(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467306
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】防護柵用横部材取付金具
(51)【国際特許分類】
E01F 15/04 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
E01F15/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-138644(P2015-138644)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2017-20242(P2017-20242A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】松藤 弘
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌克
(72)【発明者】
【氏名】永石 充
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−027497(JP,A)
【文献】
特開2008−031824(JP,A)
【文献】
特開2000−120304(JP,A)
【文献】
特開昭61−241508(JP,A)
【文献】
特開2004−183252(JP,A)
【文献】
特開2001−056070(JP,A)
【文献】
実開昭63−166708(JP,U)
【文献】
米国特許第05354037(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第10059080(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 1/00
E01F 13/00−15/14
E04H 17/00−17/26
F16B 5/00−5/12
F16B 2/00−2/26
F16L 3/00−3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形パイプからなる支柱に横部材を取り付けるための防護柵用横部材取付金具において、
前記支柱を挟んで前記支柱に取り付けられる一対の横部材取付金具本体からなり、前記横部材取付金具本体の中央部の内面には、前記支柱に形成された円形状の開口内に挿入されるエンボスが形成され、前記エンボスは、縦長に形成され、前記エンボスの上部外面および下部外面は、前記横部材取付金具本体に対して直角に形成され、前記上側外面と前記下側外面との間の長さは、前記開口の内径に等しく、前記エンボスの左側外面および右側外面は、先細りテーパー状に形成されていることを特徴とする防護柵用横部材取付金具。
【請求項2】
前記横部材取付金具本体の両端下部には、前記横部材の仮置き部が形成され、前記一対の横部材取付金具本体は、前記仮置き部の下縁部の内側に形成された連結手段によって結合可能であり、前記横部材取付金具本体の両端部の上部には、前記横部材の端部が挿入される切り欠きが形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の防護柵用横部材取付金具。
【請求項3】
前記連結手段は、開口を有する挿入部と、前記挿入部と対向して形成された、前記挿入部を固定する挟持部とからなり、前記挟持部は、開口が形成された下部板と下面に爪部が突出して形成された上部板とからなり、前記下部板と前記上部板との間には、前記挿入部が挿入される隙間が形成され、前記支柱の両側に前記一対の横部材取付金具本体をあてがった後、前記挿入部を前記一対の横部材取付金具本体の弾性力に抗して前記隙間内に挿入すると、前記爪部が前記挿入部の前記開口に係止し、かくして、前記一対の横部材取付金具本体が連結されることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵用横部材取付金具。
【請求項4】
前記挿入部と前記挟持部とは、前記仮置き部に交互に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の防護柵用横部材取付金具。
【請求項5】
前記下部板の両側には、前記挿入部をガイドするガイド部が形成されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の防護柵用横部材取付金具。
【請求項6】
前記下部板の先端部上面には、前記挿入部の先端部をガイドする傾斜面が形成されていることを特徴とする、請求項3から5の何れか1つに記載の防護柵用横部材取付金具。
