特許第6468172号(P6468172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6468172
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20190204BHJP
   B60R 21/231 20110101ALI20190204BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20190204BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B60R21/207
   B60R21/231
   B60R7/04 C
   B60N2/427
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-234018(P2015-234018)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-100527(P2017-100527A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2017年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】戸田 稔
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰士
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536110(JP,A)
【文献】 特開2009−006860(JP,A)
【文献】 特開2009−166680(JP,A)
【文献】 特開2015−123869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−33
B60N 2/427
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターコンソールを間に介在させつつ、2つの座席を連ならせるように並設させて配設される車両に搭載されて、該座席の並設方向の一方側からの衝撃力の作用時に、衝撃力作用側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能な構成の乗員保護装置であって、
前記離隔側座席における座部の側方に配置されるコンソール本体と、前記離隔側座席の背もたれ部側において該コンソール本体から延びるように配置される延設部と、を備えて、前記座部から前記背もたれ部にかけての側方に配置される構成の前記センターコンソールと、
前記延設部における前記離隔側座席側の側部近傍に折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて展開膨張して、前記離隔側乗員の衝撃力作用側を覆い可能に配設されるエアバッグと、
を備える構成とされて、
前記エアバッグが、膨張完了形状を、軸方向を上下方向に略沿わせるとともに前記延設部の表面に略沿わせるような略三角柱形状として構成されるとともに、軸周り方向に略沿って配置される3つの側面の1つであって、膨張完了時に前後方向に略沿って配置される側面を、膨張完了時に前記離隔側乗員の胸部から頭部にかけてを受け止め可能な乗員拘束面と軸周り方向に略沿って配置される3つの側面の他方の1つであって、膨張完了時に前記延設部側に配置される側面を、前記乗員拘束面による前記離隔側乗員の受止時に、前記延設部表面によって支持される支持面として、構成され
該支持面が、前記エアバッグの膨張完了時に、前後方向に対して傾斜されて、前記延設部表面と非接触として配置されていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項2】
前記エアバッグが、前記離隔側座席側と、衝撃力作用側に近い近接側座席側と、の2個として、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
【請求項3】
衝撃力の作用時に、前記各エアバッグのうち、一方側の前記離隔側座席側に収納される離隔側エアバッグのみが、膨張するように、作動される構成であることを特徴とする請求項2に記載の乗員保護装置。
【請求項4】
衝撃力の作用時に、前記各エアバッグの両方が、膨張するように、作動される構成であることを特徴とする請求項2に記載の乗員保護装置。
【請求項5】
前記コンソール本体若しくは前記延設部の少なくとも一方が、前記座部の座面若しくは前記背もたれ部表面よりも突出するように、構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センターコンソールを間に介在させつつ、2つの座席を連ならせるように並設させて配設される車両に搭載されて、座席の並設方向の一方側からの衝撃力の作用時に、衝撃力作用側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能な構成の乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員保護装置としては、車両の後席において、座席間のセンターコンソールの部位に、一つのエアバッグを収納させた構成のものがあり、作動時に、このエアバッグを、各座席に着座した乗員の間において、センターコンソールの上側の空間を埋めるように膨張させることにより、車両の側面衝突時に、衝撃力作用側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能な構成のものがあった(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−6860公報
