(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体記憶装置10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態による半導体記憶装置10は、互いに同一の機能、構造を持ち、夫々同一の製造マスクで製作された8枚のコアチップCC0〜CC7、コアチップとは異なる製造マスクで製作された1枚のインターフェースチップIF及び1枚のインターポーザIPが積層された構造を有している。コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFはシリコン基板を用いた半導体チップであり、いずれもシリコン基板を貫通する多数の貫通電極TSV(Through Silicon Via)によって上下に隣接するチップと電気的に接続されている。一方、インターポーザIPは樹脂からなる回路基板であり、その裏面IPbには複数の外部端子(半田ボール)SBが形成されている。
【0014】
コアチップCC0〜CC7は、「外部端子を介して外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部と複数の記憶セルとそれら記憶セルへアクセスするいわゆるバックエンド部の両者を含む周知で一般的なそれ自身が単体チップでも動作し、メモリコントローラと直接通信できる通常のメモリチップである1GbのDDR3(Double Data Rate 3)型SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)」に含まれる回路ブロックのうち、外部とのインターフェースを行ういわゆるフロントエンド部(フロントエンド機能)が削除された半導体チップである。言い換えれば、原則として、バックエンド部に属する回路ブロックのみが集積された半導体チップである。フロントエンド部に含まれる回路ブロックとしては、メモリセルアレイとデータ入出力端子との間で入出力データのパラレル/シリアル変換を行うパラレルシリアル変換回路(データラッチ回路)や、データの入出力タイミングを制御するDLL(Delay Locked Loop)回路などが挙げられる。詳細は後述する。インターフェースチップIFは、フロントエンド部のみが集積された半導体チップである。よって、インターフェースチップの動作周波数は、コアチップの動作周波数よりも高い。コアチップCC0〜CC7にはフロントエンド部に属するこれらの回路は含まれていないため、コアチップの製造過程において、そのコアチップがウェハ状態で実施されるテスト動作時を除きコアチップCC0〜CC7を単体で動作させることはできない。コアチップCC0〜CC7を動作させるためには、インターフェースチップIFが必要である。よって、コアチップは、一般的な単体チップの記憶集積度よりも集積度が高い。本実施形態による半導体装置10は、インターフェースチップは、外部と第1の動作周波数で通信するフロントエンド機能を有し、複数のコアチップは、インターフェースチップとのみ通信し、且つ第1の動作周波数よりも低い第2の動作周波数で通信するバックエンド機能を有する。よって、複数のコアチップのそれぞれは、複数の情報を記憶するメモリセルアレイを備え、複数のコアチップからインターフェースチップへパラレルに供給される一つのI/O(DQ)当たりの複数のリードデータは、インターフェースチップからコアチップへ与える一回のリードコマンドに関連する複数のビット数である。所謂、複数のビット数は、周知のプリフェッチデータ数に対応する。
【0015】
インターフェースチップIFは、8枚のコアチップCC0〜CC7に対する共通のフロントエンド部として機能する。したがって、外部からのアクセスは全てインターフェースチップIFを介して行われ、データの入出力もインターフェースチップIFを介して行われる。本実施形態では、インターポーザIPとコアチップCC0〜CC7との間にインターフェースチップIFが配置されているが、インターフェースチップIFの位置については特に限定されず、コアチップCC0〜CC7よりも上部に配置しても構わないし、インターポーザIPの裏面IPbに配置しても構わない。インターフェースチップIFをコアチップCC0〜CC7の上部にフェースダウンで又はインターポーザIPの裏面IPbにフェースアップで配置する場合には、インターフェースチップIFにTSVを設ける必要はない。また、インターフェースチップIFは、2つのインターポーザIPに挟まれるように配置しても良い。
【0016】
インターポーザIPは、半導体記憶装置10の機械的強度を確保するとともに、電極ピッチを拡大するための再配線基板として機能する。つまり、インターポーザIPの上面IPaに形成された電極91をスルーホール電極92によって裏面IPbに引き出し、裏面IPbに設けられた再配線層93によって、外部端子SBのピッチを拡大している。
図1には、2個の外部端子SBのみを図示しているが、実際には多数の外部端子が設けられている。外部端子SBのレイアウトは、規格により定められたDDR3型のSDRAMにおけるそれと同じである。したがって、外部のコントローラからは1個のDDR3型のSDRAMとして取り扱うことができる。
【0017】
図1に示すように、最上部のコアチップCC0の上面はNCF(Non-Conductive Film)94及びリードフレーム95によって覆われており、コアチップCC0〜CC7及びインターフェースチップIFの各チップ間のギャップはアンダーフィル96で充填され、またその周囲は封止樹脂97によって覆われている。これにより、各チップが物理的に保護される。
【0018】
コアチップCC0〜CC7に設けられたTSVの大部分は、積層方向から見た平面視で、すなわち
図1に示す矢印Aから見た場合に、同じ位置に設けられた他層のTSVと短絡されている。つまり、
図2(a)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた上下のTSV1が短絡され、これらTSV1によって1本の配線が構成されている。各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれらのTSV1は、当該コアチップ内の内部回路4にそれぞれ接続されている。したがって、インターフェースチップIFから
図2(a)に示すTSV1に供給される入力信号(コマンド信号、アドレス信号など)は、コアチップCC0〜CC7の内部回路4に共通に入力される。また、コアチップCC0〜CC7からTSV1に供給される出力信号(データなど)は、ワイヤードオアされてインターフェースチップIFに入力される。