【請求項7】
前記横部材は、横ビームからなっていることを特徴とする、請求項1から6の何れか1つに記載の防護柵用横部材取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防護柵用横部材取付金具、特に、支柱への横部材の取り付けが容易に行え、しかも、外観に優れた防護柵用横部材取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防護柵は、例えば、支柱と支柱間に取り付けられた横部材とからなり、歩行者の路外転落や車道への立ち入りを防止する目的で設置される。
【0003】
このような防護柵において、支柱に横部材を取り付けるための防護柵用横部材取付金具の一例が特許文献1に開示されている。以下、この防護柵用横部材取付金具を従来取付金具Aといい、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図11は、従来取付金具Aによる支柱と横部材との取り付け部分を示す分解斜視図である。
【0005】
図11に示すように、従来取付金具Aは、両側下部に受け部24が形成された受け金具23と、両側上部に被せ部26が形成された被せ金具25とからなっている。
【0006】
従来取付金具Aにより支柱21に横部材22を取り付けるには、
図11に示すように、まず、受け金具取付ボルト27を支柱21の背面側に形成されたボルト孔(図示せず)と、支柱21の正面側に形成されたボルト孔28と、支柱21の正面側に当接した受け金具23に形成されたボルト孔29とに挿通し、ナット30により受け金具23を支柱21に固定する。
【0007】
次に、受け金具23の受け部24に横部材22の端部を載置して、横部材22を受け金具23に仮置きする。
【0008】
そして、被せ金具25の被せ部26を横部材22の端部に被せると共に、被せ金具25を支柱21に当接し、横部材取付ボルト31を被せ金具25のボルト孔32と、横部材22の端部に形成されたボルト孔33と、受け金具23の端部に形成されたボルト孔34とに挿通し、ナット35により横部材22を受け金具23および被せ金具25を介して支柱21に取り付ける。この際、被せ金具25に形成された貫通孔36は、受け金具取付ボルト27の頭部より大きく形成されているので、横部材22を受け金具23に仮置きした後、被せ金具25を支柱21に固定することができる。
【0009】
支柱に横部材を取り付けるための防護柵用横部材取付金具の別の例が特許文献2に開示されている。以下、この防護柵用横部材取付金具を従来取付金具Bといい、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図12は、従来取付金具Bを示す斜視図である。
【0011】
図12に示すように、従来取付金具Bは、支柱37との当接面38が凹没して形成され、上面に横部材取付ボルトのボルト孔39が形成されているものからなっている。
【0012】
従来取付金具Bにより横部材40を支柱37に水平に取り付けるには、
図13に示すように、従来取付金具Bを支柱37に固定ボルト41によって水平に固定する。
【0013】
従来取付金具Bにより横部材40を支柱37に傾斜して取り付けるには、
図14に示すように、従来取付金具Bを垂直面内において当接面38にそって傾斜させ、固定ボルト41によって固定する。
【0014】
横部材40を水平面内において角度をつけて取り付けるには、
図15に示すように、従来取付金具Bを水平面内において当接面38に沿って回転させ、固定ボルト41によって固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−31824号公報
【特許文献2】実開昭62−196223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来取付金具Aによれば、受け金具23に横部材22を仮置きすることができるので、支柱21への横部材22の取り付けが容易に行えるが、受け金具取付ボルト27が不可欠であるので、外観が悪いと共に、材料費がかかる。
【0017】
上述した従来取付金具Bによれば、固定ボルト41が露出しないので、外観は、優れているが、固定ボルト41が不可欠であるので、材料費がかかる。しかも、固定ボルト41の締結作業がやりずらいので、支柱37への横部材40の取り付けに時間を要する。
【0018】
