特許第6467658号(P6467658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467658
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】振動処理装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/10 20060101AFI20190204BHJP
   A61L 2/06 20060101ALI20190204BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20190204BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20190204BHJP
   F26B 11/02 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B08B3/10 A
   A61L2/06
   B08B3/02 B
   F26B3/04
   F26B11/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-86598(P2013-86598)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-210220(P2014-210220A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月24日
【審判番号】不服2017-12974(P2017-12974/J1)
【審判請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004879
【氏名又は名称】三菱マテリアルテクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】金成 大
(72)【発明者】
【氏名】中園 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 優樹
【合議体】
【審判長】 堀川 一郎
【審判官】 長馬 望
【審判官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−140017(JP,U)
【文献】 特開昭48−019065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/10
A61L 2/06
B08B 3/02
F26B 3/04
F26B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状とされて上部に開口部が形成され処理対象物が収容可能とされるとともに軸線が鉛直方向に配置された容器と、
前記容器の開口部を閉塞する蓋部材と、
前記容器を振動させる振動モータと、
前記容器を支持する支持部材と、
前記容器内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えた振動処理装置であって、
前記振動モータは、
偏心ウエイトが回転軸と回転することにより振動を発生する構成とされるとともに、前記容器の外周に前記回転軸を前記容器の軸線に対してねじれる方向に配置され、
前記容器内には、前記容器の底部と対応して形成され前記処理対象物が載置可能とされるとともに前記底部との間に排水部が画成可能とされる処理対象物載置部が形成され、
かつ前記振動モータは堆積した処理対象物を前記処理対象物載置部の上面で前記容器の軸線周りを周回運動させながら前記容器内で飛び跳ねさせるように構成されていることを特徴とする振動処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動処理装置であって、
平面視前記処理対象物載置部の中央部に、上方に向かって膨出する凸形状部が形成されていることを特徴とする振動処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動処理装置であって、
平面視前記処理対象物載置部に、前記凸形状部を中心とする環状凹部が形成されていることを特徴とする振動処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の振動処理装置であって、
前記容器内に蒸気を供給する蒸気供給手段を備えていることを特徴とする振動処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動処理装置であって、
前記容器内に熱風を供給する熱風供給手段を備えていることを特徴とする振動処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動処理装置であって、
前記容器内を減圧する減圧手段を備えることを特徴とする振動処理装置。
【請求項7】
有底円筒状とされて上部に開口部が形成され前記容器内に処理対象物が収容可能とされるとともに軸線が鉛直方向に配置された容器と、
前記容器の開口部を閉塞する蓋部材と、
偏心ウエイトが回転軸と回転することにより振動を発生するとともに、前記容器の外周に前記回転軸を前記容器の軸線に対してねじれる方向に配置された振動モータと、
