(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における機器保全装置、機器保全方法、機器保全プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
【0018】
先ず、
図1を用いて、機器保全装置のハードウェア構成を説明する。
図1は、実施形態における機器保全装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1において、機器保全装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、タッチパネル15、通信I/F(Interface)16、及びカードスロット17を有する。機器保全装置1は、フィールド機器2と通信可能に接続される。
【0020】
機器保全装置1は、ノート型PC、タブレット型PC、PDA、又はスマートフォン等の汎用装置、又は機器保全専用の装置である。機器保全装置1は、フィールド機器の保全を行うための機器保全プログラムを含み、機器保全プログラムが実行されることによってフィールド機器の保全作業を支援する。機器保全装置1は、保全作業を実施する作業者によってプラント内で可搬され、作業者によって操作される。
【0021】
CPU11は、RAM12、ROM13又はHDD14に記憶されたプログラムを実行することにより、機器保全装置1の制御を行う。機器保全プログラムは、例えば、機器保全プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介した機器保全プログラムを提供するサーバ等から取得されて、HDD14にインストールされ、RAM12にCPU11から読出し可能に記憶される。
【0022】
タッチパネル15は、操作入力機能と表示機能とを有する操作表示機能を有する。タッチパネル15は、フィールド機器の保全に係る保全情報等の情報を表示する。また、タッチパネル15は、作業者に対して指先又はタッチペン等を用いた操作入力を可能にする。本実施形態における機器保全装置1は操作表示機能を有するタッチパネル15を用いる場合を説明するが、機器保全装置1は、表示機能を有する表示装置と操作入力機能を有する操作入力装置とを有するものであってもよい。その場合、本実施形態は、タッチパネル15の表示画面は表示装置の表示画面、タッチパネル15の操作は操作入力装置の操作として実施することができる。なお、タッチパネル15は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。
【0023】
通信I/F16は、有線通信又は無線通信を介した、フィールド機器2との通信又は他の装置との通信を制御する、例えばネットワークアダプタである。他の装置とは、例えば、図示しない、他の機器保全装置、保全情報を管理する保全情報管理サーバ、DCS(Distributed Control System:分散制御システム)制御装置、FA(Factory Automation)コンピュータ、PLC(Programmable Logic Controller)等である。
【0024】
通信I/F16は、フィールド機器2において使用可能な通信プロトコルを用いてフィールド機器2との通信を制御する。プラントで使用される様々なフィールド機器2においては種々の通信プロトコルが用いられている。したがって、通信I/F16は、フィールド機器2毎にそれぞれ対応した通信プロトコルにおいてフィールド機器2との通信を制御する。例えば、通信I/F16は、ISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信規格であるISA100を使用するフィールド機器2との通信を制御する。また、通信I/F16は、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等の工業計器専用の通信プロトコルを使用するフィールド機器2との通信を制御してもよい。また、通信I/F16は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の汎用通信プロトコルを使用するフィールド機器2やDCS等との通信を制御してもよい。
【0025】
カードスロット17は、PCカードを挿入するスロットである。カードスロット17は、機器保全装置1において挿入されたPCカードの機能を利用可能にする。PCカードは、例えば、特定の通信を実現させる通信機能やストレージ機能を提供することができる。
【0026】
機器保全装置1が通信可能に接続されるフィールド機器2は、例えば、差圧計、温度計、流量計等の機器保全装置1に対して物理量(圧力、温度等)の信号を入力する入力機器、又は調節弁等の機器保全装置1から調節弁の開度を変更する制御信号を出力する出力機器である。
図1においては、フィールド機器2を省略して1つのみを図示したが、上述の通り、プラントでは様々なフィールド機器2が使用され、機器保全装置1は複数のフィールド機器2と接続される。
以上で、
図1を用いた、機器保全装置1のハードウェア構成の説明を終了する。
【0027】
次に、
図2を用いて、機器保全装置の機能構成を説明する。
図2は、実施形態における機器保全装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明においては、
図1を適宜参照する。
【0028】
図2において、機器保全装置100は、通信部101、機器情報保管部102、保全項目特定部103、機器情報設定部104、表示データ生成部105、保全実行部106、及び保全情報保存部107の各機能を有する。機器保全装置100の上記各機能は、
図1で示したCPU11においてプログラムを実行することによって実現することができる。すなわち、機器保全装置100の上記各機能は、ソフトウェアによって実現される機能モジュールである。
【0029】
通信部101は、通信I/F16を介して、フィールド機器2との通信又は他の装置との通信を制御して、フィールド機器2の情報を取得する。通信部101が制御する通信によって、例えば、ISA100、HART、BRAIN等の規格のフィールド機器2のパラメータ(機器情報)の設定、パラメータの読出し、パラメータの確認等を行う。通信部101は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の制御を行ってもよい。通信部101は、それぞれの通信に対応した制御を行うためのプログラムモジュールを有するものであってもよい。通信部101は、それぞれの通信に必要なプログラムモジュールを追加してインストールできるようにしてもよい。通信部101は、通信I/F16を介して接続されているフィールド機器2を自動的に(又は手動的に)認識して、認識したフィールド機器2のパラメータを取得することができる。
