(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物(b1)が、ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパンまたはグリセリンとをNCO/OHが1.8〜2.2となるように反応させた反応物、ジイソシアネート化合物のビウレット体、および、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の1液湿気硬化型ウレタン組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1液湿気硬化型ポリウレタン組成物(以下、単に「本発明のポリウレタン組成物」という。)は、ウレタンプレポリマー(A)を含む予備組成物と、イソシアネート基を3個以上有する化合物(b1)および後述する式(1)〜(4)で表される化合物および式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(b2)を上記化合物(b1)のイソシアネート基(NCO)と上記化合物(b2)の水酸基(OH)との比(NCO/OH)が1.2〜3.2となるように反応させた反応物である接着付与剤(B)と、を含有する、1液湿気硬化型ウレタン組成物である。
ここで、本明細書において、「予備組成物」とは、接着付与剤(B)ならびに後述する任意の有機スズ化合物(C)および第3級アミン化合物(D)以外の成分を含む組成物といい、具体的には、ウレタンプレポリマー(A)および任意の添加剤(例えば、充填剤、可塑剤など)を含有する組成物をいう。
次に、ウレタンプレポリマー(A)、接着付与剤(B)、有機スズ化合物(C)および第3級アミン化合物(D)ならびに添加剤について詳述する。
【0013】
〔ウレタンプレポリマー(A)〕
本発明のポリウレタン組成物の予備組成物に用いられるウレタンプレポリマー(A)は、通常の1液型のポリウレタン組成物と同様、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物とを、活性水素基に対してイソシアネート基が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物等を用いることができる。
また、上記ウレタンプレポリマー(A)は、0.5〜5質量%のNCO基を分子末端に含有することができる。
【0014】
<ポリイソシアネート化合物>
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H
6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H
12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0015】
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、得られるウレタンプレポリマー(A)を含有する本発明のポリウレタン組成物の貯蔵安定性と硬化速度のバランスや、硬化後の機械的強度が良好となる理由から、芳香族ポリイソシアネートであるのが好ましく、TDI、MDIであるのがより好ましく、MDIであるのが更に好ましい。
【0016】
<1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物>
ウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用される1分子中に2個以上の活性水素基を有する活性水素化合物は特に限定されない。
【0017】
上記活性水素化合物としては、1分子中に2個以上の水酸(OH)基を有するポリオール化合物、1分子中に2個以上のアミノ基および/またはイミノ基を有するポリアミン化合物等が好適に例示され、中でも、ポリオール化合物であるのがより好ましい。
【0018】
上記ポリオール化合物は、OH基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0019】
低分子多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0020】
次に、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、通常、上記低分子多価アルコール類から導かれるものが用いられるが、本発明においては、更に以下に示す芳香族ジオール類、アミン類、アルカノールアミン類から導かれるものも好適に用いることができる。
ここで、芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0022】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0023】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0024】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類および上記アルカノールアミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
ここで、上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコール(もしくはプロピレングリコール)との反応生成物などのヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
また、上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0025】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、以上で例示した種々のポリオール化合物を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリプロピレングリコールであるのが、得られるウレタンプレポリマー(A)の粘度が良好となり、また、これを含有する本発明のポリウレタン組成物の機械的強度や耐水性、コストなどが良好となる理由から好ましい。
また、重量平均分子量が100〜10000程度であるポリオールが好ましく、1000〜5000であるポリオールがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、得られるウレタンプレポリマー(A)の物性(例えば、硬度、破断強度、破断伸び)および粘度が良好となる。
【0027】
