(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体は、前記腎盂内の流体が当該筐体内に流入して当該筐体内を通過し、前記結石を当該筐体内に残しながら当該筐体内部から出られるように構成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記出口は、前記流体が一方向のみに通過できるように構成され、前記入口は、前記流体が一方向のみに通過できるように構成された請求項1〜4のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記腎盂内の流体が前記出口を通って前記ルーメンに流入するのを防止するチェックバルブを、前記出口にさらに備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記ルーメン内の流体が前記入口を通って前記ルーメンから排出されるのを防止するチェックバルブを、前記入口にさらに備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記プランジャーが軸方向後方に移動する間は、前記ルーメン内に導入された前記腎盂内の流体が前記入口を通り前記ルーメンに入る前に前記筐体内部に流入して前記筐体内部を通過しなければならないように、前記入口は前記筐体の内部と前記ルーメンとの間に位置している請求項1〜7のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記長尺の部材のルーメン内に位置し、前記ルーメン内で前記長尺の部材の先端部に向かって軸方向に移動して排出力を生成し、前記長尺の部材の先端部から離れる方向に移動して吸引力を生成するように構成された密閉部をさらに備えた請求項12に記載の結石回収装置。
前記回収部は、当該回収部の内部に流入した流体を、その内部を通過させ、当該回収部内部に前記結石を残した状態で当該回収部の内部から排出させる請求項12〜14のいずれか1項に記載の結石回収装置。
前記ルーメン内の流体が前記入口から前記腎盂内に排出されるのを防止する一方向バルブを、前記入口にさらに備えた請求項12〜16のいずれか1項に記載の結石回収装置。
【背景技術】
【0002】
尿結石という語(例えば、腎臓結石および尿管結石)は、人体の中に形成され、腎臓および/または尿管に位置する塊または石、典型的には固体の粒子を指す。これらとして、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸、シスチン、およびスツルバイトを含むさまざまな化学成分が挙げられる。
【0003】
結石疾患(例えば、腎臓結石や尿管結石)は、比較的共通する泌尿器系障害である。結石が体内に存在することが、さまざまな様態で現れ、多くの内科の病気を引き起こす可能性がある。例えば、腎盂(腎臓)に結石が存在することにより、血尿、尿路閉塞、感染、および軽微な痛みから、一般的な痛み止めによって緩和することの出来ないかなり激しい痛みにわたるさまざまな程度の痛みを引き起こし得る。石や結石が尿管に存在することにより、比較的激しいわき腹や背中の痛み、肋骨の下部の痛み、そして、時には下腹部から性器にまで広がる痛み、さらには、排尿時の痛みや血尿に至ることもある。
【0004】
幸いなことに、多くの場合、結石や石は特別な医学的介入を行うことなしに体から排出されてしまう。結石が自然に体から排出されないような状況では、医学的処置が必要となる。周知の医学的処置は、典型的に3つのカテゴリーに分けられる。
【0005】
従来から、結石または腎臓結石に対処するには、主に3つの治療法を用いていた。これらは、衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道砕石術または尿管鏡検査(URS)、および経皮的腎結石摘出術(PCN)とも呼ばれる経皮的腎尿管切石術(PCNL)を含む。
【0006】
衝撃波砕石術は、体外治療として行われる。この治療は、超音波または衝撃波を体外から皮膚または組織を通して結石または石に向けて操作する砕石器と呼ばれる機械を使用する。繰り返し衝撃波が石に応力を加え、結果的にそれぞれの石を小片とし、尿に混じって尿路を通りやすくするのである。衝撃波砕石術の一つの利点は、処置が比較的単純だということである。しかし、衝撃波砕石術の後は、比較的腎臓結石が再発する率が高いということがわかっている。
【0007】
経尿道砕石術または尿管鏡検査は、治療のひとつの代替形態を代表するものである。この治療では、尿管または腎臓内の結石へのアクセスを可能とする尿管鏡と呼ばれる小さい光ファイバー機器を使用する。尿管鏡は、堅固な尿管鏡でもよく、より一般的には可撓性を有する尿管鏡でもよい。尿管鏡により、医療専門家は、尿管鏡が尿管に沿って移動する、あるいは膀胱や尿道を通って腎臓に侵入する際に石を可視化することができる。結石が一度可視化されたら、バスケット様の装置を使って、細かい石を捕獲し取り除く。結石が、単体では大きすぎて取り除けないような場合は、レーザーエネルギーを使って細片に砕くことができる。
【0008】
治療の第3の様式は、経皮的腎結石摘出術である。この処置は、ESWLやURSでは効果的に処理できない比較的大きい結石に使用されることが多い。経皮的腎結石摘出術は、適当な位置を切開し、穿孔針を刺し、穿孔針のルーメンにガイドワイヤを通して、透視下で腎臓の中に位置させ、穿孔部位を拡張する腎瘻造設術を含む。そして腎臓内視鏡を腎瘻造設術によって腎臓に移動させ、結石を可視化する。結石の断片化は、超音波プローブまたはレーザーによって行うことができる。
【0009】
