特許第6467438号(P6467438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467438
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】口腔内崩壊フィルム
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/25 20060101AFI20190204BHJP
   A61K 36/87 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 36/718 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 36/42 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20190204BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20190204BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20190204BHJP
【FI】
   A61K36/25
   A61K36/87
   A61K36/718
   A61K36/42
   A61K36/185
   A61K36/53
   A61K9/70
   A61K9/10
   A61K47/38
   A61K47/10
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K47/42
   A61P11/00
   A61K127:00
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-570289(P2016-570289)
(86)(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公表番号】特表2017-520535(P2017-520535A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015066332
(87)【国際公開番号】WO2016009001
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】14177400.0
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300015403
【氏名又は名称】ヘクサル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hexal AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【弁理士】
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】クレケラー,アンドレアス
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522883(JP,A)
【文献】 特表2009−501751(JP,A)
【文献】 特表2009−501752(JP,A)
【文献】 特表2013−525394(JP,A)
【文献】 特表2009−530291(JP,A)
【文献】 特表2014−516061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ツタ抽出物、オウレン(Coptidis rhizoma)抽出物、カウスリップ(Primula veris)抽出物、黄花ユキワリソウ(Primula elatior)抽出物、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)抽出物またはそれらの混合物から選択される、植物抽出物と
(b)セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、酸化ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン、修飾デンプン、ゼラチン、ペクチン、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択され、15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)に至る数平均分子量(Mn)を有する、成膜ポリマーと
を含む、口腔内崩壊フィルムであって、前記口腔内崩壊フィルムが、以下:
25〜50重量%の植物抽出物と、
10〜30重量%の成膜ポリマーと、
2.5〜20重量%の微細結晶性セルロースと、
2.5〜20重量%の可塑剤と、
任意で3〜10重量%の希釈剤と、を含み、
各重量%は前記口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づくものであり、
前記口腔内崩壊フィルムの崩壊時間が100秒未満であり、かつ
前記微細結晶性セルロースの前記可塑剤に対する重量比が、0.5:1〜2:1である、前記口腔内崩壊フィルム。
【請求項2】
成膜懸濁液の溶媒を蒸発させることによって得られる口腔内崩壊フィルムであって、前記成膜懸濁液が1000から5000mPa・sに至る粘度を有し、且つ
前記成膜懸濁液が植物抽出物と成膜ポリマーとを含み、
前記植物抽出物が、ツタ抽出物、オウレン(Coptidis rhizoma)抽出物、カウスリップ(Primula veris)抽出物、黄花ユキワリソウ(Primula elatior)抽出物、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)抽出物またはそれらの混合物から選択され、
前記成膜ポリマーが、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、酸化ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン、修飾デンプン、ゼラチン、ペクチン、アルギネート、及びそれらの組み合わせから選択され、
前記口腔内崩壊フィルムが、以下:
25〜50重量%の植物抽出物と、
10〜30重量%の成膜ポリマーと、
2.5〜20重量%の微細結晶性セルロースと、
2.5〜20重量%の可塑剤と、
任意で3〜10重量%の希釈剤と、を含み、
各重量%は前記口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づくものであり、
前記口腔内崩壊フィルムの崩壊時間が100秒未満であり、かつ
前記微細結晶性セルロースの前記可塑剤に対する重量比が、0.5:1〜2:1である、
前記口腔内崩壊フィルム。
【請求項3】
前記成膜ポリマーが15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)に至る数平均分子量(Mn)を有する請求項2に記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項4】
