特許第6467419号(P6467419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467419使い捨て試験ユニットをレーザ溶着するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467419
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】使い捨て試験ユニットをレーザ溶着するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/16 20060101AFI20190204BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B29C65/16
   G01N33/48 Z
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-533710(P2016-533710)
(86)(22)【出願日】2014年11月24日
(65)【公表番号】特表2016-539828(P2016-539828A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014075429
(87)【国際公開番号】WO2015078821
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年11月22日
(31)【優先権主張番号】13194706.1
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バビック、ブラニスラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ホルン、カリーナ
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−310828(JP,A)
【文献】 特開2005−074796(JP,A)
【文献】 特開2008−156432(JP,A)
【文献】 特開2001−026656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨て試験ユニット(10)をレーザ溶着するための方法であって、
a)ベース要素(14)およびカバー要素(16)を積み重ねて設けるステップか、または、前記ベース要素(14)と、前記カバー要素(16)と、前記ベース要素(14)および前記カバー要素(16)の間に設けられた中間要素(22)とを積み重ねて設けるステップであって、前記要素の1つがレーザ光線の照射を吸収するように構成された吸収性要素であり、前記要素の他の少なくとも1つが前記レーザ照射に対し透過性を有する透明要素であるステップと、
b)前記少なくとも1つの透明要素を通過して前記吸収性要素に対して、レーザ光線を溶着領域(12)に向けるステップと、
c)体液を受容するように構成された試験ユニット(10)を形成するために、前記透明要素および前記吸収性要素を互いに融着させるステップと、
を含み、
d)ステップa)の前記要素(14、16)の1つに、試験実行時に前記体液中の検体に反応するように構成された化学反応層の形でコーティング(20;26)を提供し、前記コーティング(20;26)が前記溶着領域(12)を少なくとも部分的に覆い、前記レーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散すること
を特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記コーティング(20;26)が、前記レーザ光線の衝突の際に溶融する1つまたは複数の成分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コーティング(20)が、前記体液により湿潤されたときの、コーティングされた要素(16)の濡れ性を増加させるように構成されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング(20)が界面活性剤および/または親水性成分を含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング(26)が光拡散粒子を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記光拡散粒子が、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZrSiO3、および/またはBaSO4からなる顔料である請求項記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング(26)が有機ポリマー、顔料、無機フィラーの少なくとも1つを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