【0019】
これに対し、一部のTSVについては、
図2(b)に示すように、平面視で同じ位置に設けられた他層のTSV2と直接接続されるのではなく、当該コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5を介して接続されている。つまり、各コアチップCC0〜CC7に設けられたこれら内部回路5がTSV2を介してカスケード接続されている。この種のTSV2は、各コアチップCC0〜CC7に設けられた内部回路5に所定の情報を順次転送するために用いられる。このような情報としては、後述する層アドレス情報が挙げられる。
【0020】
さらに他の一部のTSV群については、
図2(c)に示すように、平面視で異なる位置に設けられた他層のTSVと短絡されている。この種のTSV群3に対しては、平面視で所定の位置Pに設けられたTSV3aに各コアチップCC0〜CC7の内部回路6が接続されている。これにより、各コアチップに設けられた内部回路6に対して選択的に情報を入力することが可能となる。このような情報としては、後述する不良チップ情報が挙げられる。
【0021】
このように、コアチップCC0〜CC7に設けられたTSVは、
図2(a)〜(c)に示す3タイプ(TSV1〜TSV3)が存在する。上述の通り、大部分のTSVは
図2(a)に示すタイプであり、アドレス信号、コマンド信号、クロック信号などは
図2(a)に示すタイプのTSV1を介して、インターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7に供給される。また、リードデータ及びライトデータについても、
図2(a)に示すタイプのTSV1を介してインターフェースチップIFに入出力される。これに対し、
図2(b),(c)に示すタイプのTSV2,TSV3は、互いに同一の構造を有するコアチップCC0〜CC7に対して、個別の情報を与えるために用いられる。
【0022】
図3は、
図2(a)に示すタイプのTSV1の構造を示す断面図である。
【0023】
図3に示すように、TSV1はシリコン基板80及びその表面の層間絶縁膜81を貫通して設けられている。TSV1の周囲には絶縁リング82が設けられており、これによって、TSV1とトランジスタ領域との絶縁が確保される。
図3に示す例では絶縁リング82が二重に設けられており、これによってTSV1とシリコン基板80との間の静電容量が低減されている。
【0024】
シリコン基板80の裏面側におけるTSV1の端部83は、裏面バンプ84で覆われている。裏面バンプ84は、下層のコアチップに設けられた表面バンプ85と接する電極である。表面バンプ85は、各配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3及びパッド間を接続する複数のスルーホール電極TH1〜TH3を介して、TSV1の端部86に接続されている。これにより、平面視で同じ位置に設けられた表面バンプ85と裏面バンプ84は、短絡された状態となる。尚、図示しない内部回路との接続は、配線層L0〜L3に設けられたパッドP0〜P3から引き出される内部配線(図示せず)を介して行われる。
【0025】
このような構造を有するTSVには、ワード線やビット線と同様、ある確率で不良が発生することは避けられない。このため、本実施形態による半導体記憶装置10においては、不良のあるTSVを置換するための予備のTSVが設けられている。
【0026】
予備のTSVは、いくつかのTSVからなる群ごとに割り当てられる。特に限定されるものではないが、本実施形態では8つのTSVからなる群ごとに予備のTSVが2つ割り当てられる。したがって、各TSV群に2個以下の不良が発生している場合、不良のあるTSVの代わりにこの群に割り当てられた予備のTSVが用いられ、これによって不良が救済される。このようなTSVの切替動作は、貫通電極切替情報に基づき各チップに設けられた切替回路によって行われる。
【0027】
図4は、TSVの切り替えに関わる部分を抜き出して示すブロック図である。
【0028】
図4に示すように、インターフェースチップIF及び各コアチップCC0〜CC7に含まれる主回路IFa,CC0a〜CC7aは、TSVを介して相互に接続される。ここで、どのTSVを使用するかは切替回路100〜108によって選択され、その指定は対応する切替制御回路200又は300〜307によって行われる。
【0029】
切替制御回路200はインターフェースチップIFに含まれる回路であり、切替情報保持回路210を有している。切替情報保持回路210は上述した貫通電極切替情報を保持する回路であり、アセンブリ後に不良TSVが発見された場合、テスタによって貫通電極切替情報が書き込まれる。貫通電極切替情報は不揮発情報である必要があることから、切替情報保持回路210はアンチヒューズ素子などの不揮発性記憶素子によって貫通電極切替情報を不揮発的に保持する。
【0030】
一方、切替制御回路300〜307はそれぞれコアチップCC0〜CC7に含まれる回路であり、切替制御回路200とは異なり切替情報保持回路210が含まれていない。切替制御回路300〜307には、電源投入時にインターフェースチップIFに含まれる切替制御回路200から貫通電極切替情報SWが転送される。詳細については後述するが、貫通電極切替情報の転送は、救済データ転送用のTSVaを用いてシリアルに行われる。その他、転送動作には、ロードフラグ信号送信用のTSVb及び転送クロック信号送信用のTSVcが用いられる。
【0031】
図5は、切替制御回路200及び切替制御回路300〜307の構成をより詳細に示すブロック図である。
【0032】
切替制御回路200はインターフェースチップIFに含まれる回路であり、
図5に示すように、切替情報保持回路210、ラッチ回路220、オシレータ回路230、カウンタ回路240、デコーダ250及びパラレルシリアル変換回路260が含まれている。
【0033】
ラッチ回路220は、リセット信号/RESET及びパワーオン検出信号PONの論理和信号の立ち上がりエッジによってセットされ、反転されたパワーオン検出信号PON及びカウンタ回路240の出力の論理積信号の立ち下がりエッジによってリセットされるSRラッチ回路であり、その出力はロードフラグ信号LFとして用いられる。ロードフラグ信号LFは、貫通電極切替情報SWの転送動作時にハイレベルに活性化される信号であり、オシレータ回路230及びカウンタ回路240に供給されるとともに、ロードフラグ信号送信用のTSVbを介して各コアチップCC0〜CC7にも供給される。
【0034】
