(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物干し竿と、前記物干し竿の左右両端を支持して吊り下げる紐状部材と、前記物干し竿の両端の前記紐状部材を同時に同量ずつ第1の位置及びこれより低い第2の位置の間で上昇させあるいは降下させる昇降装置と、前記物干し竿の左右両端の前記第1の位置に配置されて前記物干し竿を前後方向から挟む二対のガイド部材から成る少なくとも一組のガイド部材とを備え、前記ガイド部材の間に前記物干し竿を引き込み前記ガイド部材によって前記物干し竿の前後方向の動きを規制して揺れることがないようにし、かつ前記一組のガイド部材の各対の前記ガイド部材の間には引き込まれる前記物干し竿の上面と接触する制動駒が備えられ、前記制動駒に前記物干し竿が当接したときに前記物干し竿が左右方向に揺れるのを阻止することを特徴とする物干し装置。
前記ガイド部材は前記紐状部材を中心に前記物干し竿を挟むように前後対称に配置され、前記紐状部材と前記物干し竿が前記ガイド部材の間を通過するようにしたものである請求項1または2に記載の物干し装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、物干し竿をベランダの軒下やテラス屋根から紐状部材で吊り下げているため、屋外で使用する場合には、風が吹くと、振り子のように洗濯物を掛けた物干し竿が揺れてしまうことがある。したがって、実際には無風の時以外は安心して使えないという問題がある。また、洗濯物等を干していなくとも、高い位置に吊り上げた物干し竿は不安定で風に揺れて軒下などに衝突して騒音等を発生させる心配もある。
【0006】
本発明は、物干し竿を高い位置に吊り上げた状態では物干し竿が固定されて風などの外力の影響を受けにくいものとする物干し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために請求項1記載の物干し装置は、物干し竿と、物干し竿の左右両端を支持して吊り下げる紐状部材と、物干し竿の両端の紐状部材を同時に同量ずつ第1の位置及びこれより低い第2の位置の間で上昇させあるいは降下させる昇降装置と、
物干し竿の左右両端の第1の位置に配置されて物干し竿を前後方向から挟む
二対のガイド部材から成る少なくとも一組のガイド部材とを備え、ガイド部材の間に物干し竿を引き込みガイド部材によって物干し竿の前後方向の動きを規制して揺れることがないように
し、かつ一組のガイド部材の各対のガイド部材の間には引き込まれる物干し竿の上面と接触する制動駒が備えられ、制動駒に物干し竿が当接したときに物干し竿が左右方向に揺れるのを阻止するようにしている。
【0009】
また、より好ましくは、制動駒は一対のガイド部材の間に上下方向にスライド可能に配置されると共に前後左右方向には移動不能に支持され、物干し竿の上に制動駒を載せた状態でガイド部材の中を昇降可能とし、ガイド部材が許容する(制動駒が移動できる範囲)移動範囲の任意の位置で物干し竿と制動駒とが接触した状態で止まるようにすることである。
【0010】
また、本発明の物干し装置において、ガイド部材は紐状部材を中心に物干し竿を挟むように前後対称に配置され、紐状部材と物干し竿がガイド部材の間を通過するようにしたものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の物干し装置において、昇降装置は、紐状部材を最も送り出した後には、同じ回転方向でも再度紐状部材を巻き戻す構造であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の物干し装置において、物干し竿に安全荷重を超える過度な荷重がかかった場合に紐状部材が意図的に切断される箇所を有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の物干し装置によれば、上昇した際の物干し竿は、ガイド部材の間に侵入することで、ガイド部材によって前後方向の動きが規制されるので、前後方向に風に揺れることはない。したがって、洗濯物等を干しているときや選択竿を収納しているときに風が吹いても、物干し竿が前後に揺れることが少ない。
