(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、対象となる表面を保護するフィルムまたはコーティング層の形成に用いられ、(A)無機化合物微粒子と、(B)重合性化合物と、(C)イオン液体と、を含有する重合性無機化合物微粒子含有組成物である。本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、前記(A)〜(C)成分に加えて、さらに(D)分散剤を含んでいてもよく、また(E)溶媒あるいは(F)その他の成分を含んでいてもよい。以下、本発明の好ましい実施の形態を具体的に説明する。
【0020】
[(A)無機化合物微粒子]
本発明において「A成分」として用いられる(A)無機化合物微粒子は、表面を保護するフィルム等の分野で用いられる公知の無機化合物微粒子であればよいが、特に好ましくは、(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルまたは(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾル、もしくはその両方である。
【0021】
(A)無機化合物微粒子のうち(A−1)金属酸化物の微粒子ゾルの具体的な種類は限定されず、1種類の金属酸化物からなる単酸化物微粒子ゾルであってもよいし、複合酸化物からなる複合酸化物微粒子ゾルであってもよいし、その両方であってもよい。同様に、(A−2)金属または半金属窒化物の微粒子ゾルの具体的な種類も特に限定されず、1種類以上の金属または半金属の窒化物の微粒子ゾルであればよい。ここで、本発明における半金属とは、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)の6元素を指すものとする。
【0022】
ここで、本発明において、微粒子ゾルを形成する金属または半金属の具体的な種類は、前記の通り特に限定されないが、好ましい一例として、周期表第4族、第13族、および第14族の少なくともいずれかに属する金属元素または半金属元素を挙げることができる。周期表第4族の金属元素としては、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、およびハフニウム(Hf)が挙げられ、周期表第13族の金属または半金属元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、およびインジウム(In)が挙げられ、周期表第14族の金属または半金属元素としては、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、および鉛(Pb)を挙げることができる。
【0023】
さらに、本発明において微粒子ゾルを形成する金属には、周期表第4族、第13族および第14族以外の金属または半金属元素が含まれてもよい。代表的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等の第2族の金属元素、あるいは、カリウム(K)、リチウム(Li)等の第1族の金属元素等が挙げられるが、特に限定されない。
【0024】
本発明において微粒子ゾルとして具体的に用いられる無機化合物は、ゾル化することが可能な金属または半金属の酸化物または窒化物であれば、その具体的な種類等は特に限定されない。代表的な化合物の例としては、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化マグネシウム(マグネシア)、酸化ケイ素(シリカ)等の単酸化物;チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸鉛、チタン酸アルミニウム、チタン酸リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化インジウムスズ(ITO)等の複合酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン、窒化リチウム等の窒化物;等を挙げることができる。これら無機化合物は、酸化物または窒化物に限らず、微粒子ゾルとして1種類のみが用いられてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いられてもよい。
【0025】
本実施の形態では、前記無機化合物の群の中でも、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸亜鉛、酸化インジウムスズ、および窒化ホウ素からなる群の少なくとも1種の金属または半金属酸化物からなる微粒子ゾルを好適に用いることができる。もちろん、本発明に係フィルム形成用コーティング剤の使用対象、使用条件、製造条件等に応じて、様々な種類の無機化合物を微粒子ゾルとして用いることが可能であることはいうまでもない。
【0026】
ここで(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの粒径は特に限定されない。代表的には、1μm未満の微粒子であればよく、より具体的には、例えば、平均粒径が1〜500nmの範囲内であれば好ましく、1〜100nmの範囲内であればより好ましく、さらに1〜50nmの範囲内がより好ましい。また、本発明における平均粒径とは、マイクロトラック式粒度分布測定法により測定された粒径において、小径側から累積50%の粒径を指すものとする。
【0027】
また、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの形状は特に限定されず、真球状粒子、形状制御した非真球状粒子、内部構造を制御した多孔質粒子および中空粒子等を用いることができる。
【0028】
さらに、(A)無機化合物微粒子としての微粒子ゾルの製造方法も特に限定されず、公知の湿式合成法(あるいは乾式合成法)で製造した金属または半金属の微粒子を、公知の溶媒(便宜上「ゾル用溶媒」と称する)等を用いて懸濁液を調製してゾル化する等の公知の方法を用いて製造することができる。さらに、本発明では、後述するように、市販の微粒子ゾルを(A)無機化合物微粒子として用いることもできる。
【0029】
[(B)重合性化合物]
本発明において「B成分」として用いられる(B)重合性化合物は、重合性を有し、所定の条件によって重合して硬化する公知の化合物であって、硬化させてフィルムまたはコーティング層として使用可能なものであれば、その具体的な種類は特に限定されない。
【0030】
(B)重合性化合物として使用可能な代表的な化合物としては、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン系化合物)、末端にエポキシ基を有する化合物(エポキシ系化合物)、アミノ基を有する化合物、カルボキシル基またはその誘導基を有する化合物、水酸基を有する化合物等を挙げることができる。これら化合物は、分子中に含まれる、重合性に寄与する官能基を基準として分類しているが、一つの化合物の構造中に複数種類の官能基が含まれてもよい。例えば、エチレン系化合物が、エチレン性不飽和基以外にアミノ基またはカルボキシル基等を含んでいてもよい。また、一つの化合物中に同一種類の官能基が1つのみ(単官能)であってもよいし、2つ以上(多官能)であってもよい。さらに、これら化合物は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
(B)重合性化合物が重合することによって得られる重合体(樹脂)の種類も特に限定されず、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤の使用対象(例えば画像表示装置の種類または画面の状態等)、使用条件、製造条件等に応じて適宜選択することができる。本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、フィルムまたはコーティング層の形成に好適に用いられる組成物であるので、フィルム状または層状に硬化させた後に、良好な光学性能を発揮できるような重合体であればよい。
