(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷媒管は、上方部と下方部とを有し、前記上方部は、前記冷却液槽の上側に向かうに従って外側に広がる形状を有し、前記氷形成部材は、前記冷却液槽の前記内側面から斜め上方に延びるように前記上方部に固定され、
前記制御部は、前記冷媒管及び前記氷形成部材の周囲に形成される氷と前記内側面との間に、上方に向かうに従って徐々に狭くなる前記冷却液の流路を形成するように前記冷媒管及び前記氷形成部材の周囲に形成される氷の形状を制御する請求項3に記載の飲料サーバ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した飲料サーバでは、螺旋状の蒸発管が水槽の内側面に沿って上下方向に等間隔に並んでおり、蒸発管の周囲には一体の大きな壁状の蓄氷部が形成される。このように一体の大きな壁状の蓄氷部が形成される場合には、冷却コイルと冷却水との熱交換に対して、蓄氷部と冷却水との熱交換が不十分となることがある。すなわち、飲料の連続注出時に、一体の大きな蓄氷部が形成されているにもかかわらず冷却水が十分に冷やされなくなるという事態が起こり得る。よって、蓄氷部と冷却水との熱交換が不十分である場合には、飲料の連続注出時に飲料が十分に冷えなくなり、安定して連続的に低温の飲料を提供することができないという問題を生じさせる。
【0006】
そこで、本発明は、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる飲料サーバ及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る飲料サーバは、飲料を冷却させる冷却液を収容する冷却液槽と、冷却液内に配置されて冷却液から氷を生成する冷媒管と、を備えた飲料サーバであって、冷媒管は、軸線周りに延在する螺旋状となっており、軸線の延在方向に互いに隣接する冷媒管同士の距離が互いに異なる第1の部分と第2の部分とを備えている。
【0008】
本発明に係る飲料サーバによれば、螺旋状の冷媒管における螺旋のピッチが互いに異なる第1の部分と第2の部分とを備えている。このため、螺旋のピッチが短い部分には一体の氷が生成されるが、螺旋のピッチが長い部分には氷が生成されないか又は上記一体の氷よりも薄い氷が生成されることになる。従って、冷媒管全体としては、複数の氷又は表面が湾曲した氷が生成されることになる。よって、螺旋のピッチが一様である冷媒管と比較して、冷媒管の周囲に形成される氷の表面積を増大させることができる。このため、氷と冷却液との接触面積を大きくして氷と冷却液との熱交換の効率を高めることができるので、飲料の連続注出時であっても冷却液を十分に冷却させ続けることが可能となり、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【0009】
本発明に係る飲料サーバは、飲料を冷却させる冷却液を収容する冷却液槽と、冷却液内に配置されて冷却液から氷を生成する冷媒管と、を備えた飲料サーバであって、冷媒管は、冷媒管が延在する方向に対して垂直な方向に互いに隣接する第3の部分と第4の部分とを有しており、冷媒管の鉛直方向断面視において、第3の部分と第4の部分とを結ぶ線分の中点に形成される氷の厚さをP1、第3の部分の中心部分を通り線分に対して垂直な直線上に形成される氷の厚さをP2、としたときに、P1<P2となるように冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御する制御部を備える。
【0010】
本発明に係る飲料サーバによれば、冷媒管の鉛直方向断面視において、冷媒管における第3の部分と第4の部分とを結ぶ線分の中点に形成される氷の厚さであるP1が、第3の部分の中心部分を通り当該線分に対して垂直な直線上に形成される氷の厚さであるP2よりも小さい。よって、氷の厚さが一様であるP1=P2の場合と比較して、氷の表面積を増大させることができる。このように氷の表面積を増大させると、氷と冷却液との接触面積が大きくなるので、氷と冷却液との熱交換の効率を高めることができる。従って、飲料の連続注出時であっても、冷却液を十分に冷却させ続けることができるので、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【0011】
