(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行部(7)に原動機(2)からの動力を伝動する伝動装置と、該伝動装置における走行部(7)への動力伝動経路の途中に配置され且つ前進時複数段及び後進時一段の変速を行う変速機構(12)と、該伝動装置における走行部(7)への動力伝動経路の途中における変速機構(12)の伝動下流側又は上流側に配設されて高速動力を断続する高速側クラッチ及び低速動力を断続する低速側クラッチと、前記変速機構(12)の変速操作を行う変速レバー(14)と、前記高速側クラッチと低速側クラッチを択一的に接続させる断続操作具(13)と、前記変速レバー(14)による上記変速機構(12)の前進高速段への切換操作である高速操作を規制する高速側規制部材(29)と、前記変速レバー(14)による上記変速機構(12)の後進への切換操作である後進操作を規制する後進側規制部材(38)とを備え、前記高速側クラッチを接続作動させた場合に後進側規制部材(38)が作用姿勢に切換作動するように、該高速側クラッチと後進側規制部材(38)とを連係機構(43)によって機械的に連係し、前記高速側規制部材(29)によって高速操作を規制させることにより、作用姿勢の後進側規制部材(38)による後進操作の規制が併せて行われるように、該後進側規制部材(38)を、前記高速側規制部材(29)側に支持した農作業機。
前記後進側規制部材(38)は、高速側クラッチの断続によって揺動されるように、前記高速側規制部材(29)側に支持された丸棒状の規制アームであり、前記変速レバー(14)を後進操作した状態で上記規制アーム(38)に接当することにより該規制アーム(38)の作用姿勢側への揺動を規制する接当部材(44)を、該変速レバー(14)の中途部に一体的に設けた請求項1に記載の農作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献の農作業機では、通常、変速レバーによって、変速機構の切換操作を行うが、高速側クラッチが接続されて高速動力が伝動される状態においては、変速機構の後進への切換及び前進高速段への切換は規制した方が、走行時の安定性という観点から望ましい。
しかし、このような規制を行う場合、通常は、変速レバーによる変速機構の後進への切換を規制する操作と、変速機構の前進への切換を規制する操作とを各別に行う必要があるため、操作性が悪くなる他、規制を行う対象毎に、規制部材と、その操作を行うための部材を設ける必要があるため、部品点数が多くなり、コスト高になる。
【0005】
本発明は、高速側クラッチ及び低速側クラッチのうち、高速側クラッチが選択され、高速動力が伝動されている最中は、変速レバーによる変速機構の後進への切換の規制及び前進高速への切換の規制を行うことが可能であり、その際の操作性が良好で、且つ安価なコストで規制が可能な農作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、走行部7に原動機2からの動力を伝動する伝動装置と、該伝動装置における走行部7への動力伝動経路の途中に配置され且つ前進時複数段及び後進時一段の変速を行う変速機構12と、該伝動装置における走行部7への動力伝動経路の途中における変速機構12の伝動下流側又は上流側に配設されて高速動力を断続する高速側クラッチ及び低速動力を断続する低速側クラッチと、前記変速機構12の変速操作を行う変速レバー14と、前記高速側クラッチと低速側クラッチを択一的に接続させる断続操作具13と、前記変速レバー14による上記変速機構12の前進高速段への切換操作である高速操作を規制する高速側規制部材29と、前記変速レバー14による上記変速機構12の後進への切換操作である後進操作を規制する後進側規制部材38とを備え、前記高速側クラッチを接続作動させた場合に後進側規制部材38が作用姿勢に切換作動するように、該高速側クラッチと後進側規制部材38とを連係機構43によって機械的に連係し、前記高速側規制部材29によって高速操作を規制させることにより、作用姿勢の後進側規制部材38による後進操作の規制が併せて行われるように、該後進側規制部材38を、前記高速側規制部材29側に支持したことを特徴とする。
【0007】
前記後進側規制部材38は、高速側クラッチの断続によって揺動されるように、前記高速側規制部材29側に支持された丸棒状の規制アームであり、前記変速レバー14を後進操作した状態で上記規制アーム38に接当することにより該規制アーム38の作用姿勢側への揺動を規制する接当部材44を、該変速レバー14の中途部に一体的に設けたものとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
