特許第6467437号(P6467437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467437振動ダンパのピストン弁用の予荷重付与装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467437
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】振動ダンパのピストン弁用の予荷重付与装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/348 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
   F16F9/348
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-565554(P2016-565554)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公表番号】特表2017-503987(P2017-503987A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014078150
(87)【国際公開番号】WO2015113703
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】102014201480.8
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】バールマン・ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】アザディ・ハサン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンショレク・ハンス
(72)【発明者】
【氏名】クリル・ロータル
(72)【発明者】
【氏名】クルーゼ・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リヒトライン・オズヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】リッターシャイト・ディルク
(72)【発明者】
【氏名】マンガー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジュデクム・ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】トゥコヴィッチ・ハルン
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−092859(JP,A)
【文献】 特開2012−067778(JP,A)
【文献】 特開平07−280019(JP,A)
【文献】 米国特許第06336536(US,B1)
【文献】 米国特許第05615756(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ダンパのピストン弁(1)用の予荷重付与装置(39)であって、バネ要素を有し、このバネ要素が、内径(50)によって、半径方向内側に位置する調心ユニット(43)に装着され、この調心ユニットが、予荷重付与装置(39)の取付け状態で、バネ要素の内側調心のために使用される形式のものにおいて、
保持手段がバネ要素を少なくとも部分的に軸方向で両側から把持し、それぞれ調心ユニット(43)と固定結合されていることによって、バネ要素が、調心ユニット(43)に、保持手段を介して軸方向に固定されていること、調心ユニット(43)が、支持ディスク(40)の軸方向に突出するフランジ部分(41)の外径(42)によって構成され、支持ディスク(40)の半径方向に延在するショルダ部分(47)が、保持手段の1つを規定すること、及び、支持ディスク(40)が、フランジ部分(41)とは反対の軸方向の側に、外六角形(45)を備え、更に、内径に、少なくともその軸方向の広がりの一部にわたって雌ネジ(46)を備えていること、を特徴とする予荷重付与装置。
【請求項2】
保持要素の1つが、弁ディスク(48)によって構成され、この弁ディスクが、調心ユニット(43)と結合され、バネ要素によって予荷重力の作用を受けていること、を特徴とする請求項1に記載の予荷重付与装置(39)。
【請求項3】
保持手段の少なくとも1つが、接合方法によって調心ユニット(43)と結合されていること、を特徴とする請求項1に記載の予荷重付与装置(39)。