上記ポリアミン化合物としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD、デュポン・ジャパン社製)などの脂肪族ポリアミン;メタフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジアミノジエチルジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミン;N−アミノエチルピペラジン;3−ブトキシイソプロピルアミンなどの主鎖にエーテル結合を有するモノアミン;サンテクノケミカル社製のジェファーミンEDR148に代表されるポリエーテル骨格のジアミン;イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3BAC、三菱ガス化学社製)、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、3−アミノメチル−3,3,5−トリメチル−シクロヘキシルアミンなどの脂環式ポリアミン;ノルボルナンジアミン(NBDA、三井化学社製)などのノルボルナン骨格のジアミン;ポリアミドの分子末端にアミノ基を有するポリアミドアミン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メンセンジアミン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、ポリプロピレングリコール(PPG)を骨格に持つサンテクノケミカル社製のジェファーミンD230、ジェファーミンD400;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ポリエーテル骨格のジアミン(ジェファーミン)、ヘキサメチレンジアミンであるのが好ましい。
【0028】
〔任意成分〕
本発明のポリウレタン組成物の予備組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、垂れ止め剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤などの各種添加剤等を含有することができる。
これらのうち、予備組成物には、充填剤および可塑剤を含有しているのが好ましい。
【0029】
<充填剤>
充填剤としては、各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、カーボンブラック;炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物;等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明においては、充填剤を含有する場合の含有量は、予備組成物の総質量に対して、20〜60質量%であるのが好ましく、30〜50質量%であるのがより好ましい。
【0031】
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジイソノニルフタレート(DINP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明においては、可塑剤を含有する場合の含有量は、予備組成物の総質量に対して、4〜40質量%であるのが好ましく、25〜35質量%であるのがより好ましい。
【0033】
垂れ止め剤は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、コロイダルシリカ等が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
【0034】
顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラックなどの有機顔料;等が挙げられる。
【0035】
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0036】
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
【0037】
〔接着付与剤(B)〕
本発明のポリウレタン組成物に用いられ、予備組成物に含まれない接着付与剤(B)は、イソシアネート基を3個以上有する化合物(b1)と、後述する式(1)〜(4)で表される化合物および式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(b2)とを、化合物(b1)のイソシアネート基(NCO)と化合物(b2)の水酸基(OH)との比(NCO/OH)が1.2〜3.2となるように反応させた反応物である。
ここで、上述したように、特許文献1では、「トリメチロールプロパンおよびジイソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート基を少なくとも3個有する化合物と特定の構造を有する2級アミノシランとの反応物」が記載されており、また、特許文献2および3では、「トリメチロールプロパンに2官能イソシアネートをNCO基とOH基の当量比が0.8〜1.5になるように反応させてなる化合物に、アリール基が窒素原子に直接結合したイミノ基を有し、かつ加水分解性シリル基を有する化合物を、NCO基とNH基の当量比が1.8〜3.5になるように反応させてなる化合物(A)」などが記載されているが、後述する式(1)〜(4)で表される化合物および式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物については記載されていない。
【0038】
本発明においては、このような接着付与剤(B)を所定量含有することにより、本発明のポリウレタン組成物の被着体(塗板)との接着性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。
すなわち、接着付与剤として公知のイソシアネート基を3個以上有する化合物(b1)に対して、後述する式(1)〜(4)で表される化合物および式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(b2)を反応させることにより、被着体(塗板)に対する濡れ性が向上したためであると考えられる。
また、この効果は、アミノシラン(例えば、γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン)や、後述する式(1)〜(3)で表されるターピネオールに類似する化合物(例えば、カルベノール、ぺリルアルコール、ベルベノールなど)を用いた場合には得られない効果であるため、極めて意外な効果であると言える。
【0039】
<化合物(b1)>
接着付与剤(B)の調製の際に使用される化合物(b1)は、イソシアネート基を3個以上有する化合物であれば特に限定されないが、その具体例としては、ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン(以下、「TMP」とも略す。)またはグリセリンとをNCO/OHが1.8〜2.2となるように反応させた反応物、ジイソシアネート化合物のビウレット体、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、化合物(b1)の生成に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、上述したウレタンプレポリマー(A)の製造の際に使用されるポリイソシアネート化合物のうち、分子内にイソシアネート基を2個有するものが挙げられる。
これらのジイソシアネート化合物のうち、得られる接着付与剤(B)を含有する本発明のポリウレタン組成物の被着体(塗板)との接着性がより良好となる理由から、脂肪族ポリイソシアネートであるのが好ましく、HDIであるのがより好ましい。
