(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホログラムパターン層において、積層方向において対向する2面のうち前記ベース材に近い下面に前記ホログラムパターンを形成し、前記薄膜層として光透過性を有する透過層を形成していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
前記ベース材上に前記カラーパターン層を積層し、前記ホログラムパターン層を前記カラーパターン層の上側に積層していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
前記ベース材上に前記ホログラムパターン層を積層し、前記カラーパターン層を前記ホログラムパターン層の上側に積層していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
請求項8に記載の画像形成物の製造方法によって製造された画像形成物において、前記ベース材の下面を光透過性を有したパネルに接合することを特徴とするパネルの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成方法で形成した画像形成物において、色材受容層を上側から見た場合、すなわち、熱昇華リボンから昇華したインクが付着した面側から見た場合には、所望の画像を見ることができるが、下側から画像形成物を見た場合には、色材受容層へのインクの浸透深さ・広がりが領域によって一定ではなく、上側にインクが有る場合は色材受容層の曇りや散乱の影響を受けて、上側から見た画像に比べて鮮明さが著しく低下した画像になりやすく、画像として認識することが難しくなることも少なくない。したがって、被転写材側から画像を見るように画像形成物を配置した場合には、所望の画像を視認することが困難となるという問題があった。
【0005】
さらに、特許文献1に記載の画像形成方法で形成した画像形成物では、被転写材上に接着層、レリーフ形成層、色材受容層が順に形成されているため、被転写材側と色材受容層との間にレリーフ形成層と接着層が存在する。特に、レリーフ形成層には、被転写材側に反射層が設けられていることから、被転写材側から色材受容層に形成した画像を視認することは非常に困難である。
【0006】
そこで本発明は、ホログラムパターン層とカラーパターン層を重畳して形成した画像形成物において、これらの層による画像を鮮明度の高い状態で視認可能とするように画像を形成することのできる画像形成方法、この画像形成方法によってベース材上に画像を形成する画像形成物の製造方法、及び、この画像形成方法で画像が形成されたベース材を用いてパネルを製造するパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成方法は、光透過性を有するベース材上に、ホログラムパターン層及びカラーパターン層の一方のパターン層を積層し、さらにその上側に他方のパターン層を積層することによって
前記ベース材側から視認可能な画像を形成する方法であって、第1基材上に熱溶融性と光透過性を有するカラーインクを積層したカラーインク転写シートを加熱することによって、カラーインクをカラーパターン層として転写し、第2基材上に光透過性を有するホログラムパターン層と熱溶融性の接着層を積層したホログラム転写シートを加熱することによって、溶融した接着剤によってホログラムパターン層を転写し、ホログラムパターン層のホログラムパターン上に薄膜層を積層することを特徴としている。
【0008】
この画像形成方法によって形成された画像形成物をベース材側から見ると、ベース材の表面において光の散乱がないため、ホログラムパターン層で生じたホログラム効果を弱めることがなく、カラーパターン層による画像が重なった画像は意匠性と鮮明度の両方が高いものとなる。さらに、カラーパターン層が熱溶融転写によって形成されるため、解像度の高い画像を得ることができる。したがって、このような画像形成物をパネルに貼り付けると高品位の加飾を実現することができる。また、複数色のカラーパターン層を重ねることによって、特色、すなわち企業や製品のブランドカラーなどとして指定されている特定の色を、高品位のホログラム効果を加えて実現することができる。さらにまた、ホログラムパターン層のホログラムパターン上に薄膜層を積層しているため、ホログラムパターンの凹凸に隣接する層の材料が入り込んだとしても、ホログラム効果が消失しづらくなっている。また、ホログラムパターン層を熱溶融転写で積層できるため、カラーパターン層の形成と共通の装置を利用できることから、製造装置の大型化や製造工程の複雑化を抑えることができる。
【0009】
本発明の画像形成方法においては、ベース材上にカラーパターン層を積層し、カラーパターン層の上側にホログラムパターン層を積層し、ホログラムパターン層において、積層方向において対向する2面のうちベース材から遠い上面にホログラムパターンを形成し、薄膜層として光反射性を有する反射層を形成していることが好ましい。
