(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467162
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】ビール樽
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
B67D1/04 F
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-157472(P2014-157472)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-34830(P2016-34830A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】595068151
【氏名又は名称】コーンズテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆司
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−048496(JP,A)
【文献】
特開2003−194030(JP,A)
【文献】
実開昭49−102161(JP,U)
【文献】
特開2002−114046(JP,A)
【文献】
特開昭58−193296(JP,A)
【文献】
特開2010−173710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00 − 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樽本体の上面に設けられ、内周面に、上端から所定の深さにわたって雌ねじが設けられるとともに、この雌ねじの下端よりも下方にシール材受けが形成されたネック部と、
前記ネック部の雌ねじと係合する第1の雄ねじが設けられるとともに、前記ネック部の前記シール材受けに対して上方から対向し、該シール材受けとの間にシール材を挟持するシール材当接面が形成されたネック係合部材を有し、前記ネック係合部材を前記ネック部にねじ込んで装着されたサイホンチューブと、
外周面に、前記ネック部の雌ねじと係合する第2の雄ねじが設けられ、前記ネック部内にねじ込まれて前記ネック係合部材の上面に押し付けられた緩み止め部材と、
を備え、
前記ネック係合部材と緩み止め部材とが重なることにより、その内周側にビール抽出ヘッドを挿入するためのヘッド接続部が形成されていることを特徴とするビール樽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サイホンチューブを備えたビール樽に関する。
【背景技術】
【0002】
主にビールの充填容器として使用されるビール樽は、樽内のビールをガス圧によって注出するためのサイホンチューブを備えている。
図4はビール樽の一例を示す外観図、
図5は従来のビール樽におけるサイホンチューブ装着部の断面図、
図6は
図5の一部分の拡大図である。
【0003】
図4及び
図5のように、サイホンチューブ20は、樽本体1の上面2の中心部に設けられたネック部10から樽本体1内に挿入され、ネック部10に、ねじ係合により装着されている。
【0004】
ネック部10は、樽本体1の上面2の中心部に垂直に立てた姿勢で配置された筒状部材11からなっており、樽本体1の上面2の中心部に設けられた開口部に下端の周縁を溶接されている。このネック部10の内周面には、上端から所定の深さにわたって雌ねじ12が形成されており、また、雌ねじ12の下端よりも下方の位置、例えばネック部10の下端部には、内周面から突出する環状のシール材受け13が形成されている。
【0005】
サイホンチューブ20は、
図5及び
図6のように、ネック部10にねじ係合により装着されるネック係合部材21と、このネック係合部材21から樽本体1内の樽底近くまで下げ降ろされたチューブ部材22とを有している。
【0006】
ネック係合部材21は、ネック部10の高さよりも大きい高さを有する筒状部材であり、ネック部10内に、ネック係合部材21の下端側の部分をネック部10の下方に突き出させて配置される。
【0007】