【0032】
また、(B)重合性化合物の重合条件も特に限定されず、(B)重合性化合物として用いられる化合物の種類に応じて、加熱による重合、放射線等の照射による重合、硬化剤を用いた重合(硬化)等を挙げることができる。同様に、重合体の分子量も特に限定されず、前記と同様の種々の条件に応じて適宜設定することができる。
【0033】
本実施の形態において例示される代表的な(B)重合性化合物としては、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物を挙げることができる。より具体的な一例としては、エチレン性不飽和基として(メタ)アクリル基を有するとともに、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系化合物を挙げることができる。
【0034】
特に本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、表面を保護するフィルムまたはコーティング層の形成に用いられるものであり、保護対象として画像表示装置の表示面あるいは光ディスク等の記録面を挙げることができる。それゆえ、(B)重合性化合物としては、光学特性に優れていることが知られており、光学系用途に広く用いられる(メタ)アクリル系化合物を好ましく用いることができる。
【0035】
また、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物の他の例としては、ポリカルボン酸またはその酸無水物と、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物とを、エステル化することにより得られる化合物を挙げることができる。使用できるポリカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、シュウ酸、トリメリット酸、クエン酸等が挙げられる。また、使用できる酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
【0036】
また、本発明において(B)重合性化合物として好ましく使用できる化合物としては、具体的には、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトール(モノ〜ヘキサ)アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、並びにこれらアクリレート化合物にアルキレンオキサイドを付加した化合物(例えば、商品名:KAYARAD DPEA-12または商品名:KAYARAD RP-1040(いずれも日本化薬株式会社製、KAYARADは登録商標))、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート等を挙げることができるが、特に限定されない。
【0037】
なお、前述したように、(B)重合性化合物としては、1種類のみを用いてもよいし2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。そのため、例えば、前記のような、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物だけを(B)重合性化合物として用いてもよいし、分子中にカルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物と、分子中にカルボキシル基を有さずエチレン性不飽和基を有する化合物とを(B)重合性化合物として併用することもできる。
【0038】
[(C)イオン液体]
本発明において「C成分」として用いられる(C)イオン液体(イオン性液体)は、融点が100℃以下の塩(イオンのみで構成される化合物)であり、その具体的な種類は特に限定されない。
【0039】
代表的な(C)イオン液体としては、含窒素オニウム塩、含硫黄オニウム塩、または含リンオニウム塩を挙げることができる。これらオニウム塩の中でも、下記一般式(2)〜(5)で表される有機カチオンを含むものであれば、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤に対して、特に優れた帯電防止性を与えることができるとともに、得られるフィルムまたはコーティング層の光学特性等を実質的に損なうことがないため好ましい。
【0041】
なお、前記一般式(2)中のR
11は、炭素数4ないし20の炭化水素基を示し、この炭化水素基にはヘテロ原子が含まれてもよい。ヘテロ原子としては、代表的には、酸素原子(O)、硫黄原子(S)、窒素原子(N)、リン原子(P)等が挙げられるが、これら以外の原子であってもよいことはいうまでもない。また、一般式(2)中のR
12およびR
13は、それぞれ独立して、水素または炭素数1ないし16の炭化水素基を示し(つまり、R
12およびR
13は同じ官能基であってもよいし、異なる官能基であってもよい)、炭化水素基の場合にはR
11と同様にヘテロ原子を含んでもよい。ただし、一般式(2)の窒素原子が二重結合を形成する場合には、R
13は存在しない。
【0042】
また、前記一般式(3)中のR
21は、炭素数2ないし20の炭化水素基を示し、この炭化水素基にはヘテロ原子が含まれてもよい。また、一般式(3)中のR
22、R
23およびR
24は、それぞれ独立して、水素または炭素数1ないし16の炭化水素基を示し、これらが水素でなく炭化水素基である場合には、R
21と同様にヘテロ原子を含んでもよい。
【0043】
また、前記一般式(4)中のR
31は、前記R
21と同様に、炭素数2ないし20の炭化水素基を示し、この炭化水素基にはヘテロ原子が含まれてもよい。また、一般式(4)中のR
32、R
33およびR
34は、それぞれ独立して、水素または炭素数1ないし16の炭化水素基を示し、これらが水素でなく炭化水素基である場合には、R
31と同様にヘテロ原子を含んでもよい。
【0044】
また、前記一般式(5)中のZは、窒素原子(N)、硫黄原子(S)、またはリン原子(P)を示す。また、一般式(5)中のR
41、R
42、R
43およびR
44は、それぞれ独立して、炭素数1ないし20の炭化水素基を示し、この炭化水素基にはヘテロ原子が含まれてもよい。ただし、Zが硫黄原子(S)であればR
44は存在しない。
【0045】
前記一般式(2)で示されるカチオンとしては、具体的には、例えば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ドデシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−エチル−4−メチルピリジニウムカチオン、4−メチル−1−プロピルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムカチオン、4−メチル−1−オクチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−アリル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン;1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−アリル−1−メチルピペリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン;1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−アリル−1−メチルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン;2−メチル−1−ピロリンカチオン等のピロリン骨格を有するカチオン;1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン等のピロール骨格を有するカチオン;等が挙げられるが、特に限定されない。
