(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定部材により前記電子部品および前記基板の少なくとも一方に圧力が付与されると共に、前記余分圧力が前記可動部材によって逃がされることで、前記電子部品が前記基板に実装される、請求項1または2記載の電子部品実装装置。
前記固定部材は、前記電子部品もしくは前記基板を押すことで、前記電子部品および前記基板の少なくとも一方に圧力を付与できる、請求項1から3のいずれか記載の電子部品実装装置。
前記第2型枠は、前記固定部材に対応する位置に単数または複数の挿入孔を有し、前記単数または複数の可動部材のそれぞれは、前記挿入孔に挿入されて、前記第2型枠に対して位置を変化できる、請求項1から4のいずれか記載の電子部品実装装置。
前記複数の可動部材のそれぞれは、流体圧力、弾性圧力およびモータ駆動の少なくとも一つで可動状態を実現できる、請求項1から12のいずれか記載の電子部品実装装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の発明に係る電子部品実装装置は、単数または複数の固定部材を有する第1型枠と、
単数または複数の可動部材を有する第2型枠と、
第1型枠と第2型枠の間に、電子部品と基板を設置する設置部材と、
第1型枠と第2型枠の近接および離隔を制御する移動制御部と、を備え、
固定部材は、第1型枠に対して、その位置を固定しており、
可動部材は、第2型枠に対して、その位置を変化可能であり、
固定部材および可動部材のそれぞれの位置は、設置部材により設置される電子部品の位置に対応し、
移動制御部による近接により、固定部材は、電子部品および基板の少なくとも一方に圧力を付与し、可動部材は、固定部材が付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる。
【0027】
この構成により、圧力を加えて接着等による実装をする際に、過剰な圧力をかけて電子部品などを破損させることを防止できる。
【0028】
本発明の第2の発明に係る電子部品実装装置では、第1の発明に加えて、移動制御部は、第1型枠と第2型枠を近接させて、固定部材を電子部品もしくは基板に接触させることができ、
該接触により、固定部材は、電子部品および基板の少なくとも一方に圧力を加えることができる。
【0029】
この構成により、固定部材は、実装の為の圧力を付与できる。
【0030】
本発明の第3の発明に係る電子部品実装装置では、第1または第2の発明に加えて、固定部材により電子部品および電子基板の少なくとも一方に圧力が付与されると共に、余分圧力が可動部材によって逃がされることで、電子部品が基板に実装される。
【0031】
この構成により、実装に最適な圧力で実装される。また、余分圧力が無いので、電子部品の破損などが防止できる。
【0032】
本発明の第4の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、固定部材は、電子部品もしくは基板を押すことで、電子部品および基板の少なくとも一方に圧力を付与できる。
【0033】
この構成により、押圧での圧力付与が実現できる。
【0034】
本発明の第5の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、第2型枠は、固定部材に対応する位置に単数または複数の挿入孔を有し、単数または複数の可動部材のそれぞれは、挿入孔に挿入されて、第2型枠に対して位置を変化できる。
【0035】
この構成により、可動部材は、位置変化によって余分圧力を逃がすことができる。
【0036】
本発明の第6の発明に係る電子部品実装装置では、第5の発明に加えて、可動部材は、電子部品および基板を介して受ける、固定部材からの圧力により、挿入孔での位置を変化させる。
【0037】
この構成により、可動部材は余分圧力を逃がすことができる。
【0038】
本発明の第7の発明に係る電子部品実装装置では、第6の発明に加えて、可動部材は、挿入孔内部での位置を変化させることで、余分圧力を逃がす。
【0039】
この構成により、可動部材は余分圧力を逃がすことができる。
【0040】
本発明の第8の発明に係る電子部品実装装置では、第7の発明に加えて、可動部材は、挿入孔内部での位置変化量により、逃がす余分圧力の量を調整可能である。