また、制御部は、P1=0となるように冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御してもよい。この場合、第3の部分の周囲に形成された氷と第4の部分の周囲に形成された氷との間に冷却液が流通可能な隙間が形成されることとなる。よって、氷の表面積をより増大させることができ、氷と冷却液との接触面積をより増大させることが可能となるので、氷と冷却液との熱交換の効率をより高めることができる。従って、より安定して連続的に低温の飲料を提供することが可能となる。
【0012】
また、平面視における冷媒管の内側には飲料が通る飲料管が設けられており、制御部は、冷却液槽の内側面に接触する第1の氷と、第1の氷より下方に位置して冷却液槽の内面及び第1の氷に接触しない第2の氷とを形成するように冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御してもよい。この場合、冷却液槽内における第2の氷の周囲と第1の氷の内側とに冷却液の流路を形成することが可能となる。よって、第2の氷の内側を通る冷却液によって飲料管の下側を冷却させ、第2の氷の下側、外側及び上側を迂回し第1の氷の内側を通る冷却液によって飲料管の上側を冷却させることが可能となる。このように第1の氷及び第2の氷の周囲を通った冷却液で飲料管の上側及び下側をそれぞれ冷却させることが可能となるので、冷却液による飲料管の冷却をより効率よく行うことができる。
【0013】
また、平面視における冷媒管の内側には飲料が通る飲料管が設けられており、制御部は、冷却液槽の内側面から斜め上方に位置する飲料管に向かって延在する冷却液の流路を形成するように、冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御してもよい。この場合、冷却液槽の内側面から斜め上方に位置する飲料管に向かって冷却液の流路が形成され、この流路に沿って氷で十分に冷やされた冷却液が流し込まれるので、上側の飲料管を十分に冷却させることができる。従って、連続的な低温の飲料の提供が可能となる。
【0014】
また、制御部は、上方に向かうに従って徐々に狭くなる冷却液の流路を形成するように冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御してもよい。この場合、上方に向かうに従って狭くなる流路における冷却液の流量と、冷却液槽の内側面から斜め上方に位置する飲料管に向かって延在する流路における冷却液の流量との和を、氷の下方に位置する流路における冷却液の流量と一致させることにより、氷への流入側の液圧と氷からの流出側の液圧とを略一致させることが可能となるので、冷却液を効率よく流すことも可能となる。従って、氷と冷却液との熱交換を促進させることができる。
【0015】
本発明に係る飲料サーバの制御方法は、飲料を冷却させる冷却液を収容する冷却液槽と、冷却液内に配置されて冷却液から氷を生成する冷媒管と、を備えた飲料サーバの制御方法であって、冷媒管は、冷媒管が延在する方向に対して垂直な方向に互いに隣接する第3の部分と第4の部分とを有しており、冷媒管の鉛直方向断面視において、第3の部分と第4の部分とを結ぶ線分の中点に形成される氷の厚さをP1、第3の部分の中心部分を通り線分に対して垂直な直線上に形成される氷の厚さをP2、としたときに、P1<P2となるように冷媒管の周囲に形成される氷の形状を制御する。
【0016】
本発明に係る飲料サーバの制御方法によれば、冷媒管の鉛直方向断面視において、冷媒管における第3の部分と第4の部分とを結ぶ線分の中点に形成される氷の厚さであるP1が、第3の部分の中心部分を通り当該線分に対して垂直な直線上に形成される氷の厚さであるP2よりも小さくなるように冷媒管の周囲に形成される氷の形状が制御される。よって、氷の厚さが一様であるP1=P2の場合と比較して氷の表面積を増大させることができ、氷と冷却液との接触面積を大きくすることができる。従って、氷と冷却液との熱交換の効率を高めることができるので、飲料の連続注出時であっても、冷却液を十分に冷却させ続けることが可能となり、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係る飲料サーバ及びその制御方法の実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一の符号を付すこととする。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の飲料サーバ(サーバ10)を備えた飲料提供装置1の全体構成を示している。飲料提供装置1は、例えば、飲食店に設けられる装置であり顧客の注文等に応じてカラン9からビールを注出する装置である。まずは、飲料提供装置1の全体構成について説明する。飲料提供装置1は、カラン9の他、炭酸ガスボンベ2と、減圧弁3と、炭酸ガスホース4と、ビール樽5と、ヘッド6と、ビールホース7と、サーバ10とを備えている。