【0040】
(ジイソシアネート化合物とTMPとの反応物)
ジイソシアネート化合物とTMPとの反応物は、ジイソシアネート化合物とTMPとを、NCO/OHが1.8〜2.2となる当量比で反応させた反応物であり、通常のウレタンプレポリマーの調製と同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比のHDIとTMPとを50〜100℃で加熱撹拌することによって行うことができる。
なお、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
上記反応物としては、例えば、下記式(5)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化3】
【0041】
(ジイソシアネート化合物とグリセリンとの反応物)
ジイソシアネート化合物とグリセリンとの反応物は、ジイソシアネート化合物とグリセリンとを、NCO/OHが1.8〜2.2となる当量比で反応させた反応物であり、通常のウレタンプレポリマーの調製と同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比のHDIとグリセリンとを50〜100℃で加熱撹拌することによって行うことができる。
なお、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
上記反応物としては、例えば、下記式(6)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化4】
【0042】
(ジイソシアネート化合物のビウレット体)
ジイソシアネート化合物のビウレット体としては、例えば、下記式(7)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化5】
【0043】
(ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体)
ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体としては、例えば、下記式(8)で表される化合物が好適に挙げられる。
【化6】
【0044】
<化合物(b2)>
接着付与剤(B)の調製の際に使用される化合物(b2)は、下記式(1)〜(4)で表される化合物および下記式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
【化7】
【0045】
これらのうち、上記式(1)で表される化合物(α−ターピネオール)、上記式(2)で表される化合物(β−ターピネオール)、上記式(3)で表される化合物(γ−ターピネオール)を用いるのが好ましく、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
<接着付与剤(B)の調製方法>
接着付与剤(B)は、上述した化合物(b1)と化合物(b2)を、化合物(b1)のイソシアネート基と化合物(b2)の水酸基との比(NCO/OH)が1.2〜3.2となるように反応させた反応物である。
ここで、上記反応条件は、通常のウレタンプレポリマーの調製と同様の方法で行うことができ、例えば、上述の当量比の化合物(b1)と化合物(b2)とを50〜100℃で加熱撹拌することによって行うことができる。
なお、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
【0047】
本発明においては、上記接着付与剤(B)の含有量は、上記予備組成物100質量部に対して0.1〜10質量部であり、0.5〜8質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0048】
〔有機スズ化合物(C)〕
本発明のポリウレタン組成物は、被着体(塗板)との接着性がより良好となり、特に低温下においてプライマーを使用せずに被着体と接着できる理由から、予備組成物に含まれない任意成分として、有機スズ化合物(C)を含有しているのが好ましい。
【0049】
上記有機スズ化合物(C)としては、例えば、従来公知の有機スズ触媒などが挙げられ、その具体例としては、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、第一スズオクテート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジオクチルスズマレエート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機スズ化合物の他の具体例としては、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタノキサンとエチルシリケートとをモル比が1:0.8〜1:1.2となるように反応させた反応物(以下、本段落において単に「ジスタノキサン反応物」と略す。)が挙げられる。
これらのうち、低温下において被着体(塗板)との接着性がより良好となり、また耐水接着性も良好となる理由から、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジスタノキサン反応物であるのが好ましく、ジスタノキサン反応物であるのがより好ましい。
【0050】
本発明においては、上記有機スズ化合物(C)を含有する場合の含有量は、上記予備組成物100質量部に対して0.001〜0.5質量部であるのが好ましく、0.01〜0.10質量部であるのがより好ましい。
【0051】
〔第3級アミン化合物(D)〕
本発明のポリウレタン組成物は、適切な硬化速度に調整する観点から、予備組成物に含まれない任意成分として、第3級アミン化合物(D)を含有しているのが好ましい。
【0052】
上記第3級アミン化合物(D)としては、例えば、従来公知の第3級アミン触媒などが挙げられ、その具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルアミルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、トリアリルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン、4,4′−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス−モルフォリン、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、ピコリン、ジメチルアミノメチルフェノール、トリスジメチルアミノメチルフェノール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−1、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、トリエタノールアミン、N,N′−ジメチルピペラジン、テトラメチルブタンジアミン、ジモルフォリノジエチルエーテル、ビス(2,2−モルフォリノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、塗布時の塗膜形成性が良好となり、また、貯蔵安定性と硬化速度とのバランスが良好となる理由から、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、ジモルフォリノジエチルエーテルであるのが好ましく、これらを併用するのがより好ましい。