【0041】
この構成により、可動部材は、可動量によって、余分圧力の違いを吸収できる。
【0042】
本発明の第9の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、固定部材、挿入孔、可動部材のそれぞれは、設置部材に設置される単数または複数の電子部品の数および位置に対応する。
【0043】
この構成により、電子部品を実装できる。
【0044】
本発明の第10の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、固定部材および電子部品との間に、シートが設置される。
【0045】
この構成により、電子部品への圧力付与の際の保護が可能となる。
【0046】
本発明の第11の発明に係る電子部品実装装置では、第10の発明に加えて、第1型枠と設置部材との間に、電子部品の外周を保持する中間型を更に備え、
中間型は、シートがはがされる際に、電子部品を保持した状態を維持可能である。
【0047】
この構成により、シートをはがす際に、電子部品が引っ張られるのを防止できる。
【0048】
本発明の第12の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、複数の可動部材のそれぞれは、個別にその可動状態を実現できる。
【0049】
この構成により、複数の電子部品のそれぞれでのばらつきにも最適に対応して実装できる。
【0050】
本発明の第13の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、複数の可動部材のそれぞれは、流体圧力、弾性圧力およびモータ駆動の少なくとも一つで可動状態を実現できる。
【0051】
この構成により、可動部材の可動が余分圧力を逃がすのに適している。
【0052】
本発明の第14の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第13のいずれかの発明に加えて、電子部品および基板の少なくとも一方に加わる圧力を検出する圧力検出部を更に備え、
可動部材は、圧力に基づいて、可動状態を変化させることが可能である。
【0053】
この構成により、実際に固定部材が加えている圧力から余分圧力を把握して、可動部材がこの余分圧力を逃がすことができる。結果として、実際に即した圧力の付与が実現できる。
【0054】
本発明の第15の発明に係る電子部品実装装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、複数の可動部材の可動量および可動速度の少なくとも一方を制御する可動部材制御部を更に備え、
可動部材制御部は、予め記憶された可動制御指示テーブルに基づいて、複数の可動部材のそれぞれに可動量、稼働時間および可動速度の少なくとも一方を制御できる。
【0055】
この構成により、実際の固定部材による圧力および圧力と余分圧力との相関関係に基づいて、実際に即した余分圧力を逃がすことができる。
【0056】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0057】
(電子基板への電子部品の実装)
本発明での基板への電子部品の実装について説明する。
図1は、電子部品が実装された基板の正面図である。
図2は、電子部品が実装された基板の側面図である。基板100は、リードフレーム、金属ベース、ヒートシンクや電子基板などであり、フレキシブル基板、テープ基板、シート基板なども含まれる。また単層、積層などの様々な構造をもっている。
【0058】
図1は、基板100を上から見た状態を示している。基板100に、単数または複数の電子部品200が実装される。
図1では、複数の電子部品200が実装されており、この状態のままで基板100が電子機器などに格納されてもよいし、電子部品200毎に分割されて使用されてもよい。
【0059】
図2に示されるように、電子部品200は、基板100に接着層210を介して実装される。接着層210は、接着剤などであり、接着剤の結合機能によって電子部品200が基板100に実装される。実装前は、接着剤が塗布等されており、これに実装のための圧力が加わって実装された後に、接着層210が形成される。
【0060】
本発明の電子部品実装装置は、
図1、
