特許第6468156号(P6468156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6468156
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/40 20060101AFI20190204BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20190204BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H01R13/40 Z
   H01R4/70 K
   H01R4/18 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-201649(P2015-201649)
(22)【出願日】2015年10月12日
(65)【公開番号】特開2017-76458(P2017-76458A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 竣哉
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
(72)【発明者】
【氏名】中田 丈博
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−45576(JP,A)
【文献】 特開2012−84407(JP,A)
【文献】 特開昭64−84580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/553
H01R 4/70
H01R 4/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と、前記芯線を包囲する絶縁被覆とを有していて、前端部では前記芯線が露出されている被覆電線と、
端子金具と、
前記端子金具の後端部に形成され、前記被覆電線の前端部に対し包囲するように圧着されたバレル部と、
前記被覆電線のうち前記バレル部との圧着部を含む前端部を液密状に覆うモールド部と、
前記端子金具の全体と、前記モールド部の前端側領域とを収容する端子収容室が形成されたハウジングと、
前記モールド部に形成され、前記ハウジングに当接することで前記モールド部のうち前記ハウジング外へ突出した突出部の変形を抑制する当接部とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングには、複数の前記端子収容室が並列して形成されており、
前記当接部が、前記端子金具が収容されていない前記端子収容室の内壁に当接していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記当接部が、前記ハウジングの外面に当接していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミニウム製の芯線を絶縁被覆で包囲した被覆電線の前端部に、銅製の端子金具のバレル部を圧着によって接続し、芯線と端子金具との接触部分を合成樹脂製のモールド部で液密状に包囲することで防食する技術が開示されている。モールド部は、端子金具の後方において絶縁被覆の前端部まで覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−003856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタの分野では小型化が求められているが、この要望に応えるためには、モールド部を肉薄として小径化を図る必要がある。しかし、モールド部を肉薄にすると、被覆電線の曲げの影響が端子金具と芯線との圧着部分に伝わり、接触信頼性を低下させることが懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、モールド部の曲げ剛性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、
芯線と、前記芯線を包囲する絶縁被覆とを有していて、前端部では前記芯線が露出されている被覆電線と、
端子金具と、
前記端子金具の後端部に形成され、前記被覆電線の前端部に対し包囲するように圧着されたバレル部と、
前記被覆電線のうち前記バレル部との圧着部を含む前端部を液密状に覆うモールド部と、
前記端子金具の全体と、前記モールド部の前端側領域とを収容する端子収容室が形成されたハウジングと、
前記モールド部に形成され、前記ハウジングに当接することで前記モールド部のうち前記ハウジング外へ突出した突出部の変形を抑制する当接部とを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、モールド部の当接部をハウジングに当接させることにより、突出部が変形し難くなるので、被覆電線の曲げの影響が端子金具と芯線との接続部に及ぶのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のコネクタにおいてハウジングに第1端子付き電線と第2端子付き電線を取り付けた状態をあらわす斜視図
図2】ハウジングに第1端子付き電線と第2端子付き電線を取り付けた状態の背面図
図3図2のX−X線断面図
図4図2のY−Y線断面図
図5】第1端子付き電線の斜視図
図6】第1端子付き電線の平面図
図7】第2端子付き電線の斜視図
図8】第2端子付き電線の側面図
図9】ハウジングに第3端子付き電線を取り付けた状態の斜視図