これらの処置は一般的に利用されるが、いつくかの欠点もある。例えば、ESWL処置では、比較的多数の細かい結石または細かい石が生成されることになり、一方、他の方法では、アクセス経路が比較的狭く、長くなってしまう、または石を正確に掴むことができないために実行が難しい。さらに、URSおよびPCN術では、数多くの粉砕された小粒を一つ一つ取り除かなければならない。処置時間も非常に長く、比較的“石除去率”が低い。再発率も容認しがたいほど高くなりうる。そして、潜在的な患者の複雑性(例えば、尿管虚血、尿管閉塞、腎盂への逆流および/または高いストレス、尿路感染、および他の可能な傷害)が不必要に高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで開示する本発明の例としての結石除去/回収方法および装置の詳細および態様を説明する前に、
図1と
図2を参照して、尿路を含む人体の関連する態様の解剖学的局面について説明する。まず
図1を参照すると、尿路は、腎臓200と、膀胱202と、尿管204を含む。尿管204は、腎臓200と膀胱202の間に延在し、双方に繋がっている。尿管204は、腎臓200の内部および膀胱202の内部と連通する管腔(尿管内腔)を有する。尿管204の末端部は、膀胱202の筋肉壁を貫通し、膀胱202の内部の尿管口に開口する。
図1に示すさらなる特徴は、尿管204の生理学的狭窄と、腎盂尿管移行部(UPJ)208と、腸骨動脈交差210と、尿管膀胱移行部(尿管と膀胱の移行部(UBJ))212を含む。
【0015】
図2は、腎臓200に関する詳細をさらに詳しく示している。
図2に示す腎臓の特定の部分には、腎盂220と、腎静脈222と、腎動脈224と、いくつかの小腎杯226と、大腎杯228が1つと、皮質230と、皮膜232と、腎髄質乳頭234と、腎髄質(ピラミッド)236が含まれる。
【0016】
ここで開示する結石を除去/回収する方法と装置は、尿管204(尿管結石)および腎盂220に位置する結石(腎臓結石)に対処する際に特に有効に応用できるものである。
【0017】
ここで開示される結石除去/回収装置の第1の実施形態を
図3に示す。結石除去/回収装置30は尿管栓部32と、注水口または注水ノズル34を有する長尺の部材31を備える。尿管栓部32は、
図3に示すような比較的大きい寸法まで拡張するとともに比較的小さい寸法に縮小するように構成されている。つまり、尿管栓部32は、寸法が拡張縮小するように構成されている。例として開示した図示の実施形態では、尿管栓部32は空気注入可能なバルーンである。尿管栓部32は、流体を尿管栓部32の内部に導入することにより拡張され、尿管栓部32は、尿管栓部32から流体を出して空にすることによって収縮する。流体としては、水、空気、造影剤などがある。
【0018】
流体は、尿管栓部32に導入され、尿管栓部32の管腔38によって尿管栓部32から放出される。尿管栓部32の管腔38の一端は尿管栓部32の内部に開放されており、尿管栓部32の管腔38の反対側端部にはチェックバルブ40が設けられている。チェックバルブ40は、周知の構造のものでよい。一つの例を
図4に示す。
【0019】
図4に示すチェックバルブ40は、可動ゴム栓42と、バネ44とを備え、その両方ともがハウジング46の内部に位置すると共にその中に囲まれている。ハウジング46は、一端(
図4、
図5の右側端部)に開放端49を、そして、反対側端部(
図4、
図5の左側端部)に閉鎖端(貫通孔を有する)を有する。バネ44は、通常、ゴム栓42を開放端49方向に付勢し、ハウジング46の弁座48と密閉係合させる。
図4は、チェックバルブ40の通常の閉鎖位置を示すものであり、ゴム栓42はハウジング46の弁座48と密閉係合している。チェックバルブ40は、バネ44の付勢力に抗して(すなわち、
図4および
図5の左方へ)ゴム栓42を移動させることによって開くように構成されている。図示の実施形態においては、この操作は、ハウジング46の開放端49の中にシリンジ50の先端部を挿入することによって行う。シリンジ50の先端部をハウジング46の開放端49に挿入することにより、シリンジ50の先端がゴム栓42と接触する。シリンジ50をさらに内方に向けて押し込むことにより、バネ44の付勢力に打ち勝ち、ゴム栓42を付勢して弁座48との係合を開放する。これにより、チェックバルブ40が開放する。次に、プランジャー52をシリンジ50の胴の内部で前方に移動させることにより、シリンジ50の胴の中の空気が尿管栓部32の管腔38の中に導入され、尿管栓部32を膨張させる、もしくは拡張させる。
【0020】
図6は、シリンジ50の先端に対向し、シリンジ50の先端が接触するゴム栓42の端部を示す。図示のごとく、ゴム栓42の端部は、中心部分が切り取られた(すなわち、U字型に切り取られた)フォーク型の構成を有する。これにより、シリンジ50の先端がゴム栓42に接触したときに、シリンジ50の胴の内部の流体がシリンジ50の先端から排出される。適度な分量の流体が尿管栓部32に導入され、尿管栓部32が拡張した、もしくは膨張した後、シリンジ50をチェックバルブ40から取り外すことができる。その時、バネ44はゴム栓42を付勢して弁座48に係合させ、チェックバルブ40を閉鎖する。こうして尿管栓部32は、拡張、または膨張した状態を保つ。当然、尿管栓部32は、上記と逆の方法で収縮させることができる。
【0021】
注水管腔36は、流体源60に接続されている。流体源60は、好ましくは液体、さらに好ましくは水である。さらに好ましい例では、効率のよい注水は比較的高流量を必要とするが、効率のよい膨張はそのような高流量を必要としないため、注水管腔36の断面積は、尿管栓部32の管腔38の断面積より大きくなっている。
【0022】
図7は、尿管204の管腔205に位置する結石除去/回収装置30の図である。使用中は、結石除去/回収装置30が、膀胱202と尿道を通って尿道管腔205の中に導入される。すなわち、尿管栓部32が縮小した、または萎んだ状態で、結石除去/回収装置30の先端が尿道内に導入され、膀胱202を通って前進し、尿管204に沿って移動する。結石除去/回収装置30は尿管204の内部を前進し、除去しようとする結石または石300を超えた位置に尿管栓部32を位置させる。すなわち、結石除去/回収装置30は尿管204の内部を移動し、尿管栓部32が結石または石300を通り過ぎて腎盂(腎臓)と結石300との間の位置に尿管栓部32を位置させる。