【特許文献2】特開2009−166680公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乗員保護装置では、いずれも、1つのエアバッグを膨張させることにより、2つの座席に着座した乗員をともに保護する構成であり、また、このエアバッグにより、乗員の大腿部から頭部にかけてを保護する構成であった。そのため、従来の乗員保護装置では、エアバッグは、各座席に着座している乗員間の隙間を埋めるように、幅寸法を大きくして、かつ、乗員の側方を広く覆うように、座面から背もたれ部の上端にかけて膨張する構成であることから、大容量となり、また、エアバッグを膨張させるためのインフレーターとして、出力の大きなものが必要となることから、製造コストの低減や軽量化の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、製造コストの増大を抑制して、軽量化を図ることができ、かつ、乗員を的確に保護可能な乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗員保護装置は、センターコンソールを間に介在させつつ、2つの座席を連ならせるように並設させて配設される車両に搭載されて、座席の並設方向の一方側からの衝撃力の作用時に、衝撃力作用側から遠い離隔側座席に着座した離隔側乗員を保護可能な構成の乗員保護装置であって、
離隔側座席における座部の側方に配置されるコンソール本体と、離隔側座席の背もたれ部側においてコンソール本体から延びるように配置される延設部と、を備えて、座部から背もたれ部にかけての側方に配置される構成のセンターコンソールと、
延設部における離隔側座席側の側部近傍に折り畳まれて収納されるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて展開膨張して、離隔側乗員の衝撃力作用側を覆い可能に配設されるエアバッグと、
を備える構成とされて、
エアバッグが、膨張完了時に離隔側乗員の胸部から頭部にかけてを受け止め可能な乗員拘束面と、乗員拘束面による離隔側乗員の受止時に、延設部表面によって支持される支持面と、を備える構成とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の乗員保護装置では、センターコンソールにおける延設部の側部近傍に折り畳まれて収納されるエアバッグが、膨張完了時に、乗員拘束面によって、離隔側座席に着座した離隔側乗員の胸部から頭部にかけてを受け止めて拘束する構成とされ、また、このエアバッグは、離隔側乗員の受止時に、支持面を、センターコンソールの延設部によって支持される構成である。すなわち、本発明の乗員保護装置では、乗員拘束面によって離隔側乗員を受け止めたエアバッグが、支持面の部位でセンターコンソールの延設部に支持される構成であることから、離隔側乗員を、乗員拘束面によって的確に拘束することができる。そのため、エアバッグが、胸部から頭部のみを覆い可能に、容積を小さく設定されていても、離隔側乗員を円滑に保護することができる。その結果、本発明の乗員保護装置では、エアバッグの容積を小さくすることができて、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターも、出力の小さなものを使用することができる。
【0008】
したがって、本発明の乗員保護装置では、製造コストの増大を抑制して、軽量化を図ることができ、かつ、乗員を的確に保護することができる。
【0009】
また、本発明の乗員保護装置において、エアバッグを、離隔側座席側と、衝撃力作用側に近い近接側座席側と、の2個として、配設させる構成とすれば、逆方向側から衝撃力が作用した場合には、近接側座席(衝撃力作用側からは離れた方向側である)に着座した近接側乗員も、円滑に保護することができて、好ましい。
【0010】
具体的には、衝撃力の作用時に、各エアバッグのうち、一方側の離隔側座席側に収納される離隔側エアバッグのみを、膨張させるように、作動させる構成としてもよく、また、各エアバッグの両方を、膨張させるように、作動させる構成としてもよい。
【0011】
