特許第6467495号(P6467495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467495
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】着用型タッチ装置及び着用型タッチ方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/042 20060101AFI20190204BHJP
【FI】
   G06F3/042 473
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-508720(P2017-508720)
(86)(22)【出願日】2014年8月20日
(65)【公表番号】特表2017-514261(P2017-514261A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】CN2014084820
(87)【国際公開番号】WO2015165175
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】201410175468.4
(32)【優先日】2014年4月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 天月
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 炎▲順▼
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 秋▲シ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲耀▼▲輝▼
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0044054(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0249409(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0162140(US,A1)
【文献】 特開平01−262803(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0254810(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103546181(CN,A)
【文献】 特開2014−048691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0055352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30
G06F 3/01
3/03−3/0489
3/14−3/153
G09F 9/00
G09G 5/00−5/36
5/377−5/42
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用可能なキャリヤーと、
タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するためのパターン発射手段と、
前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集して、採集画像の画像情報を処理手段へ送信するための画像採集手段と、
前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの現在の光エネルギー量を監視測定して、現在の光エネルギー量情報を前記処理手段へ送信するための画像監視測定手段と、
採集画像の画像情報および現在の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するための処理手段と、
を備えることを特徴とする着用型タッチ装置であって、
前記処理手段はコントラストモジュールを含み、前記採集画像の画像情報は前記採集画像の画像座標情報を含み、前記処理手段に前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を予め記憶し、前記コントラストモジュールは、前記タッチ面の1つの領域における現在の光エネルギー量情報と前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報とを比較し、現在の光エネルギー量情報の、初期光エネルギー量情報に対する変化量が設定値以上となったとき、当該領域内に近似したタッチポイントが含まれると確定するために用いられ、前記近似したタッチポイントが含まれる領域内での前記採集画像の前記画像座標情報と前記スキャンパターンの前記パターン座標情報と比較し、対応する座標箇所において前記採集画像と前記スキャンパターンとの間に変化が生じたとき、前記スキャンパターンの前記パターン座標情報に対応する座標点を実際のタッチポイントとして確定することで、前記タッチ位置の座標を取得する、
着用型タッチ装置。
【請求項2】
前記パターン発射手段および前記画像採集手段は、いずれも前記キャリヤーに設けられ、且つ前記キャリヤーの同一領域に位置することを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項3】
前記パターン発射手段は赤外線投影型パターン発射手段であり、前記画像採集手段は赤外線式画像採集手段であり、前記画像監視測定手段は赤外線式画像監視測定手段であることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項4】