【0023】
尿管栓部32が尿管204の中の適した位置に達すると、尿管内腔205が閉塞される。この閉塞は、シリンジ50の先端部を弁40の開放端49の中に挿入して弁40を開放し、プランジャー52をシリンジ50の胴の中に前方に向けて押し込んで、流体をシリンジ50の胴から尿管栓部32に弁40と尿管栓部32の管腔38を通して送り込み、尿管栓部32を上記のように外側に向けて拡張させ、拡張した尿管栓部32の外面を尿管内腔205の内面に接触させることにより行う。さらに具体的には、拡張した尿管栓部32は、尿管内腔205の内壁に、尿管栓部32の連続する周囲に沿って接触するのが好ましい。拡張した、または膨張した尿管栓部32は、尿管内腔205を閉塞するための閉塞手段の一例である。
【0024】
尿管内腔205が、
図7に示すように一度閉塞されると、流体(液体)が注水口34から排出されて尿管内腔205を洗浄する。注水口34から排出された流体は、結石300に向けて流れ、さらに膀胱202に向けて続けて流れる。注水口34を通って尿管内腔205内に排出された流体は、結石300を膀胱202に向けて運ぶ(押し流す、または洗い流す)。よって、流体が、結石300を洗い流して、または押し流して尿管内腔205から結石300を取り除く。結石300は、尿道管腔の寸法が結石300と尿管内腔205の寸法より大きいため、膀胱から尿の流れと一緒に自然に流れ出ることができる。流体の排出が完了すると(すなわち、結石300が洗い流された後)、尿管栓部32は単純にチェックバルブ40の内部のゴム栓42に対して押し付けられることで収縮、または萎むため、ゴム栓42が弁座48を持ち上げることにより、流体が尿管栓部32から出ることができるようになる。尿管栓部32が一度萎む、または収縮すると、尿管内腔205はもはや閉塞されることはない。これにより、長尺の部材32を尿管内腔205から外に(すなわち、腎臓から出て膀胱202の方向へ)引き出すことができるようになる。
【0025】
尿管204内の結石または石300の数が多い場合は、上記の操作を段階的に行うことができる。例えば、尿管204内部の尿管栓部32を腎臓200に向けて移動させると、尿管栓部32は一部の結石または石300を通り越して移動することができるので、その際に上記の操作を行って結石または石300を尿管内腔205の下流へ押し流すまたは洗い流す。このような押し流しを行った後、尿管栓部32は再び前方の腎臓に向かって、結石または石300を越えた位置まで移動する。これをすべての結石または石300が洗い流され、尿管204から取り除かれるまで繰り返す。別の例または可能性として、流体は、結石除去/回収装置30が回転している間に注水口34から排出させてもよい。このようにすることで、結石または石300に対してより均等に流体を排出することができる。
【0026】
拡張した、あるいは膨張した尿管栓部32を「熊手」のように使用して結石または石300を尿管204からかき集めることにより、流体による洗い流し、あるいは押し流しをしやすくすることも可能である。洗浄後、あるいは洗浄中、部分的に拡張、または膨張した尿管栓部32を、尿管204内で膀胱202に向けて後方に移動させる。尿管栓部32が拡張、または膨張した状態にある間に尿管栓部32がこのように移動することにより、拡張した、または膨張した尿管栓部32が結石または石300を引きずり出す、またはかき集めることができる。
【0027】
上記の操作手順の一部として、音響パルスを使って砕石術を行って、結石または石300を粉砕することもできる。砕石術の使用および効果は、従来周知であるため、ここでは詳しい説明はしない。砕石術の処置は、尿管栓部32が結石または石300を越えて移動/位置決めされた後に行うことができるが、尿管栓部32を拡張する前に行うものとする。あるいは、砕石術の処置は、尿管栓部32が結石または石300を越えて移動し、位置決めされた後、および尿管栓部32を拡張した後に行うことができるが、注水口、またはノズルから流体を排出して、排出した流体で尿管内腔205を押し流す、または洗い流す前に行うものとする。さらに、尿管栓部32を尿管204内に移動させる前に砕石術を行って結石や石を粉砕することができる。
【0028】
図8は、
図3〜7に示す結石除去/回収装置30と、それに付随する方法に関し、ここで開示する別の態様を示すものである。結石除去/回収装置30は、ガイドワイヤ62とともに使用することができる。結石除去/回収装置30は、通常通り、例えば、結石除去/回収装置30を、ガイドワイヤ62で尿管204に向けてUBJ212を横断して挿入することによって、ガイドワイヤ62を収容することができるように適した構成とすればよい。そして、ガイドワイヤ62を使って結石除去/回収装置30を尿管204内の希望の位置まで誘導することができる。
図9は、結石除去/回収装置30が尿管鏡64とともに使用される際の様子を示す図である。この尿管鏡64は、周知の構造を有するものであるため、その特徴についての詳細な説明は行わない。この形態の結石除去/回収装置30および方法においては、尿管鏡64は堅固な尿管鏡(硬性鏡)でよい。
【0029】
使用中は、ガイドワイヤ62は体内に(例えば、尿道を通って)適切に導入され、膀胱202、尿管口を通って尿管204内へ前進し、ガイドワイヤ62の先端が尿管204を通って腎臓200に入る。その後、尿管鏡64は、ガイドワイヤ62に沿って尿管204の内部に挿入される。結石除去/回収装置30は、尿管鏡64の器具のルーメンの中に挿入され、その後、尿管鏡64の器具のルーメンの先端、または開放端から尿管204の中に押し出される。あるいは、結石除去/回収装置30をまず尿管鏡64の器具のルーメンの中に挿入してもよい。そして、結石除去/回収装置30と尿管鏡64をガイドワイヤ62に沿って尿管204に共に挿入する。尿管鏡64は、尿管204内の結石を視覚で観察して、結石を越えた位置まで尿管栓部32を進めることを含む、結石除去/回収装置を結石に対して適した位置(例えば、腎臓200と結石の間)に位置させるためのメカニズムを提供するものである。そして、上記で説明した、流体(液体)を尿管204に排出して尿管内腔205と結石を洗い流す、または押し流すという処置が続く。