【0046】
これらのうち、より好ましくは、1−ドデシルピリジニウムカチオン、1−エチル−4−メチルピリジニウムカチオン、4−メチル−1−プロピルピリジニウムカチオン、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムカチオン、4−メチル−1−オクチルピリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−アリル−4−メチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−アリル−1−メチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムカチオン、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−アリル−1−メチルピロリジニウムカチオンが挙げられる。
【0047】
また、前記一般式(3)で示されるカチオンとしては、具体的には、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン等のテトラヒドロピリミジニウムカチオン;1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン等のジヒドロピリミジニウムカチオン;等が挙げられるが、特に限定されない。
【0048】
これらのうち、より好ましくは、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムカチオン、が挙げられる。
【0049】
また、前記一般式(4)で示されるカチオンとしては、具体的には、例えば、メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン等のピラゾリウムカチオン;1−、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン等のピラゾリニウムカチオン;等を挙げることができるが、特に限定されない。
【0050】
また、前記一般式(5)で示されるカチオンとしては、具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムカチオン、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムカチオン、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムカチオン、アリルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン等のテトラアルキル(アルケニル)アンモニウムカチオン;トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン等のトリアルキルスルホニウムカチオン;テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン等のテトラアルキルホスホニウムカチオン;前記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたもの;等が挙げられるが、特に限定されない。
【0051】
これらのうち、より好ましくは、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムカチオン、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムカチオン、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムカチオン、アリルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオンが挙げられる。
【0052】
一方、前記有機カチオンに対するアニオンとしては、前記有機カチオンと組み合わせることで(C)イオン液体になるイオンであれば特に限定されない。具体的には、例えばCl
−、Br
−、I
−、AlCl
4 −、Al
2Cl
7−、BF
4 −、PF
6 −、ClO
4 −、NO
3 −、CH
3COO
−、CF
3COO
−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、(FSO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3C
−、AsF
6 −、SbF
6 −、NbF
6 −、TaF
6 −、F(HF)
n −、(CN)
2N
−、C
4F
9SO
3 −、(C
2F
5SO
2)
2N
−、C
3F
7COO
−、(CF
3SO
2)(CF
3CO)N
−等が挙げられる。これらアニオンの中でも、フッ素原子(F)を含むものは、低融点の(C)イオン液体を得ることができるため、特に好ましく用いられる。
【0053】
本発明に用いられる(C)イオン液体の具体例は、特に限定されず、前記有機カチオンと前記アニオンとを適宜選択して組み合わせたものが好適に用いられる。
【0054】
具体的には、例えば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ドデシルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−メチル−1−オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ドデシルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−メチル−1−オクチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド等の前記一般式(2)に対応する化合物(含窒素オニウム塩);1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド等の前記一般式(3)に対応する化合物(含窒素オニウム塩);1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート等の前記一般式(4)に対応する化合物(含窒素オニウム塩);テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アリルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アリルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルア
ンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の前記一般式(5)に対応する化合物(Zが窒素原子であれば含窒素オニウム塩、Zが硫黄原子であれば含硫黄オニウム塩、Zがリン原子であれば含リンオニウム塩);等が挙げられるが、特に限定されない。
【0055】