前記成膜ポリマーが32000Da(g/モル)から80000Da(g/モル)に至る重量平均分子量(Mw)を有する請求項1〜3のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項5】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテートである、請求項1〜4のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項6】
前記セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロースから選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項7】
前記成膜ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項6に記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項8】
前記可塑剤が、グリセロールである、請求項1〜7のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項9】
前記成膜ポリマーの微細結晶性セルロースに対する重量比が1:1〜3:1である請求項1〜8のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項10】
前記ツタ抽出物が、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物である、請求項1〜9のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項11】
(a)35重量%〜40重量%のセイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(b)19重量%〜21重量%のHPMCと、
(c)10重量%〜15重量%の微細結晶性セルロースと、
(d)10重量%〜15重量%のグリセロールと
(e)5重量%〜7.5重量%のマルトデキストリンとを含み、
各重量%は前記口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づく、請求項1〜10のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【請求項12】
呼吸器疾患を予防するまたは治療するのに使用するための請求項1〜11のいずれかに記載の口腔内崩壊フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムに関する。本発明はさらに植物抽出物を含む成膜懸濁液ならびに口腔内崩壊フィルム及び成膜懸濁液を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の経口投与は今もなお、最も広く使用される投与方法を代表する。投与の従来の形態は、たとえば、一般に飲み込まれる錠剤またはカプセル剤である。しかしながら、これには、患者が液体へのアクセスを有すること、たとえば、コップ一杯の水を保持できることが必要とされ、且つそれによって患者が剤形を服用できることが必要とされる。しかしながら、特に、食道が狭い高齢者及び小児では、ある程度、飲み込むことに不快感があるので、これらの患者は錠剤またはカプセル剤の摂取を拒否したり、嫌々ながらやっと摂取したりする。このことは往々にして結果的に不十分な薬剤コンプライアンスを生じ、それは、治癒過程や治療の成功にとって有害な効果を有する。
【0003】
これは、実際の薬剤摂取のモニタリングが必須である小児患者において特に明らかであり;そのような場合、錠剤またはカプセル剤のような従来の剤形の投与は問題なくはない。崩壊の遅延により、有効成分のそのようなキャリアは口から容易に取り出されてしまう。
【0004】
この問題を克服するために、流体なしで服用することができ、且つ口腔で迅速に崩壊する、たとえば、顆粒剤または経口フィルムのような医薬剤形が開発されている。
【0005】
速く溶解するフィルムは速く溶解する錠剤の代替として関心を得つつある。フィルムは、たとえば、舌のような湿った面に接触すると数秒以内に溶解するように設計される。これは、消費者が追加の液体を必要とすることなく製品を服用することができ;口腔の唾液がフィルムを溶解し、薬剤を放出するのに十分であるという利点を提供する。この好都合は、マーケティングの利点及び患者の高いコンプライアンスの双方を提供する。さらに、多くの場合、薬剤は全身性の循環に直接吸収され、それによって消化管における分解及び初回通過効果を回避することができる。
【0006】
これらの点によってそのような製剤は小児患者及び高齢患者及びむせる恐れがある患者の間で最も評判がよく且つ受け入れられるようになる。
【0007】
医薬有効成分及び非医薬有効成分を含有する経口フィルム及びその調製の方法は、たとえば、WO2007/009800、WO2007/009801及びWO03/011259にて記載されている。
【0008】
植物療法(植物薬)は患者の治療及び自己治療(植物療法)においてかなりの重要性に恵まれている。植物療法は、薬剤の使用を規制するドイツの法律に従って、処理されていようがいまいが、植物またはその一部によって導出される物質であると定義されている。植物の抽出物または植物抽出物は、蒸発させられる好適な溶媒と共に活性のある構成成分を取り出すことによって得られる濃縮された医薬調製物である。次いで残留物を処方された基準に調整する。次いで植物抽出物は、油形態、濃縮された溶液形態または乾燥形態等で調製することができる。
【0009】
植物薬は幾つかの物質の混合物なので、純粋な形態での活性のある医薬成分(API)に基づいた薬剤とは基本的に異なる。植物薬の医用活性は植物抽出物に含有される物質の混合物に由来する。
【0010】
植物抽出物はAPIを特定し、単離するのではなく、そのまま使用される。これは、特に活性のある構成成分は知られていないが、混合物は臨床的な有効性を示している場合に利点を提供する。さらに、1以上の有効成分が知られているとしても、さらなる物質が最適な効果に関与していることもある。
【0011】
活性剤が知られている場合、同じ量の有効成分を含有するように標準化された抽出物を調製する。主要な活性のある構成成分が未知である抽出物については、栽培から抽出物の調製までの全工程が標準化される。
【0012】
植物薬は化学合成された薬剤に関する高い許容性とコンプライアンスを示す。その供給源が天然のものであるために、植物薬は公衆に上手く受け入れられるという利点を有する。1つの結論として、患者が薬物を規則的に服用する用意ができるということであり、それは治療の成功には重要である。
【0013】
植物抽出物の中で、伝統薬及び現在の代替薬においてHedera helix(セイヨウキヅタ)の葉の乾燥抽出物を用いる長い伝統がある。多くの生物学的な及び薬理学的な研究はツタの効果を評価することを目的にしている。結果は、Hedera helixの抽出物が気管支拡張活性及び鎮痙活性を持つことを示唆している。効果は植物から抽出される2つの主な物質:α−ヘデリン及びヘデラコシドCによると考えられる。
【0014】
ツタ葉からの抽出物は鎮痙性、去痰及び閉塞防止効果を示すので、この抽出物は現在のところ特に呼吸器疾患の治療の上手く採用されている。
【0015】
植物素材から抽出物を調製する方法は、たとえば、WO2004/087183、WO2005/037298及びWO2005/037299にて開示されている。これらの刊行物は、特に調整された含量のα−ヘデリン及び/またはヘデラコシドCを有するツタ抽出物とそのような抽出物を提供することができる方法とを開示している。