記中間要素(22)を形成するために、箔状のブランク上に化学反応層としての前記コーティング(20;26)を設けるステップ、および前記ベース要素(14)と前記カバー要素(16)との間で、前記中間要素(22)をレーザ溶着するステップをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ベース要素(14)および/または前記カバー要素(16)に、体液の搬送のために構成された毛管チャネル(18)を形成するステップ、および前記毛管チャネル(18)の領域に、前記コーティング(20;26)を少なくとも部分的に配置するステップをさらに含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ベース要素(14)および前記カバー要素(16)が、連続的または断続的な線に沿って互いに融着される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶着領域(12)が、体液を受容するように構成された前記試験ユニット(10)の区域を密閉する溶着シームとして形成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ベース要素およびカバー要素(14、16)を箔状の材料から切断するステップをさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ベース要素およびカバー要素(14、16)のための供給材料としての連続ウェブをロール・ツー・ロールから搬送するステップ、および複数の試験ユニット(10)を形成するために、前記連続ウェブをレーザ溶着するステップをさらに含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記試験ユニット(10)が、手動で操作可能な試験片、またはスプールに巻き付けられることが可能な試験テープとして形成される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ベース要素(14)および前記カバー要素(16)が、全体的にレーザ光線吸収性または透過性を有する、箔状の材料から切断される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ベース要素およびカバー要素(14、16)をプラスチック材料から三次元に形成された部材として成形するステップをさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記融着させるステップが、複合体を形成するために前記要素(14、16、22)を同時に押圧するステップを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ベース要素(14)およびカバー要素(16)の積み重ねを含むか、または、前記ベース要素(14)と、前記カバー要素(16)と、前記ベース要素(14)および前記カバー要素(16)の間に設けられた中間要素(22)との積み重ねを含む、体液分析用の使い捨て試験ユニット(10)であって、前記要素の1つがレーザ光線の照射を吸収するように構成された吸収性材料製であり、前記要素の他の少なくとも1つがレーザ照射に対し透過性を有する透明材料製であり、前記吸収性材料および透明材料が溶着領域(12)においてレーザ溶着シームに沿って互いに融着され、前記要素の少なくとも1つに、試験実行時に前記体液中の検体に反応するように構成された化学反応層の形でコーティング(20;26)が供給され、前記コーティング(20;26)が、前記溶着領域(12)を少なくとも部分的に覆い、前記レーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散する1つまたは複数の成分を含む、使い捨て試験ユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース要素、カバー要素、および任意には中間要素を積み重ねて設けるステップであって、上記要素の1つがレーザ光線の照射を吸収するように構成された吸収性要素であり、上記要素の他の少なくとも1つがレーザ照射に対し透過性を有する透明要素であるステップと、少なくとも1つの透明要素を通過して吸収性要素に対して、レーザ光線を溶着領域に向けるステップと、体液を受容するように構成された試験ユニットを形成するために、透明要素および吸収性要素を互いに融着させるステップと、を含む、体液を分析するための使い捨て試験ユニットをレーザ溶着するための方法に関する。本発明はさらに、そのような方法で製造された使い捨て試験ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
診断試験片の設計において、両面接着テープを用いていくつかの層を組み合わせることが知られており、それにより、ウェブ材料のロール・ツー・ロールからの処理を可能にし、したがって、製造工程において高出力および高収率を達成する。しかし、接着テープの使用は生産コストの一因となり、および試験の化学的性質に適合する特定の接着性化合物を必要とすることが多い。
【0003】
レーザ透過性材料がレーザ吸収性材料上で融着される、レーザ溶着を用いた複層バイオセンサの加工もまた知られている。レーザ吸収性材料はレーザエネルギーによって溶融され、透過性材料に結合される。現在まで、そのような技術は清潔な「黒色の」および「透き通った(clear)」層構造に限られていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを基として、本発明の目的は、既知の方法および製品をさらに改良すること、および、材料および生産効率の向上ならびに信頼性のある試験構成を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目標を達成するために、独立請求項1または15に記載される特徴の組み合わせが提案される。本発明の有利な実施形態およびさらなる発展が、従属請求項より得られる。
【0006】
本発明は、特定の試験方式において特定の試料の相互作用を可能にするために、コーティングを有する組立体を処理するという着想に基づいている。同様に、本発明によれば、最初のステップで上記要素の1つに、試験実行時に体液内の検体に反応するように構成された適応した乾燥化学反応(ドライケミストリー)層の形でコーティングを提供することが提案され、そのコーティングは溶着領域を少なくとも部分的に覆い、レーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散する。レーザ溶着技術によって、接着剤および接着テープの必要性が除去され、材料の支出が減少し、処理工程の追加が回避される。驚くべきことに、利用されるレーザ照射の少なくとも一部を吸収および/または拡散するコーティングされた構造体は、溶着強度および密閉性能に関して、結果として生じる結合を妨げない、または弱めないことが明らかになっている。専門家たちの偏見を打ち壊し、そのようなレーザ反応性接合部は、接着性複合体の形成にすら役立つことが明らかになっている。さらに、試料液体との特定の相互作用が試験構成において統合され得る。