図10】ハウジングに第3端子付き電線を取り付けた状態の平面図
図11図10のZ−Z線断面図
図12】第3端子付き電線の斜視図
図13】第3端子付き電線の平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、前記ハウジングには、複数の前記端子収容室が並列して形成されており、前記当接部が、前記端子金具が収容されていない前記端子収容室の内壁に当接していてもよい。この構成によれば、ハウジングの形状を変更しなくても、モールド部の剛性を高めることができる。
【0010】
本発明は、前記当接部が、前記ハウジングの外面に当接していてもよい。この構成によれば、ハウジングの外面形状を変更したり、複雑化したりしなくても、モールド部の剛性を高めることができる。
【0011】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図13を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後方向については、図3,4,6,8における右方を前方と定義する。上下方向については、図2,4,6,8にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。本実施例のコネクタは、3種類の端子付き電線10A,10B,10Cと、ハウジング30とを備えて構成されている。
【0012】
図4に示すように、3種類の端子付き電線10A,10B,10Cは、いずれも、被覆電線11と、端子金具15と、3種類のモールド部23A,23B,23Cとを一体化した形態であり、全体として前後方向に細長い導電路を構成する。被覆電線11は、3種類の端子付き電線10A,10B,10Cで共通の部材であり、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の芯線12と、芯線12を包囲する略円筒状の絶縁被覆13とから構成されている。被覆電線11の前端部においては、絶縁被覆13が所定長さ分だけ剥き取られ、芯線12が露出している。この芯線12の露出領域14の前端部には、後述する端子金具15が圧着により接続されている。
【0013】
端子金具15も、被覆電線11と同様、3種類の端子付き電線10A,10B,10Cで共通の部品である。端子金具15は、所定形状に打ち抜いた銅製又は銅合金製の板材に曲げ加工等を施して成形したものであり、全体として前後方向に細長い形状をなしている。図4,11に示すように、端子金具15は、その前端側領域を構成する端子本体部16と、後端側領域を構成するバレル部19とから構成されている。端子本体部16は、角筒形をなす箱状接続部17と、箱状接続部17の後端に連なる連結部18とから構成されている。箱状接続部17には、端子金具15の前方から、雄形をなす相手側端子(図示省略)のタブが挿入されて接続されるようになっている。連結部18は、底壁部の左右両側縁から一対の側壁部を立ち上げた周知の形態である。
【0014】
バレル部19は、連結部18の後端から後方へ細長く延びた基板部20と、基板部20の幅方向(左右方向)における両側縁から周方向(端子金具15長さ方向と交差する方向)に延出する対をなすカシメ片21とから構成された周知の形態の圧着手段である。バレル部19は、アプリケータと称される自動機(図示省略)により、被覆電線11(芯線12)の前端部に圧着される。圧着工程では、基板部20の後端部に載置された芯線12の前端部に対し、一対のカシメ片21が包囲するように曲げ変形させられる。
【0015】
カシメ片21の曲げ変形により、バレル部19には基板部20と一対のカシメ片21とで囲まれた圧着空間22が構成されている。この圧着空間22に収容された芯線12の前端部と、端子金具15とが導通可能に固着される。圧着状態では、被覆電線11の前端部と端子金具15がほぼ一直線状に連なった形態となる。バレル部19の圧着空間22のうち芯線12が収容されるのは後端部だけであり、圧着空間22のうち芯線12よりも前方の領域には、後述するモールド部23A,23B,23Cの一部が充填される。
【0016】
第1〜第3の3種類のモールド部23A,23B,23Cは、いずれも、芯線12に端子金具15を圧着した後に金型(図示省略)により成形される。モールド部23A,23B,23Cの成形は、周知の金型(図示省略)内にバレル部19の全体と、連結部18の後端部と、被覆電線11における絶縁被覆13の前端部とを収容し、金型の内部に溶融樹脂(図示省略)を注入し、注入した溶融樹脂を固化(硬化)させることによって行われる。成形工程では、溶融樹脂の一部がバレル部19の圧着空間22内に流入する。
【0017】
図3,11に示すように、成形後のモールド部23A,23B,23Cは、バレル部19の全体と、芯線12のうちバレル部19との圧着部を含む露出領域14の全体と、被覆電線11のうち絶縁被覆13が残存する領域の前端部とを全周に亘り液密状に包囲している。また、モールド部23A,23B,23Cの前端部の一部は、バレル部19よりも前方において連結部18の内部に収容されている。モールド部23A,23B,23Cのうちバレル部19を覆う領域の下面(外面)は、端子本体部16の下面(外面)とほぼ同じ高さである。端子付き電線10A,10B,10Cは、ハウジング30の後方から端子収容室31内に挿入され、挿入状態では、端子金具15の全体と、芯線12の露出領域14の全体と、絶縁被覆13の前端部とが端子収容室31内に収容されている。
【0018】