【0016】
植物抽出物は一般に、特に小児に投与するのに好適ではない乾燥形態、油の形態、濃縮された溶液の形態または濃縮された水性アルコール性溶液の形態である。従って、特に小児における患者のコンプライアンス要件を満たす植物抽出物の製剤を提供するニーズがある。
【発明の概要】
【0017】
上記で言及された課題は本発明の口腔内崩壊フィルムによって解決される。本発明の口腔内崩壊フィルムは植物抽出物と選択された数平均分子量(Mn)を有する成膜ポリマーとを含む。
【0018】
従って、第1の態様では、本発明は
(a)植物抽出物と
(b)成膜ポリマーが15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至る数平均分子量を有する成膜ポリマーとを
含む口腔内崩壊フィルムである。
【0019】
第2の態様では、本発明は
(a)植物抽出物と
(b)成膜ポリマーが15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至る数平均分子量を有する成膜ポリマーと
(c)溶媒または溶媒の混合物とを
含む成膜懸濁液である。
【0020】
第3の態様では、本発明は成膜懸濁液の溶媒を蒸発させることによって得られる口腔内崩壊フィルムであり、その際、成膜懸濁液は1000から5000mPa・sまでに至る、好ましくは2000から4000mPa・sまでに至る、さらに一層好ましくは2500から3500mPa・sまでに至る粘度を有し、成膜懸濁液は植物抽出物と成膜ポリマーとを含む。
【0021】
第4の態様では、本発明は薬物として使用するための口腔内崩壊フィルムである。
【0022】
第5の態様では、本発明は呼吸器疾患を予防するまたは治療するのに使用のための口腔内崩壊フィルムである。
【0023】
第6の態様では、本発明は口腔内崩壊フィルムを調製する方法である。
【0024】
第7の態様では、本発明は本発明の成膜懸濁液を調製する方法である。方法は植物抽出物を本発明の成膜ポリマーと混合することを含む。
【0025】
第8の態様では、本発明は本発明に係る口腔内崩壊フィルムを含む包装である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、植物抽出物と、選択された数平均分子量(Mn)及び任意で選択された重量平均分子量(Mw)を有する成膜ポリマーとを含む口腔内崩壊フィルムに関する。本発明の口腔内崩壊フィルムは好ましくはさらに微細結晶性セルロースを含んでもよい。
【0027】
植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムは植物抽出物の性質の故に作製するのが厄介であることが分かっている。植物抽出物は一般に油の形態、濃縮溶液の形態または乾燥形態である。それらはその純粋な形態にはない幾つかの化合物で構成される。従って、植物抽出物及び有効成分は結晶性の固形化合物の形態ではなく、それらナノ粒子の形態でもない。
【0028】
植物抽出物の口腔内崩壊フィルムを調製する熱意によって、本発明者らは、一般に使用される成膜ポリマーが植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムを調製するのに好適ではないことを見いだした。たとえば、一般に使用される成膜ポリマー、メトセル(Methocel)E5LVは弾性がなく機械的強度が不十分な壊れやすいフィルムをもたらす一方で、成膜ポリマー、メトロース(Metolose)60SH−50の使用はプロセスライナー及び一次包装から取り外せない、不十分な崩壊時間を示す粘着性のフィルムをもたらす。
【0029】
驚くべきことに、本発明者らは、中間分子量を持つ成膜ポリマーを選択することによって植物抽出物が口腔内崩壊フィルムにて最適に製剤化され得ることを見いだした。特に、選択された数平均分子量(Mn)を持つ成膜ポリマーを用いることによって、好ましくは選択された数平均分子量(Mn)と選択された重量平均分子量(Mw)の双方を持つ成膜ポリマーを用いることによって植物抽出物が製剤化されてもよい。選択された数平均分子量(Mn)を有する、好ましくは選択された数平均分子量(Mn)と選択された重量平均分子量(Mw)の双方を有する成膜ポリマーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用する場合に最良の結果が得られる。
【0030】
従って、本発明は植物抽出物と、15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至るMnを有する成膜ポリマーとを含む口腔内崩壊フィルムである。好ましくは、成膜ポリマーは20000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至るMnを有し;さらに好ましくは成膜ポリマーは23000Da(g/モル)から27000Da(g/モル)までに至るMnを有する。
【0031】
本発明の成膜ポリマーは好ましくは32000Da(g/モル)から80000Da(g/モル)までに至る重量平均分子量(Mw)を有する。さらに好ましくは成膜ポリマーは40000Da(g/モル)から80000Da(g/モル)までに至るMwを有する。さらに一層好ましくは成膜ポリマーは50000Da(g/モル)から70000Da(g/モル)までに至るMwを有する。最も好ましくは成膜ポリマーは23000Da(g/モル)から27000Da(g/モル)までに至るMnと50000Da(g/モル)から70000Da(g/モル)までに至るMwとを有する。
【0032】
本発明に係る成膜ポリマーは、植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムの調製に最適な粘度を成膜懸濁液に付与することが見いだされている。
【0033】
成膜ポリマーの数平均分子量「Mn」及び重量平均分子量「Mw」は文献情報源:C.M.Keary,Carbohydrate Polymers,45,(2001),293−303に従って決定される。
特に以下のセットアップ及び設定が採用される:
【数1】
【0034】
第1の態様:口腔内崩壊フィルム
第1の態様では、本発明は、
(a)植物抽出物と
(b)成膜ポリマーが15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至る数平均分子量(Mn)を有する成膜ポリマーと
を含む口腔内崩壊フィルムを提供する。
【0035】
好ましくは、本発明に係る成膜ポリマーは20000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)までに至るMnを有し;さらに好ましくは成膜ポリマーは23000Da(g/モル)から27000Da(g/モル)までに至るMnを有し;さらに一層好ましくは成膜ポリマーは25000Da(g/モル)から26000Da(g/モル)までに至るMnを有する。
【0036】
成膜フィルムは好ましくは32000Da(g/モル)から80000Da(g/モル)までに至る重量平均分子量(Mw)を有し;好ましくは成膜ポリマーは40000Da(g/モル)から80000Da(g/モル)までに至るMwを有し;さらに好ましくは成膜ポリマーは50000Da(g/モル)から70000Da(g/モル)までに至るMwを有し;さらに一層好ましくは成膜ポリマーは55000Da(g/モル)から65000Da(g/モル)までに至るMwを有する。