前記パターン発射手段が発射するスキャンパターンは、グリッド形状のパターンであることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項5】
前記処理手段はコマンドモジュールをさらに含み、前記処理手段に位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルも、予め記憶し、
前記コマンドモジュールは、位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、前記タッチ位置の前記確定した座標を対応するコマンド情報に転化するために用いられることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項6】
前記着用型タッチ装置は、受信されたコマンド情報に基づき対応する動作を実行するための実行手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項7】
前記タッチ体は人の指であり、前記タッチ体が触れることのできるタッチ面は、人の指が触れることのできる領域であることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項8】
前記パターン発射手段、前記画像採集手段、前記画像監視測定手段および前記処理手段は、いずれも前記キャリヤーに設けられることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項9】
前記パターン発射手段、前記画像採集手段および前記画像監視測定手段は、いずれも前記キャリヤーの、指先から遠く、手のひら側寄りの外側表面層に設けられることを特徴とする、請求項8記載の着用型タッチ装置。
【請求項10】
前記パターン発射手段、前記画像採集手段および前記画像監視測定手段の外側表面は、前記キャリヤーの外側表面と同一の高さであることを特徴とする、請求項9記載の着用型タッチ装置。
【請求項11】
複数のキャリヤーを含み、前記パターン発射手段および前記画像採集手段は1つのキャリヤーに設けられ、前記画像監視測定手段および前記処理手段はもう1つのキャリヤーに設けられることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項12】
前記キャリヤーは閉じたリング状であり、PVC材料を用いて形成されることを特徴とする、請求項1記載の着用型タッチ装置。
【請求項13】
タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するステップと、
前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集するとともに、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの現在の光エネルギー量情報を監視測定するステップと、
採集画像の画像情報および現在の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するステップと、を含むことを特徴とする着用型タッチ方法であって、
前記採集画像の前記画像情報は前記採集画像の画像座標情報を含み、前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報は予め設定され、前記タッチ面における前記タッチ体の前記タッチ位置を決定する前記ステップは、前記タッチ面の1つの領域における現在の光エネルギー量情報と前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報とを比較し、現在の光エネルギー量情報の、初期光エネルギー量情報に対する変化量が設定値以上となったとき、当該領域内に近似したタッチポイントが含まれると確定し、前記近似したタッチポイントが含まれる領域内での前記採集画像の前記画像座標情報と前記スキャンパターンの前記パターン座標情報と比較し、対応する座標箇所において前記採集画像と前記スキャンパターンとの間に変化が生じたとき、前記スキャンパターンの前記パターン座標情報に対応する座標点を実際のタッチポイントとして確定することで、前記タッチ位置の座標を取得するステップを含む、
着用型タッチ方法。
【請求項14】
位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルも予め記憶し、
対応するコマンド情報を生成するステップは、
位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、当該タッチ位置の座標に対応するコマンド情報を取得するステップと、を含むことを特徴とする、請求項13記載の着用型タッチ方法。
【請求項15】
前記設定値は5%であることを特徴とする、請求項14記載の着用型タッチ方法。
【請求項16】
タッチ位置の座標に対応するコマンド情報に基づき対応する操作を実行するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13記載の着用型タッチ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御技術分野に属し、具体的に着用型タッチ装置および着用型タッチ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発達に伴って、近年着用型技術が誕生した。一言で言えば、着用型技術とは、体に直接着用することが可能な、またはユーザの衣服或いはアクセサリーに組み合わせられたデバイスを探求、創造する科学技術である。着用型スマートデバイスは、すでに人気の技術となり、未来のスマートデバイスの発展方向になっている。
