特許第6467765号(P6467765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6467765
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】酸化チタン顔料
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/047 20060101AFI20190204BHJP
   C09C 1/36 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   C01G23/047
   C09C1/36
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-112689(P2015-112689)
(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公開番号】特開2016-222518(P2016-222518A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】實藤 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】柴原 悠
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−267824(JP,A)
【文献】 特開2013−014767(JP,A)
【文献】 特開平09−221411(JP,A)
【文献】 特開2007−244971(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/052786(WO,A1)
【文献】 特開平04−081470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00−47/00;49/10−99/00
C09C 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過率を測定した際の透過率曲線の波長370〜400nmの範囲の平均透過率が60%〜80%であり、しかも、透過率曲線の屈曲点のうち、長波長側から短波長側に向かうに従って透過率が下がる屈曲点が370〜400nmの範囲にある酸化チタン顔料であって、
当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、
光源に昼白色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に電球色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(W−L)=|C−C|が25以下である、酸化チタン顔料。
【請求項2】
透過率を測定した際の透過率曲線の波長370〜400nmの範囲の平均透過率が60%〜80%であり、しかも、透過率曲線の屈曲点のうち、長波長側から短波長側に向かうに従って透過率が下がる屈曲点が370〜400nmの範囲にある酸化チタン顔料であって、
当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、
光源に蛍光灯を用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に電球色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(F−L)=|C−C|が35以下である、酸化チタン顔料。
【請求項3】
透過率を測定した際の透過率曲線の波長370〜400nmの範囲の平均透過率が60%〜80%であり、しかも、透過率曲線の屈曲点のうち、長波長側から短波長側に向かうに従って透過率が下がる屈曲点が370〜400nmの範囲にある酸化チタン顔料であって、
当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、
光源に蛍光灯を用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に昼白色LEDを用いて測定した混合ペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(F−W)=|C−C|が5以下である、酸化チタン顔料。
【請求項4】
透過率を測定した際の透過率曲線の波長320〜340nmの範囲の平均透過率が50%未満であり、且つ、波長400〜700nmの範囲の平均透過率が65%〜90%である請求項1〜のいずれか一項に記載の酸化チタン顔料。
【請求項5】
電子顕微鏡法で測定した平均一次粒子径が0.30〜0.60μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の酸化チタン顔料。
【請求項6】
粒子径分布の変動係数が1以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の酸化チタン顔料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタン顔料に関する。更に詳しくは、蛍光材料を配合する組成物に用いたときに、異なる光源下でも色の見え方の変化を小さく見せる視覚的効果を与える酸化チタン顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンは、化粧料、塗料、インキ、プラスチックス、紙、ゴムなど幅広い分野で使用されている。これら分野のうち隠蔽力が必要な分野では、一般的に0.2μm付近の一次粒子径を有する顔料級酸化チタンが用いられる。顔料級酸化チタンは、可視光の隠蔽性に優れるだけでなく、紫外線領域においてもその遮断効果が高い特性を持つ。また、例えば、特許文献1,2には化粧料用に好適な酸化チタンが開示されている。
【0003】
化粧料や塗料等で鮮やかな色を有している場合、蛍光材料が用いられていることが多い(例えば、特許文献3)。蛍光材料は固体または液体の形態を持ち、主に紫外線から可視光線を吸収し、可視光領域に放出する特性を持つ。照射光の波形に対して、蛍光が追加されると、その波長の光の強度が強くなることから、ヒトの目には鮮やかに、高彩度に感じられることになる。蛍光材料は、天然起源から合成品まで多種多様なものが知られている。例えば、バラの色素などの有機系色素や染料、洗剤に配合されている蛍光増白剤、蛍光インクに使われる蛍光顔料などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−191325号公報
【特許文献2】特開2013−28563号公報