図2に示されるような実装を実現する。
【0061】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置のブロック図である。電子部品実装装置1は、
図1、
図2で説明した基板100への電子部品200の実装を実行する。
【0062】
電子部品実装装置1は、第1型枠2、第2型枠3、設置部材4、移動制御部5と、を備える。
【0063】
第1型枠2は、単数または複数の固定部材21を有する。固定部材21は、第1型枠2に対して固定された状態であり、第1型枠2との相対的な位置関係を変化させない。第1型枠2に対して、固定部材21は、位置を固定している。すなわち、固定部材21は、第1型枠2と共に位置を移動させる。また、後述するように、第1型枠2と第2型枠3との間隔が狭まることで、固定部材21は、第1型枠2と第2型枠3との間にある電子部品200および基板100の少なくとも一方に圧力を加える。
【0064】
第2型枠3は、第1型枠2と対になる部材である。
図3では、上に第1型枠2、下側に第2型枠3が示されているが、上下関係や左右関係は、これに限られるものではない。第2型枠3は、第1型枠2と対になっており、相互の相対的な位置関係を近づけることで、固定部材21による電子部品200等への圧力付与を実現する。
【0065】
第2型枠3は、単数または複数の可動部材31を有する。可動部材31は、第2型枠3に対してその位置を変化可能である。すなわち、第2型枠3が第1型枠2と近づいた際に、可動部材31は、電子部品200などとの接触状態によって、第2型枠3に対する位置を変化できる。
【0066】
図3に示されるように、可動部材31は、第2型枠3に設けられた凹部に挿入された状態であり、この凹部の中で移動することで位置変化の可動を行える。
【0067】
設置部材4は、第1型枠2と第2型枠3との間に、電子部品200と基板100を設置する。
図3に示されるように、設置部材4は、電子部品200と基板100とを挟み込んで設置する。基板100において実装すべき位置に、電子部品200を設置する。あるいは、電子部品200と基板100とが位置決めされて接着剤を介して位置固定される。この状態のものが設置部材4に載せられて、第1型枠2と第2型枠3との間に設置される。
【0068】
設置部材4が、基板100の実装すべき位置に電子部品200を設置して(あるいは、すでに基板100に位置固定された電子部品200が設置部材4に設置されて)、第1型枠2と第2型枠3との間に設置される。設置されたことで、第1型枠2と第2型枠3とによる圧力付与によって、電子部品200が実装される。このとき、電子部品200と基板100との間には、接着剤が塗布等されている。
【0069】
移動制御部5は、この圧力付与に係って、第1型枠2と第2型枠3との近接および離隔を制御する。移動制御部5は、第1型枠2および第2型枠3の少なくとも一方を移動させることで、第1型枠2と第2型枠3の近接および離隔を制御できる。
【0070】
ここで、固定部材21と可動部材31のそれぞれは、設置部材4によって設置される電子部品200の位置に対応する位置関係にある。すなわち、設置部材4によって設置される電子部品200に対して、固定部材21と可動部材31とは、相対する位置にある。
【0071】
移動制御部5は、第1型枠2と第2型枠3とを近接させる。この近接によって、固定部材21は、電子部品200および基板100の少なくとも一方に圧力を付与する。この圧力の付与によって、接着剤の働きで電子部品200は基板100に固定される。圧力付与の際において、可動部材31は、固定部材21が付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる。
【0072】
可動部材31が余分圧力を逃がすことによって、実装に必要な圧力のみが電子部品200および基板100に加わり、過剰な圧力が付与されない。この結果、従来技術のように、電子部品200や基板100の破損などが生じることが無い。
【0073】
また、複数の電子部品200を同時に実装する場合でも、電子部品200毎に、異なりうる余分圧力のそれぞれに対応して、可動部材31は逃がすことができる。結果として、高さや実装面にばらつきのある複数の電子部品200のそれぞれに対して、最適な圧力の付与が可能となる。過剰な圧力がかからず、破損などの防止ができる。また、可動部材31は、余分圧力を逃がすだけであるので、実装に必要な圧力は、それぞれの電子部品200で付与されて、実装も確実に行える。
