特許第6467424号(P6467424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467424選択的触媒還元時の煙道ガス流のバイパスのための配置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467424
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】選択的触媒還元時の煙道ガス流のバイパスのための配置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/00 20060101AFI20190204BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20190204BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20190204BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   F23J15/00 AZAB
   F01N3/08 B
   F01N3/20 F
   B01D53/94 400
   B01D53/94 222
   B01D53/94 212
   F23J15/00 G
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-536274(P2016-536274)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公表番号】特表2016-535232(P2016-535232A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2014048824
(87)【国際公開番号】WO2015026496
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2017年7月11日
(31)【優先権主張番号】13/972,256
(32)【優先日】2013年8月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ミッチェル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルウェル,トッド・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ダーリング,スコット・エル
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0157007(US,A1)
【文献】 特開平10−109017(JP,A)
【文献】 特表2011−528088(JP,A)
【文献】 特開2011−032932(JP,A)
【文献】 国際公開第97/001388(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23J 13/00 − 99/00
B01D 53/73 − 53/96
F01N 3/00 − 3/38
F01N 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
煙道ガスを発生する炉の下流に配置され、窒素酸化物を窒素に還元するように作用する選択的触媒反応器と、
選択的触媒反応器と流体連通したバイパスラインであって、選択的触媒反応器への入口ラインとつながり、選択的触媒反応器を迂回する煙道ガスの量を処理するように構成された、バイパスラインと、
選択的触媒反応器への入口に配置された第1の制御ダンパと、
バイパスラインへの入口に配置された第2の制御ダンパであって、第1の制御ダンパと相互作用して、煙道ガス流を、選択的触媒反応器とバイパスラインとの間で、システムから放出される三酸化硫黄の量を所望の値に低減するのに有効な比率で分割する第2の制御ダンパと、
選択的触媒反応器の下流に配置されたSO3分析器と、
SO3分析器と動作可能に通信する制御器と
を備えており、制御器が、SO3分析器、第1の制御ダンパ及び第2の制御ダンパと動作可能に通信する、システム。
【請求項2】
第1の制御ダンパの上流に配置された第1の遮断ダンパと、第2の制御ダンパの上流に配置された別の遮断ダンパとをさらに備える、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
制御器が、第1の遮断ダンパ及び第2の制御ダンパの上流に配置された遮断ダンパと動作可能に通信する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
三酸化硫黄の定期的な測定が選択的触媒反応器の下流で手動で行われ、その結果が、第1の制御ダンパ及び第2の制御ダンパの手動又は自動調節に用いられる、請求項2又は請求項3記載のシステム。
【請求項5】