【特許文献3】特開2005−206613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、地球温暖化対策として、照明器具の白熱電球からLEDや蛍光灯への切替が進められている。しかしながら、代替光源であるLEDや蛍光灯光源下では、酸化チタン顔料を配合した化粧料、樹脂、インキ、繊維、塗料、紙等の彩度が上がらずくすんで見えたり、光源が変化した時の色や印象の差が極端だったりする問題が生じている。また、日本においては、生活空間に多種の光源が混在してきたため、光源の影響による色味、彩度の変化が激しいという問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らはこの問題に着目し、その原因について検討を進めたところ、その原因に蛍光があることを見いだした。そして、隠蔽剤として用いられている顔料級酸化チタンによってかかる課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の性質を有する酸化チタン顔料を用いることにより、異なる光源下での色の見え方の変化を低減できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、酸化チタン顔料であって、当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、光源に昼白色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に電球色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(W−L)=|C−C|が25以下である、酸化チタン顔料などである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の酸化チタン顔料は、紫外線及び/又は可視光を吸収して可視光領域に蛍光を発する材料とともに化粧料に用いることにより、異なる光源下での色の見え方の変化が低減された化粧料を提供できる。また、塗料、インキ、プラスチックス、紙、ゴムなどに用いた場合でも同様の効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】メトリッククロマを測定する際の装置配置図である。
図2】各種光源のスペクトルを示した図である。
図3】各種光源の紫外線領域のスペクトルを拡大した図である。
図4】色素顔料(Red-7)に380nmの紫外線を照射した際の蛍光スペクトルを示した図である。
図5】実施例及び比較例の各試料の分光透過率曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の酸化チタン顔料は、当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、光源に昼白色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に電球色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(W−L)=|C−C|が25以下である、酸化チタン顔料である。
【0011】
別の態様としては、本発明の酸化チタン顔料は、当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、光源に蛍光灯を用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に電球色LEDを用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(F−L)=|C−C|が35以下である、酸化チタン顔料である。
【0012】
さらに別の態様としては、本発明の酸化チタン顔料は、当該酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストに対し、光源に蛍光灯を用いて測定したペーストの反射光のメトリッククロマCと、光源に昼白色LEDを用いて測定した混合ペーストの反射光のメトリッククロマCとのメトリッククロマ差ΔC(F−W)=|C−C|が5以下である、酸化チタン顔料である。
【0013】
メトリッククロマCは彩度を表す数値であり、数値が高いほど純粋な有彩色であることを示す。メトリッククロマ差ΔCは2色間の彩度の差を表す数値であり、数値が低いほど彩度が保たれていることを示し、また、異なる光源下での彩度の差、つまり、色の見え方の違いを表すこともできる。
【0014】
まず、メトリッククロマCの測定方法について説明する。(以降「メトリッククロマ」の語は省略することもある。)
【0015】
最初に、酸化チタン顔料をヘンシェルミキサー(例えば、三井鉱山株式会社製MITSUI HNSCHEL 方式1)に3000 g仕込み、38Hzで撹拌しながらトリエトキシオクチルシラン(信越化学社製:KBE−3083(LS−5580))を酸化チタンに対し5質量%分、15分かけて添加する。その後、蒸気で昇温し140℃で30分の熱処理を施し、トリエトキシオクチルシラン処理酸化チタン顔料とする。
【0016】
次に、当該オクチルシリル化処理酸化チタン顔料と有機赤色色素とを配合したペーストを調製する。表1に記載の材料を準備し、B群を同一容器に計量しホモミキサー(例えば、PRIMIX社製 T.K.ROBOMIX Ver.5.4)で混合し、そこにさらにA群を加えて混合する。続いてC群を加え、3本ロール(例えば、EXAKT Advanced Technologies GmbH社製 EXAKT 50 I)で充分混合し、ペーストを得る。(以降、このペーストを「リップグロス」と記載することもある。)
【0017】
【表1】
【0018】
次いで、調製したリップグロス0.4gをHelioPlate HD6(50×50mm/米国Labsphere社製)に厚みが3mm程度になるように塗布し、10分程度放置して測定試料とする。
【0019】
リップグロスを塗布したHelioPlate HD6測定試料平面の45°方向に光源を設置し照度が1600ルクスになるように距離を調整する。照度は照度計(例えば、東京光電株式会社製ANA−FII)にて測定する。測定試料平面の90°方向に分光放射輝度計(コニカミノルタ製CS2000)を測定試料から500mmの距離に設置し、測定系を構築する。配置を図1に示す。以下図1について説明する。1aは光源であり、蛍光灯、LED、白熱電球等の光源を用いることができる。1bは試料が塗布された試験片である。1cは分光放射輝度計である。
【0020】
光源に、蛍光灯、昼白色LED、電球色LEDを用いて、分光放射輝度計でそれぞれの光源における反射光のスペクトルを測定し、それぞれの光源に対するLを算出する。測定に用いる各光源は、図2に示すスペクトルを有するものを用いる。蛍光灯には三菱電機社製 FL20SS EX−Nを、LEDの各光源にはオーデリック社製LEDシーリングライト AE−08LDRの昼白色モード、電球色モードを用いる。
【0021】
各光源下で測定したaを元にCを次式で算出する。
=(a*2+b*21/2であり、各光源について以下の通りとなる。
蛍光灯:C= (a+b1/2
昼白色LED:C= (a+b1/2
電球色LED:C= (a+b1/2
【0022】
本発明の酸化チタン顔料は、前記方法で測定したΔC(W−L)=|C−C|が25以下であり、昼白色LED光源下と電球色LED光源下とでのメトリッククロマが従来の酸化チタン顔料よりも小さいため、両光源下での色の見え方の変化を低減できる。
【0023】
本発明の酸化チタン顔料は、前記方法で測定したΔC(F−L)=|C−C|が35以下であり、蛍光灯光源下と電球色LED光源下とでのメトリッククロマが従来の酸化チタン顔料よりも小さいため、両光源下での色の見え方の変化を低減できる。特にΔC(F−L)を25以下とすることもできる。
【0024】
本発明の酸化チタン顔料は、前記方法で測定したΔC(F−W)=|C−C|が5以下であり、蛍光灯光源下と昼白色LED光源下とでのメトリッククロマが従来の酸化チタン顔料よりも小さいため、両光源下での色の見え方の変化を低減できる。特にΔC(F−W)を3以下とすることもできる。
【0025】
本発明の酸化チタン顔料は、その分光透過率において、波長370〜400nmの波長域の平均透過率が60%〜80%であると好ましく、65%〜75%であるとより好ましい。
【0026】