【0007】
好ましい実施形態において、コーティングは、レーザ光線の衝突の際に溶融する1つまたは複数の成分を含んでもよい。
【0008】
試験目的のための、流動性の相互作用をさらに向上させるために、コーティングが、体液により湿潤されたときの、コーティングされた要素の濡れ性を増加させるように構成されていることは利点となる。
【0009】
このような状況においては、コーティングが界面活性剤および/または親水性成分を含むこともまた利点となる。
【0010】
特に光学測定を対象とした別の実施形態では、コーティングが光拡散粒子、具体的には、たとえばTiO2、BaTiO3、ZrO2、ZrSiO3、および/またはBaSO4からなる顔料を含むことは好ましい。
【0011】
コーティングが有機ポリマー、顔料、無機フィラーの少なくとも1つを含む場合、この方向におけるさらなる向上が達成され得る。
【0012】
中間要素を形成するために、箔状のブランク上に化学反応層としてのコーティングを設けること、およびベース要素とカバー要素との間で、中間要素をレーザ溶着することは、製造工程の簡易化のために利点となる。
【0013】
ベース要素および/またはカバー要素に、体液の搬送のために構成された毛管チャネルを形成することによって、および毛管チャネルの領域に、コーティングを少なくとも部分的に配置することによって、試験構成におけるさらなる向上が達成され得る。
【0014】
有利には、ベース要素およびカバー要素は、連続的または断続的な線に沿った、1次元での接合で互いに融着される。
【0015】
別の特に有利な実施形態は、溶着領域が、体液を受容するように構成された試験ユニットの区域を密閉する溶着シームとして形成されることを提供する。
【0016】
構造に関する支出のさらなる減少のために、ベース要素およびカバー要素が箔状の材料から切断される場合、有利となる。
【0017】
ベース要素およびカバー要素のための供給材料としての連続ウェブがロール・ツー・ロールから搬送されること、および複数の試験ユニットを形成するために、連続ウェブがレーザ溶着されることもまた想定され得る。
【0018】
特定の有利な実施形態において、試験ユニットは、手動で操作可能な試験片、または、たとえばテープカセット内のスプールに巻き付けられることが可能な試験テープとして形成される。
【0019】
有利には、ベース要素およびカバー要素が箔状の材料から複数のブランクとして切断され、一方のフォイル材料は全体的にレーザ光線吸収性であり、他方の箔状の材料は溶着用レーザ光線に全体的に透過性を有する。
【0020】
高度に統合された試験を対象とする、別の特定の実施形態において、ベース要素およびカバー要素はプラスチック材料から三次元に形成された部材として成形される。
【0021】
結果として生じる溶着部を増強するために、上記融着させるステップが、複合体を形成するために、構造的要素を同時に押圧することを含むことは利点となる。
【0022】
本発明は、ベース要素、カバー要素、および任意には中間要素の積み重ねを含む、体液分析用の使い捨て試験ユニットにも関し、上記要素の1つがレーザ光線の照射を吸収するように構成された吸収性材料製であり、上記要素の他の少なくとも1つがレーザ照射に対し透過性を有する透明材料製であり、吸収性材料および透明材料が溶着領域においてレーザ溶着シームに沿って互いに融着され、上記要素の少なくとも1つに、試験実行時に体液中の検体に反応するように構成された乾燥化学反応層の形でコーティングが供給され、コーティングが溶着領域を少なくとも部分的に覆い、上記レーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散する、1つまたは複数の成分を含む。
【0023】
上記詳述の方法の態様の全ては、類似のそのような方法で生産された使い捨て試験ユニットに関する、ということが理解されるべきである。
【0024】
本発明は、図面に概略的に示されている実施形態の例に基づき、以下においてさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】レーザ溶着によって融着されたシート材料からなる、試験ユニットまたは毛管式試験片の斜視図である。
図2】可融性材料の中間要素を含む代替例を示す分解斜視図である。
図3】成形されたベース要素および試薬片を含む、別の代替実施形態の一部の上面図を示している。
図4】レーザ融着されたカバー要素を含む、図3の実施形態の組立体を示している。
図5】複合試験ユニットを生産するためのレーザ溶着システムの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照すると、診断試験用の使い捨て品としての複合試験ユニット10は、複数の層または要素をレーザ溶着ライン12に沿って融着することによって作成可能であり、従って接着成分の使用を回避している。
【0027】
図1に図示されている実施形態において、ベース要素14は、レーザ照射を吸収する可融性の層からなるが、一方では透明のカバー要素16は、レーザ照射に対し透過性を有する層からなる。ベース要素14は、深絞り加工された毛管チャネル18を有する吸収性(または黒色の)箔状のブランクを含んでいる。毛管チャネル18は、たとえば血糖検査のために体液試料を充填され得る。チャネル18に対向する側の面において、平坦なカバー要素16が、試験実行時に体液と相互作用するように構成されたコーティング20を有して提供される。