選択的触媒反応器のサイズが、バイパスラインと第1の制御ダンパと第2の制御ダンパとが存在しない比較システムに配置された選択的触媒反応器よりも小さい、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
選択的触媒反応器が、バイパスラインと第1の制御ダンパと第2の制御ダンパとが存在しない比較システムに配置された選択的触媒反応器が受け入れる煙道ガスよりも最大30体積%少ない煙道ガスを受け入れる、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
煙道ガスを発生する炉の下流に配置され、窒素酸化物を窒素に還元するように作用する選択的触媒反応器と、
選択的触媒反応器と流体連通し、選択的触媒反応器への入口ラインとつながり、選択的触媒反応器を迂回する煙道ガスの量を処理するように構成された、バイパスラインと
を備えるシステムに、炉からの煙道ガス流を排出し、
煙道ガス流を、選択的触媒反応器とバイパスラインとの間で、システムから放出される三酸化硫黄の量を所望の値に低減するのに有効な比率で分割する
ことを含む方法。
【請求項8】
煙道ガス流を、湿式化学による選択的触媒還元器から出すことをさらに含んでいて、煙道ガス流の分割が手動で行われる、請求項記載の方法。
【請求項9】
煙道ガス流の分割が、インライン分析器及び制御器によって自動で行われる、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電設備における選択的触媒還元時の煙道ガス流のバイパスに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼過程中、炉から発生する煙道ガスは窒素酸化物(NOX)を含む。大気中へのNOxの排出を低減することが望ましい。NOX排出を低減するための燃焼の後の1つのプロセスとして選択的触媒還元(SCR)のプロセスがある。選択的触媒還元システムは、触媒とアンモニアガスNH3などの反応物を使用して、NOXを窒素分子N2と水蒸気に解離する。例えば、化石燃料の燃焼炉を有する事業用蒸気発生発電プラントは、NOX低減技法として選択的触媒還元(SCR)を利用する場合がある。炉は一般に、後部煙道ボリュームと流体連通する炉ボリュームを備える。炉ボリューム内で生じる炭化水素燃料の燃焼によって高温の煙道ガスが発生し、炉ボリューム内でそのエネルギーの一部が熱力学的蒸気サイクルの作動流体に与えられる。次いで、煙道ガスは後部煙道ボリュームに導かれて、その中を通って作動流体にさらなるエネルギーを与える。煙道ガスは、後部煙道ボリュームを出ると、ガスダクトを経て選択的触媒還元室を通過し、そこから空気予熱器及び煙道ガス浄化システムに導かれ、さらに煙突を経て大気に出る。
【0003】
SCRシステムでは、煙道ガス流が後部煙道ボリュームを出た後、SCR室の上流のガスダクトのいくつかの箇所でガス状の反応物、多分アンモニア、又は、尿素/水溶液が煙道ガス流内に導入されて混合させられる。次いで、反応物/煙道ガス混合物はSCR室に入り、ここで、触媒表面の存在する中で反応物と煙道ガス混合物の間でNOXの還元が起こる。アンモニア又は尿素の煙道ガス流中への導入は一般に、ガスダクトの周囲に配置された、又は煙道ガス流内の噴射ランスに入れられた噴霧ノズル噴射器を使って行われる。
【0004】
SCRはNOXの還元を促進するが、NOX還元用に使用される触媒は、流入する二酸化硫黄(SO2)を三酸化硫黄(SO3)に酸化するのを促進するため、三酸化硫黄(SO3)の排出が増大する。煙突でのSO3の排出は、非常に低いレベル(5ppm未満)に制限して、過大な不透明度及び/又は可視紫煙を避けなければならない。
【0005】
SCRの下流では、SO3排気は燃焼空気予熱器での凝縮によって部分的に還元して、微粒子及びSO2制御装置で捕捉される。この還元が不十分であれば、一般に特定のSO3制御手段がプロセスに追加される。追加する制御手段の1つは、煙道ガス脱硫装置(SO2及びSO3除去用)の上流に噴霧乾燥吸収器を追加することである。別の手段は、電気集塵器の上流に凝縮熱交換機を追加することであり、そこでSO3は飛灰/凝縮物によって捕捉される。他の方法としては、アンモニア、石灰、重炭酸ソーダ、トロナなどを用いた乾式又は湿式吸収剤注入が含まれる。これらの方法はすべて、資本コストと運転コストの両方が加わる。したがって、追加する制御機器に費やす資本を最小にして、効果的に大気へのSO3の排出を低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第2003/157007号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
煙道ガスを発生する炉の下流に配置され、窒素酸化物を窒素に還元するように動作可能な選択的触媒反応器と、選択的触媒反応器と流体連通し、選択的触媒反応器への入口ラインとつながり、選択的触媒反応器を迂回する煙道ガスの量を処理するように構成された、バイパスラインと、選択的触媒反応器への入口に配置された第1の制御ダンパと、バイパスラインへの入口に配置され、第1の制御ダンパと相互作用して、システムから放出される三酸化硫黄の量を所望の値に低減するのに効果的な比率で、煙道ガス流を選択的触媒反応器とバイパスラインとの間で分割する第2の制御ダンパとを備えるシステムが本明細書で開示される。