前記容器を支持する支持部材と、
前記容器内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記容器内には、前記容器の底部と対応して形成され前記処理対象物が載置可能とされるとともに前記容器の底部との間に排水部が画成可能とされる処理対象物載置部と備えた振動処理装置により、前記振動モータが容器を振動させることにより堆積した処理対象物を前記処理対象物載置部の上面で前記容器の軸線周りを周回運動させながら前記容器内で飛び跳ねさせることを特徴とする振動処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリンジのシール材やバイアル等の医薬品容器を密封するゴム栓をはじめとする種々の処理対象物を洗浄、滅菌、乾燥等の振動処理するための振動処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、シリンジのシール材やバイアルをはじめとする医薬品容器を密封するためのゴム栓等、医療用品の構成部品は、これら構成部品等に雑菌やウイルス等が付着、汚染するのを防止するために、洗浄、滅菌、乾燥した後に、組立て、装着を行って医療用品とすることが一般的である。
【0003】
これらシリンジのシール材や医薬品容器のゴム栓等を滅菌に関して、振動モータにより容器を振動し、容器内の処理対象物を振動させることで、効率的に洗浄、滅菌等の処理をする振動処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−75559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された振動処理装置を用いて、洗浄、滅菌、乾燥をすることで、洗浄、滅菌、乾燥の効率、信頼性は飛躍的に向上したものの、容器内の位置により処理効率が異なることから、洗浄、滅菌、乾燥を斑なく充分に行なうためには、振動周波数、振幅、振動時間等の振動処理条件を調整する必要があるうえ、容器内の最も洗浄、滅菌、乾燥等の効率が低い位置に合わせて処理条件を設定する必要があった。
【0006】
このように、処理対象物ごとに適切な振動処理条件の検証や、設定、調整が必要とされると、これら検証、設定等に多くの労力を要するうえに、振動処理条件を処理対象物ごとに設定することに起因してする稼働率が低下して処理能力(出来高)の向上が難しいという問題がある。
また、医療分野では、形状、材質により多くの処理対象物があるため、処理対象物の種類等による処理時間の影響をできるだけ抑制して短時間で効率よく洗浄、滅菌することが、衛生上も好ましい。
【0007】
そこで、振動モータにより容器内の処理対象物を振動させて、洗浄、滅菌、乾燥等の振動処理を、処理対象物の形状、材質等に影響されにくく、効率的に処理することが可能な技術に対する強い要請がある。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、振動モータにより容器を振動させて、容器内に収容した処理対象物に対して、処理対象物の形状、種類等の影響を抑制して、洗浄、滅菌、乾燥の少なくともいずれかひとつの振動処理を効率的に行なうことが可能な振動処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、有底円筒状とされて上部に開口部が形成され処理対象物が収容可能とされるとともに軸線が鉛直方向に配置された容器と、前記容器の開口部を閉塞する蓋部材と、前記容器を振動させる振動モータと、前記容器を支持する支持部材と、前記容器内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備えた振動処理装置であって、前記振動モータは、偏心ウエイトが回転軸と回転することにより振動を発生する構成とされるとともに、前記容器の外周に前記回転軸を前記容器の軸線に対してねじれる方向に配置され、前記容器内には、前記容器の底部と対応して形成され前記処理対象物が載置可能とされるとともに前記底部との間に排水部が画成可能とされる処理対象物載置部が形成され、かつ前記振動モータは堆積した処理対象物を前記処理対象物載置部の上面で前記容器の軸線周りを周回運動させながら前記容器内で飛び跳ねさせるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の発明は、振動処理方法であって、有底円筒状とされて上部に開口部が形成され前記容器内に処理対象物が収容可能とされるとともに軸線が鉛直方向に配置された容器と、前記容器の開口部を閉塞する蓋部材と、偏心ウエイトが回転軸と回転することにより振動を発生するとともに、前記容器の外周に前記回転軸を前記容器の軸線に対してねじれる方向に配置された振動モータと、前記容器を支持する支持部材と、前記容器内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記容器内には、前記容器の底部と対応して形成され前記処理対象物が載置可能とされるとともに前記容器の底部との間に排水部が画成可能とされる処理対象物載置部と備えた振動処理装置により、前記振動モータが容器を振動させることにより堆積した処理対象物を前記処理対象物載置部の上面で前記容器の軸線周りを周回運動させながら前記容器内で飛び跳ねさせることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る振動処理装置、振動処理方法によれば、有底円筒状とされ、軸線が鉛直方向に配置された容器内で、容器の底部と対応して形成された処理対象物載置部の上で、堆積した処理対象物を容器の軸線周りを周回運動させながら容器内で飛び跳ねさせるので、洗浄、滅菌、乾燥等の振動処理が、処理対象物が投入された位置により影響されにくい。