特許第6467660号(P6467660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6467660ポリオール組成物およびポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467660
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ポリオール組成物およびポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/00 20060101AFI20190204BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20190204BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   C08L71/00 Z
   C08G18/42 088
   C08G18/00 F
【請求項の数】11
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2015-64028(P2015-64028)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183249(P2016-183249A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】315019414
【氏名又は名称】三井化学SKCポリウレタン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】佐野 幸一
(72)【発明者】
【氏名】石川 篤
【審査官】 尾立 信広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−277560(JP,A)
【文献】 特開2010−202762(JP,A)
【文献】 特開2014−125516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/00− 71/14
C08L 67/00− 67/08
C08L 75/00− 75/16
C08L 91/00− 91/08
C08G 18/00− 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分と相分離抑制剤とを含有するポリオール組成物であって、
ポリオール成分として下記成分(A)および下記成分(B)を含有し、
相分離抑制剤として下記成分(C)を含有し、
前記成分(C)が、硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物を含有し、
前記硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物において、エチレンオキシドの平均付加モル数が、前記硬化ひまし油1モルに対して、45モル以上120モル以下である
ことを特徴とする、ポリオール組成物。
成分(A):縮合していてもよい植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物である、ポリエステルポリオール
成分(B):ポリエーテルポリオール
成分(C):水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物
【請求項2】
前記植物由来脂肪酸が、水酸基含有脂肪酸を含有することを特徴とする、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記植物由来脂肪酸が、ひまし油脂肪酸を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記水酸基含有脂肪酸が、水酸基含有モノカルボン酸を含有することを特徴とする、請求項2または3に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
前記水酸基含有脂肪酸が、リシノレイン酸を含有することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
成分(A)と、成分(B)と、エチレンオキシドの平均付加モル数がpSである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(CS))と、エチレンオキシドの平均付加モル数がpLである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(CL))とを少なくとも配合してなり、
pS<pLであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
成分(B)の水酸基価が、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
成分(A)の水酸基価が、30mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
前記ポリオール成分と前記相分離抑制剤との総量100質量部に対して、
成分(A)の含有割合が、5質量部以上50質量部以下である
ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項10】
前記ポリオール成分と前記相分離抑制剤との総量100質量部に対して、
成分(C)の含有割合が、0.5質量部以上10質量部以下である
ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリオール組成物と、
ポリイソシアネート成分と
を反応させることにより得られることを特徴とする、ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール組成物およびポリウレタンフォームに関し、詳しくは、ポリオール組成物、および、そのポリオール組成物を用いて得られるポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリウレタンフォームは、ポリオールとポリイソシアネートとを、発泡剤の存在下、反応および発泡させることにより製造されている。
【0003】
上記のポリオールとしては、一般に、多価アルコールを開始剤とするポリアルキレンオキサイドの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールや、多価アルコールと多塩基酸との縮合重合によって得られるポリエステルポリオールなどがよく知られている。
【0004】
このようなポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールは、石油由来の石油化学製品であるが、近年、石油の枯渇が危惧されており、また、石油化学製品は、焼却廃棄時に多量の二酸化炭素を排出するため、地球環境への負荷が懸念されている。
【0005】
そのため、ポリオールとして、石油化学製品を原料とするポリオールに代替して、バイオマスを原料とするポリオールが提案されている。バイオマスは、燃焼すると二酸化炭素を排出する一方、その出発原料である生物体、とりわけ、植物は、成長時において、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収するため、バイオマスを燃焼しても大気中の二酸化炭素を実質的に増加させない、カーボンニュートラルに対応している。
【0006】
このようなバイオマスを原料とするポリオールとしては、例えば、ひまし油を原料とするポリエステルポリオールなどが提案されている。
【0007】
また、上記のバイオマス由来のポリエステルポリオールは、石油由来のポリエーテルポリオールと混合して、ポリウレタンフォームの原料として用いることも、知られている。
【0008】
一方、バイオマス由来のポリエステルポリオールと、石油由来のポリエーテルポリオールとを混合すると、相分離を惹起する場合があり、その相分離したポリオール混合物をポリウレタンフォームの製造に用いると、得られる発泡体の機械物性(硬度、引張強度、伸び、引裂強度など)が低下する場合がある。
【0009】
そこで、バイオマス由来のポリエステルポリオールと、石油由来のポリエーテルポリオールとの混合において、相溶化剤を添加することが提案されている。
【0010】
より具体的には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび相溶化剤を含有するポリオール組成物において、相溶化剤として、トリメチロールプロパンおよびそのアルキレンオキサイド付加物を用いることが、提案されている(特許文献1参照)。
【0011】
また、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよび相溶化剤を含有するポリオール組成物において、相溶化剤として、水酸基価が20〜120mgKOH/gであり、HLBがポリエステルポリオールのHLBとポリエーテルポリオールのHLBとのうち、低い方のHLB値よりも0.3以上低い相溶化剤を用い、また、その配合量を、ポリオール組成物100質量%あたり0.1〜10質量%とすることが、提案されている(特許文献2参照)。
【0012】
また、大豆油系ポリオールなどの植物油系ポリオールと、プロピレンオキシド/エチレンオキシドポリエーテルポリオールなどの非植物油系ポリオールとの混合において、相分離を抑制するため、脂肪族アルコールエトキシレートおよび/または脂肪族フェノールエトキシレートを混合することが、提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−202762号公報
【特許文献2】特開2010−202761号公報
【特許文献3】特開2007−277560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかるに、上記のポリオール組成物はポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの相分離を抑制することができるが、一方、そのポリオール組成物を用いて得られるポリウレタンフォームは、耐久性などの機械物性(例えば、湿熱圧縮永久歪みなど)が十分ではない場合がある。
【0015】
また、ポリオール組成物は、夏場に屋外で保管される場合や、輸送される場合があるため、常温のみならず、比較的高温環境下(例えば、50℃以上)においても、長期に亘って相分離を抑制することが要求される場合がある。
【0016】
本発明の目的は、常温および比較的高温環境下において長期に亘って相分離を抑制することができるとともに、優れた機械物性のポリウレタンフォームを得ることができるポリオール組成物、および、そのポリオール組成物を用いて得られるポリウレタンフォームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のポリオール組成物は、ポリオール成分と相分離抑制剤とを含有するポリオール組成物であって、ポリオール成分として下記成分(A)および下記成分(B)を含有し、相分離抑制剤として下記成分(C)を含有することを特徴としている。
【0018】
成分(A):縮合していてもよい植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物である、ポリエステルポリオール
成分(B):ポリエーテルポリオール
成分(C):水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物
また、本発明のポリオール組成物では、前記植物由来脂肪酸が、水酸基含有脂肪酸を含有することが好適である。
【0019】
また、本発明のポリオール組成物では、前記植物由来脂肪酸が、ひまし油脂肪酸を含有することが好適である。
【0020】
また、本発明のポリオール組成物では、前記水酸基含有脂肪酸が、水酸基含有モノカルボン酸を含有することが好適である。
【0021】
また、本発明のポリオール組成物では、前記水酸基含有脂肪酸が、リシノレイン酸を含有することが好適である。
【0022】
また、本発明のポリオール組成物では、成分(C)が、硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物を含有し、前記硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物において、エチレンオキシドの平均付加モル数が、前記硬化ひまし油1モルに対して、45モル以上120モル以下であることが好適である。
【0023】
また、本発明のポリオール組成物では、成分(A)と、成分(B)と、エチレンオキシドの平均付加モル数がpである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))と、エチレンオキシドの平均付加モル数がpである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))とを少なくとも配合してなり、p<pであることが好適である。
【0024】
また、本発明のポリオール組成物では、成分(B)の水酸基価が、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好適である。