オシレータ回路230は、ロードフラグ信号LFの活性化期間中に転送クロック信号TCLKを生成する回路である。転送クロック信号TCLKは、カウンタ回路240に供給されるとともに、転送クロック信号送信用のTSVcを介して各コアチップCC0〜CC7にも供給される。カウンタ回路240は、転送クロック信号TCLKに同期してカウント動作を行い、そのカウント値をデコーダ250に供給する。
【0035】
デコーダ250は、バイナリ形式であるカウンタ回路240のカウント値をデコードする回路であり、その出力はパラレルシリアル変換回路260に供給される。パラレルシリアル変換回路260は、切替情報保持回路210からから読み出されたパラレルな貫通電極切替情報SWをシリアル変換する回路であり、シリアル変換された貫通電極切替情報SWは救済データ転送用のTSVaを介して各コアチップCC0〜CC7に供給される。また、切替情報保持回路210からから読み出されたパラレルな貫通電極切替情報SWはそのまま切替回路108に供給され、切替回路108はこれに基づいて使用するTSVの選択を行う。切替回路108の詳細については後述する。
【0036】
一方、切替制御回路300〜307は各コアチップCC0〜CC7に含まれる回路であり、
図5に示すように、カウンタ回路340、デコーダ350及び救済データラッチ回路360が含まれている。
【0037】
カウンタ回路340は、インターフェースチップIFに含まれるカウンタ回路240と同じ構成を有する回路であり、TSVcを介して供給される転送クロック信号TCLKに同期してカウント動作を行い、そのカウント値をデコーダ350に供給する。デコーダ350は、インターフェースチップIFに含まれるデコーダ250と同じ構成を有する回路であり、バイナリ形式であるカウンタ回路340のカウント値をデコードする。デコーダ350の出力は、複数のラッチ回路を含む救済データラッチ回路360に供給される。救済データラッチ回路360は、シリアルに供給される貫通電極切替情報SWをデコーダ350の出力に基づいてラッチし、これをパラレル変換して切替回路100〜107に供給する。切替回路100〜107の詳細についても後述する。
【0038】
かかる構成により、インターフェースチップIFに設けられた切替制御回路200とコアチップCC0〜CC7に設けられた切替制御回路300〜307は、転送クロック信号TCLKに同期して互いに連動した動作を行うことになる。
【0039】
次に、切替制御回路200及び切替制御回路300〜307の動作について説明する。
【0040】
まず、電源投入時(イニシャルシーケンス時)に/RESET信号が所定の期間、ローレベルにアサートされる。そして、/RESET信号がハイレベルに変化するとラッチ回路220がセットされ、ロードフラグ信号LFがハイレベルに活性化する。これにより、オシレータ回路230による転送クロック信号TCLKの生成が開始される。上述の通り、転送クロック信号TCLKはカウンタ回路240,340に供給され、これに同期したカウント動作が行われる。したがって、カウンタ回路240,340のカウント値は常に同じ値を示す。カウンタ回路240,340のカウント値は、デコーダ250,350によってそれぞれデコードされる。したがって、デコーダ250,350の出力も互いに等しい値となる。
【0041】
デコーダ250の出力は、パラレルな貫通電極切替情報SWの各ビットを特定するために用いられ、デコーダ350の出力は、シリアルな貫通電極切替情報SWの各ビットを特定するために用いられる。つまり、パラレルシリアル変換回路260は、デコーダ250の出力に基づいてパラレルな貫通電極切替情報SWの対応するビットを選択し、これを救済データ転送用のTSVaを介してコアチップCC0〜CC7に供給する。したがって、転送クロック信号TCLKに連動して、パラレルな貫通電極切替情報SWが1ビットずつシリアルにコアチップCC0〜CC7に転送されることになる。コアチップCC0〜CC7側においても、救済データラッチ回路360は、転送された貫通電極切替情報SWの1ビットをデコーダ350の出力に対応したラッチ回路に保持する。したがって、転送クロック信号TCLKに連動してシリアルに供給される貫通電極切替情報SWは、次々に対応するラッチ回路にラッチされることになる。
【0042】
これにより、カウンタ回路240,340によって貫通電極切替情報SWのビット数と同数のカウントが行われると、インターフェースチップIF内の切替情報保持回路210に保持されていた貫通電極切替情報SWが各コアチップCC0〜CC7内の救済データラッチ回路360に全て転送されることになる。
【0043】
本発明において貫通電極切替情報SWをシリアルに転送することは必須ではないが、貫通電極切替情報SWをパラレルに転送すると、救済データ転送用のTSVaの数が多くなってしまう。この点を考慮して、本実施形態では貫通電極切替情報SWをシリアルに転送している。
【0044】
また、本発明においてコアチップCC0〜CC7内にカウンタ回路340を設けることも必須ではないが、カウンタ回路240のカウント値を各コアチップCC0〜CC7に転送すると、やはり転送に必要なTSVの数が多くなってしまう。この点を考慮して、本実施形態では各コアチップCC0〜CC7にもカウンタ回路340を設けている。
【0045】
このようにして貫通電極切替情報SWの転送が完了すると、つまり、カウンタ回路240が所定数のカウントを完了すると、ラッチ回路220がリセットされ、ロードフラグ信号LFがローレベルに非活性化する。ロードフラグ信号LFは切替回路108に供給されるとともに、ロードフラグ信号送信用のTSVbを介してコアチップCC0〜CC7内の切替回路100〜107にも供給される。これら切替回路100〜108は、ロードフラグ信号LFが非活性化すると、貫通電極切替情報SWに基づく切替動作を実行し、これによりTSVを介したデータDATAの転送が可能となる。データDATAは、
図4に示した主回路IFa,CC0a〜CC7aに入出力する信号である。
【0046】
尚、救済データ転送用のTSVa、ロードフラグ信号送信用のTSVb及び転送クロック信号送信用のTSVcに不良が発生した場合、これを置換することはできない。したがって、これらのTSVa,TSVb,TSVcについては、複数のTSVを並列接続して使用することが好ましい。
図6は、2個の救済データ転送用のTSVaを並列接続した例を示している。
【0047】
図7は、切替回路100〜108の回路図である。
図7には、一例としてインターフェースチップIFと各コアチップCC0〜CC7との間で転送されるデータDATAが8ビットのデータD1〜D8である場合が示されている。
【0048】