【0030】
なお、フィールド機器2の情報の取得は、上述した通信による情報の取得に限定されるものではない。例えば、作業者が目視でフィールド機器2のタグ名やモデル名を確認してキー入力したり、機器保全装置1に備えつけのカメラでタグ名やモデル名の記載のあるフィールド機器2の銘板を撮影して、撮影画像からタグ名やモデル名を認識して取得したりするものであってもよい。
【0031】
機器情報保管部102は、フィールド機器2の機器情報とこれに対応した保全項目の情報を保管する。機器情報保管部102において保管されるフィールド機器2のパラメータ(機器情報)は、例えば、フィールド機器2の機器タグ、機器アドレス、製造者、機器ID又は機器タイプ、モデル名、通信規格等のフィールド機器2を特定するための情報、若しくはフィールド機器2において測定された測定データ等である。
【0032】
機器情報保管部102において保管される保全項目は、フィールド機器2に設定されているパラメータの確認、フィールド機器2に対するパラメータの設定、所定の試験、所定の調整等である。保全項目には、保全項目の実行結果を報告するための報告書の出力等を含んでいてもよい。本実施形態において機器情報保管部102が保管する保全項目は、例えば、ループテスト(ループ試験)、ゼロ点調整、スパン調整、ワンタッチレポート、詳細な診断情報の表示、タグ/アドレス/ロール設定、設定制限の設定/解除、DTM(Device Type Manager)のインストール、DD(Device Description)のインストール、パラメータ取得、バルブのキャリブレーション、機器のスコーク、ISA100プロビジョニング、機器のオンサービス/オフサービス切替、サービスモード切替、バルブのパーシャルストロークテスト(部分作動検査)である。
【0033】
機器情報保管部102は、それぞれのフィールド機器2とそのフィールド機器2において実行される保全項目とを対応付けて、対応付けた情報を読出し可能に保管する。機器情報保管部102は、1つのフィールド機器2に対して1又は複数の保全項目を対応付けることができる。上記保全項目の中には、所定のフィールド機器2において実行できる保全項目と実行できない保全項目とがある。例えば、バルブのキャリブレーションの保全項目は、バルブを有するフィールド機器2においては実行可能であるが、バルブを有さない温度計等のフィールド機器2においては実行できない。機器情報保管部102は、それぞれのフィールド機器2において実行可能な保全項目をフィールド機器2に対応付けて保管する。フィールド機器2の機器情報と保全項目との対応付けは、例えば、予め対応が設定された設定ファイルに基づき行うことができる。設定ファイルには、例えば機器タイプ、通信規格等の情報と保全項目を対応付けるものであってもよい。また、フィールド機器2と保全項目との対応付けは、作業者によって任意に設定できるようにしてもよい。フィールド機器2と保全項目との対応付けは、機器情報設定部104によって設定してもよい。
【0034】
なお、フィールド機器2においては、保全項目を対応付けない(0個の保全項目を対応付ける)場合があってもよい。例えば、故障中又は不使用中等のフィールド機器2に対しては、保全項目を対応付けないことを保管することにより保全作業が不要であることを示すことができる。機器情報保管部102は、対応付けた情報を、例えばHDD14に保管してもよい。
【0035】
また、機器情報保管部102は、フィールド機器に対応付けられた保全項目毎に、保全項目の実行を促す催促情報の表示内容の設定を保存する。保全項目の実行を促す催促情報とは、保全項目の実行情報に基づき、作業者に対して保全項目の実行を促す情報である。保全項目の実行情報とは、過去にそのフィールド機器に対して実行された保全項目の実行日時、実行結果等の情報である。作業者に対する保全項目の実行を促す情報とは、作業者が視認等の知覚をすることにより保全項目の適切な実行を支援するための情報である。なお、催促情報の表示内容の詳細は
図5、
図6、
図8及び
図9を用いて後述する。また、催促情報の表示内容の設定については、
図7を用いて後述する。
【0036】
保全項目特定部103は、通信部101において取得された機器の情報(「パラメータ」ともいう。)に基づき、機器情報保管部102に保管された保全項目の中からタッチパネル15に表示する保全項目を特定する。例えば、1つのフィールド機器2に対して、機器情報保管部102において5つの保全項目が対応付けられていた場合、保全項目特定部103は、対応付けられている5つの保全項目の中から3つの保全項目を特定する。保全項目の特定方法の詳細は、
図3を用いて説明する。保全項目特定部103は、特定した保全項目を表示データ生成部105に出力する。
【0037】
機器情報設定部104は、機器情報保管部102に保管するフィールド機器2のパラメータ、保全項目、保全項目に対応した保全項目の実行を促す催促情報の表示を設定するためのUI(User Interface)を提供する。例えば、機器情報設定部104は、フィールド機器2のパラメータと保全項目の情報を通信I/F16を介して予め取得する。機器情報設定部104は、取得したフィールド機器2のパラメータ、保全項目の情報、及び催促情報の設定をタッチパネル15に表示して、フィールド機器2、保全項目及び催促情報の設定の対応付けを設定可能にする。機器情報設定部104は、設定された対応付けを機器情報保管部102に出力してもよい。
【0038】
表示データ生成部105は、通信部101によって通信接続されて取得されたフィールド機器2のパラメータをタッチパネル15に表示するための表示データを生成する。また、表示データ生成部105は、保全項目特定部103において特定された保全項目を、表示したフィールド機器2のパラメータに対応させて、フィールド機器2のパラメータとともに表示するための表示データを生成する。例えば、タッチパネル15において、保全項目はフィールド機器2のパラメータと対応付けて表示される。また、フィールド機器2が複数表示される場合、保全項目は夫々のフィールド機器2毎に表示されてもよい。なお、「表示するための表示データを生成する」ことを「表示する」と省略して説明する場合がある。また、表示データ生成部105は表示部と表現してもよい。すなわち、本実施形態における表示部とは、タッチパネル15のような表示装置であっても、表示装置で表示される表示データを生成するものであってもよい。
【0039】