【0037】
MnとMwの値がそれぞれ30000Da(g/モル)のMn値と80000(g/モル)のMw値を超える場合、口腔内崩壊フィルムは不十分な引きはがし特性を有し、プロセスライナーから取り外せないことが分かっている。それに対して、Mnと任意でMwの値が15000Da(g/モル)のMn及び32000Da(g/モル)のMwより小さければ、得られる口腔内崩壊フィルムは壊れやすく、弾性及び機械的強度を欠く。
【0038】
使用することができる成膜ポリマーは、セルロース、セルロースエステル(たとえば、セルロースアセテート)、セルロースエーテル(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース)、酸化ポリエチレン、ポリビニルピロリドン(たとえば、PVP K−90)、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン、修飾デンプン、ゼラチン、ペクチン、アルギネート、及びそれらの組み合わせであり、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセルE15LVのようなHPMC)であることが分かっている。これらのポリマーは既存であり、広い範囲のMn値及びMw値で市販されている。本発明に係るポリマーは本発明の文脈にて上記で開示されたようなMn値及び任意でMw値を有する。
【0039】
たとえば、市販のHPMCである「メトセルE15LV」はMn=25000Da(g/モル)及びMW=60000Da(g/モル)を有し、本発明に係る植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムを調製するための優れた成膜ポリマーである。Mn=25000Da(g/モル)及びMW=60000Da(g/モル)を有するHPMCは本発明に係る好まれる成膜ポリマーである。
【0040】
有利には、口腔内崩壊フィルムにおける成膜ポリマーの重量百分率(口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づく)は、5から40重量%までに至り、好ましくは10から30重量%までに至り、さらに好ましくは15から25重量%までに至り、さらに一層好ましくは19から21重量%までに至る。
【0041】
微細結晶性セルロース(MCC)の添加によって本発明の口腔内崩壊フィルムの引きはがし特性がさらに最適化される。植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムは口腔内崩壊フィルムが加工できないことを生じる過剰な粘着性を示すことがある。この欠点は乾燥植物抽出物が使用されるとき特に顕著である。これとは対照的に、さらにMCCを含む本発明の口腔内崩壊フィルムは、高い機械的強度、速い崩壊時間、非粘着特性及び良好な加工性を持つ口腔内崩壊フィルムを生じる。本発明者らは、関連する成膜ポリマーのMCCに対する最適な重量比が0.5:1から3.5:1までに、好ましくは1:1から3:1までに、さらに好ましくは1.5:1から2.5:1までに、さらに一層好ましくは1.5:1から2:1までに至ることを見いだした。
【0042】
好ましくは、本発明に係る成膜ポリマー「HPMC」及びMCCは上記で示した比で使用される。
【0043】
本発明によれば、口腔内崩壊フィルムは好ましくは可塑剤をさらに含む。可塑剤は口腔内崩壊フィルムの脆弱性をさらに軽減し、その柔軟性を高めるのに役立つ。口腔内崩壊フィルムを調製する目的に好適などんな可塑剤も使用することができる。好適な実施形態では、可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、及びそれらの組み合わせから選択することができる。プロピレングリコールまたはグリセロールの使用が特に好ましい。グリセロールは最も好ましい可塑剤である。
【0044】
本発明の口腔内崩壊フィルムは場合により2.5〜20重量%の可塑剤を含み、好ましくは口腔内崩壊フィルムは5〜20重量%の可塑剤を含み、さらに好ましくは口腔内崩壊フィルムは7.5〜15重量%の可塑剤を含み、さらに一層好ましくは口腔内崩壊フィルムは10〜15重量%の可塑剤を含む。
【0045】
本発明者らは、可塑剤がMCCと一緒に粘着性を減らし、口腔内崩壊フィルムのプロセスライナーからの再剥離性を改善するのに寄与することを見いだしている。本発明者らは微細結晶性セルロースの可塑剤に対する最適な重量比が0.5:1から2:1までに、好ましくは0.8:1から1.2:1までに至り、さらに好ましくは1:1であることを見いだしている。
【0046】
本発明に係る口腔内崩壊フィルムは植物抽出物を含む。植物抽出物の用語は本明細書で使用されるとき、蒸発させられる好適な溶媒と共に活性のある構成成分を取り出すことによって得られる植物または植物の一部の「濃縮された医薬品」を意味する。次いで残留物を処方された標準に調整する。次いで植物抽出物は油の形態、濃縮された溶液の形態、乾燥形態等で調製することができる。乾燥抽出物は乾燥質量にまで蒸発させる植物物質の抽出物である。
【0047】
本発明に従って製剤化される植物抽出物は、濃縮された溶液の形態、または、たとえば、粉末の形態のような乾燥形態である。好ましくは、それらは乾燥抽出物の形態である。本発明に係る植物抽出物は植物薬であり、すなわち、それらは1以上の治療上のまたは予防上の適応を有する。治療上のまたは予防上の適応を有する植物抽出物は一般に知られている。
【0048】
好ましくは、本発明の植物抽出物は呼吸器疾患の治療に有用である。本発明における呼吸器疾患は、たとえば、平滑筋の弛緩が所望される呼吸器疾患である。本発明における呼吸器疾患は、たとえば、風邪、インフルエンザ、肺炎、気管炎、気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、慢性または急性の気管支収縮、喘鳴性乳児症候群、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍及び肺組織球増殖症等である。
【0049】
呼吸器疾患の治療に有用な本発明に係る植物抽出物は、たとえば、ツタ抽出物、好ましくは、セイヨウキヅタ(Hedera helix)の葉乾燥抽出物、オウレン(Coptidis rhizoma)抽出物、カウスリップ(Primula veris)抽出物、黄花ユキワリソウ(Primula elatior)抽出物、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)抽出物またはそれらの混合物である。
【0050】
たとえば、セイヨウキヅタ(Hedera helix)抽出物、オカメヅタ(Hedera algeriensis)抽出物、ヘデラ・アゾリカ(Hedera azorica)抽出物、カナリーキヅタ(Hedera canariensis)抽出物、コルシカキヅタ(Hedera colchica)抽出物、ヘデラベリー(Hedera hibernica)抽出物、ヘデラ・マデレンシス(Hedera maderensis)抽出物、ヘデラ・ネパレンシス(Hedera nepalensis)抽出物、ヘデラ・パスツチョヴィ(Hedera pastuchowii)抽出物、キヅタ(Hedera rhombea)抽出物のような種々のツタからツタ抽出物が選択される。セイヨウキヅタ(Hedera helix)抽出物が本発明に係る好ましい抽出物である。