これにより、光沢を含んだホログラム効果を得ることができ、意匠性の高い画像を生成させることができる。また、薄膜層によって、その外側からの光の入射を遮ることができるため、少ない層構成で所望の画像を得ることができる。さらにまた、得られた画像形成物をパネルに貼り付けると、少ない層構成で加飾効果及び隠蔽効果を得ることができる。
【0010】
本発明の画像形成方法において、ホログラムパターン層において、積層方向において対向する2面のうちベース材に近い下面にホログラムパターンを形成し、薄膜層として光透過性を有する透過層を形成していることが好ましい。カラーパターン層とホログラムパターン層の積層順序を任意に設定することが可能となる。すなわち、一つの態様においては、ベース材上にカラーパターン層を積層し、ホログラムパターン層をカラーパターン層の上側に積層し、別の態様においては、ベース材上にホログラムパターン層を積層し、カラーパターン層をホログラムパターン層の上側に積層している。
【0011】
本発明の画像形成方法においては、ベース材上に積層した各層の最上層に非透過性の隠蔽層を積層していることが好ましい。
これにより、外部からの光が入射しづらくなるため、画像の視認性が向上する。
【0012】
本発明の画像形成方法においては、ベース材上に積層した各層の最上層に反射層を積層していることが好ましい。
これにより、ホログラムパターン層によるホログラム効果を高めることができるため意匠性の高い画像を提供でき、また、外部からの光が入射しづらくなるため、画像の視認性が向上する。
【0013】
本発明の画像形成物の製造方法は、上述のいずれか1つの画像形成方法によって、ベース材上に画像を形成することを特徴としている。
これにより、意匠性と鮮明度が高い画像形成物を得ることができる。さらに、この画像形成物をパネルに貼り付けると高品位の加飾を実現することができる。
【0014】
本発明のパネルの製造方法は、上述の画像形成物の製造方法によって製造された画像形成物において、ベース材の下面を光透過性を有したパネルに接合することを特徴としている。
これにより、高品位の画像を有した画像形成物によってパネルを加飾することができる。さらに、パネル側より視認するように構成することで、高品位な加飾を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ホログラムパターン層とカラーパターン層を重畳して形成するとともに、これらの層による画像を鮮明度の高い状態で視認可能とするように画像を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成方法、画像形成物の製造方法、及び、パネルの製造方法について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1(A)、(B)、(C)、(D)は、第1実施形態に係る画像形成方法、画像形成物の製造方法、及び、パネルの製造方法の工程を示す断面図であって、各層の積層方向に沿った図である。
図1(A)は、カラーインク転写シート20からベース材10へカラーインク22を転写する工程を示し、(B)は、ホログラム転写シート30からホログラムパターン層35等を転写する工程を示し、(C)は、隠蔽層40の形成とパネル52の貼り合わせの工程を示し、(D)は、
図1(A)〜(C)の工程によって形成されたパネルを示している。以下の説明において、ベース材10に対して、カラーパターン層23、並びに、接着層36、ホログラムパターン層35、及び反射層34を積層していく方向、すなわち
図1(A)〜(D)における上向きの方向を上方向とし、各図における下向きの方向を下方向としている。
【0018】
第1実施形態においては、カラーインク転写シート20のカラーインク22を所定のパターン形状でベース材10の上面10b上に転写することによって、カラーパターン層23を形成し、さらに、ホログラム転写シート30を用いてカラーパターン層23の上面23b上にホログラムパターン層35等を転写する。以下、各層について説明する。
【0019】
ベース材10は、光透過性を有し、平坦な表面形状を備える。このベース材10は、カラーインク転写シート20のカラーインク22が内部に浸透したり、カラーインク22と触れることによって化学反応を起こすことのない材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で構成される。
【0020】
図1(A)に示すように、カラーインク転写シート20は、第1基材21と、剥離層24と、カラーインク22とが順に積層された構成を有している。
第1基材21は、耐熱性を有するフィルム材料、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる。
剥離層24は、例えば、(1)フッ素系樹脂、ワックス樹脂、シリコーン樹脂その他の離型性を有する材料、(2)ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどの熱可塑性樹脂、又は、(3)それらの共重合体や混合物を用いる。