【0008】
煙道ガスを発生する炉の下流に配置され、窒素酸化物を窒素に還元するように動作可能な選択的触媒反応器と、選択的触媒反応器と流体連通し、選択的触媒反応器への入口ラインとつながり、選択的触媒反応器を迂回する煙道ガスの量を処理するように構成された、バイパスラインとを備えるシステムに、炉からの煙道ガス流を排出させ、システムから放出される三酸化硫黄の量を所望の値に低減するのに効果的な比率で、煙道ガス流を選択的触媒反応器とバイパスラインとの間で分割することを含む方法もまた本明細書で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】選択的触媒反応器を迂回するバイパスラインを有するシステムの図である。
図2】縮小したサイズの選択的触媒反応器を備える図1のシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、選択的触媒反応器と、煙道ガスが選択的触媒反応器をバイパスすることができる、選択的触媒反応器に対するバイパスラインとを備える、SO3の排出を低減するためのシステムを開示する。本選択的触媒反応器は、(炉から出る)煙道ガス流に存在するNOXの低減を促進する。一方、一般に、SO2は選択的触媒反応器の触媒を通ってSO3へ変換され、その結果、大気へ放出されるSO3が増加するが、本バイパスラインはその変換を防止する、又は最小にする。煙道ガス流の一部が選択的触媒反応器をバイパスすることができることによって、発電プラントを出るSO3の減少が促進される。したがって、バイパスラインを使用すると、選択的触媒反応器を通る煙道ガスの量を減らしやすくなり、したがって、選択的触媒反応器のサイズを最大30%小さくすることができる。
【0011】
次に図1を参照すると、システム100は選択的触媒反応器102及びバイパスライン104を備えている。選択的触媒反応器102(以下、SCR102)は、煙道ガスが出る炉(図示せず)の下流にある。図1のSCRは、煙道ガス流の100%を触媒作用で還元する大きさになっている。煙道ガスは、システム100に接触した後、電気集塵器又は布フィルタ(図示せず)などの微粒子捕集装置、及び煙道ガス脱硫装置(図示せず)を通過する場合がある。煙道ガスは、入口ライン103を経てSCR102に入り、出口ライン105を経てSCR102を出る。入口ライン103は、第1の遮断ダンパ106及び第1の制御ダンパ108を含む。第1の制御ダンパ108は、第1の遮断ダンパ106の下流にあるが、他の実施形態では、上流にある場合もある。第2の遮断ダンパ114は、出口ライン105のSCR102の下流にある。
【0012】
バイパスライン104は、第1の遮断ダンパ106の上流の箇所で入口ライン103とつながり、第2の遮断ダンパ114の下流の箇所で出口ライン105とつながる。バイパスライン104はまた、適宜、第3の遮断ダンパ110及び第2の制御ダンパ112を備えるが、この場合、第3の遮断ダンパ110は第2の制御ダンパ112の上流にある。一実施形態では、第2の制御ダンパ112は第3の遮断ダンパ110の上流にある。遮断ダンパ106、110、及び114はそれぞれ、各遮断ダンパが配置されたラインの中の煙道ガスの流れを完全に遮断するように働く。制御ダンパ108及び112は可変に調節することができて、選ばれた割合の煙道ガス流が各制御ダンパの下流に流れることを可能にする。ダンパの開位置を設定することができ、また単位負荷(すなわちMW定格)に応じて自動的に制御することができる。さらに、遮断ダンパ及び制御ダンパのすべては、手動で調節することができる、又は、自動的に作動して制御することができる。遮断ダンパ及び制御ダンパはともに、アクチュエータ(図示せず)を使って電気的に作動させる、又は空圧的に作動させることができる。
【0013】
一実施形態では、システム100は、適宜、SCR102の下流に配置されたSO3分析器202を備えることができる。SO3分析器は、遮断ダンパ106、110、及び114のうちの1つ以上と動作可能に通信する任意の制御器204と動作可能に通信する。制御器204はまた、制御ダンパ108及び112のうちの1つ以上と動作可能に通信する。SO3分析器202は煙道ガス流中のSO3の量を測定し、この情報を制御器204に送信する。続いて制御器204は、遮断ダンパ106、110、及び114、並びに制御ダンパ108及び112を調節して、SCRに向かう煙道ガス流の割合とバイパスに向かう(それによってSCRをバイパスする)割合を決めることを容易にする。制御器204はコンピュータ、マイクロプロセッサなどとすることができ、投入した燃料のタイプ、及びそれと煙道ガス流中のSO3の含有量との関係に関する統計を編集して保持することができるソフトウェアを含むことができる。制御器204はまた、炉に投入した燃料のタイプと(各遮断ダンパ及び各制御ダンパに使用される)アクチュエータの作動位置との間の相関を保持することができる。
【0014】