化粧品やファッション、家具調度などの生活空間上の様々なものに蛍光が多用されており、鮮やかな口紅の色、ブラウスの透き通った白の色などは蛍光を利用した技術であることが多い。一般的に化粧品等で使用される、蛍光を発生する素材の場合では、蛍光は、紫外線〜短波長の可視光を吸収して起こる。そのため、この吸収波長の光をカットしてしまうと蛍光が生じず、全く異なる鮮やかさに欠けた色味となる。また、蛍光の強さは光の強度に依存するため、この吸収波長の光の量が変化すると色味も変わってしまうことになる。
【0027】
白熱電球はこの吸収波長領域の光を潤沢に出す光源であったが、蛍光灯やLED照明は相対的にこの領域の光が少なく、メーカーによっては、出さないものも存在する。LED照明も一般的な照明も、人間の目には同じような光源に見えるものの、実際にはそのスペクトルは大きく異なっている。例えば、LED照明は、白熱電球のような可視光全体に広がるブロードなスペクトルを持たず、特定波長域の光と強度との組み合わせで色を構成している場合が多い。また、一般的なLED照明の昼白色、昼白色、電球色は、波長帯自体はあまり変えず、青色光の強度と黄色光の強度のバランスを変えて実現している場合が多い。そのため、光源が変わったとき、すなわち光の波長と強度の組み合わせのバランスが変わったときに、蛍光を示す材料の鮮やかさが減ってしまう。この現象が、口紅の色や、ドレスの色、ブラウスの質感に至るまで大きな影響を与えている。
【0028】
一方、化粧品、樹脂、インキ、繊維、塗料、紙等(以降、化粧料等とすることもある)には隠蔽力を確保する目的で顔料級酸化チタンが多用されるが、従来の顔料級酸化チタンは紫外線の遮蔽性もある程度有している為、長波長域の紫外線もかなりカットしてしまう。すると、光源からの紫外線が弱い上に、さらに顔料級酸化チタンでカットしてしまうことになり、蛍光を発するのに必要な紫外線量が確保できず、彩度が低く、見た目の鮮やかさに欠けることとなる。本発明の酸化チタン顔料は、従来の顔料級酸化チタンと比べて長波長紫外線域、特に370〜400nmの範囲の透過率が有意に高いため、紫外線〜短波長の可視光を吸収して蛍光を発生する蛍光材料(以降、単に蛍光材料という)と併用したときに蛍光を発するのに必要な紫外線量を確保することができるため、光源が変わっても色の見え方の変化が小さい化粧料等が得られる。
【0029】
本発明の酸化チタン顔料は、更に、その分光透過率において、波長320〜340nmの波長域の平均透過率が50%未満であると好ましく、45%以下であるとより好ましい。このような分光透過率であると、皮膚の黒化にも影響するUVAの防御効果と色の鮮やかさのバランスをとることができる。皮膚の黒化は主に320〜340nmで効いてくるため、この波長域の遮蔽能は残して皮膚の黒化を抑制しながら、蛍光の吸収帯が多い370〜400nmの波長域の透過率を上げることで、光源が変わっても色の見え方の変化が小さく、色が鮮やかになるように化粧料等が設計できる。平均透過率の下限値には特に制限は無い。
【0030】
本発明の酸化チタン顔料は、更に、その分光透過率において、波長400〜700nmの波長域の平均透過率が65%〜90%であると好ましく、70%〜87%であるとより好ましい。特に化粧料に用いる場合、化粧品に透明感があることは好ましい特性であるが、カバー力がないことは好ましくない。そこでその分光透過率を上記範囲になるようにすると、透明感をもちながら、カバー力も十分確保できる化粧料を設計できる。
【0031】
本発明で用いる酸化チタンは、さらに、屈曲点の有無および波形が認識できるように透過率を測定した際の透過率曲線の屈曲点の内、長波長側から短波長側に向かうに従って透過率が下がる屈曲点が波長370〜400nmの範囲にあると好ましい。酸化チタン顔料の分光透過率曲線では通常、長波長側と短波長側の2点の屈曲点が存在するが、本発明では長波長側に現れる屈曲点を基準とする。透過率曲線の該屈曲点が400nmを超えると、370〜400nmの範囲の光の透過率が減りすぎるため、蛍光材料が吸収できる紫外線量が減ってしまう問題がある。屈曲点が370nm未満にある場合および屈曲点が明確でない場合は、隠蔽力が不足している場合があるため、好ましくない。尚、屈曲点とは、「屈曲点とは曲率が急変する点、すなわち凸角の頂点」をいう。
【0032】
前述の透過率の測定は、次の方法で行う。
<試料作製>
140mLのガラス容器(磯矢硝子工業社製M−140)に、表2に記載した内容物を入れる。尚、表2中の(流動パラフィン/白色ワセリン/ステアリン酸)混合物の割合を表3に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
<調製方法>
内容物を入れた上記ガラス容器をペイントシェーカー(レッドデビル社製)で10分間振盪し、その後、ガラスビーズを金属網で分離して、試料を得る。
【0036】
<塗布方法>
フィルム(パナック社製 ロンザTAC100)にウエット(濡れた)状態での膜厚が、約50μmになるように2ミル(50.8μm)アプリケーター(太佑機材社製)を使用し、調製した試料を塗布し、塗膜を得る。
【0037】
<測定方法>
上記で作成した塗膜を、紫外可視分光光度計(日本分光社製 V−660)にて分光透過率測定を行う。
【0038】
各波長範囲での平均透過率の算出は次のようにして行う。上記方法で測定した波長領域の透過率測定値を5nm間隔で足し合わせ、その平均値をもって「平均透過率」とする。
【0039】
本発明の酸化チタン顔料は、電子顕微鏡法で測定した平均一次粒子径が0.30〜0.60μmの範囲であると好ましい。この範囲であると、異なる光源下でも色の見え方の変化を小さく見せる視覚的効果を与える酸化チタン顔料とすることができる。平均一次粒子径が0.30μm未満では、酸化チタンの光散乱が強くなるため、蛍光が効率的に放出されなかったり、紫外線の吸収が抑制されたりする問題がある。平均一次粒子径が0.60μmを超えると、隠蔽力が弱くなり、隠蔽剤としての機能が弱くなる問題がある。酸化チタンの粒度分布が複数ある場合は、1つの粒度分布が本発明の範囲にあり、かつメトリッククロマCの変化低減効果が発揮できる場合は、本発明の範囲に該当する。平均一次粒子径は、酸化チタン顔料の透過型電子顕微鏡写真(倍率20000倍)を撮り、100個以上の粒子についてそれぞれ長軸径、短軸径を測定し、すべてを個数平均して求める。
【0040】
本発明の酸化チタン顔料は、その粒子径分布の変動係数が1以下であると好ましい。平均一次粒子径が前述の範囲で、且つ、変動係数が1以下であると、340nm以下の波長域の遮蔽能は比較的高く、370〜400nmの波長域の遮蔽能は比較的低いという、適度な紫外線遮蔽能を有するとともに、赤色域の散乱能が小さい適度な透明性を有する粒子径が大半を占めることとなるため、本発明の効果がより高くなる。一方、変動係数が1より大きいことは粒子径のバラツキが大きいことを意味し、適度な紫外線遮蔽能及び赤色域の散乱能が小さい適度な透明性を有する粒子径から逸脱する粒子が増えるため、適度な紫外線遮蔽能が得られず、又赤色域での散乱能が大きくなり、異なる光源下での色の見え方の変化の低減度合いが弱まる。粒子径の変動係数は0.6以下であるとより好ましく、0.2以下であると更に好ましい。酸化チタンの粒度分布は単峰性であることが好ましいが、もし酸化チタンの粒度分布が複数ある場合は、1つの粒度分布の変動係数が本発明の範囲にあり、かつメトリッククロマCの変化低減効果が発揮できる場合は、本発明の範囲に該当する。粒子径分布の変動係数は、前述の平均一次粒子径算出時に測定した長軸径・短軸径すべてから標準偏差を求め、それを平均一次粒子径で除して求める。
【0041】