【請求項4】
バネ要素が、皿バネ(44)であること、を特徴とする請求項1に記載の予荷重付与装置(39)。
【請求項5】
ピストン本体(4)を有し、このピストン本体が、ピストン本体(4)を軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通穴(8)を有し、この少なくとも1つの貫通穴が、少なくとも1つの弁ディスク(9)によってカバー可能であり、この少なくとも1つの弁ディスク(9)が、請求項1〜のいずれか1項に記載の予荷重付与装置(39)によってピストン本体(4)に向かって予荷重を付与されていること、を特徴とするショックアブソーバ用のピストン弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ダンパのピストン弁用の予荷重付与装置であって、バネ要素を有し、このバネ要素が、内径によって、半径方向内側に位置する調心ユニットに装着され、この調心ユニットが、予荷重付与装置の取付け状態で、バネ要素の内側調心のために使用される形式のものに関する。更に、本発明は、前記予荷重付与装置が使用される、ショックアブソーバ用のピストン弁に関する。
【背景技術】
【0002】
振動ダンパは、自動車において大部分が油圧機械式のダンパの形態で使用され、この場合、特に、それぞれの車両ボディとそれぞれの自動車のアクスル間に設けられる。この箇所に配置された振動ダンパは、一方では、道路による又は一連の所定の走行状態での励起において車両ボディの運動及び共振を防止し、他方では、道路によって励起されるそれぞれの車輪の振動の即座の減衰を生じさせるので、常に、この車輪の接地を保証することができる。
【0003】
振動ダンパは、自動車の場合、大抵はテレスコープ型ショックアブソーバとして、その場合ここではモノチューブ又はツインチューブ式ダンパとして、形成される。この場合、減衰作用は、大抵は作動液の形態の減衰媒体の排出によって発生され、減衰媒体の流れは、一連の排出で、通常はピストン弁を介して影響を与えられ、このピストン弁は、この目的のために複数の貫通穴を備えている。その場合、振動ダンパの減衰特性曲線は、大抵は油圧の抵抗を介して調整され、これら抵抗は、貫通穴を介して減衰媒体の流れに影響を与え、しばしばピストン弁のピストン本体に向かって予荷重を付与する弁ディスクとして形成されている。この場合、弁ディスクに予荷重を付与するために、特にバネ要素が設けられ、このバネ要素が、常に弁ディスクへの十分な予荷重を保証する。但し、バネ要素の確実な調心を保証することはできない。何故なら、大量生産ではさもなければ誤組立てが、従って異なる弁特性が生じ得るからである。
【0004】
独国特許出願公開第10 2007 004 149号明細書から、振動ダンパ用のピストン弁が読み取れ、この場合、ピストン弁は、ピストン本体を軸方向に貫通する複数の貫通穴を有するピストン本体を有する。貫通穴の開口部の領域で、それぞれ複数の弁ディスクが、ピストン本体のそれぞれの弁座に向かって予荷重を受け、この予荷重は、付属するそれぞれ1つの予荷重付与装置を介して表される。この場合、予荷重付与装置は、皿バネと半径方向内側に位置するリング状の調心ディスクから構成され、この調心ディスクが、皿バネ用の調心ユニットを構成し、ピストンロッドピン上の皿バネの内側調心を保証し、このピストンロッドピン上には、ピストン本体もガイドされている。しかしながら皿バネがピストン弁の一連の組立てで軸方向に調心ディスクに対して相対的に移動することができ、その場合、これは、固定ナットを介するピストン弁への張力付与時のその誤組立てを結果として伴い得るので、更に、バネが設けられている。このバネは、調心ディスクにピストン弁の支持ディスクに向かって予荷重を付与し、この支持ディスクを、常に、調心ディスクがその調心機能を実現し得る位置に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2007 004 149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術から始めて、本発明の課題は、ピストン弁の一連の組立てでバネ要素の確実な内側調心を保証でき、しかしながら同時に低い組立労力で配置可能な、ピストン弁用の予荷重付与装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の上位概念から初めて、その特徴付ける特徴と関係して解決される。これに続く従属請求項は、それぞれ本発明の有利な発展形を再現する。加えて、本発明による予荷重付与装置が使用される振動ダンパ用のピストン弁は、請求項10からわかる。