これらのうち、好ましいものとしては、例えば、1−ドデシルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−メチル−1−オクチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−4−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アリルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ドデシルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−メチル−1−プロピルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、4−メチル−1−オクチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−4−メチルピリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−1−オクチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ヘキサデシル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−アリル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−エチル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキシル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキサデシル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アリル−1−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N−ブチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N,N,N−トリメチル−N−オクチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N−デシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アリルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドが挙げられる。
【0056】
これら(C)イオン液体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよい。(C)イオン液体の合成方法は特に限定されないが、一般的には、『イオン性液体―開発の最前線と未来』(監修:大野弘幸、(株)シーエムシー出版、2003年発行)に記載されている方法、例えば、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、または中和法等が挙げられる。あるいは、特開2006−011365号公報に開示される合成方法も好適に用いることができる。
【0057】
[(D)分散剤]
本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、前述した(A)〜(C)の各成分を少なくとも含む組成物であればよいが、さらに「D成分」として(D)分散剤を含有してもよい。(D)分散剤の含有により、フィルム形成用コーティング剤中における(A)無機化合物微粒子の分散性および分散状態の安定性をより一層向上することができる。
【0058】
本発明における(D)分散剤は、組成物中に添加することで、(A)無機化合物微粒子等の粒子成分を分散させることが可能な公知の化合物であればよく、(D)分散剤の具体的な種類は特に限定されない。本発明でより好ましく用いられる(D)分散剤としては、次に示す一般式(1)で表される界面活性剤を挙げることができる。
【0060】
なお、一般式(1)中、R
0 は、炭素数1ないし24のアルキル基および/またはアルケニル基を示す。また、一般式(1)中、AOは、炭素水位2ないし4のオキシアルキレン基を示し、nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数であって5ないし30の範囲内である。また、Xは、炭素原子、水素原子および/または酸素原子を含有する連結基を示す。
【0061】
前記一般式(1)におけるR
0 は、「分散媒親和性部位」の一部を構成する疎水基である。「分散媒」とは、フィルム形成用コーティング剤に含まれる液体成分を意味し、この「分散媒」に親和性を有する部位であって、疎水基R
0 とオキシアルキレン基AOとが酸素原子により連結された構造(アルキレンオキシド鎖を含む構造)が「分散媒親和性部位」である。
【0062】
一般式(1)における疎水基R
0 は、本実施の形態では、アルコール由来の炭化水素基であって、前記の通り、炭素数1ないし24のアルキル基、または炭素数1ないし24のアルケニル基、あるいはその両方であればよい。疎水基R
0 となる原料アルコールは、同じ炭素数のアルコールのみ(もしくは単一種のアルコールのみ)が用いられてもよいし、異なる炭素数のアルコールの混合物が用いられてもよい。また、原料アルコールは有機合成されたものであっても天然由来であってもよい。また、炭素数が同じアルコールには、その化学構造が同一である場合も、複数の異性体からなる混合物である場合も含まれる。
【0063】
疎水基R
0 となる原料アルコールの具体的な種類は特に限定されず、公知のものが用いられるが、具体的には、例えば、合成由来のものとしては、ブタノール、イソブタノール、ペンタノールおよび/またはその異性体、ヘキサノールおよび/またはその異性体、へプタノールおよび/またはその異性体、オクタノールおよび/またはその異性体、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール;プロピレンまたはブテン、もしくはこれらの混合物から誘導される高級オレフィンを経てオキソ法によって製造されるイソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール、イソドデカノールおよび/またはイソトリデカノール;シェルケミカルズ社(Shell Chemical Company/シェルケミカルズジャパン株式会社)製の商品名:ネオドール(Neodol)23、ネオドール25、またはネオドール45、サソール社(SASOL Inc.)製の商品名:サフォール(SAFOL)23、エクソンモービル社(Exxon Mobil Corporation)製の商品名:エクサール(EXXAL)7、エクサール8N、エクサール9、エクサール10、エクサール11またはエクサール13;2−エチル−1−ヘキサノール、2−プロピル−1−ヘキサノール、2−ブチル−1−ヘキサノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−ヘプチル−1−ウンデカノール、2−オクチル−1−ドデカノール、2−デシル−1−テトラデカノール、分岐アルコールから誘導されるイソステアリルアルコール、2−アルキル−1−アルカノール型の化学構造を有するゲルベアルコール(Guerbet Alcohol,直鎖脂肪族アルコールを脱水縮合して得られる分岐第一級アルコール)類の単一組成またはその混合物;等が挙げられる。また、天然由来のものとしては、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール(1−ドデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、オレイルアルコール(cis−9−オクタデセン−1−オール)等が挙げられる。これらアルコールは1種類のみを原料アルコールとして用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて原料アルコールとして用いてもよい。
【0064】
なお、疎水基R
0 は、前述の通り、炭素数1ないし24のアルキル基および/またはアルケニル基であればよいが、炭素数8ないし18のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。炭素数が1〜24の範囲内であれば、(D)分散剤は、フィルム形成用コーティング剤に配合することで良好な分散性を発揮することができる。また、各成分の種類または組合せに由来して、フィルム形成用コーティング剤の安定性が低下して容易に沈降物が生じたり、経時安定性が低下したりするおそれがあるが、疎水基Rの炭素数が8〜18の範囲内であれば、(D)分散剤は、これらの現象の発生を有効に抑制または回避することができる。それゆえ、フィルム形成用コーティング剤の付加価値、生産性、または加工特性等が低下したり品質が劣化したりするおそれを有効に抑制または回避することができる。