【0025】
また、本発明のポリオール組成物では、成分(A)の水酸基価が、30mgKOH/g以上120mgKOH/g以下であることが好適である。
【0026】
また、本発明のポリオール組成物では、前記ポリオール成分と前記相分離抑制剤との総量100質量部に対して、成分(A)の含有割合が、5質量部以上50質量部以下であることが好適である。
【0027】
また、本発明のポリオール組成物では、前記ポリオール成分と前記相分離抑制剤との総量100質量部に対して、成分(C)の含有割合が、0.5質量部以上10質量部以下であることが好適である。
【0028】
また、本発明のポリウレタンフォームは、上記のポリオール組成物と、ポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明のポリオール組成物は、相分離抑制剤として水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を含有しているので、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを混合しても、常温および比較的高温環境下において、長期に亘って相分離を抑制することができる。
【0030】
また、本発明のポリオール組成物を用いれば、優れた物性のポリウレタンフォームを得ることができる。
【0031】
また、本発明のポリウレタンフォームは、本発明のポリオール組成物を用いて得られるため、優れた機械物性(耐久性など)を備える。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のポリオール組成物は、ポリオール成分と、相分離抑制剤とを含有し、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール(成分(A))と、ポリエーテルポリオール(成分(B))とを含有している。
【0033】
成分(A)は、縮合していてもよい植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物である(以下、成分(A)を、バイオポリエステルポリオールとも称する。)。植物由来脂肪酸は、植物原料から得られる脂肪酸であって、例えば、植物油を加水分解することにより、得ることができる。植物油としては、その水素添加物(すなわち硬化植物油)を用いることもできる。植物由来脂肪酸としては、その水素添加物(すなわち硬化脂肪酸)を用いることもできる。
【0034】
植物油としては、例えば、ひまし油、大豆油、パーム油、ごま油、菜種油、ヤシ油、および、それらの水素添加物などが挙げられる。これら植物油は、単独使用または2種類以上併用することができる。植物油として、好ましくは、ひまし油が挙げられる。
【0035】
植物油の加水分解法としては、特に制限されず、公知の方法が採用される。
【0036】
また、植物由来脂肪酸は、好ましくは、水酸基を含有する脂肪酸(以下、水酸基含有脂肪酸と称する場合がある。)を含有している。
【0037】
水酸基含有脂肪酸としては、例えば、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸などの水酸基含有モノカルボン酸、リンゴ酸などの水酸基含有ジカルボン酸が挙げられる。これら水酸基含有脂肪酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0038】
バイオポリエステルポリオール(成分(A))の製造時における粘度を低下させ、作業性の向上を図る観点から、水酸基含有脂肪酸として、好ましくは、水酸基含有モノカルボン酸が挙げられ、より好ましくは、リシノレイン酸が挙げられる。
【0039】
植物由来脂肪酸中の水酸基含有脂肪酸の含有割合は、植物由来脂肪酸の総量に対して、例えば、85モル%以上、好ましくは、90モル%以上、より好ましくは、95モル%以上であり、通常、100モル%以下である。
【0040】
水酸基含有脂肪酸の含有割合が上記範囲であれば、成分(A)の製造時において、水酸基を含有しない脂肪酸による分子末端水酸基のキャッピングを抑制できるため、より反発弾性に優れるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0041】
なお、植物由来脂肪酸中の水酸基含有脂肪酸の含有割合は、ガスクロマトグラフなどの分析により求められるが、水酸基含有脂肪酸としてモノアルコールモノカルボン酸が用いられる場合には、JIS K−1557−1(2007年)の記載に準拠して測定される水酸基含有脂肪酸の水酸基価(OHV)と、JIS K−1557−5(2007年)の記載に準拠して測定される水酸基含有脂肪酸の酸価(AV)との比(OHV/AV)により求められる。
【0042】
植物由来脂肪酸に含有される水酸基含有脂肪酸は、用いられる植物油の種類に応じて、適宜選択される。
【0043】
例えば、植物油としてひまし油が用いられる場合には、その加水分解により得られるひまし油脂肪酸は、主成分として、水酸基含有脂肪酸であるリシノレイン酸を含有している。
【0044】
なお、ひまし油脂肪酸は、その他の脂肪酸として、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸を含有している。
【0045】
ひまし油脂肪酸における各脂肪酸の含有量は、例えば、ひまし油脂肪酸の総質量に対して、リシノレイン酸が、87〜90質量%、オレイン酸が、2.5〜4質量%、リノール酸が、4〜5質量%、リノレン酸が、0.5〜1.5質量%、パルミチン酸が、0.5〜1.5質量%、ステアリン酸が、0.5〜1.5質量%である。
【0046】
また、植物油として硬化ひまし油が用いられる場合には、その加水分解により得られる硬化ひまし油脂肪酸は、主成分として、水酸基含有脂肪酸である12−ヒドロキシステアリン酸を含有している。
【0047】
一方、植物油として大豆油、パーム油、ごま油、菜種油、ヤシ油、および、それらの水素添加物が用いられる場合、加水分解により得られる脂肪酸には、水酸基含有脂肪酸が含有されない場合がある。
【0048】
このような場合、上記の植物油を加水分解した後、得られる不飽和脂肪酸に、空気酸化、エポキシ化、ヒドロホルミル化などの方法により水酸基を付加し、水酸基含有脂肪酸を得ることができる。
【0049】
これら植物由来脂肪酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0050】
植物由来脂肪酸として、製造容易性の観点から、好ましくは、ひまし油脂肪酸が挙げられる。
【0051】
植物由来脂肪酸がひまし油脂肪酸を含有する場合、その含有割合は、植物由来脂肪酸の総量に対して、ひまし油脂肪酸が、例えば、50モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、通常、100モル%以下である。
【0052】
植物由来脂肪酸が上記の割合でひまし油脂肪酸を含有していれば、その植物由来脂肪酸から得られるバイオポリエステルポリオール(成分(A))を用いることにより、硬度、伸び率、引張強度、引裂強度などの機械物性が、より優れるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0053】
また、上記の植物由来脂肪酸(好ましくは、ひまし油脂肪酸)は、例えば、蒸留、抽出、晶析などの公知の方法により精製することができる。
【0054】
例えば、植物由来脂肪酸が蒸留される場合には、例えば、回転薄膜式蒸留装置、流下薄膜式蒸留装置などの公知の薄膜蒸留装置が用いられる。蒸発効率の観点から、好ましくは、回転薄膜式蒸留装置が挙げられる。回転薄膜式蒸留装置は、好ましくは、分子蒸留と呼ばれる高真空下において用いられる。また、蒸留条件としては、特に制限されないが、植物由来脂肪酸としてひまし油脂肪酸が用いられる場合には、その熱分解を抑制するため、また、分子内脱水などの副反応を抑制するため、好ましくは、蒸留温度が、180℃以下とされる。
【0055】
また、植物由来脂肪酸が抽出される場合には、特に制限されず、公知の抽出溶媒による抽出法が採用される。抽出溶媒としては、特に制限されず、植物由来脂肪酸の溶解度や、抽出後における溶媒除去の容易性などに応じて、適宜選択される。例えば、植物由来脂肪酸として、ひまし油脂肪酸が用いられる場合、その溶解度などの観点から、好ましくは、炭素数4〜10の脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)が挙げられる。より具体的には、ひまし油脂肪酸と抽出溶媒とを適宜の割合で混合し、任意の温度条件下において静置分液した後、抽出溶媒相とひまし油脂肪酸相とを分離し、その後、ひまし油脂肪酸相に一部溶解する抽出溶媒を除去することにより、ひまし油脂肪酸を精製することができる。
【0056】
また、上記の植物由来脂肪酸は、例えば、公知の方法によりエステル化して用いることもできる。より具体的には、例えば、上記の植物由来脂肪酸と低分子量モノアルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールなど)とを、アルカリ触媒存在下において反応させることにより、植物由来脂肪酸をエステル化することができる。
【0057】
また、上記の植物由来脂肪酸は、例えば、公知の方法により単独縮合(自己縮合)されていてもよい。換言すれば、単独縮合(自己縮合)している植物由来脂肪酸を、バイオポリエステルポリオールの原料として用いることができる。
【0058】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオールなどの炭素数2〜10の脂肪族2価アルコール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの脂環族2価アルコール、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの芳香族2価アルコール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの炭素数2〜10の3価アルコール、例えば、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコシドなどの4価アルコール、例えば、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、デキストロース、グルコース(5価アルコール)、ソルビトール(6価アルコール)、フラクトース(5価アルコール)、シュークロース(8価アルコール)などの糖類およびその誘導体、さらには、水酸基数が7〜8のフェノール類などが挙げられる。
【0059】
また、多価アルコールとして、水酸基の一部または全部にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキサイドを付加した多価アルコール(すなわち、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物)を使用することもできる。
【0060】
これら多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0061】
多価アルコールとして、好ましくは、3〜8価アルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、より好ましくは、4〜6価アルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物が挙げられ、さらに好ましくは、ペンタエリスリトールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、ソルビトールおよびそのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0062】
上記の多価アルコールを用いれば、得られるバイオポリエステルポリオールの粘度の上昇を抑制することができ、ポリウレタンフォームの製造における作業性の向上を図ることができ、また、得られるポリウレタンフォームの架橋度および機械物性の向上を図ることができる。
【0063】
多価アルコールの分子量(多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物が用いられる場合には、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により測定される数平均分子量(ポリエチレングリコール換算))は、例えば、60以上であり、例えば、2000以下、好ましくは、1000以下である。
【0064】
また、多価アルコールの平均官能基数は、例えば、3.5以上、好ましくは、4.5以上であり、例えば、8以下、好ましくは、7以下である。
【0065】
多価アルコールの平均官能基数が上記範囲であれば、その多価アルコールを用いて得られるバイオポリエステルポリオールの粘度の上昇を抑制することができ、ポリウレタンフォームの製造における作業性の向上を図ることができ、また、得られるポリウレタンフォームの架橋度および機械物性の向上を図ることができる。
【0066】