【0014】
また、請求項
1記載の物干し装置によれば、物干し竿を上昇させた際に、対向配置された一対のガイド部材の間に侵入すると共に制動駒と接触するので、ガイド部材によって前後方向の動きが規制される同時に左右方向(物干し竿の長手方向)への移動・揺れも制動駒を介してガイド部材に拘束されて防止される。また、制動駒は左右一対のガイド部材の幅を固定するので、ガイド部材自体に剛性がなくとも良い。
【0015】
請求項
2記載の物干し装置によれば、上昇した際の物干し竿は、ガイド部材の間に侵入すると同時にガイド部材によって前後方向に動きが規制されるので、前後方向に風に揺れることはない。しかも、制動駒は物干し竿の動きに追従して昇降するので、物干し竿の巻き上げを止めた位置即ち任意の高さ位置で物干し竿の前後左右方向の揺れを止めることが可能となる。また、ガイド部材の上ストロークエンドまで巻き上げなくとも、ガイド部材の任意の位置で停止させてその位置に止めることができるので、紐状部材に過張力がかかることが少なく、紐状部材の切断の恐れが少ない。
【0016】
請求項
3記載の物干し装置によれば、紐状部材を引き上げることで物干し竿をガイド部材の間にスムーズに誘導が可能である。
【0017】
請求項
4記載の物干し装置によれば、紐状部材を最も送り出した状態ではどちら方向に回転させても紐状部材を巻き戻す構造とされているので、即ち同じ方向に昇降装置を回し続けても物干し竿が最下端に達した後は再び上昇に転じるので、紐状部材を最も引き出した後の誤操作によっても装置の破損の恐れはない。
【0018】
請求項
5記載の物干し装置によれば、物干し竿に安全荷重を超える過度な荷重がかかった場合には、紐状部材が切断されることにより、物干し装置の昇降装置側において破損等が起きないようにできるので、装置本体の落下やテラス屋根やベランダ軒下などの建物躯体側の損傷も未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書においては、特段の断りがない限り、前後方向とは物干し竿と直交する水平方向(図中、符号Yで示す方向)、左右方向とは物干し竿の長手方向(図中、符号Xで示す方向)、上下方向とは物干し竿と直交する鉛直方向(図中、符号Zで示す方向)を意味する。また、本明細書においては、物干し竿が上昇する位置を第1の位置、および下降する位置を第2の位置とする。ここで、第1の位置という用語は、洗濯物等を干すあるいは物干し竿を収納するのに物干し竿を上昇させる位置を意味し、1点の高さ位置を意味する場合もあれば、一定の幅を有する高さ位置を意味する場合もあるものとして用いる。特に、本実施形態の場合には、洗濯物等を干したりあるいは物干し竿を収納したりする物干し竿の吊り下げ高さとして設定された一定の幅Aを有する第1の位置を「物干し竿セット位置」と呼ぶ。また、第2の位置という用語は、第1の位置より低い位置を意味するものであり、主に洗濯物等を掛けるときや洗濯物を取り込むときなどに物干し竿を下げる好みの高さを意味するものとして用いる。
【0021】
図1及び
図2に、本発明の物干し竿装置の一実施形態を示す。この物干し竿装置は、物干し竿1と、この物干し竿1の左右両端を支持して吊り下げる紐状部材2と、物干し竿1の両端の紐状部材2を同時に同量ずつ上昇させあるいは降下させる昇降装置3と、昇降装置3あるいは直に建物躯体等から垂下して物干し竿セット位置にある物干し竿1を前後方向Yから挟むように配置された少なくとも1組のガイド部材4とを備え、洗濯物等を掛けるときや洗濯物を取り込むときなどには物干し竿1を好みの高さまで下げ、洗濯物等を干すときあるいは物干し竿1を収納するときには物干し竿セット位置に上昇させる物干し竿1をガイド部材4の間に引き込んで物干し竿1の前後方向の移動をガイド部材4によって規制して揺れることがないようにしている。