カラーインク22は、例えば熱可塑性樹脂中に顔料を分散させた形態を備え、光透過性を有する。また、カラーインク22は、常温では固体であって加熱することによって溶融又は軟化する熱溶融性を有する。このカラーインク22は、第1基材21の1つの面に対して、例えば印刷によって積層される。
【0021】
カラーインク転写シート20に対して、第1基材21側に印字ヘッド(不図示)を当てて加熱すると、印字ヘッドによる加熱パターンに対応した位置のカラーインク22が加熱溶融され、溶融したカラーインク22は、対向接触させたベース材10上に転写される。これにより、ベース材10上に所定のカラーパターン層23が形成される。ここで、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクについてのカラーインク転写シートをそれぞれ用意し、それぞれの色のカラーパターン層をベース材10上に順に積層するとフルカラーの画像を生成することができ、これにより、様々なデザインや画像、あるいは特色、すなわち企業や製品のブランドカラーなどとして指定されている特定の色なども生成することが可能となる。
【0022】
図1(B)に示すように、ホログラム転写シート30は、バックコート層31と、第2基材32と、剥離層33と、反射層34と、ホログラムパターン層35と、接着層36とが順に積層された構成を有している。このホログラム転写シート30は、バックコート層31が積層された第2基材32と、反射層34と接着層36両面にそれぞれ積層されたホログラムパターン層35とが剥離層33を介して一体化された構成を有している。
【0023】
第2基材32は、耐熱性を有するフィルム材料、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる。
バックコート層31は、ホログラム転写シート30を加熱するための加熱ヘッド(不図示)が押し当てられる層であって、耐熱性を有するとともに、加熱ヘッドに付着しづらい離型性を備える。バックコート層31は、例えばシリコーン系材料、フッ素系樹脂、紫外線硬化型樹脂を印刷等することによって第2基材32上に形成される。
なお、第2基材32が充分な離型性を有している場合はバックコート層31を省略してもよい。
【0024】
ホログラムパターン層35としては、光透過性を有する樹脂材料、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレンを用いる。
ホログラムパターン層35の対向する2つの平面のうちの一方の下面35aには、接着層36が、例えば印刷によって形成される。この接着層36は、光透過性を有し、かつ、加熱ヘッドによって加えられた熱によって溶融する感熱性の接着剤で構成される。
【0025】
ホログラムパターン層35の上面35bには、凹凸形状のホログラムパターンが形成される。このホログラムパターンは、ホログラムパターン層35よりも硬質な樹脂や金属からなるスタンパの表面に形成された凹凸形状のホログラムパターンを、ホログラムパターン層35の層材料に転写することによって形成する。このホログラムパターンの転写は、例えば、スタンパをホログラムパターン層35の対象面としての上面35bに所定時間圧着することによって行う。ホログラムパターン層35を構成する材料としては、熱可塑性材料や紫外線硬化性の材料を用いることができる。熱可塑性材料を使用する場合は、ホログラムパターン層35を加熱しながらスタンパを圧着させてホログラムパターンを転写し、転写後に加熱を停止してスタンパを離脱させる。また、紫外線硬化性材料を用いる場合は、ホログラムパターン層35にスタンパを圧着させてホログラムパターンを転写したところで紫外線を照射して固化させ、その後に照射を停止してスタンパを離脱させる。
【0026】
ホログラムパターン層35のホログラムパターンが形成された上面35b上には、薄膜層としての反射層34が形成されている。すなわち、ホログラムパターン層35の対向する2つの対向面35a、35bのうち、ベース材10から遠い上面35b上に反射層34が形成されている。この反射層34は、これに隣接する、ホログラムパターン層35及び隠蔽層40とは異なる屈折率を有し、ホログラムパターンの凹凸に沿って形成され、例えばインジウム、アルミニウム、又はニッケルを蒸着することによって形成される。
なお、反射層34は蒸着以外の方法で形成してもよい。
【0027】
剥離層33は、第2基材32及び反射層34の一方に対して、カラーインク転写シート20の剥離層24と同様の材料を印刷等することによって形成され、この上に第2基材32及び反射層34の他方を積層すると、剥離層33によって第2基材32と反射層34が互いに結合され、ホログラム転写シート30が形成される。
【0028】
以上のように形成されたホログラム転写シート30は、