本発明の酸化チタンの結晶形はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでもよく、これらのうちの二種以上を含む混合物であってもよい。これらは求められる特性に応じて使い分ければよい。結晶系は粉末X線回折法により回折パターンを測定し、PDF(powder diffraction file)データと対比することにより確認できる。
【0042】
本発明の酸化チタン顔料の形状は、球状、紡錘状、棒状、板状、不定形状、多角板状、花弁状、藁束状など、特に限定されない。なお本発明の酸化チタン顔料を化粧料に用いる場合には、それを構成する粒子の形状が球状〜略球状であることが好ましい。粒子がそのような形状であると、化粧品に配合して用いた場合に、良好な感触を示す。粒子の形状は電子顕微鏡写真で観察することができ、大まかに球状〜略球状であればよいが、具体的には、アスペクト比が1.0〜1.5であると好ましく、1.0〜1.2であるとより好ましい。アスペクト比は、前述の平均一次粒子径算出時に測定した長軸径・短軸径からそれぞれ平均長軸径、平均短軸径を求め、平均長軸径を平均短軸径で除して求める。
【0043】
本発明の酸化チタン顔料は、酸化チタン粒子表面に、ケイ素酸化物及び/又はアルミニウム酸化物が被覆されているのが好ましい。ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウムの無水酸化物、含水酸化物、水和酸化物、水酸化物から選ばれる少なくとも1つの化合物等が挙げられ、その被覆の様態は、光触媒活性が十分に抑えられるようであれば、多孔質であっても、緻密であってもよく、適宜選択できる。また、それぞれを単独で被覆することも、これらを積層したり、混合して被覆する等して、組み合わせて用いることもできる。特に、酸化チタンの粒子表面にケイ素酸化物を被覆した後、更にその表面にアルミニウムの酸化物又は水酸化物を被覆すると、より好ましい。
【0044】
これらの好ましい被覆量は、TiO換算の酸化チタン粒子の質量基準に対し、ケイ素酸化物がSiO換算で3.0〜13.0質量%の範囲であり、アルミニウム(水)酸化物がAl換算で0.1〜5.0質量%の範囲である。より好ましくは、それぞれの被覆量は、TiO換算の酸化チタン粒子の質量基準に対し6〜10質量%、0.3〜3.0質量%の範囲である。被覆量は蛍光X線分析やICP発光分光分析により確認できる。
【0045】
本発明では、ケイ素酸化物、アルミニウム(水)酸化物に加え、更に、これら以外の無機化合物を被覆してもよい。無機化合物としては、例えば、ジルコニウム、スズ、チタン、アンチモン等の酸化物、水酸化物、リン酸塩等、アパタイト、ケイ酸チタン、水酸化鉄、酸化鉄等が挙げられる。
【0046】
また、本発明の酸化チタン顔料の粒子表面には、さらに、各種の表面処理がされていても構わない。表面処理としては、例えば、シラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤、金属石鹸、樹脂等が挙げられる。シラン化合物としては、アルキルアルコキシシラン、例えばオクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。シリコーン化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性シリコーン等が挙げられる。また、フッ素界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0047】
また、産業用途によっては、例えば、ポリオール化合物(トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール等)、アルカノールアミン化合物(モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等)及びその誘導体(酢酸塩、シュウ塩、酒石酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等)等で被覆することも好ましい。中でも、ポリオール化合物は、分散性を向上させる効果が高いので好ましく、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンであれば更に好ましい。シリコーン化合物、フッ素界面活性剤やその他の有機化合物は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物等の無機化合物の被覆上に被覆するのがより好ましい。シリコーン化合物、フッ素界面活性剤やその他の有機化合物は、シリカ、アルミナ等の無機化合物の被覆上にさらに被覆するのがより好ましい。表面処理する際の被覆量は、酸化チタン粒子の比表面積にも依存するが、TiO換算の酸化チタン粒子の質量基準に対し、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.1〜10質量%の範囲が更に好ましい。
【0048】
本発明の酸化チタン顔料は、その比表面積が18〜33m/gの範囲であると好ましい。比表面積が前記の範囲であると、適度な紫外線遮蔽能及び赤色域の散乱能が小さい適度な透明性を有する粒子径となるので好ましい。比表面積は20〜30m/gの範囲であるとより好ましい。比表面積の測定は、試料管を液体窒素で冷却しながら窒素ガスを試料に吸着させる、一般的な窒素吸着によるBET一点法で行えばよい。
【0049】
本発明の酸化チタン顔料は、その吸油量が、20〜40mL/100gの範囲であると好ましい。吸油量が前記の範囲であると、化粧品にしたときにベタツキ、化粧崩れや粉っぽさが改善できる。又、経時安定性も高度に維持できるようになる。吸油量は、22〜37mL/100gがより好ましく、25〜35mL/100gがより好ましい。吸油量は、JIS K−5101−13−2 に準じて測定する。具体的には、試料と煮アマニ油を少しずつ混ぜ、ヘラを用いてらせん状に巻くことができる状態になったときの試料100gあたりの煮アマニ油の使用量(式a)で表す。
(式a) 吸油量(g/100g)=煮アマニ油の量(g)/試料質量(g)×100
【0050】
なお、本発明の酸化チタン顔料は、従来の二酸化チタン顔料と同程度の白色を有しているが、酸化チタン粒子内部に、鉄、銅、セリウム、バナジウム、アンチモン、クロム、タングステン、マンガン、コバルト等の金属の化合物を含有してもよく、この場合、種々の色相を有する。特に、酸化鉄等の鉄化合物を含有する場合には、化粧料には好ましいベージュ色となる。また、酸化チタンの粒子内部に、アルミニウム、亜鉛、リン、鉄等の金属の化合物を含有してもよく、この場合、酸化チタン特有の酸化活性や光活性が抑制されるので、好ましい。
【0051】
本発明の酸化チタン顔料は、レーザー回折/散乱法で測定した個数平均粒子径が0.2〜1.1μmの範囲にほぼ収まる。電子顕微法で求めた平均一次粒子径が0.3〜0.6μmの範囲であることから、本発明の酸化チタン顔料は余り凝集しておらず、単分散に近い状態で挙動することが分かる。
【0052】
本発明の酸化チタン顔料の製造方法には特に制限は無く、前述の特性を有する酸化チタン粉末を製造できる任意の方法を用いればよい。具体的な製造方法を説明する。
【0053】
硫酸チタニルを170℃以上の温度下、かつ、該温度の飽和蒸気圧以上の圧力下で加水分解して球状含水二酸化チタンを得、次いで、該球状含水二酸化チタンを塩酸中に浸漬した後に400〜700℃の温度で焼成して製造することができる。以下、各工程について詳細を説明する。
【0054】
まず、硫酸チタニルを170℃以上の温度下、かつ、該温度の飽和蒸気圧以上の圧力下で加水分解して球状含水二酸化チタンを製造する。