【0065】
一般式(1)におけるオキシアルキレン基AOは、炭素数2ないし4のアルキレンオキサイド構造であればよい。オキシアルキレン基AOとなり得るアルキレンオキサイドとしては、具体的には、例えば、エチレンオキシド(炭素数2)、プロピレンオキシド(炭素数3)、テトラヒドロフラン(炭素数4)、ブチレンオキシド(炭素数4)等を挙げることができる。ブチレンオキシドとしては、具体的には、例えば、1,2−ブチレンオキシドまたは2,3−ブチレンオキシドを挙げることができる。
【0066】
一般式(1)においては、オキシアルキレン基AOは、複数が結合した鎖状構造、すなわち「オキシアルキレン鎖」(−(AO)
n −)を形成している。このオキシアルキレン鎖の具体的な構造は特に限定されず、(A)〜(C)の各成分の種類または組合せに合わせて、(D)分散剤の「分散媒親和性」を調整する目的で、さまざまな構造を選択することができる。具体的には、例えば、単一種のアルキレンオキサイドを重合してなる単独重合鎖、2種以上のアルキレンオキサイドをランダム重合してなるランダム重合鎖、2種以上のアルキレンオキサイドをブロック重合してなるブロック重合鎖、これら重合鎖の組合せ等を挙げることができる。なお、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数nは、5ないし30の範囲内であることが好ましい。
【0067】
一般式(1)において、疎水基R
0 とオキシアルキレン鎖−(AO)
n −とは酸素原子(O)で連結されることにより、一般式(1)の「分散媒親和性部位」が構成される。一方、一般式(1)のカルボキシル基(−COOH)は、「分散媒親和性部位」に対して「分散質親和性部位」となるが、これら「分散媒親和性部位」と「分散質親和性部位」とは、連結基Xにより連結される。
【0068】
連結基Xは、界面活性剤の分野で公知の連結構造、すなわち、炭素原子、水素原子および/または酸素原子からなる公知の構造からであればよく、その具体的な構造は特に限定されない。連結基Xとして好ましい連結構造としては、具体的には、例えば、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、エーテル基、カルボニル基、エステル基を挙げることができる。
【0069】
これら連結構造には、脂環構造および/または芳香環構造が含まれてもよいし、繰り返し単位が含まれてもよい。また、連結基Xの炭素数は特に限定されないが、通常は、炭素数1ないし15であれば好ましく、炭素数1ないし8であればより好ましい。
【0070】
(D)分散剤が、前記一般式(1)の構造を有する界面活性剤であれば、公知の方法で製造することができる。具体的には、例えば、(i)アルコール、アミン、チオールに公知の方法でアルキレンオキシドを付加した一般的な非イオン界面活性剤化合物を原料として、モノハロゲン化低級カルボン酸またはその塩を用い、塩基存在下でアルキレンオキシド末端の水酸基と反応させる方法、または、(ii)酸無水物を用いてアルキレンオキシド末端の水酸基との開環反応による方法等を挙げることができるが、特に限定されない。また、本願出願人の先行技術である特開2012−007144号公報の実施例に開示される製造例も、一般式(1)の(D)分散剤を製造する方法の一例として挙げることができる。
【0071】
[(E)溶媒および(F)その他の成分]
本発明においては、前述した(A)無機化合物微粒子、(B)重合性化合物、(C)イオン液体、並びに(D)分散剤に加えて、さらに「E成分」として(E)溶媒を用いることができる。この(E)溶媒としては、(A)〜(D)の各成分の種類、物性、使用条件等に応じて、公知の溶媒を適宜選択して用いることができる。
【0072】
本発明において(E)溶媒として使用可能なものとしては、特に限定されないが、代表的には、炭化水素、エステル、ケトン、およびアルコールからなる群から選択される、少なくとも1種の有機溶媒を挙げることができる。これら有機溶媒は1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。後述する実施例では、例えば、グリコールエステルの1種であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA/PGMAc)を(E)溶媒として用いている。
【0073】
なお、(B)〜(D)成分の種類によっては、(E)溶媒として水が使用可能であることは言うまでもない。また、(E)溶媒として水を用いる場合には、水と混和可能な極性有機溶媒を併用することもできる。
【0074】
また、本発明においては、前述した(A)〜(E)の成分以外に、(F)その他の成分を含んでいてもよい。(F)その他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤等、公知の様々な添加剤を挙げることができる。
【0075】
[製造方法および得られるフィルム等]
本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、前述した(A)無機化合物微粒子、(B)重合性化合物、および(C)イオン液体、並びに、必要に応じて(D)分散剤、(E)溶媒、(F)その他の成分を含有する組成物であり、少なくとも(A)〜(C)の各成分の配合比(含有量)については、各成分の種類、物性、フィルム形成用コーティング剤の使用対象、使用条件等の諸条件に応じて、適宜好適な範囲を設定することができる。
【0076】
フィルム形成用コーティング剤の代表的な組成としては、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量を100重量%としたときに、(A)無機化合物微粒子が、固形分換算で10〜90重量%の範囲内であればよく、20〜85重量%の範囲内であると好ましく、30〜85重量%の範囲内であることがより好ましい。したがって、(B)重合性化合物は、10〜90重量%の範囲内であればよく、15〜80重量%の範囲内であると好ましく、15〜70重量%の範囲内であればより好ましい。
【0077】
また、(C)イオン液体は、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物の合計重量(100重量%)に対して、0.001〜4.0倍(0.1〜400重量%)の範囲内で配合すればよく、
0.006〜3.0倍(0.6〜300重量%)の範囲内が好ましく、0.009〜3.0倍(0.9〜300重量%)の範囲内がより好ましい。あるいは、0.1〜3.0倍(10〜300重量%)の範囲内
であってもよい。さらに、フィルム形成用コーティング剤に(D)分散剤を添加する場合には、(A)成分の重量(100重量%)に対して、0.1〜300重量%であり、0.5〜20重量%が好ましく、1〜15重量%がより好ましい。
【0078】
なお、(E)溶媒、または(F)その他の成分は、当該成分の添加により所望の機能を発揮できる範囲内で添加すればよい。フィルム形成用コーティング剤に(E)溶媒を添加する場合には、一般的には、(A)〜(C)成分の合計重量(100重量%)に対して、1〜10000重量%、好ましくは5〜2000重量%の範囲内で(E)溶媒を添加すればよいが、特に限定されない。
【0079】
また、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤の製造方法(調製方法)は特に限定されず、(A)〜(C)の各成分、並びに、必要に応じて(D)〜(F)の各成分のうち少なくともいずれかを前記範囲内の組成となるように配合し、(C)イオン液体(さらに(E)溶媒を併用する場合は(C)および(E)の混合液体)中に(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物が十分分散するまで攪拌すればよい。