図1(B)に示すように、接着層36をカラーパターン層23に対向・接触させるようにベース材10上に配置され、バックコート層31の上面31bに加熱ヘッドを押し当てると、加熱ヘッドから発せられた熱がバックコート層31、第2基材32、剥離層33、反射層34、及びホログラムパターン層35を経て接着層36に伝達される。この熱によって、カラーパターン層23の上面23bに接触した接着層36が溶融し、これによって、ホログラム転写シート30と、カラーパターン層23及びベース材10とが互いに接合され、加熱を停止することによって接合状態が固定される。ここで、ベース材10上においてカラーインク22が転写されている領域については、カラーパターン層23を介してホログラム転写シート30とベース材10は接合され、カラーインク22が転写されていない領域については、ホログラム転写シート30とベース材10が直接接合している。
【0029】
接着層36によってベース材10とホログラム転写シート30が接合された後は、バックコート層31及び第2基材32とともに剥離層33を反射層34から剥離させることにより、画像形成物60(
図1(C))が形成される。
【0030】
図1(C)に示すように、画像形成物60は、ベース材10上に、カラーパターン層23と、接着層36と、ホログラムパターン層35と、反射層34とが順に積層された構造を有している。画像形成物60は、ベース材10の下面10a側から、カラーパターン層23による画像と、ホログラムパターン層35に形成されたホログラムパターンによる画像とを重ねて見ることができるが、反射層34の上側からの光の入射を確実に抑え、視認される画像をより明りょうにするためには、反射層34の上面34b上に隠蔽層40を設けることが好ましい。隠蔽層40は、例えば、樹脂に黒色顔料を分散させたインクを剥離層を介して基材上に積層した熱転写シートを加熱することによって、反射層34の上面34b上に形成する。ここで、隠蔽層40の形成は、印刷や隠蔽性のあるシートを反射層34に接合することによって行ってもよい。また、黒色顔料を用いた隠蔽層40に代えて、黒色以外の色、例えば白色で隠蔽層を形成することによって、上側からの光の入射を抑えながら、下側、すなわちパネル52側から見たときの意匠性を高めることもできる。
【0031】
なお、隠蔽層40に代えて、又は、隠蔽層40の上面もしくは下面に反射層を設けても良い。この反射層は、例えばアルミニウムやニッケルを蒸着することによって形成する。これによって、意匠性を高めた画像を生成させることが可能となる。
【0032】
画像形成物60は、加飾シートとして、
図1(C)に示すようにパネル52に貼り付けることによって、パネル52に対して加飾効果を与えることができる。ここで、パネル52は、光透過性を有するパネルであって、例えば、スマートフォン等の表示装置や照明装置等の外装パネルであり、パネルの光透過部以外のエリアに加飾を施し、意匠性を高めることができる。画像形成物60に反射層34を設け、さらには隠蔽層40を設けたことにより、画像形成物60を貼り付けた範囲において、パネル52の内部を覆い隠すことも可能となる。
パネル52は、粘着シート(不図示)によってその表面に形成した、光透過性の接着層51によって画像形成物60に貼り付けられる。接着層51は、例えば透明性が高い光学接着剤で構成される。接着層51にベース材10を対向・接触させた状態で所定の波長の光を照射させることによって光学接着剤が固化し、これによって画像形成物60とパネル52が互いに接合される(
図1(D))。なお、接着層51は、印刷によってパネル52の表面に形成してもよい。
なお、
図1(C)においては、隠蔽層40の積層とパネル52の貼り付けの順序は示していないが、どちらを先に行っても良い。
【0033】
以上のように構成されたことから、第1実施形態によれば次の効果を奏する。
(1)ベース材10が平坦な表面形状を備えるため、画像形成物60をベース材10側から見ると、ベース材10の表面において光の散乱がないため、ホログラムパターン層35で生じるホログラム効果が弱められることがなく、カラーパターン層23による画像が重なった画像は意匠性と鮮明度が高いものとなる。また、従来の熱昇華型の画像形成方法の色材受容層のような、インクの浸透深さや広がりが一定ではない層を設けていないため、平坦なベース材10側から見たときの画像は鮮明度が高い質の高いものとなる。
【0034】
(2)カラーパターン層23が熱溶融転写によって形成されるため、解像度の高い画像を得ることができる。したがって、画像形成物60をパネル52に貼り付けると高品位の加飾を実現することができる。また、複数色のカラーパターン層を重ねることによって、フルカラーを実現でき、また、特色を生成できる。さらに、ホログラムパターン層35で得られるホログラム効果に、高品位のカラー像を重ねて表示させることができる。
【0035】
(3)ホログラムパターン層35のホログラムパターン上に薄膜層として反射層34を積層しているため、隣接する剥離層33の材料がホログラムパターンの凹凸の内部に入り込んだとしても、ホログラム効果が消失しづらい。また、反射層34によって光沢を含んだホログラム効果を得ることができ、意匠性の高い画像を生成させることができる。さらにまた、反射層34によって、その外側からの光の入射を遮ることができるため、少ない層構成で高品位の画像を得ることができる。