【0022】
ここで、ガイド部材4は、物干し竿1を挟むようにその両側に配置され、物干し竿1の前後方向への移動を規制し得るものであれば足り、物干し竿1を挟んで対称に配置されるものに限られなければならない理由はない。例えば、本実施形態の場合、
図1及び
図7に示すように、物干し竿1の両端をそれぞれ前後に配置した2対のガイド部材4によって物干し竿1が前後方向に揺れないように支持する1組のガイド部材を構成するようにしているが、物干し竿1の長手方向(左右方向)に少なくとも3本のガイド部材4を交互にずらして三角形の頂点を形成するように配置しても、物干し竿が前後方向に揺れるのを阻止することはできる。
【0023】
本実施形態のガイド部材4は、ステンレス鋼棒をU形に曲げて成るものが採用されており、物干し竿1を挟むように前後に2本並べて組み合わせて用いられている。物干し竿1を挟んで前後に配置することにより、物干し竿1が前後方向に移動しないように設けられている。本実施形態の場合、一対のU形棒4は、鉛直に垂下する紐状部材2を中心に配置して対称に配置され、物干し竿1を挟むように並べて配置されている。この場合、紐状部材2の巻き上げによって物干し竿1を上昇させる際に、必然的に一対のガイド部材4の間に物干し竿1が容易に誘導される。
【0024】
ガイド部材4は、必ずしも第1の紐状部材2a及び第2の紐状部材2bがプーリ8a,8bからそれぞれ垂下する位置に配置しなくとも良い。また、ガイド部材4は、物干し竿1を前後方向から挟んで物干し竿1が前後方向に揺れるのを阻止し得るものであれば良く、必ずしも第1の紐状部材2a及び第2の紐状部材2bに沿って前後方向に重なるように配置されなくとも良い。つまり、垂下する第1の紐状部材2a及び第2の紐状部材2bから離れた位置で物干し竿1を前後方向から挟むようにしても良いし、あるいは前後のガイド部材4が左右方向にずれて配置されるようにしても良い。
【0025】
また、ガイド部材4の設置位置は、好ましくは洗濯物等を干すのに適した高さであり、また物干し竿1を収納する位置である。ガイド部材4がケーシング10に取り付けられ、テラス屋根やベランダ軒下などに据え付けられる場合には、例えば、床面から例えば2200mm〜2500mm程度の範囲に占位するように設けられるが、これに特に限られるものではなく、必要に応じて適宜高さに備え付けられる。ここで、物干し竿セット位置は、物干し竿1を挟んで物干し竿1の前後に配置された1組のガイド部材4の間に物干し竿の最大幅部が侵入した位置から上昇端までの範囲であり、あるいはその間で定められる一点であり、その間で任意に設定し得るものである。
【0026】
また、前後一対のガイド部材4の間には、
図3に示すように、物干し竿1と接触して物干し竿1の動きを阻止する制動駒5が前後のガイド部材4に跨がるように配置されている。この制動駒5は、例えば
図4に示すように、ポリアセタール(ポリオキシメチレン:POM)などの合成樹脂によって円柱状に成形され、周面の一部に接線方向のスリット形のくぼみ(すり割りと呼ぶ)21が4箇所形成され、U形棒から成るガイド部材4の内側の周面が各すり割り21に嵌まり込むことで、前後左右方向には動かないが上下方向には摺動可能に支持されている。制動駒5の中央には、紐状部材2を貫通させる紐通し孔22が設けられている。紐通し孔22は、前述のすり割り21の平坦な底面と平行な方向、即ちガイド部材4の中に制動駒5を嵌め込んだときに、鉛直方向に紐通し孔22が配置されるように開けられている。
【0027】