また、表示データ生成部105は、接続されたフィールド機器2に対して特定された保全項目を実行させるための実行ボタンを表示するデータを生成する。実行ボタンとは、タッチパネル15に表示される操作の対象であり「操作部」の一実施形態である。操作部をマウス等によって選択することにより保全項目が実行される。本実施形態においては、メニューバーから操作される操作部も含まれるものとする。なお、メニューバーとは、ウインドやアプリケーションの操作命令を「ファイル」「編集」「表示」などの大項目で分けてメインメニューとして並べ、それぞれのメニューを選択することで所定の操作を行うことができる操作領域である。実行ボタンは、例えば、図形、文字、アイコン、記号等の形状で表示される。作業者は、タッチパネル15に表示されたアイコン等を操作することにより保全項目を実行させることができる。なお、
図5等においては、文字が表示された矩形の領域を持つ実行ボタンを例示する。作業者は、タッチパネル15の矩形の操作部の領域をタッチすることにより、保全項目を実行させることができる。
【0040】
また、表示データ生成部105は、表示する保全項目の実行ボタンに関する保全項目の実行情報と、保全項目の実行情報に基づきその保全項目の実行を促す催促情報を、実行ボタンとともに表示する表示データを生成する。表示データ生成部105が生成する表示データに基づくタッチパネル15の表示例は
図5及び
図6を用いて後述する。
【0041】
保全実行部106は、表示データ生成部105によって表示され、作業者によって操作(例えば、ボタンの押下)がされた保全項目をフィールド機器2に対して実行させる。保全項目は、操作された保全項目毎に実行される。例えば、1つの保全項目の実行ボタンが操作された場合、1つの保全項目が実行される。保全実行部106は、例えば、保全項目に関する設定、保全項目の進行状況の表示、又は保全項目の実行結果の表示等を行ってもよい。
【0042】
保全情報保存部107は、保全実行部106で実行された保全項目の結果を保存する。保全項目の結果とは、例えば、保全項目の実行日時、保全項目の実行結果、保全項目の実行結果に基づく保全計画等である。保全情報保存部107において保存された保全項目の結果は、例えば、保全項目特定部103、保全実行部106等から取得される。
【0043】
なお、
図2においては、機器保全装置10が有する、通信部101、機器情報保管部102、保全項目特定部103、機器情報設定部104、表示データ生成部105、保全実行部106、及び保全情報保存部107の各機能がソフトウェアによって実現される場合を説明した。しかし、機器保全装置10が有する上記1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。また、機器保全装置10が有する上記各機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、機器保全装置10が有する上記各機能は、2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
以上で、
図2を用いた、機器保全装置100の機能構成の説明を終了する。
【0044】
次に、
図3を用いて、機器保全装置10の動作を説明する。
図3は、実施形態における機器保全装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図3で説明する機器保全装置10の動作は、例えば、機器保全装置10のCPU11によって、
図2で説明した各機能を実行することに実施することができる。なお、以下の説明においては、
図1及び
図2を適宜参照する。
【0045】
図3において、機器保全装置10は、通信接続処理を実行する(ステップS11)。通信接続処理は、通信I/F16に接続されたフィールド機器2に対して、通信部101が所定のプロトコルを介して通信接続することにより実行される。例えば、機器保全装置10は、所定の機器アドレスにおけるフィールド機器2と所定の通信プロトコルを介して接続する。
【0046】
ステップS11の処理を実行した後、機器保全装置10は、接続されたフィールド機器2からパラメータ(機器情報)を取得する(ステップS12)。フィールド機器2からのパラメータの取得は、通信部101によって実行される。例えば、ステップS11において接続されたフィールド機器2が2台であった場合、通信部101は、2台のフィールド機器2から夫々パラメータを取得する。なお、ステップS11〜ステップS12においては、パラメータの取得は、通信I/F16を介して接続されたフィールド機器2から通信で取得する場合を示したが、パラメータの取得は、例えば、作業者による手入力、機器保全装置1に備え付けのカメラ、マイク等、通信以外の方法で取得してもよい。
【0047】
ステップS12の処理を実行した後、機器保全装置10は、保全項目を検索する(ステップS13)。保全項目の検索は、保全項目特定部103によって実行することができる。保全項目の検索は、ステップS12において取得されたフィールド機器2のパラメータに基づき、機器情報保管部102に保管されたフィールド機器2と保全項目とを対応付けた情報を用いて行われる。例えば、ステップS12において2台分のフィールド機器2のパラメータが取得された場合、機器保全装置10は、2台分のフィールド機器2の夫々のパラメータに対応した保全項目を検索し、2台分の検索結果を取得する。保全項目の検索においては、検索された保全項目に応じた保全項目の実行情報に基づく保全項目の実行を促す催促情報も併せて検索する。
【0048】
ステップS13の処理を実行した後、機器保全装置10は、タッチパネル15に実行ボタンとして表示する保全項目を特定する(ステップS14)。ステップS14における保全項目の特定は、例えば、特定された保全項目の実行ボタンをタッチパネル15に表示するか否かの決定である。保全項目の特定は、検索された全ての保全項目について特定するものであってもよい。また、保全項目の特定は、タッチパネル15に表示する実行ボタンの表示順序を決定するものであってもよい。特定された保全項目については、その保全項目の実行を促す催促情報についても特定されるものとする。ここで保全項目の特定方法の一例を説明する。以下に例示する保全項目の特定方法は、いずれか1つ又は2以上を組み合わせて実施することができる。
【0049】
[保全項目の実行情報に基づく保全項目の特定]
ステップS14の処理における保全項目の特定を、保全項目の実行情報に基づき実行する。例えば、保全項目特定部103は、前回の保全項目の実行から所定の期間が経過した保全項目、又は前回の保全項目の実行において異常が発見された保全項目等を、タッチパネル15に実行ボタンとして表示する保全項目として特定する。保全項目の実行情報は機器情報保管部102に保管され、保全項目の特定に用いられる。