【0036】
(4)ホログラムパターン層35を熱溶融転写で積層できるため、カラーパターン層23の形成と共通の装置を利用できることから、製造装置の大型化や製造工程の複雑化を抑えることができる。
【0037】
(5)最も上側に隠蔽層40を設けることにより、外部からの光が入射しづらくなるため、画像の視認性を向上させることができる。
【0038】
(6)ベース材10の下面10aを、透明性が高い接着層51を介して、光透過性を有するパネル52に接合することにより、高品位の画像を有した画像形成物によってパネル52を加飾することができるとともに、パネル側より視認するように構成することで、高品位な加飾を実現することができる。
【0039】
<第2実施形態>
第2実施形態においては、第1実施形態の反射層34に代えて透過層134を用いており、また、ホログラムパターン層135のベース材110側の面にホログラムパターンが転写されており、このパターンに沿って透過層134が形成されている点において第1実施形態と異なる。
【0040】
図2(A)、(B)、(C)、(D)は、第2実施形態に係る画像形成方法、画像形成物の製造方法、及び、パネルの製造方法の工程を示す断面図であって、各層の積層方向に沿った図である。
図2(A)は、カラーインク転写シート120からベース材110へカラーインク122を転写する工程を示し、(B)は、ホログラム転写シート130からホログラムパターン層135等を転写する工程を示し、(C)は、反射層140の形成とパネル152の貼り合わせの工程を示し、(D)は、
図2(A)〜(C)の工程によって形成されたパネルを示している。以下の説明において、ベース材110に、カラーパターン層123、並びに、接着層136、透過層134、及びホログラムパターン層135を積層していく方向、すなわち
図2(A)〜(D)における上向きの方向を上方向とし、各図における下向きの方向を下方向としている。
【0041】
第2実施形態においては、第1実施形態のカラーインク転写20と同様に、カラーインク転写シート120は、第1基材121と、剥離層124と、カラーインク122とが順に積層された構成を有している(
図2(A))。カラーインク122は、所定のパターン形状でベース材110の上面110b上に転写され、これによってカラーパターン層123が形成される(
図2(B))。さらに、ホログラム転写シート130を用いてカラーパターン層123の上面123b上にホログラムパターン層135が転写される。
【0042】
ベース材110及びカラーインク転写シート120は、第1実施形態のベース材10及びカラーインク転写シート20と同様の材料・構成であり、同様の工程によってベース材110上にカラーインク122が転写されてカラーパターン層123が形成される。
【0043】
図2(B)に示すように、ホログラム転写シート130は、バックコート層131と、第2基材132と、剥離層133と、ホログラムパターン層135と、透過層134と、接着層136とが順に積層された構成を有している。
【0044】
バックコート層131と第2基材132は、第1実施形態のバックコート層31と第2基材32と同様の材料・製法で構成される。
剥離層133は、第2基材132上に、第1実施形態の剥離層24と同様の材料を印刷等することによって形成される。
【0045】
剥離層133の下面133aにはホログラムパターン層135が形成される。ホログラムパターン層135としては、樹脂材料、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレンを用い、印刷等によって形成される。
【0046】
ホログラムパターン層135の対向する2つの平面のうちの一方の下面135aには、凹凸形状のホログラムパターンが形成される。このホログラムパターンは、ホログラムパターン層135よりも硬質な樹脂や金属からなるスタンパの表面に形成された凹凸形状のホログラムパターンを、ホログラムパターン層135の層材料に転写することによって形成する。このホログラムパターンの転写は、例えば、スタンパをホログラムパターン層135の対象面としての下面135aに圧着して行う。ホログラムパターン層135を構成する材料及びホログラムパターンの転写方法は、第1実施形態のホログラムパターン層35と同様である。
【0047】
ホログラムパターン層135の下面135aには、薄膜層としての透過層134が形成されている。すなわち、ホログラムパターン層135の対向する2つの面135a、135bのうち、ベース材110に近い下面135a上に透過層134が形成されている。この透過層134は、これに隣接する、ホログラムパターン層135及び接着層136とは異なる屈折率を有し、ホログラムパターンの凹凸に沿って形成され、例えば硫化亜鉛を蒸着することによって形成される。
なお、透過層134は蒸着以外の方法で形成してもよい。
【0048】
透過層134の下面134aには、接着層136が、例えば印刷、スピンコートによって形成される。この接着層136は、光透過性を有し、かつ、加熱ヘッドによって加えられた熱によって溶融する感熱性の接着剤で構成される。