その結果、処理対象物に斑が発生しにくく、処理対象物を効率的に処理(洗浄、滅菌、乾燥の少なくともいずれか)することができる。また、容器に配置された処理対象物載置部と底部との間に排水部が画成されるので、処理対象物を処理するために用いた処理液(例えば、洗浄液、蒸気のドレン等)を、処理対象物に長時間接触することなく容器外に排出させることができるので、効率的に処理することができる。
その結果、処理対象物の形状、種類等の影響を抑制して、振動処理を効率的に行なうことができる。
また、処理対象物が移動することで、洗浄液等に効率的に接触するので、短時間で振動処理することができ、洗浄液等の使用量を削減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の振動処理装置であって、平面視前記処理対象物載置部の中央部に、上方に向かって膨出する凸形状部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る振動処理装置によれば、平面視前記処理対象物載置部の中央部に、上方に向かって膨出する凸形状部が形成されているので、処理対象物が軸線周りを安定して周回するとともに、処理対象物を処理した後の処理液を、処理対象物載置部の下方からのみならず、凸形状部側方からも排出されることができるので、処理液を効率的に排出することができる。その結果、処理液が長時間接触することに起因する処理対象物の処理斑を抑制し、処理対象物を効率的に処理することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の振動処理装置であって、平面視前記処理対象物載置部に、前記凸形状部を中心とする環状凹部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る振動処理装置によれば、処理対象物載置部に平面視して凸形状部を中心とする環状凹部が形成されているので、処理対象物が凸形状部の周囲を安定して周回するとともに、処理液が容器内周側からも排出されて効率的に処理することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の振動処理装置であって、前記容器内に蒸気を供給する蒸気供給手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る振動処理装置によれば、蒸気を供給する蒸気供給手段を備えているので、効率的に洗浄、滅菌をすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の振動処理装置であって、前記容器内に熱風を供給する熱風供給手段を備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る振動処理装置によれば、振動に加えて容器内に熱風を供給することにより、処理対象物を効率的に乾燥することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の振動処理装置であって、前記容器内を減圧する減圧手段を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る振動処理装置によれば、減圧手段を備えていて、容器内を減圧することができるので、処理対象物の振動に加えて処理対象物間に残留、付着した処理液を効率的に除去することができる。
また、洗浄、滅菌処理を行なう際に容器内を減圧した場合、堆積した処理対象物間に洗浄液、蒸気を容易に入り込ませることができ、処理の効率及び品質を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る振動処理装置、振動処理方法によれば、容器内に収容した処理対象物を効率的に振動処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態に係る振動処理装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る振動処理装置を正面視した一部縦断面図である。
図3】第1の実施形態に係る処理対象物載置板の取付構造の概略を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る振動処理装置の平面図である。