【0003】
着用型スマートデバイスは、着用型技術を応用して、日常身に着けるものをインテリジェント化設計して開発された着用可能なデバイス(例えば、メガネ、手袋、腕時計、衣服など)の総称である。着用型スマートデバイスには、機能が揃い、サイズが大きく、スマートフォンに頼らずに全てまたは一部のインテリジェント機能を実現する着用型スマートデバイス(例えば、スマートウォッチまたはスマートメガネなど)と、ある種のインテリジェント応用機能だけに専念して、他のデバイス(例えば、スマートフォン)と合わせて使用する着用型スマートデバイス(例えば、バイタルサインを監視測定するスマートブレスレット、スマートアクセサリーなど)とが含まれる。技術の発達およびユーザ要求の変化に伴って、着用型スマートデバイスの形態および応用のホットスポットも絶えず変化している。
【0004】
しかし、従来の着用型タッチ装置は、一般的に押ボタン制御方式を利用するものであり、タッチスクリーンによりタッチを実現しても、着用型タッチ装置の体積は小さいものが求められるという点に鑑みると、普通のタッチスクリーンではユーザの要求を十分に満たすことができず、また従来の着用型タッチ装置は、一般的にタッチ体がそれ(即ち、そのボタンまたはタッチスクリーン)に直接触れなければタッチできないため、着用型装置をタッチするときの使用感が良くなくなる。このため、素早く、ボタンもタッチスクリーンも必要とせずユーザだけでタッチを完成させることのできる着用型タッチ装置および方法を提供することは、現在解決が急がれる技術課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、従来技術に存在する上記欠点に対して、着用型タッチ装置および着用型タッチ方法を提供するものであり、当該着用型タッチ装置は、ボタンもタッチスクリーンも必要とせずユーザだけでタッチを完成させることができ、且つ体積がコンパクトで、携帯しやすく、対応する着用型タッチ方法はタッチが正確で、適用範囲が広い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が解決しようとする技術課題を解決するために用いる技術案は、着用可能なキャリヤーと、タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するためのパターン発射手段と、前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集して、採集画像の画像情報を前記処理手段へ送信するための画像採集手段と、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量を監視測定して、目下の光エネルギー量情報を前記処理手段へ送信するための画像監視測定手段と、採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するための処理手段と、を備える着用型タッチ装置である。
好ましくは、前記パターン発射手段および前記画像採集手段は、いずれも前記キャリヤーに設けられ、且つ前記キャリヤーの同一領域に位置する。
【0007】
好ましくは、前記パターン発射手段は赤外線投影型パターン発射手段であり、前記画像採集手段は赤外線式画像採集手段であり、前記画像監視測定手段は赤外線式画像監視測定手段である。
好ましくは、前記パターン発射手段が発射するスキャンパターンは、グリッド形状のパターンである。
好ましくは、前記処理手段はコントラストモジュールおよびコマンドモジュールを含み、前記採集画像の画像情報は採集画像の画像座標情報を含み、前記処理手段に位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブル、前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を予め記憶し、
【0008】
前記コントラストモジュールは、前記採集画像の画像座標情報および前記目下の光エネルギー量を、それぞれ前記スキャンパターンのパターン座標情報および初期光エネルギー量情報と比較することで、確定したタッチ位置座標情報を取得するために用いられ、
【0009】
前記コマンドモジュールは、位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、受信された前記確定したタッチ位置座標情報を対応するコマンド情報に転化するために用いられる。
好ましくは、前記着用型タッチ装置は、受信されたコマンド情報に基づき対応する動作を実行するための実行手段をさらに備える。
好ましくは、前記タッチ体は人の指であり、前記タッチ体が触れることのできるタッチ面は、人の指が触れることのできる領域である。
好ましくは、前記パターン発射手段、前記画像採集手段、前記画像監視測定手段および前記処理手段は、いずれも前記キャリヤーに設けられる。
好ましくは、前記パターン発射手段、前記画像採集手段および前記画像監視測定手段は、いずれも前記キャリヤーの、手のひら側寄りの外側表面層に設けられる。
好ましくは、前記パターン発射手段、前記画像採集手段および前記画像監視測定手段の外側表面は、前記キャリヤーの外側表面と同一の高さである。
好ましくは、前記着用型タッチ装置は複数のキャリヤーを含み、前記パターン発射手段および前記画像採集手段は1つのキャリヤーに設けられ、前記画像監視測定手段および前記処理手段はもう1つのキャリヤーに設けられる。
好ましくは、前記キャリヤーは閉じたリング状であり、PVC材料を用いて形成される。
【0010】