なお、固定部材21、挿入孔32、可動部材31のそれぞれは、設置部材4に設置される電子部品200の数および位置に対応する位置である。
【0074】
(動作説明)
次に、動作説明を行う。
【0075】
(初期状態:
図3)
上述した
図3は初期状態を示している。初期状態においては、第1型枠2と第2型枠3とは離隔している。また、第1型枠2と第2型枠3との間に、設置部材4によって基板100と電子部品200とが設置されている。このとき、設置部材4によって、基板100の実装位置に、電子部品200がセットされており(あるいは、基板100の実装位置に電子部品200が接着剤で位置固定され、設置部材4がこれを第1型枠2と第2型枠3の間にセットされ)、電子部品200と基板100との間には接着剤などが塗布されている。
【0076】
また、必要に応じて、シート110がセットされてもよい。シート110は、固定部材21と電子部品200との間に挟まれるように設置される。後述するように、固定部材21は、電子部品200に圧力を加える(電子部品200と基板100との位置関係が
図3と上下逆であれば、固定部材21は、基板100に圧力を加える)。このとき、シート110が設置されていることで、圧力付与後に、固定部材21を離隔させることが容易となるからである。
シート110は可動部材31と基板100または電子部品200の間に設置しても良い。
【0077】
次から説明するように、移動制御部5は、第1型枠2と第2型枠3とを近接させる。この近接によって、固定部材21は、電子部品200および基板100の少なくとも一方に直接的あるいは間接的に接触できる。この接触によって、固定部材21は、電子部品200および基板100の少なくとも一方に圧力を付与することができる。
【0078】
固定部材21が、電子部品200および基板100を押すことで、圧力を付与できるからである。
【0079】
この圧力の付与によって、電子部品200が基板100に実装される。このとき、固定部材21からの圧力の内、実装において余分となる余分圧力を、可動部材31が逃がすことができる。可動部材31は、圧力付与方向に沿って移動可能であり、余分圧力は、この移動を生じさせる。
【0080】
この移動によって、結果的に余分圧力が逃がされることになる。余分圧力が逃がされれば、実装に必要となる圧力のみが残り、破損などを生じさせることなく、実装ができる。
【0081】
(設置部材の移動:
図4)
図4は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置のブロック図である。模式的に示している。
図3において示していた移動制御部5などの要素を同様に備えているが、図の見易さのために、これらを省略している。移動制御部5による動作は、
図4でも行われる。
【0082】
図4に示されるように、初期状態の後で、電子部品実装装置1は、設置部材4が下降して第2型枠3に近づく。設置部材4は、電子部品200と基板100とをセットしており、このセットされた電子部品200などが、第2型枠3に近づくことになる。
【0083】
設置部材4が第2型枠3に近づくことで、設置部材4に設置されている電子部品200と基板100とが可動部材31に近づく。更に近づくと、可動部材31に接触可能な状態となる。
図4は、この状態を示している。
【0084】
この接触可能な状態となることで、固定部材21からの圧力付与の際に、可動部材31が余分圧力を逃がすことができるようになる。
【0085】
ここで、電子部品実装装置1は、それぞれの要素を動作させる駆動部を備えており、この駆動部が設置部材4を移動させればよい。
【0086】
(中間型とシートの移動:
図5)
図5は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置のブロック図である。電子部品実装装置1において、中間型6とシート110が設置部材4に近づくように移動される。中間型6とシート110とが下降して、設置部材4に近づいてもよいし、第2型枠3が上昇して、設置部材4を中間型6などに近づけてもよい。
【0087】