前記高速側規制部材によって高速操作を規制させることにより、作用姿勢の後進側規制部材による後進操作の規制が併せて行われるため、規制のための操作が簡易化され、操作性が向上するとともに、後進側規制部材を既存の高速側クラッチに連係機構を介して連係させ且つ該後進側規制部材を、高速側規制部材側に支持すればよいため、部品点数の増加も抑制され、コストも安くなる。
【0009】
前記後進側規制部材は、高速側クラッチの断続によって揺動されるように、前記高速側規制部材側に支持された丸棒状の規制アームであり、前記変速レバーを後進操作した状態で上記規制アームに接当することにより該規制アームの作用姿勢側への揺動を規制する接当部材を、該変速レバーの中途部に一体的に設けたものによれば、簡易な構成で、規制を実現できるため、コスト安になる他、後進操作が行われた場合には、規制アームの作業姿勢への切換も規制されるため、規制アームの作用・非作用を適切に切換えることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1,
図2は、本発明の農作業機を適用した歩行型管理機の側面図及び平面図である。図示する歩行型管理機は、前後方向に延びる機体フレーム1と、該機体フレーム1上に搭載されたエンジン(原動機)2と、該エンジン2の側部に設置された前後方向の伝動ケース3と、該伝動ケース3の後端側から前方斜め下方に延びるミッションケース4と、該伝動ケース3の後端側から後方斜め下方に延びるロータリケース6と、前記ミッションケース4の下端部に回転駆動可能に支持された左右一対の車輪7と、前記ロータリケースの下端部に設置された左右方向の耕耘ロータリ8と、機体フレーム1の後端側から後方斜め上方に向かって一体的に延設されたハンドルフレーム(操作ボックス)9と、該ハンドルフレーム9から後方斜め上方の突出形成され且つ平面視でハンドルフレーム9と共にループ状をなす操向ハンドル11とを備えている。
【0012】
エンジン2で発生した動力は、伝動ケース3内の伝動ベルト(図示しない)を介して、ミッションケース4内の走行変速機構(変速機構)12(
図5,6参照)に伝動される。この伝動ベルトは左右一対で設けられ、一方の伝動ベルトは、その伝動比によって、高速の動力を、走行変速機構12に伝動する高速側伝動ベルトであり、他方の伝動ベルトは、その伝動比によって、低速の動力を、走行変速機構12に伝動する低速側伝動ベルトである。
【0013】
各伝動ベルトには、テンションを付与するプーリからなる構成され且つ走行変速機構12にベルト伝動される動力を断続するクラッチが設置されている。高速伝動ベルト側のクラッチは、上記した高速動力を断続する高速側クラッチであり、低速伝動ベルト側のクラッチは、上記した低速動力を断続する低速側クラッチである。
【0014】
そして、操向ハンドル11に設置されたクラッチレバー(断続操作具)13の揺動操作によって、高速側クラッチ及び低速側クラッチの両方が切断状態になるニュートラル状態と、高速側クラッチが切断状態で且つ低速側クラッチが接続状態になる低速状態と、高速側クラッチが接続状態で且つ低速側クラッチが切断状態になる高速状態との何れかの状態に択一的に切換える。
【0015】
走行変速機構12に入力された動力は、該走行変速機構12によって変速された後に、車輪7に伝動され、該車輪7を走行駆動させる他、ロータリケース6内にも伝動される。ちなみに、走行変速機構12は、前進時複数段の切換及び後進時一段の切換が可能であり、その切換操作(変速操作)を、ハンドルフレーム9の後端側から後方斜め上方に突出形成された変速レバー14の揺動によって行う。
【0016】
ロータリケース6には、走行変速機構12(さらに具体的には、走行変速機構12の伝動上流側)から分岐されてきた動力を、耕耘ロータリ8に伝動する作業伝動機構(図示しない)が内装されている。この作業伝動機構は、耕耘ロータリ8への動力伝動を遮断するニュートラル状態と、耕耘ロータリ8を正転方向(前進させる方向)に回転駆動させる正転状態と、耕耘ロータリ8を逆転方向に回転駆動させる逆転状態とに切換可能である。
【0017】