図5】第1の実施形態に係る振動処理装置の正面図であり、容器を装置架台から分離した状態を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る処理対象物載置板による振動処理の一例を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態に係る振動処理装置の作用を説明する図であり、(A)は振動処理装置が振動している状態を、(B)は振動処理装置本体を装置架台から分離した状態を、(C)は処理対象物を排出する状態を示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る要部の概略構成を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る要部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1から図7を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動処理装置の概略を示す図であり、符号1は振動処理装置を示している。
【0025】
振動処理装置1は、図1に示すように、振動処理装置本体2と、装置架台(支持部材)3と、洗浄液供給手段5と、蒸気供給手段6と、処理液排出手段7と、減圧手段8と、熱風供給手段9とを備え、例えば、シリンジのシール材やバイアル等に用いるゴム栓等の処理対象物Wを振動することにより、洗浄、滅菌、乾燥するように構成されている。
【0026】
振動処理装置本体2は、容器20と、容器支持部材30と、振動モータ40とを備え、例えば、上方に移動して装置架台3から分割可能とされ、かつ容器支持部材30を装置架台3に載置することで、容器20の軸線Cが、鉛直(床面に対して垂直)に配置されるようになっている。
【0027】
容器20は、図1図3に示すように、有底円筒状に形成された容器本体21と、容器本体21にヒンジで取付けられた蓋部材25とを備え、蓋部材25の上部には対象物投入排出部25Aが形成されている。かかる構成により、容器20を所定角度に傾動するとともに対象物投入排出部25Aを開口して、処理が完了した処理対象物(製品)Wを容器20から排出可能とされている。また、対象物投入排出部25Aは、容器20の内部を外気に対して密封可能とされている。
【0028】
容器本体21は、有底円筒状に形成された外殻22と、外殻22の内方に配置される内側壁部23と、処理対象物Wを載置する処理対象物載置板(処理対象物載置部)24とを備えている。
外殻22は、外殻22の上側をなす上側外殻22Aと、外殻22の下側をなす下側外殻22Bとを備え、上側外殻22Aの内周側には、内側壁部23が配置されている。また、外殻22の内周側には、容器20内の熱を保持しやすくするために、断熱材(不図示)が設けられている。
【0029】
また、上側外殻22Aの下端面と、下側外殻22Bの上端面とは、互いに突き当てることで取付け可能なフランジ部とされ、上側外殻22Aと下側外殻22Bのフランジ部同士を突き当てて、例えば、ボルト等(不図示)により固定することで、外殻22が形成されるようになっている。
【0030】
また、下側外殻22Bは、処理対象物載置板24を取付け、固定するための取付部22Sが、上側外殻22Aと対応するフランジの内周側にフランジより一段下がった位置に形成されており、例えば、処理対象物載置板24を取付部22Sにボルト等により取付け可能とされている。
【0031】
内側壁部23は、外殻22の内周に間隙を設けて配置され、外殻22の内部にジャケット26が画成された二重構造とされていて、容器本体21の外部の経路からジャケット26に温水又は水蒸気等の加熱媒体又は冷却水等の冷却媒体を流通して、処理対象物W及び洗浄液を加熱又は冷却して洗浄時の処理対象物Wの温度を調節可能とされている。
【0032】
処理対象物載置板24は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成され、外殻22Bの内部に処理対象物Wが載置可能に配置されていて、洗浄液や蒸気が凝縮した処理液が下方及び側方に排出可能とされている。
【0033】
また、この実施形態において、処理対象物載置板24は、中央部に軸線Cを中心として上方に向かって膨出する凸形状部24Tが形成されるとともに、凸形状部24Tを中心として下側外殻22Bの内壁に沿って上方に伸びることで下側外殻22Bのフランジ部(取付部)から下方側に膨出する環状凹部24Sが形成された形状とされ、振動処理された処理対象物Wが凸形状部24Tの周囲(環状凹部24S内)を飛び跳ねながら軸線C周りに周回運動するようになっている。
【0034】
蓋部材25は、中央部が容器20の軸線C方向上方に膨出して形成されていて、容器本体21にヒンジにより取付けられて、例えば、メンテナンス等に際して、蓋部材25を傾動して開閉可能とされている。なお、蓋部材25を二重構造として、内部に外殻22同様のジャケットを形成してもよい。
している。
【0035】
また、容器本体21(外殻22、内側壁部23及び処理対象物載置板24)、蓋部材25は、例えば、SUS316Lにより形成されていて、洗浄において用いられる薬剤や蒸気による錆や腐食が抑制されるようになっている。
【0036】
また、容器本体21の下部には、容器20の内部と外部とを連通可能とする処理液排出部20Sが設けられ、処理液排出部20Sはスライドバルブ20Tにより開閉可能とされていて、ハンドル20Hによりスライドバルブ20Tを開くことで、処理液排出部20Sが開口されて処理液を容器20外に排出するようになっている。
【0037】
容器支持部材30は、容器本体21を支持する水平支持部30と、水平支持部30を水平に維持するとともに装置架台3に載置する支持柱32とを備え、軸線Cを鉛直にして容器本体21を装置架台3に載置可能とされている。