【0030】
上記の操作では、結石除去/回収装置30が尿管204内の適した場所に位置決めされた後、尿管鏡64を、尿管204の外の位置(すなわち膀胱202内の位置)に向かって後方に引っ張ることができる、あるいは、尿管鏡64を、人体から取り出すように引っ張ることができる。すなわち、尿管鏡64は、流体を注水口34、またはノズルから排出して尿管内腔205を排出した流体で押し流す、または洗い流す前に、尿管204の外部、あるいは、体の外部の位置まで引き戻すことができる。代わりに、結石除去/回収装置30が尿管204内の希望の場所に位置した後、尿管鏡64をその位置に維持し、注水口、またはノズル34から流体を排出して、尿管内腔205を排出した流体で押し流す、または洗い流すと同時に生体の外部に引き戻すことができる。この後者の状態で、尿管鏡64は、結石および流体とともに引き出される。
【0031】
上記したように、ガイドワイヤ62は、結石除去/回収装置30、および/または尿管鏡64を誘導する際の補助として使用することができる。ガイドワイヤ62を使って、尿管204の形状をまっすぐな形に変えてそれを保つこともできる。また、ガイドワイヤ62を使って、洗浄の前に尿管口を開放し、洗浄開始後の流体を排水しやすくすることもできる。このような形状の変化により、排水通路を尿管内腔205を通じて容易に形成、または維持することができるようになる。
【0032】
図10〜12は、上記の結石除去/回収装置の別の様態を示す図である。結石除去/回収装置30’は、長尺の部材31の先端35が延在し、開放された先端37を有すること以外は上記結石除去/回収装置30と類似している。さらに、長尺の部材31の基端部は、最基端部(操作部)33が分離可能なコネクタ39を通して長尺の部材31の残りの部分から分離可能なように構成されている。長尺の部材31の操作部または最基端部33は、オペレーター、または医療専門家が把持して操作する部分である。
【0033】
長尺の部材31の基端部と最基端部(操作部)33が分離可能なコネクタ39によって一時的に接続される。すなわち、分離可能なコネクタ39は一時的なコネクタとなる。例として、分離可能なコネクタ39は、弱い融着接続あるいは嵌合部(例えば、凹凸)を備えていてもよい。分離可能なコネクタ39側の長尺の部材31の残留部分の断面を腎臓に向かって、最基端部(操作部)33の追加の管腔に存在するプッシャの力により前方に押しやると、長尺の部材31と最基端部(操作部)33は比較的容易に分離する。
【0034】
使用中は、結石除去/回収装置30’は、上記と同様の方法で(例えば、尿道と膀胱202を通って、また、ガイドワイヤ62および/または尿管鏡64の助けを借りて、または借りないで)尿管204に導入される。開放先端37があるため、結石除去/回収装置30’は、医療処置を行う前に尿管ステント、または排水管として機能することができる。すなわち、結石除去/回収装置30’は、尿管204内の意図した、または希望の位置に位置決めされた後、結石除去/回収装置30の開放端が結石除去/回収装置30’を通る尿の流れを作る、もしくは許容する。よって、医療処置や操作の開始を待つ間(すなわち、液体で押し流し、または洗い流しが始まるのを待つ間)、尿の流れを継続することができる。
【0035】
さらに、上記のように結石除去/回収方法を実行した後、
図10に示す結石除去/回収装置30’を使用して、長尺の部材31の最基端部または操作部33を、分離可能なコネクタ39で長尺の部材31の残留部から分離させることができる。この分離に続き、長尺の部材31の基端部は、膀胱202内で開放されるとともに位置しており、開放先端部35は腎盂(腎臓)内に留まる。よって、結石を除去/回収するための医療処置の操作に続き、長尺の部材31は定位置に留まるとともに、排水チューブ、または尿の流れを維持する尿管ステントとして機能する。よって、
図10〜12に示す結石除去/回収装置30のこの実施形態は、結石除去/回収処置の前後両方において尿の流れを維持するためのメカニズムを提供する。
【0036】
図13および
図14は、ここで開示する装置(および、それに付随する方法)の他の例を表す結石除去/回収装置を示す図である。結石除去/回収装置のこれらの実施形態は、装置が尿管壁押し出し要素に取り付けられており、結石除去/回収装置から排出される流体(液体)とその流体によって洗い流される結石用の空間または流路を維持することを除けば、上記の、そして
図3に示すものと同じである。
図13に示す実施形態では、結石除去/回収装置30’’は、長尺の部材31に取り付けられ、長尺の部材31から尿管内腔205を囲む尿管壁の内表面と直接接触するように突出した離隔して位置する二つの突起68の形態の尿管壁押し出し要素66を含む。押し出し要素66は、寸法が拡大、縮小(拡張及び収縮)するように構成されている。例として開示された図示の実施形態では、押し出し要素66は尿管栓部32と同様に膨張可能なバルーンである。押し出し要素66は長尺の部材31内の押し出し要素66に終端を有する追加の管腔を通って流体を押し出し要素66の内部空間に導入することによって拡張し(膨張し)、押し出し要素66は流体を尿管栓部32からすべて流出して空にすることにより収縮する(萎む)。流体としては、水、空気、造影剤などがある。押し出し要素66は、尿管栓部32とは異なる特徴を持っており、拡張した状態では、突起68が尿管栓部32よりさらに成形した(長尺の)、より堅固なものとなっている。
図14は、押し出し要素66の収縮、もしくは萎んだ状態を示す図である。
【0037】
尿管壁押し出し要素66は、