中間型6とシート110が設置部材4に近づくことで、中間型6は、電子部品200に近づく。シート110も同様である。シート110は、上述したように、固定部材21と電子部品200との間に設置される。中間型6も同様である。
【0088】
中間型6は、固定部材21による圧力付与の過程で、電子部品200の外周を保持する部材である。固定部材21による圧力付与が行われている際に、電子部品200はシート110と接触する。シート110は、電子部品200に固定部材21が接触することに伴い、固定部材21からの保護を行う。
【0089】
圧力の付与が終わり、固定部材21が電子部品200から離隔する際に、シート110が電子部品200からはがされる。このとき、シート110と電子部品200とは、固定部材21からの圧力を受けているので、シート110は電子部品200に張り付いたようになっている。
【0090】
この状態でシート110がはがされると、電子部品200がシート110に引っ張られてしまう問題がある。中間型6は、固定部材21による圧力付与の際に、電子部品200の外周を囲んで保持する。この保持によって、シート110が外される場合でもシート110に電子部品200が引っ張られてしまう問題が軽減できる。
【0091】
図5の段階では、この中間型6とシート110とが電子部品200に接触するように近づく。この状態が用意されていることで、実装後における後処理における種々の問題を軽減できる。
【0092】
(第1型枠2と第2型枠3との近接:
図6)
図6は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置のブロック図である。
図6は、第1型枠2と第2型枠3とが近接した状態を示している。ここでは、一例として移動制御部5が、第2型枠3を上昇させて、第1型枠2と第2型枠3とを近接させている。
【0093】
第1型枠2と第2型枠3とが近接すると、固定部材21がシート110を介して、電子部品200に接触できる状態が生まれる。この接触状態によって、固定部材21が、電子部品200および基板100の少なくとも一方に圧力を付与できるようになる。
【0094】
また、
図6に示されるように固定部材21が中間型6において電子部品200に対応する部分の開口部に入り込む。この入り込みによって、中間型6の開口部に入り込んで、電子部品200に圧力を加えることができるようになる。
【0095】
また、固定部材21の接触に伴い、シート110も押し込まれる。固定部材21、中間型6および電子部品200の外形にならって、シート110が電子部品200の表面に密着する。このシート110によって、固定部材21から電子部品200を保護することができる。
【0096】
移動制御部5による移動動作で、第1型枠2と第2型枠3とが近接すると、固定部材21からの圧力付与が可能な状態となる。ここで、
図6では、第2型枠3に移動制御部5が接続されており、移動制御部5が第2型枠3を上昇させているが、第1型枠2を下降させることでもよい。いずれにしても、第1型枠2と第2型枠3とが近接する状態となればよい。
【0097】
移動制御部5は、電子部品200を基板100に実装するのに十分な強度や時間に合わせて、第1型枠2と第2型枠3との近接(固定部材21による圧力付与)を制御すればよい。この強度や時間は、予め移動制御部5にプログラミングされておればよいし、任意作業で調整されてもよい。あるいは、経験的に学習した結果で制御されてもよい。
【0098】
(固定部材21による圧力付与:
図7)
図7は、本発明の実施の形態1における電子部品実装装置であって、固定部材による圧力付与を示すブロック図である。
図6の状態から移動制御部5が、更に第1型枠2と第2型枠3とを近接させた状態が、
図7である。更に近接に加えて、固定部材21が、電子部品200および基板100に圧力を付与する状態にしたものが、
図7の状態である。
【0099】
移動制御部5は、第1型枠2および第2型枠3の少なくとも一方を移動させて、固定部材21が圧力を付与できる状態にする。更に、一定時間維持させる。この状態となることで、
図7に示す矢印Aのように、固定部材21は電子部品200に圧力を付与できる。
【0100】
このとき、固定部材21は第1型枠2に固定されている。また圧力を受ける可動部材31は、第2型枠3に対して相対的に移動可能である。この結果、固定部材21が付与する矢印Aの圧力のうち、実装において過剰となる余分圧力は、可動部材31が電子部品200から離れるように移動することで逃がされる。