そして、これらの切換操作は、ロータリケース6の上部背面側から後方に突出する作業機レバー16の揺動によって行う。ちなみに、耕耘ロータリ8は、ロータリケース6の下端部から、左右両側に突出する図示しないロータリ軸に一体回転可能に軸装された複数の耕耘爪(図示しない)によって構成されている。
【0018】
図3(A),(B)はクラッチレバー側の要部構成を示す平面図及び側面図である。前記クラッチレバー13は、操向ハンドル11の左側部分に左右揺動可能且つ前後揺動可能に支持され、操向ハンドル11に取付固定されて水平面に沿う板状のレバーガイド17のガイド孔18に挿通され、該ガイド孔18によって揺動案内される。
【0019】
ガイド孔18は、前方が開放されたコの字状に成形され、左右一方側(図示する例では右側)の前後方向に延びる部分が高速側案内部18aになり、左右他方側の前後方向に延びる部分が低速側案内部18bになり、この左右の案内部18a,18bの後端部同士を接続するように左右方向にのびる部分が切換部18cになる。
【0020】
高速側案内部18aの直下には、高速側作動アーム19が前後揺動可能に支持され、該高速側作動アーム19は、その前端部に連結されたワイヤ21等の連係機構を介して、高速側クラッチに連結されている。クラッチレバー13を、切換部18c内で高速側案内部18aに位置させた後に、高速側案内部18aの最前方位置に揺動させると、該クラッチレバー13の基端部に回転自在に支持された接当ローラ13aが、高速側作動アーム19の揺動支点よりも後方部分の窪みに接当し、高速側作動アーム19がワイヤ21を引張る側に揺動され、これによって、高速側クラッチが接続状態に切換えられる(上記高速状態に切換えられる)。
【0021】
低速側案内部18bの直下には、低速側作動アーム22が前後揺動可能に支持され、該低速側作動アーム22は、その前端部に連結されたワイヤ23等の連係機構を介して、低速側クラッチに連結されている。クラッチレバー13を、切換部18c内で低速側案内部18bに位置させた後に、最前方位置に揺動させると、上記接当ローラ13aが、低速側作動アーム22の揺動支点よりも後方部分の窪みに接当し、低速側作動アーム22がワイヤ23を引張る側に揺動され、これによって、低速側クラッチが接続状態に切換えられる(上記低速状態に切換えられる)。ちなみに、左右の作動アーム19,22の揺動支点の位置は、側面視で、同一に設定されている。
【0022】
また、クラッチレバー13を、後方位置揺動させて切換部18cに位置させた場合、左右方向への揺動が可能になる他、左右のワイヤ21,23への引張力が解除されるため、高速側クラッチ及び低速側クラッチの切断状態になる(上記ニュートラル状態に切換えられる)。
【0023】
図4の変速レバー及びその周辺の斜視図であり、
図5は、変速レバーの基端側の構成を示す平面図である。上述したハンドルフレーム9は、下方が開放され且つ前後方向に延びるアングル状に成形され、その開放された後端部には、方形状のレバーガイド24が嵌込み固定されている。一方、上述した変速レバー14は、突出端側である先端部にグリップ26が形成され、その他の部分であるレバー本体27が、前記レバーガイド24に穿設されたガイド孔24aに挿通されて案内される状態で、ミッションケース4側に揺動可能に支持される。
【0024】
レバー本体27におけるグリップ26の反対側の端部である基端部は、ミッションケース4内に挿通され、走行変速機構12の一又は複数(図示する例では複数)のシフト部材28を介して、該走行変速機構12の切換を行う。具体的には、前進時における高速状態(高速,前進高速段)、中速状態(中速,前進中速段)又は低速状態(低速,前進低速段)の切換と、後進状態(後進)への切換と、ニュートラル状態(ニュートラル)への切換を行う。
【0025】
ガイド孔24aはHを横に倒した形状を有し、該形状のガイド孔24aの上部における左右一方側(本例では左側)が高速位置Hになり、他方側が中速位置Mになり、下部における左右一方側(本例では左側)が後進位置Rになり、他方側が低速位置Lになり、高速位置Hと中速位置Mと後進位置Rと低速位置Lとの中間位置がニュートラル位置Nになる。
【0026】
そして、変速レバー14におけるガイド孔24aへの挿通部分である中途部を、高速位置Hに揺動させる高速操作を行うと、走行変速機構12が高速状態に切換えられ、中速位置Mに揺動させる中速操作を行うと、走行変速機構12が中速状態に切換えられ、低速位置Lに揺動させる低速操作を行うと、走行変速機構12が低速状態に切換えられ、後進位置Rに揺動させる後進操作を行うと、走行変速機構12が後進状態に切換えられ、ニュートラル位置Nに揺動させる高速操作を行うと、走行変速機構12の動力伝動が遮断されるニュートラル状態に切換えられる。