図13の矢印で概ね示すように、洗浄流体が流れるために適した空間を確保している点で有用である。すなわち、尿管壁押し出し要素66は、結石除去/回収装置30’’から排出される流体(液体)のための流路を提供するとともに、結石を押し出し/洗浄流体によって洗い流すように構成されている。尿管壁押し出し要素66は、UBJ212のように尿管内腔205が狭窄している場合などに特に有効である。
【0038】
図15Aおよび
図15Bは、ここで開示する装置、およびそれに付随する方法の他の例を表す結石除去/回収装置を示す図である。前に示した結石除去/回収装置の実施形態では、尿管栓部32が拡張して尿管204の管腔205に接触するように構成されている。この様式の結石除去/回収装置30’’’は、吸引または真空を作ることにより、尿管栓部32’’’が尿管204の尿管内腔205の内面または内壁を尿管栓部32’’’に向かってそれと接触するように引き出すまたは引っ張るように構成されている点で異なる。
図15Aは、尿管栓部32’’’の構成の例を示す図である。長尺の部材31’’’の先端部には、長尺の部材31’’’の内部と連通する一連の貫通穴または開口72が設けられている。尿管栓部32’’’の内部は、吸引源もしくは真空源と接続されている。図示の実施形態では、真空または吸引源は、
図5に示したシリンジ50である。上記で説明し、
図5で示した実施形態では、プランジャー52は前方に押し出され、尿管栓部32を膨らませる。この実施形態では、
図15Bに例示するように、シリンジを長尺の部材31’’’の端に接続し、真空または吸引状態を作り上げて尿管内腔205の内面を尿管栓部32’’’の外面の方向に引いてその外面と直接接触させた後、プランジャー52を後方に引っ張るようにする。よって、この実施形態は、尿管204の中の尿管内腔205を閉塞させる、または閉鎖するための代替えの方法を提供するものである。尿管栓部32’’’は、吸引口として作用する。
【0039】
上記の実施形態は、シリンジを真空または吸引源として使用する。しかし、他の真空または吸引源を使用してもよい。
【0040】
図16および
図17は、ここで開示する装置およびそれに付随する方法のさらなる例を表す結石除去/回収装置を示す図である。この実施形態は、腎盂・腎杯(腎臓)に位置する結石300を除去/回収するのに特に有効な適用方法を有する。一般的に、結石除去/回収装置130は、腎盂220の一部を閉塞または覆い、同時に洗浄もしくは押し出し用の流体(液体)を腎盂の残りの部分に分配または排出して、他の覆われていない部分に位置する結石を洗い流す、または押し流す。
【0041】
図16を参照すると、結石除去/回収装置130は、長尺の部材(本体)131と、注水口または注水ノズル134を設けた筒状部材またはカテーテル172を有する。長尺の部材または本体131は、両端が開放されたルーメンを有し、筒状部材172は、長尺の部材131のルーメンの内部を軸方向に移動可能である。筒状部材172も、筒状部材全体に延在し、両端が開放されたルーメンを有する。例として開示した図示の実施形態によると、注水口または注水ノズル134は、筒状部材172の開放先端である。筒状部材172のルーメンは、
図3に示す流体源60で例示される流体源に接続されている。
【0042】
長尺の部材131のルーメン(すなわち、筒状部材172の外面と長尺の部材131の内面の間の空間)は、長尺の部材131に固定された伸縮自在の腎盂腎杯カバー部132の内部と連通している。腎盂腎杯カバー部132は、後にさらに詳しく説明するように、腎盂220の一部を閉塞する役目を果たす。
【0043】
長尺の部材131内のルーメンは、
図5に示すシリンジ50のような流体源に接続される。
図3〜6に示すものと類似したチェックバルブを用いて、流体(例えば、空気やガス)の伸縮自在の腎盂腎杯カバー部132内部への導入を制御することができる。上記のように、シリンジ50とチェックバルブで、流体を腎盂腎杯カバー部132から排出させることができる。図示の例では、伸縮自在の腎盂腎杯カバー部132は、流体がバルーンの内部に導入されると拡張して(膨張して)、流体がバルーンから掃出されると縮小する(萎む)、拡張可能なバルーンである。
【0044】
図17に示す結石除去/回収装置130を使って腎盂から結石を回収/除去するための方法の例は次のとおりである。結石除去/回収装置130は、(例えば、尿道を通って)体の中に挿入され、膀胱202を通り腎盂220に入るまで尿管204に沿って移動する。この結石除去/回収装置130の移動と、腎盂220への導入の間中、腎盂腎杯カバー部132は、萎んだ/縮小した状態にあり、流体は、注水口または注水ノズル134から排出されることはない。腎盂腎杯カバー部132を腎臓200の空洞内に位置させた後、腎盂腎杯カバー部132を拡張、または膨張させて、
図17に概ね図示するように腎盂220の一部を閉塞する、または覆う。腎盂220の一部が拡張した腎盂腎杯カバー部132によって覆われた、または閉塞された後、流体が注水口またはノズル134から排出され、腎盂腎杯カバー部132で覆われていない、または閉塞されていない腎盂220の別の部分に向けられる。注水口134から排出されるこの流体は、腎盂220の覆われていない部分を洗い流す、または押し流して結石を一緒に流す。すると、結石300および流体は、尿管204を通って洗い流される、または押し流される。
【0045】
この操作を行う際、その一部として、注水口134を腎盂220の覆われていない部分に向けることができる。この方向性を持ったアプローチにより、結石300の押し流し、または洗い流しを容易に行うことができる。
【0046】
この医療処置の一部として、腎盂腎杯カバー部132を膨張させることによって腎盂220の一部を覆う前に、腎盂220に位置する結石300に対して砕石術を施すことも可能である。この場合、砕石術は、腎盂腎杯カバー部132を腎盂220内に導入する前に行うのが好ましい。
【0047】
