(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る地図表示システム100の構成例を示す図である。
図2の地図表示システム100は、地図表示サーバ1と、地図表示端末2とがネットワーク3を介して接続されている。
【0014】
地図表示サーバ1は、地図表示端末2からの要求に応じて、地図表示端末2に対して地図情報を提供する情報処理装置である。なお、
図1において地図表示サーバ1は、1台の情報処理装置で構成されているが、これに限られず、複数台の情報処理装置やデータベースなどで構成されていてもよい。
【0015】
地図表示端末2は、ユーザが利用する地図表示端末である。地図表示端末2は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、携帯電話、ナビゲーション端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PC、ゲーム機器、ウェアラブル端末などの各種の情報処理装置である。地図表示端末2は、地図表示サーバ1と通信を行い、地図情報や経路情報などを表示するナビゲーション・アプリケーション(以下ナビアプリという)を有する。ユーザは、地図表示端末2のナビアプリを操作して、地図表示サーバ1から受信した地図情報を表示する。また、ユーザが出発地(又は現在地)や目的地などのルート検索条件を入力し地図表示サーバ1に送信すると、地図表示端末2は、地図表示サーバ1から受信した経路情報を表示させる。
【0016】
ネットワーク3は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク3は、例えば、電話回線網、WiFi(登録商標)、インターネットなどを含む。
【0017】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係る地図表示システム100のハードウェア構成例を示す図である。地図表示サーバ1は、ハードウェア構成として、
図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、入力装置15、表示装置16、通信装置17を有する。
【0018】
また、地図表示端末2は、ハードウェア構成として、
図2に示されるように、CPU11、ROM12、RAM13、HDD14、入力装置15、表示装置16、通信装置17、音声入出力装置18、GPS(Global Positioning System)受信装置19を有する。
【0019】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。入力装置15は、例えばキーボードやマウスなどの各種入力装置である。表示装置16は、ディスプレイなどであり、地図等が表示される。通信装置17は、ネットワーク3を介し、地図表示サーバ1などの他装置との通信を行う。音声入出力装置18は、例えばマイク装置やスピーカ装置などから構成される、音声の入出力を行う装置である。GPS受信装置19は、地図表示端末2の現在位置する位置情報をGPS衛星より受信する。
【0020】
なお、地図表示サーバ1は、入力装置15及び/又は表示装置16を必ずしも有していなくてもよい。また、地図表示端末2は、例えばスマートフォンやタブレット端末でもありうるため、入力装置15は、キーボードやマウスに代え、画面上のタップ座標(タッチ座標)を検知可能なタッチパネルにより実現されうる。またこの場合、入力操作は、画面上のタッチパネルと、プログラムにより制御されるソフトウェアキー等とにより実現される。
【0021】
<ソフトウェア構成>
図4は、本実施形態に係る地図表示サーバ1のソフトウェア構成例を示す図である。地図表示サーバ1は、主な機能部として、取得部101、表示制御部102、記憶部103を有する。
【0022】
取得部101は、記憶部103から、地図情報や混雑度データを取得する機能を有している。
【0023】
表示制御部102は、地図上におけるメッシュ領域毎の混雑度に応じて、メッシュ領域毎の重み値を決定し、決定したメッシュ領域毎の重み値に応じて、各メッシュ領域内の表示部品(POIアイコン)の表示又は非表示を制御する機能を有している。
【0024】