【0080】
ここで、(A)無機化合物微粒子として微粒子ゾルを用いる場合、当該微粒子ゾルに「ゾル用溶媒」((E)溶媒ではない)が残存している場合には、必要に応じて、このゾル用溶媒を除去してもよい。例えば、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤が(E)溶媒を含有する場合、(E)溶媒の沸点(あるいは蒸発点)と、ゾル用溶媒の沸点(あるいは蒸発点)とを比較して、ゾル用溶媒のみが蒸発するような温度条件を設定し、各成分を混合しながら加熱すればよい。
【0081】
このように、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、(A)〜(C)成分を所定重量で配合して攪拌するだけで、「分散質」である(A)無機化合物微粒子が、「分散媒」である(B)重合性化合物および(C)イオン液体に対して良好かつ安定に分散することになる。それゆえ、硬化前のコーティング剤においても硬化後のフィルムまたはコーティング層においても、(C)イオン液体を含有し、かつ、(A)無機化合物微粒子を良好に分散させた状態を実現することができる。
【0082】
(C)イオン液体のイオン強度は非常に高い一方、(A)無機化合物微粒子の分散安定性は、通常、電気的な反発力に由来する。そのため、(A)無機化合物微粒子に(C)イオン液体を混在させると、(C)イオン液体が(A)無機化合物微粒子の分散安定性に影響を及ぼすことが考えられる。しかしながら、本発明によれば、(A)〜(C)成分を配合しても、(A)無機化合物微粒子は「分散媒」中で良好に分散することが可能であるため、得られるフィルムまたはコーティング層は優れた光学特性を発揮でき、かつ、(C)イオン液体の含有により、得られるフィルムまたはコーティング層に帯電防止性を付与することが可能となる。
【0083】
それゆえ、(A)〜(C)成分を配合するのみで、特別な処理を施したり特別な層を設けたりしなくても、フィルムまたはコーティング層に対して、良好な光学特性および帯電防止性を与えることができる。
【0084】
本発明で得られるフィルムまたはコーティング層は、前述したフィルム形成用コーティング剤を塗布して硬化させたものであればよく、その具体的な構成は特に限定されない。本発明に係るフィルムは、フィルム形成用コーティング剤のみにより製造される単層構造であってもよいし、他の機能層に積層された多層構造であってもよい。
【0085】
本発明に係るフィルムの製造方法またはコーティング層の形成方法は、特に限定されず、各種フィルムの製造分野、多層フィルム等の製造分野、表面保護層の形成分野等で公知の様々な手法を好適に用いることができる。
【0086】
例えば、公知の重合開始剤(熱、光、酸化還元反応等による開始剤、イオン開始剤等)をフィルム形成用コーティング剤に添加して、フィルム作製用基材表面(あるいは保護対象そのもの)に公知の方法で塗布して硬化させることで、単一層のハードコートフィルムを製造することができる。また、フィルム形成用コーティング剤に重合開始剤を添加した後、対象となるフィルムの表面に公知の方法で塗布(例えば、バーコーター、スピンコーター、スプレーコーター等を使用して塗布)して硬化させることで、公知のフィルム上にコーティング層を形成することができる。
【0087】
本発明に係るフィルムまたはコーティング層は、良好な帯電防止性を備えているので、帯電の発生によるフィルムの破損または表面への塵埃の付着等の不具合を有効に抑制することができる。しかも、本発明に係るフィルムまたはコーティング層は、良好な帯電防止性に加えて良好な光学特性(良好な透明性、良好な屈折性等)を有している。
【0088】
そのため、画像表示装置の表示画面の保護、光ディスク等の光学記録媒体の記録面の保護等に好適に用いることができるだけでなく、公知の光学機器または光学部材の表面保護、その他電気部品または電子部品(特に透明性が重要と成る部品)等にも好適に用いることができる。加えて、本発明に係るフィルムまたはコーティング層は、(A)無機化合物微粒子が良好に分散されているため、保護対象の種類または使用条件等によっては、保護対象の放熱性の向上を図ることもできる。
【実施例】
【0089】
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例において得られた被膜(コーティング層)の評価は、次に示すようにして行った。
【0090】
(被膜の評価方法)
[表面抵抗値]
株式会社アドバンテスト社製の表面抵抗測定装置(商品名:R8340A)を用いて、20℃、65%RHの雰囲気下で、得られた被膜(コーティング層)の表面抵抗値を測定して評価した。
【0091】
[ヘイズ]
スガ試験機株式会社製ヘーズコンピューター(型式:HGM−2DP)を用いて、JIS K7136に準拠して、得られた被膜(コーティング層)のヘイズを測定して評価した。
【0092】
[屈折率]
メトリコン社(Metricon Corporation)製屈折率測定装置(製品名:プリズムカプラ)を用いて、得られた被膜(コーティング層)の波長589nmにおける屈折率を測定して評価した。
【0093】
[鉛筆硬度]
JIS K5600に準拠して、負荷荷重を750gとして得られた被膜(コーティング層)の鉛筆硬度を測定して評価した。
【0094】
(製造例1:(D)分散剤の合成例1)
トルエン溶媒中に、分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13,エクソンモービル社製)エチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびモノクロロ酢酸ナトリウム152g(1.3モル)を反応器にとり、均一になるよう攪拌した。その後、反応系の温度を60℃の条件で水酸化ナトリウム52gを添加した。次いで、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間熟成させた。熟成後、反応系が50℃の条件で98%硫酸117g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。
【0095】
次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、(D)分散剤としての「界面活性剤D1」を得た。この界面活性剤D1は、一般式(1)における疎水基R
0 が分岐C11〜14アルキル基であり、オキシアルキレン基AOがエチレンオキシドであり、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数n=10であり、連結基Xが、−CH
2 −の構造となる。
【0096】
(製造例2:(D)分散剤の合成例2)
分岐C11〜14アルキルアルコール(製品名:EXXAL13,エクソンモービル社製)エチレンオキシド10モル付加物640g(1モル)およびコハク酸無水物100g(1モル)を120℃で2時間反応させた以外は、前記製造例1と同様にして、(D)分散剤としての「界面活性剤D2」を得た。この界面活性剤D2は、一般式(1)における疎水基R
0 が分岐C11〜14アルキル基であり、オキシアルキレン基AOがエチレンオキシドであり、オキシアルキレン鎖の平均付加モル数n=10であり、連結基Xが、−O−(C=O)−CH
2 −CH
2 −の構造となる。
【0097】
(製造例3:(B)重合性化合物の合成例)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の3量体504g(1モル)と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:ニューフロンティアPET−3、第一工業製薬株式会社製)894g(3モル)と、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.8gを添加し、70℃〜80℃で残存イソシアネート濃度が0.1重量%以下になるまで反応させることにより、(B)重合性化合物としての「ウレタンアクリレートB1」を得た。