【0038】
水平支持部30は、それぞれ中央部に容器本体21と対応する穴が形成された上側支持板31Aと、下側支持板31Bとを備え、上側支持板31Aは容器本体21の高さ方向中央より上側で、下側支持板31Bは容器本体21の高さ方向中央より下側で、容器本体21の外周で軸線Cと直交して連結されている。
また、上側支持板31A及び下側支持板31Bは、支持柱32により互いに平行に連結されている。
【0039】
振動モータ40は、その回転軸(不図示)に該回転軸の中心から偏心して形成された偏心ウェイト(不図示)を有し、偏心ウェイトが回転軸とともに回転することにより回転軸と直交する面内に周回振動を発生するものである。
【0040】
また、振動モータ40は、例えば、容器本体21の軸線C方向(高さ方向)中央近傍において容器本体21の外周に接し、かつ振動モータ40の回転軸の軸線40Jが容器本体21の軸線Cと45度の角度で交差する方向に設けられていて、処理対象物Wが、振動して飛び跳ねながら容器20を周回するようになっている。なお、振動モータ40は、洗浄する処理対象物Wの種類等に応じて、回転数や振動の周波数等を適宜設定して駆動することができる。
【0041】
また、容器本体21の高さ方向中央部には、筒状に形成されたリフト受部Uが、容器本体21の周方向に、180間隔をあけて配置されていて、リフトのアームを挿入することで、容器20を装置架台3からリフトアップできるようになっている。
【0042】
装置架台3は、例えば、基台の上部に4本の支柱が立設する構成とされていて、この実施形態では、装置架台3の上部は緩衝部材3Aが配置され、振動モータ40により容器20に付与された振動が装置架台3に緩やかに伝達されるようになっている。
【0043】
洗浄液供給手段5は、洗浄液供給ノズル51と、バルブ52とを備え、上流側が給水源に接続され、下流側が蓋部材25を介して容器20内に開口して、バルブ52を開状態とすることで、洗浄水を容器20内に供給するようになっている。
【0044】
洗浄液供給ノズル51は、例えば、容器20内部の上部に配置されるとともに下方に開口する構成とされ、容器20が振動モータ40により処理対象物Wが飛び跳ねた場合に、洗浄液としての洗浄水を噴射するようになっている。なお、この実施形態では、洗浄液供給ノズル51をひとつ図示しているが、複数の洗浄液供給ノズル51を軸線Cの周囲に配列する構成としてもよい。
【0045】
蒸気供給手段6は、蒸気供給ノズル61と、蒸気バルブ62とを備え、蒸気ノズル61は、蒸気バルブ62を介して上流側が、例えば、クリーン蒸気源に接続されるとともに下流側が蓋部材25を介して容器20内に開口していて、蒸気バルブ62を開くことによって容器20内に蒸気を供給するようになっている。なお、蒸気供給ノズル61は、下方に開口していることが熱効率の観点から効率的であり、蒸気供給ノズル61を軸線C周りに複数配列する構成とすることが温度の偏りを軽減する観点で好適である。
【0046】
処理液排出手段7は、容器下部の処理液排出部20Sに接続された排出管70と、排出管70の下流側に接続された処理液排出管70A及び蒸気ドレン管70Bとを備えており、排出管70にはバルブ71Aが、処理液排出管70Aにはバルブ71Bが、蒸気ドレン管70Bにはバルブ71Cが配置されている。
【0047】
その結果、処理液排出部20Sのスライドバルブ20Tをハンドル20Hで開状態とするとともにバルブ71A及びバルブ71Bを開くことで処理液が、バルブ71A及びバルブ71Bを開くことで蒸気ドレンが処理液排出手段7を介して容器20外に排出可能とされている。
【0048】
減圧手段8は、例えば、真空ポンプ81と、ドレンタンク82と、吸引ホース83とを備え、吸引ホース83は上流側がバルブ84を介して容器20上部の蓋部材25を介して容器20内に接続されている。
【0049】
ドレンタンク82は、真空ポンプ81により吸引された流体(空気、蒸気、洗浄液ミスト等)が排出されるようになっており、吸引した流体に含まれる水分を空気と分離するとともに凝縮した蒸気をドレンとして排出可能とされている。
【0050】
なお、図1図2における洗浄液供給手段5、蒸気供給手段6、処理液排出手段7、減圧手段8、熱風供給手段9の容器本体21への接続及び洗浄液供給ノズル51、蒸気供給ノズル61の接続及び数は簡易的に示したものである。
【0051】
熱風供給手段9は、例えば、送風機と、熱源と、送風ホースとを備え、熱源で発生させた熱を送風機により、送風ホースを介して容器20下部に接続され、容器20内に熱風を送風するようになっている。なお、減圧手段8で容器20内を減圧して、ジャケット26内に温水等を流通させて加熱するとともに振動処理することにより、処理対象物Wを乾燥する構成としてもよい。
【0052】
なお、この実施形態において、振動処理装置1は、例えば、図6に示すように、装置殺菌、洗浄、滅菌、乾燥を、この順に処理するように構成されている。
【0053】
次に、振動処理装置1による処理対象物Wの振動処理について説明する。
以下、装置殺菌、洗浄、滅菌、乾燥の順に説明する。
<装置殺菌>
1)まず、処理対象物Wを投入する前に、対象物投入排出部25Aを閉めて、容器20内を密閉状態とする。
2)次に、蒸気ノズル61から蒸気を供給して、容器20内を加熱して殺菌する。