なお、多価アルコールの平均官能基数は、仕込みの配合処方から算出される。
【0067】
また、多価アルコールの水酸基価は、例えば、100mgKOH/g以上、好ましくは、150mgKOH/g以上、より好ましくは、200mgKOH/g以上であり、例えば、1200mgKOH/g以下、好ましくは、800mgKOH/g以下、より好ましくは、600mgKOH/g以下である。
【0068】
なお、水酸基価は、JIS K−1557−1(2007年)の記載に準拠して測定することができる(以下同様)。
【0069】
そして、成分(A)を得るには、例えば、上記した縮合していてもよい植物由来脂肪酸と、多価アルコールとを、公知の方法で縮合させる。
【0070】
具体的には、例えば、縮合していない植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物を得るには、縮合していない植物由来脂肪酸(モノマー)が、多価アルコールの水酸基に対して等モル以下となるように配合し、縮合反応させる。
【0071】
また、縮合している植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物を得るには、例えば、まず、植物由来脂肪酸を単独縮合させ、その後、得られた植物由来脂肪酸の単独縮合物と、多価アルコールとを縮合反応させてもよく、また、例えば、まず、縮合していない植物由来脂肪酸(モノマー)と多価アルコールとを縮合反応させ、その後、得られる縮合物の分子末端に、縮合していない植物由来脂肪酸(モノマー)をさらに縮合反応させてもよい。
【0072】
成分(A)として、好ましくは、縮合している植物由来脂肪酸と、多価アルコールとの縮合物が挙げられ、より好ましくは、まず、縮合していない植物由来脂肪酸(モノマー)と多価アルコールとを縮合反応させ、その後、得られる縮合物の分子末端に、縮合していない植物由来脂肪酸(モノマー)をさらに縮合反応させて得られる縮合物が挙げられる。
【0073】
このような植物由来脂肪酸と多価アルコールとの縮合における配合割合は、用いられる植物由来脂肪酸の種類や、多価アルコールの平均官能基数などにより、適宜設定される。
【0074】
例えば、植物由来脂肪酸としてひまし油脂肪酸が用いられ、また、多価アルコールとして平均官能基数が上記範囲(例えば、3.5以上8以下)の多価アルコールが用いられる場合には、多価アルコールの総量100質量部に対して、植物由来脂肪酸の配合量が、例えば、100質量部以上、好ましくは、500質量部以上であり、例えば、10000質量部以下、好ましくは、7000質量部以下、より好ましくは、5000質量部以下である。
【0075】
植物由来脂肪酸と多価アルコールとの配合割合が上記範囲であれば、得られる成分(A)を用いて、より優れた物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができ、また、植物由来脂肪酸による環境負荷低減効果を、より十分に確保することができる。
【0076】
また、縮合反応条件としては、例えば、不活性ガス雰囲気下において、反応温度が、例えば、100℃以上、好ましくは、150℃以上であり、例えば、300℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、縮合反応時間が、例えば、5時間以上、好ましくは、10時間以上であり、例えば、200時間以下、好ましくは、100時間以下である。
【0077】
また、縮合反応においては、必要により、適宜のタイミングで、有機チタン系触媒などの公知の触媒を、適宜の割合で添加することもできる。
【0078】
このようにして得られる成分(A)において、多価アルコールに対する植物由来脂肪酸の縮合割合は、多価アルコールの水酸基1モルあたり、例えば、1モル以上、好ましくは、2モル以上であり、例えば、12モル以下、好ましくは、8モル以下である。
【0079】
このようにして得られる成分(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により測定される数平均分子量(ポリエチレングリコール換算)は、300以上、好ましくは、400以上であり、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下である。
【0080】
また、成分(A)の平均官能基数は、例えば、3.5以上、好ましくは、4.5以上であり、例えば、8以下、好ましくは、7以下である。
【0081】
なお、成分(A)の平均官能基数は、仕込みの配合処方から算出される。
【0082】
また、成分(A)の水酸基価は、例えば、15mgKOH/g以上、好ましくは、25mgKOH/g以上、より好ましくは、30mgKOH/g以上であり、例えば、120mgKOH/g以下、好ましくは、100mgKOH/g以下、より好ましくは、60mgKOH/g以下である。
【0083】
成分(A)の水酸基価が上記範囲であれば、ポリウレタンフォームの製造時において、より硬化時間の短縮化を図ることができ、また、より優れた反発弾性および硬度を備えるポリウレタンフォームを製造することができる。
【0084】
また、成分(A)の酸価は、例えば、0mgKOH/g以上であり、例えば、3mgKOH/g以下、好ましくは、2mgKOH/g以下である。
【0085】
成分(A)の酸価が上記範囲であれば、ポリウレタンフォームの製造において、より優れた反応性を確保することができる。
【0086】
なお、成分(A)の酸価は、JIS K−1557−5(2007年)の記載に準拠して測定することができる(以下同様)。
【0087】
また、成分(A)の25℃における粘度は、例えば、500mPa・s以上であり、例えば、20000mPa・s以下、好ましくは、15000mPa・s以下、より好ましくは、10000mPa・s以下である。
【0088】
成分(A)の粘度が上記範囲であれば、ポリウレタンフォームの製造において、より優れた作業性を確保することができる。
【0089】
なお、成分(A)の粘度は、JIS K−1557−5(2007年)の記載に準拠して、円錐平板型回転粘度計(E型粘度計)を用いて、25℃において測定することができる(以下同様)。
【0090】
ポリエーテルポリオール(成分(B))としては、特に制限されず、石油化学製品である公知のポリエーテルポリオールを用いることができる。
【0091】
より具体的には、例えば、ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0092】
ポリアルキレンポリオールとしては、例えば、上記した多価アルコールや、低分子量ポリアミン(脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミンなど)、芳香族ポリアミン(例えば、トリレンジアミンなど)など)を開始剤とする、アルキレンオキサイドの付加重合物(2種以上のアルキレンオキサイドのランダムおよび/またはブロック共重合体を含む)が挙げられる。
【0093】
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどの炭素数2〜12のアルキレンオキサイドが挙げられる。
【0094】
これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0095】
アルキレンオキサイドとして、好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドが挙げられ、より好ましくは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが挙げられる。
【0096】
ポリアルキレンポリオールとして、より具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)などが挙げられる。
【0097】
また、成分(B)としては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、例えば、テトラヒドロフランの重合単位に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロヒドリンおよび/またはベンジルグリシジルエーテルなどを共重合した非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど、ポリテトラメチレンエーテルポリオールも挙げられる。
【0098】
成分(B)として、好ましくは、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体が挙げられる。
【0099】
成分(B)としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体が用いられる場合、その末端オキシエチレン基含有率は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
【0100】
なお、末端オキシエチレン基含有率は、仕込みの配合処方から算出される。
【0101】
成分(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により測定される数平均分子量(ポリエチレングリコール換算)は、300以上、好ましくは、400以上であり、例えば、15000以下、好ましくは、10000以下である。
【0102】
また、成分(B)の平均官能基数は、例えば、2.5以上、好ましくは、3以上であり、例えば、6以下、好ましくは、4以下である。
【0103】
なお、成分(B)の平均官能基数は、仕込みの配合処方から算出される。
【0104】
また、成分(B)の水酸基価は、例えば、10mgKOH/g以上、好ましくは、15mgKOH/g以上、より好ましくは、20mgKOH/g以上であり、例えば、100mgKOH/g以下、好ましくは、80mgKOH/g以下、より好ましくは、60mgKOH/g以下である。
【0105】
また、成分(B)の25℃における粘度は、例えば、200mPa・s以上であり、例えば、5000mPa・s以下、好ましくは、3000mPa・s以下である。
【0106】
成分(B)の粘度が上記範囲であれば、ポリウレタンフォームの製造において、より優れた作業性を確保することができる。
【0107】
本発明のポリオール組成物において、成分(A)と成分(B)との総量100質量部に対する成分(A)の含有割合は、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。また、成分(A)と成分(B)との総量100質量部に対する成分(B)の含有割合は、例えば、20質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
【0108】
成分(A)および成分(B)の含有割合が上記範囲であれば、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離を抑制することができるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0109】
また、本発明のポリオール組成物は、ポリオール成分として、さらに、成分(A)および成分(B)を除くその他のポリオール(以下、単に「その他のポリオール」とも称する。)を含有することができる。
【0110】
その他のポリオールとしては、例えば、成分(A)および成分(B)を除く低分子量ポリオール(以下、単に「低分子量ポリオール」とも称する)、成分(A)および成分(B)を除く高分子量ポリオール(以下、単に「高分子量ポリオール」とも称する)が挙げられる。
【0111】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量60以上、300未満、好ましくは、250未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサシジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,2ヘジヒドロキシシクロヘキサン、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,3−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,2−ビスヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,3−ビスヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,4−ビスヒドロキシエトキシシクロヘキサン、1,2−ビスヒドロキシエトキシカルボニルシクロヘキサン、1,3−ビスヒドロキシエトキシカルボニルシクロヘキサン、1,4−ビスヒドロキシエトキシカルボニルシクロヘキサン、2,5−ジヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ジヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3,8−ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、3,9−ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,8−ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンなどの2価アルコール、グリセリン、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−ジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−ジオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオールなどの3価アルコール、ペンタエリスリトール、グルコース、シュークロース、フルクトース、ソルビトール、1,2,3,4−シクロヘキサンテトロール、1,2,4,5−シクロヘキサンテトロール、シクロヘキサンペントール(クエルシトール)、シクロヘキサンヘキソール(イノシトール)、キシリトールなどの4価以上の多価アルコールが挙げられる。