図7に示すように、インターフェースチップIFには各データD1〜D8に対応する8個のバッファ回路401〜408が設けられ、各コアチップCC0〜CC7には各データD1〜D8に対応する8個のバッファ回路501〜508が設けられている。これに対し、本実施形態では、これらバッファ回路401〜408とバッファ回路501〜508を接続するためのTSV601〜610が10個(=8個+2個)設けられている。これらTSV601〜610のうち、TSV609,610は予備の貫通電極であり、他のTSV601〜608に不良がない場合には使用されない。尚、
図7には、ドライバ回路が双方向バッファである場合を示しているが、アドレス信号やコマンド信号など、インターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7に対して一方向に供給される信号については、インターフェースチップIF側にドライバ回路を設け、コアチップCC0〜CC7側にレシーバ回路を設ければよい。
【0049】
インターフェースチップIFに含まれる切替回路108には、セレクタ回路群110,120が含まれている。セレクタ回路群110は、バッファ回路401〜408の入出力端をパスPA1〜16のうち、対応する2つのパスのいずれかに接続するセレクタ回路111〜118からなる。セレクタ回路111〜118は、排他的に導通するトランスファーゲートなどによって構成され、その動作は貫通電極切替情報SWの一部である救済信号SW1によって定められる。
【0050】
救済信号SW1は、8個のTSV601〜608に1個又は2個の不良が存在する場合に、セレクタ回路111〜118の動作を切り替えるための信号である。具体的には、1個のTSV60xが不良である場合又は2個のTSV60x,60y(x<y)が不良である場合に、セレクタ回路11x〜118が奇数側のパスPAから偶数側のパスPAに切り替えられる。セレクタ回路111〜11(x−1)については奇数側のパスPAに接続される。これにより、不良のある貫通電極を境として、バッファ回路401〜408とパスPA1〜16との接続関係がシフトする。
図7に示すように、セレクタ回路群110に含まれる異なるセレクタ回路に接続された2つのパス(例えばパスPA2とPA3)は、ワイヤードオアされてセレクタ回路群120に接続される。
【0051】
セレクタ回路群120は、対応するパスPA1〜16を、パスPB1〜18のうち対応する2つのパスのいずれかに接続するセレクタ回路121〜129からなる。セレクタ回路121〜129は、排他的に導通するトランスファーゲートなどによって構成され、その動作は貫通電極切替情報SWの他の一部である救済信号SW2によって定められる。
【0052】
救済信号SW2は、9個のTSV601〜609に2個の不良が存在する場合に、セレクタ回路121〜129の動作を切り替えるための信号である。具体的には、2個のTSV60x,60y(x<y)が不良である場合に、セレクタ回路12y〜129が奇数側のパスPBから偶数側のパスPBに切り替えられる。セレクタ回路121〜12(y−1)については奇数側のパスPBに接続される。これにより、不良のある2個目のTSVを境として、バッファ回路401〜408とパスPB1〜18との接続関係がシフトする。
図7に示すように、セレクタ回路群120に含まれる異なるセレクタ回路に接続された2つのパス(例えばパスPB2とPB3)は、ワイヤードオアされて対応するTSV601〜610に接続される。
【0053】
かかる構成により、8個のTSV601〜608に1個の不良がある場合には、不良のあるTSVを境に使用されるTSVがシフトされ、予備のTSV609が使用される。さらに、9個のTSV601〜609に2個目の不良がある場合には、不良のある2個目のTSVを境に使用されるTSVがさらにシフトされ、予備のTSV610が使用される。
【0054】
尚、コアチップCC0〜CC7側に含まれる切替回路100〜107についても、インターフェースチップIF側に含まれる切替回路108と同じ回路構成を有し、且つ、同じ値を有する救済信号SW1,SW2が供給される。これにより、各切替回路100〜108は、互いに同じ切替動作を行うことから、インターフェースチップIFに含まれるバッファ回路401〜408と、コアチップCC0〜CC7に含まれるバッファ回路501〜508は、それぞれ不良のないTSVを介して相互に接続されることになる。各コアチップCC0〜CC7に設けられた対応するTSVは互いに短絡されているため、切替回路100によって選択されたTSVと切替回路100〜106によって選択されたTSVは共通接続されることになる。尚、最下層のコアチップCC7の切替回路107によって選択されたTSVは、インターフェースチップIFの切替回路108によって選択されたTSVと同一である。また、不良のあるTSV及びこれに接続されたTSVは、いずれの切替回路100〜108によっても選択されない。
【0055】
図8は、一例としてTSV602とTSV604に不良が生じている場合における切替回路100〜108の動作を説明するための模式図である。
【0056】
図8に示す例では2つのTSVに不良が生じており、このうちより番号の小さいTSV2については、セレクタ回路群110に含まれる対応するセレクタ回路112を境に接続がシフトされる。つまり、セレクタ回路111については奇数(
図8では上側)のパスが選択され、セレクタ回路112〜118については偶数(
図8では下側)のパスが選択される。さらに、より番号の大きいTSV4については、セレクタ回路群120に含まれる対応するセレクタ回路124を境に接続がシフトされる。つまり、セレクタ回路121〜123については奇数(
図8では上側)のパスが選択され、セレクタ回路124〜129については偶数(
図8では下側)のパスが選択される。
【0057】
これにより、データD1には本来のTSV601が割り当てられる一方、データD2には1つシフトしたTSV603が割り当てられ、さらに、データD3〜D8には2つシフトしたTSV605〜610が割り当てられる。
【0058】
このように、本実施形態では、不良のあるTSVを単純に予備のTSVに置き換えるのではなく、不良のあるTSVを境に、バッファ回路401〜408及び501〜508とTSV601〜610との接続関係をシフトさせていることから、TSV601〜610をこの順に配列するなど、i番とi+1番のTSVを隣接配置すれば、置換前の信号パスと置換後の信号パスとの間にほとんど配線長差が生じなくなる。これにより、置換によるスキューもほとんど生じないことから、信号品質を高めることが可能となる。
【0059】