制御器204は、遮断ダンパを制御する1つ以上のアクチュエータ(図示せず)及び/又は制御ダンパにメッセージを送信する。制御器204と各遮断ダンパ及び制御ダンパとの間の通信は、図1(及び図2、詳細は後述)において点線で示されている。システムに分析器及び制御器が含まれない場合には、ダンパは、自動ではなく手動で制御することができることに留意されたい。これについても詳細は後述する。
【0015】
一実施形態において、図1のシステム100を操作する1つの方法では、まず、第1の遮断ダンパ106を閉位置に設定して、炉から出る最初の煙道ガス流(未燃カーボン、オイルミストキャリーオーバなどの汚染物を含む)がバイパスライン104を通って流れるようにすることができる。これによって、SCR102で使用されている触媒が燃える、及び/又は劣化する可能性を防ぐ。汚染物を含む煙道ガス流がシステム100から排出された後、(SCR102内の触媒反応性を劣化させ得る汚染物を含まない)煙道ガス流は次いでSCR102を通って排出される。
【0016】
第1の遮断ダンパ106及び第1の制御ダンパ108は、炉からの煙道ガスの全量が入口ライン103に沿ってSCR102に流れることを可能にしている。第1の遮断ダンパ106、第1の制御ダンパ108、及び第2の遮断ダンパ114は、プロセスのこの部分では完全に開いている。第3の遮断ダンパ110は完全に閉じている。煙道ガス流はSCR102を通って流れ、反応物の存在している中、アンモニアに触媒作用してNOXを窒素分子N2と水蒸気に解離する。煙道ガス流中にいくらか含まれるSO2は、NOXの触媒還元中にSO3に変換される。
【0017】
分析器202は、出口ライン105に沿ってSCR102から出る煙道ガス流中のSO3の含有量を測定する。分析器202は、手動で操作される湿式化学試験室とすることができ、その場合には、(SCR102によって処理された後の)煙道ガスの試料を瓶又は袋などの器具に定期的に捕集してから湿式化学によって分析することに留意されたい。このような場合には、ダンパ(遮断ダンパ及び制御ダンパの両方)の調節は手動で行われる。
【0018】
別の実施形態では、分析器202は、煙道ガス流中に配置され、その場で三酸化硫黄含有量を測定する自動化学分析器とすることができる。SO3含有量が許容限界を超える場合には、(自動)制御器204は、制御器204に制御ダンパ108及び112をそれぞれ作動させるメッセージを送信する。一実施形態では、ダンパのうちのいくつかは自動的に制御され、その他は手動で制御することができる。
【0019】
いずれにしても(手動分析又は自動分析のいずれを用いても)、第1の制御ダンパ108及び第2の制御ダンパ112は、煙道ガス流の全量がSCR102に入ることを防ぐように調節される(すなわち、部分的に開かれる)。煙道ガス流の一部分は、バイパスライン104を通って流れる。一実施形態では、第1の制御ダンパ108は、煙道ガス流の最大30%の量がSCR102に入るのを防いで、その代りにバイパスライン104に入るように部分的に開けられる。第2の制御ダンパ112は、この段階では完全に開いているか、又はライン103及び104の背圧を適切な値に保つために部分的に開ける場合がある。この設定の間、遮断ダンパはすべて開いており、ガスの流れは制御ダンパによって制御される。制御ダンパの位置は、(閉位置から)煙道ガス流のSO3の量が所望の値に下がるまで調節することができる。一実施形態では、システム100での調節後の煙道ガス流のSO3の量は、5ppm以下、好ましくは3ppmより少ない量である。
【0020】
図2に示す一実施形態では、SCR102を通過する煙道ガスの量は少ないので、SCR反応器のサイズを小さくするのが望ましい場合がある。図2は、図1のSCR102のサイズより小さくしたサイズのSCR102を示している。SCRのサイズは、出口のNOX排出の要求値に応じて、体積流量の70%に、好ましくは50体積%に落として処理するように小型化することができる。この設計を、煙道ガス量の100%の処理を専用とするバイパスのないSCRと比較する。図2は、図1と本質的に同様であり、SCR102のサイズが小型化されて、所望のSO3の量を放出しながら、(バイパスラインを使用しているため)処理すべき少量の煙道ガスを描いていることを除けば、同じように機能する。この小型のSCR102は、関連するバイパスラインとともに、煙突でのNOX及びSO3の要求値に合致しながら、断面をより小さく、触媒モジュールをより少なく、及び構造鋼の重量をより軽くして、全煙道ガス流を処理する。
【0021】
煙道ガスのいくらかがSCRを迂回してバイパスすることによって、SO3の発生量は減少し、特定のSO3制御装置の追加を不要とし得る。SO3の含有量の減少はまた、活性炭などの水銀吸収剤の有効度を向上させる。煙道ガスを部分的にバイパスすることはさらに、装置の使用期間にわたって、より少ない触媒モジュールをより容易に装着及び交換できるという恩恵がある。従来のSCRシステムは、他の目的(すなわち、装置の起動及び停止)で遮断ダンパを備えるガスバイパスを含むので、このバイパス設計概念の追加コストは最小である。