このネック係合部材21には、上端側の部分の外周面に、ネック部10の雌ねじ12に係合する雄ねじ23が設けられており、また、高さ方向の中間部付近の外周には、ネック部10のシール材受け13と間にゴムリングからなるシール材34を挟持する環状のシール材当接面24が形成されている。
【0008】
さらに、ネック係合部材21の上端側部分の内部には、図示しない充填用、洗浄用、注出用等の各ヘッドを選択的に接続するためのヘッド接続部25が形成されるとともに、このヘッド接続部25の下側にガス用弁座26が形成されている。また、ネック係合部材21のネック部10よりも下方に突き出す部分の周面には、複数の通気口27が設けられている。
【0009】
また、チューブ部材22は、パイプ材からなっており、上端側の部分を、ネック係合部材21内にその下端側から挿入して配置されている。このチューブ部材22の上端には、ネック係合部材21のガス用弁座26に当接する環状のガス用バルブ部材28が嵌着されている。このガス用バルブ部材28は、ネック係合部材21の下端部とチューブ部材22の上端部との間に介在されたコイルばね29によりガス用弁座26に押し付けられている。
【0010】
さらに、ガス用バルブ部材28には、下向きのビール用弁座30が形成されており、チューブ部材22の上端部の内側には、ビール用弁座30に当接するビール用バルブ部材31が上下方向に移動可能に挿入されている。このビール用バルブ部材31は、チューブ部材22内に配置されたコイルばね32によりビール用弁座30に押し付けられている。
【0011】
このサイホンチューブ20は、チューブ部材22をネック部10から樽本体1内に挿入し、ネック係合部材21をネック部10に、雄ねじ23を雌ねじ12に係合させてねじ込むことにより装着されている。
【0012】
サイホンチューブ20を、ネック部10へのネック係合部材21のねじ込みにより装着すると、ネック部10のシール材受け13とネック係合部材21のシール材当接面24との間にシール材34が圧縮力を加えられて挟持され、このシール材34によりネック部10とネック係合部材21との間がシールされるとともに、シール材34の反発力により、
図6のように、ネック係合部材21の雄ねじ23の上向きのねじ面が、ネック部10の雌ねじ12の下向きのねじ面に押し付けられ、両方のねじ面の摩擦力により、サイホンチューブ20の装着状態が保持される。
【0013】
なお、ネック係合部材21のヘッド接続部25には、その周面の複数個所、例えば互いに向き合う2箇所に、前記各ヘッドの係止用突起33が設けられており、ネック部10へのネック係合部材21のねじ込みは、ヘッド係止用突起33の側面への当接部を有する図示しないねじ込み具により行う。
【0014】
前記ビール樽内のビールの注出は、ビール注出ヘッドをサイホンチューブ20のヘッド接続部25に接続して行われる。なお、ビール注出ヘッドは、ヘッド係止用突起33に対応する複数の凸部を有しており、ヘッド接続部25に嵌め込んで周方向に回動させ、前記凸部をヘッド係止用突起33の下面に入り込ませることにより、ヘッド接続部25に接続した状態でロックされる。
【0015】
また、ビール注出ヘッドは、ガスボンベからの炭酸ガスをサイホンチューブ20内に送り込むガス供給路と、ビール樽内からサイホンチューブ20を介して注出されるビールをビールサーバーに供給するビール送給路と、サイホンチューブ20のガス用バルブ部材28を押し込むガスバルブ開放手段と、サイホンチューブ20のビール用バルブ部材31を押し込むビールバルブ開放手段とを備えている。
【0016】
そして、ガス用バルブ部材28の押し込みによりガスバルブが開放されると、ガスボンベからの炭酸ガスが、ビール注出ヘッドと、ネック係合部材21とチューブ部材22との間及び通気口27を通って樽本体1内に供給される。また、ビール用バルブ部材31の押し込みによりビールバルブが開放されると、ガス圧によってサイホンチューブ20内に流入したビールが、ビール注出ヘッドを介してビールサーバーへ供給される。
【0017】
また、内部のビールを消費された空のビール樽は、回収されてビール充填工場に送られ、サイホンチューブ20のヘッド接続部25に洗浄用ヘッドを接続して洗浄及びスチーム滅菌等を行った後、サイホンチューブ20のヘッド接続部25にビール充填用ヘッドを接続して樽本体1内にビールを再充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3920414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、前記ビール樽においては、ネック部10のシール材受け13とサイホンチューブ20のシール材当接面24との間に挟持されているシール材34が、継続的に加わる圧縮力による永久変形や、スチーム滅菌の際の加熱の繰り返し等によって徐々に劣化し、それに伴ってシール材34反発力が弱くなって行く。