但し、本発明において上記のようなシフト動作を行うことは必須でなく、不良のあるTSVを単純に予備のTSVに置き換える方式を採用しても構わない。
【0060】
図9は、変形例による切替回路100〜108の部分的な回路図であり、データD1に関する部分のみを示している。
図9においては、簡単のため、アドレス信号やコマンド信号などインターフェースチップIFからコアチップCC0〜CC7への一方向信号を取り扱う切替回路100〜108を示している。
【0061】
図9に示す例では、セレクタ回路がバッファ回路(インターフェースチップIF側においてはドライバ回路、コアチップCC0〜CC7側においてはレシーバ回路)を兼ねている。具体的に説明すると、
図9に示すように、排他的に活性化される2つのトライステートバッファBUF1,BUF2によってセレクタ回路111a,121a,122aが構成されている。尚、セレクタ回路111a,121a,122aとは、
図7に示したセレクタ回路111,121,122に対応する回路である。
【0062】
トライステートバッファBUF1,BUF2は、インバータINVと、インバータINVに動作電圧を供給するPチャンネルMOSトランジスタPMOS及びNチャンネルMOSトランジスタNMOSによって構成されている。これらPMOS及びNMOSは、救済信号SW1,SW2の対応するビットによって制御される。例えば、セレクタ回路111aには救済信号SW1の対応するビットSW1−1が入力され、セレクタ回路121a,122aには救済信号SW2の対応するビットSW2−1,SW2−2がそれぞれ入力される。これにより、各セレクタ回路に含まれるトライステートバッファBUF1,BUF2のいずれか一方が活性化される。活性化されない他方のトライステートバッファの出力はハイインピーダンス状態となる。
【0063】
トライステートバッファBUF1,BUF2の入力端は共通であり、出力端はそれぞれ異なるパスに接続されている。例えば、セレクタ回路111aを構成するトライステートバッファBUF1の出力端はパスPA1に接続され、トライステートバッファBUF2の出力端はパスPA2に接続されている。
【0064】
コアチップCC0〜CC7側に含まれる切替回路100〜107についても、入出力の方向が逆転している他は、インターフェースチップIF側に含まれる切替回路108と同じ回路構成を有し、且つ、同じ値を有する救済信号SW1,SW2が供給される。
【0065】
このように、
図9に示す例では、セレクタ回路がバッファ回路を兼ねていることから、負荷容量が比較的大きいトランスファーゲートなどを用いる必要がなくなり、切替回路100〜108を経由する信号の信号品質を高めることが可能となる。
【0066】
以下、本発明の好ましい実施形態による半導体記憶装置10の回路構成について説明する。
【0067】
図10は、半導体記憶装置10の回路構成を示すブロック図である。
【0068】
図10に示すように、インターポーザIPに設けられた外部端子には、クロック端子11a,11b、クロックイネーブル端子11c、コマンド端子12a〜12e、アドレス端子13、データ入出力端子14、データストローブ端子15a,15b、キャリブレーション端子16、及び電源端子17a,17bが含まれている。これら外部端子は、全てインターフェースチップIFに接続されており、電源端子17a,17bを除きコアチップCC0〜CC7には直接接続されない。
【0069】
まず、これら外部端子とフロントエンド機能であるインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成について説明する。
【0070】
クロック端子11a,11bはそれぞれ外部クロック信号CK,/CKが供給される端子であり、クロックイネーブル端子11cはクロックイネーブル信号CKEが入力される端子である。供給された外部クロック信号CK,/CK及びクロックイネーブル信号CKEは、インターフェースチップIFに設けられたクロック発生回路21に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロック信号CK,/CKは互いに相補の信号である。クロック発生回路21は内部クロック信号ICLKを生成する回路であり、生成された内部クロック信号ICLKは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0071】
また、インターフェースチップIFにはDLL回路22が含まれており、DLL回路22によって入出力用クロック信号LCLKが生成される。入出力用クロック信号LCLKは、インターフェースチップIFに含まれる入出力バッファ回路23に供給される。DLL機能は、半導体装置10が外部と通信するに当たり、外部との同期がマッチングされた信号LCLKでフロントエンドを制御するからである。故に、バックエンドであるコアチップCC0〜CC7には、DLL機能は不要である。
【0072】
コマンド端子12a〜12eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号は、インターフェースチップIFに設けられたコマンド入力バッファ31に供給される。コマンド入力バッファ31に供給されたこれらコマンド信号は、コマンドデコーダ32に供給される。コマンドデコーダ32は、内部クロックICLKに同期して、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、インターフェースチップIF内の各種回路ブロックに供給される他、TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも共通に供給される。
【0073】
アドレス端子13は、アドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2が供給される端子であり、供給されたアドレス信号A0〜A15,BA0〜BA2は、インターフェースチップIFに設けられたアドレス入力バッファ41に供給される。アドレス入力バッファ41の出力は、TSVを介してコアチップCC0〜CC7に共通に供給される。また、モードレジスタセットにエントリーしている場合には、アドレス信号A0〜A15はインターフェースチップIFに設けられたモードレジスタ42に供給される。また、アドレス信号BA0〜BA2(バンクアドレス)については、インターフェースチップIFに設けられた図示しないアドレスデコーダによってデコードされ、これにより得られるバンク選択信号Bがデータラッチ回路25に供給される。これは、ライトデータのバンク選択がインターフェースチップIF内で行われるためである。