さらに、上記構成の乗員保護装置において、エアバッグを、膨張完了形状を軸方向を上下方向に略沿わせるとともに前記延設部の表面に略沿わせるような略三角柱形状として構成し、軸回り方向に略沿って配置される3つの側面の1つを、乗員拘束面として構成し、他方の1つを、支持面とするように構成すれば、乗員拘束面による離隔側乗員の受止後に、エアバッグが延設部側に向かって移動すれば、エアバッグは、この側面と隣接される側面から形成される支持面を、延設部に接触させることにより、延設部に支持されることとなる。この支持面は、3つの側面の1つから構成されていることから、延設部との接触時に、延設部の幅方向側で、広く延設部に支持されることとなり、延設部によって、安定して支持されることとなる。また、このエアバッグでは、膨張完了時に、乗員拘束面と支持面とが、膨張完了時のエアバッグの横断面から見れば、相互に交差する端部側から先端側にかけて拡開するように配置される構成であり、換言すれば、エアバッグは、乗員拘束面と支持面との先端側の領域で、厚く膨張することとなることから、この厚く膨張している領域によって、クッション作用を確保して離隔側乗員を的確に受け止めることができる。そのため、容積を小さくしても、厚く膨張している領域を、支持面を介して幅方向側で広い範囲で、延設部に支持させることにより、離隔側乗員を乗員拘束面によって安定して的確に受け止めることが可能となり、エアバッグを一層コンパクトに構成することができて、かつ、離隔側乗員を円滑に保護することが可能となって、好ましい。
【0012】
さらにまた、上記構成の乗員保護装置において、コンソール本体若しくは延設部の少なくとも一方を、座部の座面若しくは背もたれ部表面よりも突出させるように、構成すれば、センターコンソールの部位に、乗員が着座することを防止できて、適正位置に着座した乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって適切に保護することが可能となって、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である乗員保護装置が搭載される車両の後部座席を示す概略斜視図である。
図2】実施形態の乗員保護装置を右方から見た状態の側面図である。
図3】実施形態の乗員保護装置の断面図であり、図2のIII−III部位に対応する。
図4】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す右方から見た状態の側面図である。
図5】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグの膨張完了状態を示す断面図である。
図6】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す前方から見た状態の正面図である。
図7】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す上方から見た状態の平面図である。
図8】本発明の乗員保護装置において、エアバッグによる乗員保護エリアを示す概略図である。
図9】他の形態のエアバッグの膨張完了状態を示す概略斜視図である。
図10】さらに他の形態のエアバッグの膨張完了状態を示す概略斜視図である。
図11】さらに他の形態のエアバッグの膨張完了状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の乗員保護装置Sは、車両Vの後部座席RSに搭載されている。後部座席RSは、間にセンターコンソール11を介在させつつ、2つの左側座席5L,右側座席5Rを車幅方向としての左右方向側で連ならせるように並設させて、構成されている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両の前後、上下、左右の方向と一致するものである。
【0015】
実施形態の乗員保護装置Sは、左側座席5L,右側座席5R間に配置されるセンターコンソール11と、センターコンソール11の左右の側面側に折り畳まれて収納される2つのエアバッグ25L,25Rと、各エアバッグ25L,25Rに膨張用ガスを供給するための2つのインフレーター22L,22Rと、折り畳まれたエアバッグ25L,25Rの外周側を覆うエアバッグカバー20L,20Rと、を備える構成とされている。
【0016】
なお、実施形態では、車両Vが、走行時に左側LWから側面衝突されて(衝撃力を受けて)作動する場合を、例に採り説明する。すなわち、実施形態では、図1,6,7に示すように、左側LWに位置する左側座席5Lが衝突側(衝撃力作用側)に近い近接側座席とされ、右側RWに位置する右側座席5Rが衝突側(衝撃力作用側)から遠い離隔側座席とされて、この右側座席5Rに着座した乗員を、離隔側乗員MPとして保護することとなる。
【0017】
各左側座席5L,右側座席5Rは、それぞれ、図1,2,6,7に示すように、座部6L,6Rと、座部6L,6Rの後端側から後上方に向かって延びる背もたれ部7L,7Rと、背もたれ部7L,7Rの上端から上方に突出するヘッドレスト9L,9Rと、を備えている。実施形態の場合、後部座席RSは、センターコンソール11によって区画されるものの、左側座席5L,右側座席5Rを一体的に連ならせるようにして、構成されている。また、背もたれ部7L,7Rは、図3に示すように、板金素材からなる図示しないシートフレームと、シートフレームの周囲を覆うように配置されるクッション8L,8Rと、を備える構成である。クッション8L,8Rの外表面側には、表皮(図符号省略)が配置されている。
【0018】
センターコンソール11は、図1,6,7に示すように、離隔側座席である右側座席5Rの座部6Rから背もたれ部7Rにかけての側方(左側座席5L,右側座席5R間)に配置されるもので、座部6Rの側方(左側座席5L,右側座席5Rの座部6L,6Rの間)に配置されるコンソール本体12と、背もたれ部7R側(背もたれ部7L,7R間)においてコンソール本体12から延びるように配置される延設部15と、を備える構成とされている。
【0019】