【0021】
炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスが高圧で充填された略円柱状の容器である。炭酸ガスボンベ2は、ビール樽5の内部のビール液をサーバ10に押し出す機能を有すると共に、ビール樽5の内部のビール液に含まれる炭酸ガスの量を適正な量に保つ機能を有する。炭酸ガスボンベ2の内部において、炭酸ガスは、液体の状態で充填されており、例えば6〜8MPa程度の圧力で充填されている。
【0022】
炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスボンベ2内部の炭酸ガスの量を表示する残量表示計2aを備えている。残量表示計2aとしては、例えば、針状のものを用いることができ、この場合、当該針が上方を指しているときには炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量が比較的多いことを示し、当該針が下方を指しているときには炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量が少なくなってきたことを示す。このように、炭酸ガスボンベ2は、残量表示計2aを備えることにより、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの量を視認可能となっている。また、炭酸ガスボンベ2は、炭酸ガスボンベ2の上部に使用者が回転可能な開閉ハンドル(不図示)を備えており、この開閉ハンドルの回転により炭酸ガスボンベ2から減圧弁3への炭酸ガスの流路を開閉可能となっている。
【0023】
減圧弁3は、ビール樽5の内部のビール液にかかる炭酸ガスによる圧力(以下、ガス圧と称する)を調整するための装置である。減圧弁3は、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスの残圧を表示する残圧表示計3aと、ガス圧を調整するための回転式の操作部3bとを備えている。使用者は、例えば、操作部3bを時計回り方向に回転させることによりガス圧を上げて、操作部3bを反時計回り方向に回転させることによりガス圧を下げることができる。ここで、炭酸ガスが液体に溶け込む量は、液体の温度が高いほど少なく、液体の温度が低いほど多くなっている。よって、ビール樽5の内部におけるビール液の温度に合わせて減圧弁3でガス圧を適切な値とすることにより、高温時にビール液から炭酸ガスが抜けるガス分離や、低温時にビール液が炭酸ガスを過大に吸収する過飽和を防止することができる。
【0024】
ビール樽5は、ビール液が詰められた容器である。ビール樽5は、内部が密閉されているので、雑菌等がビール樽5の内部に入り込まないようになっている。また、ビール樽5の表面には、例えばカード状の液温検出部5aを貼り付けることが可能となっており、この液温検出部5aによってビール樽5内のビールの温度を検出することができる。液温検出部5aには、ビール樽5内のビールの温度のほか、検出したビールの温度に対応したガス圧の最適値が表示されるようになっている。
【0025】
よって、使用者は、減圧弁3の操作部3bを操作しながらガス圧を液温検出部5aに表示された値にすることによって、ビール樽5内のガス圧を最適な値にできるようになっている。また、ビール樽5は、内部にビールが流通するチューブ5bと口金(フィッティングバルブとも称される)5cとを備えている。ビール樽5のチューブ5bは、ビール樽5の内部で上下に延在しており、チューブ5bの上端に上記口金5cが設けられている。
【0026】
ヘッド6は、炭酸ガスボンベ2内の炭酸ガスを減圧弁3及び炭酸ガスホース4を介してビール樽5内に送り込むと共に、ビール樽5内のビール液をサーバ10に送り出す機能を有する。ヘッド6は、上下に移動させることにより炭酸ガスとビール液の流路を開閉可能な操作ハンドル6aと、炭酸ガスホース4と接続されるガス継手6bと、ビールホース7と接続されるビール継手6cとを備えている。