図16に示す結石除去/回収装置130は、尿管アクセスシースと、尿管鏡、好ましくは可撓性を有する尿管鏡を使用して腎盂220に送り込むことができる。ここで、尿管アクセスシースをまず生体に挿入し、次に装置130を尿管鏡に挿入し、そして尿管鏡を尿管アクセスシースに挿入する。尿管アクセスシースを生体(例えば、尿道を通って)に導入し、腎盂尿管移行部208を越えて(すなわち、上部または基端部)尿管アクセスシースの先端が位置する場所まで前進させる。これは、尿管鏡の先端の可撓性を維持するまたは保持するのを助けるのに好ましい位置決めなのである。尿管鏡は、視覚的に結石除去/回収装置130の腎盂220に向かう前進または動きを観察するために使用する。結石除去/回収装置130が一度、腎盂220内の適した位置についたら、尿管鏡は体外に引き戻すことができる。そして、腎盂腎杯カバー部132を膨張させて腎盂220の一部を覆う。さらに、腎盂220の一部が、拡張した腎盂腎杯カバー部132によって覆われた、または閉塞された後は、尿管鏡を引き戻すことができる。流体が注水口またはノズル134から排出され、腎盂220の他の部分を洗い流す。流体と結石は、尿管アクセスシースを通って体外へと流れる。
【0048】
図18および
図19は、ここで開示した、そしてすでに説明した結石回収および除去方法の別の態様を示す図である。この別の態様には、結石に比較的小さい力をかけて結石を移動させる、またはずらす(結石移動力、または結石位置変更力)ことが含まれる。この力は、水が尿管鏡の注水口から流れる際に、または患者が横たわっているベッド/台を振動させる、または揺らすことによって生成される小さい衝撃波を与えることを含んでいてもよい。ここでの目的は、結石を腎盂の一部から腎盂の他の部分に移動させることである。この結石の腎盂の一部から腎盂の他の部分への移動を
図18に略図で示す。そして、結石300を、腎盂の一部分または領域に集める。結石を集める一部分または領域は、好ましくは小腎杯226である。結石が腎盂220の一部または領域に集められた後、
図19で示すように、結石除去/回収装置130を腎盂220の中に導入し、結石300が除去された、もしくは排出された腎盂220の該一部を膨張させた腎盂腎杯カバー部132によって覆う。腎盂カバー132で覆われていない部分は、上述のように、注水口134を通って腎盂220の中に導入される流体(液体)によって洗い流される、もしくは押し流される。この、
図18および
図19に示す別の態様を採用することにより、注水口またはノズル134から送られた流体によって押し流されたほとんど、またはすべての結石300が腎盂220のそのエリアまたは領域に移動することにおいて、結石除去/回収操作の効率が高められる。
【0049】
図19は、結石回収/除去装置および方法のこの実施形態に伴うさらなる態様を示す図である。
図19に示すように、圧力センサ145が結石除去/回収装置130、特に長尺の部材131に取り付けられている。この圧力センサ145は、腎盂220内の圧力を検知する。圧力センサ145は、注水ノズル134から流体を排出することを含む結石除去/回収装置130の操作を制御する制御装置147に接続されている。圧力センサ145からの情報が、腎内圧(すなわち、腎盂内の圧力)がある圧力より大きいことを示した場合(例えば、0.2mH
2O〜0.7mH
2O、さらに好ましくは、0.3mH
2O〜0.5mH
2O)、制御装置147は高腎内圧であることについて医師に警告を出す、および/または腎盂内に追加の流体(水)を排出するのを止めることができる。
【0050】
図20は、ここでの開示の別の態様を示す図である。まず、腎盂腎杯カバー部132を膨張させて腎盂220の一部分を覆う。そして、尿管鏡を引き戻し、同時に流体を注水口またはノズル134から排出し、腎盂220の他の部分を洗い流す。
図20に示すように、腎内圧の上昇を避けるため、
図20に示す矢印の近くの影がついた部分が示す「尿管鏡の引き戻し」と
図20の他の影がついた部分が示す「さらに流入させる注水」の量は連続的に同じに調整する必要がある。この処置を通して、医師は洗浄中に尿管鏡によって結石300の状態を見ることができる。
【0051】
図16に示す結石除去/回収装置130を使用して上記と似た方法で結石または石を「掻き出す」こともできる。例えば、腎盂220の一部が、拡張した腎盂腎杯カバー部132によって覆われた、または閉塞された後、注水口134から排出される流体が、腎盂220の覆われていない部分を洗い流す、または押し流して結石300を取り除く。結石300と流体は、一部が尿管204を通って洗い流され、あるいは押し流されるが、残り(残りの結石)は、尿管204に存在する。これら残りの結石300を取り除くには、腎盂腎杯カバー部132を萎ませて、または収縮させて、尿管204の中で膀胱202に向かって後方に移動させる。そして、腎盂腎杯カバー部132を、腎盂腎杯カバー部132の表面が部分的に尿管204に接触するまで、再び拡張させる、または再び膨張させる。腎盂腎杯カバー部132が拡張した、または膨張した状態にある間に、腎盂腎杯カバー部132がこのように移動することにより、拡張した、または膨張した腎盂腎杯カバー部132が結石または石300を引きずり出す、またはかき集める。
【0052】
尿管アクセスシースを使用した場合、
図16に示す結石除去/回収装置130を使用して尿管アクセスシースの中の結石または石を「掻き出す」ことも可能である。この状態では、上記と同様、残りの結石300と流体は尿管アクセスシースの中に存在する。結石除去/回収装置130は、腎盂腎杯カバー部132が萎んでいる、または収縮している間は、尿管アクセスシースのルーメン内に送りこまれる。尿管アクセスシースのルーメン内の希望の位置に到達した後、腎盂腎杯カバー部132は拡張(膨張)され、尿管アクセスシースのルーメンの内部で後方に引出され、尿管アクセスシースのルーメンの内部の結石または石300を掻き出す。この態様では、腎盂腎杯カバー部132を拡張させる、または膨張させることができる程度は、尿管アクセスシースのルーメンの内径によって決まる。