従って、この発明の目的は、横部材の仮置きができるので、支柱への横部材の取り付けが容易に行え、支柱に横部材取付金具を固定する横部材取付金具用固定ボルトが不要であるので、この点からも支柱への横部材の取り付けが容易に行え、また、コスト低減を図ることができると共に、外観に優れ、しかも、横部材取付金具を支柱に仮止めする際に、横部材取付金具が支柱から落下する恐れがなく、さらに、横部材取付金具本体を支柱に上下方向には移動不可であり、左右方向には移動可能に取り付けることができる防護柵用横部材取付金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とする。
【0020】
請求項1に記載の発明は、円形パイプからなる支柱に横部材を取り付けるための防護柵用横部材取付金具において、前記支柱を挟んで前記支柱に取り付けられる一対の横部材取付金具本体からなり、前記横部材取付金具本体の中央部の内面には、前記支柱に形成された円形状の開口内に挿入されるエンボスが形成され、前記エンボスは、縦長に形成され、前記エンボスの上部外面および下部外面は、前記横部材取付金具本体に対して直角に形成され、前記上側外面と前記下側外面との間の長さは、前記開口の内径に等しく、前記エンボスの左側外面および右側外面は、先細りテーパー状に形成されていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記横部材取付金具本体の両端下部には、前記横部材の仮置き部が形成され、前記一対の横部材取付金具本体は、前記仮置き部の下縁部の内側に形成された連結手段によって結合可能であり、前記横部材取付金具本体の両端部の上部には、前記横部材の端部が挿入される切り欠きが形成されていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記連結手段は、開口を有する挿入部と、前記挿入部と対向して形成された、前記挿入部を固定する挟持部とからなり、前記挟持部は、開口が形成された下部板と下面に爪部が突出して形成された上部板とからなり、前記下部板と前記上部板との間には、前記挿入部が挿入される隙間が形成され、前記支柱の両側に前記一対の横部材取付金具本体をあてがった後、前記挿入部を前記一対の横部材取付金具本体の弾性力に抗して前記隙間内に挿入すると、前記爪部が前記挿入部の前記開口に係止し、かくして、前記一対の横部材取付金具本体が連結されることに特徴を有するものである。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記挿入部と前記挟持部とは、前記仮置き部に交互に形成されていることに特徴を有するものである。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記下部板の両側には、前記挿入部をガイドするガイド部が形成されていることに特徴を有するものである。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項3から5の何れか1つに記載の発明において、前記下部板の先端部上面には、前記挿入部の先端部をガイドする傾斜面が形成されていることに特徴を有するものである。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6の何れか1つに記載の発明において、前記横部材は、横ビームからなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、横部材取付金具本体にエンボスを設け、このエンボスを支柱に形成した開口内に挿入することによって、横部材取付金具用固定ボルトを使用することなく、支柱に横部材取付金具を取り付けることができる。この結果、支柱への横部材の取り付けが容易に行えると共に、外観に優れ、しかも、コストの低減を図ることができる。
【0028】
また、この発明によれば、支柱に形成された円形状の開口内に挿入される横部材取付金具本体のエンボスを縦長に形成し、エンボスの上部外面および下部外面を横部材取付金具本体に対して直角に形成し、上側外面と下側外面との間の長さを開口の内径と等しくし、エンボスの左側外面および右側外面を先細りテーパー状に形成することによって、横部材取付金具本体を支柱に上下方向には移動不可であり、左右方向には移動可能に取り付けることができる。
【0029】
また、この発明によれば、横部材取付金具本体の両端下部に横部材の仮置き部が形成されているので、支柱への横部材の取り付けが容易に行える。
【0030】
また、この発明によれば、横部材取付金具本体の両端上部に横部材の端部が挿入される切り欠きを形成することによって、横部材取付金具への横部材の仮置きが容易に行える。
【0031】