【0050】
[作業者の任意設定による保全項目の特定]
ステップS14の処理における保全項目の特定を、予め作業者によって任意に設定された設定に基づき実行する。例えば、作業者は、タッチパネル15に表示された1のフィールド機器2を選択し、選択したフィールド機器2に対応して表示される実行ボタンを、タッチパネル15に表示された保全項目の選択画面から選択する。選択された保全項目は、例えば機器情報保管部102に保管される。保全項目特定部103は、保管された保全項目に従い、タッチパネル15に実行ボタンとして表示する保全項目を特定する。
【0051】
[保全項目の実施頻度に基づく保全項目の特定]
ステップS14の処理における保全項目の特定を、保全項目の実行情報に基づき実行する他の一例として、保全項目の実施頻度に基づき実行する。例えば、作業者が良く実施する保全項目を機器情報保管部102に保管する。良く実施する保全項目は、例えば保全項目の実行情報に基づき過去数か月の間に実行された回数によって判断してもよい。保全項目特定部103は、保管された良く実施する保全項目に基づき、タッチパネル15に実行ボタンとして表示する保全項目を特定する。
【0052】
[保全項目の実施計画に基づく保全項目の特定]
ステップS14の処理における保全項目の特定を、保全項目の実施計画に基づき実行する。例えば、保全項目の実施計画(保全計画)が予め作成されていた場合、保全計画を機器情報保管部102に保管する。保全項目特定部103は、保管された保全計画に基づき、タッチパネル15に実行ボタンとして表示する保全項目を特定する。実行された保全項目は、特定の対象から外すようにしてもよい。
【0053】
ステップS14の処理を実行した後、機器保全装置10は、ステップS12において取得されたフィールド機器2のパラメータをタッチパネル15に表示する(ステップS15)。ステップS15の処理においてタッチパネル15に表示されるフィールド機器2のパラメータは、例えば、フィールド機器2の機器タグ、機器ID等の基本情報、フィールド機器2から取得した測定データ等である。
【0054】
ステップS15の処理を実行した後、機器保全装置10は、ステップS14の処理において特定された保全項目の実行ボタンとその保全項目の実行を促す催促情報を、ステップS14の処理において表示されたフィールド機器2のパラメータとともにタッチパネル15に表示する(ステップS16)。特定された保全項目の実行ボタンをフィールド機器2のパラメータとともに表示することにより、表示されたフィールド機器2に対する保全項目をワンタッチで実行することができる。さらに保全項目の実行を促す催促情報を実行ボタンとともに表示することにより、実行すべき保全項目を視認しやすくなり、保全項目の適切な実行を支援することが可能になる。
【0055】
ステップS16の処理を実行した後、機器保全装置10は、ステップS12の処理で実行したフィールド機器2の情報の再取得を実行するから否かを判断する(ステップS17)。例えば、作業者が機器保全装置1を別の機器アドレスのフィールド機器2に繋ぎ替えた場合、フィールド機器2の情報の再取得が必要になる。機器保全装置10は、作業者からの明示的な指示の有無によって、又は通信I/F16の接続状況の変化を自動的に検出することによって、再取得の要否を判断してもよい。再取得を実行すると判断した場合(ステップS17:YES)、機器保全装置10は、ステップS11の処理に戻り、フィールド機器2の情報の再取得を実行する。
【0056】
一方、再取得を実行しないと判断した場合(ステップS17:NO)、機器保全装置10は、保全項目を編集するか否かを判断する。保全項目によっては、保全項目を実行するための種々の設定項目が必要となる。保全項目を編集することにより、保全項目を実行するための設定項目の再設定が可能となる。機器保全装置10は、作業者からの明示的な指示の有無によって、又は設定項目がない保全項目であるか否かによって保全項目を編集するか否かを判断してもよい。
【0057】
保全項目を編集すると判断した場合、機器保全装置10は、保全項目編集のためのUIを、タッチパネル15を介して提供する(ステップS22)。ステップS22の処理を実行した後、機器保全装置10は、ステップS16の処理において保全項目を再度表示する。
【0058】
一方、保全項目を編集しないと判断した場合、機器保全装置10は、保全項目の実行ボタンが作業者によって押下(操作)されたか否かを判断する(ステップS23)。保全項目の実行ボタンが作業者によって押下されたか否かは、例えば、保全実行部106がタッチパネル15の操作イベントを監視することにより実施することができる。
【0059】
実行ボタンが作業者によって操作されたと判断した場合(ステップS23:YES)、機器保全装置10は、押下された実行ボタンに対応する保全項目を実行する(ステップS24)。なお、保全項目の実行は、実行ボタンが押下された後に直ちに実行されてもよく、又は、実行ボタンが押下された後に他の表示や操作がされた後に実行されてもよい。例えば、保全項目は、実行ボタンが押下された後に、タッチパネル15の表示が保全項目の詳細を確認するための表示に遷移して、スタートボタン等を押下することで実行されてもよい。また、保全項目は、実行ボタンが押下された後に、実行を行うか否かを確認する表示や、実行に関する内容を編集可能に表示して、これらの表示に対する操作をしてから実行されてもよい。保全項目の実行は、保全実行部106によって実施することができる。
【0060】
ステップS24の処理を実行した後、機器保全装置10は、実行された保全項目の実行結果を実行情報として保存する(ステップS25)。実行された保全項目の実行情報の保存は、保全情報保存部107によって実施することができる。ステップS25の処理を実行した後、機器保全装置10は、ステップS14の処理に戻り、保全項目の特定を再度実行する。すなわち、ステップS14の処理における保全項目の特定は、実行された保全項目の結果に応じて再度実行されることになる。保全項目の特定を再度実行することにより、例えば、タッチパネル15において、実行済みの保全項目の実行ボタンの表示を消去したり、実行済みの保全項目の実行ボタンの表示順序を変更したり、又は他の保全項目の実行ボタンを表示したりすることが可能となる。
【0061】
一方、実行ボタンが作業者によって操作されていないと判断した場合(ステップS23:NO)、機器保全装置10は、