物干し竿1を挟んでその両側に対称にガイド部材4を配置する場合には、両側のガイド部材4の間に跨がるように配置される制動駒5によって、前後一対のガイド部材4の間が固定されるので、単一のガイド部材4に十分な剛性が備わっていなくとも、物干し竿1の揺れを抑えるのに十分な強度が全体として得られる。この場合、単体としてのガイド部材4の機械的強度を低くすることができるので、部品のコストダウンが可能となる。
【0028】
また、制動駒5はガイド部材4に対して固定されても良いが、好ましくは物干し竿1の昇降に伴ってガイド部材4内を移動可能とする摺動式とすることである。この場合には、制動駒5の可動範囲、即ちガイド部材4の範囲内で物干し竿1を吊り上げる高さ・位置を任意に選定でき、かつその位置で前後・左右方向の動きを留めることができる。即ち、制動駒5は、上昇する物干し竿1に押し上げられて一緒に持ち上げられるので、ガイド部材4の途中段階でも物干し竿1の上昇が停止されると、その位置で制動駒5の働きで物干し竿1が前後・左右に動かない。つまり、風に揺れない。また、制動駒5を摺動式とする場合には、ガイド部材4の内部空間4aの中を摺動する制動駒5がガイド部材4から抜け落ちないようにするため、ガイド部材4には制動駒5の降下端を定める底辺を設けることが好ましい。例えば
図3に示すようなU形棒であることが好ましい。この場合、制動駒5はU形棒の最下端に達しても落下しない。また、図示していないが、板状のガイド部材4の場合には、制動駒5を上下方向にガイドするための閉じた長孔が鉛直方向に形成されることで実現できる。要は樹脂製制動駒5(スライドブロック)が前後・左右にがたつかずに上下方向に摺動できるガイド構造であれば足りる。
【0029】
ここで、ガイド部材4は、図示したようなU形の棒に限られない。図示していないが、単なる一本の真っ直ぐな棒を平行に2本並べたものや、短冊状の板材のようなものでも実施可能である。また、板材を利用したガイド部材の場合には、例えば上下方向に長い長孔をあけることによって制動駒5を摺動可能に支持させることができる。
【0030】
また、制動駒5の物干し竿1と接触する底面は物干し竿1の表面形状にほぼ沿った曲面に成形されて位置決めを容易にすると共に接触面を広くして物干し竿が動き難くするように設けられている。制動駒5の下端には物干し竿1を受け入れる半円形の凹部20が形成され、その中心に紐状部材2を通過させる紐通し孔22が開けられている。しかしながら、制動駒5の底面は特に曲面・半円形の凹部20である必要はなく、物干し竿1の曲面に対して接線となる直線(
図3(B)参照)であっても接触による摩擦で物干し竿1の動きを阻止することはできる。
【0031】
昇降装置3は、紐状部材2を巻き上げる巻上げドラム6と、巻上げドラム6を回転させる手動ないし電動の駆動源例えば手巻きウインチ7と、紐状部材2の牽引方向を変えるプーリ8a,8b,14と、それらを収納しテラス屋根あるいはベランダ軒下などの建物躯体9に据え付けるためのケーシング10とで構成されている。本実施形態の場合、ガイド部材4はケーシング10に取り付けられ、ケーシング10から垂下するように組み込まれている。この場合、昇降装置3によって巻き上げされる紐状部材2とガイド部材4との位置関係が予め設定されかつ固定されるので、テラス屋根あるいはベランダ軒下などの建物躯体9にケーシング10を据え付けるだけで、テラス内あるいはベランダの下の好ましい場所に物干し装置を容易に設置することができる。勿論、昇降装置3とガイド部材4とは分離されて別々にテラスあるいはベランダなどの建物躯体9に据え付けるようにしても良い。
【0032】
ここで、紐状部材2は、本実施形態においては物干し竿の一端を吊り下げる第1の紐状部材2aと他端を吊り下げる第2の紐状部材2bとを第3の紐状部材2cに縛り付け、第3の紐状部材2cだけを巻上げドラム6で巻き取るようにしている。他方、第1の紐状部材2aはケーシング10の左寄りに配置された第1のプーリ8aを経由して下向きに変向させられてから物干し竿1の一端(