【0053】
本発明においては、上記第3級アミン化合物(D)を含有する場合の含有量は、上記予備組成物100質量部に対して0.01〜4質量部であるのが好ましく、0.1〜0.8質量部であるのがより好ましい。
特に、上記第3級アミン化合物(D)として、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンを用いる場合は、その含有量は、上記予備組成物100質量部に対して0.01〜2.0質量部であるのが好ましく、0.01〜0.2質量部であるのがより好ましい。
また、上記第3級アミン化合物(D)として、ジモルフォリノジエチルエーテルを用いる場合は、その含有量は、上記予備組成物100質量部に対して0.01〜2.0質量部であるのが好ましく、0.05〜0.8質量部であるのがより好ましい。
【0054】
本発明のポリウレタン組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上述したウレタンプレポリマー(A)および任意の各種添加剤を混合して予備組成物を調製した後に、接着付与剤(B)ならびに任意の有機スズ化合物(C)および第3級アミン化合物(D)を混合し、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等を用いて室温下または加熱下(40〜60℃、例えば40℃)で十分に混合し、均一に分散(混練)させることにより製造することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を用いて、本発明のポリウレタン組成物について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
〔予備組成物の調製〕
<ウレタンプレポリマー(A−1)>
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)500g、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量5000)1150g、および4,4′−ジイソシアネートフェニルメタン(分子量250)264gを混合し(この時NCO/OH=1.8)、更にフタル酸ジイソノニル800gを加えて、窒素気流中、80℃で24時間撹拌を行い、反応させて、イソシアネート基を1.45%含有するウレタンプレポリマー(A−1)を合成した。
【0057】
合成したウレタンプレポリマー(A−1)130質量部と、カーボンブラック(N220、新日化カーボン社製)70質量部と、重質炭酸カルシウム(スーパーS、丸尾カルシウム社製)40質量部と、フタル酸ジイソノニル(DINP、ジェイプラス社製)40質量部とを、かくはん機を用いて混合し、予備組成物を調製した。
【0058】
〔接着付与剤の調製〕
<化合物(b1−1)の合成>
接着付与剤の調製に用いる化合物(b1−1)として、上記式(5)で表されるHDI−TMP付加体(合成品)を用いた。なお、合成は、HDIを予め添加したフラスコ内に、NCO/OHが2.0となる当量比でTMPを撹拌しながら滴下し、その後、80℃で24時間反応させることにより行った。
<化合物(b1−2)>
接着付与剤の調製に用いる化合物(b1−2)として、上記式(8)で表されるHDIイソシアヌレート体(D170N、三井化学社製)を用いた。
<化合物(b1−3)>
接着付与剤の調製に用いる化合物(b1−3)として、上記式(7)で表されるHDIビウレット体(D165N、三井化学社製)を用いた。
【0059】
<接着付与剤B−1の調製>
上記化合物(b1−2)であるHDIイソシアヌレート体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤B−1を調製した。
【0060】
<接着付与剤B−2の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤B−2を調製した。
【0061】
<接着付与剤B−3の調製>
上記化合物(b1−1)であるHDI−TMP付加体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤B−3を調製した。
【0062】
<接着付与剤B−4の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と上記式(4)で表される化合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤B−4を調製した。
【0063】
<接着付与剤B−5の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの水添化合物の混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤B−5を調製した。
【0064】
<接着付与剤X−1の調製>
上記化合物(b1−2)であるHDIイソシアヌレート体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が1.1となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤X−1を調製した。
【0065】
<接着付与剤X−2の調製>
上記化合物(b1−2)であるHDIイソシアヌレート体と上記式(1)〜(3)で表されるターピネオールの混合物(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.3となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤X−2を調製した。
【0066】
<接着付与剤X−3の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と下記式(9)で表されるカルベノール(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤X−3を調製した。
【化8】
【0067】
<接着付与剤X−4の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と下記式(10)で表されるぺリルアルコール(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤X−4を調製した。
【化9】
【0068】
<接着付与剤X−5の調製>
上記化合物(b1−3)であるHDIビウレット体と下記式(11)で表されるベルベノール(日本テルペン化学社製)とを、当量比(NCO/OH)が3.0となるように混合し、80℃で30分間加熱撹拌することにより、接着付与剤X−5を調製した。
【化10】
【0069】