記憶部103は、地図情報や混雑度データを予め記憶する。
【0025】
なお、機能部は、地図表示サーバ1を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0026】
(地図情報)
図5は、本実施形態に係る地図情報の一例を示す図である。
図5に示される地図情報200は、一つに地下鉄や地下街などへの出入口アイコン201で表示されるPOI情報を有している。
【0027】
なお、地図情報200は、出入口のみならず、コンビニ、デパート、ホテル、ガソリンスタンドなど、様々な施設のPOI情報を有しており、必要に応じて、地図上にPOIアイコンを表示することが可能である。
【0028】
(混雑度データ)
混雑度データは、地図上の各メッシュ領域に存在する集団人口の混雑度を示した人口統計情報である。一般にGPS対応の携帯端末は定期的に位置情報を基地局等へ送信している。これを利用し、混雑度データは、ユーザの承諾の下、携帯端末から送信される位置情報の分布を、メッシュ領域毎に集計することで得られる。
【0029】
ここで、メッシュ領域とは、地図上、一定の大きさで分割された領域範囲である。メッシュは、地図上、例えば、1辺250m、100m、50m、10mなどの格子単位で地図を分割することで作成される。通常、メッシュは格子(矩形)形状である。このため、データとして地図上の少なくとも2点の対角座標地点があれば、メッシュ領域を特定することが可能である。
【0030】
図6は、本実施形態に係る混雑度データの一例を示す図である。
図6に示される混雑度データは、携帯端末から送信される位置情報の分布を、地図情報200上の各メッシュ領域202に重ね合わたものである。地図情報200上の各メッシュ領域においては、人(携帯端末)の混雑度が高いほど濃い色で表現され、混雑度が低いほど薄い色で表現される。例えば、メッシュ領域202aは、人の混雑度が最も高く、メッシュ領域202bは、人の混雑度が次いで高く、メッシュ領域202cは人の混雑度が最も低い。
【0031】
なお、記憶部103の混雑度データは、望ましくは、逐一更新されるリアルタイムなデータであるが、一定期間の間に蓄積された統計化データを用いることも可能である。
【0032】
<POIアイコンの表示例>
上述したように、例えば、都心のターミナル駅周辺などでは、地下鉄や地下街などへの出入口が数多く密集している。このため、ナビアプリの地図上、出入口アイコンが数多く密集して表示されるため、適切な出入口を探しにくく、視認性も低下するという問題がある(例えば、
図1参照)。このため、本実施形態に係る地図表示システム100を利用するユーザは、ナビアプリの表示フィルタ設定画面から、地図上で表示したいPOIアイコンの表示設定を行うことができる。
【0033】
図7は、本実施形態に係る表示フィルタ設定画面の一例を示す図である。
図7の表示フィルタ設定画面では、「全ての出入り口アイコンを表示する」(デフォルト)、「混雑レベル3の出入り口アイコンを表示する」、「混雑レベル2の出入り口アイコンを表示する」、「混雑レベル1の出入り口アイコンを表示する」をいう選択肢が設けられている。
【0034】
ユーザは、例えば、「全ての出入り口アイコンを表示する」のチェックを外し、「混雑レベル3の出入り口アイコンを表示する」にチェックを入れてから、「OK」を操作する。これにより、地図表示端末2のナビアプリから地図表示サーバ1に対し、設定された情報として、混雑レベル(例えば、混雑レベル3)が送信される。この後、ユーザは、ナビアプリ上から、例えば表示したい地名を入力するなどして、地図表示サーバ1に対し、地図の取得要求(表示要求)を行う。
【0035】
なお、ユーザは、「混雑レベル3の出入り口アイコンを表示する」、「混雑レベル2の出入り口アイコンを表示する」というように、複数の選択肢を同時選択することも可能である。
【0036】
図8は、本実施形態に係る地図表示(その1)の一例を示す図である。
図8に示される地図情報200aは、
図7の表示フィルタ設定画面において、「混雑レベル3の出入り口アイコンを表示する」とされた場合に表示される。
【0037】
図1の地図情報と比較すると、