【0053】
ここで開示の別の態様によると、
図16に示す結石除去/回収装置130を尿管鏡とともに使って、結石除去/回収装置130の引出または後方に向かう移動の量を、腎盂220内に排出される水の量により制御する。上述のように、尿管鏡は、視覚的に結石除去/回収装置130の腎盂220内部への動きを観察するために使用することができる。結石除去/回収装置130が腎盂220の希望の位置に到達すると、流体の対流が生成される腎盂220内への排出の前に尿管鏡を引き出すことができる、あるいは尿管鏡を現行の位置で保持することができる。後者の場合、流体(洗浄用流体)が腎盂220内に排出されると、尿管鏡が後方に引き戻され、それに伴って結石/石300と洗浄用流体が一緒に戻る。この尿管鏡の引き戻しは、尿管鏡の引き戻し量が注水口134から排出される流体(水)の量と等しくなるように制御される。
【0054】
図21〜24は、ここで開示する装置およびそれに付随する方法のさらなる例を表す結石除去/回収装置を示す図である。この実施形態の結石除去/回収装置330は、排出口の例を表す注水口またはノズル334を備えた長尺の部材331を含む。注水ルーメン336は、長尺の部材331に沿って延在する。注水ルーメン336は、注水口またはノズル334と連通しており、また、開放された基端を有する。プランジャー376は、注水ルーメン336の内部で移動可能に位置しており、注水ルーメン336の長さに沿って摺動する。プランジャー376は、当該プランジャー376に固定されたゴムのガスケットまたはプラグ378を含んでおり、ゴム製のガスケット378がプランジャー376とともにユニットとして移動する。ガスケット378は、注水ルーメン336の内面と、流体密に係合する。
【0055】
結石除去/回収装置330は、入口の例を表す吸入口380も有する。
図21および
図22に図示の実施形態では、吸入口380は注水口334の基端に位置する。チェックバルブ382(一方向弁)は、注水口334を閉じるとともに、別のチェックバルブ384(一方向弁)は吸入口380を閉じる。チェックバルブ382により、
図21に矢印375で示すように、注水ルーメン336から流体を装置の外部に排出することができる。一方、チェックバルブ382は、矢印375の反対の方向に流体が注水ルーメン336に流れ込むのを防ぐ。
【0056】
図21を参照すると、プランジャー376が
図21の矢印373の方向で示す前方に押し出されると、注水ルーメン336内の、ガスケット378の前方(すなわち、
図21のガスケット378の右側)に位置する流体(液体)がチェックバルブ382を通って注水口334から排出される。チェックバルブ382は、矢印375の方向の流れを許容し、矢印375の反対方向への流れを阻止する。
【0057】
図22を参照すると、プランジャー376が
図22の矢印377の方向によって示す方向の後方に引っ張られると、ガスケット378の先端側(すなわち、
図21と
図22に示すガスケット378の右側)に吸引または真空が生成され、流体と結石を、チェックバルブ384を通ってルーメン336内に引き込む。チェックバルブ384は、矢印379の方向の流れを許容し、矢印379の反対方向への流れを阻止するように構成される。
【0058】
図21および
図22に示す結石除去/回収装置330は、概ねハウジングまたは筐体386の形状の回収部386も有する。チェックバルブ390は、筐体388内に設けられ、筐体386の内部と筐体386の外部を分離する。開放されているときには、チェックバルブ390は筐体386の内部と筐体386の外部の間を連通する。チェックバルブ390は、チェックバルブ384に類似しているが、チェックバルブ390は、チェックバルブ384より容易に開放できる。言い換えれば、チェックバルブ390の閉鎖力はチェックバルブ384の閉鎖力よりも弱い。よって、プランジャー376を
図22の矢印377の方向に後方に引っ張ると、チェックバルブ390は、チェックバルブ384より大きく開き、また/あるいは長い時間開放される。チェックバルブ390は、流体および結石(腎臓結石または石の破片)300を筐体388内に通すが、チェックバルブ384は、流体をルーメン336に通すだけである。
【0059】
図23は、結石除去/回収装置330の使用に伴う操作態様の略図である。注水口またはノズル334と連通する注水ルーメン336には、流体(たとえば、水、生理食塩水などの液体)が充填され、プランジャー/ガスケット376、378は、注水ルーメン336の内部に位置して、注水口334に向けて前方に移動する。プランジャー376が矢印373によって示される前方に移動するにつれ、注水ルーメン336の内部の流体が注水口334からチェックバルブ382を通って排出され、
図23の矢印381によって概ね示されるように、腎盂220内で対流を生成する。この対流は、結石除去/回収装置130が腎盂220内に位置するとき、注水口334を通って排出される流体によって生成された対流が腎盂220内に存在する結石または石300の破片をかき混ぜるため、有益である。すなわち、結石300が腎盂220の表面から持ち上がり、対流の中で保留されるため、結石300の回収が容易になるのである。このプランジャー376の前方移動中、吸引口380のチェックバルブ384と回収部386のチェックバルブ390が閉じている間、チェックバルブ382は開放される。
【0060】