【0112】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0113】
高分子量ポリオール(成分(A)および成分(B)を除く。)は、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上の化合物であって、例えば、石油系ポリエステルポリオール(すなわち、バイオポリエステルポリオールを除くポリエステルポリオール)、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
【0114】
石油系ポリエステルポリオールは、石油化学製品である公知のポリエステルポリオールであって、例えば、上記した低分子量ポリオールと、多塩基酸またはその酸無水物あるいはその酸ハライドとの反応により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0115】
多塩基酸およびその酸無水物またはその酸ハライドとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバシン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などのカルボン酸(ジカルボン酸)、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらの無水カルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0116】
また、石油系ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオールなどのラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0117】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジカーボネートとの縮合により得られるポリカーボネートポリオール(好ましくは、ポリカーボネートジオール)などが挙げられる。
【0118】
また、ポリカーボネートポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、開環重合物とを共重合した非晶性ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0119】
さらに、ポリカーボネートポリオールとして、例えば、植物由来のポリカーボネートポリオールが挙げられ、具体的には、植物由来原料であるグルコースなどから誘導されたイソソルビドなどの脂環式ジヒドロキシ化合物や、上記した低分子ポリオール(好ましくは、2価アルコール)を、炭酸ジフェニルとエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0120】
ポリウレタンポリオールは、上記のポリエステルポリオール(バイオポリエステルポリオール、石油系ポリエステルポリオール)、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールからなる群から選択される少なくとも一種を、イソシアネート基に対する水酸基の当量比(OH/NCO)が1を超過する割合で、後述するポリイソシアネート成分と反応させることによって、ポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリウレタンポリオール、あるいは、ポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールなどとして得ることができる。
【0121】
エポキシポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと、例えば、エピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどの多官能ハロヒドリンとの反応により得られるエポキシポリオールが挙げられる。
【0122】
植物油ポリオールとしては、例えば、ひまし油、変性ヤシ油などの水酸基含有植物油などが挙げられる。例えば、ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
【0123】
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、部分ケン価エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0124】
アクリルポリオールとしては、例えば、水酸基含有アクリレートと、水酸基含有アクリレートと共重合可能な共重合性ビニルモノマーとを、共重合させることによって得られる共重合体が挙げられる。
【0125】
水酸基含有アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2−ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0126】
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート(炭素数1〜12)、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を含むビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、3−(2−イソシアネート−2−プロピル)−α−メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むビニルモノマーなどが挙げられる。
【0127】
そして、アクリルポリオールは、これら水酸基含有アクリレート、および、共重合性ビニルモノマーを、適当な溶剤および重合開始剤の存在下において共重合させることにより得ることができる。
【0128】
また、アクリルポリオールには、例えば、シリコーンポリオールやフッ素ポリオールが含まれる。
【0129】
シリコーンポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニル基を含むシリコーン化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
【0130】
フッ素ポリオールとしては、例えば、上記したアクリルポリオールの共重合において、共重合性ビニルモノマーとして、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンなどのビニル基を含むフッ素化合物が配合されたアクリルポリオールが挙げられる。
【0131】
ビニルモノマー変性ポリオール(ポリマーポリオール)は、高分子量ポリオール中においてビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
【0132】
高分子量ポリオールは、ビニルモノマーの分散媒であって、公知の高分子量ポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、上記したポリエーテルポリオール、上記したポリエステルポリオール、上記したポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
【0133】
また、ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、シアン化ビニル(アクリロニトリル)、シアン化ビニリデンなどが挙げられる。これらビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、シアン化ビニル(アクリロニトリル)が挙げられる。
【0134】
そして、ビニルモノマー変性ポリオールは、これら高分子量ポリオール、および、ビニルモノマーを、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過硫酸塩、有機過酸化物、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリルなど)など)、さらには、分散安定化剤、連鎖移動剤などの存在下などにおいて反応させることにより得ることができる。
【0135】
より具体的には、ビニルモノマー変性ポリオールは、高分子量ポリオール中において上記のビニルモノマーがラジカル開始剤によって重合され、得られるポリマー微粒子が高分子量ポリオール中に分散されることにより調製される。
【0136】
ポリマー微粒子は、ビニルモノマーの重合体からなるポリマー微粒子であってもよく、また、重合時にビニルモノマーの少なくとも一部が高分子量ポリオール(具体的には、エチレン性不飽和結合を有する高分子量ポリオール)にグラフト化したポリマー微粒子であってもよい。好ましくは、重合時にビニルモノマーの少なくとも一部が高分子量ポリオールにグラフト化したポリマー微粒子が挙げられる。
【0137】
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0138】
これらその他のポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0139】
その他のポリオールとして、好ましくは、高分子量ポリオールが挙げられ、より好ましくは、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
【0140】
本発明のポリオール組成物がその他のポリオールを含有する場合、その含有割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、45質量部以下である。
【0141】
その他のポリオールの含有割合が上記範囲であれば、環境負荷低減効果を、より十分に確保することができる。
【0142】
また、本発明のポリオール組成物がその他のポリオールを含有する場合、成分(A)の含有割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、8質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。また、成分(B)の含有割合は、ポリオール成分の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、75質量部以下である。
【0143】
成分(A)および成分(B)の含有割合が上記範囲であれば、環境負荷低減効果を、より十分に確保することができる。
【0144】
本発明のポリオール組成物は、相分離抑制剤として、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))を含有する。
【0145】
水酸基含有脂肪酸エステルは、水酸基含有脂肪酸と、1価アルコールおよび多価アルコールからなる群から選択される少なくとも1種とを公知の方法でエステル化反応させることにより、得ることができる。
【0146】
水酸基含有脂肪酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシウンデカン酸、セレブロン酸などの水酸基含有モノカルボン酸、リンゴ酸、酒石酸などの水酸基含有ジカルボン酸が挙げられる。
【0147】
これら水酸基含有脂肪酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0148】
水酸基含有脂肪酸として、好ましくは、水酸基含有モノカルボン酸が挙げられ、より好ましくは、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。
【0149】
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール(ラウリルアルコール)、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘキサデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、n−ノナデカノール、エイコサノールなどの直鎖状の1価アルコール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソペンタノール、イソヘキサノール、イソヘプタノール、イソオクタノール、2−エチルへキサン−1−オール、イソノナノール、イソデカノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノール、その他の分岐状アルカノール(炭素数5〜20)などの分岐状の1価アルコールが挙げられる。これら1価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0150】
