(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467252
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月6日
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20060101AFI20190128BHJP
【FI】
F24H1/10 302C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-46879(P2015-46879)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2016-166711(P2016-166711A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】永井 裕明
(72)【発明者】
【氏名】小島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】木村 貴宏
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−023058(JP,A)
【文献】
特開平11−337171(JP,A)
【文献】
特開2003−287280(JP,A)
【文献】
特開2000−009345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱器と、前記加熱器によって加熱され流水を温水とする給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の出口の温水温度を検出する出口温度検出手段と、前記給湯熱交換器に供給される給水温度を検出する給水温度検出手段と、前記給湯熱交換器からの温水と給水管から分岐した給水バイパス管からの給水とを混合する給湯混合弁と、前記給湯混合弁で混合された後の給湯温度を検出する給湯温度検出手段と、前記給湯温度検出手段で検出する給湯温度がリモコンで任意に設定可能な給湯設定温度になるように給湯混合弁を制御する制御手段とを備えたものに於いて、前記制御手段は、給水温度検出手段により検出される給水温度が第1所定温度以上或いは、第1所定温度より低い第2所定温度未満の時は、出口温度検出手段の検出する給湯熱交換器の出口温度が第1固定温度になるように加熱器を制御すると共に、給水温度検出手段により検出される給水温度が第1所定温度未満で第2所定温度以上の範囲内の時は、第1固定温度より低温の第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度≦第1固定温度の関係を満たす場合は、出口温度検出手段の検出する給湯熱交換器の出口温度が給湯設定温度+第2固定温度となるように制御し、但し、第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度≦第1固定温度の関係を満たさない場合は、給湯設定温度+第2固定温度の値と近い第1固定温度または第3固定温度となるように制御する事を特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱を無駄をなくし熱効率の良い給湯を行う給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、出湯初期で熱交換器の出口の温水温度が一定値以下の場合或いは、燃焼停止から一定時間を超えたことが計時された場合に、熱交換器の出口の温水温度が、所定の目標温度より高い目標温度となるように加熱器を制御するものであり、逆に言えば、通常使用時は低い目標温度で維持され、熱の無駄な供給や放熱がなく、熱効率が良い給湯装置を得ることが出来るものであった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−159278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、熱交換器の出口の目標温度を低く設定することで、熱交換器からの放熱量が減少して熱効率が向上するものであるが、給水温度が低いと再出湯時の湯温の落ち込みが大きくなり、又給水温度が高いとオンオフ燃焼時の温度ムラが大きくなり、出湯特性が悪化すると言う課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決するために、特にその構成を、加熱器と、前記加熱器によって加熱され流水を温水とする給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の出口の温水温度を検出する出口温度検出手段と、前記給湯熱交換器に供給される給水温度を検出する給水温度検出手段と、前記給湯熱交換器からの温水と給水管から分岐した給水バイパス管からの給水とを混合する給湯混合弁と、前記給湯混合弁で混合された後の給湯温度を検出する給湯温度検出手段と、前記給湯温度検出手段で検出する給湯温度がリモコンで任意に設定可能な給湯設定温度になるように給湯混合弁を制御する制御手段とを備えたものに於いて、前記制御手段は、給水温度検出手段により検出される給水温度が第1所定温度以上或いは、