本発明が解決しようとする技術課題を解決するために使用する技術案は、タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するステップと、前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集するとともに、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量情報を監視測定するステップと、採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するステップと、を含む着用型タッチ方法である。
【0011】
好ましくは、前記採集画像の画像情報は、採集画像の画像座標情報を含み、且つ位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブル、前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を予め記憶し、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに対応するコマンド情報を生成するステップは、前記タッチ面の1つの領域における目下の光エネルギー量情報と前記スキャンパターンの初期光エネルギー量情報とを比較し、目下の光エネルギー量情報の、初期光エネルギー量情報に対する変化量が設定値以上となったとき、当該領域内に近似したタッチポイントが含まれると初期確定するステップと、当該領域の前記採集画像の画像座標情報と前記スキャンパターンのパターン座標情報とを比較し、対応する座標箇所において前記採取画像と前記スキャンパターンとの間に変化が生じたとき、当該座標点を実際のタッチポイントとして確定することで、タッチ位置の座標を取得するステップと、位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、当該タッチ位置の座標に対応するコマンド情報を取得するステップと、を含む。
好ましくは、前記設定値は5%である。
好ましくは、前記着用型タッチ方法は、タッチ位置の座標に対応するコマンド情報に基づき対応する操作を実行するステップをさらに含む。
【0012】
本発明実施例において、当該着用型タッチ装置は、人の指に着用可能な閉じたリング状スマート着用装置であり、パターン発射手段を介して、タッチ体(例えば、人の指)が触れることのできるタッチ面へ特定のパターンを投射し、指がタッチを実行するとき、画像採集手段を介して、指が到達した箇所の前記特定のパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集して、画像監視測定手段が監視測定して形成した画像の目下の光エネルギー量情報を組み合わせて、処理手段が目下の光エネルギー量情報および採集画像の画像情報を分析、処理し、指のタッチ位置の座標を確定し、指の精確なタッチ位置を判断することで、タッチフィードバックを行う。当該着用型タッチ装置は、ボタンもタッチスクリーンも必要とせず、ユーザだけでタッチを完成させることができ、且つ体積がコンパクトで、携帯しやすく、対応する着用型タッチ方法はタッチが正確で、適用範囲が広い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施例1における着用型タッチ装置の構造模式図である。
図2図1に示した着用型タッチ装置の作動模式図である。
図3図1に示した着用型タッチ装置を用いてタッチする際の模式図である。
図4】本発明実施例1における着用型タッチ方法のタッチフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者が本発明の技術案をより良く理解できるように、以下では図面および具体的な実施の形態を組み合わせて、本発明の着用型タッチ装置および着用型タッチ方法についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の一面によれば、着用可能なキャリヤーと、タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するためのパターン発射手段と、前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集して、採集画像の画像情報を前記処理手段へ送信するための画像採集手段と、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量を監視測定して、目下の光エネルギー量情報を前記処理手段へ送信するための画像監視測定手段と、採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するための処理手段と、を備える着用可能タッチ装置を提供する。
【0016】
本発明のもう一つの面によれば、タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するステップと、前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集するとともに、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量情報を監視測定するステップと、採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するステップと、を含む着用型タッチ方法を提供する。
【0017】
本発明実施例では、ユーザは当該着用型タッチ装置に直接触れなくてもタッチすることができ、また当該着用型タッチ装置は体積がコンパクトで、携帯しやすく、対応する着用型タッチ方法はタッチが正確で、適用範囲が広い。
【0018】
(実施例1)
本実施例では着用型タッチ装置および対応する着用型タッチ方法を提供する。