図8に示される地図情報200aにおいては、地図上、表示される出入口アイコンが削減されていることが分かる。具体的には、混雑度データに基づいて、人の混雑度が最も高いメッシュ領域202a内(混雑レベル3に対応)においてのみ、出入口アイコンが表示される。一方、人の混雑度が最も高いメッシュ領域202a以外では、出入口アイコンは表示されない。
【0038】
なお、このような出入口は比較的混雑が予想されるものの、混雑の裏返しとして、このような出入口は利便性の高い出入口ともいえる。従って、ナビアプリ上、ユーザが一般利用度の高い出入口、利便性の高い出入口のみの表示を希望する場合に有効である。
【0039】
図9は、本実施形態に係る地図表示(その2)の一例を示す図である。
図9に示される地図情報200bは、
図7の表示フィルタ設定画面において、「混雑レベル1の出入り口アイコンを表示する」とされた場合に表示される。
【0040】
図1の地図情報と比較すると、
図9に示される地図情報200aにおいては、地図上、表示される出入口アイコンが削減されていることが分かる。具体的には、混雑度データに基づいて、人の混雑度が最も低いメッシュ領域202c内(混雑レベル1に対応)においてのみ、出入口アイコンが表示される。一方、人の混雑度が最も低いメッシュ領域202c以外では、出入口アイコンは表示されない。
【0041】
このような出入口は比較的混雑のない出入口であるため、ナビアプリ上、ユーザが空いている出入口のみの表示を希望する場合に有効である。
【0042】
<POIアイコンの表示処理>
図10は、本実施形態に係る地図上のPOIアイコン表示処理例を示すフローチャート図である。以下、適宜図面を交えながら、具体的に説明する。
【0043】
S1:地図表示サーバ1は、地図表示端末2のナビアプリから地図取得要求を受信した
か否かを判定する。地図取得要求を受信した場合、S2へ進む。一方、地図取得要求を受信しない場合、地図取得要求を受信するまで待機する。
【0044】
S2:地図表示サーバ1(取得部101)は、記憶部103から、地図取得要求範囲の地図情報を取得する。地図情報は、POIアイコンなども含むPOI情報を有する。
【0045】
S3:次に、地図表示サーバ1(表示制御部102)は、ユーザに設定された混雑レベルは、全てのレベルか否か判定する。ここで、
図7の表示フィルタ設定画面によれば、デフォルト設定は、「全ての出入り口アイコンを表示する」であるため、このときの混雑レベルは、混雑レベル3、混雑レベル2及び混雑レベル1が設定されているものと扱う。即ちこの場合、ユーザに設定された混雑レベルは、全てのレベルである。
【0046】
ユーザに設定された混雑レベルが全てのレベルでない場合、S4へ進む。一方、ユーザに設定された混雑レベルが全てのレベルである場合、「全ての出入り口アイコンを表示する」ので、地図上のPOIアイコン表示又は非表示の制御は不要である。S7へ進む。
【0047】
S4:地図表示サーバ1(取得部101)は、地図上のPOIアイコン表示又は非表示の制御が必要な場合、記憶部103から、地図取得要求範囲の混雑度データ(メッシュ毎)を取得する。なお、混雑度データは、メッシュ毎に、携帯端末から送信される位置情報の数そのものでもよい。また、例えば、100人以下、101〜500人、501〜1,000人、1,001〜2,000人・・・といったように、予め集計されたものでもよい。
【0048】
S5:地図表示サーバ1(表示制御部102)は、地図取得要求範囲の地図において、メッシュ領域毎の混雑度データに応じて、重み値を決定する。なお、本実施形態の場合、混雑レベル1〜3という3つの混雑レベルに対応させるため、3種類の重み値を用いることとする。
【0049】
そして、例えば、あるメッシュ領域の混雑度データが100人以下である場合、そのメッシュ領域に対する重み値を1と決定する。また、あるメッシュ領域の混雑度データが101〜1,000人である場合、そのメッシュ領域に対する重み値を2と決定する。また、あるメッシュ領域の混雑度データが1,001人〜である場合、そのメッシュ領域に対する重み値を3と決定する。以上からすると、メッシュ領域に対する重み値が大きいほど(重いほど)、そのメッシュ領域は混雑しているメッシュ領域であるといえる。
【0050】
再び