また、この発明によれば、一対の横部材取付金具本体を連結手段によって結合可能とすることによって、横部材取付金具を支柱に仮止めする際に、横部材取付金具が支柱から落下する恐れがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】この発明の防護柵用横部材取付金具による支柱への横部材の取り付け方法を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】この発明の防護柵用横部材取付金具による支柱への横部材の取り付け方法を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】この発明の防護柵用横部材取付金具の連結手段を示す斜視図である。
【
図4】この発明の防護柵用横部材取付金具による横部材の取り付け方法を斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】この発明の防護柵用横部材取付金具により支柱に横部材を取り付けた状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図6】横部材取付金具本体の支柱への固定状態を示す平面図であり、(a)は、横部材取付金具本体が拘束力をもって支柱に固定される前の状態を示す平面図、(b)は、横部材取付金具本体が拘束力をもって支柱に固定された後の状態を示す平面図である。
【
図7】横部材取付金具本体に形成されたエンボスを外側から見た正面図である。
【
図8】横部材取付金具本体に形成されたエンボスを支柱に形成された開口内に挿入した状態を示す垂直断面図である。
【
図9】横部材取付金具本体に形成されたエンボスを支柱に形成された開口内に挿入した状態を示す水平断面図である。
【
図10】横部材取付金具本体に形成されたエンボスを支柱に形成された開口内に挿入し、横部材取付金具本体を水平方向に移動させた状態を示す水平断面図である。
【
図11】従来取付金具Aによる支柱と横部材との取り付け部分を示す分解斜視図である。
【
図13】従来取付金具Bにより横部材を支柱に水平に取り付けた状態を示す正面図である。
【
図14】従来取付金具Bにより横部材を支柱に傾斜して取り付けた状態を示す正面図である。
【
図15】従来取付金具Bにより横部材を水平面内において角度をつけて支柱に取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の防護柵用横部材取付金具の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1は、この発明の防護柵用横部材取付金具による支柱への横部材の取り付け方法を斜め上方から見た斜視図、
図2は、この発明の防護柵用横部材取付金具による支柱への横部材の取り付け方法を斜め下方から見た斜視図、
図3は、この発明の防護柵用横部材取付金具の連結手段を示す斜視図、
図4は、この発明の防護柵用横部材取付金具による横部材の取り付け方法を斜め上方から見た斜視図、
図5は、この発明の防護柵用横部材取付金具により支柱に横部材を取り付けた状態を斜め下方から見た斜視図である。
【0035】
なお、本実施形態では、横部材をビーム材としているが、これに限定されるものではなく、胴縁材やパネル体枠材であってもよい。
【0036】
図1から
図5に示すように、この発明の防護柵用横部材取付金具は、円形パイプからなる支柱2を挟むようにして支柱2に取り付けられる、一対の一方および他方の横部材取付金具本体1a、1bからなっている。横部材取付金具本体1a、1bの両側は、横部材3の外径に合わせて半円筒形状に形成されている。
【0037】
横部材取付金具本体1a、1bの中央部の内面には、支柱2に形成した円形状の開口4内に挿入されるエンボス5が形成されている。エンボス5は、横部材取付金具本体1a、1bの一部を内側、すなわち、支柱2側に突出させることによって形成されている。横部材取付金具本体1a、1bのエンボス5を支柱2の開口4内に挿入して、開口4に係合させることによって、従来取付金具AおよびBのように、これらを支柱に固定する固定ボルトが不要となる。
【0038】
図7に示すように、エンボス5は、縦長に形成され、エンボス5の上部外面5aおよび下部外面5bは、横部材取付金具本体1a、1bに対して直角に形成されている。
図7における上下方向、すなわち、Y方向の上側外面5aと下側外面5bとの間の長さ(M)は、開口4の内径(R)に等しい。
図7における左右方向、すなわち、X方向のエンボス5の左側外面5cおよび右側外面5dは、先細りテーパー状に形成されている。テーパー角を、
図9において、(α)で示す。
【0039】
このような形状にエンボス5を形成することによって、エンボス5を支柱2の開口4に挿入すると、
図8に示すように、エンボス5は、Y方向には移動不可となり、
図9、