【0008】
本発明によれば、装置は、バネ要素を有し、このバネ要素が、内径によって、半径方向内側に位置する調心ユニットに装着されている。その場合、調心ユニットは、ピストン弁内での予荷重付与装置の取付け状態で、バネ要素の内側調心のために使用される。そして本発明によれば、このような予荷重付与装置は、好ましくはピストン弁において使用され、このピストン弁は、ピストン本体を有し、このピストン本体が、ピストン本体を軸方向に貫通する少なくとも1つの貫通穴を有する。この場合、この少なくとも1つの貫通穴が、その開口部において、少なくとも1つの弁ディスクによってカバー可能であり、この少なくとも弁ディスクが、本発明による予荷重付与装置によってピストン本体に向かって予荷重を付与されている。
【0009】
予荷重付与装置のバネ要素の“内側調心”は、本発明の意味では、ピストン弁を組み立てる際にバネ要素を正しい位置に保持するために、半径方向内側に位置する調心ユニットによってバネ要素をその内径でガイドすることを意味する。特に、半径方向内側に位置する調心ユニットは、この場合振動ダンパのピストンロッドのピストンロッドピンに間接的にピストン弁を組み立てる際にバネ要素を調心する。
【0010】
本発明は、保持手段がバネ要素を少なくとも部分的に軸方向で両側から把持し、それぞれ調心ユニットと固定結合されていることによって、バネ要素が、調心ユニットに、保持手段を介して軸方向に固定されているとの技術的教授を有する。即ち、換言すれば、バネ要素は、保持手段によって軸方向に調心ユニットに保持され、このため、バネ要素は、少なくとも一部が軸方向に保持手段の間に位置し、保持手段は、それぞれ調心ユニットと固定連結されているということである。
【0011】
この場合、予荷重付与装置のこのような形成は、その結果、ピストン弁の一連の組立てで簡単にそれぞれの振動ダンパのピストンロッドに設けられ、この場合、半径方向内側に位置する調心ユニットに対して相対的なバネ要素の固定に基づいて、常にバネ要素の確実な内側調心を保証する、予組立て可能なアッセンブリが提供されるとの利点を有する。なぜなら、保持手段によって、バネ要素は、少なくとも部分的な軸方向の把持に基づいて、半径方向に噛合い係合式に調心ユニットに固定され、従って、その内径によって、常に調心ユニットに対して正しく位置決めされるからである。その点で、ピストン弁の一連の組立てで調心ユニットからのバネ要素の意図しない軸方向の移動を阻止できるので、不十分な内側調心に基づいたバネ要素の誤組立ての危険が排除されている。更に、予組立て可能なアッセンブリとしての予荷重付与装置の形成に基づいて、組立て労力は低減されている。なぜなら、これにより、予荷重付与装置は、ユニットとして、挿入することしか必要がない、即ち、ピストンロッドピンに配置することができるからである。
【0012】
確かに、独国特許出願公開第10 2007 004 149号明細書の場合には、調心部分を規定する調心ディスクがバネを介してピストン弁の支持ディスクに向かって予荷重を受けることによって、バネ要素の内側調心が保証される。しかしながら、この予荷重付与装置の組立ては、費用が掛かる。何故なら、個々の部品は、ピストン弁の組立て時に相前後して配置する必要があり、予組立てされたユニットが構成されないからである。更に、誤組立は、調心ディスクに予荷重を付与するにもかかわらず、完全に排除することができない。何故なら、原理的に、バネ要素に対する調心ディスクの相対運動が可能だからである。
【0013】
本発明によれば、“半径方向”は、バネ要素の半径に沿った向きであると理解するが、“軸方向”は、バネ要素の締付け方向への向きを意味し、この向きは、予荷重付与装置の取付け状態で、振動ダンパのピストンロッドの長手方向中心軸の方向の向きに一致する。
【0014】
更に、保持手段によってバネ要素を“少なくとも部分的”に軸方向で両側から把持することは、保持要素が、それぞれ少なくともバネ要素の広がりの一部にわたってバネ要素を覆い、軸方向でそれぞれバネ要素の両側に設けられていることを意味する。しかしながらまた、この場合、保持手段の少なくとも1つは、半径方向に、軸方向に隣接するバネ要素を完全に覆うこともできる。
【0015】
最後に、保持手段と調心部分の間の“固定結合”との表現は、それぞれの保持手段と超新部分が、少なくとも事項方向及び半径方向に互いに不動に連結されていることを含む。しかしながら特に好ましくは、それぞれの保持手段は、調心部分に対して完全に不動であり、これは、相応の結合又は一体的形成によって実現することもできる。
【0016】