【0051】
本発明の口腔内崩壊フィルムにおける植物抽出物の含量は、懸濁液または口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に対して25から50重量%に、好ましくは30重量%から45重量%に、さらに一層好ましくは35重量%から40重量%にまで至る。
【0052】
本発明に係る口腔内崩壊フィルムは好ましくは
それぞれ、口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づいた重量%で
(1)25〜50重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)10〜30重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)2.5〜20重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)2.5〜20重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で3〜10重量%の希釈剤、好ましくはマルトデキストリンとを含む。
【0053】
本発明に係る口腔内崩壊フィルムはさらに好ましくは、
それぞれ、口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づいた重量%で
(1)30〜45重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)15〜25重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)7.5〜15重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)7.5〜15重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で5〜8重量%の希釈剤、好ましくはマルトデキストリンとを含む。
【0054】
本発明に係る口腔内崩壊フィルムはさらに一層好ましくは、
(1)35〜40重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)17〜23重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)8.5〜12重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)8.5〜12重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で5〜6.5重量%の希釈剤、好ましくはマルトデキストリンとを含む。
【0055】
さらに、本発明の口腔内崩壊フィルムは、湿潤剤、風味剤、味覚マスキング剤、保存剤、甘味剤、着色剤から選択される少なくとも1つの賦形剤を含んでもよい。これらの追加の賦形剤の量は、その都度上記重量百分率に基づいて調整して口腔内崩壊フィルムの乾燥重量の合計100重量%を達成する。
【0056】
本発明の好まれる口腔内崩壊フィルムの1つは、
口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づいて
(a)35〜40重量%(たとえば、37.5重量%)のセイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(b)19〜21重量%(たとえば、20重量%)の、本発明に従うMw及びMnの値を有する、好ましくはMn=25000Da(g/モル)及びMw=60000Da(g/モル)を有するHPMCと、
(c)10〜15重量%(たとえば、11重量%)のMCCと、
(d)10〜15重量%(たとえば、12.5重量%)のグリセロールと
(e)5〜7.5重量%(たとえば、5.5重量%)のマルトデキストリンとを含む。それはさらに酸化チタン、スクラロース及び香味料を含んでもよい。
【0057】
本発明の好まれる口腔内崩壊フィルムの1つは、
口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に基づいて
(a)37.5重量%のセイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(b)20重量%の、本発明に従うMw及びMnの値を有する、好ましくはMn=25000Da(g/モル)及びMw=60000Da(g/モル)を有するHPMCと、
(c)11重量%のMCCと、
(d)12.5重量%のグリセロールと
(e)5.5重量%のマルトデキストリンとを含む。それはさらに酸化チタン、スクラロース及び香味料を含んでもよい。
【0058】
通常、口腔内崩壊フィルムは、70から100g/mに至る重量を有し、好ましくはそれは80g/mである。
【0059】
崩壊時間
本発明の口腔内崩壊フィルムは患者の口腔にて迅速に崩壊する。崩壊時間は好ましくは100秒未満、さらに好ましくは60秒未満、さらに一層好ましくは20秒未満である。崩壊時間は実施例の文脈にて以下で記載されているように決定される。
【0060】
驚くべきことに、上記で開示されたような中間分子量のMn及びMwを有する本発明の成膜ポリマーは崩壊時間を減らすことによって口腔におけるフィルムの崩壊を改善することが本発明者らによって見いだされている。本発明の上記Mn値及びMw値を有する成膜ポリマーによって成膜溶液及び口腔内崩壊フィルムに付与される最適な粘度が本発明の口腔内崩壊フィルムによって達成される最適な崩壊時間についての理由の1つであると考えられる。
厚さ
本発明の口腔内崩壊フィルムは、50μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μm、さらに好ましくは140μm〜180μmに至る乾燥フィルム厚を有する。言及された制限内での及びそれを含む乾燥フィルム厚は口腔内でのフィルムの迅速な崩壊を保証する。これは植物抽出物が患者によって完全に吸収されることを保証する。さらに、言及された制限内での及びそれを含む乾燥フィルム厚は患者のコンプライアンスにとって重要である心地よい口の感覚を保証する。また、薄い層厚または厚い層厚を伴うフィルムは、特定の要件について提供されることができ、これらも同様に本発明に包含される。
【0061】
本発明の成膜ポリマーの使用は、薄いけれども良好な機械的強度を伴う口腔内崩壊フィルムを得ることを可能にすることが観察されている。フィルム製造における課題の1つは引きはがしの間にフィルムが損傷される傾向があることである。フィルムが厚ければこの課題による影響は少ない。しかしながら、厚いフィルムは長い崩壊時間を有し、一般に患者のコンプライアンスに関してあまり有益ではない。本発明者らは、30000Da(g/モル)を上回るMnを有する成膜ポリマーで調製された厚いフィルムは粘着性のフィルムを生じることを見いだしている。代わりに、本発明の成膜ポリマーは、単独でまたはMCCと一緒に、好ましくは成膜ポリマーのMCCに対する上述の比で使用されると、さらに一層好ましくは成膜ポリマーの可塑剤に対する上述の比で使用されると粘着性の課題を解決し、膜厚要件と引きはがしの完全性との間で最適なバランスを提供する。
【0062】
追加の賦形剤