3)このとき、スライドバルブ20Tを開いて、供給された蒸気を処理液排出部20S経由で処理液排出手段7を介して容器20外に排出する。
なお、処理液排出部20Sからの処理液及び蒸気ドレンの排出を装置殺菌が終了した後に行ってもよい。
<洗浄>
1)まず、対象物投入排出部25Aを開いて処理対象物Wを投入する。処理対象物Wを投入したら、対象物投入排出部25Aを閉じて容器20内を密閉状態とする。
2)次に、図7(A)に示すように、洗浄液ノズル51から洗浄液として洗浄水を噴射するとともに、振動モータ40を矢印T方向に駆動して、処理対象物Wが容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動するように、容器20を振動させる。なお、洗浄にあたって、蒸気ノズル61から蒸気を供給してもよい。
3)洗浄にあたっては、必要に応じて、処理液排出部20Sのスライドバルブ20T、バルブ71A、71Cを開いて処理液排出管70Aを流通可能として、容器20内に供給された洗浄水を処理液排出部20S及び処理液排出手段7を介して容器20外に排出する。
また、蒸気を使用する場合は、必要に応じてバルブ71Bを開いて蒸気ドレンを排出する。
なお、例えば、処理対象物Wに微細な凹部又は空孔が形成されているような場合に、振動モータ40の駆動に先立ち、又は振動モータ40の駆動とともに減圧手段8を駆動して容器20内を所定圧力まで減圧し、処理対象物Wに微細な凹部又は空孔内に洗浄液を入り込みやすくしてもよい。
なお、必要に応じて、供給した洗浄液を所定の液位まで容器20内に貯留しながら洗浄してもよい。
4)処理対象物Wの洗浄が終了したら、処理液排出管70Aから処理液を容器20の外に充分に排出する。
【0054】
<滅菌>
殺菌は、洗浄した処理対象物Wを容器20内に収容したまま移行する。
1)まず、蒸気ノズル61から蒸気を供給する。
このときの蒸気は、例えば、容器20内に供給された状態で0.15MPa(125℃)とされ、容器20内及び処理対象物Wを加圧するとともに加熱する。
2)次いで、振動モータ40を矢印T方向に駆動して、処理対象物Wが容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動するように、容器20を振動させる。
3)振動モータ40による振動及び蒸気ノズル61から容器20内への蒸気の供給はタイマにより所定時間(例えば、20分)行なう。
4)滅菌にあたっては、バルブ71A、71B、71Cを開いて処理液排出管70Aを流通可能として蒸気ドレンを容器20の外に排出させる。
この処理液及び蒸気ドレンの排出は、処理液排出手段7に配置された図示しない背圧弁を介し、又はバルブ71A,71B、71Cを間欠で開放することにより容器20内の圧力を維持しながら行なわれる。
5)処理対象物Wの殺菌が終了したら、処理液排出管70A、蒸気ドレン管70Bを開いて、蒸気ドレンを容器20の外に充分に排出する。
【0055】
<乾燥>
乾燥は、殺菌に引き続いて行われ、殺菌した処理対象物Wを容器20内に収納したまま移行する。
1)減圧手段8を駆動して容器20内を所定圧力まで減圧する。
2)次いで、振動モータ40を駆動して、処理対象物Wが容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動するように、容器20を振動させる。
なお、容器20内の減圧に代えて又は減圧とともに容器20の下側から容器20内に熱風を供給して処理対象物Wを乾燥させる。このとき、熱風は、例えば、乾燥された処理対象物Wの温度が、例えば、70℃となる程度の温度のものが用いられる。
なお、熱風の供給とともに又は熱風の供給に代えて、減圧手段8で容器20内を減圧して、ジャケット26内に温水等を流通して加熱しながら、振動モータ40により、処理対象物Wが容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動するように容器20を振動させてもよい。
<完成品の排出>
1)乾燥が終了したら、例えば、図7(B)に示すように、振動処理装置本体2のリフト受部UにリフトのアームLを挿入して、上方(矢印T1方向)リフトアップして、装置架台3から分離して傾動台車100に搬送する。
2)傾動台車100に搬送したら、振動処理装置本体2を矢印T2方向に傾けるとともに、対象物投入排出部25Aを矢印T3方向に傾けて開き、容器20内の処理対象物Wを完成品容器Aに排出する。
なお、一連の滅菌作業において、ジャケット26に温水又は水蒸気等の加熱用熱媒体又は冷水等の冷却用熱媒体を流通させて容器20内の処理対象物Wを材料の特性に適合させてもよい。
【0056】
以上、説明したように、振動処理装置1によれば、処理対象物Wが、容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動して容器20内を移動するので、処理対象物Wが投入された位置に関わらず、洗浄液、蒸気等が接触し易く、の結果、処理対象物に斑が発生しにくく、処理対象物を効率的に処理(洗浄、滅菌、乾燥の少なくともいずれか)することができる。
【0057】
また、振動処理装置1によれば、処理対象物載置板24上にて、処理対象物Wが容器20の軸線C周りを飛び跳ねさせながら周回運動するので、処理対象物W同士間に隙間が形成されやすいので、洗浄液、蒸気、減圧された空気等が処理対象物W間を流通しやすく、洗浄、滅菌、乾燥における斑の発生を抑制して、効率的かつ品質を向上することができる。