図1及び
図10において紙面に向かって左側)に係留される。また、第2の紐状部材2bは第1のプーリ8aとケーシング10の右寄りに配置された第2のプーリ8bとを経由することによって物干し竿1の他端(
図1及び
図10において紙面に向かって右側)で下向きに変向させられてから物干し竿1の他端に係留されている。これにより、物干し竿1の左右の昇降の同期を図ると共に、巻上げドラム6に巻き取られる紐状部材の量を半分にしてその分だけ巻上げドラム6を含む駆動ユニットを小型化できるようにしている。尚、紐状部材2としては、本実施形態の場合、ロープを用いているがこれに特に限られるものではなく、ワイヤやチェーンなどでも良い。また、本実施形態では昇降装置の駆動源7として手巻きウインチを用いているが、電動ウインチなどでも可能であることは言うまでもない。
【0033】
第3の紐状部材2cは第1及び第2の紐状部材2a,2bと別個の独立した存在として設ける必要はなく、第1の紐状部材2aあるいは第2の紐状部材2bのいずれか一方を直接巻上ドラム6に取り付けると共に、その途中に他方の紐状部材を結束するようにしても良い。例えば、本実施形態の場合には、
図7及び
図8に示すように、第2の紐状部材2bを直接に巻上ドラム6に巻き付ける一方、この第2の紐状部材2bの途中に第1の紐状部材2aの後端を結束ワイヤ11で結束して固定し、結束位置よりも巻上ドラム6側寄りの第2の紐状部材2bによって第3の紐状部材2cを兼ねるようにしている。
【0034】
また、巻上ドラム6には、巻き上げ位置が順次径の大きい方(隣)に移るように作用するテーパードラムが採用されており、第3の紐状部材(第2の紐状部材2bの一部)2cを重なることなく巻き上げるようにしている。これにより、第3の紐状部材2cが巻上ドラム6に均して巻き上げられるので狭いスペースでも必要な量の巻き上げが可能となる。また、本実施形態においては、昇降装置3の巻き上げ機構は、
図6に示すように、巻上ドラム6の中に引き込み窓12から紐状部材2の端部(第3の紐状部材2c)を引き込んでビス軸13で固定することで、紐状部材2を全て引き出した状態ではどちらの方向に回転させても紐状部材2を巻上ドラム6に巻き取り得る構造、即ちどちら方向にも巻き取れる構造とされている。したがって、紐状部材2が巻上ドラム6から解かれて全て引き出された後も巻上ドラム6を回転させ続けても、紐状部材2が巻き上げられることとなるので、再び物干し竿1が上昇に転ずることで、物干し竿1が下端位置に達したことを知ることができると共に破損を防止することができる。
【0035】
物干し竿1の両端を支持する紐状部材2、即ち本実施形態においては第1の紐状部材2aと第2の紐状部材2bは、特定の取り付け方法あるいは構造によって取り付けられるものではなく、様々な締結方法・構造で取り付け可能である。例えば紐状部材の先端に物干し竿に掛かる輪を設けて吊る単純な構造にしても良いが、物干し竿の内部に配置した係止部材によってそれぞれの先端が個別に固定されることで物干し竿に係留させるようにしても良いし、第1の紐状部材と第2の紐状部材とが連結されてループ状となって物干し竿の中を通させて物干し竿1を支持させるようにしても良い。
【0036】