図10に示すように、X方向には移動可能となる。すなわち、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に上下方向には移動不可に、左右方向には移動可能に取り付けることができる。
図9、
図10に示すように、エンボス5と開口4との間の隙間を(L)とすると、横部材取付金具本体1a、1bは、X方向に(2L)だけ移動可能となる。
【0040】
このように、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に上下方向に移動不可に取り付けることができるので、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に上下方向のガタツキなく取り付けることができる。また、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に左右方向に移動可能に取り付けることができるので、横部材取付金具本体1a、1bの支柱2への取付けの微調整が可能になる。なお、エンボス5の左側外面5cおよび右側外面5dを先細りテーパー状に形成することによって、エンボス5を開口4内に容易に挿入することができる。
【0041】
横部材取付金具本体1a、1bの両端側部には、横部材取付ボルト6(
図4、
図5参照)が挿通されるボルト孔7が形成されている。横部材取付金具本体1a、1bの両端下部には、横部材3としてのビーム材の仮置き部8が形成されている。横部材取付金具本体1a、1bの両端上部には、横部材3の端部が挿入される切り欠き9が形成されている。切り欠き9を形成することによって、横部材3の仮置き部8への仮置きが容易になる。
【0042】
一対の横部材取付金具本体1a、1bは、仮置き部8の下縁部の内側に形成された連結手段10によって結合可能になっている。連結手段10は、開口11を有する挿入部12と、挿入部12と対向して形成された、挿入部12を固定する挟持部13からなっている。挟持部13は、開口14が形成された下部板15と下面に爪部16が突出して形成された上部板17とからなっている。下部板15と上部板17との間には、挿入部12が挿入される隙間(S)が形成されている。
【0043】
下部板15の両側には、挿入部12を挿入をガイドするガイド部15aが形成されている。これによって、挿入部12は、隙間(S)内に容易に挿入可能である。また、下部板15の先端部上面には、挿入部12の先端部をガイドする傾斜面15bが形成されているので、この点でも、挿入部12は、隙間(S)内に容易に挿入可能である(
図3参照)。
【0044】
挿入部12と挟持部13とは、一対の横部材取付金具本体1a、1bの仮置き部8に交互に形成されている。
【0045】
支柱2の両側に一対の横部材取付金具本体1a、1bをあてがった後、挿入部12を一対の横部材取付金具本体1a、1bの弾性力に抗して、挟持部13の隙間(S)内に挿入すると、爪部16が挿入部12の開口11に係止し、かくして、一対の横部材取付金具本体1a、1bが連結される。
【0046】
ここで、一対の横部材取付金具本体1a、1bの突起5間の間隔Aは、連結手段10が連結されることにより、
図6(a)に示すように、支柱2の外形よりも大きい状態から、
図6(b)に示すように、支柱2の外形よりも小さい状態で係合される。この結果、一対の横部材取付金具本体1a、1bは、支柱2に対して、弾性変形し、支柱2の中心方向の拘束力をもって支柱2に固定される。また、エンボス5の上部外面5aおよび下部外面5bは、横部材取付金具本体1a、1bに対して直角に形成されているので、これらが支柱2に形成された開口4の板厚部分に接することによって、横部材取付金具本体1a、1bは、上下方向にも拘束力もって支柱2に固定される。
この発明の防護柵横部材取付金具により、支柱2に横部材3を取り付けるには、以下のようにする。
【0047】
先ず、
図1、
図2に示すように、横部材取付金具本体1a、1bのエンボス5が支柱2に形成された開口4内に挿入されるように、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2の両側にあてがう。
【0048】
次に、一方の横部材取付金具本体1aの挿入部12を、他方の横部材取付金具本体1bの挟持部13の隙間(S)内に、そして、他方の横部材取付金具本体1bの挿入部12を、一方の横部材取付金具本体1aの挟持部13の隙間(S)内に、一方および他方の横部材取付金具本体1a、1bの弾性力に抗して挿入する。
【0049】
これにより、挟持部13の爪部16が挿入部12の開口11に係止する結果、
図6(a)、(b)に示すように、拘束力が作用するので、横部材取付金具本体1a、1bは支柱2から落下することなく支柱2に仮止めされると共に、横部材取付金具本体1a、1b同士が分離する恐れはない。
