特許第6467232号(P6467232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467232ガス発生器用の閉塞部材の支持構造とそれを使用したガス発生器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467232
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】ガス発生器用の閉塞部材の支持構造とそれを使用したガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/272 20060101AFI20190128BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20190128BHJP
【FI】
   B60R21/272
   B01J7/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-13400(P2015-13400)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-137794(P2016-137794A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】小林 睦治
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06062599(US,A)
【文献】 特開2009−292238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出口を有する筒状ハウジング内に点火手段が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記筒状ハウジング内に配置してガスの排出経路を閉塞するための閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造であって、
前記支持部材が、ベース部と、前記ベース部の中心部から一方向に延ばされた筒形状を除いた柱形状の第1支持部材を有しており、さらに前記ベース部および前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材の少なくとも一部にガス通過孔を有しているものであり、
前記閉塞部材が、第1面と第2面を有する板状のものであり、
前記閉塞部材が、前記第1面または前記第2面の中心部に前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材先端面が当接されることで一面側から支持されており、前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口されるものである、ガス発生器用の閉塞部材の支持構造。
【請求項2】
ガス排出口を有する筒状ハウジング内に点火手段が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記筒状ハウジング内に配置してガスの排出経路を閉塞するための閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造であって、
前記支持部材が、ベース部と、前記ベース部の中心部から一方向に延ばされた筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と、前記ベース部の周囲から第1支持部材と同一方向に延ばされた環状の第2支持部材を有しており、さらに前記ベース部、前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材および前記環状の第2支持部材の少なくとも一部にガス通過孔を有しているものであり、
前記閉塞部材が、第1面と第2面を有する板状のものであり、
前記閉塞部材が、前記第1面または前記第2面の中心部に前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材先端面が当接されることで一面側から支持され、前記支持された一面側の外周縁部に前記支持部材の環状の第2支持部材が当接されており、前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口されるものである、ガス発生器用の閉塞部材の支持構造。
【請求項3】
前記板状の閉塞部材が、底面部と、前記底面部の外周から一方向に延ばされた周壁部を有しているものであり、前記周壁部で囲まれた側の底面部が第1面であり、反対面が第2面となるものである、請求項1または2記載のガス発生器用の閉塞部材の支持構造。
【請求項4】
前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材が当接されていない環状面、または前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と前記閉塞部材の前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面が環状の脆弱部を有している、請求項1または2記載のガス発生器用の閉塞部材の支持構造。
【請求項5】
前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材が当接されていない環状面、または前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と前記閉塞部材の前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面が環状の脆弱部を有しており、さらに前記環状の脆弱部を横切って放射状に形成された複数本の脆弱部を有している、請求項1または2記載のガス発生器用の閉塞部材の支持構造。
【請求項6】
筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記ディフューザ部と前記加圧ガス室の間のガス排出経路と前記燃焼室と前記加圧ガス室の間のガス排出経路の少なくとも一方が、請求項1または2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口され、前記ガス通過孔からガスを排出させるものである、ガス発生器。
【請求項7】
筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記ディフューザ部と前記加圧ガス室の間のガス排出経路が請求項2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されており、前記閉塞部材の支持構造の支持部材が前記ディフューザ部からなるものであり、
前記ディフューザ部が、
ベース部と、前記ベース部の周囲から一方向に延ばされた環状の第2支持部材と、前記ベース部の中心部から環状の第2支持部材と同一方向に延ばされた筒形状を除いた柱形状の第1支持部材を有しており、さらに前記ベース部の前記環状の第2支持部材と前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材がない部分および前記環状の第2支持部材の少なくとも一部に前記ガス排出口を有しているものであり、
前記閉塞部材が、前記加圧ガス室側が第1面となり、前記ディフューザ部側が第2面となるように配置されているものであり、
前記閉塞部材が、前記閉塞部材の第2面側の外周縁部に前記ディフューザ部の環状の第2支持部材が当接され、前記閉塞部材の第2面側の中心部に前記ディフューザ部の第1支持部材先端面が当接されることで支持されており、前記環状の第2支持部材と前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス排出口からガスを排出させるものである、ガス発生器。
【請求項8】
筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記燃焼室と前記加圧ガス室の間のガス排出経路が請求項2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されているものであり、
前記閉塞部材の支持構造の支持部材が前記加圧ガス室側に配置され、前記閉塞部材が前記燃焼室側に配置されており、
前記閉塞部材が、前記燃焼室側が第1面となり、前記加圧ガス室側が第2面となるように配置されているものであり、
前記閉塞部材の第2面の外周縁部に前記支持部材の環状の第2支持部材が当接され、前記閉塞部材の第2面の中心部に前記第1支持部材先端面が当接されることで支持されており、前記環状の第2支持部材と前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材の先端面が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス通過孔によって燃焼室と加圧ガス室が連通する、ガス発生器。
【請求項9】
筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、前記第1端部とは軸方向反対側の第2端部側が閉塞されており、
前記筒状ハウジングの第1端部側に内部にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、前記筒状ハウジングの第2端部側に内部に加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、前記燃焼室と前記加圧ガス室の間にガス排出口を有するガス流入室が配置されているガス発生器であって、
前記燃焼室と前記ガス流入室の間が請求項2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造を使用した第1閉塞部材で閉塞され、前記加圧ガス室と前記ガス流入室の間が第2閉塞部材で閉塞されており、
前記ガス流入室内には、作動時に軸方向に摺動可能な可動体が配置されており、
前記可動体が、前記燃焼室の内周面に沿って摺動可能なベース部と、前記ベース部から前記第2閉塞部材側に突き出されたロッド部を有しているものであり、
前記ベース部が、前記閉塞部材の支持構造における支持部材となるものであり、