【0027】
該構造の歩行型管理機では、クラッチレバー13、変速レバー14及び作業機レバー16を適宜揺動操作し、路上走行や、圃場走行を行い、車輪7を前進走行させている最中は、耕耘ロータリを回転駆動させて、圃場の耕耘作業を行う。
【0028】
なお、高速側クラッチ及び低速側クラッチと、走行変速機構12と、作業機変速機構とによって、エンジン動力を、各部に伝動する伝動装置が構成される。本例では、この伝動装置の動力伝動経路の上流側に高速側クラッチ及び低速側クラッチが配置され、下流側に走行変速機構12が直列的に接続されるが、両者が伝動経路内で直列的に配置されれば、高速側クラッチ及び低速側クラッチの上流側に、走行変速機構12を配置してもよい。
【0029】
該構成によって、上記伝動装置は、前進時は3×2の計6段、後進時は1×2の計2段の変速を行う機能を有する。しかし、実際には、後進時に高速側クラッチからの高速動力が車輪7に伝動されると、走行速度が、速くなりすぎて走行安定性が悪くなる他、圃場での作業走行時に、走行変速機構12を高速状態に変速切換すると、耕耘作業を効率的に行うことが困難になる場合がある。このため、この歩行型管理機には、クラッチレバー13及び変速レバー14の予め定めた所定操作を、適切なタイミングで規制する規制手段が設けられている。
【0030】
次に、
図3,
図4,
図7及び
図8に基づき、規制手段の構成を詳述する。
【0031】
図6(A),(B)は規制手段の構成を示す平面図及び側面図であり、
図7(A)は規制手段によって規制している状態を示す内側の斜視図であり、(B)は規制していない状態を示す内側の斜視図であり、
図8(A),(B)は規制プレートの上面側の斜視図及び下面側の斜視図である。規制手段として、規制プレート(高速側規制部材)29と、断面視円形の規制棒31とを設けている。
【0032】
上記規制プレート29は、チャネル状のハンドルフレーム9内の天井面側に沿って前後方向の形成され、該全長方向にスライド自在に、該ハンドルフレーム9側に支持されている。この規制プレート9の前端側には、左右方向の支持ブラケット32が固着され、後端部は下方に屈曲形成されて規制部33を構成しており、この規制部33は、後述する所定状態で、変速レバー14の高速位置Hへの揺動操作を規制するように構成されている。
【0033】
支持ブラケット32の側端側は、ハンドルフレーム9の側部内面側に沿うように、前方に向かって屈曲形成されて支持部32aを構成しており、支持部32aには、左右方向の操作軸34が軸方向に移動可能にネジ係合されて挿通されている。この操作軸34の一端部は、ハンドルフレーム9の側部から前後方向の挿通孔9a(
図4参照)を介して、外部側に突出しており、この突出した端部に、操作ノブ36が該操作軸34と一体で、軸回りに回転するように取付支持され、この操作ノブ36を、操作軸34の軸回りに回転させることにより、操作軸34及び操作ノブ36が、該操作軸34の軸方向に移動する。
【0034】
この挿通孔9aは、規制プレート29の前後スライド時、操作軸34のハンドルフレーム9に対する前後動を許容するように前後方向に延びる長孔状に成形されている。操作ノブ36を、ハンドルフレーム9の側面に近づく側(ロック方向)に回転させると、両者が締着固定され、これによって、規制プレート29の前後位置が固定される一方で、操作ノブ36を、ハンドルフレーム9の側面から離れる側(解除方向)に回転させると、両者の締着固定が解除され、規制プレート29を前後スライドさせることが可能になる。
【0035】
規制プレート29を最後方位置(規制位置)にスライド移動させると、規制部33が平面視で、上記高速位置H側の臨み、変速レバー14の高速位置への揺動操作(高速操作)を規制する規制状態)に切換えられる(
図7(A)参照)。一方、規制プレート29を規制位置から前方位置(非規制位置,非規制範囲)にスライド移動させると、変速レバー14の高速操作を規制しない非規制状態に切換えられる(
図7(B)参照)。
【0036】
上記規制棒31は、左右方向に延びる軸部37と、該軸部から下方に屈曲形成された規制アーム(後進側規制部材,アーム部)38とによって構成されている。軸部37は、規制プレート29の下面後寄り部分に固着された左右方向の支持筒39に軸回りに回動可能に嵌合挿入され、これによって、規制アーム38が、軸部37の軸回りに前後揺動可能に、規制プレート29側に支持される。