【0050】
なお、エンボス5は、上下方向には移動不可であるので、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に上下方向のガタツキなく取り付けることができる。また、エンボス5は、左右方向に移動可能であるので、横部材取付金具本体1a、1bの支柱2への取付けの微調整が可能になる。
【0051】
また、横部材3が長尺のため、製品誤差等により、エンボス5が完全に移動不可の状態となると、かえって横部材取付金具本体1a、1bの取り付けが煩雑になることがある。従って、エンボス5の左右方向への移動を可能にするために、エンボス5の左側外面5および右側外面5dにテーパー角α(ここでは100°〜120°)を設けることによって、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に取り付ける際、左側外面5および右側外面5dがガイド的な役割を果たすので、所定位置にエンボス5を配置することが可能となる。
【0052】
なお、横部材取付金具本体1a、1bの中央部の内面に形成されたエンボス5の高さ(H)(
図8参照)を、2.5mmから10mm程度に形成すれば、鉛直荷重590N/m(人が横部材に寄り掛かったと想定)を載荷しても所定の強度を確保することができる。
【0053】
次に、横部材3の端部を横部材取付金具本体1a、1bの切り欠き9の上方から仮置き部8上に載置して、横部材3の端部を横部材取付金具本体1aの一端に仮置きする(
図5、
図6参照)。
【0054】
次に、横部材取付ボルト6を横部材取付金具本体1a、1bのボルト孔7および横部材3としての横ビームのボルト孔18に挿通し、ナット19により固定する。この際、横部材取付金具本体1aの他端は、連結手段10により連結されているので、横部材取付金具本体1aの他端が広がって、支柱2から落下する恐れはない。これによって、横部材3の端部は、横部材取付金具本体1a、1bの一端に固定されると共に、横部材取付金具本体1a、1bは、支柱2にがたつきなく固定される。
【0055】
このようにして、横部材3の端部を横部材取付金具本体1a、1bの一端に固定したら、別の横部材3の端部を同様にして横部材取付金具本体1a、1bの他端に固定する。
【0056】
このようにして、この発明の防護柵横部材取付金具により、支柱2に横部材3を取り付けることができる。
【0057】
以上、説明したように、この発明によれば、横部材取付金具本体1a、1bにエンボス5を設け、このエンボス5を支柱2に形成した開口4内に挿入することによって、横部材取付金具用固定ボルトを使用することなく、支柱2に横部材取付金具を取り付けることができる。この結果、支柱2への横部材3の取り付けが容易に行えると共に、外観に優れ、しかも、コストの低減を図ることができる。
【0058】
また、この発明によれば、支柱2に形成された円形状の開口4内に挿入される横部材取付金具本体1a、1bのエンボス5を縦長に形成し、エンボス5の上部外面5aおよび下部外面5bを横部材取付金具本体1a、1bに対して直角に形成し、上側外面5aと下側外面5bとの間の長さ(M)を開口4の内径(R)と等しくし、エンボス5の左側外面5cおよび右側外面5dを先細りテーパー状に形成することによって、横部材取付金具本体1a、1bを支柱2に上下方向には移動不可であり、左右方向には移動可能に取り付けることができる。
【0059】
また、この発明によれば、横部材取付金具本体1a、1bの両端上部に横部材3の端部が挿入される切り欠き9を形成することによって、横部材取付金具への横部材3の仮置きが容易に行える。
【0060】
また、この発明によれば、一対の横部材取付金具本体1a、1bを連結手段10によって結合可能とすることによって、横部材取付金具を支柱2に仮止めする際に、横部材取付金具が支柱2から落下する恐れがなくなる。
【符号の説明】
【0061】
1a、1b:横部材取付金具本体
2:支柱
3:横部材
4:開口
5:エンボス
5a:上側外面
5b:下側外面
5c:左側外面
5d:右側外面
6:横部材取付ボルト
7:ボルト孔
8:仮置き部
9:切り欠き
10:連結手段
11:開口
12:挿入部
13:挟持部
14:開口
15:下部板
15a:ガイド部
15b:傾斜面
16:爪部
17:上部板
18:ボルト孔
19:ナット
21:支柱
22:横部材
23:受け金具
24:受け部
25:被せ金具
26:被せ部
27:受け金具取付ボルト
28:ボルト孔
29:ボルト孔
30:ナット
31:横部材取付ボルト
32:ボルト孔
33:ボルト孔
34:ボルト孔
35:ナット
36:貫通孔
37:支柱
38:当接面
39:ボルト孔
40:横部材
41:固定ボルト