多価アルコールとしては、上記したバイオポリエステルポリオールの製造に用いられる多価アルコールと同様の多価アルコールが挙げられる。多価アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0151】
1価アルコールおよび多価アルコールからなる群から選択される少なくとも一種として、好ましくは、多価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2〜4価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、3価アルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、グリセリンが挙げられる。
【0152】
すなわち、水酸基含有脂肪酸エステルとして、好ましくは、上記水酸基含有脂肪酸のグリセリドが挙げられる。
【0153】
水酸基含有脂肪酸のグリセリドとしては、例えば、水酸基含有脂肪酸のモノグリセリド、水酸基含有脂肪酸のジグリセリド、水酸基含有脂肪酸のトリグリセリドなどが挙げられ、好ましくは、水酸基含有脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。
【0154】
水酸基含有脂肪酸エステル(好ましくは、水酸基含有脂肪酸のトリグリセリド)は、好ましくは、植物油を含み、より好ましくは、ひまし油およびその水素添加物からなる群から選択される少なくとも一種を含み、さらに好ましくは、ひまし油の水素添加物(以下、硬化ひまし油とも称する。)を含む。
【0155】
水酸基含有脂肪酸エステルが硬化ひまし油を含んでいれば(換言すれば、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物が硬化ひまし油のポリオキシエチレン付加物を含んでいれば)、バイオポリエステルポリオールとの親和性により、さらに相分離抑制効果の向上を図ることができる。
【0156】
水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))は、特に制限されないが、上記の水酸基含有脂肪酸エステル(好ましくは、硬化ひまし油)を出発原料として、公知の方法によりエチレンオキシドを付加させることにより、得ることができる。
【0157】
成分(C)において、エチレンオキシドの平均付加モル数(以下、「p」ともいう。)は、水酸基含有脂肪酸エステル(好ましくは、硬化ひまし油)1モルに対して、例えば40以上、好ましくは45以上、より好ましくは55以上であり、例えば150以下、好ましくは120以下、より好ましくは100以下である。
【0158】
成分(C)において、pが上記範囲であれば、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離を抑制することができ、また、ポリオール組成物の粘度上昇をより抑制することができる。
【0159】
また、本発明のポリオール組成物は、好ましくは、エチレンオキシドの平均付加モル数が互いに異なる、複数の成分(C)を含有する。
【0160】
ポリオール組成物が、エチレンオキシドの平均付加モル数が互いに異なる、複数の成分(C)を含有していれば、バイオポリエステルポリオールの含有割合が、例えば、ポリオール成分総量に対して20質量%以上といった高い場合であっても、相分離を良好に抑制することができる。
【0161】
このようなポリオール組成物は、例えば、エチレンオキシドの平均付加モル数がpである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(以下、成分(C)ともいう。)と、エチレンオキシドの平均付加モル数がpよりも大きいpである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(以下、成分(C)ともいう。)との2種類の水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を、少なくとも含有する。
【0162】
さらに好ましくは、本発明のポリオール組成物は、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(C)とを、少なくとも配合してなる。
【0163】
このような場合、pおよびpは、いずれも、例えば40以上、好ましくは45以上、より好ましくは55以上であり、例えば150以下、好ましくは120以下、より好ましくは100以下である。
【0164】
また、pとpとの差(p−p)は、例えば10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上であり、例えば60以下、好ましくは50以下、より好ましくは40以下である。
【0165】
なお、本明細書において、成分(C)、成分(C)および成分(C)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数とは、水酸基含有脂肪酸エステル1モルに対するエチレンオキシドの平均付加モル数のことをいう。
【0166】
成分(C)と、成分(C)との含有割合は、それらの総量100質量部に対して、成分(C)が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、85質量部以下、好ましくは、75質量部以下である。また、成分(C)が、例えば、15質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
【0167】
また、前記成分(C)の含有割合と、前記成分(C)の含有割合との差は、例えば、0質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下、より好ましくは、60質量部以下である。
【0168】
また、本発明のポリオール組成物が、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(C)とを、少なくとも配合してなる場合の、成分(C)と、成分(C)との配合割合は、好ましくは、上記の成分(C)と、成分(C)との含有割合と同じである。
【0169】
なお、成分(C)としては、成分(C)および成分(C)の2種類に限定されず、例えば、エチレンオキシドの平均付加モル数がpよりも大きくpよりも小さいpである水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))などを、さらに、適宜の割合で配合することもできる。
【0170】
また、このようにして得られる成分(C)の平均官能基数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、例えば、6以下、好ましくは、4以下である。
【0171】
なお、平均官能基数は、仕込みの配合処方から算出される。
【0172】
成分(C)の水酸基価は、例えば、20mgKOH/g以上、好ましくは、25mgKOH/g以上、より好ましくは、30mgKOH/g以上であり、例えば、60mgKOH/g以下、好ましくは、55mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以下である。
【0173】
また、本発明のポリオール組成物は、相分離抑制剤として、さらに、成分(C)を除くその他の相分離抑制剤(以下、単に「その他の相分離抑制剤」とも称する。)を含有することができる。
【0174】
ポリオール組成物が、その他の相分離抑制剤を含有する場合、成分(C)の含有割合は、相分離抑制剤の総量100質量部に対して、例えば、80質量部以上、好ましくは、95質量部以上であり、100質量部以下である。
【0175】
成分(C)の含有割合が上記範囲であれば、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離が抑制されるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた機械物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0176】
また、相分離抑制剤は、好ましくは、その他の相分離抑制剤を含有しない。換言すれば、相分離抑制剤は、好ましくは、成分(C)のみからなる。
【0177】
また、相分離抑制剤の水酸基価は、例えば、20mgKOH/g以上、好ましくは、25mgKOH/g以上、より好ましくは、30mgKOH/g以上であり、例えば、60mgKOH/g以下、好ましくは、55mgKOH/g以下、より好ましくは、50mgKOH/g以下である。
【0178】
相分離抑制剤の水酸基価が上記範囲であれば、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離が抑制されるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた機械物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0179】
そして、上記のポリオール成分と、上記の相分離抑制剤とを配合および混合することにより、ポリオール組成物を得ることができる。
【0180】
ポリオール組成物において、ポリオール成分および相分離抑制剤の総量100質量部に対するポリオール成分の含有割合は、例えば、85質量部以上、好ましくは、90質量部以上、より好ましくは、93質量部以上であり、例えば、99.9質量部以下、好ましくは、99.5質量部以下、より好ましくは、99質量部以下である。
【0181】
また、ポリオール成分および相分離抑制剤の総量100質量部に対する相分離抑制剤の含有割合は、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、7質量部以下である。
【0182】
また、ポリオール組成物において、ポリオール成分と相分離抑制剤との総量100質量部に対する成分(A)の含有割合は、例えば、2質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、8質量部以上であり、例えば、60質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、30質量部以下である。
【0183】
成分(A)の含有割合が上記範囲であれば、環境負荷を低減することができ、また、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離が抑制されるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた機械物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0184】
また、ポリオール組成物において、ポリオール成分と相分離抑制剤との総量100質量部に対する成分(B)の含有割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、例えば、95質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
【0185】
成分(B)の含有割合が上記範囲であれば、環境負荷を低減することができ、また、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離が抑制されるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた機械物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0186】
また、ポリオール組成物において、ポリオール成分と相分離抑制剤との総量100質量部に対する成分(C)の含有割合は、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、7質量部以下である。
【0187】
成分(C)の含有割合が上記範囲であれば、環境負荷を低減することができ、また、常温および比較的高温環境下においてより長期に亘って相分離が抑制されるポリオール組成物を得ることができ、また、そのポリオール組成物を用いて、より優れた機械物性を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0188】
そして、このようなポリオール組成物は、相分離抑制剤として水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(成分(C))を含有しているので、バイオポリエステルポリオール(成分(A))と石油化学製品であるポリエーテルポリオール(成分(B))とを混合しても常温および比較的高温環境下において、長期に亘って相分離を抑制することができる。また、このようなポリオール組成物を用いれば、優れた機械物性のポリウレタンフォームを得ることができる。