コンソール本体12は、実施形態の場合、図1,2に示すように、座部6Rよりも前方に延びるように構成されており、実施形態の場合、全体を座部6Rの座面より上方に突出させるように構成されている。すなわち、実施形態では、コンソール本体12は、座部6Rより前方かつ上方に突出するように、形成されている。また、コンソール本体12において、座部6Rの後側の領域の側方となる後側の領域には、詳細な図示を省略するが、上方を開口させた略箱形状のボックス本体13aと、ボックス本体13aの開口を塞ぐ蓋体13bとを備えるボックス部13が、コンソール本体12からさらに上方に突出しつつ、延設部15に連なるように、形成されている。
【0020】
延設部15は、実施形態の場合、コンソール本体12におけるボックス部13から連なって、後上方に向かって延びるように配置されるもので、図3に示すように、コンソール本体12から連なるように表面側(前面側)に配置される意匠面部16と、ボディ1側に取り付けられる取付壁部17と、を有する構成とされている。延設部15における意匠面部16は、表面16aを、左右に配置される左側座席5L,右側座席5Rの背もたれ部7L,7Rと略面一として、左右方向に略沿わせるようにして、配置されている(図3参照)。取付壁部17は、左右方向に沿った断面において、意匠面部16の左右方向の両端側から意匠面部16と直交しつつ、後下方に向かって延びるように断面略U字形状に形成されるもので、図示しない所定位置で、ボディ1側から延びるブラケット3に、取り付けられている。実施形態の場合、センターコンソール11を構成するコンソール本体12及び延設部15は、硬質のポリプロピレン(PP)から、形成されている。
【0021】
実施形態の乗員保護装置Sにおいて、各エアバッグ25L,25Rは、図3に示すように、延設部15における左右両側(各左側座席5L,右側座席5R側の側部)近傍に折り畳まれて収納される構成である。詳細には、各エアバッグ25L,25Rは、延設部15の取付壁部17における左側壁部17a,右側壁部17bと、延設部15と隣接して配置される左側座席5L,右側座席5Rの背もたれ部7L,7Rと、の間の前後方向に延びる隙間に、外周側をエアバッグカバー20L,20Rによって覆われるようにして、それぞれ、折り畳まれて収納されている。
【0022】
エアバッグカバー20L,20Rは、延設部15における取付壁部17の外周側(左側壁部17a,右側壁部17bにおける左右方向の外方側)を覆うように、配設されるもので、取付壁部17との間に隙間を設けつつ、先端20b側(前端側)を取付壁部17と当接させ、かつ、この先端20b側を意匠面部16の表面16aと面一とされるように、屈曲させて構成されている。このエアバッグカバー20L,20Rは、元部20a側(後端側)を、所定箇所でブラケット3側に連結されるもので、インフレーター22L,22Rの作動時に、膨張するエアバッグ25L,25Rによって、先端20b側(前端側)を、取付壁部17から離隔させるように押し開かれて、エアバッグ25L,25Rを前方に突出可能に、構成されている(図5参照)。実施形態の場合、エアバッグカバー20L,20Rは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の軟質合成樹脂製とされている。実施形態では、エアバッグカバー20L,20Rの側方(左右方向の外方)には、背もたれ部7L,7Rのクッション8L,8Rが接触して配置されているが、クッション8L,8Rは弾力性を有していることから、インフレーター22L,22Rの作動時に、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するエアバッグ25L,25Rにより、圧縮されることとなり、膨張するエアバッグ25L,25Rは、クッション8L,8Rを圧縮させるように押圧しつつ、エアバッグカバー20L,20Rを押し開き、エアバッグカバー20L,20Rを押し開いて形成される隙間から、円滑に前方に突出することとなる。このエアバッグカバー20L,20Rは、先端20b側を車室内に露出させるようにして、意匠面部16の左右の側方に配置される内装材でもあり(図1,6,7参照)、エアバッグ25L,25Rの収納部位のみならず、延設部15の上下(前後)の全域にわたって、配設されている。
【0023】
インフレーター22L,22Rは、実施形態の場合、図3に示すように、延設部15の左右両側となる位置に1個ずつ配置され、それぞれ、各エアバッグ25L,25Rに膨張用ガスを供給可能に、各エアバッグ25L,25Rに接続されている。詳細には、インフレーター22L,22Rは、外形形状を円柱状としたシリンダタイプとされ、延設部15における取付壁部17の後端側(左側壁部17a,右側壁部17bの後端側)において、軸方向を背もたれ部7L,7R(意匠面部16)に略沿わせるように、配置されるもので(図2参照)、リテーナ(図符号省略)を利用して、ボディ1側から延びるブラケット3に、固定されている。また、実施形態の場合、インフレーター22L,22Rは、別々に作動可能に、それぞれ、図示しないエアバッグ作動回路と電気的に接続されている。実施形態の乗員保護装置Sにおいて、車両Vが走行時に左方側から側面衝突された(衝撃力を受けた)場合、右側座席5R(離隔側座席)側に配置されるインフレーター22Rのみが、作動することとなる。左側座席5L側に配置されるインフレーター22Lは、車両Vに右方側から衝撃力が作用した場合に、作動される構成であり、右側座席5R側に配置されるインフレーター22Rの作動時には、作動しないように、作動を制御されている。