図6を参照する。地図情報200上、重み値3のメッシュ領域202aは、人(携帯端末)の混雑度が高いため、最も濃い色で表現され、逆に、重み値1のメッシュ領域202cは、人(携帯端末)の混雑度が低いため、最も薄い色(色なし)で表現される。
【0051】
S6:地図表示サーバ1(表示制御部102)は、ユーザに設定された混雑レベルに対応する重み値を有するメッシュ領域のみ、POIアイコンを表示する。より正確には、地図表示サーバ1(表示制御部102)は、ユーザに設定された混雑レベルに対応する重み値を有するメッシュ領域のみ、POIアイコンを表示させた地図情報を生成する。
【0052】
例えば、ユーザに設定された混雑レベルが3の場合、混雑レベル3に対応する重み値3を有するメッシュ領域でのみ、その領域内に存在するPOIアイコンを表示する。逆に言えば、混雑レベル3に対応しない重み値1及び重み値2を有するメッシュ領域では、その領域内にPOIアイコンが存在したとしても、POIアイコンを表示しない(例えば、
図8参照)。
【0053】
また、例えば、ユーザに設定された混雑レベルが1の場合、混雑レベル1に対応する重み値1を有するメッシュ領域でのみ、その領域内に存在するPOIアイコンを表示する。逆に言えば、混雑レベル1に対応しない重み値2及び重み値3を有するメッシュ領域では、その領域内にPOIアイコンが存在したとしても、POIアイコンを表示しない(例えば、
図9参照)。
【0054】
なお、混雑レベルは、ユーザの希望に応じて、複数設定されることが可能である。よって、例えば、ユーザに設定された混雑レベルが2及び3の場合、混雑レベル2及び混雑レベル3に対応する重み値2及び重み値3を有するメッシュ領域でのみ、それら領域内に存在するPOIアイコンを表示する。一方、混雑レベル2及び混雑レベルに対応しない重み値1を有するメッシュ領域では、POIアイコンを表示しない。
【0055】
S7:地図表示サーバ1は、地図取得要求元である地図表示端末2のナビアプリに対し、S6で生成した地図情報を送信する。その後、地図表示端末2のナビアプリは、受信した地図情報を、表示装置16に表示する。
【0056】
(補足)
なお、地図上のPOIアイコン表示又は非表示の制御は、POIの密集エリアにおいてのみ限定して発動するようにしてもよい。例えば、重み値3などの、混雑度が高いメッシュ領域が存在したとしても、メッシュ領域内の出入口の数は多くなく(例えば、1つ)、地図上のこのようなメッシュ領域内で出入口アイコンを表示したとしても、適切な出入口を探しにくくなったり、視認性が低下するといった影響は少ない。
【0057】
具体的に、S3とS4との間のステップにおいて、地図表示サーバ1(表示制御部102)は、例えば、メッシュ領域内のPOI情報が所定数以上が存在するか否かを判定し、POI情報が所定数以上存在するメッシュ領域(POIの密集エリアといえる)に対してのみ、POIアイコン表示又は非表示の制御を行うようにする。また例えば、メッシュ領域内において重なり合うPOIアイコンが存在するか否かを判定し、重なり合うPOIアイコンが存在するメッシュ領域(POIの密集エリアといえる)に対してのみ、POIアイコン表示又は非表示の制御を行うようにする。
【0058】
<総括>
以上のように、本実施形態に係る地図表示システム100によれば、ユーザは、ナビアプリの表示フィルタ設定画面から、POIの混雑度(より正確にはPOIが存在するメッシュ領域の混雑度)という指標に基づいて、地図上で表示したいPOIアイコンの表示設定を行うことができる。これにより、POI(例えば、出入口)の密集エリアにおいても、混雑度データに基づく利便性の高いPOI(又は空いているPOI)を探しやすく、視認性も向上するという効果を奏する。これは即ち、POIの密集エリアにおいて、表示すべきPOIアイコンの最適化を行うことが可能である。
【0059】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0060】
例えば、上述の実施形態では、地図表示サーバ1と、地図表示端末2とを含む地図表示システム100として説明した。しかしながら、例えば、地図表示端末2が地図表示サーバ1の有する機能を備える場合、地図表示端末2単独で、地図表示システム100と同等の効果を奏することが可能である。このような構成は、地図表示端末2が例えばカーナビゲーション装置である場合、有効に実現されうる。