【0189】
ポリウレタンフォームとしては、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォームなどが挙げられ、好ましくは、軟質ポリウレタンフォームが挙げられる。
【0190】
ポリウレタンフォームは、上記のポリオール組成物とポリイソシアネート成分との反応により得ることができる。
【0191】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体などが挙げられる。
【0192】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0193】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m−、p−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシネート(4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシネートもしくはその混合物)(MDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0194】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートもしくはその混合物)(TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼンなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0195】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプエート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0196】
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’−、2,4’−または2,2’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、これらのTrans,Trans−体、Trans,Cis−体、Cis,Cis−体、もしくはその混合物))(H12MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート(各種異性体もしくはその混合物)(NBDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3−または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンもしくはその混合物)(HXDI)などの脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0197】
これらポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0198】
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体など)、アロファネート変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)など)、ビウレット変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と、水やアミン類との反応により生成するビウレット変性体など)、ウレア変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体とジアミンとの反応により生成するウレア変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記したポリイソシアネート単量体と炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(上記したポリイソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体などが挙げられる。
【0199】
さらに、ポリイソシアネート誘導体として、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
【0200】
これらポリイソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0201】
ポリイソシアネート成分として、好ましくは、芳香族ポリイソシアネートおよびその誘導体が挙げられ、より好ましくは、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)が挙げられ、さらに好ましくは、それらの併用が挙げられる。
【0202】
トリレンジイソシアネートと、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとが併用される場合、それらの配合割合は、トリレンジイソシアネートと、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの総量100質量部に対して、トリレンジイソシアネートが、例えば、50質量部以上、好ましくは、70質量部以上であり、例えば、90質量部以下、好ましくは、85質量部以下である。また、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートが、例えば、10質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下である。
【0203】
これらポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0204】
そして、ポリウレタンフォームを製造するには、まず、上記したポリオール組成物に、必要により、さらに、触媒、架橋剤、発泡剤、整泡剤などの各種添加剤を配合してプレミックス(レジンプレミックス)を調製する。
【0205】
つまり、本発明のポリオール組成物は、上記のポリオール成分および相分離抑制剤の他、さらに、触媒、架橋剤、発泡剤、整泡剤などの各種添加剤を含有することができ、プレミックスとして調製することができる。
【0206】
触媒としては、公知のウレタン化触媒を用いることができ、具体的には、例えば、トリエチレンジアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、モルフォリン類などの脂肪族アミン類、例えば、オクタン酸スズ、ジブチルチンジラウレートなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0207】
また、触媒は、市販品として入手することができ、例えば、カオーライザー No.31(アミン触媒、花王社製)、カオーライザー No.120(アミン触媒、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、花王社製)、カオーライザー No.12(アミン触媒、花王社製)、ネオスタンU−100(有機錫化合物、ジブチル錫ジラウレート、日東化成社製)などが挙げられる。
【0208】
これらの触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0209】
触媒の配合割合は、ポリオール組成物中のポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部である。
【0210】
架橋剤としては、特に制限されず、公知の架橋剤が挙げられ、具体的には、アルカノールアミンが挙げられる。
【0211】
アルカノールアミンとしては、例えば、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどのトリアルカノールアミンや、ジエタノールアミンなどのジアルカノールアミンなどの、ポリアルカノールアミンが挙げられる。
【0212】
これらアルカノールアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0213】
また、架橋剤としては、アルカノールアミンの他、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの上記の低分子量ポリオール、および/または、そのアルキレンオキサイド付加ポリオールなども挙げられる。
【0214】
架橋剤として、好ましくは、低分子量ポリオールおよび/またはそのアルキレンオキサイド付加ポリオールが挙げられる。
【0215】
また、架橋剤として、好ましくは、水酸基価が200〜1800mgKOH/gである化合物が挙げられ、より好ましくは、水酸基価が200〜1800mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール(例えば、三井化学社製、アクトコールKL−210:官能基数3.75のポリオキシアルキレンポリオール、OHV=840mgKOH/g)が挙げられる。
【0216】
架橋剤の配合割合は、ポリオール組成物中のポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.5〜10質量部である。
【0217】
発泡剤としては、特に制限されず、公知の発泡剤が挙げられ、好ましくは、水が挙げられる。
【0218】
また、発泡剤としては、水と、物理発泡剤(例えば、ヒドロフルオロカーボン類、炭化水素類(シクロペンタンなど)、炭酸ガス、液化炭酸ガスなど)とを、適宜の割合で併用することができる。物理発泡剤としては、環境負荷低減の観点から、好ましくは、炭酸ガス、液化炭酸ガスが挙げられる。
【0219】
発泡剤の配合割合は、ポリオール組成物中のポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、30.0質量部以下、好ましくは、20.0質量部以下である。
【0220】
とりわけ、発泡剤として水が用いられる場合、水の配合割合は、ポリオール組成物中のポリオール成分100質量部に対して、例えば、1.3質量部以上、好ましくは、1.8質量部以上、より好ましくは、2.0質量部以上であり、例えば、6.0質量部以下、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは、4.0質量部以下である。
【0221】
発泡剤としての水の含有割合が上記範囲であれば、優れた発泡性を得ることができる。
【0222】
整泡剤としては、特に制限されず、公知の整泡剤が挙げられる。
【0223】
また、整泡剤は、市販品として入手することができ、例えば、SZ−1966(東レ・ダウコーニング社製)、SRX−274C、SF−2969、SF−2961、SF−2962、L−5309、L−3601、L−5307、L−3600、L−5366、SZ−1325、SZ−1328、Y−10366(モメンティブ社製)などが挙げられる。
【0224】
これら整泡剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0225】
整泡剤の配合割合は、ポリオール組成物中のポリオール成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0226】
また、プレミックスの調製には、上記成分以外に、さらに必要により、例えば、連通化剤、さらには、鎖延長剤、難燃剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤などの公知の添加剤を、本発明の優れた効果を損なわない範囲において、適宜の割合で配合することができる。
【0227】
次いで、このようにして得られたプレミックスと、ポリイソシアネート成分とを混合する。
【0228】
ポリイソシアネート成分の配合割合は、例えば、イソシアネートインデックス(プレミックスにおけるポリオール成分中の水酸基、架橋剤中の水酸基およびアミノ基、発泡剤としての水などの活性水素100に対するイソシアネート基の割合(化学量論割合))として、例えば、70以上、好ましくは、80以上、より好ましくは、90以上、さらに好ましくは、94以上であり、例えば、130以下、好ましくは、120以下、より好ましくは、110以下、さらに好ましくは、108以下である。
【0229】
イソシアネートインデックスが上記範囲であれば、優れた機械物性(クッション性に優れる硬度、機械強度、反発弾性、伸び率および成形性など)を備えるポリウレタンフォームを得ることができる。
【0230】
そして、プレミックスとポリイソシアネート成分とを反応させるとともに、例えば、スラブ方式、モールド方式、スプレー方式などの公知の発泡方式により発泡させる。これにより、ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0231】
このようにして得られるポリウレタンフォームは、原料成分として、植物由来脂肪酸と多価アルコールとの縮合により得られるバイオポリエステルポリオールが用いられるため、カーボンニュートラルに対応でき、地球環境への負荷を低減することができる。