【0027】
ヘッド6の下部はビール樽5の口金5cに接続されており、ヘッド6の下部を口金5cに接続させた状態でヘッド6の操作ハンドル6aを下げることにより炭酸ガスホース4及びビールホース7の流路が開き、ヘッド6の操作ハンドル6aを上げることにより炭酸ガスホース4及びビールホース7の流路が閉塞される。なお、ガス継手6b及びビール継手6cは、ヘッド6の中央部で上下に延在する本体部6dに対して脱着自在となっており、ガス継手6b、ビール継手6c及び本体部6dが分解可能となっていることにより、ヘッド6を洗浄しやすい構造となっている。
【0028】
サーバ10は、ビールホース7を介してヘッド6と接続されており、ビール樽5からヘッド6及びビールホース7を介して送り出されたビール液を冷却する機能を有する。サーバ10は、いわゆる電気冷却式の瞬間冷却式サーバである。サーバ10は直方体状となっており、サーバ10の側面の上端にビールホース7が入り込んでいる。サーバ10は、ビールホース7から供給されたビール液を冷却し、サーバ10によって冷却されたビール液は、例えばカラン9が手前に引かれたときにカラン9から注出される。
【0029】
図1及び
図2に示されるように、サーバ10は、冷却水Wを収容する直方体状の水槽11と、ビールホース7に接続されて水槽11の冷却水Wの内部で螺旋状に形成されたビールコイル(飲料管)12と、冷却水Wを冷却させる冷凍サイクル装置15とを備えている。ビールコイル12は、ビールホース7との接続部分から下方に伸び、その下端から軸線L周りに螺旋状に伸び、螺旋状に伸びる上端部分で冷却水Wから上方に引き出された箇所でカラン9に接続されている。軸線Lは、例えば、平面視における水槽11の中央部分で鉛直方向に延在する基準線である。このようにビールコイル12が螺旋状となっていることによって冷却水W内におけるビール液の流路を長く確保しているので、ビールコイル12内部のビール液はサーバ10の内部でより好適に瞬間冷却される。
【0030】
図2及び
図3に示されるように、冷凍サイクル装置15は、冷却水W内におけるビールコイル12の外側でビールコイル12を囲むように螺旋状に伸びる冷媒管16を備えている。ビールコイル12は、平面視における冷媒管16の内側に設けられている。また、冷凍サイクル装置15は、上記の冷媒管16とコンプレッサ17と凝縮器18とファン19と脱水器20とキャピラリーチューブ21とを備えており、冷凍サイクル装置15では、冷媒管16、コンプレッサ17、凝縮器18、脱水器20及びキャピラリーチューブ21を順次接続する冷凍サイクルが構成されている。
【0031】
コンプレッサ17は冷媒管16の下端に接続されており、コンプレッサ17には、冷媒管16から冷媒が流入される。コンプレッサ17は、この冷媒を圧縮して例えば70℃の高温冷媒ガスを生成し、この高温冷媒ガスから凝縮器18が熱を放出させることにより、凝縮器18は、例えば40℃の高温冷媒液を生成する。ファン19は、凝縮器18に空気を送り込み、凝縮器18における熱交換を効率よく行わせる機能を有する。また、凝縮器18によって生成された高温冷媒液は脱水器20を介してキャピラリーチューブ21に送られる。キャピラリーチューブ21は、冷媒管16の上端に接続されており、脱水器20を介して送られた高温冷媒液に対して減圧と流量制御とを行って例えば−8℃の液状冷媒を生成し、この液状冷媒を冷媒管16に供給する。
【0032】
また、サーバ10は、プロペラ22とモータ23とを備えている。プロペラ22は、水槽11内の冷却水Wを撹拌し冷却水Wに流れを形成することによって、冷却水Wとビールコイル12との熱交換、及び冷却水Wと冷媒管16との熱交換を促進させる。モータ23はビールコイル12の上方に配置されており、モータ23に取り付けられたプロペラ22の軸22aはビールコイル12の内側に入り込んでいる。よって、ビールコイル12の内側に位置する冷却水Wは、プロペラ22の回転によって下方に移動し、水槽11の底面11aにおいて水槽11の外側に移動する流れを形成する。
【0033】
ここで、
図4及び