【0074】
データ入出力端子14は、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15の入出力を行うための端子である。また、データストローブ端子15a,15bは、ストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行うための端子である。これらデータ入出力端子14及びデータストローブ端子15a,15bは、インターフェースチップIFに設けられた入出力バッファ回路23に接続されている。入出力バッファ回路23には、入力バッファIB及び出力バッファOBが含まれており、DLL回路22より供給される入出力用クロック信号LCLKに同期して、リードデータ又はライトデータDQ0〜DQ15及びストローブ信号DQS,/DQSの入出力を行う。また、入出力バッファ回路23は、コマンドデコーダ32から内部オンダイターミネーション信号IODTが供給されると、出力バッファOBを終端抵抗として機能させる。さらに、入出力バッファ回路23には、キャリブレーション回路24からインピーダンスコードDRZQが供給されており、これによって出力バッファOBのインピーダンスが指定される。入出力バッファ回路23は、周知のFIFO回路を含む。
【0075】
キャリブレーション回路24には、出力バッファOBと同じ回路構成を有するレプリカバッファRBが含まれており、コマンドデコーダ32よりキャリブレーション信号ZQが供給されると、キャリブレーション端子16に接続された外部抵抗(図示せず)の抵抗値を参照することによってキャリブレーション動作を行う。キャリブレーション動作とは、レプリカバッファRBのインピーダンスを外部抵抗の抵抗値と一致させる動作であり、得られたインピーダンスコードDRZQが入出力バッファ回路23に供給される。これにより、出力バッファOBのインピーダンスが所望の値に調整される。
【0076】
入出力バッファ回路23は、データラッチ回路25に接続されている。データラッチ回路25は、周知なDDR機能を実現するレイテンシ制御によって動作するFIFO機能を実現するFIFO回路(不図示)とマルチプレクサMUX(不図示)とを含み、TSV及び切替回路108を介してコアチップCC0〜CC7から供給されるパラレルなリードデータをシリアル変換するとともに、入出力バッファ23から供給されるシリアルなライトデータをパラレル変換し、切替回路108及びTSVを介してコアチップCC0〜CC7に供給する回路である。したがって、データラッチ回路25と入出力バッファ回路23との間はシリアル接続であり、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間はパラレル接続である。本実施形態では、コアチップCC0〜CC7がDDR3型のSDRAMのバックエンド部であり、プリフェッチ数が8ビットである。また、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7はバンクごとに接続されており、各コアチップCC0〜CC7に含まれるバンク数は8バンクである。したがって、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との接続は1DQ当たり64ビット(8ビット×8バンク)となる。
【0077】
このように、データラッチ回路25とコアチップCC0〜CC7との間においては、基本的に、シリアル変換されていないパラレルデータが入出力される。つまり、通常のSDRAM(それは、フロントエンドとバックエンドが1つのチップで構成される)では、チップ外部との間でのデータの入出力がシリアルに行われる(つまり、データ入出力端子は1DQ当たり1個である)のに対し、コアチップCC0〜CC7では、インターフェースチップIFとの間でのデータの入出力がパラレルに行われる。この点は、通常のSDRAMとコアチップCC0〜CC7との重要な相違点である。但し、プリフェッチしたパラレルデータを全て異なるTSVを用いて入出力することは必須でなく、コアチップCC0〜CC7側にて部分的なパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要なTSVの数を削減しても構わない。例えば、1DQ当たり64ビットのデータを全て異なるTSVを用いて入出力するのではなく、コアチップCC0〜CC7側にて2ビットのパラレル/シリアル変換を行うことによって、1DQ当たり必要なTSVの数を半分(32個)に削減しても構わない。
【0078】
更に、データラッチ回路25は、インターフェースチップ単位で試験ができる機能が付加されている。インターフェースチップには、バックエンド部が存在しない。このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのインターフェースチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、インターフェースチップを試験することを意味する。インターフェースチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、データラッチ回路25には、試験用に擬似的なバックエンド部の一部が設けられており、試験時に簡素な記憶機能が可能とされている。
【0079】
電源端子17a,17bは、それぞれ電源電位VDD,VSSが供給される端子であり、インターフェースチップIFに設けられたパワーオン検出回路43に接続されるとともに、TSVを介してコアチップCC0〜CC7にも接続されている。パワーオン検出回路43は、電源の投入を検出する回路であり、電源の投入を検出するとインターフェースチップIFに設けられた層アドレスコントロール回路45を活性化させる。
【0080】
層アドレスコントロール回路45は、本実施形態による半導体記憶装置10のI/O構成に応じて層アドレスを変更するための回路である。上述の通り、本実施形態による半導体記憶装置10は16個のデータ入出力端子14を備えており、これにより最大でI/O数を16ビット(DQ0〜DQ15)に設定することができるが、I/O数がこれに固定されるわけではなく、8ビット(DQ0〜DQ7)又は4ビット(DQ0〜DQ3)に設定することも可能である。これらI/O数に応じてアドレス割り付けが変更され、層アドレスも変更される。層アドレスコントロール回路45は、I/O数に応じたアドレス割り付けの変更を制御する回路であり、TSVを介して各コアチップCC0〜CC7に共通に接続されている。
【0081】