図5〜8,12,13に示すように、モールド部23A,23B,23Cは、収容部24と、突出部25と、第1〜第3当接部26A,26B,26Cのいずれかとを備えて構成されている。収容部24は、端子金具15の全体と芯線12の露出領域14の全体と絶縁被覆13の前端部とを液密状に包囲しており、端子付き電線10A,10B,10Cをハウジング30に取り付けた状態で端子収容室31内に収容される。突出部25は、収容部24の後端に連なって絶縁被覆13を液密状に包囲しており、端子付き電線10A,10B,10Cをハウジング30に取り付けた状態では、端子収容室31(ハウジング30)の後方外部に露出している。
【0019】
収容部24と突出部25は、第1〜第3の3種類の端子付き電線10A,10B,10C(第1〜第3の3種類のモールド部23A,23B,23C)において共通の形状である。一方、第1〜第3モールド部23A,23B,23Cのうち突出部25に形成された第1〜第3当接部26A,26B,26Cは、3種類の端子付き電線10A,10B,10C間で互いに異なる形状である。
【0020】
図5,6に示すように、第1端子付き電線10Aを構成する第1モールド部23A(請求項に記載のモールド部)の第1当接部26A(請求項に記載の当接部)は、第1張出部27Aと第1嵌入部28Aとから構成されている。第1張出部27Aは、突出部25の左側面から左側方へリブ状(又は、壁状)に張り出した形態である。前後方向における第1張出部27Aの形成領域は、突出部25の前端から後端に至る全長に亘って連続した範囲である。第1嵌入部28Aは、第1張出部27Aの前端から前方へ片持ち状に突出した形態である。図3に示すように、第1嵌入部28Aの右側面と収容部24の左側面との間には、左右に隣り合う端子収容室31間の隔壁32の厚さに相当するクリアランスが空いている。第1嵌入部28Aは、端子収容室31内へ上下方向及び左右方向へのガタ付きを生じることなく嵌入し得る形状に成形されている。
【0021】
図7,8に示すように、第2端子付き電線10Bを構成する第2モールド部23B(請求項に記載のモールド部)の第2当接部26B(請求項に記載の当接部)は、第2張出部27Bと第2嵌入部28Bとから構成されている。第2張出部27Bは、突出部25の下面から下方へリブ状(又は、壁状)に張り出した形態である。前後方向における第2張出部27Bの形成領域は、突出部25の前端から後端に至る全長に亘って連続した範囲である。第2嵌入部28Bは、第2張出部27Bの前端から前方へ片持ち状に突出した形態である。第2嵌入部28Bと収容部24の下面との間には、上下に隣り合う端子収容室31間の仕切壁33の厚さに相当するクリアランスが空いている。第2嵌入部28Bは、第1嵌入部28Aと同様、端子収容室31内へ上下方向及び左右方向へのガタ付きを生じることなく嵌入し得る形状に成形されている。
【0022】
図12,13に示すように、第3端子付き電線10Cを構成する第3モールド部23C(請求項に記載のモールド部)の第3当接部26C(請求項に記載の当接部)は、第3張出部27Cと外嵌部28Cとから構成されている。第3張出部27Cは、突出部25の左側面から左側方へリブ状(又は、壁状)に張り出した形態である。前後方向における第3張出部27Cの形成領域は、突出部25の前端から後端に至る全長に亘って連続した範囲である。外嵌部28Cは、第3張出部27Cの前端から前方へ片持ち状に突出した形態である。外嵌部28Cの右側面と収容部24の左側面との間には、左右方向における最端に位置する端子収容室31とハウジング30の外側面とを区画する外壁部34の厚さに相当するクリアランスが空いている。
【0023】
上述のように本実施例1のコネクタは、複数の端子収容室31が上下方向及び左右方向に並列して形成されたハウジング30と、各端子収容室31に個別に挿入される3種類(複数種類)の端子付き電線10A,10B,10Cとを備えている。端子付き電線10A,10B,10Cは、被覆電線11と端子金具15とモールド部23A,23B,23Cとを備えている。端子付き電線10A,10B,10Cは上下反転した姿勢でハウジング30に取り付けられる。端子付き電線10A,10B,10Cをハウジング30に取り付けた状態では、端子金具15の全体とモールド部23A,23B,23Cの前端側領域(収容部24)が端子収容室31内に収容される。
【0024】
被覆電線11は、芯線12と、芯線12を包囲する絶縁被覆13とを有していて、被覆電線11の前端部では芯線12が露出されている。端子金具15の後端部には、絶縁被覆13と非接触の状態で芯線12の露出領域14(つまり、被覆電線11の前端部)に対し包囲するように圧着されたバレル部19が形成されている。
【0025】
モールド部23A,23B,23Cは、端子金具15の全体と、被覆電線11のうちバレル部19との圧着部を含む前端部とを液密状に覆っている。即ち、モールド部23A,23B,23Cは、芯線12のうちバレル部19との圧着部を含む露出領域14の全体と、絶縁被覆13の前端部とを液密状に覆っている。芯線12はアルミニウム又はアルミニウム合金製であるのに対し、端子金具15は銅又は銅合金製であることから、芯線12と端子金具15(バレル部19)との接触部分における防食手段として、芯線12と端子金具15(バレル部19)との接触部分を合成樹脂製のモールド部23A,23B,23Cで液密状に包囲している。
【0026】
