(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6467534
(24)【登録日】2019年1月18日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】減音部材
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20190204BHJP
F04B 45/04 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
F04B39/00 101N
F04B45/04 D
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-10170(P2018-10170)
(22)【出願日】2018年1月25日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西 一茂
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−006732(JP,A)
【文献】
実開昭57−059988(JP,U)
【文献】
特開昭57−044785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプの吐出口の流路に挿入する減音部材であって、
該流路に沿って延びる本体と、
該本体の外周面から径方向外側に延び、該流路に沿った螺旋形状を有する羽根部と、を備え、
外径が該吐出口の内径よりも大きく、
該羽根部にスクリュー形状のねじ込み部が設けてあり、回転させながら該吐出口内に押し込むことにより該ねじ込み部が該吐出口の内周面に食い込んで該吐出口に固定されるようにされ、
該羽根部と該流路の内周面とによって螺旋流路を形成し、真空ポンプが吐出する空気が該螺旋流路のみを通るようにされた減音部材。
【請求項2】
該羽根部は等間隔で配置されている、請求項1に記載の減音部材。
【請求項3】
該螺旋流路の長さが、真空ポンプから吐出される空気の吐出音の振幅を二分の一とした値の整数倍の値とされている、請求項1又は2に記載の減音部材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の減音部材を備える真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプの吐出口で発生する空気の吐出音を減音する減音部材に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプにおいて、吐出口にホースを配管せずに開放状態で使用する場合、吐出口で空気の吐出音が発生してしまう。従来は空気の吐出音対策として、吐出口の外側にホースを配管したり、サイレンサーを設けたりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,877,842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような真空ポンプにおいては、機器組込用途で使用することが多く、真空ポンプの設置スペースには限りがあるので、極力真空ポンプの外観寸法の変更なしで空気の吐出音対策をすることが望ましい。
【0005】
本発明は、真空ポンプの外観寸法の変更無く、空気の吐出音を減音できるようにした減音部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
真空ポンプの吐出口の流路に挿入する減音部材であって、
該流路に沿って延びる本体と、
該本体の外周面から径方向外側に延び、該流路に沿った螺旋形状を有する羽根部と、を備え、
該流路に挿入した際に、該羽根部が該流路の内周面と係合し、螺旋流路を形成する減音部材を提供する。
【0007】
真空ポンプにおいて、吐出口にホースを配管せずに開放状態で使用する場合に、吐出音が発生する該吐出口の流路内に該減音部材を挿入し、該螺旋流路が形成されることにより、圧縮された空気が大気に放出されるまでに通過する流路が延長され、管路内で圧縮された空気が受ける抵抗が増加することにより、音響エネルギーが減少し、減音効果が得られる。また、該吐出口の流路内に該減音部材を挿入するため、真空ポンプの外観寸法が大きくなることはない。
【0008】
好ましくは、該減音部材の外径は、該吐出口の内径よりも大きくなっており、該減音部材を該流路内に圧入することにより、吐出口に固定することができる。
【0009】
又は、該減音部材の外径は、該吐出口の内径よりも大きく、該羽根部にねじ込み部が設けてあり、更に先端がスクリュー形状となっており、該減音部材を先端側からねじ込むことにより、該吐出口に固定することができる。