前記ベース部が、ベース部の中心部から前記点火手段方向に延ばされた筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と、前記ベース部の周囲から前記点火手段方向に延ばされた環状の第2支持部材を有しており、さらに前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と前記ベース部の前記環状の第2支持部材とがない部分にガス通過孔を有しているものであり、
前記第1閉塞部材が、前記点火手段側の第1面と前記ガス流入室側の第2面を有する板状のものであり、
前記第1閉塞部材が、前記第2面の中心部に前記ベース部の第1支持部材先端面が当接され、前記第2面の外周縁部に前記ベース部の環状の第2支持部材が当接されることで支持されており、前記筒形状を除いた柱形状の第1支持部材と前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記第1閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス通過孔によって燃焼室とガス流入室が連通する、ガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエアバッグ装置などに使用するガス発生器用の閉塞部材の支持構造と、それを使用したガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエアバッグ装置などに使用するガス発生器は、膨張ガス源として加圧ガスを使用したもの、ガス発生剤を使用したもの、加圧ガスとガス発生剤を併用したものが使用されている。
【0003】
加圧ガスを使用したものは、加圧ガスが充填された膨張ガス源室(加圧ガス室)とガス排出口に至るガス排出経路の間が閉塞部材で閉塞されており、作動時において前記閉塞部材が開裂することでガス排出経路が開放される構造になっているものがある。
【0004】
特許文献1の図2には、コンテナー30内のチャンバー50に加圧ガスが充填されたインフレータ22が示されており、チャンバー50の排出口は、破裂板92で閉塞されている。
破裂板92は、周辺部が面78に対してレーザー溶接され(レーザー溶接部94)、中心部を含む部分(ドーム形状部122)がサポート100で支持されている(図3)。
インフレータ22は、図3に示す作動前の状態から、作動後は図5図7に示すように動作して開口するものである。
点火器98の作動によって、サポート100の開口部116から破裂板92の中心部分であるドーム形状部122に圧力が加えられるため、図6に示すとおり、サポート100で支持されているドーム形状部122が切り離されて、破裂板92が開裂する。このため、インフレータ22内に切り離されたドーム形状部122が破片として存在することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,121,582号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、作動時に破裂板(閉塞部材)の破片によってガスの排出性能が影響されないガス発生器用の閉塞部材の支持構造と、それを使用したガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(以下「第1発明」という)は、ガス排出口を有する筒状ハウジング内に点火手段が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記筒状ハウジング内に配置してガスの排出経路を閉塞するための閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造であって、
前記支持部材が、ベース部と、前記ベース部の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材を有しており、さらに前記ベース部および前記凸状の第1支持部材の少なくとも一部にガス通過孔を有しているものであり、
前記閉塞部材が、第1面と第2面を有する板状のものであり、
前記閉塞部材が、前記第1面または前記第2面の中心部に前記第1支持部材先端面が当接されることで一面側から支持されており、前記凸状の第1支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口されるものである、ガス発生器用の閉塞部材の支持構造を提供する。
【0008】
第1発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、筒状ハウジング内のガス排出経路に配置して使用するものであり、閉塞部材が前記排出経路を閉塞し、支持部材が前記閉塞部材を支持するものである。
第1発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造では、閉塞部材は、支持部材のベース部の第1面側に形成された凸状の支持部材によって支持されており、さらに前記支持部材で支持されていない環状面を有している。
凸状の第1支持部材は、ベース部の第1面側に形成された柱形状の先端面を有しているものであり、先端面は平坦面、凹部面、曲面などでもよい。凸状の第1支持部材は、中空のものでもよいが、先端面のない筒形状のものは除かれる。
凸状の第1支持部材は、ベース部の第1面から延ばされたものでもよいし、ベース部の第2面側から第1面側に形成された凹部(すなわち、第1面側に突き出されたカップ状の凸部)からなるものでもよい。閉塞部材は第1支持部材の先端面に当接して支持される。先端面は全体が閉塞部材に当接してもよい。またその一部(例えば周縁部)が閉塞部材に当接してもよい。
【0009】
閉塞部材の外部形状は、ガス発生器のハウジングの内部形状(幅方向の断面形状)と一致する形状であり、支持部材のベース部の外部形状も同様である。
【0010】
ガス通過孔は、ベース部および凸状の第1支持部材の少なくとも一部に形成されている。
ベース部がガス通過孔を有しているときは厚さ方向に貫通した孔であり、ベース部の面に対して垂直方向の孔でもよいし、ベース部の面に対して斜め方向の孔でもよい。
凸状の第1支持部材が柱形状の第1支持部材であるときは、前記柱形状の第1支持部材のベース部に近接した位置からベース部を斜め方向に貫通した孔にすることができ、凸状の第1支持部材が第1面側に突き出された凸部で、第2面側から第1面側に形成された凹部を有するものであるときは、厚さ方向に貫通した孔(カップ状凸部面の周壁部に貫通した孔)にすることができる。
【0011】
第1発明の閉塞部材の支持構造をガス発生器に取り付けるときは、閉塞部材の周面をガス発生器のハウジングに対して溶接固定する。
なお、閉塞部材の周面の溶接固定が容易になるようにするため、閉塞部材の厚み(例えば外周部の厚み)を調整したり、閉塞部材を溶接するガス発生器のハウジングに溝や段差などを形成したりすることができる。
【0012】
第1発明の閉塞部材の支持構造をガス発生器のガス排出経路に配置したとき、膨張ガス源室の種類や位置との関係により異なる作用が発揮される。
(第1の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と常圧空間の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が加圧ガス室側になり、支持部材が常圧空間側になるように配置したときには、第1の作用と第2の作用の2つの作用が発揮される。
(1)第1の作用
閉塞部材の中心部が凸状の第1支持部材で支持され、周面がハウジングに対して溶接固定された状態で使用されるものであるため、ガス発生器の作動前における閉塞部材の耐圧性能が向上される。そのため、厚さの薄い閉塞部材を使用することができる。
(2)第2の作用
閉塞部材の凸状の第1支持部材で支持されていない環状面と、閉塞部材の凸状の第1支持部材で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂して、ガス排出経路が開放されやすくなっている。
閉塞部材の環状面が開裂したとき、閉塞部材の第1支持部材が当接された部分は略円形に千切れた状態で、第1支持部材の先端面に引っ掛かった状態で保持される。
【0013】
(第2の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と燃焼室の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が燃焼室側になり、支持部材が加圧ガス室になるように配置したときには、上記の第2の作用が発揮される。
【0014】
(第3の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と燃焼室の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が加圧ガス室側になり、支持部材が燃焼室側になるように配置したときには、上記の第1の作用が発揮される。本発明での環状面とは、円周方向に連続して形成された面をさし、その形状は問わない。
【0015】
本発明(以下「第2発明」という)は、ガス排出口を有する筒状ハウジング内に点火手段が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記筒状ハウジング内に配置してガスの排出経路を閉塞するための閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造であって、
前記支持部材が、ベース部と、前記ベース部の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材と、前記ベース部の周囲から第1支持部材と同一方向に延ばされた環状の第2支持部材を有しており、さらに前記ベース部、前記凸状の第1支持部材および前記環状の第2支持部材の少なくとも一部にガス通過孔を有しているものであり、
前記閉塞部材が、第1面と第2面を有する板状のものであり、
前記閉塞部材が、前記第1面または前記第2面の中心部に前記第1支持部材先端面が当接されることで一面側から支持され、前記支持された一面側の外周縁部に前記支持部材の環状の第2支持部材が当接されており、前記凸状の第1支持部材と前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口されるものである、ガス発生器用の閉塞部材の支持構造を提供する。
【0016】