図1に示すように、本実施例における着用型タッチ装置は、キャリヤー1と、パターン発射手段2と、画像採集手段3と、画像監視測定手段4と、処理手段5と、を備える。
キャリヤー1は着用可能で、例えば、人の指に着用する。
パターン発射手段2は、タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するためのものである。
【0019】
画像採集手段3は、前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集して、採集した採集画像の画像情報を処理手段5へ送信するためのものである。
【0020】
画像監視測定手段4は、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量を監視測定して、目下の光エネルギー量情報を処理手段5へ送信するためのものである。
【0021】
処理手段5は、採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理することで、前記タッチ面における前記タッチ体のタッチ位置を確定するとともに、対応するコマンド情報を生成するためのものである。
【0022】
好ましくは、パターン発射手段2および画像採集手段3は、いずれもキャリヤー1に設けられ、且つキャリヤー1の同一領域に位置し、つまり、同一の領域にパターンの発射部分および画像の受信部分を備えることで、発射されたスキャンパターンと受信された採集画像との間の定点識別および比較を便利にする。本実体例では、図1に示すように、キャリヤー1は閉じたリング状であることが好ましく、画像監視測定手段4もキャリヤー1に設けられ、且つパターン発射手段2および画像採集手段3はキャリヤー1の一端に設けられ、画像監視測定手段4は反対側の他端に設けられる。
【0023】
パターン発射手段2は赤外線投影型パターン発射手段であり、画像採集手段3は赤外線式画像採集手段、例えばカメラ(camera)であり、タッチ装置とタッチ面との相対位置が変化する場合、パターン発射手段2、画像採集手段3、画像監視測定手段4が正常に作動するように、カメラは回転可能なカメラでも良いと理解できる。画像監視測定手段4は赤外線式画像監視測定手段であり、例えば光学検知センサー(optical sensor)である。また、パターン発射手段2が発射するスキャンパターンは、例えばグリッド形状のパターンであり、本実施例では、パターン発射手段2が発射するスキャンパターンは、例えば赤外線グリッド(infrared grid)パターンであり、つまり、赤外線マトリクスパターンである。互いに適合する赤外線式のパターン発射手段2、画像採集手段3および画像監視測定手段4を用いるため、当該着用型タッチ装置を使用する場合、タッチ体はタッチ装置に直接触れることなくタッチを実行でき、タッチに、より柔軟性がある。
【0024】
好ましくは、上記各手段は、いずれも体積が小さなマイクロチップを用いて実現することができ、体積がコンパクトであることによって、当該着用型タッチ装置のコンパクトな体積および携帯のしやすさを保証する。
【0025】
同時に好ましくは、キャリヤー1はPVC材料を用いて形成することができる。当該材料は丈夫で、絶縁であり、その中に設けられた各手段の構造および位置を安定させて、当該着用型タッチ装置の効果的な動作を保証し、さらに人体の安全を保証することもできる。
【0026】
本実施例では、タッチ体はタッチ面に直接触れてもよく、または触れなくてもよく、またタッチ面は規則的な平面、不規則な平面または曲面でも良い。如何なる、平面、凹凸点がある不規則な平面または曲面であっても、その面積が十分に小さければ、いずれも平面と見なすことができ相応の座標情報を有する。タッチ体がタッチ面に直接触れない場合、目下の光エネルギー量情報および採集画像の画像情報によってタッチ位置を確定することができるが、この時にタッチ体とタッチ面には一定の距離がある可能性があり、タッチ面におけるタッチ体の投影と実際にタッチしようとするポイントとの間に一定のズレがあるため、算出して得られたタッチ位置には一定のタッチ測定位置誤差がある恐れがあると理解できる。タッチ体がタッチ面に直接触れる場合、タッチ面におけるタッチ体の投影と実際にタッチしようとするポイントはほぼ一致するため、タッチ測定位置はより精確であることが容易に理解できる。
【0027】
応用例の一つでは、タッチ体7(図3を参照)は人の片方の手における指であり、キャリヤー1は人のもう片方の手における指に着用され、タッチ体7が触れることのできる領域は、キャリヤー1を着用した手である。もう一つの応用例では、タッチ体7は人の片方の手における指であり、キャリヤー1はタッチ体7である指に着用され、タッチ体7が触れることのできる領域は人のもう片方の手の手のひらである。一般的に、キャリヤー1は、タッチ体7が触れることのできる領域またはタッチ体7までの距離が近いほど、画像監視測定手段4で得られる光エネルギー量の変化がより精確で、タッチの位置決めも相対的により精確である。
【0028】
対応して、パターン発射手段2、画像採集手段3、画像監視測定手段4および処理手段5は、いずれもキャリヤー1に設けられ、且つパターン発射手段2、画像採集手段3および画像監視測定手段4は、いずれもキャリヤー1の、手のひら側寄りの外側表面層に設けられる。好ましくは、パターン発射手段2、画像採集手段3および画像監視測定手段4の外側表面はキャリヤー1の外側表面と同一の高さである。
【0029】