【0058】
また、振動処理装置1によれば、処理対象物載置板24と容器20の底部との間に排水部が画成されて、処理対象物Wを処理するために用いた処理液(例えば、洗浄液、蒸気のドレン等)を、容器20外に効率的に排出されるので、斑の発生を抑制することができる。
また、処理対象物Wが洗浄液等と効率的に接触するので、短時間で振動処理することができ、洗浄液等の使用量を削減することができる。
【0059】
また、振動処理装置1によれば、処理対象物Wを投入した後、処理対象物Wを投入した後、洗浄、滅菌、乾燥が完了するまでの間、人手を介する必要がないので、生産性を向上することができる。
また、滅菌作業中に人手が介在しないので、処理対象物Wが破損しにくく、また、処理対象物Wの汚染が抑制される。
【0060】
次に、図8を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。
第2実施形態が、第1実施形態と異なるのは、処理対象物載置板24Aが下側(容器底部側)に膨出して形成されていて、その結果、処理対象物Wが処理対象物載置板24上面に広く分布して、薄い厚さで堆積して振動処理されるので効率的に処理することができる点であり、その他は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0061】
次に、図9を参照して、この発明の第3の実施形態について説明する。
第3実施形態が、第1実施形態と異なるのは、処理対象物載置板24Bが略平板状にて形成されていて、その結果、処理対象物Wが処理対象物載置板24上面に広く分布して薄い厚さで堆積して、容器20内の周壁に沿って容易に飛び跳ねながら周回するので効率的に処理することができる点であり、その他は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0062】
また、振動処理装置1によれば、処理対象物載置板24が平板状に形成されていて、処理対象物載置板24の中央側に集中して処理対象物Wが載置されることが抑制されるので、処理対象物Wに振動が効率的に伝達され、ひいては、処理対象物Wの品質及びエネルギー効率を向上することができる。
【0063】
なお、上記の実施形態において記載した技術的事項については、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、振動処理装置が、装置殺菌、洗浄、滅菌、乾燥を一連の処理を順次行なう場合について説明したが、例えば、洗浄のみを行なってもよいし、洗浄と、装置殺菌、滅菌、乾燥のなかから選択したいずれかの処理を組合せて適用してもよい。
【0064】
また、上記実施の形態においては、振動モータ40の回転軸の軸線40Jを容器20の軸線Cと45°の交差角で交差する場合について説明したが、例えば、振動モータ40の回転軸の軸線を容器20の軸線Cに対して、例えば、30°、60°等、45°以外の交差角で交差させる構成としてもよい。
【0065】
また、蒸気供給手段6による蒸気の供給、処理液排出手段7による蒸気、処理液の排出、減圧手段8による容器20内の減圧、ジャケット26に対する熱媒体の供給、熱風供給手段による容器20内への熱風の供給に関しては、いずれを実施するかどうか及び実施する場合のタイミング等を自在に設定することができる。
【0066】
また、上記実施の形態においては、振動処理装置本体2を傾動台車100に搬送して振動処理装置本体2を傾けるとともに対象物投入排出部25Aを開いて、完成品容器Aに処理対象物Wを排出する場合について説明したが、振動処理装置本体2を装置架台3上で傾動させる構成としてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態においては、例えば、容器本体21が、上側外殻22Aと下側外殻22Bとを備え、取付部22Sに処理対象物載置板24を取付けてから、上側外殻22Aと下側外殻22Bのフランジ同士を突き当てて外殻22を構成する場合について説明したが、例えば、上側外殻22Aと下側外殻22Bとが一体に形成された構成とされてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態においては、容器20がSUS316Lである場合について説明したが、例えば、SUS304等、洗浄に耐えられる周知の材料を適用可能なことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る振動処理装置によれば、処理対象物に効率的に滅菌することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
C 軸線(容器)
W 処理対象物
1 振動処理装置
2 振動処理装置本体
3 装置架台(支持部材)
5 洗浄液供給手段
6 蒸気供給手段
7 処理液排出手段
8 減圧手段
9 熱風供給手段
20 容器
24、24A、24B 処理対象物載置板(処理対象物載置部)
24T 凸形状部
24S 環状凹部
25A 対象物投入排出部
30 容器支持部材
40 振動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9