【0055】
硫酸チタニルの溶液は、精製した硫酸チタニル溶液のほか、チタン鉱石を硫酸で浸出した硫酸鉄等の不純物を含む溶液、硫酸チタニルをアルカリで中和する等して得られたメタチタン酸または含水二酸化チタンを硫酸で溶解した溶液等である。
【0056】
この硫酸チタニルの溶液を耐圧容器に入れ、容器を密閉状態にした後、所定の温度に加熱し、加水分解する。硫酸チタニルの濃度はTiO基準に換算して0.05〜5モル/L程度、好ましくは0.5〜3モル/Lである。また、必要に応じて、硫酸チタニルの濃度を調整する際、遊離硫酸の濃度を50〜800g/L程度、好ましくは150〜400g/Lに調整してもよい。
【0057】
加水分解時の温度は、170℃以上、望ましくは180℃〜300℃の温度である。前記温度が170℃より低い場合、所望の大きさ、形を有する球状含水二酸化チタンが得られ難くなる。
【0058】
加水分解時の圧力は、前記温度の飽和蒸気圧程度または飽和蒸気圧以上の圧力、望ましくは前記温度の飽和蒸気圧より0〜10kg/cm 程度高い圧力である。加水分解時の温度が300℃より高い場合や、加水分解時の圧力が飽和蒸気圧より大幅に高い場合、使用できる装置が限られるので好ましくない。
【0059】
加水分解の反応時間は0.5〜10時間が適当である。このように加水分解した後、適当な温度になるまで冷却し、分別し、必要に応じて、洗浄し、乾燥して球状含水二酸化チタンを得る。
【0060】
次いで、このようにして得られた球状含水二酸化チタンを、塩酸中に浸漬した後に400〜700℃の温度で焼成する。球状含水二酸化チタンは、硫酸根を多く含んでいるが、塩酸中に浸漬すると置換反応により硫酸根の残留量を減少させることができる。
【0061】
具体的には、塩酸中に浸漬した後、必要に応じて、洗浄し、乾燥して得た球状含水二酸化チタンを、400〜700℃の温度で焼成する。焼成の温度が700℃より高い場合、粒子が強く焼結して、粉砕を強化しなければならなかったり、出来た酸化チタン顔料の感触が悪くなるため望ましくない。また、400℃より低い場合、適度な紫外線遮蔽能及び適度な透明性(赤色域の散乱能が小さい)を有する粒子径から逸脱する粒子が増え、適度な紫外線遮蔽能が得られず、又赤色域での散乱能が大きくなり、蛍光材料を含む組成物に用いたときに、異なる光源下での彩度変化が大きくなってしまうため望ましくない。
【0062】
上記製法において、その焼成の時間は0.5〜10時間程度が適当である。焼成に使用する装置は、回転炉等の一般的な焼成炉が使用できる。このようにして得られた酸化チタン粉末は、必要に応じて、擂潰機等で解砕又は粉砕してもよい。このようにして本発明の酸化チタン顔料が得られる。
【0063】
焼成温度は600℃より高く700℃以下とするのが好ましい。この温度範囲で焼成を行った後、粉砕工程(必要に応じて分級工程)を経て製造される整粒された酸化チタン顔料は、370〜390nm程度の範囲で急峻に変化する屈曲点をもち、長波長紫外〜可視光域での透過率が比較的高いという、より理想的な分光透過率曲線を示す。そのため、蛍光材料を含む組成物に用いたときに、異なる光源下での色の見え方の変化をより低減することができる。
【0064】
また、必要に応じて、酸化チタン粒子表面を、ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物で被覆してもよい。それにはまず、酸化チタン粉末を水中に分散させて、好ましくは、縦型サンドミル、横型サンドミル等を用いて湿式粉砕を行い、水性スラリーを調製する。この水性スラリーは、粒度分布調整の為、メッシュを通すなどして粒度分布コントロール作業を行ってもよい。この際、水性スラリーのpHを9以上に調整すると、酸化チタン粉末が水中に安定して分散するので好ましい。また、必要に応じて、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等のリン酸化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸化合物等の分散剤を用いてもよい。水性スラリー中の酸化チタン粉末の固形分濃度は、50〜800g/Lの範囲であり、好ましくは100〜500g/Lの範囲である。
【0065】
その後、水性スラリー中に、ケイ素化合物、アルミニウム化合物を添加した後、中和剤を添加したり、あるいは、ケイ素化合物、アルミニウム化合物と中和剤とを同時に添加すれば、ケイ素酸化物、アルミニウム化合物が被覆される。ケイ素化合物の塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。アルミニウム化合物の塩としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。また、中和剤としては、塩基性化合物であれば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水酸化物や炭酸塩等、アンモニア等のアンモニウム化合物、アミン類等が、酸性化合物であれば、硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸、ギ酸等の有機酸等が挙げられる。
【0066】
酸化チタンの粒子表面に被覆するケイ素酸化物は、多孔質処理と緻密処理が知られており、前記の方法では多孔質ケイ素酸化物の被覆が得られる。緻密ケイ素酸化物を被覆するのであれば、特開昭53−33228号公報等に記載されている公知の方法を応用できる。特開昭53−33228号公報に記載の方法を用いるのであれば、酸化チタン粉末のスラリーを80〜100℃の範囲の温度に維持しながら、好ましくは、スラリーのpHを9〜10.5の範囲に維持しながら、ケイ酸ナトリウムを急速に添加した後、9〜10.5のpHで中和し、その後、80〜100℃の範囲の温度を50〜60分間保持する。あるいは、ケイ酸化合物を30分間以上かけて中和する方法を用いることもできる。この方法では、中和は1時間以上かけて行うのが更に好ましい。中和pHは4〜7.5の範囲に、また、中和時の水性スラリーの温度が80℃以上であれば、より緻密な被覆が形成され易いので好ましい。より好ましい中和pHの範囲は4.5〜7であり、中和温度は90℃以上である。
【0067】
また、必要に応じて、酸化チタン顔料の粒子表面を、シラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤など、前述の表面処理剤で被覆してもよい。例えば、酸化チタン顔料粉末とシラン化合物等の表面処理剤とを乾式粉砕機や高速撹拌機を用い、両者を撹拌、混合して被覆することができる。特に、乾式粉砕機を用いる方法は、酸化チタン顔料の粉砕と有機化合物の被覆とを同時に行うことができるので好ましい。乾式粉砕機としては、粉砕効率が良く、混合性に優れたジェットミル等の気流式粉砕機を用いるが好ましい。また、酸化チタン顔料粉末の水性スラリーにシラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤等を添加して、被覆することもできる。
【0068】