第1所定温度より低い第2所定温度未満の時は、出口温度検出手段の検出する給湯熱交換器の出口温度が第1固定温度になるように加熱器を制御すると共に、給水温度検出手段により検出される給水温度が第1所定温度未満で第2所定温度以上の範囲内の時は、
第1固定温度より低温の第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度≦第1固定温度の関係を満たす場合は、出口温度検出手段の検出する給湯熱交換器の出口温度が給湯設定温度+第2固定温
度となるように制御
し、但し、第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度≦第1固定温度の関係を満たさない場合は、給湯設定温度+第2固定温度の値と近い第1固定温度または第3固定温度となるように制御するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、給水温度が高い場合や低い場合は、給湯熱交換器を加熱して高い温度を維持させることで、再出湯時の湯温の落ち込みを小さくすると共に、オンオフ燃焼時の温度ムラも小さくなり、出湯特性も安定するものであり、更に給水温度が中間の安定した温度帯では、給湯熱交換器の温度を給湯設定温度+第2固定温度ここでは10℃とし、但し、第1固定温度より低温の第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度
≦第1固定温度の関係となる温度に限定したものであり、実際には50℃〜57℃の温度となるものであり、給湯設定温度が低い程低温となるもので、給湯熱交換器を比較的に低温に維持することが出来、熱の放熱が防止され、熱効率を向上させることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】この発明の一実施形態を示す給湯装置の概略構成図。
【
図3】他のの一実施形態を示す給湯装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は給湯装置で、大別して給湯回路2、風呂循環回路3、湯張り回路4より構成されるものである。
【0009】
先ず、給湯回路2について説明すると、5は給水管、6は給水の温度を検出する給水サーミスタから成る給水温度検出手段、7は給水量を検出する給水流量センサ、8は給湯熱交換器、9は出湯管、10は給湯熱交換器8の出口側の温水温度を検出するサーミスタからなる出口温度検出手段、11は給水管5から給湯熱交換器8をバイパスして出湯管9に接続する給水バイパス管、12は出湯管9からの高温の湯と給水バイパス管11からの低温の水とを混合して適温に制御する給湯混合弁、13は給湯管、14は給湯混合弁12で混合された温水の温度を検出するサーミスタからなる給湯温度検出手段、15は過流出を防止する水比例弁、16は給湯管13の端部に設けられた蛇口、17は給湯熱交換器8を加熱するバーナ部からなる加熱器である。
【0010】
次に、風呂循環回路3について説明すると、18は浴槽、19は風呂戻り管、20は風呂往き管、21は前記加熱器17により給湯熱交換器8と共に加熱されるように同一フィンで一体とされた風呂熱交換器、22は浴槽18内の湯水を強制循環させる自吸式の循環ポンプ、23は循環する浴槽水の温度を検出する風呂サーミスタ、24は浴槽水の循環の有無を検出する風呂フローセンサ、25は浴槽18内の水位を圧力によって検出する圧力センサからなる水位センサ、26は後述する湯張り回路4と風呂循環回路3を接続する湯張り三方弁である。
【0011】
次に、湯張り回路4について説明すると、27は前記給湯回路2の給湯管13下流側より分岐され、前記風呂循環回路3の湯張り三方弁26に接続された湯張り管、28は湯張り管27を開閉する湯張り電磁弁、29は湯張り管27を通過する流量を検出する湯張りフローセンサ、30は浴槽水の給湯回路2への逆流を防止するために二重に設けられた逆止弁で、予め設定された設定湯張り量の湯を浴槽18へ湯張りするものである。
【0012】
31はマイクロコンピュータより構成されこの給湯装置1の制御を行う制御手段である。32は前記制御手段31に接続されて給湯装置1の動作指示を行うリモコンで、自動運転スイッチ33や任意に給湯温度を37℃〜50℃まで1℃刻み50℃〜
55℃までは5℃刻みで設定可能な給湯温度設定スイッチ34、風呂温度設定スイッチ35、保温スイッチ36などの各種操作スイッチと表示器37とが設けられているものである。
【0013】