【0037】
なお、この規制アーム38と軸部37とは、単一の規制棒32によって一体成形されているが、これを別部材によって構成し、両者を溶接等で固定してもよい。
【0038】
また、軸部37における規制アーム38と反対側に端部には、連動アーム41の上端部が固着され、この連動アーム41は、軸部37の軸回りに、規制アーム38と一体で、前後揺動され、その姿勢(前後揺動位置)は、該規制アーム38と略同一になる。
【0039】
この連動アーム41の下端部(先端部)が、連係ワイヤ42によって、上述した高速側作動アーム19と連係され、これによって、高速側クラッチとも機械的に連結される。そして、高速側クラッチが接続される上記高速状態に切換えられると、連係ワイヤ42の引き作動によって、連結アーム41が前方揺動されて作用姿勢に切換えられる一方で、高速側クラッチが切断された上記低速状態又はニュートラル状態に切換えられると、連係ワイヤ42の引き作動が解除され、これによって、連結アーム41が後方揺動されて非作用姿勢に切換えられる。
【0040】
言換えると、連動アーム41及び連係ワイヤ42等は、高速側クラッチが接続された場合には規制アーム38を作用姿勢に切換えるとともに、高速側クラッチが切断された場合には、規制アーム38を非作用姿勢に切換えるように、高速側クラッチと規制アーム38とを機械的に連係させた連係機構43を構成している。
【0041】
規制プレート29が規制位置に後方スライドされ且つ変速レバー14が中速位置又は低速位置に揺動されている状態で、規制アーム38を、非作用姿勢から作用姿勢に切換える(高速側クラッチを接続作動させる)と、該規制アーム38が、変速レバー41の後進位置Rへの揺動操作(後進操作)を規制(禁止)する状態(後進規制状態)になる。
【0042】
具体的には、後進規制状態時、変速レバー14の中途部に溶着された板状の接当片(接当部材,接当部)44と、規制アーム38との接当によって、後進操作が規制される。この接当片44は、変速レバー14の中途部から側方に突出した板状部材であり、後進規制状態では、この接当片44の変速レバー14から突出した側の端部が、後進操作を規制する後進規制部位44aになる。
【0043】
一方、規制プレート29が規制位置に後方スライドされ且つ変速レバー14が後進位置に揺動されている状態では、接当片44の後端部(高速側規制部位44b)と、規制アーム38との接当によって、該規制アーム38の非作用姿勢から作用姿勢への揺動が規制される。高速側クラッチは、連係機構43によって、規制アーム38と機械的に連係されているため、規制アーム38の作用姿勢への切換が規制されている状態では、高速側クラッチの接続作動(高速状態への切換)も規制される。
【0044】
また、規制プレート29が非規制位置に位置し且つ変速レバー14が中速位置又は低速位置に揺動されているとともに、規制アーム38が作用姿勢に切換えられている状態で、該規制プレート29を、規制位置に後方スライドさせると、高速操作が規制されるのに併せて、後進操作も規制される状態になる。
【0045】
以上のように構成される本歩行型管理機によれば、適切なタイミングで、後進操作や、高速操作や、高速側クラッチの接続操作が規制可能なり、誤操作が効率的に防止される他、1つの操作で、後進操作の規制と、高速操作の規制とを、同時に行うことも可能であり、操作性も良好である。また、規制アーム38の断面視円形の規制棒31から構成されているため、他の部材のとの接当によって、引掛り無く、スムーズに接当及び接当解除を行うことが可能である。これに加えて、接当片44の後進規制部位44aと高速側規制部位44bとの間のコーナー部分は、規制アーム38との引掛りを低減させるように面取りされ、両者の接当はさらにスムーズになる。
【0046】
また、後進状態を規制するか、或いは進状態に切換えられている場合に所定の操作を規制する各種部材(具体的には、規制部33を有する規制プレート29や、規制アーム38を有する規制棒31や、連係機構43の連動アーム41及び連係ワイヤ42や、接当片44等)を、変速レバー14側(主変速操作具側)に集中配置して、コンパクトに、ハンドルフレーム9内に収めているため、省スペース化が図られ、且つメンテナンスも容易である。
【0047】
なお、上記接当片44は、接当部として、変速レバー14の中途部に一体成形してもよく、この場合には、部品点数が減少し、さらにコスト安にすることが可能になる。