第2発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、筒状ハウジング内のガス排出経路に配置して使用するものであり、閉塞部材が前記排出経路を閉塞し、支持部材が前記閉塞部材を支持するものである。
第2発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造では、閉塞部材は、支持部材のベース部の第1面側に形成された環状の第2支持部材と凸状の第1支持部材によって支持されており、さらに前記2つの支持部材で支持されていない環状面を有している。
環状の第2支持部材は、ベース部の第1面側の周囲から延ばされた環状壁からなるものである。
凸状の第1支持部材は、ベース部の第1面側に形成された柱形状の先端面を有しているものであり、先端面は平坦面、凹部面、曲面などでもよい。凸状の第1支持部材は、中空のものでもよいが、先端面のない筒形状のものは除かれる
凸状の第1支持部材は、ベース部の第1面から延ばされたものでもよいし、ベース部の第2面側から第1面側に形成された凹部(すなわち、第1面側に突き出されたカップ状の凸部)からなるものでもよい。閉塞部材は第1支持部材の先端面に当接して支持される。先端面は全体が閉塞部材に当接してもよい。またその一部(例えば周縁部)が閉塞部材に当接してもよい。
【0017】
閉塞部材の外部形状は、ガス発生器のハウジングの内部形状(幅方向の断面形状)と一致する形状であり、支持部材のベース部の外部形状も同様である。
環状の第2支持部材の外部形状(環の外側の形状)は、支持部材の外部形状と同じであるが、環状の第2支持部材の環の内側の形状は環の外側の形状と一致している必要はない。
【0018】
ガス通過孔は、ベース部、凸状の第1支持部材および環状の第2支持部材の少なくとも一部に形成されている。
ベース部がガス通過孔を有しているときは厚さ方向に貫通した孔であり、ベース部の面に対して垂直方向の孔でもよいし、ベース部の面に対して斜め方向の孔でもよい。
凸状の第1支持部材が柱形状の第1支持部材であるときは、前記柱形状の第1支持部材のベース部に近接した位置からベース部を斜め方向に貫通した孔にすることができる。
凸状の第1支持部材が第1面側に突き出された凸部で、第2面側から第1面側に形成された凹部を有するものであるときは、厚さ方向に貫通した孔(カップ状凸部面の周壁部に貫通した孔)にすることができる。
環状の第2支持部材がガス通過孔を有しているときは厚さ方向に貫通した孔であり、環状の第2支持部材の面に対して垂直方向の孔でもよいし、環状の第2支持部材の面に対して斜め方向の孔でもよい。
【0019】
第2発明の閉塞部材の支持構造をガス発生器に取り付けるときは、気密性を高めるため、閉塞部材の周面とガス発生器のハウジングとの間にシール剤を塗布することが好ましく、閉塞部材の周面とハウジングの内壁面を溶接することもできる。
なお、シール剤の塗布が容易になるようにするため、閉塞部材の厚み(例えば外周部の厚み)を調整したり、閉塞部材が当接するガス発生器のハウジングに溝や段差などを形成したりすることができる。
【0020】
第2発明の閉塞部材の支持構造をガス発生器のガス排出経路に配置したとき、膨張ガス源室の種類や位置との関係により異なる作用が発揮される。
(第1の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と常圧空間の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が加圧ガス室側になり、支持部材が常圧空間側になるように配置したときには、第1の作用と第2の作用の2つの作用が発揮される。
(1)第1の作用
閉塞部材の中心部が凸状の第1支持部材で支持され、閉塞部材の外周縁部が環状の第2支持部材で支持されており、前記凸状の第1支持部材と前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面を有しているものであるため、ガス発生器の作動前における閉塞部材の耐圧性能が向上される。そのため、厚さの薄い閉塞部材を使用することができる。
(2)第2の作用
閉塞部材の凸状の第1支持部材と環状の第2支持部材で支持されていない環状面と、閉塞部材の凸状の第1支持部材と環状の第2支持部材で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂し易く、破片も生じ難くなっている。
また、閉塞部材の環状面が開裂したとき、閉塞部材の凸状の第1支持部材が当接された部分は略円形に千切れた状態で、第1支持部材の先端面に引っ掛かった状態で保持される。
【0021】
(第2の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と燃焼室の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が燃焼室側になり、支持部材が加圧ガス室になるように配置したときには、上記の第2の作用が発揮される。
【0022】
(第3の形態)
ガス発生器が、加圧ガス室と燃焼室の間のガス排出経路を有しているとき、支持構造の閉塞部材が加圧ガス室側になり、支持部材が燃焼室側になるように配置したときには、上記の第1の作用が発揮される。本発明での環状面とは、円周方向に連続して形成された面をさし、その形状は問わない。
【0023】
第1発明と第2発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、前記板状の閉塞部材が、底面部と、前記底面部の外周から一方向に延ばされた周壁部を有しているものであり、前記周壁部が形成された側の底面部が第1面であり、反対面が第2面となるものが好ましい。
閉塞部材として底面部と周壁部を有しているものを使用すると、ガス発生器の筒状ハウジング内に取り付けやすいので好ましい。
【0024】
第1発明と第2発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、前記凸状の第1支持部材が当接されていない環状面、または前記凸状の第1支持部材と前記閉塞部材の前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面が環状の脆弱部を有しているものが好ましい。
このように脆弱部が形成された閉塞部材を使用すると、さらに前記環状面で開裂し易くなるので好ましい。
【0025】
第1発明と第2発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、前記凸状の第1支持部材が当接されていない環状面、または前記凸状の第1支持部材と前記閉塞部材の前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面が環状の脆弱部を有しており、さらに前記環状の脆弱部を横切って放射状に形成された複数本の脆弱部を有しているものが好ましい。
このように異なる脆弱部が形成された閉塞部材を使用すると、さらに前記環状面で開裂し易くなるので好ましい。
【0026】
本発明は、筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記ディフューザ部と前記加圧ガス室の間のガス排出経路と前記燃焼室と前記加圧ガス室の間のガス排出経路の少なくとも一方が、請求項1または2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が開裂することで開口され、前記ガス通過孔からガスを排出させるものである、ガス発生器を提供する。
【0027】
本発明のガス発生器は、ディフューザ部と加圧ガス室の間のガス排出経路と、燃焼室と加圧ガス室の間のガス排出経路の一方または両方が、第1発明または第2発明の閉塞部材の支持構造で閉塞されている。
本発明のガス発生器が第1発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の周面は筒状ハウジングに対して溶接固定され、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持されている。
本発明のガス発生器が第2発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持され、閉塞部材の外周縁部が第2支持部材で支持されている。
このように閉塞部材に対する支持強度が高められているため、ガス発生器の作動前における閉塞部材の耐久性を高めることができる(第1の作用)。
また、閉塞部材の支持部材で支持されていない環状面と、閉塞部材の支持部材で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂しやすくなっている。このように前記環状面は開裂し易くなっており、環状面であることから開裂時に破片も生じ難くなっている(第2の作用)。
閉塞部材は、環状面が上記した脆弱部を有しているものが好ましい。
【0028】
本発明は、筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記ディフューザ部と前記加圧ガス室の間のガス排出経路が請求項1記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されており、前記閉塞部材の支持構造の支持部材が前記ディフューザ部からなるものであり、
前記ディフューザ部が、
ベース部と、前記ベース部の周囲から一方向に延ばされた環状の第2支持部材と、前記ベース部の中心部から環状の第2支持部材と同一方向に延ばされた凸状の第1支持部材を有しており、さらに前記ベース部の前記環状の第2支持部材と前記凸状の第1支持部材がない部分および前記環状の第2支持部材の少なくとも一部に前記ガス排出口を有しているものであり、
前記閉塞部材が、前記加圧ガス室側が第1面となり、前記ディフューザ部側が第2面となるように配置されているものであり、
前記閉塞部材が、前記閉塞部材の第2面側の外周縁部に前記ディフューザ部の環状の第2支持部材が当接され、前記閉塞部材の第2面側の中心部に前記ディフューザ部の第1支持部材先端面が当接されることで支持されており、前記環状の第2支持部材と前記凸状の第1支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス排出口からガスを排出させるものである、ガス発生器を提供する。
【0029】
本発明のガス発生器は、ディフューザ部と加圧ガス室との間のガス排出経路が第1発明または第2発明の閉塞部材の支持構造で閉塞されているものであり、前記支持部材はディフューザ部としても機能しているものである。