【0232】
また、このようにして得られるポリウレタンフォームは、原料成分として、上記したポリオール組成物が用いられているため、優れた機械物性を備える。
【0233】
より具体的には、得られるポリウレタンフォームは、耐久性に優れており、湿熱圧縮永久歪み(ウェットセット)(JIS K−6400(1997年)に準拠)が、例えば、20%以下、好ましくは、15%以下、より好ましくは、10%以下、通常、5%以上である。
【0234】
湿熱圧縮永久歪が上記範囲であれば、湿熱環境下において、優れた耐久性を備えることができる。
【0235】
また、ポリウレタンフォームの密度(JIS K−6400(1997年)に準拠)は、例えば、15kg/m以上、好ましくは、25kg/m以上であり、例えば、100kg/m以下、好ましくは、70kg/m以下である。
【0236】
また、ポリウレタンフォームの引張強度(JIS K−6400(1997年)に準拠)は、例えば、80kPa以上、好ましくは、100kPa以上であり、例えば、500kPa以下、好ましくは、400kPa以下である。
【0237】
また、ポリウレタンフォームの伸び率(JIS K−6400(1997年)に準拠)は、例えば、60%以上、好ましくは、80%以上であり、例えば、300%以下、好ましくは、200%以下である。
【0238】
また、ポリウレタンフォームの引裂強度(JIS K−6400(1997年)に準拠)は、例えば、4N/cm以上、好ましくは、4.5N/cm以上であり、例えば、10N/cm以下、好ましくは、8N/cm以下である。
【0239】
このようなポリウレタンフォームは、衝撃吸収材、吸音材、振動吸収材、体圧分散材などとして好適に用いることができる。
【0240】
なお、ポリオール組成物をポリウレタンフォームの製造に用いる場合について説明したが、ポリオール組成物の用途は上記に限定されず、公知のポリウレタン樹脂の製造に用いることができる。
【0241】
ポリウレタン樹脂としては、例えば、エラストマー(ポリウレタン溶液、水系ポリウレタン、熱溶融成形(スラッシュ成形、回転成形)ウレタンパウダー、熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)、熱硬化性ウレタンエラストマー(TSU)、スプレー成形ウレタン、溶融紡糸法もしくは乾式紡糸法弾性繊維、)、塗料(主に溶液系、粉体系硬化剤:アダクト、アロファネート、ビュレット、ウレトジオン、ポリイソシアヌレート、イミノオキサジアンジオンおよびそれらの混合物)、工業用あるいはホットメルト用接着剤、シーリング材、ゲルなどが挙げられる。
【実施例】
【0242】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
<測定方法>
(1)水酸基価(OHV)
JIS K−1557−1(2007年)記載の方法により測定した。
【0243】
(2)数平均分子量(Mn)
数平均分子量の測定サンプルを0.05g程度精秤し、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す)を加えて10mLにメスアップした。これをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HLC−8020(東ソー製)を用いて以下の条件で測定した。
【0244】
溶離液:THF
溶離液流量:0.8ml/min
溶離液温度:40℃
カラム温度:40℃
カラム:東ソー製TSKgel G−3000H、G−2000H、G−1000Hを直列につないで使用
検出器:RI
標準試料:ポリエチレングリコール
(3)酸価
JIS K−1557−5(2007年)記載の方法により測定を実施した。
【0245】
(4)粘度
JIS K−1557(2007年)の記載に準拠して、円錐平板型回転粘度計(E型粘度計)を用い、25℃での粘度を測定した。
【0246】
(5)ひまし油脂肪酸の純度
ひまし油脂肪酸中の水酸基含有脂肪酸の含有割合を、ひまし油脂肪酸の純度として測定した。
【0247】
具体的には、ひまし油脂肪酸の純度は、JIS K−1557−1(2007年)の方法により測定されるひまし油脂肪酸の水酸基価(OHV)と、JIS K−1557−5(2007年)の方法により測定されるひまし油脂肪酸の酸価(AV)との比(OHV/AV)により求めた。
【0248】
<相分離抑制剤の説明>
(相分離抑制剤C1)
商品名エマノーンCH−80(硬化ひまし油のポリオキシエチレン80モル付加物、水酸基価37.7mgKOH/g、HLB15.3、花王社製(以下同様))を、相分離抑制剤C1とした。
【0249】
(相分離抑制剤C2)
商品名エマノーンCH−60K(硬化ひまし油のポリオキシエチレン60モル付加物、水酸基価46.0mgKOH/g、HLB14.0、花王社製(以下同様))33質量%と、エマノーンCH−80 67質量%との混合品(水酸基価40.5mgKOH/g)を、相分離抑制剤C2とした。
【0250】
(相分離抑制剤C3)
エマノーンCH−60Kを、相分離抑制剤C3とした。
【0251】
(相分離抑制剤C4)
トリメチロールプロパン1モルに触媒としてジメチルパルミチルアミンを添加し、プロピレンオキシドを反応温度115℃、最大反応圧力5.0kg/cmで付加重合させ、水酸基価875mgKOH/gのポリエーテルポリオールを得た。これを、相分離抑制剤C4とした。
【0252】
(相分離抑制剤C5)
商品名R−45HT(ポリブタジエンポリオール、出光興産社製)を、相分離抑制剤C5とした。
【0253】
(相分離抑制剤C6)
商品名R−15HT(ポリブタジエンポリオール、出光興産社製)を、相分離抑制剤C6とした。
【0254】
(相分離抑制剤C7)
エマノーンCH−80 50質量%と、商品名ユニオックスHC−100(硬化ひまし油のポリオキシエチレン100モル付加物、水酸基価33.5mgKOH/g、HLB16.6、日油社製(以下同様))50質量%との混合品(水酸基価値35.6mgKOH/g)を、相分離抑制剤C7とした。
【0255】
(相分離抑制剤C8)
エマノーンCH−60K 50質量%と、ユニオックスHC−100 50質量%との混合品(水酸基価値39.8mgKOH/g)を、相分離抑制剤C8とした。
【0256】
(相分離抑制剤C9)
商品名エマルゲン935(ノニルフェノールのポリオキシエチレン35モル付加物、HLB17.5、花王社製)を、相分離抑制剤C9とした。
【0257】
(相分離抑制剤C10)
商品名エマルゲン1135S−70(C11−13分岐アルキルアルコールのポリオキシエチレン35モル付加物、HLB17.9、有効分70質量%、花王社製)を、相分離抑制剤C10とした。
【0258】
(相分離抑制剤C11)
商品名レオドール460V(テトラオレイン酸ソルビットのポリオキシエチレン60モル付加物、HLB13.8、花王社製)を、相分離抑制剤C11とした。
【0259】
(相分離抑制剤C12)
商品名エマレックスGWO−360(トリオレイン酸グリセリドのポリオキシエチレン60モル付加物、HLB13、日本エマルジョン社製)を、相分離抑制剤C12とした。
【0260】
(相分離抑制剤C13)
商品名エマレックスGWIS−360(トリイソステアリン酸グリセリドのポリオキシエチレン60モル付加物、HLB13、日本エマルジョン社製)を、相分離抑制剤C13とした。
【0261】
(相分離抑制剤TMP)
商品名1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン(トリメチロールプロパン、和光純薬株式会社製)を、相分離抑制剤TMPとした。
<ひまし油脂肪酸の精製>
精製例1(高純度ひまし油脂肪酸(1))
ひまし油を加水分解することにより得られたひまし油脂肪酸(伊藤製油社製:商品名CO−FA、純度:86%)を、蒸発表面の面積が0.03mの分子蒸留装置(柴田科学社製)を用いて蒸留し、低沸成分である水酸基不含成分を除去することにより、高純度ひまし油脂肪酸(1)を得た。
【0262】
なお、このときの蒸発条件は装入速度200g/h、蒸発表面温度160℃、圧力15Pa、ワイパー回転数300rpmであった。
【0263】
また、得られた高純度ひまし油脂肪酸(1)の酸価は180.7mgKOH/g、水酸基価は172.9mgKOH/gであり、これらより求めた高純度ひまし油脂肪酸(1)の純度は95.7%であった。
【0264】
なお、高純度ひまし油脂肪酸(1)は、リシノレイン酸であることが確認された。
【0265】
<バイオポリエステルポリオールの製造>
合成例1(ポリエステルポリオールA−1)
精製例1で得られた高純度ひまし油脂肪酸(1)と、ひまし油脂肪酸(伊藤製油社製:商品名CO−FA、純度(リシノレイン酸含有量):86%)とを、純度95.0%になるように混合した。
【0266】
次いで、得られた混合ひまし油脂肪酸1944gと、SOR−400(三井化学社製、ソルビトールにプロピレンオキシドを付加したポリオール、水酸基価400mgKOH/g)78gと、PE−450(三井化学社製、ペンタエリスリトールにプロピレンオキシドを付加したポリオール、水酸基価450mgKOH/g)97gとを、温度計、撹拌装置、および、生成する水を分離させる装置を具備した2Lのガラス製フラスコに仕込み、窒素気流下、180℃で縮合反応させた。なお、この縮合反応において用いられる多価アルコールの平均官能基数は、4.6であった。
【0267】
次いで、酸価が10mgKOH/g以下になった時点で、触媒としてオルトチタン酸テトラブチル(試薬東京化成社製)を0.2g添加し、引き続き180℃にて45時間縮合反応させ、ポリエステルポリオールA−1を得た。
【0268】
得られたポリエステルポリオールA−1の水酸基価(OHV)は51mgKOH/g、平均官能基数(計算値)は4.4、粘度は4300mPa・s/25℃であった。また、得られたポリエステルポリオールA−1は、多価アルコールに対してひまし油脂肪酸が複数縮合されたものであった。
【0269】
合成例2(ポリエステルポリオールA−2)
ひまし油脂肪酸(伊藤製油社製:商品名CO−FA、純度:86%)4218gと、SOR−400(三井化学社製、ソルビトールにプロピレンオキシドを付加したポリオール、水酸基価400mgKOH/g、平均官能基数:6)547gとを、温度計、撹拌装置、および、生成する水を分離させる装置を具備した2Lのガラス製フラスコに仕込み、窒素気流下、180℃時間で縮合反応させた。
【0270】
次いで、酸価が10mgKOH/g以下になった時点で、触媒としてオルトチタン酸テトラブチル(試薬東京化成社製)を0.5g添加し、引き続き180℃にて、46時間縮合反応させ、ポリエステルポリオールA−2を得た。
【0271】
得られたポリエステルポリオールA−2の水酸基価(OHV)は50mgKOH/g、平均官能基数(計算値)は4.3、粘度は2700mPa・s/25℃であった。また、得られたポリエステルポリオールA−2は、多価アルコールに対してひまし油脂肪酸が複数縮合されたものであった。
【0272】
<ポリエーテルポリオールの製造>
合成例3(ポリエーテルポリオールB−1)
グリセリン1モルに対して、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド0.01モルを加え、100℃で6時間減圧脱水した。
【0273】
次いで、グリセリンにプロピレンオキシドを反応温度90℃、最大反応圧力3.8kg/cmで付加重合させ、水酸基価28mgKOH/gの中間体を得た後、さらに、エチレンオキシドを反応温度100℃、最大反応圧力3.8kg/cmで付加重合させて、ポリエーテルポリオールB−1を得た。
【0274】
得られたポリエーテルポリオールB−1の総不飽和度は0.025meq/g、水酸基価は24mgKOH/g、末端オキシエチレン基含有率は15質量%であった。
【0275】
合成例4(ポリエーテルポリオールB−2)
グリセリン1モルに対して、水酸化カリウム0.37モルを加え、100℃で6時間減圧脱水した。
【0276】
次いで、グリセリンにプロピレンオキシドを反応温度115℃、最大反応圧力5.0kg/cmで付加重合させ、水酸基価33mgKOH/gの中間体を得た後、さらに、エチレンオキシドを反応温度100℃、最大反応圧力3.8kg/cmで付加重合させて、ポリエーテルポリオールB−2を得た。
【0277】
得られたポリエーテルポリオールB−2の水酸基価は28mgKOH/g、末端オキシエチレン基含有率は15質量%であった。
【0278】
合成例5(ポリエーテルポリオールB−3)
グリセリン1モルに対して、水酸化カリウム0.37モルを加え、100℃で6時間減圧脱水した。
【0279】
次いで、グリセリンにプロピレンオキシドを反応温度115℃、最大反応圧力5.0kg/cmで付加重合させ、水酸基価65.5mgKOH/gの中間体を得た後、さらに、エチレンオキシドを反応温度100℃、最大反応圧力3.8kg/cmで付加重合させて、ポリエーテルポリオールB−3を得た。
【0280】
得られたポリエーテルポリオールB−3の水酸基価は56mgKOH/g、末端オキシエチレン基含有率は14.5質量%であった。
【0281】
合成例6(ポリエーテルポリオールB−4)
グリセリン1モルに対して、水酸化カリウム0.37モルを加え、100℃で6時間減圧脱水した。
【0282】