本発明の実施形態に応じて、調心ユニットは、調心ディスクによって構成され、この調心ディスクは、バネ要素を外径においてガイドする。即ちこの場合には、バネ要素の内側調心が、相応のディスクを介して実現され、このディスクは、バネ要素に対して半径方向内側に位置するように設けられ、このディスクと、保持手段が結合されている。その結果、軸方向特にコンパクトに構成された予荷重付与装置を実現することができる。
【0017】
これに対して選択的な本発明の実施形態によれば、調心ユニットが、支持ディスクの軸方向に突出するフランジ部分の外径によって構成され、加えて、この支持ディスクが、半径方向に延在するショルダ部分と共に保持手段の1つを規定する。即ちこの場合には、内側調心は、相応に形成された支持ディスクを介して実現され、この支持ディスクは、ピストン弁内で、別の支持ディスクと共に、ピストン本体、バネ要素及び弁ディスクを間に位置させる収容のために使用される。その点で、内側調心及び支持機能は、1つの部品にまとめることができ、この場合、この部品は、ショルダ部分と共に、バネ要素用の軸方向の接点を構成する。
【0018】
前記実施形態の発展形では、支持ディスクが、フランジ部分とは反対の軸方向の側に、外六角形を備え、更に、内径に、少なくともその広がりの一部にわたって雌ネジを備えている。加えてこれにより、固定ナットの機能を共に統合することができるので、部品の数の更なる低減が可能であり、その結果、組立ての更なる簡素化も実現可能である。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、保持手段の少なくとも1つが、それぞれ1つの保持ディスクによって構成され、この保持ディスクが、調心ユニットと結合されている。その結果、特に、調心ディスクによって調心ユニットを形成する場合には、バネ要素と調心ディスクを互いに相応に位置決めした後、調心ディスクと結合することができる。これに対して、支持ディスクを介して調心ユニットを構成する場合には、保持ディスクだけを設けることができる。
【0020】
本発明の発展形では、バネ要素が、その内径の領域内でのみ、軸方向に保持手段の間に収容されている。これに応じて、バネ要素は、保持手段の間に可動に挿入できるので、調心ユニットと保持手段の結合は、バネ要素の予荷重力によって負荷を受ける。その場合、バネ要素の予荷重は、ピストン弁の組立て時で、それぞれの固定ナットを介して締付け力を加えた時に初めて行われる。
【0021】
これに対して選択的な本発明の形成の可能性に応じて、保持要素の1つが、弁ディスクによって構成され、この弁ディスクが、調心ユニットと結合され、バネ要素によって予荷重力の作用を受けている。即ちこの場合、保持要素の1つは、直接的に、予荷重を付与すべき弁ディスクによって構成されるので、更なる機能統合が可能である。但しこの場合、予組立てされたアッセンブリの形成時に既に、バネ要素への予荷重付与が行なわれ、その結果、調心ユニットと弁ディスクの結合部も、バネ要素の予荷重の作用を受ける。
【0022】
本発明の発展形では、保持手段の少なくとも1つが、接合方法によって調心ユニットと結合されている。この場合、接合方法として、好ましくは、例えばレーザ溶接による両部品の溶接が問題になり、しかしながらまたこれに対して選択的に、他の方法による溶接又はろう付け、接着又はコーキングも考えられる。更に、保持要素の少なくとも1つは、調心ユニットと一体的に形成することもできる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、バネ要素が、皿バネである。皿バネにより、軸方向にコンパクトなやり方で、ピストン弁の少なくとも1つの弁ディスクへの予荷重付与を実現することができる。しかしながらまたこれに対して選択的に、例えばウェーブワッシャ、又は螺旋バネのように、他の方法によって形成することもでき、その場合、後者は、円錐形の横断面を備える。
【0024】
本発明は、主請求項又はこれに従属する請求項の特徴の組合せに限定されていない。更に、個々の特徴を、またこれら特徴が特許請求の範囲、本発明の好ましい実施形態の後続の説明又は図面から直接的に読み取れるかぎり、互いに組み合わせる可能性がある。符号の使用による図面に対する特許請求の範囲の関連付けは、特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0025】
以下で説明される本発明の有利な形成が、図面に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に応じた複数の予荷重付与装置を有する、ショックアブソーバのピストン弁の側面図