支持部材となるディフューザ部は、筒状ハウジングの第2端部に固定されているものであるから、ディフューザ部(支持部材)がガス排出口を有している。
本発明のガス発生器が第1発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の周面は筒状ハウジングに対して溶接固定され、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持されている。
本発明のガス発生器が第2発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持され、閉塞部材の外周縁部が第2支持部材で支持されている。
このように閉塞部材に対する支持強度が高められているため、ガス発生器の作動前における閉塞部材の耐久性を高めることができる(第1の作用)。
また、閉塞部材の支持部材(ディフューザ部)で支持されていない環状面と、閉塞部材の支持部材(ディフューザ部)で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂しやすくなっている。このように前記環状面は開裂し易くなっており、環状面であることから開裂時に破片も生じ難くなっている(第2の作用)。
閉塞部材は、環状面が上記した脆弱部を有しているものが好ましい。
【0030】
本発明は、筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、第1端部側とは反対側の第2端部側にガス排出口を有するディフューザ部が取り付けられており、
前記点火手段側にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、
前記ディフューザ部側に膨張ガス源としての加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、
前記燃焼室と前記加圧ガス室の間のガス排出経路が請求項2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造により閉塞されているものであり、
前記閉塞部材の支持構造の支持部材が前記加圧ガス室側に配置され、前記閉塞部材が前記燃焼室側に配置されており、
前記閉塞部材が、前記燃焼室側が第1面となり、前記加圧ガス室側が第2面となるように配置されているものであり、
前記閉塞部材の第2面の外周縁部に前記支持部材の環状の第2支持部材が当接され、前記閉塞部材の第2面の中心部に前記第1支持部材先端面が当接されることで支持されており、前記環状の第2支持部材と前記凸状の第1支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス通過孔によって燃焼室と加圧ガス室が連通する、ガス発生器を提供する。
【0031】
本発明のガス発生器が第1発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の周面は筒状ハウジングに対して溶接固定され、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持されている。
本発明のガス発生器が第2発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持され、閉塞部材の外周縁部が第2支持部材で支持されている。
このように閉塞部材の支持部材で支持されていない環状面と、閉塞部材の支持部材で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂しやすくなっている。このように前記環状面は開裂し易くなっており、環状面であることから開裂時に破片も生じ難くなっている(第2の作用)。
閉塞部材は、環状面が上記した脆弱部を有しているものが好ましい。
【0032】
本発明は、筒状ハウジングの第1端部側に点火手段が取り付けられ、前記第1端部とは軸方向反対側の第2端部側が閉塞されており、
前記筒状ハウジングの第1端部側に内部にガス発生剤が充填された燃焼室が配置され、前記筒状ハウジングの第2端部側に内部に加圧ガスが充填された加圧ガス室が配置されており、前記燃焼室と前記加圧ガス室の間にガス排出口を有するガス流入室が配置されているガス発生器であって、
前記燃焼室と前記ガス流入室の間が請求項1または2記載の閉塞部材と、前記閉塞部材の支持部材の組み合わせからなる閉塞部材の支持構造を使用した第1閉塞部材で閉塞され、前記加圧ガス室と前記ガス流入室の間が第2閉塞部材で閉塞されており、
前記燃焼室内には、作動時に軸方向に摺動可能な可動体が配置されており、
前記可動体が、前記燃焼室の内周面に沿って摺動可能なベース部と、前記ベース部から前記ガス流入室側に突き出されたロッド部を有しているものであり、
前記ベース部が、前記閉塞部材の支持構造における支持部材となるものであり、
前記ベース部が、ベース部の中心部から前記点火手段方向に延ばされた凸状の第1支持部材と、前記ベース部の周囲から前記点火手段方向に延ばされた環状の第2支持部材を有しており、さらに前記凸状の第1支持部材と前記ベース部の前記環状の第2支持部材とがない部分にガス通過孔を有しているものであり、
前記第1閉塞部材が、前記点火手段側の第1面と前記ガス流入室側の第2面を有する板状のものであり、
前記第1閉塞部材が、前記第2面の中心部に前記ベース部の第1支持部材先端面が当接され、前記第2面の外周縁部に前記ベース部の環状の第2支持部材が当接されることで支持されており、前記凸状の第1支持部材と前記環状の第2支持部材が当接されていない環状面を有しているものであり、
作動時においては、前記第1閉塞部材の前記環状面が環状に開裂することで開口され、前記ガス通過孔によって燃焼室とガス流入室が連通する、ガス発生器を提供する。
【0033】
本発明のガス発生器は、燃焼室とガス排出口を有するガス流入室の間のガス排出経路が上記した第1発明または第2発明の閉塞部材の支持構造で閉塞されているものである。
支持部材は、第2閉塞部材を開裂させるための可動体のベース部としても機能するものである。
本発明のガス発生器が第1発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、第1閉塞部材の周面は筒状ハウジングに対して溶接固定され、第1閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持されている。
本発明のガス発生器が第2発明の閉塞部材の支持構造を使用しているときは、第1閉塞部材の中心部は第1支持部材で支持され、第1閉塞部材の外周縁部が第2支持部材で支持されている。
このように第1閉塞部材に対する支持強度が高められているため、ガス発生器の作動前における閉塞部材の耐久性を高めることができる(第1の作用)。
また、第1閉塞部材の支持部材(可動体のベース部)で支持されていない環状面と、閉塞部材の支持部材(可動体のベース部)で支持された残部面を比べると、強度(支持強度)に大きな差があることから、ガス発生器の作動時には前記環状面において開裂しやすくなっている。このように前記環状面は開裂し易くなっており、環状面であることから開裂時に破片も生じ難くなっている(第2の作用)。
第1閉塞部材は、環状面が上記した脆弱部を有しているものが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、ガス発生器のガス排出経路を閉塞するための閉塞部材に対する支持強度を高め、また閉塞部材の破片によってガスの排出性能が影響されないものとすることができる。
本発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造を使用したガス発生器は、薄い閉塞部材を使用した場合でも、作動前には閉塞部材の耐久性を高めることができるようになり、支持部材で支持されていない部分で開裂させることと、薄い閉塞部材を使用したことで、作動時にはより開裂し易く、かつ破片も生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明(第1発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造の軸方向断面図
図2】(a)は、図1の閉塞部材における脆弱部の形成位置を説明するための平面図、(b)は(a)とは別実施形態の平面図。
図3】本発明(第1発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造を使用したガス発生器の軸方向断面図。
図4】(a)は本発明(第2発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造の軸方向断面図、(b)は(a)の閉塞部材における脆弱部の形成位置を説明するための平面図、(c)は(b)とは別実施形態の平面図。
図5図4(a)とは別実施形態である本発明(第2発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造の軸方向断面図。
図6図4(a)、図5とは別実施形態である本発明(第2発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造の軸方向断面図。
図7】本発明(第2発明)のガス発生器用の閉塞部材の支持構造を使用したガス発生器の軸方向断面図。
図8図7のガス発生器とは別実施形態であるガス発生器の軸方向の部分断面図であり、(a)は作動前の状態、(b)は作動後の状態を示している。
図9図7のガス発生器とはさらに別実施形態であるガス発生器の軸方向の部分断面図であり、(a)は作動前の状態、(b)は作動後の状態を示している。
図10図7のガス発生器とはさらに別実施形態であるガス発生器の軸方向の部分断面図。
図11図7のガス発生器とはさらに別実施形態であるガス発生器の軸方向の部分断面図。
図12】本発明の別実施形態であるガス発生器の軸方向断面図。
図13】本発明の別実施形態であるガス発生器の軸方向断面図。
図14】本発明の別実施形態であるガス発生器の軸方向断面図。
図15図14の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1のガス発生器用の閉塞部材の支持構造>