【0101】
図7の矢印Bは、可動部材31が逃がす余分圧力を示している。矢印Aと矢印Bとの差分が、電子部品200の基板100への実装に必要な適正な圧力であり、この適正な圧力により、電子部品200や基板100が破損などすることなく、確実な実装ができる。
【0102】
ここで、第2型枠3は、固定部材に対応する位置に単数または複数の挿入孔32を有する。可動部材31は、この挿入孔32に挿入されている。可動部材31は、挿入孔32の内部での位置を上下させることで、可動部材31は、第2型枠3に対する位置を変化させる。
【0103】
図7の矢印Bで示される余分圧力を受けると(固定部材21から電子部品200および基板100に付与される圧力を受けると)、可動部材31は、この挿入孔32の中で移動する。この移動によって、余分圧力を逃がすことができる。位置変化による余分圧力を逃がすからである。
【0104】
図7では、固定部材21が電子部品200に圧力を付与しつつ、余分圧力が可動部材31によって逃がされている状態が示されている。この結果、過剰な圧力が付与されて電子部品200の破損などが生じることなく、確実な実装が実現できる。
【0105】
また、可動部材31は、挿入孔32内部での位置変化量を調整することで、逃がすべき余分圧力を調整することも可能である。場合によっては、逃がすべき余分圧力がゼロの場合には、可動部材31は、第2型枠3に対する位置変化を生じさせない。
【0106】
(第1型枠と第2型枠の離隔)
実装が終われば、第1型枠2と第2型枠3とは離隔される。移動制御部5が、この離隔を実行する。離隔して、シート110などが取り外されると、基板100に電子部品200が実装された状態の部材が取り出される。次の工程に使用されるようになる。
【0107】
シート110などの取り外しは、駆動部や別の機構が実現すればよい、電子部品実装装置1に組み込まれている機構でも、別の機構でもよい。これらは、本発明に直接かかわらないので、説明を省略する。
【0108】
以上のように、実施の形態1における電子部品実装装置1は、圧力付与によって電子部品200や基板100を破損等させるリスクを低減しつつ、確実な実装を実現できる。また、最適な圧力を付与できるので、基板100と電子部品200との間の接着層の厚みも適正化できる。
【0109】
なお、
図3以降で説明した第1型枠2と第2型枠3との上下の位置関係は逆であってもよい。下降や上昇も逆であってもよく、上下移動ではなく左右移動であってもよい。
【0111】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、種々のバリエーションなどについて説明する。
【0112】
(可動部材による余分圧力の処理)
図8は、本発明の実施の形態2における電子部品実装装置のブロック図である。
【0113】
第2型枠3は、可動部材31を有する。第2型枠3には挿入孔32が設けられ、可動部材31は、この挿入孔32の内部に挿入されて移動する。この移動により、可動状態となっている。可動部材31は、固定部材21が電子部品200に圧力を加える際に、例えば下に動くことで、余分圧力を逃がすことができる。
【0114】
挿入孔32において可動部材31は、空気圧や油圧などで可動が可能な状態となっている。この空気圧や油圧に対して逃がす余分圧力を計ることができる。このとき、
図8に示されるように、余分圧力調整部52を更に備えることも好適である。
【0115】
余分圧力調整部52が、可動部材31の動き量(可動量、可動時間、可動速度)を調整できる。逃がすべき余分圧力は、可動部材31の動き量や動き方で決まる。余分圧力調整部52は、逃がすべき余分圧力を、余分圧力調整部52が設定しておく。設定された余分圧力に応じて、余分圧力調整部52は、可動部材31の動き量や動き方を制御する。
【0116】
この制御に基づいて可動部材31が動くことで、可動部材31は、必要となる余分圧力を逃がすことができる。
【0117】
ここで、可動部材31は、液体圧力、弾性圧力およびモータ駆動の少なくとも一つで可動状態を実現できる。
【0118】
また、固定部材21は、圧力検出部7を備える。圧力検出部7は、固定部材21が電子部品200に加える圧力の大きさを検出する。圧力検出部7は、検出した圧力の大きさを、可動部材制御部53に出力する。