本発明の口腔内崩壊フィルムはさらに、湿潤剤、風味剤、味覚マスキング剤、保存剤、甘味剤、着色剤及び充填剤から選択される1以上の賦形剤を含んでもよい。これらは、以下の節:「追加の薬学上許容される賦形剤」にて詳細に開示される。
【0063】
第2の態様:成膜性懸濁液
第2の態様では、本発明は、
(a)植物抽出物と、
(b)成膜ポリマーが15000Da(g/モル)から30000Da(g/モル)に至る数平均分子量(Mn)を有する成膜ポリマーと、
(c)溶媒または溶媒の混合物と
を含む成膜懸濁液を指向する。
【0064】
本明細書にて開示されている成膜懸濁液は第1の態様にて上記で開示された口腔内崩壊フィルムの同じ成分を有する。これは、本発明の口腔内崩壊フィルムが本発明の第2の態様の成膜懸濁液から出発して調製することができ、同じ成分を含有するからである。従って、口腔内崩壊フィルムと成膜懸濁液との間での差異は溶媒である。
【0065】
植物抽出物
植物抽出物は好ましくは本発明の第1の態様及びその実施形態にて上記で開示されたとおりである。
【0066】
本発明の成膜懸濁液における植物抽出物の含量は好ましくは、懸濁液の乾燥重量に対して25〜50重量%、好ましくは30〜45重量%、さらに一層好ましくは35〜40重量%である。
【0067】
溶媒
本発明に係る好適な溶媒は、水、(C〜C)アルコールまたはアセトンである。水は単独の溶媒として存在してもよいし、または(C〜C)アルコールまたはアセトンから選択される1以上の溶媒との混合物で存在してもよい。本発明の文脈での溶媒の混合物は「溶媒系」と呼ばれてもよい。
【0068】
好ましくは、溶媒系を用いて本発明の成膜懸濁液を調製する。溶媒系の(水に加えて)好まれる溶媒はエタノールまたはイソプロパノールであり;従って、溶媒系は好ましくは、(1)水とエタノールまたは(2)水とイソプロパノールの混合物である。さらに一層好ましくは、溶媒系は水とエタノールの混合物である。
【0069】
溶媒系における水以外の溶媒の量は、溶媒系の0%(v/v)〜65%(v/v)、好ましくは20%(v/v)〜40%(v/v)、さらに一層好ましくは25%(v/v)〜35%(v/v)である。従って、水/エタノールの好まれる溶媒系では、エタノールの量は0%(v/v)〜65%(v/v)、好ましくは20%(v/v)〜40%(v/v)、さらに一層好ましくは25%(v/v)〜35%(v/v)である。
【0070】
アセトンも溶媒系に存在することができる。この場合、アセトンは好ましくは溶媒系の5%(v/v)を超えない。
【0071】
百分率の量は溶媒系を参照する。
【0072】
粘度
本発明の成膜懸濁液は好ましくは25℃にて1000mPa・s〜5000mPa・s、さらに好ましくは2000mPa・s〜4000mPa・s、さらに一層好ましくは2500mPa・s〜3500mPa・sの粘度(動的粘度)(Ph.Eur.7.0の2.2.10章に従って1/100秒の剪断速度にてコーンプレート粘度計によって測定される)を有する。沈殿の問題がない安定な懸濁液を得るには高い粘度の成膜懸濁液が一般に好ましい。一方、本発明の植物抽出物と併せると、高粘度の懸濁液は粘着性のフィルムを生じるであろう。本発明の好適なMnを有し、任意で本発明のMw値も有する成膜ポリマーの使用は最適な粘度の懸濁液を可能にする。低粘度の懸濁液を有利に使用することができるので、粘着性に関連する上述の課題は本発明の成膜懸濁液によって回避される。
【0073】
追加の賦形剤
本発明の成膜懸濁液はさらに、湿潤剤、風味剤、味覚マスキング剤、保存剤、甘味剤、着色剤及び充填剤から選択される1以上の成分を含んでもよい。これらは、以下の節:「追加の薬学上許容される賦形剤」にて詳細に開示される。
【0074】
成膜懸濁液の組成
本発明に係る成膜懸濁液は好ましくは
(1)25〜50重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)10〜30重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)2.5〜20重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)2.5〜20重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で3〜10重量%の希釈剤、好ましくはマルトデキストリンと
(6)上記で開示されたような溶媒または溶媒の混合物、好ましくは水とエタノールの混合物とを含み、
その際、重量%は成膜懸濁液の乾燥重量に基づく。
【0075】
本発明に係る成膜懸濁液はさらに好ましくは
(1)30〜45重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)15〜25重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)7.5〜15重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)7.5〜15重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で5〜8重量%のマルトデキストリンと
(6)上記で開示されたような溶媒または溶媒の混合物、好ましくは水とエタノールの混合物とを含み、
その際、重量%は成膜懸濁液の乾燥重量に基づく。
【0076】
本発明に係る成膜懸濁液はさらに一層好ましくは
成膜懸濁液の乾燥重量に基づいて
(1)35〜40重量%の植物抽出物、たとえば、セイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(2)17〜23重量%の本発明の成膜ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、
(3)8.5〜12重量%の微細結晶性セルロースと、
(4)8.5〜12重量%の可塑剤、好ましくはグリセロールと、
(5)任意で5〜6.5重量%の希釈剤、好ましくはマルトデキストリンと
(6)上記で開示されたような溶媒または溶媒の混合物、好ましくは水とエタノールの混合物とを含む。
【0077】
さらに、本発明の成膜懸濁液は、湿潤剤、風味剤、味覚マスキング剤、保存剤、甘味剤、着色剤から選択される少なくとも1つの追加の賦形剤を含んでもよい。これらの追加の賦形剤の量はその都度上記の重量百分率に基づいて調整される。
【0078】
百分率の量は成膜懸濁液の乾燥重量を参照する。さらに、懸濁液は水または溶媒系を含む。好適な溶媒系は、水/エタノール溶媒系及び水/イソプロパノール溶媒系であり;さらに一層好まれるのは水/エタノール溶媒系である。好ましくは、溶媒系における水以外の溶媒の量は、溶媒系の0%(v/v)〜65%(v/v)、好ましくは20%(v/v)〜40%(v/v)、さらに一層好ましくは25%(v/v)〜35%(v/v)である。従って、水/エタノールの好まれる溶媒系では、エタノールの量は0%(v/v)〜65%(v/v)、好ましくは20%(v/v)〜40%(v/v)、さらに一層好ましくは25%(v/v)〜35%(v/v)である。百分率の量は溶媒系を参照する。
【0079】
本発明の好まれる成膜懸濁液の1つは、
(a)35〜40重量%(たとえば、37.5重量%)のセイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(b)19〜21重量%(たとえば、20重量%)の、本発明に従うMw及びMnの値を有する、好ましくはMn=25000Da(g/モル)及びMw=60000Da(g/モル)を有するHPMCと、