第1発明の図1図2に示すガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、ディフューザ部(ガス排出口)を有する筒状ハウジング内に点火手段(点火器を含む)が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記ディフューザ部(ガス排出口)と前記膨張ガス源室の間のガス排出経路を閉塞するために使用するものである。
本発明の閉塞部材の支持構造は、ガス発生器のハウジングと同じ材質からなるものが好ましく、鉄、ステンレスなどからなるものが好ましい。
膨張ガス源室は、ガス発生剤が充填された空間、ガス源としての加圧ガス(アルゴン、ヘリウムなど)が充填された空間、またはそれらの両方が充填された空間である。
以下の実施形態全体を通して使用されるガス発生剤とは、膨張用のガスを供給する機能を有するものでもよく、加圧ガス室内に充填された膨張ガス源を加熱させる熱を供給する機能を有するものであってもよい。
【0037】
図1に示す閉塞部材の支持構造1Aは、閉塞部材2と、閉塞部材2の支持部材10Aの組み合わせからなる。
支持部材10Aは、ベース部11と、ベース部11の第1面11aの中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材13を有している。第1支持部材13は、先端面は平坦面である。
ベース部11には、第1面11aから第2面11bまで貫通した複数のガス通過孔15aが形成されている。複数のガス通過孔15aは、周方向に等間隔で形成されている。
【0038】
閉塞部材2は、底面部3と、底面部3の外周から一方向に延ばされた周壁部4を有している。底面部3と周壁部4は、一体に形成されている。
閉塞部材2は、周壁部3で囲まれた側の底面部3が第1面3aであり、反対面が第2面3bとなるものである。
閉塞部材2と支持部材10Aのベース部11は、ベース部11の外径の方が大きくなっている。
【0039】
閉塞部材2は、第2面3bの中心部に第1支持部材13の先端面が当接されることで支持されている。図1では第1支持部材13の先端面全体が第2面3bに当接されている。なお、底面部3と凸状の第1支持部材13の当接部分を溶接することもできる。
閉塞部材2は、凸状の第1支持部材13と当接されていない底面部3に環状面5を有している。
環状面5は、円形のほか、多角形、好ましくは角が丸みを帯びた多角形にすることもできる。
【0040】
閉塞部材2の環状面5は、図2(a)に示すように、開裂し易くするための環状の脆弱部6を有しているものが好ましい。
環状の脆弱部6は、環状面5の幅(X)の中間位置(1/2Xの位置)に形成されているが、図2(a)に示す位置よりも周壁部4側に形成することもできるし、中心部側に形成することもできる。
さらに閉塞部材2の環状面5は、図2(b)に示すとおり、環状の脆弱部6を横切って放射状に形成された複数本の脆弱部7を有しているものにすることができる。
脆弱部6と脆弱部7は、他の部分よりも破裂強度が小さくなっている部分であり、例えば、幅方向の断面形状がV字形状の切り込みなどからなるものである。
脆弱部6と脆弱部7は、連続的に形成されたものでもよいし、点線状に不連続に形成されたものでもよい。
図2(a)、(b)は、脆弱部6と脆弱部7が点線で示されているが、これは形成位置を示しているものであり、点線状に形成することが好ましい実施形態であることを示すものではない。
【0041】
図1に示す閉塞部材の支持構造1Aは、ガス発生器のガス排出口と膨張ガス源室との間のガス排出経路を閉塞するために使用するものである。
閉塞部材の支持構造1Aをガス発生器に取り付けるときは、支持部材10Aのベース部の第1面11aをガス発生器のハウジングに対して溶接固定し、さらに閉塞部材2の周壁部4をガス発生器のハウジングに対して溶接固定する。
閉塞部材2の第1面3aは、ガス発生器に取り付けたときに点火器側になる面であり、第2面3bはガス発生器に取り付けたときにガス排出口側になる面である。
ガス発生器の作動時には、閉塞部材2は、第1面3a側から圧力を受けて第2面3b側に開裂するが、このとき、凸状の第1支持部材13で支持されていない環状面5において開裂し、凸状の第1支持部材13で支持されている部分は開裂しない。
【0042】
図3に示すガス発生器>
図3は、図1に示す閉塞部材の支持構造10Aを有しているガス発生器100Aであり、本発明の閉塞部材の支持構造を使用していることを除いては、特開2008−174215号公報の図1に示すハイブリッドインフレータと同じ構造のものである。
ガス発生器100Aは、加圧ガス室120と、ガス発生室(燃焼室)130、ディフューザ部150を有している。
【0043】
加圧ガス室120は、筒状の加圧ガス室ハウジング122により外殻が形成されており、アルゴン、ヘリウムの混合物からなる加圧ガスが充填されている。
加圧ガス室ハウジング122は、軸方向および半径方向に対して対称形となっているので、組み立て時に軸方向および半径方向への向きを調整する必要がない。
【0044】
加圧ガス室ハウジング122の側面には、加圧ガスの充填孔124が形成されており、加圧ガスを充填した後にピン126により閉塞されている。
ピン126の先端部126aは加圧ガス室120内に突出されており、突出部はガス発生剤の燃焼ガス流が衝突される長さを有している。このピン126の突出部の長さを調整することで、ピン126自体に燃焼ガスを衝突させて、燃焼残渣を付着させることができる。
【0045】
ガス発生室130は、ガス発生室ハウジング132内に収容された点火手段(電気式点火器)134と固形ガス発生剤136とを含んでおり、加圧ガス室120の一端側に接続されている。
ガス発生室130は、固形ガス発生剤136が燃焼する燃焼室となる。
ガス発生室ハウジング132と加圧ガス室ハウジング122は、接合部149において抵抗溶接されている。
ガス発生器100Aをエアバッグシステムに組み込むとき、点火器134は、コネクタ、リードワイヤなどを介して電源に接続される。
【0046】
固形ガス発生剤136は、燃料としてニトログアニジン10〜35質量%、酸化剤として過塩素酸カリウム10〜50質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩30〜80質量%を含有し、ニトログアニジン/過塩素酸カリウムの(質量比)が0.35超〜0.95未満のものである。
【0047】
加圧ガス室120とガス発生室130との間のガス排出経路となる第1連通孔138は、椀状に変形した第1破裂板140で閉塞されており、ガス発生室130内は常圧に保持されている。第1破裂板140は、周縁部140aにおいてガス発生室ハウジング132に抵抗溶接されている。
【0048】
加圧ガス室120の他端側には、図1に示す本発明の閉塞部材の支持構造1Aが取り付けられており、図1に示す支持部材10Aがディフューザ部50となっている。
ディフューザ部50は、ベース部51と、ベース部51の第1面51aの中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材53を有している。第1支持部材53の先端面は平坦面である。
ディフューザ部50は、ベース部の第1面51aの外周縁部において筒状の加圧ガス室ハウジング122に溶接固定されている。
ベース部51は、第1面51aから第2面51bまで貫通して形成された複数のガス排出口55を有している。複数のガス排出口55は、周方向に等間隔をおいて形成されている。
図3のガス発生器100Aでは、ディフューザ部50が図1に示す支持部材10Aとなっているため、図1に示す複数のガス通過孔15aがガス排出口55となる。
【0049】
閉塞部材60は、底面部61と、底面部61の外周から点火器134側に延ばされた周壁部62を有している。底面部61と周壁部62は、一体に形成されている。
閉塞部材60は、筒状の加圧ガス室ハウジング122に対して周壁部62が溶接固定されている。
閉塞部材60は、周壁部62が形成された側の底面部61が第1面61aであり、反対面が第2面61bとなるものである。
閉塞部材60の第1面61aは点火器134側になる面であり、第2面61bはガス排出口55側になる面である。
周壁部62の外表面は、加圧ガス室ハウジング122の内壁面122aに当接されている。
【0050】
閉塞部材60は、第2面61bの中心部にディフューザ部50の第1支持部材53の先端面が当接されることで支持されている。
底面部61の第2面61bは、凸状の第1支持部材53が当接されていない環状面65を有している。
環状面65には、図2(a)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部64が形成されている。
【0051】
図3に示すガス発生器100Aを自動車に搭載したエアバッグシステムに組み込んだ実施形態の動作を説明する。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、作動信号出力手段により、点火器134が作動点火してガス発生剤136を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。
その後、高温の燃焼ガスによるガス発生室130内の圧力上昇により、第1破裂板140が破壊され、ガス発生室130と加圧ガス室120のガス排出経路となる第1連通孔138が開口されて、燃焼ガスが加圧ガス室120内に排出される。
【0052】
点火器134の作動前には、閉塞部材60は第1支持部材53により支持されている(第1の作用)が、加圧ガス室120内の圧力上昇により、閉塞部材60の環状面65が脆弱部64に沿って環状に開裂して、加圧ガス室120からガス排出口55に至るガス排出経路が開放され、ガス排出口55からガスが排出され、エアバッグを膨張させる。
このとき、第2の作用により環状面65は開裂し易く、破片も生じ難くなっている。
また開裂片は、周壁部62側の環状開裂片と、中心部の円形開裂片の2つに分離するが、中心部の円形開裂片は、第1支持部材53の先端面で支持されている部分よりも大きな面積の開裂片となる。このため、円形開裂片は第1支持部材53に引っかかりやすくなることから、排出経路を閉塞することがなく、ガスの排出に与える影響を抑えることができる。
【0053】
図4図6のガス発生器用の閉塞部材の支持構造>
第2発明の図4図6に示すガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、ガス排出口を有する筒状ハウジング内に点火手段(点火器を含む)が収容され、さらに膨張ガス源が充填された膨張ガス源室を有しているガス発生器において、前記ガス排出口と前記膨張ガス源室との間を閉塞するために使用するものである。