【0119】
可動部材制御部53は、予め設定されている可動制御指示テーブル54のデータを読み出すことができる。可動制御指示テーブル54は、固定部材21が加える圧力と可動部材31が逃がすべき余分圧力との相対的な関係を記憶している。
【0120】
可動部材制御部53は、圧力検出部7から通知された固定部材21の圧力に基づいて、可動部材31が逃がすべき余分圧力を演算できる。この演算結果を余分圧力調整部52に出力する。余分圧力調整部52は、この演算結果である実際の固定部材21による圧力に基づいた余分圧力によって、可動部材31の可動を制御する。
【0121】
このようにして、固定部材21が実際に加えている圧力の値に基づいて、余分圧力を可動部材31によって逃がすことができる。結果として、最適な圧力による実装が実現され、電子部品200の破損なども防止できる。
【0122】
(複数の実装)
図9は、本発明の実施の形態2における電子部品実装装置のブロック図である。
図9は、複数の電子部品200を一度に実装する電子部品実装装置1を示している。
【0123】
第1型枠2は、複数の固定部材21を備えている。第2型枠3は、これに対応する位置に、複数の可動部材31を備えている。設置部材4および中間型6も、これに対応する形態である。このように、電子部品実装装置1は、複数の電子部品200を一度に実装することができる。
【0124】
また、
図9の場合でも、固定部材21や可動部材31は、上述の通りの動作を行い、最適な圧力で実装できる。
【0125】
ここで、複数の電子部品200は、その厚みや接着剤の塗布量などにばらつきがある可能性がある。この厚み等のばらつきに関わらず、同じ圧力で実装することが好ましい。
また、個別に異なる圧力でそれぞれの電子部品200を実装する場合もある。
【0126】
このため、複数の可動部材31のそれぞれは、個別に可動状態を実現できることが好ましい。
図9に示されるように、複数の可動部材31のそれぞれは、余分圧力調整部52によって、個別に可動状態を制御される。この個別の制御によって、複数の可動部材31のそれぞれは、個別に可動状態を実現できる。逃がすべき移動量や傾きが異なっても、個々の可動部材31は、それぞれに合わせて動作できる。
また逃がすべき余分圧力を個別に変えることもできる。
【0127】
余分圧力調整部52と可動部材制御部53は、複数の固定部材21のそれぞれの圧力の値と可動制御指示テーブルとに基づいて、複数の可動部材31の可動量、可動時間および可動速度の少なくとも一つを制御する。この制御によって、個々の電子部品200に合わせた余分圧力を逃がすことができる。
【0128】
あるいは、余分圧力調整部52と可動部材制御部53は、可動タイミング、段階的加減圧動作の少なくとも一つを制御してもよい。これらを制御することも、電子部品200のそれぞれに対応する逃がすべき最適な余分圧力の制御に繋がるからである。
【0129】
結果として、最適な圧力をそれぞれの電子部品200に加えることができる。電子部品200の厚みや、接着剤の塗布量のばらつきがある場合でも、それぞれの電子部品200に最適な圧力が付与されることでの問題を防止できる。
【0130】
以上のように、実施の形態2における電子部品実装装置1は、実際の圧力付与状況に応じた最適な余分圧力の処理を行える。また、複数の電子部品200を、一度に最適な圧力で実装することもできる。
【0131】
なお、実施の形態1〜2で説明された電子部品実装装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【解決手段】本発明の電子部品実装装置は、単数または複数の固定部材を有する第1型枠と、単数または複数の可動部材を有する第2型枠と、第1型枠と第2型枠の間に、電子部品と基板を設置する設置部材と、第1型枠と第2型枠の近接および離隔を制御する移動制御部と、を備え、固定部材は、第1型枠に対して、その位置を固定しており、可動部材は、第2型枠に対して、その位置を変化可能であり、固定部材および可動部材のそれぞれの位置は、設置部材により設置される電子部品の位置に対応し、移動制御部による近接により、固定部材は、電子部品および基板の少なくとも一方に圧力を付与し、可動部材は、固定部材が付与する圧力の内、余分である余分圧力を可動によって逃がすことができる。