【0024】
各エアバッグ25L,25Rは、各インフレーター22L,22Rから吐出される膨張用ガスを内部に流入させて膨張する可撓性を有したシート体から形成される袋状として、構成されている。なお、実施形態では、上述したごとく、右側に配置されるインフレーター22Rの作動時には、左側に配置されるインフレーター22Lは作動しない構成とされており、エアバッグ25L,25Rは、同時に膨張する構成とされていない。実施形態では、右側座席5R側に収納されるエアバッグ25Rを、例に採り詳細に説明するが、左側座席5L側に収納されるエアバッグ25Lも、詳細な図示と説明は省略するものの、膨張完了形状を左右対称形とされている以外は、右側座席5R側に収納されるエアバッグ25Rと同一の構成である。
【0025】
エアバッグ25Rは、膨張完了時に、離隔側乗員MPの胸部MBから頭部MHにかけてを保護可能に構成されるもので、図4,6,7に示すように、左右方向側からみて、離隔側座席としての右側座席5Rに着座している離隔側乗員MPの胸部MBから頭部MHにかけてを覆い可能な構成とされている。また、エアバッグ25Rは、膨張完了形状(詳しくは、後述する取付部29を除く膨張完了形状であり、換言すれば、背もたれ部7Rや延設部15から突出して自由空間で膨張する部位の膨張完了形状)を、軸方向を上下方向に略沿わせるとともに延設部15の表面(意匠面部16)に略沿わせるような略三角柱形状として構成されている(図1の二点鎖線及び図4参照)。具体的には、エアバッグ25Rは、図4に示すように、膨張完了時に右側(離隔側乗員MP側)に位置する右側壁26aを前後方向に略沿わせて配置させる略三角筒形状の周壁部26と、周壁部26の上端側と下端側とをそれぞれ閉塞する天井壁部27及び底壁部28と、を備えて構成される略三角柱形状とされている(図6,7参照)。周壁部26において、右側壁26aの左側(左右方向の中央側)には、前側壁26bと後側壁26cとが、左端側を連ならせるようにして、前後方向側で並設されている。さらに詳細には、実施形態のエアバッグ25Rは、取付部29を除く膨張完了形状を、天井壁部27及び底壁部28を略正三角形状とした略三角柱状として、構成されている。
【0026】
そして、実施形態のエアバッグ25Rでは、周壁部26において軸回り方向に沿って配設される3つの側面(側壁)のうち、膨張完了時に右側において前後方向に略沿って配置される右側壁26aが、離隔側乗員MPを保護する乗員拘束面30を、構成し、後側(延設部15側)において前後方向に対して傾斜して配置される後側壁26cが、乗員拘束面30による離隔側乗員MPの受止時に、延設部15表面(意匠面部16)によって支持される支持面31を、構成することとなる。乗員拘束面30による離隔側乗員MPの受止時に、エアバッグ25Rは、離隔側乗員MPによって左方に押されて、図5の二点鎖線に示すように、乗員拘束面30の後端30b側の部位を中心として乗員拘束面30の前端30a側を左方に向けるように回転するような態様となり、この回転時に、後側壁26cから構成される支持面31が、延設部15表面(意匠面部16)と接触して、延設部15表面(意匠面部16)に支持されることとなって、エアバッグ25Rは、さらなる回転移動を規制されることとなる。すなわち、支持面31は、図5に示すように、エアバッグ25Rの膨張完了時における乗員受止前の状態では、延設部15表面(意匠面部16)と非接触として配置されている。また、実施形態のエアバッグ25Rでは、乗員拘束面30の後端30b側は、インフレーター22Rに接続される取付部29の部位を、インフレーター22Rとともにボディ1側のブラケット3に連結される構成であることから、回転移動時にも、前方側に移動せず、支持面31による支持を安定させることができる。さらに、実施形態のエアバッグ25Rでは、天井壁部27及び底壁部28が略正三角形状とされる構成であり、換言すれば、右側壁26aから構成される乗員拘束面30と、後側壁26cから構成される支持面31と、が、略同一の大きさ(面積)に設定されている。乗員拘束面30は、エアバッグ25Rの膨張完了時における前後方向側の幅寸法及び上下方向側の長さ寸法を、離隔側乗員MPを受け止めた際に、離隔側乗員MPの胸部MBから頭部MHにかけての領域を的確に拘束可能に、設定されている。詳細には、乗員拘束面30は、エアバッグ25Rの膨張完了時において、図4に示すように、右側座席5Rに着座している離隔側乗員MPの左側において、先端側(前端30a側)を離隔側乗員MPの胸部MBよりも前方に突出させつつ、かつ、上端30c側を離隔側乗員MPの頭部MHの上下の中央よりやや上方に位置させるように、配置される構成である。また、この乗員拘束面30と略同一の大きさに設定される支持面31(後側壁26c)は、乗員拘束面30による離隔側乗員MP受止時において延設部15表面(意匠面部16の表面16a)と当接した際に、離隔側乗員MPを受け止めた状態のエアバッグ25Rを、延設部15表面(意匠面部16)によって的確に支持可能に構成されている。実施形態のエアバッグ25Rでは、支持面31(後側壁26c)は、図5に示すように、乗員拘束面30を前後方向に略沿わせるように配置された膨張完了状態において、左端31a側を、延設部15(意匠面部16)の左縁よりも僅かに右方に位置させ、延設部15表面(意匠面部16)と当接した際に、左端31a側を、延設部15よりも左方に突出させて、延設部15(意匠面部16)の左右の略全域にわたって支持されるように、構成されている。