本発明の閉塞部材の支持構造は、ガス発生器のハウジングと同じ材質からなるものが好ましく、鉄、ステンレスなどからなるものが好ましい。
膨張ガス源室は、ガス発生剤が充填された空間、ガス源としての加圧ガス(アルゴン、ヘリウムなど)が充填された空間、またはそれらの両方が充填された空間である。
【0054】
図4(a)に示す閉塞部材の支持構造1Cは、閉塞部材2と、閉塞部材2の支持部材10Cの組み合わせからなる。
支持部材10Cは、ベース部11と、ベース部11の第1面11aの中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材13と、ベース部11の周囲から第1支持部材13と同じ方向に延ばされた環状の第2支持部材12を有している。ベース部11からの環状の第2支持部材12と凸状の第1支持部材13の高さは同じである。第1支持部材13の先端面は平坦面である。
環状の第2支持部材12には、複数のガス通過孔15bが周方向に等間隔で形成されている。
【0055】
閉塞部材2は、底面部3と、底面部3の外周から一方向に延ばされた周壁部4を有している。底面部3と周壁部4は、一体に形成されている。
閉塞部材2は、周壁部3で囲まれた側の底面部3が第1面3aであり、反対面が第2面3bとなるものである。
【0056】
閉塞部材2は、第2面3bの中心部に第1支持部材13の端面が当接され、第2面3bの外周縁部に環状の第2支持部材12が当接されることで支持されている。図4では、第1支持部材13の先端面全体が第2面3bに当接されている。なお、底面部3と凸状の第1支持部材13の当接部分を溶接することもできる。
底面部3の第2面3bは、環状の第2支持部材12と凸状の第1支持部材13が当接されていない環状面5を有している。
環状面5は、円形のほか、多角形、好ましくは角が丸みを帯びた多角形にすることもできる。
【0057】
閉塞部材2の環状面5は、図4(b)に示すように、開裂し易くするための環状の脆弱部6を有しているものが好ましい。
環状の脆弱部6は、環状面5の幅(X)の中間位置(1/2Xの位置)に形成されているが、図4(b)に示す位置よりも周壁部4側に形成することもできるし、中心部側に形成することもできる。
さらに閉塞部材2の環状面5は、図4(c)に示すとおり、環状の脆弱部6を横切って放射状に形成された複数本の脆弱部7を有しているものにすることができる。
脆弱部6と脆弱部7は、他の部分よりも破裂強度が小さくなっている部分であり、例えば、幅方向の断面形状がV字形状の切り込みなどからなるものである。
脆弱部6と脆弱部7は、連続的に形成されたものでもよいし、点線状に不連続に形成されたものでもよい。
図4(b)、(c)は、脆弱部6と脆弱部7が点線で示されているが、これは形成位置を示しているものであり、点線状に形成することが好ましい実施形態であることを示すものではない。
【0058】
図4では環状面5の幅(X)と、環状面5(第2面3b)からガス通過孔15aまでの距離(Y)が、1/2X<Yの関係を有している。これは環状面5が脆弱部6で開裂したときでも、開裂部分がガス通過孔15bに接触してガスの流れを阻害しないためのものである。上記のように脆弱部の位置を変えた場合でも、ガス通過孔15bに接触しないように調整する。
脆弱部6が形成されていない場合であっても、1/2Xの位置の応力が最大となって開裂しやすくなるため、1/2X<Yの関係を満たすことができる。
【0059】
図4(a)に示す閉塞部材の支持構造1Cは、ガス発生器のガス排出口と膨張ガス源室との間を閉塞するために使用するものである。
閉塞部材2の第1面3aは、ガス発生器に取り付けたときに点火器側になる面であり、第2面3bはガス発生器に取り付けたときにガス排出口側になる面である。
ガス発生器の作動時には、閉塞部材2は、第1面3a側から圧力を受けて第2面3b側に開裂するが、このとき、支持部材10Cで支持されていない環状面5において開裂し、支持部材10Cで支持されている部分は開裂しない。
【0060】
図5に示す閉塞部材の支持構造1Dは、ガス通過孔の形成位置が異なるほかは、図4に示す閉塞部材の支持構造1Cと同じものである。
支持部材10Dのベース部11には、複数のガス通過孔15aが間隔をおいて環状に形成されている。
環状の脆弱部6は、開裂し易くする理由から、環状面5の幅(X)の中間位置に形成されている。
環状面5の幅(X)と、環状面5からガス排出口15aまでの距離(Z)が、1/2X<Zの関係を有している。これは環状面5が脆弱部6で開裂したときでも、開裂部分がガス通過孔15aに接触してガスの流れを阻害しないためのものである。
上記のように脆弱部の位置を変えた場合でも、ガス通過孔15bに接触しないように調整する。
脆弱部6が形成されていない場合であっても、1/2Xの位置の応力が最大となって開裂しやすくなるため、1/2X<Zの関係を満たすことができる。
【0061】
図6に示す閉塞部材の支持構造1Eは、ガス通過孔の形成位置が異なるほかは、図4に示す閉塞部材の支持構造1Cと同じものである。
環状の第2支持部材12には、複数のガス通過孔15bが周方向に形成され、ベース部11には、複数のガス通過孔15aが環状に形成されている。
【0062】
図7に示すガス発生器>
図7は、本発明の閉塞部材の支持構造を有しているガス発生器100Bであり、閉塞部材の支持構造が異なるほかは、図3のガス発生器100Aと同じ構造のものである。
ガス発生器100Bは、加圧ガス室120と、ガス発生室(燃焼室)130、ディフューザ部150を有している。
【0063】
加圧ガス室120は、筒状の加圧ガス室ハウジング122により外殻が形成されており、アルゴン、ヘリウムの混合物からなる加圧ガスが充填されている。
加圧ガス室ハウジング122は、軸方向および半径方向に対して対称形となっているので、組み立て時に軸方向および半径方向への向きを調整する必要がない。
【0064】
加圧ガス室ハウジング122の側面には、加圧ガスの充填孔124が形成されており、加圧ガスを充填した後にピン126により閉塞されている。
ピン126の先端部126aは加圧ガス室120内に突出されており、突出部はガス発生剤の燃焼ガス流が衝突される長さを有している。このピン126の突出部の長さを調整することで、ピン126自体に燃焼ガスを衝突させて、燃焼残渣を付着させることができる。
【0065】
ガス発生室130は、ガス発生室ハウジング132内に収容された点火手段(電気式点火器)134と固形ガス発生剤136とを含んでおり、加圧ガス室120の一端側に接続されている。
ガス発生室130は、固形ガス発生剤136が燃焼する燃焼室となる。
ガス発生室ハウジング132と加圧ガス室ハウジング122は、接合部149において抵抗溶接されている。
ガス発生器100をエアバッグシステムに組み込むとき、点火器134は、コネクタ、リードワイヤなどを介して電源に接続される。
【0066】
固形ガス発生剤136は、燃料としてニトログアニジン10〜35質量%、酸化剤として過塩素酸カリウム10〜50質量%、バインダとしてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩30〜80質量%を含有し、ニトログアニジン/過塩素酸カリウムの(質量比)が0.35超〜0.95未満のものである。
【0067】
加圧ガス室120とガス発生室130との間のガス排出経路となる第1連通孔138は、椀状に変形した第1破裂板140で閉塞されており、ガス発生室130内は常圧に保持されている。第1破裂板140は、周縁部140aにおいてガス発生室ハウジング132に抵抗溶接されている。
【0068】
加圧ガス室120の他端側には、図4(a)に示す本発明の閉塞部材の支持構造1Cが取り付けられており、図4(a)に示す支持部材10Cがディフューザ部50となっている。
ディフューザ部50は、ベース部51と、ベース部51の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材53と、ベース部51の周囲から第1支持部材53と同じ方向に延ばされた環状の第2支持部材52を有している。第1支持部材53の先端面は平坦面である。
さらにディフューザ部50は、環状の第2支持部材52から半径方向外側に延ばされたフランジ部54を有しており、環状の第2支持部材52とフランジ部54の両方が図4(a)に示す環状の第2支持部材12として機能している。
ディフューザ部50は、フランジ部54において筒状の加圧ガス室ハウジング122に溶接固定されている。
環状の第2支持部材52は、周方向に等間隔をおいて複数のガス排出口55を有している。
図7に示すガス発生器100Bでは、ディフューザ部50が図4(a)に示す支持部材10Cとなっているため、図4(a)に示す複数のガス通過孔15bはガス排出口55となる。
【0069】
閉塞部材60は、底面部61と、底面部61の外周から点火器134側に延ばされた周壁部62を有している。底面部61と周壁部62は一体に形成されている。
周壁部62は、加圧ガス室120の気密性を維持するため、加圧ガス室ハウジング122に対して溶接固定されている。
閉塞部材60は、周壁部62で囲まれた側の底面部61が第1面61aであり、反対面が第2面61bとなるものである。
閉塞部材60の第1面61aは点火器134側になる面であり、第2面61bはガス排出口55側になる面である。
周壁部62の外表面は、加圧ガス室ハウジング122の内壁面122aに当接されている。
【0070】
閉塞部材60は、第2面61bの中心部にディフューザ部50の第1支持部材53の先端面が当接され、第2面61bの外周縁部にディフューザ部50のフランジ部54が当接されることで支持されている。
閉塞部材60は、底面部61が凸状の第1支持部材53とフランジ部54が当接されていない環状面65を有している。
環状面65には、図4(b)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部64が形成されている。
【0071】
図8図11の実施形態>
図7に示すガス発生器100Bのディフューザ部(支持部材)と閉塞部材は、図8(a)、図9(a)、図10図11に示す実施形態のものでもよい。
図8(a)に示すディフューザ部150は、ベース部151と、ベース部151の中心部から延ばされた凸状の第1支持部材153と、ベース部151の周囲から第1支持部材153と一方向に延ばされた環状の第2支持部材152を有している。