また、インターフェースチップIFには層アドレス設定回路44も設けられている。層アドレス設定回路44は、TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。層アドレス設定回路44は、
図2(b)に示すタイプのTSV2を用いて、コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46にカスケード接続されており、テスト時においてコアチップCC0〜CC7に設定された層アドレスを読み出す役割を果たす。
【0082】
さらに、インターフェースチップIFには不良チップ情報保持回路33が設けられている。不良チップ情報保持回路33は、正常に動作しない不良コアチップがアセンブリ後に発見された場合に、そのチップ番号を保持する回路である。不良チップ情報保持回路33は、TSVを介してコアチップCC0〜CC7に接続されている。不良チップ情報保持回路33は、
図2(c)に示すタイプのTSV3を用いて、シフトされながらコアチップCC0〜CC7に接続されている。
【0083】
さらに、インターフェースチップIFには、切替制御回路200が設けられている。切替制御回路200には外部からのリセット信号/RESETが供給されており、これがハイレベルに非活性化されると、上述した貫通電極切替情報SWの転送動作を開始する。
【0084】
以上が外部端子とインターフェースチップIFとの接続関係、並びに、インターフェースチップIFの回路構成の概要である。次に、コアチップCC0〜CC7の回路構成について説明する。
【0085】
図4に示すように、バックエンド機能であるコアチップCC0〜CC7に含まれるメモリセルアレイ50は、いずれも8バンクに分割されている。尚、バンクとは、個別にコマンドを受け付け可能な単位である。言い換えれば、夫々のバンクは、互いに排他制御で独立に動作することができる。半導体装置10外部からは、独立に夫々のバンクをアクセスできる。例えば、バンク1のメモリセルアレイ50とバンク2のメモリセルアレイ50は、異なるコマンドにより夫々対応するワード線WL、ビット線BL等を、時間軸的に同一の期間に個別にアクセス制御できる非排他制御の関係である。例えば、バンク1をアクティブ(ワード線とビット線をアクティブ)に維持しつつ、更にバンク2をアクティブに制御することができる。リード但し、半導体装置の外部端子(例えば、複数の制御端子、複数のI/O端子)は、共有している。メモリセルアレイ50内においては、複数のワード線WLと複数のビット線BLが交差しており、その交点にはメモリセルMCが配置されている(
図10においては、1本のワード線WL、1本のビット線BL及び1個のメモリセルMCのみを示している)。ワード線WLの選択はロウデコーダ51によって行われる。また、ビット線BLはセンス回路53内の対応するセンスアンプSAに接続されている。センスアンプSAの選択はカラムデコーダ52によって行われる。
【0086】
ロウデコーダ51は、ロウ制御回路61より供給されるロウアドレスによって制御される。ロウ制御回路61には、TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるロウアドレスを受けるアドレスバッファ61aが含まれており、アドレスバッファ61aによってバッファリングされたロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。TSVを介して供給されるアドレス信号は、入力バッファB1を介して、ロウ制御回路61などに供給される。また、ロウ制御回路61にはリフレッシュカウンタ61bも含まれており、コントロールロジック回路63からリフレッシュ信号が発行された場合には、リフレッシュカウンタ61bが示すロウアドレスがロウデコーダ51に供給される。
【0087】
カラムデコーダ52は、カラム制御回路62より供給されるカラムアドレスによって制御される。カラム制御回路62には、TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるカラムアドレスを受けるアドレスバッファ62aが含まれており、アドレスバッファ62aによってバッファリングされたカラムアドレスがカラムデコーダ52に供給される。また、カラム制御回路62にはバースト長をカウントするバーストカウンタ62bも含まれている。
【0088】
カラムデコーダ52によって選択されたセンスアンプSAは、さらに、図示しないいくつかのアンプ(サブアンプやデータアンプなど)を介して、データコントロール回路54に接続される。これにより、リード動作時においては、一つのI/O(DQ)あたり8ビット(=プリフェッチ数)のリードデータがデータコントロール回路54から出力され、ライト動作時においては、8ビットのライトデータがデータコントロール回路54に入力される。データコントロール回路54とインターフェースチップIFとの間は切替回路100〜107及びTSVを介してパラレルに接続される。
【0089】
コントロールロジック回路63は、TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部コマンドICMDを受け、これに基づいてロウ制御回路61及びカラム制御回路62の動作を制御する回路である。コントロールロジック回路63には、層アドレス比較回路(チップ情報比較回路)47が接続されている。層アドレス比較回路47は、当該コアチップがアクセス対象であるか否かを検出する回路であり、その検出は、TSVを介してインターフェースチップIFより供給されるアドレス信号の一部SEL(チップ選択情報)と、層アドレス発生回路46に設定された層アドレスLID(チップ識別情報)とを比較することにより行われ、一致を検出すると一致信号HITを活性化させる。
【0090】
層アドレス発生回路46には、初期化時において各コアチップCC0〜CC7に固有の層アドレスが設定される。層アドレスの設定方法は次の通りである。まず、半導体記憶装置10が初期化されると、各コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46に初期値として最小値(0,0,0)が設定される。コアチップCC0〜CC7の層アドレス発生回路46は、
図2(b)に示すタイプのTSVを用いてカスケード接続されているとともに、内部にインクリメント回路を有している。そして、最上層のコアチップCC0の層アドレス発生回路46に設定された層アドレス(0,0,0)がTSVを介して2番目のコアチップCC1の層アドレス発生回路46に送られ、インクリメントされることにより異なる層アドレス(0,0,1)が生成される。以下同様にして、生成された層アドレスを下層のコアチップに転送し、転送されたコアチップ内の層アドレス発生回路46は、これをインクリメントする。最下層のコアチップCC7の層アドレス発生回路46には、層アドレスとして最大値(1,1,1)が設定されることになる。これにより、各コアチップCC0〜CC7には固有の層アドレスが設定される。