【0027】
実施形態の乗員保護装置Sでは、車両Vの左側LWから図示しない衝突物が衝突した側面衝突時に、エアバッグ作動回路から作動信号を受けて、衝突側(衝撃力作用側)から離隔した右側RWに配置されるインフレーター22Rが、作動されることとなり、右側RWに配置されるエアバッグ25Rが、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー20Rを押し開きつつ、センターコンソール11の延設部15と右側座席5Rの背もたれ部7Rとの間に形成される隙間から前方に向かって突出し、図4〜7に示すように、離隔側乗員MPの胸部MBから頭部MHにかけての左側を覆うように、膨張を完了させることとなる。
【0028】
そして、実施形態の乗員保護装置Sでは、センターコンソール11における延設部15の側部(実施形態の場合、右側面)近傍に折り畳まれて収納されるエアバッグ25Rが、膨張完了時に、乗員拘束面30によって、離隔側座席としての右側座席5Rに着座した離隔側乗員MPの胸部MBから頭部MHにかけてを受け止めて拘束する構成とされ、また、このエアバッグ25Rは、離隔側乗員MPの受止時に、支持面31を、センターコンソール11の延設部15によって支持される構成である。すなわち、実施形態の乗員保護装置Sでは、乗員拘束面30によって離隔側乗員MPを受け止めたエアバッグ25Rが、支持面31の部位でセンターコンソール11の延設部15(意匠面部16)に支持される構成であることから、離隔側乗員MPを、乗員拘束面30によって的確に拘束することができる。そのため、エアバッグ25Rが、胸部MBから頭部MHのみを覆い可能に、容積を小さく設定されていても、離隔側乗員MPを円滑に保護することができる。その結果、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25Rの容積を小さくすることができて、エアバッグ25Rに膨張用ガスを供給するインフレーター22Rも、出力の小さなものを使用することができる。
【0029】
したがって、実施形態の乗員保護装置Sでは、製造コストの増大を抑制して、軽量化を図ることができ、かつ、乗員MPを的確に保護することができる。
【0030】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25L,25Rを、離隔側座席である右側座席5R側と、衝撃力作用側に近い近接側座席である左側座席5L側と、の2個、配設させる構成であることから、逆方向側となる右側RWから衝撃力が作用した場合には、実施形態では近接側座席である左側座席5L(衝撃力作用側からは離れた方向側である)に着座した乗員も、円滑に保護することができる。
【0031】
さらに、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25Rが、膨張完了形状を、軸方向を上下方向に略沿わせるとともに延設部15の表面(意匠面部16)に略沿わせるような略三角柱形状として構成され、軸回り方向に略沿って配置される周壁部26の3つの側面の1つである右側壁26aを、乗員拘束面30とし、他方の1つである後側壁26cを、支持面31とするように構成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ25Rでは、乗員拘束面30と支持面31とは、略三角筒形状である周壁部26の隣り合う2つの側面(右側壁26a,後側壁26c)から構成されていることから、乗員拘束面30による離隔側乗員MPの受止後に、エアバッグ25Rが延設部15側に向かって移動すれば、エアバッグ25Rは、この乗員拘束面30と隣接される支持面31を、延設部15(意匠面部16)に接触させることにより、延設部15に支持されることとなる。この支持面31は、周壁部26の3つの側面の1つから構成されていることから、延設部15との接触時に、延設部15の幅方向側(実施形態の場合、左右方向側)で、広く延設部15に支持されることとなり、延設部15によって、安定して支持されることとなる。また、このエアバッグ25Rでは、膨張完了時に、乗員拘束面30と支持面31とが、膨張完了時のエアバッグ25Rの横断面から見れば、相互に交差する端部(乗員拘束面30の後端30b側)側から先端側にかけて拡開するように配置される構成であり、換言すれば、エアバッグ25Rは、乗員拘束面30と支持面31との先端側の領域で、厚く膨張することとなることから、この厚く膨張している領域によって、クッション作用を確保して離隔側乗員MPを的確に受け止めることができる。そのため、容積を小さくしても、厚く膨張している領域を、支持面31を介して幅方向側(左右方向側)で広い範囲で、延設部15に支持させることにより、離隔側乗員MPを乗員拘束面30によって安定して的確に受け止めることが可能となり、エアバッグ25Rを一層コンパクトに構成することができて、かつ、離隔側乗員MPを円滑に保護することが可能となる。その結果、例えば、膨張完了形状を球状等とする場合と比較して、エアバッグ25Rを一層コンパクトに構成することができ、かつ、離隔側乗員MPを円滑に保護することができる。