本実施例の着用型タッチ装置では、処理手段5はコントラストモジュールおよびコマンドモジュール(図1に示されていない)をさらに含み、採集画像の画像情報は採集画像の画像座標情報を含み、処理手段5に位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブル、スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を予め記憶し、コントラストモジュールは、採集画像の画像座標情報および目下の光エネルギー量情報を、それぞれ前記スキャンパターンのパターン座標情報および初期光エネルギー量情報と比較することで、確定したタッチ位置座標情報を取得し、コマンドモジュールは、位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、受信された確定したタッチ位置座標情報を対応するコマンド情報に転化する。好ましくは、処理手段5はマイクロプロセッサ(例えばシングルチップマイクロコンピュータ)を使用して実現することができる。
さらに、前記着用型タッチ装置は、受信したコマンド情報に基づき対応する動作を実行するための実行手段をさらに備える。
【0030】
例えば、図2に示すように、キャリヤー1におけるパターン発射手段2(例えば赤外線グリッド投影手段)および画像採集用の画像採集手段3(例えば赤外線カメラ)は、いずれもキャリヤーの、手のひら側寄りに実装され、当該着用型タッチ装置が待機状態または作動状態にあるとき、パターン発射手段2はタッチ面(キャリヤー1を着用する手の手のひらまたは手)へ赤外線グリッド投影を発射し続け、例えば、赤外線グリッド6を、タッチ面8としての、キャリヤー1を着用する手の手のひらまたは手に投影する(図3を参照)。図3に示すように、タッチ面8がタッチされるとき、タッチ体7(例えば人の指)が、赤外線グリッド内のある領域に入った場合、赤外線グリッドパターンを形成する赤外線の一部が遮られ、指が到達した箇所の赤外線グリッドパターンが遮られて光エネルギー量に変化が起き(つまり、光の損耗または損失が起きる)、目下の光エネルギー量は画像監視測定手段4(例えば光学検知センサー)に採集され、つまり、目下の光エネルギー量情報が監視測定され、また一方で、画像採集手段3が、指が到達した箇所の赤外線グリッドパターンの変化を採集し、つまり、赤外線グリッドパターンがタッチ面8に投影されて形成された画像を採集する。
【0031】
処理手段5では、スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびスキャンパターンのパターン座標(本実施例では赤外線グリッド座標とする)情報が予め設定され、画像監視測定手段4が監視測定した目下の光エネルギー量情報および、画像採集手段3で採集された採集画像の画像座標情報は、いずれも処理手段5にフィードバックされ、処理手段5におけるコントラストモジュールが、上記目下の光エネルギー量情報および採集画像の画像座標情報を処理、分析し、ある領域における目下の光エネルギー量情報の、初期光エネルギー量情報に対する変化量が設定値以上(例えば5%)となったとき、当該領域内に近似したタッチポイントが含まれると初期確定し、さらに、コントラストモジュールが、採集画像の画像座標情報とスキャンパターンのパターン座標情報とを比較し、対応する座標箇所において採集画像とスキャンパターンとの間に変化が生じたとき、当該座標点を実際のタッチポイントとして確定し、対応するタッチ位置の座標を得て、さらに位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、当該タッチ位置の座標に対応するコマンド情報を取得する。
【0032】
当該着用型タッチ装置を使用して指がタッチするとき、画像監視測定手段が光エネルギー量の変化を感知して、当該光エネルギー量変化情報を処理手段へ送信することで、タッチ動作が発生したことを確認でき、光エネルギー量変化と設定値との間の大きさの関係に基づき、ある領域をタッチ位置が含まれる近似領域として初期確定するとともに、画像採集手段が、指でスキャンパターンが遮られて形成された投射画像を取得し、これに応じて採集画像の画像座標情報を記録し、該画像座標情報とスキャンパターンのパターン座標情報とを比較し、採集画像とスキャンパターンとの間に変化が生じることに対応する座標を確定することで、精確なタッチ位置を得る。
【0033】
理解すべき点は、パターン発射手段2、画像採集手段3および画像監視測定手段4は赤外線式以外の他の方式の手段であってもよく、互いに適合すればさえよいという点であり、これについての具体的な形式は限定しない。パターン発射手段2が発射する特定のパターンはグリッドパターン以外の他のパターンでもよく、具体的な応用において柔軟に設置できることから、ここでは説明を省略する。
対応して、本実施例では、
タッチ体が触れることのできるタッチ面へスキャンパターンを発射するステップと、
【0034】
前記スキャンパターンが前記タッチ面に投射されて形成された画像を採集するとともに、前記タッチ面の各領域における前記スキャンパターンの目下の光エネルギー量情報を監視測定するステップと、
採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を処理し、画像変化および光エネルギー量変化を取得することで、タッチ面におけるタッチ体のタッチ位置を確定するとともに対応するコマンド情報を生成するステップと、
さらに、タッチ位置に対応するコマンド情報に基づき対応するコマンド動作を実行するステップと、
を含む着用型タッチ方法を提供する。
【0035】
このうち、採集画像の画像情報は採集画像の画像座標情報を含み、且つ位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブル、スキャンパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を予め記憶し、上記方法において、タッチ面におけるタッチ体のタッチ位置を確定するとともに対応するコマンド情報を生成するステップは、