図5に、第1の紐状部材2aと第2の紐状部材2bの各々の先端を係止部材を介して物干し竿1に係留させる例を示す。この係止部材は、例えば首下部分に紐状部材2が貫通する径方向の紐通し孔25が設けられボルト23と、該ボルト23に螺合されるナット24及び一組の座金26,26とで構成され、ボルト23の紐通し孔25を貫通する紐状部材2を座金26,26で挟み付けるようにしてボルト23の頭部とナット24とで締め付けることにより固定するものである。紐状部材2と係止部材とは、例えば、物干し竿1の紐通し孔27から中に挿入された紐状部材2の先端を端部開口から物干し竿1の外に一旦取り出してから、ボルト23の首下の2枚の座金26の間の紐通し孔25に通してナット24を締め付けることで組み立てられる。そして、紐状部材2の先端に固定されたボルト23及びナット24の組み合わせから成る係止部材が物干し竿1の紐通し孔27の周囲に引っ掛かって、紐状部材2が物干し竿1に係留されるようにしたものである。勿論、紐状部材2a,2bの先端に係留部を形成する係止部材としては前述の方法に限られるものではなく、様々な形態を採ることができることは言うまでもない。また、第1の紐状部材2aと第2の紐状部材2bとを物干し竿1の中で直に結んで連結してループ状とすることにより、物干し竿1を支持させるようにしても良い。
【0037】
また、紐状部材2は、物干し竿1に安全荷重を超える過度な荷重がかかった場合に意図的に切断される箇所を有することが好ましい。例えば、
図11に示すように、物干し竿1の中で第1紐状部材2aと第2紐状部材2bとをセーフティ連結具16を介して連結するようにしても良い。セーフティ連結具16は、
図11及び
図12に示すように、第1紐状部材2aを取り付ける第1係留部16aと第2紐状部材2bを取り付ける第2係留部16bとこれらを連結し安全荷重を超える過剰荷重が作用したときに破断する破断部16cとを備え、破断部16cが破断したときに第1係留部16aと第2係留部16bとが分離されてそれぞれ物干し竿1の両端の端末キャップ15の係止爪部15aの紐状部材受け18の周辺に引っ掛かることによって、紐状部材2a,2bの末端と物干し竿1とが切り離されることなく係合状態が維持されるように設けられている。したがって、子供などがぶら下がるなどの過負荷が作用したときには、セーフティ連結具16が破断して、第1紐状部材2aと第2紐状部材2bとが分離されて第1係留部と第2係留部とが物干し竿1に引っ掛かるまで物干し竿1の吊り下げ位置を下げることによって、過負荷が装置本体たる昇降装置3に作用しつづけてその破損を招いたり落下することを阻止することができる。
【0038】
ここで、第1係留部16aと第2係留部16bとには、第1紐状部材2a及び第2紐状部材2bを通すためのL形の紐通し孔17がそれぞれ設けられ、各L形紐通し孔17に第1紐状部材2aあるいは第2紐状部材2bをそれぞれ通してから先端を結んで玉を作り、抜け止めとすることにより、紐状部材2a,2bが固定されている。本実施形態では、破断部16cは、第1係留部16aと第2係留部16bとの境界の細く括れた軸部で構成され、安全荷重を超える過剰な荷重例えばおおよそ45kg前後で破断するように、軸部から成る破断部16cが直径3.7mm、樹脂引張強度41N/mm
2程度に形成されている。
【0039】
因みに、上述の実施形態では物干し竿1の中で第1紐状部材2aと第2紐状部材2bとをセーフティ連結具16を用いて繋いでいるが、これに特に限定されるものではなく、物干し竿1の外においてセーフティ連結具16を用いて紐状部材2を繋ぐことにより、物干し竿1に安全荷重を超える過度な荷重がかかった場合に紐状部材2が意図的に切断される箇所を設けるようにしても良い。
【0040】
このセーフティ連結具16は、本実施形態の場合、物干し竿1の一方の端部に寄せて配置されており、破断したときに第1紐状部材2aが取り付けられた第1係留部16aと、第2紐状部材2bが取り付けられた第2係留部16bとがそれぞれ物干し竿1の端末キャップ15の紐通し孔19に引っ掛かって止まるまでの時間に時間差を与えるように設定されている。換言すれば、物干し竿1の左右で第1の係留部16aと第2の係留部16bがそれぞれ引っ掛かるまでの各々の紐状部材2a,2bの長さを異ならせることにより、物干し竿1の左右で落下距離が異なるように設けられている。したがって、物干し竿1のセーフティ連結具16が配置された側の端部は殆ど落下することがなく、反対側の端部がほぼ物干し竿1の長さに相当する範囲内で落下する。これにより、物し竿1は大きく傾いたり、あるいは床に一端が接することにより、物干し竿にかかった過荷重がそのまま昇降装置3のケーシング10やテラス屋根やベランダ軒下の建物躯体9にかかることがないように配慮されている。