【0032】
特に、実施形態の乗員保護装置Sでは、各エアバッグ25L,25Rを、それぞれ、別のインフレーター22L,22Rと接続させ、左側からの衝撃力の作用時には、衝撃力作用側から離れた右側のインフレーター22Rのみを作動させて、右側座席5R側に配置されるエアバッグ25Rのみを膨張させる構成である。換言すれば、実施形態の乗員保護装置Sでは、インフレーター22L,22Rが同時に作動することはなく、エアバッグ25L,25Rも同時に膨張する構成ではないことから、エアバッグ25Rを、左側のエアバッグ25Lとの干渉を考慮しなくともよく、膨張エリアを広く確保することができる。そして、実施形態では、エアバッグ25Rが、天井壁部27及び底壁部28を略正三角形状とした略三角柱状に膨張する構成とされている。そのため、実施形態のエアバッグ25Rでは、支持面31の大きさ(表面積)が、乗員拘束面30の大きさ(表面積)と略同一として、大きく、延設部15によって支持される領域を、広く確保することができる。実施形態では、支持面31は、延設部15(意匠面部16)との接触時に、延設部15(意匠面部16)の左右の全域にわたって支持される構成である。また、乗員拘束面30の先端(前端30a)側と、支持面31の先端(左端31a)側と、の離隔距離も、乗員拘束面30若しくは支持面31の天井壁部27に沿った方向側の幅寸法と同程度確保できて、大きいことから、この領域で、エアバッグ25Rを厚く膨張させることができる。
【0033】
本発明の乗員保護装置Sでは、左側座席5L,右側座席5R間の部位において、各座席5L,5Rに着座した乗員の胸部から頭部にかけての領域、詳細に説明すれば、この上下に幅広の領域であって、かつ、延設部15から胸部よりも前方となる位置まで前方に延びるように前後左右に幅広となる略直方体状の空間PS(図8のA,Bにおける斜線を付した領域)を埋めるように、エアバッグを膨張させることが、的確な乗員保護の観点から、望ましい。実施形態では、各エアバッグ25L,25Rを、同時に膨張させない構成として、それぞれ、膨張完了形状を、略三角柱状としており、このエアバッグ25R(25L)は、膨張を完了させた状態では、乗員拘束面30が、上記空間PSにおける乗員側の面を略全面にわたって覆うように構成され、離隔側乗員の受止後において延設部15に支持面を支持させた状態では、支持面31が、上記空間PSにおける後面(延設部15上の面)を略全面にわたって覆うように構成されている。そのため、実施形態では、エアバッグ25R(25L)は、乗員保護に最低限必要な領域を、的確に塞ぐように構成されて、乗員保護に影響を与えない領域には膨張しない構成であることから、最低限の容積として、エアバッグ25R(25L)をコンパクトに構成することができ、かつ、乗員を的確に安定して保護することができる。なお、このような点を考慮しなければ、一方のエアバッグのみを膨張させる構成とする場合にも、エアバッグとして、膨張完了形状を略三角柱状ではなく、例えば、上記空間PSを略全域にわたって塞ぐような略直方体状等としたものを使用してもよい。
【0034】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、上述したごとく、各エアバッグ25L,25Rを、それぞれ、インフレーター22L,22Rに接続させて、一方のみを膨張させる構成としているが、下記に示すごとく、エアバッグを、側方からの衝撃力の作用時に、同時に膨張させる構成としてもよい。エアバッグを同時に膨張させる構成とする場合、膨張完了時に左右方向側で配置される2つのエアバッグにより、上記空間PSを埋めることとなる。
【0035】
図9において示されるエアバッグ35L,35Rは、上記空間PSを二分するように、膨張完了形状を、相互に嵌合させるような形状とされている。具体的には、図9では、エアバッグ35L,35Rは、上記空間PSを上下で二分するように、軸方向を前後方向に略沿わせるようにして構成されるとともに、底面35bを斜辺側を隣接させるような略直角三角形状とした略三角柱状として、構成されている。詳細に説明すれば、図9では、左側に配置されるエアバッグ35Lが、略直角状の角部を下側に位置させるように構成され、右側に配置されるエアバッグ35Rが、略直角状の角部を上側に位置させるように構成されている。このような構成のエアバッグ35L,35Rでは、各エアバッグ35L,35Rが、それぞれ、膨張完了時に乗員側に配置される側面35a,35aを、乗員拘束面36L,36Rとし、延設部15側となる底面35b,35bを、支持面37L,37Rとして構成されることとなる。そのため、同時に膨張を完了させる構成であっても、広い乗員拘束面36L,36Rによって離隔側乗員を的確に受け止めることができ、また、離隔側乗員の受止後には、略直角三角形状の左右に幅広の領域を有した支持面37L,37Rによって、エアバッグ35L,35Rを、延設部15表面(意匠面部16)によって的確に支持させることができる。また、各エアバッグ35L,35Rにおいて、膨張完了時の左右方向の厚さは、上端側あるいは下端側にかけて薄くなっていくが、仮に両方の座席に乗員が着座した状態であっても、側面衝突時には、衝撃力作用側から離隔した座席に着座している離隔側乗員のみを、座席間で膨張するエアバッグで保護する構成であり、厚さが薄い領域には、他方のエアバッグが厚く膨張していることから、2つのエアバッグ35L,35Rによって、離隔側乗員を支障なく保護することができる。