【0036】
タッチ面におけるある領域の目下の光エネルギー量情報とスキャンパターンの初期光エネルギー量情報とを比較し、目下の光エネルギー量情報の、初期光エネルギー量情報に対する変化量が設定値以上となるとき、当該領域内に近似したタッチポイントが含まれると初期確定するステップと、
当該領域の採集画像の画像座標情報とスキャンパターンのパターン座標情報とを比較し、対応する座標箇所において採取画像とスキャンパターンとの間に変化が生じたとき、当該座標点を実際のタッチポイントと確定することで、タッチ位置の座標を取得するステップと、
さらに、位置座標とコマンド情報とのマッピングテーブルに基づき、当該タッチ位置の座標に対応するコマンド情報を取得するステップと、
を含む。
【0037】
図4に当該着用型タッチ方法のタッチフロー図を示す。
着用型タッチ装置はキャリヤー1を介して例えば人の指に着用し、起動初期化の過程において特定のパターンの初期光エネルギー量情報およびパターン座標情報を設定する。
パターン発射手段2は、タッチ面8としての、例えば手のひらまたは手へ赤外線グリッドパターン(Pattern)を投射する。
タッチ体7(例えば人の指)がタッチを実行していないとき、当該着用型タッチ装置は休止状態を保持する。
【0038】
人の指がタッチを実行したとき、赤外線グリッドパターンが変化し、画像採集手段3(例えばカメラ)は、人の指が到達した箇所の赤外線グリッドパターンが投射されて形成された画像を採集し、同時に画像監視測定手段4(例えば光学検知センサー)が赤外線グリッドパターンにおける目下の光エネルギー量情報を監視測定する。
【0039】
上記人の指がタッチを実行するときに形成される採集画像の画像座標情報と目下の光エネルギー量情報は、いずれも処理手段5へ伝送されて処理、分析され、まず目下の光エネルギー量情報と初期光エネルギー量情報とを比較することで、タッチ動作が発生したことを確認して、光エネルギー量変化と設定値との大きさの関係によって、ある領域を、タッチ位置の近似領域が含まれると初期確定してから、採集画像の画像座標情報とスキャンパターンのパターン座標情報との比較に基づき、対応する座標(例えば中心座標)箇所の採集画像とスキャンパターンとの間に変化が生じたとき、当該座標点を実際のタッチポイントとして確定することで、精確なタッチ位置の座標を得て、さらに当該タッチ位置の座標に対応するコマンド情報に基づきタッチコマンドを実行する。
【0040】
(実施例2)
本実施例では着用型タッチ装置および対応する着用型タッチ方法を提供する。実施例1との比較において、当該着用型タッチ装置における各手段は、複数のキャリヤーに分けて設置することができる。つまり、実施例1では、パターン発射手段、画像採集手段、画像監視測定手段および処理手段は、同一のキャリヤーに設けられているのに対して、本実施例では、パターン発射手段および画像採集手段を同一のキャリヤーに設け、画像監視測定手段および処理手段をもう1つのキャリヤーに設けることができる。
【0041】
本実施例において、キャリヤーは第1キャリヤーおよび第2キャリヤーを有し、第1キャリヤーと第2キャリヤーは同一の材料で形成される。例えば、パターン発射手段および画像採集手段は第1キャリヤーに設けることができ、且つ第1キャリヤーの同一領域に位置する。一方、画像監視測定手段は第2キャリヤーに設けられ、第1キャリヤーと第2キャリヤーは同一人物の片方の手または両手に着用することができ、または異なる人物の手に着用することができる。
本実施例の着用型タッチ装置における各手段の配置は実施例1における対応する手段の配置と同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0042】
本実施例に対応する着用型タッチ方法は実施例1の着用型タッチ方法と同一で、いずれもパターン発射手段を介して赤外線マトリクスパターンを発射し、人の指がタッチ面の赤外線マトリクスパターンにおけるあるポイントにタッチしたとき、画像監視測定手段がこれらのポイントの赤外線損失(光エネルギー量変化)を監視測定し、画像採集手段が採集した、指が到達した箇所の赤外線グリッドパターンの変化に基づき、さらに処理手段によって光エネルギー量変化とパターン変化に基づき分析、処理して、タッチされた具体的な位置を判断し、正確なタッチポイント座標を得て、さらに当該タッチポイント座標に対応するコマンド情報を取得する。
【0043】
本発明の着用型タッチ装置は、人の指に着用できる閉じたリング状のスマート着用装置であっても良く、パターン発射手段を介して、タッチ体が触れることのできるタッチ面へ特定のパターンを発射し、指がタッチしたとき、画像採集手段を介して、指が到達した箇所の特定のパターンが投射されて形成された画像を採集して、画像監視測定手段が監視測定した当該画像の目下の光エネルギー量情報を組み合わせて、処理手段が採集画像の画像情報および目下の光エネルギー量情報を分析および処理し、指のタッチ位置座標を確定し、指の精確なタッチの位置を判断することで、タッチフィードバックを行う。当該着用型タッチ装置は、ボタンもタッチスクリーンも必要とせずユーザだけでタッチを完成することができ、また体積がコンパクトで、携帯しやすく、対応する着用型タッチ方法はタッチが精確で、適用範囲が広い。
【0044】
以上の実施の形態は、本発明の原理を説明するために用いた例としての実施の形態に過ぎず、本発明はこれに限らないと理解できる。当業者にとって、本発明の思想および実質的な情況を逸脱しなければ、各種の変形および改善を行うことができ、これらの変形および改善も本発明の請求範囲と見なされる。
【符号の説明】
【0045】
1 キャリヤー
6 赤外線グリッド
7 タッチ体
8 タッチ面
図1
図2
図3
図4