【0049】
以上のように形成されたホログラム転写シート130は、
図2(B)に示すように、接着層136をカラーパターン層123に対向・接触させるようにベース材110上に配置され、バックコート層131の上面131bに加熱ヘッドを押し当てると、加熱ヘッドから発せられた熱がバックコート層131、第2基材132、剥離層133、ホログラムパターン層135、及び、透過層134を経て接着層136に伝達される。この熱によって、カラーパターン層123の上面123bに接触させた接着層136が溶融し、これによって、ホログラム転写シート130と、カラーパターン層123及びベース材110とが互いに接合され、加熱を停止することによって接合状態が固定される。ここで、ベース材110上においてカラーインク122が転写されている領域については、カラーパターン層123を介してホログラム転写シート130とベース材110は接合され、カラーインク122が転写されていない領域については、ホログラム転写シート130とベース材110が直接接合している。
【0050】
接着層136によってベース材110とホログラム転写シート130が接合された後は、バックコート層131及び第2基材132とともに剥離層133をホログラムパターン層135から剥離させることにより、画像形成物160(
図2(C))が形成される。
【0051】
図2(C)に示すように、画像形成物160は、ベース材110上に、カラーパターン層123と、接着層136と、透過層134と、ホログラムパターン層135とが順に積層された構造を有している。この画像形成物160のホログラムパターン層135の上面135b上には、反射層140が形成される。反射層140は、例えばアルミニウム、ニッケル、又はインジウムを蒸着することによって形成する。なお、反射層140に代えて白色層を形成してもよい。この白色層は、例えば、溶媒に白色顔料を分散させたインクの印刷等によって形成する。
このような構成により、画像形成物160においては、ベース材110の下面110a側から見ると、カラーパターン層123による画像と、ホログラムパターン層135のホログラムパターンによる画像とが重なった意匠性の高い画像を視認することができる。
なお、反射層140の上面140bに隠蔽層を設けても良い。この隠蔽層は、例えば溶媒に黒色顔料を分散させたインクの印刷等によって形成する。
また、反射層140を設けない構成も可能であり、この場合は、ホログラムパターン層135の上面135b側からの入射光によってもホログラム効果を得ることができる。
【0052】
画像形成物160は、加飾シートとして、
図2(C)に示すように、第1実施形態のパネル52と同様のパネル152に貼り付けることによって、パネル152に対して加飾効果を与えることができる。また、画像形成物160に反射層140を設けたことにより、画像形成物160を貼り付けた範囲において、パネル152の内部を覆い隠すこともできる。
【0053】
パネル152は、粘着シート(不図示)によってその表面に形成した、光透過性の接着層151によって画像形成物160に貼り付けられる。接着層151は、例えば透明性が高い光学接着剤で構成される。接着層151にベース材110を対向・接触させた状態で所定の波長の光を照射させることによって光学接着剤が固化し、これによって画像形成物160とパネル152が互いに接合される(
図2(D))。なお、接着層151は、印刷によってパネル152の表面に形成してもよい。
なお、
図2(C)においては、反射層140の積層とパネル152の貼り付けの順序は示していないが、どちらを先に行っても良い。
【0054】
第2実施形態においては、ホログラムパターン層135の下面135aにホログラムパターンを転写し、このホログラムパターン上に透過層134を形成したが、これに代えて、ホログラムパターン層135の上面135bにホログラムパターンを形成し、このホログラムパターン上に透過層を形成してもよい。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態と同様である。
【0055】
<第3実施形態>
第3実施形態においては、第2実施形態に対して、カラーパターン層とホログラムパターン層の積層順序が異なる。また、第1実施形態の反射層34に代えて透過層234を用いている点、及び、ホログラムパターン層235のベース材210側の面にホログラムパターンが転写され、このホログラムパターンに沿って透過層234が形成されている点は第2実施形態と同様である。
【0056】
図3(A)、(B)、(C)、(D)は、第3実施形態に係る画像形成方法、画像形成物の製造方法、及び、パネルの製造方法の工程を示す断面図であって、各層の積層方向に沿った図である。
図3(A)は、ホログラム転写シート230からホログラムパターン層235等を転写する工程を示し、(B)は、カラーインク転写シート220からホログラムパターン層235上へカラーインク222を転写する工程を示し、(C)は、反射層240の形成とパネル252の貼り合わせの工程を示し、(D)は、