【0036】
また、2つのエアバッグを、上記空間PSを二分するように、膨張完了形状を、相互に嵌合させるような形状として、膨張させる構成の場合、図10に示すように、2つのエアバッグ39L,39Rの膨張完了形状を、車両前方側から見て点対称形とするように、ともに、車両前方側から見て逆L字形状として、構成してもよい。詳細に説明すれば、図10では、左側に配置されるエアバッグ39Lが、交差部位を下側に位置させるように構成され、右側に配置されるエアバッグ39Rが、交差部位を上側に位置させるように構成されている。このような構成のエアバッグ39L,39Rでは、各エアバッグ39L,39Rが、それぞれ、膨張完了時に乗員側に配置される側面39aを、乗員拘束面40L,40Rとし、略逆L字形とされている延設部15側の底面39bを、支持面41L,41Rとして構成されることとなる。そのため、同時に膨張を完了させる構成であっても、広い乗員拘束面40L,40Rによって離隔側乗員を的確に受け止めることができ、また、離隔側乗員の受止後には、略逆L字形状として左右に幅広の領域を有した支持面41L,41Rによって、エアバッグ39L,39Rを、延設部15表面(意匠面部16)によって的確に支持させることができる。また、各エアバッグ39L,39Rは、膨張完了時の左右方向の厚さの薄い領域を有しているが、上述のエアバッグ35L,35Rと同様に、厚さが薄い領域には、他方のエアバッグが厚く膨張していることから、2つのエアバッグ39L,39Rによって、離隔側乗員を支障なく保護することができる。
【0037】
なお、左右に幅広い支持面を確保することを考慮しなければ、左右に配置されるエアバッグ43L,43Rとして、図11に示すごとく、上記空間PSを左右で二分割するように、膨張完了形状を前後上下に延びる扁平な直方体状としたものを、左右方向側で並設させる構成としてもよい。このような構成の各エアバッグ43L,43Rでは、膨張完了時に乗員側に配置される側面43aを、乗員拘束面44L,44Rとして、広い乗員拘束面44L,44Rを確保できるものの、延設部15側の底面43bからなる支持面45L,45Rが上下の全域にわたって左右方向の幅寸法を一定として構成され、延設部15の半分の領域で支持されることから、上述のエアバッグ35L,35R,39L,39Rと比較して、支持面45L,45Rによる安定した支持を確保し難い。しかしながら、離隔側乗員を受け止めた際には、離隔側乗員を受け止めて移動するエアバッグを、他方のエアバッグによっても支持できることから、2つのエアバッグ43L,43Rによって、離隔側乗員を支障なく保護することができる。
【0038】
なお、図9〜11に示すエアバッグ35L,35R,39L,39R,43L,43Rにおいても、図示しないが、エアバッグ25Rと同様に、乗員拘束面36L,36R,40L,40R,44L,44Rの後端側は、取付部の部位で、インフレーターとともにボディ側のブラケットに連結される構成であることから、回転移動時にも、前方側に移動せず、支持面37L,37R,41L,41R,45L,45Rによる支持を安定させることができる。
【0039】
なお、2つのエアバッグを同時に膨張させる構成とする場合、エアバッグは、それぞれ、別のインフレ―ターと接続させてもよく、また、1つのインフレーターによって2つのエアバッグを膨張させるように構成してもよい。
【0040】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、コンソール本体全体を、座部の座面よりも突出させて構成していることから、センターコンソールの部位に、乗員が着座することを防止できて、適正位置に着座した乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって適切に保護することが可能となる。なお、コンソール本体は、部分的に座部の座面より突出させる構成としてもよく、また、コンソール本体は座面と略面一とし、延設部を背もたれ部より突出させる構成としてもよい。さらには、コンソール本体と延設部とを、ともに、座部及び背もたれ部から突出させる構成としてもよい。
【0041】
なお、実施形態では、車両の後部座席を例にとり、説明したが、本発明の乗員保護装置は、車両の後部座席への搭載に限られるものではなく、例えば、前後方向に沿って並設される座席を備える車両にも、適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…ボディ、5L…左側座席、5R…右側座席(離隔側座席)、6L,6R…座部、7L,7R…背もたれ部、11…センターコンソール、12…コンソール本体、15…延設部、16…意匠面部、20L,20R…エアバッグカバー、22L,22R…インフレーター、25L,25R…エアバッグ、30…乗員拘束面、31…支持面、35L,35R…エアバッグ、36L,36R…乗員拘束面、37L,37R…支持面、39L,39R…エアバッグ、40L,40R…乗員拘束面、41L,41R…支持面、43L,43R…エアバッグ、44L,44R…乗員拘束面、45L,45R…支持面、MP…離隔側乗員、RS…後部座席、V…車両、S…乗員保護装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11