〔実施例1〜22、比較例1〜8〕
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第1表に示される各ポリウレタン組成物を得た。
【0070】
<高温高湿接着性>
硬化試験評価用被着体(プライマー(MS−90、横浜ゴム社製)を塗布したガラス)に、調製した各ウレタン組成物を塗布し、20℃、60%相対湿度の条件下で3時間放置した後、40℃の温水に24時間浸漬させた。
その後、ウレタン組成物の硬化物の一端を把持して180度剥離し、破壊状態を観察した。硬化物の凝集破壊をCF(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対する硬化物の凝集破壊が起きた面積(%))、プライマー/硬化物間の界面剥離をPS(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対するプライマー/硬化物間の界面剥離が起きた面積(%))とした。
【0071】
<硬化性>
硬化試験評価用被着体(プライマー(MS−90、横浜ゴム社製)を塗布したガラス)に、調製した各ウレタン組成物を塗布し、20℃、60%相対湿度の条件下で硬化させた際の皮張り時間を測定した。
皮張り時間が20分以上70分未満であるものを硬化性が良好であるものとして「○」と評価し、皮張り時間が70分以上100分未満であるものを硬化性に実用上問題がないものとして「△」と評価し、皮張り時間が20分未満または100分以上であるものを硬化性に劣るものとして「×」と評価した。
【0072】
<垂下性>
ガラス板に調製した各ウレタン組成物を底辺6mm、高さ10mmの直角三角形ビードで帯状に押し出し、直ちに保持具を取り付け、90°の角度に保持し、20℃、65%相対湿度の条件下で30分放置した。
30分放置後の各ウレタン組成物の頂点の垂れ下がりの距離h(mm)を測定した。
【0073】
<貯蔵安定性>
調製した各ポリウレタン組成物を容器に密封し、40℃で7日間貯蔵した後のSOD粘度(Pa・s)を測定し、貯蔵前のSOD粘度からの粘度上昇率を算出した。結果を下記第1表に示す。
ここで、SOD粘度は、JASO M338−89に準拠して、圧力粘度計(ASTM D 1092)を用いて測定した。
【0074】
<耐熱接着性>
硬化試験評価用被着体(プライマー(MS−90、横浜ゴム社製)を塗布したガラス)に、調製した各ウレタン組成物を塗布し、20℃、60%相対湿度の条件下で7日間放置した後、120℃で5日間放置し、20℃まで徐冷した。
その後、ウレタン組成物の硬化物の一端を把持して180度剥離し、破壊状態を観察した。硬化物の凝集破壊をCF(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対する硬化物の凝集破壊が起きた面積(%))、プライマー/硬化物間の界面剥離をPS(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対するプライマー/硬化物間の界面剥離が起きた面積(%))とした。
【0075】
<破断伸び(切断時伸び)>
調製した各ウレタン組成物の硬化物を厚さ2mmのダンベル状試験片(ダンベル状3号形)に切り出し、JIS K6251:2010に準拠して、破断伸び(%)を測定した。
【0076】
<塗板1〜3に対する接着性>
下記の塗料1〜3をそれぞれ鋼板に塗布した塗板1〜3に、それぞれプライマーを用いず直接ウレタン組成物を塗布し、20℃、60%相対湿度の条件下で7日間放置させた。
その後、ウレタン組成物の硬化物の一端を把持して180度剥離し、破壊状態を観察した。硬化物の凝集破壊をCF(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対する硬化物の凝集破壊が起きた面積(%))、プライマー/硬化物間の界面剥離をPS(数値は、硬化物を剥離した部分の面積に対するプライマー/硬化物間の界面剥離が起きた面積(%))とした。
・塗料1:酸/エポキシ系塗料
・塗料2:アクリル/メラミン系塗料
・塗料3:アクリル/シリコン系塗料
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
上記第1表に示す成分は、以下のとおりである。
・化合物(b1−1):上記式(5)で表されるHDI−TMP付加体(合成品)
・化合物(b1−2):上記式(8)で表されるHDIイソシアヌレート体(D170N、三井化学社製)
・接着付与剤B−1〜B−5:上述した各接着付与剤
・有機スズ化合物C−1:1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチル−ジスタノキサンとエチルシリケートとをモル比が1:1となるように反応させた反応物
・有機スズ化合物C−2:ジブチルスズジアセチルアセトネート(日本化学産業社製)
・第3級アミン化合物D−1:ジモルフォリノジエチルエーテル(サンアプロ社製)
・第3級アミン化合物D−2:N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(エアプロダクツ社製)
・接着付与剤X−1〜X−5:上述した各接着付与剤
・接着付与剤Y−1:γ−N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(KBM573、信越化学社製)
【0082】
上記第1表に示す結果より、イソシアネート基を3個以上有する化合物(b1)と、上記式(1)〜(4)で表される化合物および上記式(1)〜(3)で表される化合物の水添化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(b2)とを所定の当量比で反応させた接着付与剤(B)を配合していない比較例1〜8は、いずれも塗板3(塗料:アクリル/シリコン系塗料)に対する接着性が劣ることが分かった。
特に、接着付与剤として従来公知のHDI−TMP付加体、HDIイソシアヌレート体、アミノシランを配合した比較例1、2および8だけでなく、接着付与剤(B)と構造が近い接着付与剤X−3〜X−5を配合した比較例5〜7についても、接着性が劣ることが分かった。
【0083】
これに対し、接着付与剤(B)を特定量配合した実施例1〜22は、いずれも塗板に対する接着性が良好であることが分かった。
特に、実施例1〜3と実施例22との対比から、接着付与剤(B)の含有量が予備組成物100質量部に対して0.1〜5.0質量部であると、破断伸びが良好となることが分かった。
また、実施例2、4および5と実施例18との対比から、有機スズ化合物(C)の含有量が上記予備組成物100質量部に対して0.001〜0.5質量部であると、耐熱接着性が良好となることが分かった。
また、実施例2と実施例19〜21との対比から、第3級アミン化合物(D)として用いるN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンの含有量が予備組成物100質量部に対して0.01〜2.0質量部であり、ジモルフォリノジエチルエーテルの含有量が予備組成物100質量部に対して0.01〜2.0質量部であると、高温多湿接着性や硬化性が良好となることが分かった。