特許第6468324号(P6468324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6468324
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】コンベヤチェーン
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/00 20060101AFI20190204BHJP
   B65G 17/06 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B65G17/00 D
   B65G17/06 B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-150947(P2017-150947)
(22)【出願日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】酒元 大
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭36−024446(JP,Y1)
【文献】 特開平04−251015(JP,A)
【文献】 実開昭52−110187(JP,U)
【文献】 実開昭51−158583(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00
B65G 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を載置可能なトッププレートを有した複数のリンクが回動可能に直列に連結され、スプロケットに噛合させて使用されるコンベヤチェーンであって、
隣り合う2つの前記トッププレートのうちの一方は、前記スプロケットと対応する位置において、常に前記スプロケットの径方向において非接触で他方と重なるように延びる重なり部を有していることを特徴とするコンベヤチェーン。
【請求項2】
前記一方のトッププレートの重なり部が重ねられる部分である前記他方のトッププレートの重ねられ部には、隣り合う前記リンク同士が回動する際に前記一方のトッププレートを有した前記リンクとの接触を回避するための凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンベヤチェーン。
【請求項3】
前記重なり部及び前記重ねられ部は、円弧状に湾曲していることを特徴とする請求項2に記載のコンベヤチェーン。
【請求項4】
前記重なり部は、前記リンクの進行方向の後側に向かって延びていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のコンベヤチェーン。
【請求項5】
前記リンクの内側には、前記スプロケットと噛合する複数のローラが前記スプロケットの軸方向に並んで回転可能に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のコンベヤチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送するコンベヤに用いられるコンベヤチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物を搬送するコンベヤとして例えば特許文献1に示す搬送用コンベヤが知られている。このような搬送用コンベヤは、複数の駆動鎖車及び複数の従動鎖車にそれぞれ巻き掛けられた複数の無端状のコンベヤチェーンを備えている。各コンベヤチェーンは、内リンクと外リンクとが交互に直列に回動可能に連結された構成になっている。内リンク及び外リンクには、搬送物を載せるためのトッププレートがそれぞれ設けられている。そして、搬送用コンベヤは、複数のコンベヤチェーンのトッププレート上に跨るように搬送物を載せた状態で複数の駆動鎖車をモーターで同期して回転駆動させることによって、搬送物を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−62107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような搬送用コンベヤでは、各コンベヤチェーンにおける駆動鎖車及び従動鎖車と噛合している部分で隣り合う内リンクと外リンクとが屈曲するように回動する。このため、内リンクのトッププレートと外リンクのトッププレートとの間の隙間が露出した状態で大きくなるので、この隙間に搬送物や異物などが入り込むおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、隣り合うリンクのトッププレート同士の間に搬送物や異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることを抑制できるコンベヤチェーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するコンベヤチェーンは、搬送物を載置可能なトッププレートを有した複数のリンクが回動可能に直列に連結され、スプロケットに噛合させて使用されるコンベヤチェーンであって、隣り合う2つの前記トッププレートのうちの一方は、前記スプロケットと対応する位置において他方と重なるように延びる重なり部を有している。
【0007】
この構成によれば、コンベヤチェーンがスプロケットと噛合する位置で隣り合うリンク同士が屈曲するように回動しても、当該リンク同士の隣り合う2つのトッププレートのうちの一方のトッププレートの重なり部が他方のトッププレートとの重なり状態を維持する。このため、隣り合うリンクのトッププレート同士の間に搬送物や異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることを抑制できる。
【0008】