【0020】
従来のビール樽は、サイホンチューブ20の装着状態を、シール材34の反発力により、ネック部10の雌ねじ12とネック係合部材21の雄ねじ23のねじ面同士を押し付けて保持しているため、シール材34の反発力が弱くなると、シール材34によるシール効果が低下するだけでなく、前記ねじ面同士の押し付け力が低下してサイホンチューブ20の装着に緩みが生じる。
【0021】
このシール材34の反発力の低下は、ネック部10へのネック係合部材21のねじ込み力を強くする増し締めを行うことにより補償することができるが、サイホンチューブ20の増し締めを行うと、シール材34がより強く圧縮され、シール材34の劣化がさらに進行する。そのため、従来のビール樽は、シール材34の劣化が進みやすく、頻繁にシール材34を交換しなければならなかった。
【0022】
この発明は、サイホンチューブの装着状態を、シール材の反発力に依存せずに保持し、シール材にかかる負荷を軽減して前記シール材の劣化の進行を抑制することができるビール樽を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明のビール樽は、
樽本体の上面に設けられ、内周面に、上端から所定の深さにわたって雌ねじが設けられるとともに、この雌ねじの下端よりも下方にシール材受けが形成されたネック部と、
前記ネック部の雌ねじと係合する第1の雄ねじが設けられるともに、前記ネック部の前記シール材受けに対して上方から対向し、該シール材受けとの間にシール材を挟持するシール材当接面が形成されたネック係合部材を有し、前記ネック係合部材を前記ネック部にねじ込んで装着されたサイホンチューブと、
外周面に、前記ネック部の雌ねじと係合する第2の雄ねじが設けられ、前記ネック部内にねじ込まれて前記ネック係合部材の上面に押し付けられた緩み止め部材と、
を備え
、
前記ネック係合部材と緩み止め部材とが重なることにより、その内周側にビール抽出ヘッドを挿入するためのヘッド接続部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明のビール樽によれば、ネック部へのサイホンチューブの装着状態を、シール材の反発力に依存せずに保持し、シール材にかかる負荷を軽減して前記シール材の劣化の進行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の一実施例を示すビール樽のサイホンチューブ装着部の断面図。
【
図3】緩み止め部材によるネック係合部材のロック原理を示す模式図。
【
図5】従来のビール樽におけるサイホンチューブ装着部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の一実施例を
図1〜
図3を参照して説明する。なお、
図1〜
図3において、
図5及び
図6に示した従来のビール樽の各部に対応するものには同符号を付し、同一のものについてはその説明を省略する。
【0027】
この実施例のビール樽において、ネック部10は、従来のビール樽に使用されているものと同じ汎用品である筒状部材11からなっており、内周面に、上端から所定の深さにわたって雌ねじ12が設けられるとともに、この雌ねじ12の下端よりも下方の位置にシール材受け13が形成されている。
【0028】
一方、サイホンチューブ20aは、外周面に、ネック部10の雌ねじ12と係合する第1の雄ねじ23aが設けられるとともに、ネック部10のシール材受け13に対して上方から対向し、該シール材受け13との間にシール材34を挟持するシール材当接面24が形成されたネック係合部材21aと該ネック係合部材21aから下げ降ろされたチューブ部材22とを有している。
【0029】
このサイホンチューブ20aにおいて、ネック係合部材21aは、従来のサイホンチューブ20のネック係合部材21よりも小さい高さを有している。すなわち、ネック係合部材21aは、シール材当接面24よりも上端側の部分の高さを従来のネック係合部材21よりも小さくしたものであり、第1の雄ねじ23aは、ネック係合部材21aの上端から、ネック部10の雌ねじ12が設けられた部分の半分程度の高さにわたって設けられている。