【0041】
勿論、第1紐状部材2aと第2紐状部材2bとをセーフティ連結具16で連結する位置は、上述の如く、物干し竿1の一方の端部の近くに限られるものではない。場合によっては、物干し竿1のほぼ中央位置で連結するようにしても良い。この場合、物干し竿1の落下量が左右で等しくなるので、物干し竿に傾きが生ずることがない。したがって、干されている洗濯物等が一端に偏ったり、ずり落ちたりすることがない。しかし、この場合においても、物干し竿1が一瞬自然落下するような状態になるので、ぶら下がっていた子供等は手を離すことになるであろうことから、あるいは足が床に着いてしまうことから、装置本体の落下や破壊に繋がるようなことにはならないと思われる。
【0042】
ここで、物干し竿1の両端開口を塞ぐ端末キャップ15には、物干し竿1の内部に挿入される係止爪部15a,15bを有し、該係止爪部15a,15bに物干し竿1の径方向に貫通するねじを通す雌ねじ(あるいはタッピングねじ用の下孔)19が設けられている。そして、物干し竿1の外からタッピンねじあるいはビス28をねじ込んで、物干し竿1内に係止爪部15a,15bが挿入された端末キャップ15を固定するように設けられている。また、端末キャップの紐状部材が通される側の係止爪部15aの先端には、紐状部材2の方向転換を可能とするための半円状の曲面から成る、プーリ代わりの紐状部材受け18が設けられている。
【0043】
以上のように構成された物干し装置によれば、テラス屋根あるいは軒天井に物干し竿1が上下昇降自在に設けられているため、物干し竿1を使わないときには物干し竿1を上昇させて安全に邪魔にならないように納めることができ。また、物干し竿1を任意の高さまで下降させて洗濯物を干すことができて、使い勝手の良いものである。
【0044】
しかも、洗濯物を干しているときあるいは物干し竿を収納している時には、風が吹いてもガイド部材4で少なくとも前後方向に拘束されているので、揺れることがない。特に、制動駒5を備えている場合には、制動駒5との接触並びに制動駒5の中心の紐通し孔22を経由して紐状部材2a,2bが垂下されることから、紐状部材2a,2bの位置が拘束されるので、物干し竿1の前後左右への揺れを抑えることができる。さらに、制動駒5が上下方向に移動可能にガイド部材4に保持されている場合には、物干し竿1と共に制動駒5がガイド部材4の内部空間4aの中を昇降するので、ガイド部材4で規定される物干し竿セット位置の範囲内の任意の位置で停止させたときに、その位置で物干し竿1の前後左右への揺れを抑えることができる。つまり、制動駒5は物干し竿1の動きに追従して昇降するので、物干し竿1の巻き上げを止めた位置即ち任意の高さ位置で物干し竿1の前後左右方向の揺れを止めることが可能となる。したがって、ガイド部材4の上ストロークエンドまで巻き上げて物干し竿1を止めなくとも、ガイド部材4の任意の位置で停止させてその位置に止めることができるので、紐状部材2に過張力がかかることが少なく、紐状部材2の切断の恐れが少ない。
【0045】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本発明にかかる物干し装置は、上述の実施形態では主に屋外で使用するものとして説明したが、これに特にかぎられるものではなく、屋内での洗濯物等の衣類を乾燥させるものとして使用することも可能であることは言うまでもない。