【0098】
(実施例1)
(A)無機化合物微粒子として、堺化学工業株式会社製の酸化ジルコニウムゾル(商品名:SZR−M,一次粒子径3nm,
酸化ジルコニウム30重量%
、メタノール(ゾル用溶媒)を含有する分散体)を用い、(B)重合性化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製の商品名:KAYARAD DPHA)、ポリエチレングリコール600ジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の商品名:ニューフロンティアPE−600)、およびω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成株式会社製の商品名:アロニックスM−5300)を用い、(C)イオン液体として、含窒素オニウム塩(第一工業製薬株式会社製の商品名:エレクセルAS−804)を用い、(E)溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−AC,株式会社クラレ製)を用いた。
【0099】
前記の酸化ジルコニウムゾルを100重量部、前記のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを7重量部、前記のポリエチレングリコール600ジアクリレートを3重量部、前記のω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートを3重量部、前記のイオン液体を1重量部、前記のPGM−ACを43重量部、をそれぞれ配合して混合し、ロータリーエバポレータを用いてゾル用溶媒(メタノール)を減圧除去し、実施例1のフィルム形成用コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤の分散安定性について目視にて評価(良好な場合「○」、流動性が低下したり白濁したりした場合には「×」)した。
【0100】
なお、本実施例のフィルム形成用コーティング剤では、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物中の(A)無機化合物微粒子の配合比が約70重量%となり、(A)無機化合物微粒子および(B)重合性化合物に対する(C)イオン液体の配合比が約2.3重量%となる。
【0101】
得られたコーティング剤200重量部に対して、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製の商品名(登録商標):イルガキュア(Irgacure)184)を3重量部添加した後に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製の商品名:ルミラー#100 T60)の表面上に、40μmのバーコーターを用いて塗布した。その後、80℃×1分の条件で溶媒を揮発させ、高圧水銀灯にて積算300mJ/cm
2 (酸素濃度0.3%以下)の光を照射することにより、コーティング剤を硬化させた。これによって、本発明に係る硬化物(コーティング層)として、実施例1の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0102】
(実施例2)
(B)重合性化合物として、前記製造例2で得られたウレタンアクリレートB1を8.5重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:ニューフロンティアPE−600)を3.5重量部用いるとともに、(D)分散剤として、製造例1で得られた界面活性剤D1を1重量部用いた以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例2の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0103】
(実施例3)
(B)重合性化合物として、カルボン酸含有多官能アクリレート(東亞合成株式会社製の商品名:M−510)を8.5重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(商品名:ニューフロンティアPE−600)を3.5重量部用いた以外は、前記実施例2と同様にして、実施例3のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例3の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0104】
(実施例4)
(C)イオン液体として、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドを1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例4のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例4の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0105】
(実施例5)
(C)イオン液体として、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドを1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例5のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例5の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0106】
(実施例6)
(C)イオン液体として、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミドを1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例6のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例6の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0107】
(実施例7)
(C)イオン液体として、ドデシルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミドを1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例7のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例7の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0108】
(実施例8)
(C)イオン液体として、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例8のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例8の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0109】
(実施例9)
(C)イオン液体として、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例9のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例9の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0110】
(実施例10)