図5(a)に示されるように、冷媒管16は、軸線Lの延在方向に互いに隣接する冷媒管16同士の距離が互いに異なる部分(第1の部分)16A及び部分(第2の部分)16Bを有し、これらの部分16A,16Bにおける螺旋のピッチ(以下、単にピッチと称する)が互いに異なっている。
【0034】
図5(b)及び
図6に示されるように、サーバ10は、冷媒管16に形成される氷K3の厚さを制御する制御部30を備えており、この制御部30は、氷K3の厚さを検出するセンサ31を有する。センサ31は、水槽11の内側面11bから水槽11の内側に突出するように設けられている。センサ31は、2個の棒状の電極32,33を備えており、これらの電極32,33の長さは互いに異なっている。センサ31は、電極32と電極33との導通又は非導通を検出することによって氷K3の厚さを検出する。具体的には、電極32の先端32aと電極33の先端33aとが冷却水Wに接触し導通しているときには氷K3の厚さが先端32aに達しておらず薄い状態であることを検出し、電極32の先端32aが氷K3に埋もれて先端32aと先端33aとが非導通であるときには、氷K3の厚さが先端32aに達して厚い状態であることを検出する。
【0035】
制御部30は、センサ31によって氷K3の厚さが薄い状態が検出されたときは冷凍サイクル装置15で冷媒管16に液状冷媒を供給し、冷媒管16を冷却させることによって、氷K1,K2,K3を厚くさせる制御を行う。一方、制御部30は、センサ31によって氷K3の厚さが厚い状態が検出されたときは冷凍サイクル装置15による冷媒管16への液状冷媒の供給を止めて、氷K1,K2,K3がこれ以上厚くならないように制御する。このような制御部30による制御を行うことによって、冷媒管16のピッチが短くなっている部分16Aには氷K1,K2,K3が生成され、冷媒管16のピッチが長くなっている部分16Bには氷が生成されない。従って、氷が生成されていない冷媒管16の部分16Bは冷却水Wの流路となる。
【0036】
すなわち、上述したように冷媒管16にキャピラリーチューブ21から液状冷媒が供給されると、この液状冷媒によって冷媒管16の周囲に位置する冷却水Wが冷却され、冷媒管16の周囲に氷K1,K2,K3が生成される。氷K1,K2,K3が生成されるまでには水槽11内に冷却水Wを入れた状態でサーバ10の電源をオンにしてから数時間(例えば7,8時間)程度かかる。よって、例えば、飲食店における夜間の営業終了時にサーバ10の電源をオンにすれば、夜間で冷媒管16の周囲に氷が形成され、次の日の営業開始時までには氷K1,K2,K3が生成された状態とすることができる。このように、氷K1,K2,K3は、氷の生成の途中段階でできる氷ではなく、例えば営業開始時等、氷の生成の最終段階で形成された氷を示している。
【0037】
また、冷媒管16の下端と水槽11の底面11aとは、冷媒管16の周囲に生成された氷K3が底面11aに到達しない程度に離れている。よって、冷媒管16に形成された氷K3の下端と底面11aとの間に冷却水Wの流路が形成されるので、プロペラ22の回転によって下方に移動し水槽11の底面11aで水槽11の外側に移動した冷却水Wは、氷K3と底面11aとの間を通る。氷K3と底面11aとの間を通った冷却水Wは、水槽11の内側面11bと氷K3との間で上方に移動する。このように氷K3の外側で上方に移動する冷却水Wは、氷K2と氷K3との間の流路、又は氷K1と氷K2との間の流路を通って水槽11の内側に移動する。氷K1と氷K2との間の流路を通った冷却水Wはビールコイル12の上側に流し込まれ、氷K2と氷K3との間の流路を通った冷却水Wはビールコイル12の上下方向中央付近に流し込まれる。
【0038】
以上のように、センサ31における2つの電極32,33の位置を調整するか、又は冷媒管16のピッチを調整することによって、冷媒管16の周囲に生成される氷の形状を制御することが可能となる。また、本実施形態に係るサーバ10によれば、螺旋状の冷媒管16における螺旋のピッチが互いに異なる部分16A及び部分16Bを備える。このため、螺旋のピッチが短い部分16Aには一体の氷K1,K2,K3が生成されるが、螺旋のピッチが長い部分16Bには氷が生成されない。
【0039】
従って、冷媒管16全体としては、複数の氷K1,K2,K3が生成される。よって、螺旋のピッチが一様である従来の冷媒管と比較して、冷媒管16の周囲に形成される氷K1,K2,K3の表面積は増大されている。従って、氷と冷却水Wとの接触面積を大きくして氷と冷却水Wとの熱交換の効率を高めることができるので、飲料の連続注出時であっても冷却水Wを十分に冷却させ続けることが可能となり、安定して連続的に低温の飲料を提供することができる。