(c)10〜15重量%(たとえば、11重量%)のMCCと、
(d)10〜15重量%(たとえば、12.5重量%)のグリセロールと
(e)5〜7.5重量%(たとえば、5.5重量%)のマルトデキストリンと
(f)水と、
(g)エタノールとを含む。
百分率は口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に関する(水及びエタノールは重量百分率では勘定に入れない)。それはさらに酸化チタン、スクラロース及び香味料の1以上を含んでもよい。
【0080】
本発明の好まれる成膜懸濁液の1つは、
(a)たとえば、37.5重量%のセイヨウキヅタの葉乾燥抽出物と、
(b)20重量%の、本発明に従うMw及びMnの値を有する、好ましくはMn=25000Da(g/モル)及びMw=60000Da(g/モル)を有するHPMCと、
(c)11重量%のMCCと、
(d)12.5重量%のグリセロールと
(e)5.5重量%のマルトデキストリンと
(f)水と、
(g)エタノールとを含む。百分率は口腔内崩壊フィルムの乾燥重量に関する(水及びエタノールは重量百分率では勘定に入れない)。それはさらに酸化チタン、スクラロース及び香味料の1以上を含んでもよい。
【0081】
第3の態様:口腔内崩壊フィルム
第3の態様では、本発明は、成膜懸濁液の溶媒を蒸発させることによって入手できる口腔内崩壊フィルムであり、その際、
成膜懸濁液は1000〜5000mPa・sに至る、好ましくは2000m〜4000mPa・sに至る、さらに好ましくは2500〜3500mPa・sに至る粘度を有し、
成膜懸濁液は植物抽出物と成膜ポリマーとを含む。
【0082】
好ましくは、植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムを調製するのに使用される成膜懸濁液は、25℃にて1000mPa・s〜5000mPa・s、さらに好ましくは2000mPa・s〜4000mPa・s、さらに一層好ましくは2500mPa・s〜3500mPa・sの粘度(動的粘度)(Ph.Eur.7.0の2.2.10章に従って1/100秒の剪断速度にてコーンプレート粘度計によって測定される)を有する。沈殿の問題がない安定な懸濁液を得るには高い粘度の成膜懸濁液が一般に好ましい。その一方で、粘度の高い懸濁液は不均質で粘着性のフィルムを生じるであろう。上記の粘度を有する成膜懸濁液は、優れた引きはがし特性を持つ植物抽出物を含む口腔内崩壊フィルムを得ることと崩壊時間とについて最適なバランスを提供することが本発明者らによって見出されている。
【0083】
第3の態様に係る口腔内崩壊フィルムは、たとえば、成膜懸濁液から口腔内崩壊フィルムを調製するための一般的な方法及び既知の方法に従って本発明の第2の態様及びその実施形態にて開示されているような成膜懸濁液を用いて調製される。従って、たとえば、本発明の口腔内崩壊フィルムは、成膜懸濁液を乾燥させることを含む方法にて本発明の第2の態様及びその実施形態に係る成膜懸濁液から得られる。
【0084】
所望の粘度を提供するのに好適などんな成膜ポリマーを用いても本発明の第3の態様に係る口腔内崩壊フィルムを製造することができる。本発明の第3の態様に従って使用することができる成膜ポリマーは、セルロース、セルロースエステル(たとえば、セルロースアセテート)、セルロースエーテル(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース)、酸化ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン(たとえば、PVP K−90)、ポリビニルアルコール、プルラン、デンプン、修飾デンプン、ゼラチン、ペクチン、アルギネート及びそれらの組み合わせであり、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセルE15LVのようなHPMC)である。
【0085】
第4の態様:薬物
第4の態様では、本発明は、薬物として使用するための、第1の態様及びその実施形態にてならびに第3態様及びその実施形態にて定義されたような本発明の口腔内崩壊フィルムである。
【0086】
第5の態様:医療用途
第5の態様では、本発明は呼吸器疾患を予防することまたは治療することにおいて使用するための、第1の態様及び第3の態様の口腔内崩壊フィルムである。
【0087】
本発明に係る呼吸器疾患は、たとえば、平滑筋の弛緩が所望される呼吸器疾患である。
【0088】
呼吸器疾患は、たとえば、風邪、インフルエンザ、肺炎、気管炎、気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、喘息、慢性または急性の気管支収縮、喘鳴性乳児症候群、慢性閉塞性肺疾患、気管支腺腫、孤立性肺結節、肺結核、膿胸、肺膿瘍及び肺組織球増殖症である。
【0089】
第6の態様:口腔内崩壊フィルムを調製する方法
第6の態様では、本発明は、
(a)本発明の第2の態様及びその実施形態にて上記で定義されたような成膜懸濁液を調製することと、
(b)該懸濁液を乾燥させて口腔内崩壊フィルムを形成することと、を含む
口腔内崩壊フィルムを調製する方法を提供する。
【0090】
一般に、懸濁液をホイル(キャリアライナー)上に均質に広げ、乾燥させる。所望であれば、第2のホイル(裏当てホイル)を上に積層してフィルムを保護することができる。ホイル(単数)またはホイル(複数)はその後取り外すことができる。
【0091】
好ましくは、フィルムの乾燥は熱の適用によって行われる。熱の適用は、たとえば、熱風送風機によって行うことができる。当然、オーブンで、加熱した表面で、または匹敵する乾燥装置でフィルムを乾燥させる可能性もある。フィルムは好ましくは15〜30分間、さらに好ましくは15〜20分間乾燥させる。乾燥温度は好ましくは40℃から70℃に及んでもよい。
【0092】
乾燥した後、こうして形成されたフィルムを単回投与量単位を表す最終形態、たとえば、円形、丸い形状、長円形、楕円形、三角形、長方形、四角形または多角形に切断することができる。好ましくは、切断されたフィルムは1cm〜8cmのサイズを有する。
【0093】
第7の態様:成膜懸濁液を調製する方法
第7の態様では、本発明は、本発明の第2の態様及びその実施形態にて定義されたような成膜懸濁液を調製する方法である。
【0094】
方法は、(a)植物抽出物と、(b)水または水と(C〜C)アルコール、アセトン及びそれらの混合物から選択される溶媒との混合物と、(c)本発明の成膜ポリマーとを混合することを含む。本発明における成膜ポリマーをすでに含有する水または溶媒系に植物抽出物を加えることができる。或いは、植物抽出物を水または溶媒系に加えた後に本発明における成膜ポリマーを加えることができる。さらなる選択肢では、植物抽出物及び成膜ポリマーを水または溶媒系に同時に加えることができる。
【0095】
植物抽出物の前に、その後に、またはそれと同時に、さらなる物質を懸濁液の溶媒または溶媒混合物に加えることができる。追加の成膜剤、香味料、甘味料及び/または可塑剤を、たとえば、植物抽出物の添加に先立って溶媒または溶媒混合物に溶解することができ、または分散することができる。次いでこうして得られた混合物を懸濁液用の溶媒として使用することができる。当然、さらなる物質は、後で、たとえば、植物抽出物の添加の後で懸濁液に加えられてもよい。
【0096】
第8の態様:包装物