【0028】
コーティング20は、コーティング領域の濡れ性または親水性を高め、そして体液の搬送または分配を促進させるように構成されていてもよい。たとえば、カバー要素16は、たとえば140μmの厚さの透明ポリカーボネート箔から形成されてもよく、コーティング20はヒドロキシエチルセルロース(たとえばSEタイローズ社(SE Tylose GmbH & Co.KG)製、商標Tylose)およびコロイダルシリカ(たとえば、アクゾノーベル社(Akzo Nobel N.V.)製、商標Bindzil)などの極性を有するコーティング剤を含んでもよい。
【0029】
コーティング20はカバー要素16の接合面の全体に亘って塗布されるので、コーティング20は、溶着領域、すなわちレーザ溶着中にレーザ光線が通過するライン12ともオーバーラップする。この工程において、レーザ光線は、透明のカバー要素16およびそのコーティング20を通過してベース要素14に対して向けられ、暗色の材料がレーザエネルギーを吸収し、溶融して隣接するカバー要素16に結合することが可能である。溶着ライン12がチャネル18をその両側で縁取るように延び、密閉するので、体液が搬送区域を迂回することが防止される。同時に、体液受容領域が周囲環境による影響から保護される。
【0030】
カバー要素16はレーザ光に対し透過性を有するが、コーティング20はレーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散する成分を含む。これらの成分は、レーザ光線の衝突の際に溶融することができる。驚くべきことに、そのような遮光または拡散は、溶着ライン12の強度および密閉性能に影響しないことが明らかになっている。このような状況においては、溶着ライン12は試験ユニット10の縁部から距離を置いて配置され、レーザエネルギーは溶着用に適切に調節され、しかし、同時には切断用に調節されない。
【0031】
図2に示されている実施形態において、同一または類似の部分が上記のものと同一の参照符号で提供されている。この実施形態は、ベース要素14とカバー要素16との間に中間試薬要素22が介装されるという点で異なる。
【0032】
中間試薬要素22は、透明の箔状のブランクまたはキャリヤ24、およびキャリヤ24上に設けられ、チャネル18の一部にオーバーラップしている乾燥化学反応層26からなる。反応生成物が、たとえば反射測光装置によって検出されるように、化学反応層26は、検体、たとえば体液中のグルコースに不可逆的に反応するように構成されている。この目的のために、層26は有機ポリマー、顔料および無機フィラーを含む。顔料は、測定信号の強度の増加をもたらし、TiO2、BaTiO3、ZrO2、ZrSiO3、および/またはBaSO4から選択することができる。たとえば少なくとも2.5の高屈折率により、強い光拡散効果を有する化学反応層26には細粒の粒子が含まれ得ることが予想される。
【0033】
層状の要素14、22、16の積層は、溶着ライン12に沿った押圧および同時の溶着作用を受け、レーザ光線は、カバー要素14および中間要素22を通過して、可融性のベース要素14上へと向けられている。また、驚くべきことに、中間要素22のそのような層の成分は、結果として生じるレーザ溶着12を有意に弱めないことが明らかになっている。
【0034】
図3および4は、一回用診断検査のための複合試験ユニット10の別の実施形態を図示している。この例において、レーザ溶着された部材は、中間試薬片22’と組み合わせて、三次元プラスチック要素14’、16’に成形される。ユニット10はワンステップ試験を対象とし、一体化された針(図示せず)が、ユーザの皮膚を穿刺し、サンプリングされた血液を試験片22上へと塗布するための往復運動において使用される。
【0035】
図3において最も良くわかるように、ベース要素14’は、挿入されたサンプリング針をガイドするために設けられたチャネル18’を有している。さらに、開口構造部28は、針と係合するための駆動部も有する測定装置との形状嵌合接続を可能にする。ベース要素14’は、溶着に使用されるレーザ照射に関して吸収性を有している。さらに、試験片22’は、チャネル18’に面し、体液中の検体に反応するように構成された、化学反応層またはコーティング26を含み、コーティング26はレーザ照射を少なくとも部分的に吸収および/または拡散する。
【0036】
図4は、外周溶着ライン12に沿ったレーザ溶着によってベース要素14’に融着された透明のカバー要素16’を含む、複合ユニット10の組立体を示している。上記の例示された実施形態にあるように、コーティング26は少なくとも部分的に溶着領域を覆い、したがって、レーザエネルギーをわずかに吸収する。にもかかわらず、レーザ溶着された要素14’、16’は、手作業による分解が不可能である程度に堅固に接合され得ることが証明されている。
【0037】
図5は、本発明の複合試験ユニット10の形成に有用であるレーザ溶着システム30を図示している。システム30は、光学器34を含むレーザ機器32、溶着される部材のためのクランプユニット36、およびクランプユニット36を作動させるための油圧アクチュエータ38を備えている。クランプユニット36は、要素14、16、22を積み重ねて配置するためのキャリヤプレート40、および透明のカウンタープレート42を含む。レーザ機器32の作動中に圧力が複合層に加えられるように、キャリヤプレート40が、油圧アクチュエータ38を用いて上方向に移動可能である。溶着プロセスにおいて、コーティング層20、26はレーザの衝突の際に溶融し、ベース要素およびカバー要素14、16と互いに融着する。
図1
図2
図3
図4
図5