本発明では、酸化チタンの粒子表面にケイ素酸化物、アルミニウム酸化物以外の無機化合物を被覆する場合には、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物の被覆と同様の方法を用いることができる。また、酸化チタンの粒子表面にシラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤以外の有機化合物を被覆する場合にも、シラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤の被覆と同様の方法を用いることができる。酸化チタン顔料粉末の粒子表面に有機化合物を被覆するのであれば、ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物を被覆後の酸化チタン顔料と、乾式粉砕機や高速撹拌機を用い、両者を撹拌、混合するのが好ましい。ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物等の無機化合物、シラン化合物、シリコーン化合物、フッ素界面活性剤等の有機化合物を被覆した酸化チタン顔料を、脱水してスラリーから固液分離して乾燥し、必要に応じて乾式粉砕を行うことができる。脱水には、例えば、フィルタープレス、ロールプレス等を用いることができる。乾燥には、例えば、バンド式ヒーター、バッチ式ヒーター等を用いることができる。乾式粉砕には、例えば、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、解砕機等に摩砕粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機、スプレードライヤー等の噴霧乾燥機等を用いることができる。
【0069】
酸化チタン顔料の粒度分布は、公知の方法で調整することができる。具体的には、前述の製造方法のいずれかの工程において、公知の分級工程を含ませればよい。分級は、湿式、乾式のいずれで行ってもよく、メッシュパスや流体分級等の公知の方法を用いることができ、特に制限は無い。粉砕工程や輸送工程で、それらと組み合わせて行ってもよい。特に、無機表面処理工程で湿式粉砕後に分級を行ったり、焼成後の粉砕工程で分級を行ったり、表面処理後の粉砕工程で分級を行うと、分級効率が高く、工程も簡易であるため好ましい。特に全ての表面処理が終了した後に粉砕及び/又は分級を行うことで、粒子径分布の精密な制御が可能であるため好ましい。分級装置としては、サイクロン、スーパークロン、遠心分離機、振動篩などが挙げられる。
【0070】
本発明の酸化チタン顔料は、紫外線〜低波長可視域の範囲に吸収を持ち、かつ可視光領域に蛍光を発する材料とともに組成物として用いると特に効果的であり、特に波長370〜400nmに吸収を持つ蛍光材料と併用することが好ましい。蛍光材料は既知の材料であれば、特に制限はないが、人体に適用する場合や法的規制がある場合は、安全性や規制に従ったものを用いる必要がある。蛍光材料は、有機物、無機物のいずれでも構わない。また、蛍光材料の性能を高める目的で、複合顔料化したものや、各種の表面処理がなされていても構わない。蛍光材料の例としては、天然色素、着色した植物エキスの一部、蛍光増白剤、蛍光染料、蛍光顔料などが挙げられるが、蛍光材料として認識されていないものの中にも蛍光を発しているものは多数存在しているため、長波長紫外線を当てて、目視で色変化が観察された場合に、蛍光スペクトルを測定する形で選択することができる。蛍光材料の具体例として、緑〜黄緑の蛍光色を発する材料としてはBrilliant Sulfoflavin FF(C.I.56205)などが、黄緑〜黄色の蛍光色を発する材料としてはbasic yellow HG(C.I.46040)などが、赤色の蛍光色を発する材料としては、D & C Red No.7(C.I.15850)、D & C Red No.27(C.I.45410)、D & C Red No.28(C.I.45410)などが挙げられる。
【0071】
前記蛍光材料は、固形分換算で、組成物に対して、0.001〜15質量%の範囲で配合することが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10質量%の範囲で配合することが好ましい。
【0072】
前記蛍光材料は、その形態が粉体の形状を持つ場合は、その一次粒子径が1nm〜20μmの範囲にあることが好ましい。この蛍光材料は紫外線を吸収して可視光領域に放出する特性を持つものであるため、できるだけ比表面積が大きい方が単位質量あたりの蛍光の発光輝度を高くすることができるため好ましい。この粒子径範囲であると、蛍光の発光効率を高くすることができる。
【0073】
本発明の酸化チタン顔料は、特に化粧料に好適に用いられる。化粧料への配合量は、化粧料の剤型や、より具体的な目的を鑑みた他の配合成分との兼ね合いにより、一概に規定できるものではないが、概ね化粧料全体の0.1〜60.0質量%が好ましく、1.0〜40.0質量%であることが特に好ましい。0.1質量%未満では、十分な効果が得られないことがあり、また60.0質量%を超えると使用性が悪くなることがある。
【0074】
化粧料には、本発明の酸化チタン顔料、蛍光材料の他に、効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分、例えば、その他の粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することができる。この際に、蛍光材料の紫外線吸収を抑制する成分を配合する際は、組成物の彩度が維持される範囲内で配合量を調整することが好ましい。
【0075】
化粧料は、外皮に適用される化粧品、医薬品、及び医薬部外品に広く適用することが可能である。その剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、ゲル、エアゾール、ミスト、及びカプセル等、任意の形態で提供されることができる。また、化粧料の製品形態も任意であり、化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料;ファンデーション、おしろい、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、サンスクリーン等のメーキャップ化粧料;ボディー化粧料;芳香化粧料;メイク落とし、洗顔料、ボディーシャンプー等の皮膚洗浄料;ヘアーリンス、シャンプー等の毛髪化粧料;軟膏;浴用剤;あぶら取り紙等、従来化粧料に用いるものであればいずれの形で適用することもできる。本発明の酸化チタン顔料は、蛍光材料が比較的多く使用される、口紅、グロス(リップグロス)やチークなどのポイントメイク用化粧品に特に好適に用いることができる。
【0076】
本発明の酸化チタン顔料は、樹脂成分と配合して樹脂組成物として用いることもでき、樹脂成分の種類を選択することにより、塗料、紙、繊維等の各種用途に有用な樹脂組成物とすることができる。中でも塗料用樹脂組成物、インキ用樹脂組成物、プラスチックス用樹脂組成物として有用である。具体的な顔料濃度は用途によって異なるが、例えば、塗料用樹脂組成物やインキ用樹脂組成物であれば、樹脂成分1質量部に対し酸化チタン顔料0.5〜10質量部が、プラスチックス用樹脂組成物であれば、樹脂成分1質量部に対し酸化チタン顔料0.05〜2質量部が、好ましい。本発明には、前記酸化チタン顔料及び樹脂成分以外に、溶剤、添加剤、充填剤等が含まれていてもよい。この際に、蛍光材料の紫外線吸収を抑制する成分を配合する際は、組成物の彩度が維持される範囲内で配合量を調整することが好ましい。
【0077】
塗料用樹脂を含む樹脂組成物は、金属、木材、プラスチックス、コンクリート等広範囲の基材の塗装に用いることができるが、特に屋内用の部材の塗装に適している。塗装方法はハケ塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、ディップ塗装、静電塗装等公知の方法を適用でき、特に制限を受けない。
【0078】