(C)イオン液体として、カリウムビスフルオロスルホニルイミド(KFSI)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例10のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例10の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0111】
(実施例11)
(C)イオン液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例11のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例11の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0112】
(実施例12)
(D)分散剤として、前記製造例2で得られた界面活性剤D2を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例12のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例12の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0113】
(実施例13)
(A)無機化合物微粒子として、日産化学工業株式会社製の酸化ケイ素ゾル(商品名:MEK−ST,
酸化ケイ素30重量%
、メチルエチルケトン(ゾル用溶媒)を含有する分散体)を用いた以外は、前記実施例3と同様にして、実施例13のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、実施例13の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0114】
(実施例14)
(A)無機化合物微粒子として、前記実施例1で用いた酸化ジルコニウムゾルを72重量部用い、(B)重合性化合物として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬株式会社製の商品名:ニューフロンティアPET−3)を12.3重量部、並びに、ポリエチレングリコールジアクリレートを3.7重量部用い、(C)イオン液体として、含窒素オニウム塩(第一工業製薬株式会社製の商品名:エレクセルAS−804)を1重量部用い、(D)分散剤として、前記製造例1で得られた界面活性剤D1を2.1重量部用い、これらをそれぞれ配合して混合し、前記実施例1と同様にして実施例14のフィルム形成用コーティング剤を調製した。
【0115】
得られたコーティング剤100重量部に対して、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製の商品名(登録商標):イルガキュア(Irgacure)184)を3重量部添加した後に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製の商品名:ルミラー#100 T60)の表面上に、10μmのバーコーターを用いて塗布した。その後、高圧水銀灯にて積算300mJ/cm
2 (酸素濃度0.3%以下)の光を照射することにより、コーティング剤を硬化させた。これによって、本発明に係る硬化物(コーティング層)として、実施例14の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0116】
(実施例15)
(A)無機化合物微粒子として、日揮触媒化成株式会社製の中空シリカゾル粒子(商品名:スルーリア4320、
中空シリカ20重量%、メチルイソブチルケトン(ゾル用溶媒)を含有する分散体)を用い、(B)重合性化合物として、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬株式会社製の商品名:ニューフロンティアPET−3)、ポリエチレングリコール600ジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の商品名:ニューフロンティアPE−600)、を用い、(C)イオン液体として、含窒素オニウム塩(第一工業製薬株式会社製の商品名:エレクセルAS−804)を用いた。
【0117】
前記の中空シリカゾルを150重量部、前記のペンタエリスリトールトリアクリレートを14重量部、前記のポリエチレングリコール600ジアクリレートを6重量部、前記のイオン液体1重量部をよく混合させることで実施例15のフィルム形成用コーティング剤を調製した。
【0118】
得られたコーティング剤170重量部に対して、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製の商品名(登録商標):イルガキュア(Irgacure)184)を1.5重量部添加した後に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製の商品名:ルミラー#100 T60)の表面上に、4μmのバーコーターを用いて塗布した。その後、80℃×1分の条件で溶媒を揮発させ、高圧水銀灯にて積算300mJ/cm
2 (酸素濃度0.3%以下)の光を照射することにより、コーティング剤を硬化させた。これによって、本発明に係る硬化物(コーティング層)として、実施例15の被膜(膜厚1μm)を形成した。得られた被膜について前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0119】
(比較例1)
(D)分散剤として、アルキルポリエーテルアミン(第一工業製薬株式会社製の商品名:アミラジンC1802)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、比較例1のフィルム形成用コーティング剤を調製したが、分散質である微粒子が凝集し、分散液が白濁したため、被膜を形成して評価することができなかった。
【0120】
(比較例2)
(D)分散剤として、ソルビタン脂肪酸エステル型ノニオン界面活性剤(第一工業製薬株式会社製の商品名:ソルゲン40)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、比較例2のフィルム形成用コーティング剤を調製したが、分散質である微粒子が凝集し、分散液が白濁したため、被膜を形成して評価することができなかった。
【0121】
(比較例3)
(D)分散剤として、シランカップリング剤であるアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(東京化成工業株式会社製)を1重量部用いた以外は、前記実施例3と同様にして、比較例3のフィルム形成用コーティング剤を調製したが、流動性のないゲル状物質となったため、被膜を形成して評価することができなかった。
【0122】
(比較例4)
イオン液体を用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして、比較例4のフィルム形成用コーティング剤を調製して目視にて評価するとともに、比較例4の被膜(膜厚10μm)を形成した。得られた被膜について、前述したように評価を行った。その結果を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
以上の結果から、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤は、優れた光学特性と優れた帯電防止性とを両立することができる。したがって、本発明に係るフィルム形成用コーティング剤を用いたフィルムまたはコーティング層は、帯電に由来する破損または塵埃の付着等といった不具合を有効に回避することができるので、簡素な構成で良好な品質を実現できることがわかる。
【0125】
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。