【0040】
なお、冷媒管16における部分16Bのピッチを、
図4に示される状態よりも短くすることによって、鉛直方向断面視において部分16Aに形成される氷の厚さよりも厚さが薄い氷を部分16Bに生成することも可能である。この場合、部分16Bには氷K1,K2,K3よりも薄い氷が生成されることになる。従って、冷媒管16全体としては表面が湾曲した氷が生成されることになる。よって、この場合も氷と冷却水との接触面積を大きくすることが可能となる。
【0041】
(第2実施形態)
図7(a)に示されるように、第2実施形態では、第1実施形態と同一の冷媒管16を用いているが、冷媒管16のピッチを適宜変えることによって冷媒管16の周囲に形成される氷の形状を適宜変更する点について説明する。なお、
図7(a)は、鉛直方向断面視における冷媒管16を示している。第2実施形態において、例えば、1本の冷媒管16が生成する氷の厚さをTとして冷媒管16間のピッチをPとしたときに、Pの値を2Tの値よりも若干小さい程度にすることによって、表面が湾曲した氷K4が形成される。
【0042】
この場合、冷媒管16は、冷媒管16が延在する方向(
図7の紙面に直交する方向)に対して垂直な方向に互いに隣接する部分(第3の部分)16Cと部分(第4の部分)16Dとを有しており、部分16Cと部分16Dとを結ぶ線分S1の中点Mに形成される(中点Mを通り線分S1に対して垂直な直線上に形成される)氷K4の厚さをP1、部分16Cの中心部分を通り線分S1に対して垂直な直線S2上に形成される氷K4の厚さをP2、としたときにP1<P2となるように冷媒管16への冷媒の供給制御が行われる。
【0043】
具体的には、例えば、
図7(a)に示されるようなピッチPで冷媒管16が配置され、センサ31における電極32の先端32aが中点Mの厚さP1となる位置に配置された状態で冷媒管16への液状冷媒の供給が行われると、中点Mにおける氷K4の厚さがP1となった時点で冷媒管16への液状冷媒の供給が停止され、P1<P2となった氷K4が生成される。なお、氷K4は、氷の生成の最終段階で形成された氷を示している。
【0044】
このように、本実施形態に係るサーバ10及びその制御方法では、冷媒管16における部分16Cと部分16Dとを結ぶ線分S1の中点Mに形成される氷K4の厚さであるP1が、部分16Cの中心部分を通り線分S1に対して垂直な直線S2上に形成される氷K4の厚さであるP2よりも小さくなる。よって、P1=P2となっており厚さが一様である氷K5と比較して、氷の表面積を増大させることができる。このように氷の表面積を増大させると、氷と冷却水Wとの接触面積が大きくなるので、氷と冷却水Wとの熱交換の効率を高めることができる。従って、ビールの連続注出時であっても、冷却水Wを十分に冷却させ続けることができるので、安定して連続的に低温のビールを提供することができる。
【0045】
また、センサ31の電極32,33の位置、又は冷媒管16のピッチを変えることによって、P1=0となるように冷媒管16の周囲に形成される氷の形状を制御することも可能である。この場合、部分16Cの周囲に形成された氷と部分16Dの周囲に形成された氷との間に冷却水Wが流通可能な隙間が形成されることとなる。よって、氷の表面積をより増大させることができ、氷と冷却水Wとの接触面積をより増大させることが可能となるので、氷と冷却水Wとの熱交換の効率をより高めることができる。従って、より安定して連続的に低温のビールを提供することが可能となる。
【0046】
なお、第2実施形態では、冷媒管16のピッチを変えることによってP1<P2となるように氷の形状を制御したが、冷媒管16のピッチを変えずに氷の厚さがP1<P2となった時点で冷媒の供給を停止させる制御を行ってもよい。また、上記では螺旋状の冷媒管16を例示したが、第2実施形態は、冷媒管が螺旋状でない場合にも適用可能である。すなわち、冷媒管が延在する方向(例えば
図7の紙面に直交する方向)に対して垂直な方向に互いに隣接する部分である第3の部分及び第4の部分(例えば部分16C及び部分16D)を備えていれば、螺旋状以外の冷媒管を用いることも可能である。更に、第2実施形態では2本以上の冷媒管を用いることも可能であり、第3の部分と第4の部分とが互いに異なる冷媒管に設けられていてもよい。