第8の態様では、本発明は、第1の態様及びその実施形態にて並びに第3の態様及びその実施形態にて定義されたような本発明の口腔内崩壊フィルムを含む包装物である。経口フィルムに使用される包装材は、たとえば、好ましくはアルミニウムのバリア層と熱封止層とを有してもよい柔軟な多層ホイルから作られる小袋である。
【0097】
追加の薬学上許容される賦形剤
本発明の口腔内崩壊フィルム及び本発明の成膜懸濁液はさらに、湿潤剤、風味剤、味覚マスキング剤、保存剤、甘味剤、着色剤及び充填剤から選択される1以上の追加の成分を含んでもよい。
【0098】
(a)湿潤剤
湿潤剤は、本発明の口腔内崩壊フィルム及び成膜懸濁液に存在してもよい。湿潤剤は剤形にて水分を保持するのに有用である。フィルムに残る特定量の水分(0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%)は弾性を考慮すると好ましく、それは、製品の加工及び患者による取り扱いを円滑にする。フィルムにて水分を保持する目的で好適などんな湿潤剤も本発明で熟考される。好適な湿潤剤には、糖アルコール、たとえば、ソルビトール及びキシリトールが挙げられる。湿潤剤の百分率量は、存在する場合、0.5〜10重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲である。重量百分率はフィルムまたは懸濁液の乾燥重量を参照する。
【0099】
(b)味覚マスキング剤、風味剤及び甘味剤
味覚マスキング剤は、苦みまたはさもなければ不愉快な味を伴う植物抽出物にとって有利である。風味剤は任意で本発明の口腔内崩壊フィルム及び懸濁液のさらなる成分である。多量の風味剤が乾燥の間に失われてもよいが、普通、液状の風味剤が使用される。風味剤が採用される場合、本発明の口腔内崩壊フィルムまたは成膜懸濁液における比率は、組成物の乾燥重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7.5重量%である。ペパーミント油、ペパーミント風味剤、メントール及び/またはレボメントールは本発明における風味剤である。代わりにまたはさらに、新鮮な酸っぱい味の風味剤、特にキイチゴ風味、グレープフルーツ風味、レモン風味及び/またはオレンジ風味を持つ風味剤が存在することができる。従って、口腔内崩壊フィルムの味及び摂取の後生じる味覚を患者にとってさらに心地良くすることができる。前述の風味剤またはそれらの組み合わせに加えて、風味剤は、甘いナッツ味の風味剤、特にナッツ味、チョコレート味、シナモン味またはスパイス味等を生じる風味剤から選択することもできる。当然、前述のものの前に記載されたような風味剤との混合物を使用する可能性もある。言及された風味剤に加えて、他のどんな好適な風味剤も使用して各組成物の風味を決定し、または定義し、それによって患者のコンプライアンスを高めることができる。
【0100】
さらなる系を味覚受容体競合体(たとえば、塩化ナトリウム)としてまたは苦みマスキング物質として使用してもよい。イオン交換樹脂(たとえば、アンバーライト型)も使用されてもよい。
【0101】
さらにまたは代わりに、甘味剤を使用することができる。甘味剤は味覚のマスキングを支えてもよいし、フィルムの受容性を高めてもよい。甘味剤は、単糖類、二糖類、多糖類、スクラロース、ネオテーム、アリテーム、シクラメート、ソルビトール、キシリトール、サッカリン、アスパルテーム及び前述の混合物から選択することができる。通常使用することができる合成甘味剤はスクラロース、アスパルテーム及びサッカリンである。甘味剤が使用される場合、その比率はフィルムまたは懸濁液の乾燥重量に対して望ましくは0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜2重量%である。
【0102】
(c)充填剤
さらに、充填剤、たとえば、ラクトース、マンニトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、及びそれらの混合物が本発明の口腔内崩壊フィルムまたは成膜懸濁液にて存在してもよい。一般に、植物抽出物が少量でフィルムまたは懸濁液に存在する場合、充填剤を使用してもよい。
【0103】
(d)着色剤
さらに、着色剤が本発明のフィルム及び懸濁液に存在してもよい。酸化チタンまたは酸化鉄が好ましくは使用されてもよい。
【実施例】
【0104】
実施例1
227.6gの水/エタノール溶媒系(30%v/vエタノール)を37.5gのセイヨウキヅタ(Hedera helix)乾燥葉抽出物と1分当たり200回の回転(rpm)で10分間撹拌することによって成膜懸濁液を調製した。20gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセルE15V)を加え、さらに2分間撹拌した。撹拌しながら、12.5gのグリセロール85%と、11gの微細結晶性セルロースと、5.5gのマルトデキストリンと、1gのスクラロースと、7.5gのキイチゴ風味剤と、5gの二酸化チタンをゆっくり加えた。懸濁液の撹拌を2時間継続した。懸濁液をポリエチレンテレフタレート(PET)のホイルに流し込んだ。得られた薄板を50℃で15分間乾燥させた。乾燥の後、フィルムを2cm四方に切断し、ホイルを取り除き、フィルムを小袋に包装した。フィルムは、Ph.Eur.7.4の2.9.40章に従った含量均一性要件を満たした。加えて、得られたフィルムの引きはがし特性は優れていたし、フィルムは弾性があり、粘着性ではなく、損傷することなく容易にホイルから取り外された。崩壊時間は20秒未満だった。
【0105】
【表1】
【0106】
比較の実施例2
実施例2の懸濁液及びフィルムは実施例1の手順に従って調製した。メトセルE15LVの代わりにメトロース60SH−50を使用した。
【0107】
【表2】
【0108】
得られたフィルムがプロセスライナーから取り外せなかったのでフィルムの引きはがし特性は不十分だった。
【0109】
比較の実施例3
実施例3の懸濁液及びフィルムは実施例1の手順に従って調製した。本発明のHPMCに関してさらに低いMn及びMwを有するHPMCを使用した。その組成及び量を表3にて報告する。得られたフィルムは不十分な機械的強度を有し、脆さを示した。プロセスライナーから外す際、それは粉々になった。
【0110】
【表3】
【0111】
含量均一性
含量均一性は、Ph.Eur.7.4の2.9.40章に従って決定した。
【0112】
引きはがし接着試験
実施例1に従って作製された口腔内崩壊フィルムの引きはがし接着特性を比較の実施例2及び3の口腔内崩壊フィルムの引きはがし接着特性と比較した。試験は、(医療従事者または患者によって実施されるように)支持ホイルから口腔内崩壊フィルムを手で引きはがすことによって行った。口腔内崩壊フィルムが粉々にならずに支持ホイルから取り外すことができ、且つ支持ホイルから取り外した口腔内崩壊フィルムの重量が口腔内崩壊フィルムの計算された重量に比べて±5重量%の範囲内であるという条件で、試験にパスする。
【0113】
崩壊時間の測定
以下の試験手順を用いて、実施例1に従って作製された口腔内崩壊フィルムの崩壊時間を測定した。25℃の温度を有する脱塩水4mlでペトリ皿を満たし、暗所面に置いた。ピンセット1本で口腔内崩壊フィルムを小袋から取り出し、水面の中央に水平に置いた。フィルムが水に接触したら時間測定を開始する。フィルムの崩壊を視覚的に観察した。崩壊時間はフィルムがその中央部分で崩壊し始める時間である。