図3で示すフローチャートの処理を終了するか否かを判断する(ステップS26)。処理を終了するか否かの判断は、例えば、タッチパネル15の表示画面が保全項目を実行することが可能な表示画面から他の表示画面に切替ったか否か、電源スイッチがOFFにされたか否か等を検出することにより実施することができる。処理を終了しないと判断した場合(ステップS26:NO)、機器保全装置10は、ステップS16に戻って処理を実行する。一方、処理を終了すると判断した場合(ステップS26:YES)、機器保全装置10は、
図3で示すフローチャートの処理を終了する。
以上で、
図3を用いた、機器保全装置10の動作の説明を終了する。
【0062】
次に、
図4を用いて、機器保全装置1のタッチパネル15に表示されるメイン画面について説明する。
図4は、実施形態における機器保全装置1が表示するメイン画面の一例を示す図である。
【0063】
図4において、タッチパネル15の表示画面には、メイン画面1000が表示されている。メイン画面1000は、例えば、機器保全装置1が起動された後に最初に表示される表示である。メイン画面1000は、機器保全装置1が起動された後に、図示しないログイン画面においてログイン操作が行われた後、又は初期設定がされた後に表示されるものであってもよい。
【0064】
メイン画面1000は、フィールド機器2のパラメータを表示及び登録する画面である。メイン画面1000は、メニューバー1001、機器基本情報表示1011、パラメータ取得ボタン1012、メモ/画像表示1013、パラメータ表示1014、及びボタン表示領域1050の表示を有する。ここで、機器基本情報表示1011、パラメータ取得ボタン1012、メモ/画像表示1013及びパラメータ表示1014を、以下「機器情報1010」という。ボタン表示領域1050は、メイン画面1000において、機器情報1010の右側に、機器情報1010とともに表示される。なお、ボタン表示領域1050の詳細は、
図5を用いて後述する。メイン画面1000は、表示データ生成部105が生成した表示データによってタッチパネル15に表示される。
【0065】
図4はフィールド機器2が1台接続されている場合を示している。機器情報1010は、フィールド機器2が複数接続されている場合には、接続されたフィールド機器の台数分が表示される。ボタン表示領域1050は、機器情報1010が複数台数分表示されたときには、それぞれの機器情報1010の
図4図示右側に表示される。
【0066】
メニューバー1001は、「ファイル(F)」、「表示(V)」、「操作(A)」、「ツール(T)」、及び「ヘルプ(H)」の大項目のメニューを有する。なお、括弧書きの文字は、所定のキーと共に押下すうることによりメニューバーを操作することができるショートカットキーである。大項目のメニューを選択するとさらに詳細なメニュー項目がプルダウンで選択可能になる。本実施形態においてはメニューバー1001の中で「操作(V)」のメニューを操作したときのメニューボタンは、ボタン表示領域1050と同様な機能を設定できるものとする。メニューボタンの詳細については、
図6を用いて後述する。
【0067】
機器基本情報表示1011は、接続されたフィールド機器2の、アイコン、機器タグ、製造者、機器アドレス、機器ID、ライトプロテクトの状態等を表示する。パラメータ取得ボタン1012は、全パラメータ又はゼロ点調整のパラメータを取得するための実行ボタン、取得したパラメータを外部ファイルに出力するためのボタンを有する。メモ/画像表示1013は、保全対象のフィールド機器2に対して予め入力されたコメント(メモ又は付箋)を表示するコメント表示欄と、フィールド機器2の写真を表示する写真表示欄とを有する。パラメータ表示1014は、フィールド機器2から取得したパラメータを表示する。
【0068】
メイン画面1000は、セグメントビューワ切替ボタン1021、機器ナビゲータ切替ボタン1022、操作ログ切替ボタン1023を有する。メイン画面1000は、セグメントビューワ切替ボタン1021が押下されている状態で表示される。なお、機器ナビゲータ切替ボタン1022は、機器情報設定部104において実行される機器情報の登録を行うための表示画面を表示する。また、操作ログ切替ボタン1023は、保全情報保存部107において保存された実行情報等の保全情報を表示するための表示画面を表示する。
以上で、
図4を用いた、メイン画面1000についての説明を終了する。
【0069】
次に、
図5を用いて、
図4で説明したボタン表示領域1050の詳細を説明する。
図5は、実施形態における機器保全装置1が表示するボタン表示領域1050の一例を示す図である。
【0070】
図5において、ボタン表示領域1050は、ループテスト1051、プロビジョニング1052、全パラメータ1053及びゼロ調パラメータ1054の実行ボタンを含む。また、ボタン表示領域1050は、表示設定1055の実行ボタンを含む。ボタン表示領域1050に表示される実行ボタンは、
図3のステップS16の処理において表示される。ループテスト1051、プロビジョニング1052、全パラメータ1053及びゼロ調パラメータ1054の実行ボタンのそれぞれには、催促情報が表示されている。催促情報とは、上述の通り、保全項目の実行情報に基づき、作業者に対して保全項目の実行を促す情報である。ボタン表示領域1050は、催促情報として、実行情報に基づく保全項目の実行予定の情報を表示する。
【0071】
ループテスト1051の実行ボタンは、催促情報の保全項目の実行予定の情報として、保全項目であるループテストが過去に実行された実行日(「実行日時」等であってもよい。)と次回の実行予定日(「実行予定日時」等であってもよい。)を表示する。保全項目の実行日はその保全項目が実行されたときに保存される実行情報に基づき表示される。また、実行予定日は、実行情報に基づき決定される。実行予定日は、例えば、実行日からの、所定の経過日数、所定の稼働時間、所定の生産数量等によって決定することができる。また、実行予定日は、実行情報に基づき計画される保全計画によって決定されてもよい。催促情報として実行日及び実行予定日を表示することにより、作業者に対して保全項目の適切な実行タイミングを視認させて保全項目の適切な実行を支援することが可能となる。なお、保全計画と実行情報とに基づいて、保全計画による実行予定日、及び実行情報の実行日と実行予定日との差分を表す日数等を催促情報とすることができる。また、実行予定の情報として実行日のみを表示する場合であっても、作業者は、過去に実行された実行日を見て、次に保全項目を実行する計画をすることが可能になる。
【0072】