【0047】
(第3実施形態)
図7(b)に示されるように、第3実施形態の飲料サーバは、冷媒管16の周囲に形成される氷K6の形状を制御する氷形成部材40を備えている。氷形成部材40は、例えば金属等の熱伝導率が高い材料によって構成されており、冷媒管16に固定されている。また、氷形成部材40は、水槽11の内側面11bから離れるに従って斜め上方を向くように冷媒管16に固定されている。よって、冷媒管16及び氷形成部材40の周囲に生成される氷K6も内側面11bから離れるに従って斜め上方を向く形状となる。氷K6は、氷の生成の最終段階で形成された氷を示している。
【0048】
また、例えば制御部30のセンサ31における2個の電極32,33の配置によって、冷媒管16及び氷形成部材40の周囲に形成される氷が、隣接する氷に接触する前に、冷媒管16への冷媒の供給が停止される。従って、第3実施形態の飲料サーバでは、水槽11の内側面11bから斜め上方に位置するビールコイル12に向かう冷却水Wの流路が形成され、この流路に沿って氷K6で十分に冷やされた冷却水Wが流し込まれる。よって、上側のビールコイル12を十分に冷却させることができるので、より低温のビールの提供が可能となる。更に、第3実施形態の飲料サーバでは、氷形成部材40の形状や冷媒管16に対する取り付け方を適宜変更することによって氷K6の形状を適宜変更することが可能であり、氷形成部材40によって氷の形状を制御することも可能となる。
【0049】
(第4実施形態)
図8(a)に示されるように、第4実施形態の飲料サーバは、上方部56Aが水槽11の外側に広がる形状となっている冷媒管56と、氷形成部材60とを備えている。氷形成部材60は、上述した氷形成部材40と同様の材料で構成されている。氷形成部材60は、水槽11の内側面11bから内側のビールコイル12に向かって斜め上方に延在するように冷媒管56の上方部56Aに固定されている。
【0050】
また、例えば、制御部30のセンサ31における2個の電極32,33の配置によって、上方部56A及び氷形成部材60の周囲に形成される氷が、隣接する氷に接触する前に、冷媒管56への冷媒の供給が停止される。そして、上記同様2個の電極32,33の配置によって、冷媒管56の下方部56Bの周囲に形成される氷が隣接する冷媒管56の氷に接触した後に冷媒管56への冷媒の供給が停止される。よって、この飲料サーバにおいて冷媒管56に液状冷媒が供給されると、冷媒管56及び氷形成部材60の周囲に位置する冷却水Wが冷却される。その結果、冷媒管56の下方部56Bには一体の断面長方形状の氷K7が形成され、冷媒管56の上方部56A及び氷形成部材60には複数の氷K8が形成される。なお、氷K7,K8は、氷の生成の最終段階で形成された氷を示している。
【0051】
氷K7は、水槽11の底面11a及び内側面11bのいずれにも接触しておらず、氷K7の下端と底面11aとの間、氷K7の外側と内側面11bとの間、そして氷K7と氷K8との間、に冷却水Wの流路を形成している。氷K8は、上方に向かうに従って氷K8と内側面11bとの間が狭くなる流路R1を形成している。また、複数の氷K8の間には、水槽11の内側面11bから斜め上方に位置するビールコイル12に向かって延在する冷却水Wの流路R2が形成されている。
【0052】
このような第4実施形態の飲料サーバでは、水槽11の内側面11bから斜め上方に位置するビールコイル12に向かって延在する冷却水Wの流路R2を形成するように冷媒管56の周囲に形成される氷K8の形状が制御される。よって、水槽11の内側面11bから斜め上方に位置するビールコイル12に向かって冷却水Wの流路R2が形成され、この流路R2に沿って上側のビールコイル12に向かって氷K8で冷やされた冷却水Wを流し込むことが可能となるので、上側のビールコイル12を十分に冷却させることができる。従って、より低温のビールの提供が可能となる。
【0053】
また、第4実施形態の飲料サーバでは、上方に向かうに従って徐々に狭くなる冷却水Wの流路R1を形成するように氷K8の形状が制御されている。よって、上方に向かうに従って狭くなる流路R1における冷却水Wの流量と、水槽11の内側面11bから斜め上方に位置するビールコイル12に向かって延在する流路R2における冷却水Wの流量との和を、氷K7の下方に位置する流路R3における冷却水Wの流量と一致させることにより、氷への流入側の水圧と氷からの流出側の水圧とを略一致させることが可能となるので、冷却水Wを効率よく流すことが可能となる。従って、氷K7,K8と冷却水Wとの熱交換を促進させることができる。