前記制御手段31は、前記給湯温度検出手段14で検出する給湯温度がリモコン32で任意に設定された給湯設定温度になるように給湯混合弁12を制御するものであり、更にこの制御手段31は、給水温度検出手段6により検出される給水温度が第1所定温度以上ここでは22℃以上或いは、第2所定温度未満ここでは9℃未満の時は、出口温度検出手段10の検出する給湯熱交換器8の出口温度が第1固定温度ここでは57℃になるように加熱器17を制御すると共に、給水温度検出手段6により検出される給水温度が第1所定温度未満ここでは22℃未満で第2所定温度以上ここでは9℃以上の範囲内の時は、出口温度検出手段10の検出する給湯熱交換器8の出口温度が給湯設定温度+第2固定温度ここでは10℃、但し、第1固定温度ここでは57℃より低温の第3固定温度ここでは50℃≦給湯設定温度+第2固定温度ここでは10℃
≦第1固定温度ここでは57℃の関係となるように制御するものである。
【0014】
前記制御手段14による前記制御は、次回の給湯開始から行うようにしたものであり、又給湯熱交換器8の出口温度が給湯設定温度+第2固定温度ここでは10℃の制御状態或いは、第1固定温度ここでは57℃より低温の第3固定温度ここでは50℃≦給湯設定温度+第2固定温度の10℃
≦第1固定温度ここでは57℃の関係の制御状態、すなわち、給湯熱交換器8の出口温度が57℃
以下の制御状態で、浴槽18の保温や沸き上げのための追い焚き運転が指示された場合は、低温状態では能力不足となるので、無条件に給湯熱交換器8の出口温度を57℃に戻すものである。
【0015】
次に熱効率を向上させるための給湯熱交換器8の出口温度の制御状態を
図2のフローチャートで説明すれば、ステップ38で給水温度検出手段6で検出する給水温度が第1所定温度以上か、すなわち22℃以上かを判断し、YESではステップ39に進み給湯熱交換器8の出口の温水温度を第1固定温度である57℃になるように制御手段14を介して加熱器17を制御するようにしたものであり、又ステップ38でNOではステップ40に進み給水温度検出手段6で検出する給水温度が第2所定温度未満か、すなわち9℃未満かを判断し、YESではステップ39に進み第1所定温度以上と同じく、給湯熱交換器8の出口の温水温度を第1固定温度である57℃になるように制御手段14を介して加熱器17を制御するようにしたものである。
【0016】
そしてステップ40でNOではステップ41に進み、給水温度検出手段6で検出する給水温度が、第1所定温度未満である22℃未満で第2所定温度以上である9℃以上の範囲内かを判断し、YESではステップ42に進み給湯熱交換器8の出口の温水温度を、リモコン32による給湯設定温度+第2固定温度の10℃を加えた温度に制御するものであり、ステップ43ではこの給湯設定温度+第2固定温度の10℃を加えた温度が、第3固定温度の50℃≦給湯設定温度+第2固定温度の10℃を加えた温度
≦第1固定温度の57℃の関係となるかを判断し、YESてはステップ42に戻って給湯熱交換器8の出口の温水温度が、リモコン32による給湯設定温度+第2固定温度の10℃を加えた温度になるように制御するものであり、ステップ43でNOの場合、すなわち給湯設定温度+第2固定温度の10℃を加えた給湯熱交換器8の出口温度の設定が、50℃〜57℃の範囲に入っていない時は、ステップ44に進んで第3固定温度の50℃≦給湯熱交換器の出口温度
≦第1固定温度の57℃の関係となるように、この範囲で一番近い温度に設定するものである。
【0017】
このように給水温度が高い場合や低い場合は、給湯熱交換器を加熱して高い温度を維持させることで、再出湯時の湯温の落ち込みを小さくすると共に、オンオフ燃焼時の温度ムラも小さくなり、出湯特性も安定するものであり、更に給水温度が中間の安定した温度帯では、給湯熱交換器の温度を給湯設定温度+第2固定温度ここでは10℃とし、但し、第1固定温度より低温の第3固定温度≦給湯設定温度+第2固定温度
≦第1固定温度の関係となる温度に限定したものであり、実際には50℃〜57℃の温度となるものであり、給湯設定温度が低い程低温となるもので、給湯熱交換器を比較的に低温に維持することが出来、熱の放熱が防止され、熱効率を向上させることが出来るものである。
【0018】
次に他の実施形態を示す
図3について説明するが、同一部品には同一符号を付し説明を省略し、相違点のみを説明すると、制御手段31に記憶手段45を追加したものであり、前記した給湯熱交換器8の出口温度の確定した制御情報を記憶し、次回の給湯からこの記憶手段46に記憶されている各制御情報に従って給湯制御することで、給湯中に変更することで生じる大きな温度変動を確実に防止することが出来、次の給湯からとしたことで、熱効率の良い給湯をスムーズに開始することが出来、常に安定した給湯を維持することが出来るものである。
【符号の説明】
【0019】
2 給湯回路
3 風呂循環回路
4 湯張り回路
6 給水温度検出手段
8 給湯熱交換器
10 出口温度検出手段
17 加熱器
31 制御手段
32 リモコン
45 記憶手段