なお、ループテスト1051の実行ボタンは、フィールド機器2に対してループテストを実行させるためのボタンである。ループテストとは、プラント等の制御系統において、フィールド機器2から所定の出力レベルの模擬信号をDCS等の上位装置等に出力させ、フィールド機器2の動作や、フィールド機器2と上位装置等とが正しく結線されているかを確認するテストである。
【0073】
プロビジョニング1052の実行ボタンは、催促情報の保全項目の実行予定の情報として、保全項目であるプロビジョニングが過去に実行されてからの経過日数を表示する。保全項目の経過日数はその保全項目が実行されたときに保存される実行情報に基づき表示される。催促情報として経過日数を表示することにより、作業者は、次に保全項目を実施する計画をすることが可能となる。すなわち、保全項目の経過日数の情報は、実行予定日の情報と同様に保全項目の実行予定の情報として用いることができる。保全項目の経過日数の表示をすることにより作業者に対して保全項目の適切な実行タイミングを視認させて保全項目の適切な実行を支援することが可能となる。
【0074】
なお、プロビジョニング1052の実行ボタンは、フィールド機器2に対してプロビジョニングを実行させるためのボタンである。プロビジョニングとは、フィールド機器2に対して必要な情報を予め機器保全装置1から送信し、フィールド機器2にその情報を設定させる保全項目であり、例えば、所定の通信プロトコルを用いた通信を行うための設定を行う。
【0075】
全パラメータ1053の実行ボタンは、催促情報の保全項目の実行予定の情報として、次回の実行予定日(「実行予定日時」等であってもよい。)までの残り日数を実行情報に基づき経時的に変化するグラフを表示する。グラフの変化は、保全項目の実行日からの、所定の経過日数、所定の稼働時間、所定の生産数量等によって変化させることができる。グラフは、実行情報に基づき計画される保全計画によって変化されてもよい。催促情報として実行予定日までの残り日数を経時的に変化するグラフで表示することにより、作業者に対して保全項目の適切な実行タイミングを視認させて保全項目の適切な実行を支援することが可能となる。なお、全パラメータ1053の実行ボタンは、フィールド機器2が有する全パラメータを取得するためのボタンである。具体的には、機器保全装置1は、フィールド機器2へ全パラメータを送信させるためのコマンド信号を送信し、フィールド機器2に全パラメータを機器保全装置1へ送信させる。
【0076】
ゼロ調パラメータ1054の実行ボタンは、催促情報の保全項目の実行予定の情報として、次回の実行予定日(「実行予定日時」等であってもよい。)までの残り日数を実行情報に基づき文字表示する。残り日数は、保全項目の実行日からの、所定の経過日数、所定の稼働時間、所定の生産数量等によって変化させることができる。残り日数は、実行情報に基づき計画される保全計画によって変化されてもよい。催促情報として実行予定日までの残り日数を文字表示することにより、作業者に対して保全項目の適切な実行タイミングを視認させて保全項目の適切な実行を支援することが可能となる。なお、ゼロ調パラメータ1054の実行ボタンは、フィールド機器2に対してゼロ点調整を実行させるためのボタンである。
【0077】
表示設定1055の実行ボタンは、ボタン表示領域1050に表示するそれぞれの保全項目に対する催促情報を設定するためのボタンである。表示設定1055の実行ボタンを操作したときの詳細は
図7を用いて後述する。
【0078】
なお、催促情報として、前回の実行において異常が発見された保全項目の場合には、異常が発見された旨を示す表示をしてもよい。これによって、例えば、作業者は、異常が発生しやすい保全項目であるとして認識し、他の保全項目よりも優先して、再度の確認のために実行を促される。また、催促情報として、所定期間内の実行頻度を表示してもよい。これによって、例えば、作業者は、実行頻度の多い保全項目を、他の保全項目より優先順位の高い保全項目と認識することにより、実行することが促される。一方、作業者は、実行頻度の少ない保全項目を、長期間実行されていない保全項目と認識することにより、実行することが促される。
【0079】
また、
図5においては、催促情報として、実行情報に基づく保全項目の実行予定の情報を表示する場合を例示したが、催促情報として、保全項目の実行予定の情報以外を表示してもよい。例えば、催促情報として、保全項目の実行が不要である旨を表示するようにしてもよい。保全項目の実行が不要である旨の表示が不表示となることにより、保全項目の実行が不要である旨の表示は、作業者に対して保全項目の実行を促す情報となる。
以上で、
図5を用いた、ボタン表示領域1050の詳細の説明を終了する。
【0080】
次に、
図6を用いて、
図4で説明したメニューバー1001のメニューボタンについて説明する。
図6は、実施形態における機器保全装置1が表示するメニューボタンの一例を示す図である。
【0081】
図6において、メニューバー1001は、「操作(A)」のメニュー項目が選択されたときの操作メニューを示している。操作メニューには、ループテスト1061、プロビジョニング1062、全パラメータ1063及びゼロ調パラメータ1064のメニューボタンを含む。また、操作メニューは、表示設定1065のメニューボタンを含む。ループテスト1061、プロビジョニング1062、全パラメータ1063、ゼロ調パラメータ1064及び表示設定1065のメニューボタンの機能は、
図5で説明したループテスト1051、プロビジョニング1052、全パラメータ1053、ゼロ調パラメータ1054及び表示設定1055の実行ボタンと同様である。また、夫々の実行ボタンに表示される催促情報についても
図5と同様である。すなわち、本実施形態においては、ボタン表示領域1050に表示される実行ボタンと、メニューバーに表示されるメニューボタンとで、同様の機能を作業者に提供することができるので、作業者の好みに応じていずれかのボタンの操作を実行することが可能となる。なお、
図5及び
図6は、実行ボタンとメニューボタンが同一の催促情報を表示する表示態様を示したが、夫々に表示する催促情報は、
図7を用いて後述する設定によって異なる表示態様とすることができる。
【0082】
なお、
図5及び
図6においては、催促情報は実行ボタン又はメニューボタンの表示範囲に表示される場合を示したが、催促情報の表示態様はこれに限定されない。例えば、催促情報を実行ボタン又はメニューボタンにおいてスクロール表示するものであってもよい。また、催促情報部分(若しくは実行ボタン又はメニューボタン)を長押し操作等することによって、より詳細な情報を別ウインド等に表示するようにしてもよい。
以上で、
図6を用いた、メニューボタンについての説明を終了する。
【0083】
次に、
図7を用いて、
図5の表示設定1055の実行ボタン又は