凸状の第1支持部材153は、ベース部151の中心部に凹部153aが形成されて凹んだ形状(カップ状)になっており、底面は閉じている。
さらにディフューザ部150は、環状の第1支持部152から半径方向外側に延ばされたフランジ部154を有しており、環状の第2支持部152とフランジ部154の両方が図4(a)に示す環状の第2支持部12として機能している。
ディフューザ部150は、フランジ部154において筒状の加圧ガス室ハウジング122に溶接固定されている。
ベース部151には、複数のガス排出口となるガス通過孔155aが周方向に等間隔で形成されている。
【0072】
閉塞部材60は、底面部61と、底面部61の外周から点火器134側に延ばされた周壁部62を有している。
閉塞部材60は、周壁部62が形成された側の底面部61が第1面61aであり、反対面が第2面61bとなるものである。
閉塞部材60の第1面61aは点火器134側になる面であり、第2面61bはガス排出口155a側になる面である。
周壁部62は、加圧ガス室ハウジング122の内壁面122aに当接し、溶接などでシールされている。
【0073】
閉塞部材60は、第2面61bの中心部にディフューザ部150の凸状の第1支持部材153が当接され、第2面61bの外周縁部にディフューザ部150のフランジ部154が当接されることで支持されている。
第1支持部材153は断面がカップ状であり、その底面が閉じられた端面となっているので、その閉じられた端面が閉塞部材60の第2面61bに当接されている。図8では端面全体が閉塞部材60に当接されている。
底面部61の第2面61bは、フランジ部154と凸状の第1支持部材153が当接されていない環状面65を有している。
環状面65には、図4(b)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部64が形成されている。
【0074】
図9(a)は、ガス排出口の形成位置が異なり、閉塞部材60が一部で第1支持部材153に溶接されているほかは、図8(a)に示すディフューザ部150と閉塞部材60の支持構造と同じものである。
ディフューザ部150の環状の第2支持部材152には、複数のガス排出口となるガス通過孔155bが周方向に間隔をおいて形成されている。
閉塞部材60は、凸状の第1支持部材153の先端面と当接している部分が溶接されている(溶接部70)。
【0075】
図10は、ガス排出口の形成位置が異なるほかは、図8(a)に示すディフューザ部150と閉塞部材60の支持構造と同じものである。
ディフューザ部150の環状の第2支持部材152には、複数のガス排出口となるガス通過孔155bが周方向に形成され、ベース部151には、複数のガス排出口となるガス通過孔155aが周方向に形成されている。
【0076】
図11は、ガス排出口の形成位置が異なるほかは、図8(a)に示すディフューザ部150と閉塞部材60の支持構造と同じものである。
ディフューザ部150の凸状の第1支持部材153が有する凹部153aの周壁面に複数のガス排出口となるガス通過孔155cが形成されている。
図11では、ガス排出口155cは、軸方向(加圧ガス室ハウジング122の軸方向)に対して斜めに形成されているが、軸方向に対して直交する方向に形成されていてもよい。
なお、複数のガス排出口は、図8のガス排出口155a、図9のガス排出口155b、図11のガス排出口155cを組み合わせることもできる。また図9の溶接部70を図8図10図11のディフューザ部150に設けてもよい。
【0077】
図7に示すガス発生器100Bを自動車に搭載したエアバッグシステムに組み込んだ場合において、図8(a)または図9(a)に示すディフューザ部150と閉塞部材60を組み合わせた支持構造を使用した実施形態の動作を説明する。
【0078】
作動前、閉塞部材60は、フランジ部154と凸状の第1支持部材153で支持されている(第1の作用)。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、作動信号出力手段により、点火器134が作動点火してガス発生剤136を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。
その後、高温の燃焼ガスによるガス発生室130内の圧力上昇により、第1破裂板140が破壊され、開口された第1連通孔138から加圧ガス室120内に排出される。
【0079】
図8(b)に示すとおり、加圧ガス室120内の圧力上昇により、閉塞部材60の環状面65が脆弱部64に沿って環状に開裂して、環状開裂片62aと円形開裂片61aの2つに容易に分離する。このとき、他の破片を生じさせることはない(第2の作用)。
環状開裂片62aは、フランジ部154と加圧ガス室ハウジング122に当接されており、溶接やフランジ部154の段差などで加圧ガス室ハウジング122に固定されているため、そこから脱離することはない。
円形開裂片61aは、加圧ガス室120からガス排出口155aまたはガス排出口155bに向かうガス流で凸状の第1支持部材153に押し付けられているため、そこから脱離することはない。
【0080】
図9(b)に示すとおり、加圧ガス室120内の圧力上昇により、閉塞部材60の環状面65が脆弱部64に沿って環状に開裂して、環状開裂片62aと円形開裂片61aの2つに容易に分離する。このとき、他の破片を生じさせることはない(第2の作用)。
環状開裂片62aは、フランジ部154と加圧ガス室ハウジング122に当接されており、溶接やフランジ部154との段差などで加圧ガス室ハウジング122に固定されているため、そこから脱離することはない。
円形開裂片61aは、溶接部70において凸状の第1支持部材153に溶接固定された状態で残ることになる。
【0081】
このようにして閉塞部材60が開裂して2つに分離することで、加圧ガス室120からガス排出口155aまたはガス排出口155bまでのガス排出経路が開放されるため、ガス排出口155aまたはガス排出口155bからガスが排出され、エアバッグを膨張させる。
このとき、図8(b)では、環状面65の幅(X)と、環状面65からガス排出口155aまでの距離(Z)が、1/2X<Zの関係を有しているため、閉塞部材60の開裂によりガス排出口155aからのガス(加圧ガスと燃焼ガスの混合ガス)の排出が損なわれることはない。
また図9(b)では、環状面65の幅(X)と、環状面65からガス通過孔155bまでの距離(Y)が、1/2X<Yの関係を有しているため、閉塞部材60の開裂によりガス排出口155aからのガス(加圧ガスと燃焼ガスの混合ガス)の排出が損なわれることはない。
【0082】
図10に示すディフューザ部150と閉塞部材60を組み合わせた支持構造を使用した実施形態は、図8(a)、(b)と図9(a)、(b)と同様に動作する。
図10の実施形態では、1/2X<Yと1/2X<Zの両方を満たしているため、閉塞部材60の開裂によりガス排出口155aとガス排出口155bからのガス(加圧ガスと燃焼ガスの混合ガス)の排出が損なわれることはない。
【0083】
図11に示すディフューザ部150と閉塞部材60を組み合わせた支持構造を使用した実施形態は、図8(a)、(b)と図9(a)、(b)と同様に動作する。
図11の実施形態では、1/2X<Yを満たしているため、閉塞部材60の開裂によりガス排出口155cからのガス(加圧ガスと燃焼ガスの混合ガス)の排出が損なわれることはない。
【0084】
図12に示すガス発生器>
図12のガス発生器100Cは、図7のガス発生器100Bにおいて、加圧ガス室120とガス発生室(燃焼室)130の間のガス排出経路が図5に示す閉塞部材の支持構造1Dで閉塞されたものであるほかは、図7のガス発生器100Bと同じものである。
以下においては、図7のガス発生器100Bと異なる部分のみ説明する。
【0085】
加圧ガス室120とガス発生室(燃焼室)130との間のガス排出経路には、図5に示す本発明の閉塞部材の支持構造1Dが第1閉塞部材として取り付けられている。
第1閉塞部材は、支持部材180と閉塞部材190の組み合わせからなるものである。
【0086】
支持部材180は、ベース部181と、ベース部181の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材183と、ベース部181の周囲から第1支持部材183と同じ方向に延ばされた環状の第2支持部材182を有している。第1支持部材183の先端面は、平坦面である。
ベース部181は、複数のガス通過孔185が周方向に等間隔で形成されている。
環状の第2支持部材182とガス発生室ハウジングの内壁面132aは互いに溶接固定されている。
【0087】
閉塞部材190は、底面部191と、底面部191の外周から点火器134側に延ばされた周壁部192有している。
閉塞部材190は、周壁部192がガス発生室ハウジング132に対して溶接固定されている。
【0088】
閉塞部材190は、中心部に第1支持部材183の先端面が当接され、外周縁部に環状の第2支持部材182が当接されることで支持されている。
閉塞部材190は、底面部191が凸状の第1支持部材183と環状の第2支持部材182が当接されていない環状面195を有している。
環状面195には、図4(b)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部が形成されている。図12では閉塞部材190がガス発生室(燃焼室)130側に、支持部材180が加圧ガス室120側に配置される。
【0089】
図12に示すガス発生器100Cを自動車に搭載したエアバッグシステムに組み込んだ実施形態の動作の一部を説明する。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、作動信号出力手段により、点火器134が作動点火してガス発生剤136を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。
燃焼ガスによって閉塞部材190が環状面195に形成された脆弱部64に沿って環状に開裂し、ガス発生室130から加圧ガス室120へのガス排出経路が開放される。そのときの開裂状態は図8(b)、9(b)と同じであり、第2の作用が発揮される。
その後、図7に示すガス発生器100Bと同様に動作する。
【0090】
図13に示すガス発生器>
図13のガス発生器100Dは、図7のガス発生器100Bにおいて、加圧ガス室120とガス発生室(燃焼室)130の間のガス排出経路が図5に示す閉塞部材の支持構造1Dで閉塞されたものであるほかは、図7のガス発生器100Bと同じものである。