【0091】
層アドレス発生回路46には、TSVを介してインターフェースチップIFの不良チップ情報保持回路33から不良チップ信号DEFが供給される。不良チップ信号DEFは、
図2(c)に示すタイプのTSV3を用いて各コアチップCC0〜CC7に供給されるため、各コアチップCC0〜CC7に個別の不良チップ信号DEFを供給することができる。不良チップ信号DEFは、当該コアチップが不良チップである場合に活性化される信号であり、これが活性化している場合、層アドレス発生回路46はインクリメントした層アドレスではなく、インクリメントされていない層アドレスを下層のコアチップに転送する。また、不良チップ信号DEFはコントロールロジック回路63にも供給されており、不良チップ信号DEFが活性化している場合にはコントロールロジック回路63の動作が完全に停止する。これにより、不良のあるコアチップは、インターフェースチップIFからアドレス信号やコマンド信号が入力されても、リード動作やライト動作を行うことはない。
【0092】
また、コントロールロジック回路63の出力は、モードレジスタ64にも供給されている。これにより、コントロールロジック回路63の出力がモードレジスタセットを示している場合、アドレス信号によってモードレジスタ64の設定値が上書きされる。これにより、コアチップCC0〜CC7の動作モードが設定される。
【0093】
さらに、コアチップCC0〜CC7には、内部電圧発生回路70が設けられている。内部電圧発生回路には電源電位VDD,VSSが供給されており、内部電圧発生回路70はこれを受けて各種内部電圧を生成する。内部電圧発生回路70により生成される内部電圧としては、各種周辺回路の動作電源として用いる内部電圧VPERI(≒VDD)、メモリセルアレイ50のアレイ電圧として用いる内部電圧VARY(<VDD)、ワード線WLの活性化電位である内部電圧VPP(>VDD)などが含まれる。また、コアチップCC0〜CC7には、パワーオン検出回路71も設けられており、電源の投入を検出すると各種内部回路のリセットを行う。
【0094】
コアチップCC0〜CC7に含まれる上記の周辺回路は、TSVを介してインターフェースチップIFから供給される内部クロック信号ICLKに同期して動作する。TSVを介して供給される内部クロック信号ICLKは、入力バッファB2を介して各種周辺回路に供給される。
【0095】
以上がコアチップCC0〜CC7の基本的な回路構成である。コアチップCC0〜CC7には外部とのインターフェースを行うフロントエンド部が設けられておらず、このため、原則として単体で動作させることはできない。しかしながら、単体での動作が一切不可能であると、ウェハ状態でのコアチップの動作試験を行うことができなくなってしまう。これは、インターフェースチップと複数のコアチップの組み立て工程を経た後でなければ、半導体装置10を試験することができないことを示し、半導体装置10を試験することによって、各コアチップをそれぞれ試験することを意味する。コアチップに回復できない欠陥がある場合、半導体装置10全体の損失を招くことになる。この点を考慮して、本実施形態では、コアチップCC0〜CC7にはいくつかのテストパッドTPとテスト用のコマンドデコーダ65のテスト用フロントエンド部で構成される試験用に擬似的なフロントエンド部の一部が設けられており、テストパッドTPからアドレス信号、テストデータやコマンド信号の入力が可能とされている。試験用のフロントエンド部は、あくまでウェハ試験において簡素な試験を実現する機能の回路であり、インターフェースチップ内のフロントエンド機能をすべて備えるわけではない、ことに注意が必要である。例えば、コアチップの動作周波数は、フロントエンドの動作周波数よりも低いことから、低周波で試験するテスト用のフロントエンド部の回路で簡素に実現することができる。
【0096】
テストパッドTPの種類は、インターポーザIPに設けられた外部端子とほぼ同様である。具体的には、クロック信号が入力されるテストパッドTP1、アドレス信号が入力されるテストパッドTP2、コマンド信号が入力されるテストパッドTP3、テストデータの入出力を行うためのテストパッドTP4、データストローブ信号の入出力を行うためのテストパッドTP5、電源電位を供給するためのテストパッドTP6などが含まれている。
【0097】
テスト時においては、デコードされていない通常の外部コマンドが入力されるため、コアチップCC0〜CC7にはテスト用のコマンドデコーダ65も設けられている。また、テスト時においては、シリアルなテストデータが入出力されることから、コアチップCC0〜CC7にはテスト用の入出力回路55も設けられている。
【0098】
以上が本実施形態による半導体記憶装置10の全体構成である。このように、本実施形態による半導体記憶装置10は、1Gbのコアチップが8枚積層された構成を有していることから、合計で8Gbのメモリ容量となる。また、チップ選択信号/CSが入力される端子(チップ選択端子)は1つであることから、コントローラからはメモリ容量が8Gbである単一のDRAMとして認識される。
【0099】
上記の構成を有する半導体記憶装置10は、電源投入時におけるリセット信号/RESETの変化に応答して切替制御回路200が活性化され、切替情報保持回路210に保持された貫通電極切替情報SWが各コアチップCC0〜CC7内の切替回路100〜107に転送される。これにより、コアチップCC0〜CC7内において貫通電極切替情報SWをそれぞれ不揮発的に記憶する必要がないことから、コアチップCC0〜CC7のチップ面積を削減することが可能となる。
【0100】
尚、
図10には、データ系のTSVにのみ切替回路を設けた例が示されているが、
図11に示すように、他の信号、つまりアドレス信号やコマンド信号を伝送するためのTSVにも切替回路700〜708,800〜808を設けることが好ましい。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0102】
例えば、上記実施形態では、チップ積層型のDRAMを例に説明したが、積層される半導体チップの種類については特に限定されず、SRAM,PRAM,MRAM,RRAM,フラッシュメモリなど他のメモリデバイスであっても構わないし、CPUやDSPなどのロジック系デバイスであっても構わない。