図6の表示設定1065のメニューボタンが操作されたときの、催促情報表示の設定画面を説明する。
図7は、実施形態における機器保全装置1が表示する催促情報表示の設定画面の一例を示す図である。
【0084】
図7において、設定画面1070は、設定一覧1071、対象1072、ボタン選択1073、メニューボタン選択1074及び保存1075を有する。設定画面1070は、
図5の表示設定1055の実行ボタン又は
図6の表示設定1065のメニューボタンが操作されたときに表示される表示画面である。
【0085】
設定一覧1071は、夫々の保全項目に対して表示する催促情報を設定するための表示画面である。設定一覧1071において、機能名称の項目は、保全項目の機能名称であり、
図5等と同様に、ループテスト等の保全項目が設定されている。なお、機能名称の項目に表示される保全項目の特定は、保全項目特定部103において行うことができる。実行記録の項目は、催促情報に実行記録を表示するか否かを設定するチェックボックスである。実行記録とは、例えば過去に保全項目が実行された日付である。
【0086】
設定一覧1071において、実行予定日の項目は、催促情報に実行予定日を表示するか否かを設定するチェックボックスと、実行予定日の表示態様を設定するテキストボックスである。実行予定日のテキストボックスには、例えば日付を手入力により直接入力することができる。また、テキストボックスには、催促情報として、定期的に実行される日付等を入力してもよい。また、催促情報として、保全項目の実行日からの、経過日数、稼働時間、生産数量を入力してもよい。なお、生産数量等の催促情報は、通信I/F16を介して生産数量を管理する他の装置から取得することができる。
【0087】
設定一覧1071において、表示方法の項目は、催促情報の表示態様を設定するプルダウンメニューである。プルダウンメニューにおける差分とは、ボタン表示領域1050に催促情報を表示する表示日と実行日又は実行予定日との差分であり、実行日との差分は経過日数で表示され、実行予定日との差分は残り日数で表示される。揺れの項目は、催促情報の表示態様に揺れ表示を用いるか否かを選択するチェックボックスである。また、劣化表示は、催促情報の表示態様に劣化表示を用いるか否かのチェックボックスである。揺れ表示及び劣化表示の詳細は
図8及び
図9を用いて後述する。
【0088】
対象1072は、設定画面1070に表示する保全対象のフィールド機器を指定するためのテキストボックスである。対象1072には、例えばフィールド機器2の機種やシリーズを特定するための記号や名称の情報を入力することができる。対象1072に入力された情報は、機器情報保管部102に保管された機器情報を検索するための検索キーであってもよい。
【0089】
ボタン選択1073は、ボタン表示領域1050に催促情報を表示するか否かを設定するチェックボックスである。また、メニューボタン選択1074は、メニューバー1001の操作メニューに催促情報を表示するか否かを設定するチェックボックスである。
図5及び
図6は、ボタン選択1073及びメニューボタン選択1074のチェックボックスが選択されたときの表示態様を示している。
【0090】
保存1075は、設定画面1070において設定した設定内容を保存するためのボタンである。保存された設定内容は、表示データ生成部105においてタッチパネル15に表示する表示画面を生成するときに参照されて、設定に応じた表示態様において催促情報が表示される。
【0091】
なお、
図7で示した設定画面において催促情報表示を設定する保全項目は、機器情報保管部102に保管された機器情報に基づくが、例えば、作業者が、設定画面に機器情報を特定しないで催促情報表示を設定してもよい。
以上で、
図7を用いた、催促情報表示の設定画面の説明を終了する。
【0092】
次に、
図8を用いて、
図7の催促情報表示の設定画面で設定した、催促情報の揺れ表示について説明する。
図8は、実施形態における機器保全装置が表示する揺れ表示の一例を示す図である。揺れ表示は、実行情報に基づき経時的に変化するグラフィカルな表示の一例である。
【0093】
図8は、
図5で説明した全パラメータ1053に対して揺れ表示が設定された場合を表示態様を示している。
図8において図示する、第1の段階〜第3の段階の全パラメータ1053の表示は、実行情報に基づき経時的に変化するグラフの経過に対して3段階の揺れ表示が設定される場合を示している。
【0094】
第1段階は、実行情報に基づき経時的に変化するグラフとして次回の実行予定日までの残り日数を表すグラフが半分程度の期間経過を示す場合を示している。第1段階では、全パラメータ1053は揺れ表示がされない。揺れ表示がないことにより、作業者は、保全項目の実行予定がまだ近付いていないことを視認することができる。
【0095】
第2段階は、次回の実行予定日までの残り日数を表すグラフが第1段階よりも進行した場合を示している。第2段階では、全パラメータ1053は小さな揺れ表示がされるものとする。小さな揺れ表示により、作業者は、保全項目の実行予定が近付いていることを視認することができる。
【0096】
第3段階は、次回の実行予定日までの残り日数を表すグラフが第2段階よりも進行し、残り日数が僅かである場合を示している。第3段階では、全パラメータ1053は大きな揺れ表示がされるものとする。大きな揺れ表示により、作業者は、保全項目の実行予定までの残り日数が僅かであることを視認することができる。
【0097】
なお、
図8においては、催促情報の揺れ表示を第1の段階〜第3の段階の3段階で変化させる場合を示したが、揺れ表示の段階数はこれに限定されるものではなく、任意の段階数とすることができる。例えば、揺れの大きさを時間の経過とともに無段階で大きくしてもよい。また、第1段階から第2段階、及び第2段階から第3段階への移行は、グラフの経過に対して任意に設定できるようにしてもよい。また、揺れ表示は、上下の揺れ表示、左右の揺れ表示、斜めの揺れ表示等であってもよく、また、これらの表示の組み合わせであってもよい。また、揺れ表示を大きくするために、揺れの振幅や周波数等を大きくしてもよい。
以上で、
図8を用いた、催促情報の揺れ表示についての説明を終了する。
【0098】
次に、
図9を用いて、
図7の催促情報表示の設定画面で設定した、催促情報の劣化表示について説明する。
図9は、実施形態における機器保全装置が表示する劣化表示の一例を示す図である。劣化表示は、実行情報に基づき経時的に変化するグラフィカルな表示の一例である。劣化表示とは、例えば、実行情報である前回の保全項目の実行日に基づき時間の経過を表現するためのグラフィカルな表示である。