【0030】
また、このネック係合部材21aの上端側部分の内部には、図示しない充填用、洗浄用、注出用等の各ヘッドを選択的に接続するためのヘッド受け入れ部25aが、従来のネック係合部材のヘッド接続部の深さに対して半分程度の深さに形成されている。
【0031】
なお、前記ネック係合部材21aの他の部分は、従来のネック係合部材21とおなじであり、また、サイホンチューブ20aの他の構成部品、つまり、チューブ部材22、ガス用及びビール用のバルブ等の構成部品は、従来のサイホンチューブ20のものと同じ汎用品である。
【0032】
この実施例のビール樽において、サイホンチューブ20aは、チューブ部材22をネック部10から樽本体1内に挿入し、ネック係合部材21aをネック部10に、雄ねじ23aを雌ねじ12に係合させてねじ込むことにより装着されている。
【0033】
なお、ネック係合部材21aには、その内周面(ヘッド受け入れ部25aの周面)の複数個所、例えば互いに向き合う2箇所に、凸部または凹部からなるねじ込み具係合部35が設けられており、ネック部10へのネック係合部材21aのねじ込みは、図示しないねじ込み具により行う。
【0034】
また、ネック部10へのネック係合部材21aのねじ込みは、シール材受け13とシール材当接面24との間のシール材34に、十分なシール効果を発揮させることができる圧縮力が加わるようなねじ込み力で行う。
【0035】
さらに、この実施例のビール樽は、外周面に、ネック部10の雌ねじ12に係合する第2の雄ねじ37を有し、ネック部10内に、雌ねじ12に第2の雄ねじ36を係合させてねじ込むことにより、ネック係合部材21aの上面に押し付けられた緩み止め部材36を備えている。
【0036】
この緩み止め部材36は、前記ネック係合部材21aと従来のネック係合部材21との高さの差と同程度の高さを有するリング状部材からなっており、外周面に、その高さ全体にわたって第2の雄ねじ37が形成されている。
【0037】
また、緩み止め部材36内の空間は、ネック係合部材21aのヘッド受け入れ部25aに挿入される前記ヘッドの挿入部38とされており、このヘッドの受け入れ部
25aとヘッド挿入部38とにより、前記各ヘッドの接続部が形成されている。
【0038】
さらに、ヘッド挿入部38の周面(緩み止め部材36の内周面)には、複数個所、例えば互いに向き合う2箇所に、従来のヘッド係止用突起33と同じ形状のヘッド係止用突起39が設けられている。
【0039】
そして、ネック部10への緩み止め部材36のねじ込みは、従来のネック係合部材21のねじ込みと同様に、図示しないねじ込み具を用いて行われる。また、前記各ヘッドはそれぞれ、ヘッド係止用突起39に対応する複数の凸部を有しており、ヘッドの受け入れ部
25aとヘッド挿入部38とにより形成されたヘッド接続部に嵌め込んで周方向に回動させ、前記凸部をヘッド係止用突起39の下面に入り込ませることにより、ヘッド接続部に接続した状態でロックされる。
【0040】
この実施例のビール樽は、上記のように、樽本体1の上面に設けられ、内周面に、上端から所定の深さにわたって雌ねじ12が設けられるとともに、この雌ねじ12の下端よりも下方にシール材受け13が形成されたネック部10と、このネック部10の雌ねじ12と係合する第1の雄ねじ23aが設けられるとともに、ネック部10のシール材受け13に対して上方から対向し、該シール材受け13との間にシール材34を挟持するシール材当接面24が形成されたネック係合部材21aを有し、このネック係合部材21aをネック部10にねじ込んで装着されたサイホンチューブ20aと、外周面に、ネック部10の雌ねじ12と係合する第2の雄ねじ37が設けられ、ネック部10内にねじ込まれてネック係合部材21aの上面に押し付けられた緩み止め部材36とを備えている。
【0041】
そのため、このビール樽によれば、サイホンチューブ20aの装着状態を、シール材34の反発力に依存せずに保持し、シール材34にかかる負荷を軽減してシール材34の劣化の進行を抑制することができる。
【0042】
すなわち、図
3(a)はネック部10にネック係合部材21aをねじ込んだときの雌ね
じ12と第1の雄ねじ23aとの係合状態を示しており、このときは、シール材34の反