次いで、グリセリンにプロピレンオキシドを反応温度115℃、最大反応圧力5.0kg/cmで付加重合させ、水酸基価40mgKOH/gの中間体を得た後、さらに、エチレンオキシドを反応温度100℃、最大反応圧力3.8kg/cmで付加重合させて、ポリエーテルポリオールB−4を得た。
【0283】
得られたポリエーテルポリオールB−4の水酸基価は34mgKOH/g、末端オキシエチレン基含有率は15質量%であった。
【0284】
<ビニルモノマー変性ポリオールの製造>
合成例7(ビニルモノマー変性ポリオールPB−1)
温度計、攪拌装置、圧力計および送液装置を備えた1リットル容器の耐圧オートクレーブに、合成例3で得られたポリエーテルポリオールB−1(水酸基価24mgKOH/g)を、満液状態になるまで仕込み、攪拌しながら、120℃に昇温した。
【0285】
次いで、ポリエーテルポリオールB−1、ラジカル重合開始剤(2、2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル))、アクリロニトリルおよび分散安定化剤の混合液を連続装入し、反応温度120℃、反応圧力400kPa、滞留時間50分の条件で、アクリロニトリルをグラフト重合させ、排出口より初留を除いた後、連続的に反応液を得た。
【0286】
なお、原料の使用量は以下のとおりである。
ポリエーテルポリオールB−1:7200g(オートクレーブ仕込み量と混合液中の使用量との合計)
ラジカル重合開始剤:50g
アクリロニトリル:1800g
その後、得られた反応液を、120℃、655Pa以下の条件で3時間の加熱減圧処理し、未反応のアクリロニトリル、ラジカル重合開始剤の分解物などを除去した。これにより、ビニルモノマー変性ポリオールPB−1を得た。
【0287】
このビニルモノマー変性ポリオールPB−1の水酸基価は19mgKOH/g、ビニルポリマー含量は20質量%(アクリロニトリルの総使用量が、ポリエーテルポリオールB−1およびアクリロニトリルの総使用量に対して20質量%)であった。
【0288】
合成例8(ビニルモノマー変性ポリオールPB−2)
温度計、攪拌装置、圧力計および送液装置を備えた1リットル容器の耐圧オートクレーブに、合成例6で得られたポリエーテルポリオールB−4(水酸基価34mgKOH/g)を、満液状態になるまで仕込み、攪拌しながら、120℃に昇温した。
【0289】
次いで、ポリエーテルポリオールB−4、ラジカル重合開始剤(2、2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル))、アクリロニトリルおよび分散安定化剤の混合液を連続装入し、反応温度120℃、反応圧力400kPa、滞留時間50分の条件で、アクリロニトリルをグラフト重合させ、排出口より初留を除いた後、連続的に反応液を得た。
【0290】
なお、原料の使用量は以下のとおりである。
【0291】
ポリエーテルポリオールB−4:7200g(オートクレーブ仕込み量と混合液中の使用量との合計)
ラジカル重合開始剤:80g
アクリロニトリル:3100g
その後、得られた反応液を120℃、655Pa以下の条件で3時間の加熱減圧処理し、未反応のアクリロニトリル、ラジカル重合開始剤の分解物等などを除去した。これにより、ビニルモノマー変性ポリオールPB−2を得た。
【0292】
このビニルモノマー変性ポリオールPB−2の水酸基価は23mgKOH/g、ビニルポリマー含量は、30質量%(アクリロニトリルの総使用量が、ポリエーテルポリオールB−4およびアクリロニトリルの総使用量100質量%に対して30質量%)であった。
【0293】
<ポリオール組成物の調製>
実施例1〜13および比較例1〜6
表1〜表3に示す配合処方で各成分を配合し、室温にてラボミキサーで混合することにより、ポリウレタンフォームの製造に即した各種添加剤を含んでいるポリオール組成物を得た。なお、各ポリオール成分および相分離抑制剤などは、予め50℃に加温して配合および混合した。得られた組成物を、レジンプレミックスとした。また、目視観察を容易にするため、得られたポリオール組成物(すなわちレジンプレミックス)を脱泡処理した。
【0294】
<レジンプレミックスの安定性評価>
ポリオール組成物30gを、ねじ口試験管(日電理化硝子社製「ST−18M」:外径18mm、肉厚1.2mm、全長180mm、容量30mL)に注入し、キャップして密閉し、室温が23℃である室内、および、50℃のオーブン内において、所定の期間静置した後の外観(分離状態)、および、組成物の状態を目視確認した。評価基準を下記する。
◎:相分離が確認できない状態
○:相分離が極僅かに確認できる状態(ポリエステルポリオールの1%以下)
△:相分離が少し認められる状態(ポリエステルポリオールの数%程度)
×:ポリエステルポリオールの10〜80%相当が相分離している状態
××:完全に相分離している状態
なお、組成物が固化した場合や、極端に増粘した場合には、表中にコメントを記載した。
【0295】
<ポリウレタンフォームの製造>
実施例14
ポリエステルポリオール(A−2)18質量部と、ポリエーテルポリオール(B−1)41質量部と、ポリマーポリオール(PB−1)41質量部と、相分離抑制剤C2 2質量部と、架橋剤アクトコールKL−210(三井化学社製)1質量部と、整泡剤SZ−1966(東レ・ダウコーニング社製)1質量部と、発泡剤としての水3.5質量部と、触媒としてのカオーライザー No.31(アミン触媒、花王社製)0.4質量部、カオーライザー No.12 0.05質量部(アミン触媒、花王社製)、および、ネオスタンU−100(ジブチル錫ジラウレート、日東化成社製)0.05質量部とを混合し、レジンプレミックスを調製した。
【0296】
その後、イソシアネートインデックスが100となるよう、上記レジンプレミックスと、ポリイソシアネート成分(三井化学社製、商品名コスモネートTM−20、トリレンジイソシアネートと、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートとの80:20(質量比)混合物)42.65質量部とを混合し、直ちに、予め65℃に調整した内寸300mm×300mm×100mmの金型へ注入し、蓋を閉めて発泡させた。
【0297】
そして、金型を65℃に保ったまま6分間硬化反応させた後、金型より軟質ポリウレタンフォームを取り出した。
【0298】
実施例15〜23、比較例7〜10および参考比較例1〜6
表4〜表9に示す配合処方とした以外は、実施例14と同様にして、レジンプレミックスを調製し、その後、実施例14と同様にして、軟質ポリウレタンフォームを得た。
【0299】
なお、表6および表7の各実施例および各比較例においては、ポリウレタンフォームの硬度を同程度に揃えて評価するため、ポリオール成分の配合処方を、適宜調節した。
【0300】
<レジンプレミックスの安定性評価>
ポリウレタンフォームの製造において調製されたレジンプレミックスの安定性を、上記した方法によって、上記した基準で評価した。
【0301】
<ポリウレタンフォームの評価>
(1)コア密度
ポリウレタンフォームのサンプルから表皮を取り去り、直方体フォームとして、JIS K−6400(1997年)に記載の見掛け密度の測定方法に準拠して、コア密度を測定した。
【0302】
(2)硬度(25%ILD)
厚さ100mmのポリウレタンフォームについて、JIS K−6400(1997年)記載のA法に準拠して硬度を測定した。
【0303】
(3)引張強度
JIS K−6400(1997年)に記載の方法に準拠して、ポリウレタンフォームの引張強度を測定した。
【0304】
(4)伸び率
JIS K−6400(1997年)に記載の方法に準拠して、ポリウレタンフォームの伸び率を測定した。
【0305】
(5)引裂強度
JIS K−6400(1997年)に記載の方法に準拠して、ポリウレタンフォームの引裂強度を測定した。
【0306】
(6)コア反発弾性
JIS K−6400(1997年)に記載の方法に準拠して、ポリウレタンフォームの反発弾性を測定した。
(7)湿熱圧縮永久歪み(ウェットセット(WS))
JIS K−6400記載の方法により、ウェットセットを測定した。
【0307】
具体的には、成形したポリウレタンフォームのコア部を50mm×50mm×25mmに切り抜き、これを試験片とした。次いで、試験片を50%の厚みまで圧縮し、平行平面板に挟んで、50℃、相対湿度95%の条件下で22時間静置した。そして、試験片を取り出して30分経過後の厚みを測定し、試験前の厚みと比較して歪み率を測定した。
【0308】
各レジンプレミックスおよび各ポリウレタンフォームの製造における配合処方、および、その評価結果を、表4〜表9に示す。
【0309】
【表1】
【0310】
【表2】
【0311】
【表3】
【0312】
【表4】
【0313】
【表5】
【0314】
【表6】
【0315】
【表7】
【0316】
【表8】
【0317】
【表9】
【0318】
なお、表中の略号の詳細を下記する。
<ポリエステルポリオール>
A−1:合成例1で得られたポリエステルポリオール、水酸基価51mgKOH/g
A−2:合成例2で得られたポリエステルポリオール、水酸基価50mgKOH/g
<ポリエーテルポリオール>
B−1:合成例3で得られたポリエーテルポリオール、水酸基価24mgKOH/g
B−2:合成例4で得られたポリエーテルポリオール、水酸基価28mgKOH/g
B−3:合成例5で得られたポリエーテルポリオール、水酸基価56mgKOH/g
<ビニルモノマー変性ポリオール>
PB−1:合成例7で得られたビニルモノマー変性ポリオール、水酸基価19mgKOH/g
PB−2:合成例8で得られたビニルモノマー変性ポリオール、水酸基価23mgKOH/g
<植物油ポリオール>
ひまし油特A:ひまし油、商品名ひまし油特A、水酸基価163mgKOH/g、伊藤製油社製
<連通化剤>
EP−505S: 商品名アクトコールEP−505S、水酸基価52mgKOH/g、三井化学社製
<架橋剤>
KL−210:商品名アクトコールKL−210、官能基数3.75のポリオキシアルキレンポリオール、水酸基価840mgKOH/g、三井化学社製
Gly:グリセリン、水酸基価1830mgKOH/g
<発泡剤>
O:水、水酸基価9mgKOH/g
<触媒>
KL−31:アミン触媒、商品名カオーライザー No.31、花王社製
KL−120:アミン触媒、商品名カオーライザー No.120、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、花王社製
KL−12:アミン触媒、商品名カオーライザー No.12、花王社製
U−100:有機錫化合物、商品名ネオスタンU−100、ジブチル錫ジラウレート、日東化成社製
<整泡剤>
SZ−1966:商品名SZ−1966、東レ・ダウコーニング社製
Y−10366:商品名Y−10366、モメンティブ社製
<ポリイソシアネート>
TM−20:コスモネートTM−20、2,4−トルイレンジイソシアネートと2,6−トルイレンジイソシアネートの質量比80:20の混合物80質量部と、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート20質量部との混合物、三井化学社製
(考察)
(1)ポリオール組成物についての考察
各実施例では、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を含有している相分離抑制剤が用いられているため、常温および比較的高温環境下において、長期に亘ってポリオール組成物の相分離が抑制されており、安定性に優れていた。
【0319】
一方、各比較例では、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を含有している相分離抑制剤が用いられていない。より具体的には、相分離抑制剤が用いられていない(比較例1)か、または、相分離抑制剤として、エーテル系界面活性剤(比較例2、3)や、水酸基を含有しない脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物(比較例4〜6)が用いられている。そのため、ポリオール組成物の相分離、固化、増粘などが認められた。
(2)ポリウレタンフォームについての考察
各実施例では、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を含有している相分離抑制剤が用いられているため、常温および比較的高温環境下において、長期に亘ってレジンプレミックスの相分離が抑制されており、また、優れた物性(とりわけ、湿熱圧縮永久歪み(WS))を備えるポリウレタンフォームが得られた。
【0320】
一方、各比較例では、相分離抑制剤が用いられていないため、レジンプレミックスの相分離が認められ、また、ポリウレタンフォームの物性にも劣っていた。
【0321】
これらに対して、参考比較例2〜3および5〜6では、相分離抑制剤が用いられているが、水酸基含有脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物を含有していないので、レジンプレミックスの相分離が抑制される一方、ポリウレタンフォームの湿熱圧縮永久歪み(WS))については、相分離抑制剤が用いられていない参考比較例1および4よりも劣っていた。