プランジャー376がその前方移動の終端に到達した後、プランジャー376の移動が停止し、チェックバルブ382が自動的に閉じる。次に、プランジャー376を後方に引っ張って流体の対流によってかき混ぜられた、あるいは持ち上げられた結石を回収する。このプランジャー376の、矢印377の方向の後方への移動により、チェックバルブ382が閉じる。プランジャー376が後方に引っ張られるにつれ、真空または吸引がガスケット378の前に生成される。これにより、チェックバルブ384が開き、チェックバルブ390が大きく開き(チェックバルブ384より大きく開き)、腎盂220内の流体と結石または石300がチェックバルブ390を通って流れるとともに筐体388に入る。チェックバルブ390を通り過ぎた結石または石300は、筐体388内に残り、その重量により筐体388の底に向かって落下する傾向にあり、一方でチェックバルブ390を通過し、筐体388に入る流体は、開かれたチェックバルブ384を通って注水ルーメン336の内部に流入する。プランジャー376を連続的に押し引きすれば、比較的安定した対流を腎盂220内で生成することができる。
【0061】
図24は、腎臓200の腎盂220内に位置する結石除去/回収装置330の略図である。前述したように、結石除去/回収装置は、尿道を通って挿入され、膀胱202を通って腎盂220へと続く尿管204に沿って前進する。結石除去/回収装置330が一度腎盂220内に適当に位置決めされると、プランジャー376は前方に向けて移動して注水ルーメン336の外に注水口またはノズル334を通して、腎盂220内に流体を排出し、上記のような流体の対流を生成する。
図24は、流体の対流が結石300を持ち上げ、保留する様子を示した図である。注水口334を通して流体を排出している間、チェックバルブ382が開き、チェックバルブ384とチェックバルブ390は閉じた状態となる。プランジャー376が前方への移動の終端に到達した後、プランジャー376は後方に向けて引き出され、流体と結石/石300の断片をチェックバルブ390を通して筐体388の中に引き出す。結石または石300の断片は、その重さによってそれらが集まり、保持される筐体388内に集められる。一方、チェックバルブ390を通って引き出された流体は、チェックバルブ384を通り、注水ルーメン336に沿って引き出され続ける。プランジャー376が後方に移動している間、チェックバルブ384とチェックバルブ390は開放されており、チェックバルブ382は閉じたままとなる。
【0062】
上記の実施形態のように、尿管鏡、好ましくは可撓性の尿管鏡を使用して結石除去/回収装置330を生体内に挿入することが可能となる。結石除去/回収装置330は、尿管鏡の機器通路内に導入され、尿管鏡の操作を通して監視しながら腎盂まで前進する。
【0063】
図21および
図22に示す結石除去/回収装置330の構成の代替えとして、結石除去/回収装置330の回収部386を処分することもできる。この代替え案では、尿管鏡を上記の方法で使用して、結石除去/回収装置の腎盂に向けた前進動作を視覚的に監視する。結石除去/回収装置が一度尿管鏡の中の適した位置に位置したら、尿管鏡を腎盂尿管移行部208(
図1に示す)または尿管204(
図1に示す)まで引き戻す。これにより、尿管鏡の先端と尿管204の内壁との間に空間ができる。結石/石300の破片は、尿管鏡が引き戻されると、回収部386の代わりにこの尿管鏡の先端と尿管204の内壁の間に形成された空間に集まる。結石/石の破片は、流体とともにこの空間に入り、尿管204に沿って膀胱202または体外に流れる。上述のように、腎盂220内に安定した対流を生成し、腎盂220の容量を維持するためには、連続的な押しと引きの動作が必要である。
【0064】
図25Aおよび
図25Cは、結石除去/回収装置330内でのチェックバルブ382、384の特殊な形状として使用できるゴム製密閉チェックバルブを示す。ゴム製密閉チェックバルブは、長尺の部材331に固定したゴム製エレメント392を含む。ゴム製エレメント392は、長尺の部材331に設けた複数の穴または貫通開口394を覆う。ゴム製エレメント392は長尺の部材331に何らかの適した方法で固定されており、ゴム製エレメント392が、通常は穴または貫通開口394を覆っている。圧力がゴム製エレメント392の逆側から加わると、ゴム製エレメント392は、
図25Cに示すように持ち上がり、流体が穴394を通って排出または通過できるようになる。
【0065】
よって、ゴム製密閉チェックバルブを
図21および
図22に示すバルブ382に使用すると、プランジャー376を前方に押した時に、バルブは
図25Cに示す位置をとり、プランジャー376を後方に引いたときに
図25Bに示す位置をとる。ゴム製密閉チェックバルブを
図21および
図22に示すバルブ384に使用すると、プランジャー376を前方に移動した時に、バルブ384は
図25Bに示す位置をとり、プランジャー376を後方に引いたときに
図25Cに示す位置に移動する。
【0066】
図26は、結石除去/回収装置330内でのチェックバルブ382、384の別の特殊な形状として使用できる周知のアヒル口型バルブを示す。アヒル口型バルブを
図21および
図22に示すバルブ382に使用すると、プランジャー376を前方に押すとアヒル口型バルブの狭窄した口が開き、プランジャー376を後方に引くと閉じた位置に戻る。アヒル口型バルブを
図21および
図22に示すバルブ384に使用すると、プランジャー376を後方に引くとアヒル口型バルブの狭窄した口が開き、プランジャー376を前方に押すと閉じた位置に戻る。
【0067】
図27は、結石除去/回収装置330に採用可能なインペラーの例を示す。プランジャー376の、逆方向に向いたチェックバルブの配置を有するルーメン336における押し引き動作(運動)の代わりに、機械的に回転するインペラーで腎臓の空洞内に目標とする対流を生成することができる。
【0068】
上記の詳細な説明では、結石を、尿管および腎盂のような生体の一部より回収/除去するための装置と方法について説明している。しかし、本発明は、説明した実施形態およびその変形例に厳密に限るものではない。様々な変更、変形および等価物は当業者が特許請求の範囲に記載の本発明の精神と範囲から離れることなく、行うことが可能である。特許請求の範囲に含まれるこれらの変更、変形および等価物は、すべて特許請求の範囲に含むことを意図するものである。