【0022】
様々な要素、構成部品、領域、層、及び/又は区域を説明するために、本明細書では、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を使用する場合があるが、これらの要素、構成部品、領域、層、及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるものではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、構成部品、領域、層、又は区域を別の要素、構成部品、領域、層、又は区域と区別するために使用されるに過ぎない。したがって、以下で論じる、第1の要素、構成部品、領域、層、又は区域は、本明細書での教示から逸脱することなく、第2の要素、構成部品、領域、層、又は区域と称することができる。
【0023】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけであり、限定することを意図したものではない。本明細書では、単数形で記載されたものであってもは、前後関係から別途明らかでない限り、複数形も含む。さらに、用語「備える」又は「含む」という用語は、本明細書では、標記の特徴、領域、整数、段階、動作、要素、及び/又は構成要素が存在することを特定するが、1以上の他の特徴、領域、整数、段階、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループが存在すること、又はそれらが付加されることを排除しないことが理解されるであろう。
【0024】
さらに、「下方」又は「下部」、及び「上方」又は「上部」などの相対的な用語は、本明細書では、図に示すような、1つの要素の別の要素に対する関係を説明するために使用する場合がある。相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、装置の様々な向きを含むように意図されていることが理解されるであろう。例えば、他の要素の「下方」にあると記述された要素は、図の1つに示された装置をひっくり返した場合、この他の要素の「上方」の向きになっているであろう。したがって、例示的な用語「下方」は、図の特定の向きに従って、「下方」及び「上方」の両方の向きを含むことができる。同様に、他の要素の「下」にあると記述された要素は、図の1つに示された装置をひっくり返した場合、この他の要素の「上」の向きになっているであろう。したがって、例示的な用語「下」は、上及び下の両方の向きを含むことができる。
【0025】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(科学技術用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書で定義される用語などの用語は、関連技術及び本開示の分野に関して使用される意味と同じ意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されるであろう。
【0026】
本明細書では、理想化された実施形態の概略図である断面図を参照して例示的な実施形態を説明している。したがって、例えば、製作技法及び/又は製作公差の結果として、図の形状から変わることが予想される。したがって、本明細書で説明される実施形態は、本明細書で例示されるような特定の形状の範囲に限定されると解釈されるべきではなく、例えば製作で生じる形状のずれを含むと解釈されるべきである。例えば、平坦として図示され、又は説明された領域は、典型的には、粗い、及び/又は非線形の特徴を有する場合がある。さらに、図では鋭角と示しているものが丸みを持っている場合がある。したがって、図で示された領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、ある領域の正確な形状を示すことを意図したものではなく、本特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0027】
用語の「及び/又は」は、本明細書では、「及び」と「又は」の両方の意味で使用されている。例えば、「A及び/又はB」は、A、B、又は、A及びBの意味で解釈される。
【0028】
「備える」という語は、「主に〜からなる」及び「〜からなる」を包括し、「含む」という語と互換的である。
【0029】
本発明を、様々な例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、また本発明の要素に対して均等物を代用することができることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく本発明の教示に対して特定の状況又は材料を適応させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の態様として開示された特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に当てはまるすべての実施形態を含むことが意図されている。
図1
図2