図9の劣化表示は、前回の保全項目が実行された月である「6月」からの経過日数の長さを示している。
【0099】
図9(A)は、劣化表示として、経時的にクモの巣が増える表示態様を示している。クモの巣が増えることにより、6月からの経過日数の長さを示している。
図9(B)は、劣化表示として、経時的に実行ボタンの表示が剥がれる表示態様を示している。実行ボタンの表示の剥がれが大きくなることにより、6月からの経過日数の長さを示している。
図9(C)は、劣化表示として、経時的に実行ボタンの表示が崩壊する表示態様を示している。実行ボタンの表示の崩壊が大きくなることにより、6月からの経過日数の長さを示している。劣化表示の表示態様は、催促情報表示の設定においていずれかの表示態様を選択できるようにしてもよい。
【0100】
なお、劣化表示においても揺れ表示と同様に、揺れ表示の段階数は3段階に限定されるものではなく、無段階を含み任意の段階数とすることができる。また、第1段階から第2段階、及び第2段階から第3段階への移行は、時間の経過に対して任意に設定できるようにしてもよい。
以上で、
図9を用いた、催促情報の劣化表示についての説明を終了する。
【0101】
次に、
図10を用いて、催促情報の表示例について説明する。
図10は、実施形態における機器保全装置が表示する催促情報の表示の一例を示す図である。
図10は、保全対象の機器の情報を表示する表示部を備える機器保全装置であって、表示部は、前記保全対象の機器に応じた保全項目の実行に係る操作部と、該操作部に対応する保全項目の実行情報に基づき前記保全項目の実行を促す催促情報とを表示する、機器保全装置を説明するものである。
【0102】
図10(A)は、フィールド機器2の電池の残量(グラフィカル表示)と、電池交換の保全作業を実施した日からの経過日数で表示することにより、作業者に対して電池交換の適切な日時を報知する。また、
図10(B)は、フィールド機器2の電池の残量と、電池交換の予定日時を表示することにより、作業者に対して電池交換の適切な日時を報知する。作業者は、保全対象の機器に応じた保全項目としての電池交換をしたときには、電池交換の実行に係る電池交換の実行日時を入力するための操作部を操作して、電池交換の実行日時を保全情報として保存する。実行日時を保存するための操作は例えば、メニューバーの操作から実行できるようにしてもよい。
以上で、
図10を用いた、催促情報の表示例についての説明を終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態における機器保全装置は、保全対象の機器の情報を表示する表示部を備える機器保全装置であって、表示部は、保全対象の機器に応じた保全項目を機器に対して実行させるための操作部を、操作部に対応する保全項目の実行情報に基づき前記保全項目の実行を促す催促情報とともに表示することにより、実行すべき保全項目が視認しやすくなり、作業効率の向上を図り保全項目の適切な実行を支援することができる。
【0104】
なお、本実施形態においては、保全対象の機器に応じた保全項目を機器に対して実行させるための操作部を、操作部に対応する保全項目の実行情報に基づき前記保全項目の実行を促す催促情報とともに表示するものとして、ボタン表示領域1050又はメニューバー1001において、実行ボタン又はメニューボタンを催促情報とともに表示する場合を例示したが、操作部と催促情報の表示態様はこれに限定されるものではない。例えば、操作部と催促情報が、タッチパネル15の表示画面に、同一の表示画面としてともに表示されるものであっても、スクロールによってともに表示されるものであってもよい。また、操作部又は催促情報が、アイコンや文字等の情報にタッチすることで別ウインドが起動して表示されたり、別ウインドに遷移又は切替って表示されたりすることでともに表示されるものであってもよい。また、表示パネルが複数配置されている場合、操作部と催促情報がそれぞれ別の表示パネルにおいてともに表示されるものであってもよい。また、催促情報とともに表示される操作部は、タッチパネル15における矩形等の所定の領域において表示される場合を示したが、例えば、操作部は、タッチパネル上での領域を特定せずに、タッチパネルに対する長押し、スワイプ、ピンチ等所定の操作を行うことにより操作可能な対象であってもよい。また、操作部は、ハードウェアスイッチ等に設けられたランプやディスプレイに表示されて、操作されるものであってもよい。
【0105】
また、本実施形態における催促情報の表示態様の設定は、
図7における実行記録、実施予定日、揺れ表示、劣化表示等を設定する場合を例示したが、催促情報の表示態様の設定の形態はこれに限定されるものではない。例えば、催促情報の表示態様の設定として、保全項目の実行ボタンの表示順位、実行すべき保全項目の格付け、その格付けによる実行ボタンの表示/非表示の切り換え等の設定を行うものであってもよい。これによって、例えば、作業者は、表示順位が上位の保全項目又は格付け上位の保全項目に対しての実行が他の保全項目の実行に優先して促される。
【0106】
また、本実施形態における催促情報は、タッチパネル15に表示される場合を示したが、催促情報は、表示色、表示の大きさ、フォント等を経時的に変更するものであってもよい。例えば、表示色が青から黄、または黄から赤に変更された場合、表示色が変更された保全項目の実行が促される。また、催促情報の表示とともに、音声、振動等の報知手段を用いて催促情報を報知してもよい。例えば、
図8における第2段階又は第3段階において、揺れ表示とともにバイブレータ等を用いて実際の振動を機器保全装置1に与えるようにしてもよい。催促情報の色、フォント、揺れ、劣化の表現をすることは、操作部の機能(保全項目)に対する気付きを与える他に、機器保全装置のベンダがユーザに対して行って欲しい項目の催促として使用してもよい。例えば、ユーザ登録が未登録のユーザに対してユーザ登録の催促情報の実行ボタンの表示態様を未登録の経過日数に応じて変化させることによりユーザ登録を促すことができる。また、上述した実施態様の他に、例えば、更に実行ボタンの表示態様を経過日数に応じて押下し辛い(タッチ操作し辛い)ものに変化させ、ある時点において、その機能(保全項目)の操作を勧めない旨をユーザに示すものであってもよい。
【0107】
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0108】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0109】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。