図2図1の予荷重付与装置の1つの断面図
図3】本発明の第2の形成の[可能性に応じた予荷重付与装置の断面図
図4】本発明の第3の実施形態による予荷重付与装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から、振動ダンパのピストン弁1の断面図がわかり、このピストン弁は、振動ダンパのピストンロッド3のピストンロッドピン2に設けられている。この場合、図1から認められるように、ピストン弁1は、ピストン本体4を有し、このピストン本体は、内径5でピストンロッドピン2に装着され、外径6においてシール7をガイドする。そして、振動ダンパの仕上げ組立て状態でピストン本体4は、シール7を介して、振動ダンパの−ここではほかに図示してない−シリンダチューブと接触し、この場合、作動空間を貯蔵空間から分離する。
【0028】
ピストン本体4は、複数の貫通穴によって軸方向に貫通され、これら貫通穴のうち、切断平面内に位置する貫通穴8しか図1には認められず、これら貫通穴を介して、振動ダンパ用の減衰媒体、好ましくはオイル、は、ピストンロッド3の進退運動時に、ピストン本体4によって互いに分離された空間の間で排出することができる。貫通穴は、その開口部の領域で弁ディスク9及び10によってカバーされ、これら弁ディスクは、それぞれ1つの予荷重付与装置11もしくは12によってそれぞれ1つの弁座面13もしくは14に向かってそれぞれ予荷重を受けている。
【0029】
この場合、予荷重付与装置11及び12は、それぞれ、皿バネ15もしくは16の形態のそれぞれ1つのバネ要素を有し、これらバネ要素は、そのそれぞれの外径17もしくは18の領域でそれぞれの弁ディスク9もしくは10に当接し、そのそれぞれの内径19もしくは20の領域でそれぞれの支持ディスク21もしくは22に支持される。この場合、支持ディスク21は、軸方向でピストンロッドピンショルダ23と予荷重付与装置11の間に設けられているが、支持ディスク22は、軸方向で予荷重付与装置12と固定ナット24の間に位置する。固定ナット24は、ピストンロッドピン2の雄ネジ上にガイドされ、両支持ディスク21及び22、予荷重付与装置11および12、弁ディスク9及び10、及びピストン本体4の形態のピストン弁1の構成要素に、ピストンピンショルダ23に向かって予荷重を付与する。
【0030】
特徴として、予荷重付与装置11及び12は、それぞれ予組立てされたユニットとして形成され、その構成には、図2の別の断面図によって、予荷重付与装置12の例で、詳細に立ち入るが、図2で認められるように、予荷重付与装置12は、皿バネ16以外に更に1つの調心ディスク25と2つの保持ディスク26及び27を有する。この場合、ディスク25〜27は、皿バネ16と共にピストン弁1の一連の組立でピストンロッドピン2上へ挿入できるように、それぞれリング状に形成されている。この場合、調心ディスク25は、半径方向内側で皿バネ16に向かって位置するので、皿バネ16は、その内径20で調心ディスク25の外径28に装着され、これによりこの外径は、皿バネ16用の調心ユニット29を構成する。
【0031】
予荷重付与装置12の取付け状態で、調心ディスク25は、図1で認められるように、ピストンロッドピン2上の皿バネ16の内側調心のために使用される。但しこの場合ピストン弁1の一連の組立で、皿バネ16が調心ディスク25に対して相対的に軸方向に移動できることを防止し、更に予組立てされたユニット形成するために、皿バネ16は、その内径20の領域で、軸方向で両側から保持ディスク26及び27によって把持されている。保持ディスク26及び27は、更にまたそれぞれ調心ディスク25と固定結合されている。その点で、保持ディスク26及び27は、皿バネ16を間接的に調心ディスク25に固定し、この場合皿バネ16は、両保持ディスク26と27の間に可動に挿入されている。保持ディスク26及び27は、ここでは、好ましくはレーザ溶接の形態の接合方法によって、調心ディスク25と結合されている。皿バネ16の内径20の把持に基づいて、調心ディスク25と保持ディスク26及び27の溶接結合は、この場合は皿バネ16のバネ力の負荷を受けない。
【0032】
そして、予組立てされた予荷重付与ユニット12は、ピストン弁1の組立時に簡単にまとめてピストンロッドピン2上へ挿入され、次に、皿バネ16は、固定ナット24を介する一連のネジ留めでその予荷重力を弁ディスク10に加える。この場合、予荷重付与装置11は、予荷重付与装置12と同様に形成され、逆向きに組み立てられるに過ぎない。その点で、予荷重付与装置11に関しては、予荷重付与装置12について説明したことが引き合いに出される。