また図13のガス発生器100Dは、図12のガス発生器100Cとは、閉塞部材の支持構造1Dの取り付けが反対(閉塞部材190がガス発生室(燃焼室)130側に、支持部材180が加圧ガス室120側に配置)になっているほかは、図12のガス発生器100Cと同じものである。
以下においては、図7のガス発生器100Bと異なる部分のみ説明する。
【0091】
加圧ガス室120とガス発生室(燃焼室)130との間のガス排出経路には、図5に示す本発明の閉塞部材の支持構造1Dが第1閉塞部材として取り付けられている。
第1閉塞部材は、支持部材180と閉塞部材190の組み合わせからなるものである。
【0092】
支持部材180は、ベース部181と、ベース部181の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材183と、ベース部181の周囲から第1支持部材183と同じ方向に延ばされた環状の第2支持部材182を有している。第1支持部材183の先端面は、平坦面である。
ベース部181は、複数のガス通過孔185が周方向に等間隔で形成されている。
環状の第2支持部材182とガス発生室ハウジングの内壁面132aは互いに溶接固定されている。
【0093】
閉塞部材190は、底面部191と、底面部191の外周から点火器134側に延ばされた周壁部192有している。
閉塞部材190は、周壁部192がガス発生室ハウジング132に対して溶接固定されている。
【0094】
閉塞部材190は、中心部に第1支持部材183の先端面が当接され、外周縁部に環状の第2支持部材182が当接されることで支持されている。
閉塞部材190は、底面部191が凸状の第1支持部材183と環状の第2支持部材182が当接されていない環状面195を有している。
環状面195には、図4(b)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部が形成されている。
【0095】
図13に示すガス発生器100Dを自動車に搭載したエアバッグシステムに組み込んだ実施形態の動作の一部を説明する。
作動前、閉塞部材190は、第1支持部材183と第2支持部材182で支持されている(第1の作用)。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、作動信号出力手段により、点火器134が作動点火してガス発生剤136を燃焼させ、高温の燃焼ガスを発生させる。
燃焼ガスによって閉塞部材190が環状面195に形成された脆弱部64に沿って環状に開裂し、ガス発生室130から加圧ガス室120へのガス排出経路が開放される。そのときの開裂状態は図8(b)、9(b)と同じである。
その後、図7に示すガス発生器100Bと同様に動作する。
【0096】
(6)図14図15に示すガス発生器
ガス発生器200は、筒状ハウジング210内に点火手段室230、ガス流入室240、および加圧ガス室250が配置されている。
筒状ハウジング210は、点火手段室ハウジング211と加圧ガス室ハウジング212からなるものであるが、全体として一つのハウジングからなるものでもよい。
点火手段室ハウジング211は、第1端部211a側の開口部に電気式点火器225が固定されている。
加圧ガス室ハウジング212の第2端部212a側は閉塞されている(閉塞面213)。
点火手段室ハウジング211の第2端部211bと加圧ガス室ハウジング212の第1端部212bが接合部214において溶接一体化されている。
筒状ハウジング210(点火手段室ハウジング211と加圧ガス室ハウジング212)は、鉄、ステンレスなどからなるものである。
【0097】
加圧ガス室250内には、アルゴン、ヘリウムなどのガスが高圧で充填されている。
ガスは、加圧ガス室ハウジング212の閉塞面213のガス充填孔から充填される。ガス充填孔は、加圧ガス室ハウジング212の周壁面に形成されていてもよい。
ガス充填孔は、ガス充填後にピン215を差し込んだ状態で、ピン215と閉塞面213が共に溶接されることで閉塞されている。
【0098】
加圧ガス室250とガス流入室240の間は、固定部(環状固定部)242に溶接固定された加圧ガス室の破裂板247で閉塞されている。
固定部242は、点火手段室ハウジング211の第2端部211bからハウジングの半径方向内側に延ばされた環状板面部243と、環状板面部243の内周部からガス流入室240側に延ばされた筒状壁部244を有しており、破裂板247は加圧ガス室250側から環状板面部243に溶接固定されている。
破裂板247は、鉄、ステンレスなどからなるものであり、環状板面部243に溶接固定された環状の溶接部247aと、環状の溶接部247aの内側にある円形の非溶接部247bからなる。
破裂板247は、加圧ガス室250からの圧力を受けてガス流入室240側に突き出すように変形している。
【0099】
ガス流入室240は、作動時において加圧ガス室250からガスが流入し、点火手段室230から燃焼ガスが流入する空間である。
ガス流入室240に面した点火手段室ハウジング211には複数のガス排出口229が形成されており、内側から金属製のシールテープ228で閉塞されている。シールテープ228はなくてもよい。
複数のガス排出口229は、点火手段室ハウジング211の周方向に均等間隔をおいて形成されているが、軸X方向に2列で周方向に配列されていてもよいし、周方向に千鳥配列にされていてもよい。
ガス流入室230内のガス排出口229に面した位置には、筒状フィルタ260を配置することができる。
ガス流入室240は、点火手段室230から破裂板247の間に段差部217が形成されている。
段差部217は、点火手段室ハウジング211の内径が点火手段室230から破裂板247の間で小さくされたことにより形成されているが、段差部217に代えて、点火手段室ハウジング211の内周壁面211cから内側に突き出された複数の突起でもよい。
【0100】
ガス流入室240と点火手段室230の間には、ベース部251と、ベース部251から破裂板247側に延ばされたロッド部260からなる可動体250が配置されている。
可動体250のベース部251が図5に示す支持部材10Dとなっている。
ベース部251の中心部から一方向に延ばされた凸状の第1支持部材253と、ベース部251の周囲から第1支持部材253と同じ方向に延ばされた環状の第2支持部材252を有している。第1支持部材253の先端面は平坦面である。
ベース部251の環状の第2支持部材252とロッド部260がない部分には、周方向に等間隔をおいて複数のガス通過孔255が形成されている。
環状の第2支持部材252は、点火手段室ハウジング211の内周壁面211cに摺動可能に当接されている。
【0101】
閉塞部材60は、底面部61と、底面部61の外周から点火器225側に延ばされた周壁部62を有している。
閉塞部材60は、周壁部62が形成された側の底面部61が第1面61aであり、反対面が第2面61bとなるものである。
閉塞部材60の第1面61aは点火器225側になる面であり、第2面61bはガス排出口229側になる面である。
周壁部62の外表面は、加圧ガス室ハウジング122の内壁面122aに当接され、シール剤を塗布するなどしてない周壁面211cとの間を気密に維持している。
【0102】
閉塞部材60は、第2面61bの中心部に第1支持部材253の先端面が当接され、第2面61bの外周縁部に環状の第2支持部材252が当接されることで支持されている。
閉塞部材60は、底面部61が環状の第2支持部材252と凸状の第1支持部材153が当接されていない環状面65を有している。
環状面65には、図4(b)で示す環状の脆弱部6と同じ環状の脆弱部64が形成されている。
図14図15で示すものは、図2と同様に環状面65の幅(X)と、環状面65からガス通過孔255までの距離(Z)が、1/2X<Zの関係を有している。
【0103】
次に、図14に示すガス発生器200を自動車に搭載したエアバッグシステムに組み込んだ場合の動作を説明する。
自動車が衝突して衝撃を受けたとき、作動信号出力手段により、点火器225が作動点火してガス発生剤226を燃焼させ、点火手段室230内に高温の燃焼ガスを発生させる。
高温の燃焼ガスによる点火手段室230内の圧力上昇によって閉塞部材60の環状面65が開裂して、図8(a)、(b)に示すように、環状開裂片62aと円形開裂片61aの2つに分離する。
これにより点火手段室230からガス流入室240、さらにはガス排出口229までのガス排出経路が開放される。
環状開裂片62aは、環状の第2支持部材252と点火手段室ハウジング211に当接されており、第2支持部材252によって段差が形成されていることから、そこから脱離することはない。
円形開裂片61aは、点火手段室230からガス流入室240に入り、ガス排出口229に向かう燃焼ガス流で凸状の第1支持部材253に押し付けられているため、そこから脱離することはない。
また、点火手段室230内の圧力上昇を受けて可動体250のロッド部260が軸X方向に移動して、破裂板247を開裂させて、加圧ガス室250からガス流入室240、さらにはガス排出口229までのガス排出経路が開放される。
ガス排出口229から排出された燃焼ガスと加圧ガスによって、エアバッグが膨張される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のガス発生器用の閉塞部材の支持構造は、自動車のエアバッグシステムで使用されるガス発生器において使用することができる。
本発明の閉塞部材の支持構造が取り付けられたガス発生器は、自動車のエアバッグシステムで使用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1A〜1E ガス発生器用の閉塞部材の支持構造
2 閉塞部材
3 底面部
3a 第1面
3b 第2面
4 周壁部
5 環状面
10A〜10E 支持部材
11 ベース部
12 環状の第2支持部材
13 凸状の第1支持部材
15a ガス通過孔
50 ディフューザ部(支持部材)
51 ベース部
52 環状の第2支持部材
53 凸状の第1支持部材
54 フランジ部
55 ガス排出口(ガス通過孔)
250 可動体
251 ベース部(支持部材)
252 環状の第2支持部材
253 凸状の第1支持部材
255 ガス通過孔
図1
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