図3(A)〜(C)の工程によって形成されたパネルを示している。以下の説明において、ベース材210に、接着層236、透過層234、及びホログラムパターン層235、並びに、カラーパターン層223を積層していく方向、すなわち
図3(A)〜(D)における上向きの方向を上方向とし、各図における下向きの方向を下方向としている。
【0057】
ベース材210は、第1実施形態のベース材と同様の材料・構成である。
図3(A)に示すように、ホログラム転写シート230は、第2実施形態のホログラム転写シート130と同様に、バックコート層231と、第2基材232と、剥離層233と、ホログラムパターン層235と、薄膜層としての透過層234と、接着層236とが順に積層された構成を有している。ホログラム転写シート230の各層は、第2実施形態
のホログラム転写シート130の対応する層と同様の材料・構成をそれぞれ備える。透過層234は、これに隣接する、ホログラムパターン層235と接着層236とは異なる屈折率を有している。また、ホログラムパターン層235の対向する2つの平面のうちの一方の下面235aには、凹凸形状のホログラムパターンが形成されている。
【0058】
ホログラム転写シート230は、
図3(A)に示すように、接着層236をベース材210の上面210bに対向・接触させるように配置され、バックコート層231の上面231bに加熱ヘッドを押し当てると、加熱ヘッドから発せられた熱がバックコート層231、第2基材232、剥離層233、ホログラムパターン層235、及び、透過層234を経て接着層236に伝達され、この熱によって、ベース材210の上面210bに接触させた接着層236が溶融し、これによって、ホログラム転写シート230とベース材210とが互いに接合され、加熱を停止することによって接合状態が固定される。
【0059】
接着層236によってベース材210とホログラム転写シート230が接合された後は、バックコート層231及び第2基材232とともに剥離層233をホログラムパターン層235から剥離させる。
【0060】
カラーインク転写シート220は、第1実施形態のカラーインク転写シート20と同様の構成であって、
図3(B)に示すように、第1基材221と、剥離層224と、カラーインク222とが順に積層された構成を有している。カラーインク222は、所定のパターン形状でホログラムパターン層235の上面235b上に転写されてカラーパターン層223が形成され、これにより画像形成物260が形成される(
図3(C))。
【0061】
図3(C)に示すように、画像形成物260は、ベース材210上に、接着層236と、反射層234と、ホログラムパターン層235と、カラーパターン層223とが順に積層された構造を有している。この画像形成物260のカラーパターン層223の上面223b上には、反射層240が設けられる。反射層240は、例えばアルミニウム、ニッケル、又はインジウムを蒸着することによって形成する。画像形成物260においては、ベース材210の下面210a側から見ると、ホログラムパターン層235のホログラムパターンによる画像と、カラーパターン層223による画像とが重なった意匠性の高い画像を視認することができる。
なお、反射層240の上面240bに隠蔽層を設けても良い。この隠蔽層は、例えば溶媒に黒色顔料を分散させたインクの印刷等によって形成する。
また、反射層240を設けない構成も可能であり、この場合は、カラーパターン層223を経てホログラムパターン層235に入射した光によってもホログラム効果を得ることができる。
【0062】
画像形成物260は、加飾シートとして、
図3(C)に示すように、第1実施形態のパネル52と同様のパネル252に貼り付けることによって、パネル252に対して加飾効果を与えることができる。また、画像形成物260に反射層240を設けたことにより、画像形成物260を貼り付けた範囲において、パネル252の内部を覆い隠すこともできる。
【0063】
パネル252は、印刷等によってその表面に形成した、光透過性の接着層251によって画像形成物260に貼り付けられる。接着層251は、例えば光学接着剤で構成され、接着層251にベース材210を対向・接触させた状態で所定の波長の光を照射させることによって光学接着剤が固化し、これによって画像形成物260とパネル252が互いに接合される(
図3(D))。
なお、
図3(C)においては、反射層240の積層とパネル252の貼り付けの順序は示していないが、どちらを先に行っても良い。
【0064】
第3実施形態においては、ホログラムパターン層235の下面235aにホログラムパターンを転写し、このホログラムパターン上に透過層234を形成したが、これに代えて、ホログラムパターン層235の上面235bにホログラムパターンを形成し、このホログラムパターン上に透過層を形成してもよい。
なお、その他の作用、効果、変形例は第1実施形態又は第2実施形態と同様である。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。