で検出された圧力レベルが所定の閾値未満であるという決定に基づき、電気外科手術用発生器28に関連する1つまたは複数の動作パラメータを制御するように構成されていてもよい。電気外科手術用電力発生源28に関連する動作パラメータの例としては、温度、インピーダンス、電力、電流、電圧、動作モードおよび電磁エネルギーの照射持続時間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
いくつかの実施形態では、冷却剤供給システム11は、第1の冷却剤流路19に流体連通して配置された流体移動装置60を含み、第2の冷却剤流路20(例えば、流体流を冷却剤源90に戻すことができるようにエネルギー照射装置100に流体的に接続されている)と、第1の冷却剤流路19および第2の冷却剤流路20に流体連通して配置された第3の冷却剤流路21とを含んでいてもよい。圧力除去装置40は、第3の冷却剤流路21に流体連通して配置されていてもよく、第1の冷却剤流路19内の流量の選択的な調整に関係なく、流体移動装置60を実質的に一定の速度および/またはほぼ一定の負荷(上部圧力)下で動作できるようにしてもよい。
【0097】
電気外科手術装置への熱フィードバック制御された流量の流体流のための上記システムおよび流体冷却されるアンテナアセンブリを用いて組織にエネルギーを導く方法は、組織を治療するのに適した様々な電気外科手術装置と共に使用してもよい。実施形態は、例えば、経皮的または外科的に配置された焼灼プローブなどの組織にエネルギーを導くように構成された電気外科手術装置および/または表面焼灼用途の使用に適した焼灼装置と共に使用してもよい。
【0098】
冷却剤供給システムに流体連通して配置されたエネルギー照射装置に熱フィードバック制御された流量の流体流を供給するように構成されたフィードバック制御システムを含む上記システムは、医療処置(例えば、組織焼灼、切除、焼灼、脈管血栓症、心不整脈および律動異常の治療、電気外科手術など)を含む様々な使用および用途に適していてもよい。
【0099】
例示および説明のために添付の図面を参照しながら実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の方法および装置はそれらによって限定されるものとして解釈されるものではないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対する様々な修正が可能であることが当業者に明らかとなるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7