【0033】
更に、図3から、予荷重付与装置30の断面図がわかり、この予荷重付与装置は、本発明の第2の形成の可能性に応じて実現され、予荷重付与装置11及び12に対して選択的にピストン弁において使用することができる。予荷重付与装置30の場合でも、皿バネ31の形態のバネ要素が、内径32において調心ユニット33を介して内側で調心される。
【0034】
しかしながらこの場合、図1及び2による前のバリエーションとは違って、この調心ユニット33は、独立したディスクによって構成されるのではなく、軸方向に突出するように支持ディスク36に形成されたフランジ部分35の外径34によって規定される。その点で、後からピストン弁においていずれにしろ突出すべき支持ディスク36が、同時に皿バネ31の内側調心の機能も担うことによって、機能統合が実現される。
【0035】
加えて、支持ディスク36は、ショルダ部分37において、皿バネ31用の軸方向の当接面を、従って、保持ディスク38と共に固定するための保持手段を形成する。この場合、皿バネ31は、その内径32で、ショルダ部分37と保持ディスク38の間に可動に保持され、但し、ショルダ部分37は、半径方向には完全に皿バネ31を覆う。これに対して、保持ディスク38は、内径32の領域だけで半径方向に延在し、これにより、皿バネ31の可動の把持が実現される。そして、保持ディスク38は、保持ディスク38がフランジ部分35に装着され、次いでこのフランジ部分と結合されることによって、更にまた好ましくはレーザ溶接の形態の接合方法を介して支持ディスク36に固定されている。
【0036】
最後に、更に図4から、別の予荷重付与装置39の断面図がわかり、この別の予荷重付与装置は、本発明の第3の実施形態に応じて形成され、図1及び2の予荷重付与装置12に対して選択的にピストン弁において使用することができる。この場合、予荷重付与装置39は、ここでも支持ディスク40が軸方向に突出するフランジ部分41において外径42で皿バネ44用の調心ユニット43を構成することによって、可能な限り図3の予荷重付与装置30と一致する。
【0037】
しかしながら、前のバリエーションとは違って、支持ディスク40は、加えて、フランジ部分41とは反対の軸方向の側に外六角形45を備え、その軸方向の広がりの一部にわたって雌ネジ46を備えているので、支持ディスクは、付加的に図1の固定ナット24の機能を担うことができる。
【0038】
更に、フランジ部分41に対して相対的な皿バネ44の軸方向の固定は、支持ディスク40のショルダ部分47以外に、弁ディスク48を介して実現され、この弁ディスクは、皿バネ44を、その外径を超えて把持する。但しこの場合、加えて皿バネ44がその内径50の領域でショルダ部分47に当接するので、皿バネ44は、両構成要素の間に可動に保持されるのではなく、予組立てされた予荷重付与装置39の一連の形成で予荷重を受けなければならない。その点で、支持ディスク40のフランジ部分41と弁ディスク48の結合は、皿バネ44のバネ力の負荷を受けるので、結合、好ましくはレーザ溶接、は、相応に形成すべきである。最後に支持ディスク40のショルダ部分47は、半径方向に皿バネ44を完全に覆うのではなく、ほぼその中心領域だけを覆う。
【0039】
ピストン弁用の予荷重付与装置の本発明による形成により、バネ要素の確実な内側調心が実現でき、しかしながらまた同時に予組立て可能なアッセンブリも提供でき、これにより、組立て労力の低減が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 ピストン弁
2 ピストンロッドピン
3 ピストンロッド
4 ピストン本体
5 内径
6 外径
7 シール
8 貫通穴
9 弁ディスク
10 弁ディスク
11 予荷重付与装置
12 予荷重付与装置
13 弁座面
14 弁座面
15 皿バネ
16 皿バネ
17 外径
18 外径
19 内径
20 内径
21 支持ディスク
22 支持ディスク
23 ピストンピンショルダ
24 固定ナット
25 調心ディスク
26 保持ディスク
27 保持ディスク
28 外径
29 調心ユニット
30 予荷重付与装置
31 皿バネ
32 内径
33 調心ユニット
34 外径
35 フランジ部分
36 支持ディスク
37 ショルダ部分
38 保持ディスク
39 予荷重付与装置
40 支持ディスク
41 フランジ部分
42 外径
43 調心ユニット
44 皿バネ
45 外六角形
46 雌ネジ
47 ショルダ部分
48 弁ディスク
49 外径
50 内径
図1
図2
図3
図4