【0010】
具体的には、該羽根部は等間隔で配置するようにすることができる。
【0011】
さらに本発明では、前記減音部材を備えた真空ポンプを提供する。
【0012】
以下、本発明に係る減音部材の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る減音部材を挿入した状態の真空ポンプの側面部分断面図である。
【
図2】
図1の真空ポンプの吐出口の側面部分断面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る減音部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
真空ポンプ1は、
図1に示すように、モータ2と、ハウジング3と、空気を圧縮する圧縮室4を有するチャンバーキャップ5と、空気を吸入する吸入口6と及び圧縮された空気を吐出する吐出口7を有するヘッドカバー8と、を備えている。クランク9は回転軸線と偏芯するように連結されている。クランク9にはコネクティングロッド10が連結されており、モータ2が駆動すると、クランク9がモータ2の回転軸線に対して偏芯して、コネクティングロッド10を上下方向に変位させる。コネクティングロッド10には、圧縮室4を形成するゴム部材のダイアフラム11が取付けられている。モータが駆動するとダイアフラム11が上下に駆動し、圧縮室4の容積が変動する。コネクティングロッド10が上死点から下死点に移動する際に、吸入口6より空気が圧縮室4に吸引される。コネクティングロッド10が下死点から上死点に移動する際に、圧縮室4の空気が圧縮され、圧縮された空気はヘッドカバー8を通過し、吐出口7より大気に放出される。
【0015】
吐出口7の流路12には空気の吐出音を減音するために減音部材13が挿入されている。本発明の第1の実施形態に係る減音部材13は、
図2及び
図3に示すように、真空ポンプ1の流路12に沿って延びる本体部14と、本体部14の外周面から径方向外側に延び、本体部14に沿って等間隔で配置されている螺旋形状を有する羽根部15と、を備えている。減音部材13を流路12に挿入する際には圧入面16をハンドプレッシャー等で押して、流路12内に圧入する。減音部材13を流路12に圧入することにより、羽根部15が流路12の内周面17と係合し、螺旋流路18を形成する。真空ポンプ1が空気を吐出する際に、圧縮室4で圧縮された空気がヘッドカバー8を通過し、減音部材13の羽根部15と流路12の内周面17により形成された螺旋流路18を通過することにより、圧縮された空気が大気に放出されるまでに通過する流路が延長され、管路内で圧縮された空気が受ける抵抗が増加することにより、音響エネルギーが減少し、減音効果が得られる。さらには、空気が受ける抵抗が増加するため、空気の脈動も低減することができる。
【0016】
本発明の第2の実施形態に係る減音部材19は、
図4及び
図5に示すように、羽根部15にスクリュー形状のねじ込み部20が設けてある。吐出口7に減音部材19を回転させながら先端部21から押し込むことにより、ねじ込み部20が吐出口7の内周面に食い込んで減音部材19が吐出口7の中にねじ込まれていく。これより、減音部材19は吐出口7に固定されるようになっている。
【0017】
羽根部は必ずしも等間隔で配置しなくても良い。
【0018】
螺旋流路の長さは任意に設定することができる。螺旋流路の長さを調整することにより、ポンプから吐出される空気の吐出音を低減することができる。具体的には、螺旋流路の長さと、空気の吐出音の振幅を二分の一とした値の整数倍の値とを合わせることで、螺旋流路から吐出する空気がその振幅の節のときに吐出することになるため、空気の吐出音が低減される。
【符号の説明】
【0019】
真空ポンプ1;モータ2;ハウジング3;圧縮室4;チャンバーキャップ5;吸入口6;吐出口7;ヘッドカバー8;クランク9;コネクティングロッド10;ダイアフラム11;流路12;減音部材13;本体部14;羽根部15;圧入面16;内周面17;螺旋流路18;減音部材19;ねじ込み部20;先端部21
【要約】
【課題】真空ポンプにおいて、吐出口にホースを配管せずに開放状態で使用する場合に、外観寸法を変更すること無く、空気の吐出音を減音できるようにした減音部材を提供すること。
【解決手段】吐出音が発生している吐出口7の流路12に、減音部材13を挿入することにより、螺旋形状の羽根部15が流路12の内周面17と係合し、螺旋流路18が形成されるため、圧縮された空気が大気に放出されるまでに通過する流路が延長され、管路内で圧縮された空気が受ける抵抗が増加することにより、音響エネルギーが減少し、減音効果が得られ、更に吐出口7の流路2内に減音部材13を挿入するため、真空ポンプ1の外観寸法が変更することはない。
【選択図】
図2