塗料用樹脂成分は、例えば、アルキド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、フッ素系樹脂、変成シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられ、適宜選択できる。これらの塗料用樹脂成分は、有機溶剤溶解型、水溶型、エマルジョン型等特に制限は無く、硬化方式も加熱硬化型、常温硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等制限は受けない。塗料用樹脂を含む樹脂組成物には、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等の有機溶剤、水またはそれらの混合溶剤が、溶媒として含まれていても良く、溶媒は樹脂成分との適性に応じて選択する。その他にも、目的に応じて有機顔料、無機顔料、染料等の着色剤、増量剤、界面活性剤、可塑剤、硬化助剤、ドライヤー、消泡剤、増粘剤、乳化剤、フロー調整剤、皮張り防止剤、色分れ防止剤、紫外線吸収剤、防カビ剤等の各種添加剤、充填剤等が含まれていても良い。あるいは、硬化剤、硬化助剤、硬化性樹脂成分を別に硬化液とし、塗装時に塗料に混合して用いる二液性塗料とすることもできる。紫外線硬化型樹脂を含む樹脂組成物には、更に光重合開始剤、光増感剤等を添加するのが好ましい。
【0079】
前記樹脂組成物は、樹脂成分として塗料用樹脂を用いる場合には、前記酸化チタン顔料と塗料用樹脂成分とに、必要に応じて各種溶媒を添加し、サンドミル、ディスパー、ボールミル、ペイントシェイカー、2本ロールミル、3本ロールミル等の分散機を用いて分散させることにより得られる。前記の各種添加剤、充填剤は分散時に加えることも、分散後の塗料に加えることもできる。
【0080】
インキ用樹脂を含む樹脂組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、その他凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、孔版印刷に用いる各種印刷インキにも有用であり、印刷する基材は、プラスチックス・フィルム、紙、金属箔等特に制限を受けない。更に、本発明は最終的な印刷インキとしてばかりでなく、調色用インキ、カラーチップ等の中間品にも適用される。
【0081】
用いるインキ用樹脂成分は、印刷方法、印刷する基材の種類等によって適宜選択でき、例えば、ウレタン系樹脂、塩酢ビ系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、環化ゴム系樹脂、硝化綿、ロジン等を用いることができる。これらのインキ用樹脂成分は、有機溶剤溶解型、水溶型、エマルジョン型等特に制限は無く、硬化方式も常温硬化型、加熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等制限は受けない。本発明のインキ用樹脂を含む樹脂組成物には、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等の有機溶剤、水またはそれらの混合溶剤が、溶媒として含まれていても良く、溶媒は樹脂成分との適性に応じて選択できる。その他にも、使用場面に応じて有機顔料、無機顔料、染料等の着色剤、増量剤、界面活性剤、帯電防止剤、可塑剤、硬化助剤、消泡剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤等の各種添加剤、充填剤等が含まれていても良い。
【0082】
前記樹脂組成物は、樹脂成分としてインキ用樹脂を用いる場合には、前記酸化チタン顔料とインキ用樹脂成分とに、必要に応じて各種溶媒を添加し、サンドミル、アトライター、ディスパー、ボールミル、ペイントシェイカー、2本ロールミル、3本ロールミル等の分散機を用いて分散させることにより得られる。あるいは、前記顔料と樹脂成分とを練肉し、チップ化することもできる。前記の各種添加剤、充填剤は分散時に加えることも、分散後のインキに加えることもできる。
【0083】
プラスチック用樹脂を含む樹脂組成物は、耐水紙等のラミネート加工品、射出成形品、押出成形品、インフレーション加工品、カレンダー加工品等の用途に有用である。更に、本発明は最終的な成形品としてばかりでなく、カラーペレット、マスターバッチ(カラーコンセントレーション)等の中間品にも適用される。
【0084】
プラスチックス用樹脂成分は、加工方法等によって適宜選択でき、例えば、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリ乳酸樹脂等の熱硬化型樹脂や、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑型樹脂を用いることができ、特に制限は無い。本発明のプラスチックス樹脂を含む樹脂組成物には、前記酸化チタン顔料とプラスチックス用樹脂成分の他にも、目的に応じて有機顔料、無機顔料、染料等の着色剤、増量剤、界面活性剤、可塑剤、滑剤・安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、難燃剤、増白剤、殺菌剤、補強材等の各種添加剤、充填剤等が含まれていても良い。
【0085】
前記樹脂組成物は、樹脂成分としてプラスチック用樹脂を用いる場合には前記酸化チタン顔料とプラスチックス用樹脂成分とに、必要に応じて上記の添加剤、充填剤を添加し、一軸または二軸エクストルーダー等の押出成形機、カレンダーロール等のロール成形機、バンバリーミキサー等の加圧ミキサー等を用いた公知の方法で分散させることで得られる。あるいは、押出成形機や加圧ミキサーを用いてペレット化した後、射出成形機または上記の各種成形機により成形しても良い。
【実施例】
【0086】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0087】
<酸化チタン試料の調製>
TiO換算で150g/dm濃度の硫酸チタニル水溶液をオートクレーブに仕込み、加水分解用核剤を添加し、100kg/cmの飽和蒸気圧以上の圧力下、250℃の温度下で、4時間かけて加水分解した後、濾過・洗浄・乾燥して球状の含水二酸化チタン乾燥粉末を得た。この乾燥粉末150gを7%塩酸500cmに懸濁させて60℃に加温して1時間撹拌した後、20%の水酸化ナトリウム水溶液で中和して濾過・洗浄した。得られた洗浄ケーキを650℃で焼成して酸化チタン顔料(試料a)を得た。
【0088】
試料aの酸化チタン顔料をTiO濃度200g/dmの水性スラリーに調整し、ヘキサメタリン酸ナトリウムをPとして二酸化チタン質量に対して0.4質量%加え、ビーズミルにて湿式粉砕した後、150メッシュで整粒操作を行い、酸化チタンスラリーを得た。その一部を洗浄・乾燥し、酸化チタン顔料(試料b)を得た。
【0089】
前記酸化チタンスラリーの残りを更に200メッシュで整粒した後、TiO濃度が200g/dmとなるように調整した。このスラリーを70℃に昇温して、TiO分に対してSiO換算で3質量%のケイ酸ナトリウム水溶液を30分かけて添加し、85℃に昇温した。30分間撹拌後、希硫酸を40分かけてゆっくり滴下し、pH7.0に中和した。続いて、この二酸化チタンスラリーを70℃まで冷却し、希硫酸でpH5.5に調整し、TiO分に対してAl換算で1質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を30分かけて添加した。30分撹拌後、希硫酸でpH5.5に再調整した後、濾過洗浄し、120℃で乾燥した。この乾燥物に対し、気流粉砕、整粒操作を施し、酸化チタン顔料(試料c)を得た。
【0090】