発力P1により、ネック係合部材21aの第1の雄ねじ23aの上向きのねじ面が、ネッ
ク部10の雌ねじ12の下向きのねじ面に押し付けられる。
【0043】
しかし、ネック部10にネック係合部材21aをねじ込んだ後に、さらに緩み止め部材36をねじ込むと、この緩み止め部材36がネック係合部材21aの上面に押し付けられる。
【0044】
図
3(b)は緩み止め部材36をねじ込んだ後の雌ねじ12と第1の雄ねじ23a
および第2の雄ねじ37との係合状態を示しており、緩み止め部材36がネック係合部材21aに押し付けられると、ネック係合部材21aがシール材34の反発力P1よりも強い力P2で下方に押圧され、ネック係合部材21aの第1の雄ねじ23aの下向きのねじ面が、ネック部10の雌ねじ12の上向きのねじ面に押し付けられるとともに、その反
発力
P3により、緩み止め部材36の第2の雄ねじ37の上向きのねじ面が、ネック部10の雌ねじ12の下向きのねじ面に押し付けられる。
【0045】
また、緩み止め部材36のねじ込みによりネック係合部材21aが下方に押圧されると、シール材34に加わる圧縮力が僅かながら大きくなり、シール材34によるシール効果が向上する。
【0046】
このシール材34に加わる圧縮力の増加は、第1の雄ねじ23aの下向きのねじ面が雌ねじ12の上向きのねじ面に押し付けられるまでの極く僅かなネック係合部材21aの押し下げ量に対応し、第1の雄ねじ23aと雌ねじ12の前記ねじ面が当接すると、シール材34に加わる圧縮力の増加が無くなり、シール効果が一定に保たれる。
【0047】
そして、ネック係合部材21aに緩み止め部材36が強く押し付けられると、第1の雄ねじ23aの下向きのねじ面と雌ねじ12の上向きのねじ面との摩擦力と、第2の雄ねじ37の上向きのねじ面と雌ねじ12の下向きのねじ面との摩擦力とにより、ネック係合部材21a及び緩み止め部材36が、ネック部10にねじ込まれた状態でロックされるため、サイホンチューブ20aの装着状態を、シール材34の反発力に依存せずに保持することができる。
【0048】
そのため、シール材34の反発力によりサイホンチューブ20の装着状態を保持する従来のビール樽のように、シール材34に対して、十分な強さの反発力が得られるような圧縮力を加える必要が無く、したがって、シール材34にかかる負荷を軽減し、シール材34の劣化の進行を抑制することができる。
【0049】
しかも、このビール樽によれば、ネック係合部材21aの第1の雄ねじ23aの下向きのねじ面がネック部10の雌ねじ12の上向きのねじ面に押し付けられた後はシール材34に加わる圧縮力が一定になるため、シール材34に過大な圧縮力が加わることが無く、したがって、シール材34の劣化の進行をより効果的に抑制することができる。
【0050】
さらに、このビール樽は、ネック係合部材21a及び緩み止め部材36が、第1の雄ねじ23aと雌ねじ12の前記ねじ面の摩擦力と、第2の雄ねじ37と雌ねじ12の前記ねじ面との摩擦力とにより、ネック部10にねじ込まれた状態でロックされるため、サイホンチューブ20aの装着に緩みが生じることが無く、したがって、従来のビール樽のような増し締めを行う必要はほとんど無い。
【0051】
また、このビール樽は、サイホンチューブ20aを構成する各部品のうちのネック係合部材21aと、緩み止め部材36との2つの部品を新たに製作し、サイホンチューブ20aの他の構成部品やネック部10は、従来のビール樽に使用されているものと同じ汎用品を利用して製造することができるため、低コストに得ることができる。
【0052】
なお、上記実施例では、緩み止め部材36をネック係合部材21aの上面に直接押し付けているが、緩み止め部材36は、ワッシャ部材を介してネック係合部材21aに押し付けるようにしてもよい。
【0053】
また、この発明のビール樽は、ビールに限らず、例えば発泡酒等の他の飲料の充填容器としても利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…樽本体、2…樽の上面、10…ネック部、12…雌ねじ、13…シール材受け、20a…サイホンチューブ、21a…ネック係合部材、22…チューブ部材、23a…第1の雄ねじ、24…シール材当接面、25a…ヘッド接続部、34…シール材、35…ねじ込み具係合部、36…緩み止め部材、37…第2の雄ねじ、38…ヘッド挿入部、39…ヘッド係止用突起