【0054】
なお、第4実施形態の飲料サーバは、上方部56Aが水槽11の外側に広がる形状となっている冷媒管56と、氷形成部材60とを備えていたが、冷媒管56及び氷形成部材60に代えて、円筒螺旋状の冷媒管と、冷媒管から水槽11の内側面11bに向かって斜め下方に延在するように固定される氷形成部材とを用いることも可能である。
【0055】
(第5実施形態)
図8(b)に示されるように、第5実施形態の飲料サーバは、上方部76Aの径が下方部76Bの径よりも長い螺旋状の冷媒管76を備えている。また、例えば、制御部30のセンサ31における2個の電極32,33の配置によって、上方部76Aの周囲に形成される氷が内側面11bに接触した後に冷媒管76への冷媒の供給が停止され、下方部76Bの周囲に形成される氷が底面11a又は内側面11bに接触する前に冷媒管76への冷媒の供給が停止される。
【0056】
よって、この飲料サーバにおいて冷媒管76に液状冷媒が供給されると、冷媒管76の周囲に位置する冷却水Wが冷却される。そして、冷媒管76の上方部76Aには、内側面11bに接触する断面長方形状の氷(第1の氷)K9が形成され、冷媒管76の下方部76Bには、氷K9よりも下方に位置して水槽11の内面(底面11a及び内側面11b)及び氷K9に接触しない断面長方形状の氷(第2の氷)K10が形成される。氷K9,K10は、氷の生成の最終段階で形成された氷を示している。よって、氷K10の内側(ビールコイル12側)、氷K10と底面11aとの間、氷K10と内側面11bとの間、氷K10と氷K9との間、そして氷K9の内側に冷却水Wの流路が形成される。
【0057】
このように、第5実施形態では、水槽11内における氷K10の周囲と氷K9の内側とに冷却水Wの流路を形成することが可能となる。よって、氷K10の内側を通る冷却水Wによってビールコイル12の下側を冷却させ、氷K10の下側、外側及び上側を迂回し氷K9の内側を通る冷却水Wによってビールコイル12の上側を冷却させることが可能となる。このように氷K9,K10の周囲を通った冷却水Wでビールコイル12の上側及び下側をそれぞれ冷却させることが可能となるので、冷却水Wによるビールコイル12の冷却をより効率よく行うことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の形態を採用することができる。
【0059】
例えば、上記実施形態では、水槽11内に冷却水Wが収容されていたが、飲料を冷却させる冷却液としては水以外のもの(例えば不凍液等)を用いることも可能である。例えば、冷却水Wを収容する水槽11に代えて、不凍液を収容する冷却液槽を用いることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態では、冷媒管56と氷形成部材60とを用いることによって、上方に向かうに従って徐々に狭くなる冷却水の流路R1を形成したが、冷媒管の上方側のピッチを小さくして上方側に向かうに従って徐々に大きくなる氷を形成することによって流路R1を形成してもよい。更に、螺旋状の冷媒管に対し、塩ビ管等、熱伝導率が低い部材を挟み込むことによって、部分的に氷を形成しないようにすることも可能である。この場合、氷を形成しない部分を冷却水Wの流路として利用することが可能となる。
【0061】
また、上記実施形態では、2本の電極32,33を有するセンサ31によって氷K3の厚さを検出したが、このセンサ31以外のセンサを用いることも可能である。例えば、センサ31に代えて、冷媒管16の周囲の温度を検出する温度センサを用いてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、サーバ10が飲料提供装置1に設置されている例について説明したが、飲料提供装置の構成は上記実施形態に限定されることなく適宜変更可能である。また、冷凍サイクル装置の構成を適宜変更することも可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、飲料サーバ(サーバ10)がビールを提供する飲料提供装置1に設置されている例について説明したが、本発明の飲料サーバは、ビール以外の飲料を提供する飲料提供装置にも適用することができる。