これ以外に試料d〜fとして酸化チタン顔料CR−60、CR−50、CR−58(いずれも石原産業製)を準備した。
【0091】
<物性値の測定>
試料a〜fの平均一次粒子径、標準偏差、変動係数、形状を表4に示す。個数平均粒子径、標準偏差、変動係数は、各試料の透過型電子顕微鏡写真(倍率20000倍)をもとに、ニレコ社製画像解析装置で粒子100個について画像解析して求めた。形状は目視で判断した。試料cについて、吸油量、アスペクト比を測定した結果、それぞれ30mL/100g、1.2であった。また、レーザー回折/散乱法による平均粒子径を測定した結果、0.78μmであった。
【0092】
【表4】
【0093】
(実施例1,2、比較例1〜4)
試料a〜fを用いて、前記の処方に従いリップグロスを作製した。表5に具体的配合を示す。酸化チタン試料は全てオクチルトリエトキシシランを用いて5質量%処理したオクチルトリエトキシシラン処理酸化チタンとして配合した。また、表5中の単位は質量%である。
【0094】
【表5】
【0095】
<メトリッククロマCの測定>
実施例1,2,比較例1〜4のリップグロスを用いて、前記の方法に従い、メトリッククロマCを測定した。光源に、蛍光灯、昼白色LED、電球色LEDを用いて、分光放射輝度計でそれぞれの光源における反射光のスペクトルを測定し、それぞれの光源に対するLを算出した。実際の測定距離は蛍光灯で410mm、白色LEDで500mm、電球色LEDで430mmとなった。このa値を元に、Cを算出した。尚、光源として蛍光灯とLEDの比較を実施したのは、日本国内においては、この組み合わせの影響が最も多く想定されるためである。蛍光灯には三菱電機社製 FL20SS EX−Nを、LEDの各光源にはオーデリック社製LEDシーリングライト AE−08LDRの昼白色モード、電球色モードを用いた。
【0096】
<各種光源の分光分布の測定>
前述の方法に準じて、各種の光源の分光分布を測定した結果を図2に示す。図2において、2a)は蛍光灯を、2b)は日本製昼白色LEDを、2c)は日本製電球色LEDを、2d)は白熱電球を示す。蛍光灯が輝線スペクトルを示すのに対して、LEDではブロードな2波長型のスペクトルを有していることが判る。また、図3に波長350〜450nmの範囲を拡大した図を示す。図3において、3a)は蛍光灯を、3b)は日本製昼白色LEDを、3c)は日本製電球色LEDを、3d)は白熱電球を示す。白熱電球、蛍光灯と比べてLEDは紫外線量が大変少ないことが判る。尚、LEDでも欧州製LEDは日本製と比較してやや強めの紫外線量が観察されるが、白熱電球と比べるとその絶対量はかなり少ない。
【0097】
<蛍光材料の蛍光スペクトルの測定>
蛍光材料として用いた色素顔料(Red−7)に380nmの紫外線を照射した際の蛍光スペクトルを図4に示す。赤色の領域に強い蛍光があることが判る。
【0098】
(評価1)
蛍光灯と昼白色LED光源下でのメトリッククロマ差ΔC(F−W)=|C−C|を表6に示す。実施例1,2のリップグロスは蛍光灯と昼白色LED光源下でのメトリッククロマの変化が小さいことがわかる。特に、酸化チタン顔料の粒子径分布の変動係数が小さい実施例2でメトリッククロマの変化が小さいことがわかる。
【0099】
【表6】
【0100】
(評価2)
昼白色LED光源下と電球色LED光源下でのメトリッククロマ差ΔC(W−L)=|C−C|を表7に示す。実施例2のリップグロスは昼白色LED光源下と電球色LED光源下においてもメトリッククロマの変化が小さいことがわかる。
【0101】
【表7】
【0102】
(評価3)
蛍光灯と電球色LED光源下でのメトリッククロマ差ΔC(F−L)=|C−C|を表8に示す。実施例2のリップグロスは蛍光灯と電球色LED光源下においてもメトリッククロマの変化が小さいことがわかる。
【0103】
【表8】
【0104】
<分光透過率の測定>
試料a〜fの分光透過率を前記の方法に従って測定した透過率曲線を図5に、各波長域の平均透過率を表9に示す。図5において、本発明に適合する酸化チタン顔料(試料b,c)は、長波長側から短波長側に向かうに従って透過率曲率が急変する点(凸角の頂点、試料cについては図5中矢印で示した)すなわち屈曲点が370〜400nmの範囲にあり、そのため、表9の通り370〜400nmの透過率が高いことが確認できるのに対し、試料d〜fの酸化チタンでは、該屈曲点(試料fについては図5中矢印で示した)がいずれも400nm以上にあるため、表9の通り370〜400nmの範囲の透過率が低く、蛍光材料の紫外線吸収を阻害してしまうと推測される。これらの実験結果は前述のメトリッククロマ差の評価結果と充分整合しており、既存の酸化チタン顔料を隠蔽剤として用いると、元々少ない紫外線がさらに少なくなり、蛍光を発することができなくなってしまうことが判る。試料aは十分分級されておらず、比較的大きな粒子も含まれる。それによって、屈曲点が370〜400nmの範囲内に含まれず、適している用途とは言えない。
【0105】
【表9】
【0106】
(実施例2、比較例6、7)
次に、インキでの試験例を示す。
表10、表11に示す処方と製造方法により、インキの評価を実施した。用いた蛍光材料は、紫外〜450nm付近に吸収を持つ黄色〜緑色蛍光染料である。
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】
酸化チタン顔料(試料c、a、d)を表10に示す処方にて220mLのガラス製容器(磯矢硝子工業社製M−220)に仕込み、ペイントシェーカーを用いて30分間振盪し、分散液を調整した後、表11に示す処方にてインキ樹脂1質量部に対し、酸化チタン顔料4質量部のインキ組成物を得た。これらをそれぞれ実施例3(試料C)、比較例5(試料A)、比較例6(試料D)とした。
【0110】
評価方法および結果
<色調の評価>
実施例3、比較例5、6で得られたインキ組成物(試料c、a、d)を実用系の印刷粘度になるようにトルエン/イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン(=3/2/5質量比)の混合溶剤にて#3ザーンカップ粘度が15〜16秒になるように希釈、粘度調整を行った。この希釈インキを#1バーコーター(太佑機材社製)を用いて厚さ75μmの平滑なPETフィルム上に塗布して、30分間自然乾燥させて塗膜化した後、その塗膜の上にウレタン樹脂(IB−422;三洋化成工業社製、固形分濃度;30.0%)を#3バーコーター(太佑機材社製)で塗布し、その上からOPPフィルム(東レ社製トレファンBO2535)を塗膜に貼り合せた。このフィルムを昼白色LED、電球色LED、蛍光灯の下で、目視観察し、その彩度の変化を、パネラー10名を用いて、5点(変化少ない)〜0点(変化する)の範囲で評価してもらい、その平均点数を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど彩度の変化が少ないことを示す。結果を表12に示す。
尚、表12中で、彩度変化1は、蛍光灯と昼白色LED光源下での彩度変化の目視観察の結果であり、彩度変化2は、昼白色LED光源下と電球色LED光源下での彩度変化の目視観察の結果であり、彩度変化3は、蛍光灯と電球色LED光源下での彩度変化の目視観察の結果である。
【0111】
【表12】
【0112】
表12の結果から、本発明の実施例の酸化チタン顔料を配合したインキ組成物は、化粧料のとき同様に比較例と比べて光源の違いによる彩度変化が少なく、鮮やかさが保たれていることが、人間による試験においても確認できた。
【符号の説明】
【0113】
1a 光源
1b 試料
1c 分光放射輝度計
図1
図2
図3
図4
図5