絶縁被覆13の外径は芯線12の外径より大きいため、モールド部23A,23B,23Cのうち絶縁被覆13を包囲する領域(突出部25)の外径は、モールド部23A,23B,23Cのうち芯線12を包囲する領域(収容部24)よりも大きくなる。この点に鑑みて、本実施例1の端子付き電線10A,10B,10Cを構成する端子金具15の後端部には、絶縁被覆13に対して包囲するように圧着されるインシュレーションバレル部を形成していない。したがって、端子収容室31の容積(高さ寸法や幅寸法)を拡大しなくても、モールド部23A,23B,23Cのうち端子金具15を包囲する領域全体を端子収容室31内に収容することができた。
【0027】
本実施例の端子金具15に形成されていないインシュレーションバレル部は、ハウジング30の外部における被覆電線11の曲げの影響が端子金具15と芯線12との圧着部分に及ぶのを抑制する曲げ抑制機能を備えている。そのため、本実施例のモールド部23A,23B,23Cには、防水機能だけでなく、インシュレーションバレル部に替わって曲げ抑制機能も求められる。そこで、本実施例の端子付き電線10A,10B,10Cには、モールド部23A,23B,23Cのうちハウジング30外へ突出した突出部25の変形を抑制するための手段として、突出部25には、当接部26A,26B,26Cが設けられている。
【0028】
具体的には、図1,2に示すように、第1端子付き電線10Aの端子金具15は、いずれの端子付き電線10A,10B,10Cも挿入されない空き端子収容室31の左隣に位置する端子収容室31に挿入される。第1端子付き電線10Aを端子収容室31に挿入すると、第1嵌入部28Aが、右隣の空き端子収容室31内に上下左右へのガタ付きを規制された状態で嵌入する。この第1嵌入部28Aの嵌入により、被覆電線11が上下左右へ曲げられても、第1嵌入部28Aに連なる突出部25の変形が抑制される。
【0029】
また、第2端子付き電線10Bの端子金具15は、図1,2に示すように、いずれの端子付き電線10A,10B,10Cも挿入されない空き端子収容室31の下隣に位置する端子収容室31に挿入される。第2端子付き電線10Bを端子収容室31に挿入すると、第2嵌入部28Bが、上隣の空き端子収容室31内に上下左右へのガタ付きを規制された状態で嵌入する。この第2嵌入部28Bの嵌入により、被覆電線11が上下左右へ曲げられても、第2嵌入部28Bに連なる突出部25の変形が抑制される。
【0030】
また、第3端子付き電線10Cの端子金具15は、図9に示すように、左右方向において最も端に位置する端子収容室31に挿入される。第3端子付き電線10Cを端子収容室31に挿入すると、外嵌部28Cがハウジング30の外壁部34の外面に面当たり状態で当接する。つまり、外嵌部28Cと、この外嵌部28Cに連なる突出部25とが、ハウジング30の外壁部34を左右方向に挟み付ける。この挟み付けにより、被覆電線11が左右へ曲げられても、外嵌部28Cに連なる突出部25の変形が抑制される。
【0031】
上述のように、本実施例のコネクタは、モールド部23A,23B,23Cに形成した第1〜第3のいずれかの当接部26A,26B,26Cを、ハウジング30に当接させることにより、モールド部23A,23B,23Cのうちハウジング30外へ突出した突出部25の変形を抑制することができる。このようにモールド部23A,23B,23Cの当接部26A,26B,26Cをハウジング30に当接させることにより、モールド部23A,23B,23Cの突出部25が変形し難くなるので、バレル部19における芯線12と端子金具15との接触状態が安定する。
【0032】
また、第1当接部26Aを構成する第1嵌入部28Aと、第2当接部26Bを構成する第2嵌入部28Bは、端子金具15が収容されていない空き端子収容室31の内壁に当接するので、ハウジング30(端子収容室31)の形状を変更しなくても、第1及び第2モールド部23A,23B(突出部25)の曲げ剛性を高めることができる。また、第3当接部26Cを構成する外嵌部28Cは、ハウジング30の外面に当接するので、ハウジング30の外面形状を変更したり、複雑化したりしなくても、第3モールド部23C(突出部25)の曲げ剛性を高めることができる。
【0033】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、被覆電線の芯線をアルミニウム製又はアルミニウム合金製としたが、芯線の材料は、アルミニウムやアルミニウム合金に限らず、銅や銅合金等の他の金属であってもよい。
(2)上記実施例では、端子金具を銅製又は銅合金製としたが、端子金具の材料は、銅や銅合金に限らず、アルミニウムやアルミニウム合金等の他の金属であってもよい。
(3)上記実施例では、端子金具には、絶縁被覆に圧着されるインシュレーションバレル部は形成されていないが、本発明は、端子金具にインシュレーションバレル部が形成されている場合にも適用できる。
(4)上記実施例では、端子収容室内には、被覆電線のうち絶縁被覆の前端部が収容されているが、被覆電線のうち絶縁被覆の前端部が端子収容室に収容されない形態としてもよい。この構成によれば、端子収容室の容積を拡大しなくても、モールド部を端子収容室内に収容することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
11…被覆電線
12…芯線
13…絶縁被覆
14…芯線の露出領域
15…端子金具
19…バレル部
23A…第1モールド部(モールド部)
23B…第2モールド部(モールド部)
23C…第3モールド部(モールド部)
25…モールド部の突出部
26A…第1当接部(当接部)
26B…第2当接部(当接部)
26C…第3当接部(当接部)
30…ハウジング
31…端子収容室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13