上記コンベヤチェーンにおいて、前記一方のトッププレートの重なり部が重ねられる部分である前記他方のトッププレートの重ねられ部には、隣り合う前記リンク同士が回動する際に前記一方のトッププレートを有した前記リンクとの接触を回避するための凹部が設けられていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、隣り合うリンク同士の回動が重ねられ部との接触によって妨げられることを抑制できる。
上記コンベヤチェーンにおいて、前記重なり部及び前記重ねられ部は、円弧状に湾曲していることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、スプロケットとの噛合による隣り合うリンク同士の回動に伴って、重なり部と重ねられ部とを干渉させずに円滑に回動させることができる。
上記コンベヤチェーンにおいて、前記重なり部は、前記リンクの進行方向の後側に向かって延びていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、搬送物の搬送中にトッププレート上の搬送物が隣り合うリンクのトッププレート同士の間に入り込むことを効果的に抑制できる。
上記コンベヤチェーンにおいて、前記リンクの内側には、前記スプロケットと噛合する複数のローラが前記スプロケットの軸方向に並んで回転可能に配置されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ローラが1つである場合のローラの長さに比べて各ローラの長さが短くなるので、各ローラの内側で発生する錆を排出され易くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、隣り合うリンクのトッププレート同士の間に搬送物や異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態のステルモアコンベヤの一部を示す平面模式図。
図2】コンベヤチェーンの側面図。
図3】コンベヤチェーンの一部を示す平面図。
図4】コンベヤチェーンの一部を示す側面図。
図5図4の5−5線矢視断面図。
図6図2の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、コンベヤチェーンの一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、搬送物の一例としての線材(条鋼線材)Hの製造ラインであるステルモアラインは、高温(例えば900℃程度)で螺旋状に形成された一続きの線材Hを搬送方向Aに順次に搬送するステルモアコンベヤ11を備えている。高温の線材Hは、ステルモアコンベヤ11によって上流側から下流側に搬送される過程で自然冷却される。ステルモアコンベヤ11は、搬送方向Aに延びる複数条(本例では5条)のコンベヤチェーン12を備えている。
【0016】
5条のコンベヤチェーン12のうち、3条のコンベヤチェーン12は間隔を置いて並列に且つ平行に配置され、残りの2条のコンベヤチェーン12は3条のコンベヤチェーン12の搬送方向Aの下流側の位置に間隔を置いて並列に且つ平行に配置されている。3条のコンベヤチェーン12の下流側の端部における2つの隙間には、2条のコンベヤチェーン12の上流側の端部がそれぞれ挿入されている。つまり、上流側の3条のコンベヤチェーン12から下流側の2条のコンベヤチェーン12に線材Hが受け渡されるようになっている。
【0017】
図2に示すように、コンベヤチェーン12は、無端状に形成された状態で搬送方向Aに離れて配置された一対のスプロケット13に噛合するように巻き掛けられている。一対のスプロケット13は、いずれか一方が図示しないモーターの駆動力によって回転駆動されるようになっている。したがって、スプロケット13を回転駆動させることで、コンベヤチェーン12が一対のスプロケット13の周りを循環移動する。つまり、コンベヤチェーン12は、スプロケット13に噛合させて使用される。
【0018】
図3及び図4に示すように、コンベヤチェーン12は、鋼材によって構成され、互いに幅方向Yで対向して離れて配置される一対の内リンクプレート14を各々有した複数の内リンク15と、一対の内リンクプレート14を幅方向Yの外側から挟むように配置される一対の外リンクプレート16を各々有した複数の外リンク17とを備えている。内リンク15の内リンクプレート14及び外リンク17の外リンクプレート16は、コンベヤチェーン12の長手方向Xに延びる略矩形状をなしており、長手方向Xの両端部が円弧状をなすように丸みを帯びている。内リンクプレート14は、外リンクプレート16よりも若干厚さが厚くなっている。
【0019】
図4及び図5に示すように、内リンクプレート14の長手方向Xの両端部には、それぞれ円形のブシュ挿入孔18が内リンクプレート14の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。内リンク15において対向する一対の内リンクプレート14間には、これら一対の内リンクプレート14間の距離を保つように円筒状のブシュ19が2つ組み付けられる。
【0020】
ブシュ19は、両端部が両端部以外の中間部よりも外径が若干小さくなっている。ブシュ19の両端部は、一対の内リンクプレート14のブシュ挿入孔18に対してそれぞれ回転不能に嵌合されている。ブシュ19は、スプロケット13(図2参照)と噛合する円筒状の複数(本例では2つ)のローラ20に挿入されることでこれらのローラ20を回転可能に支持している。すなわち、内リンク15の一対の内リンクプレート14の幅方向Yの内側には、複数(本例では2つ)のローラ20がスプロケット13の軸方向ともなる幅方向Yに並んで回転可能に配置されている。なお、ブシュ19の外周面とローラ20の内周面との間には、潤滑剤を配置してもよい。
【0021】
外リンクプレート16の長手方向Xの両端部には、それぞれブシュ19の内径よりも若干小さい外径を有した略円柱状のピン21が挿嵌される円形のピン挿入孔22が外リンクプレート16の厚さ方向ともなる幅方向Yに貫通するように形成されている。ピン21は、その基端部にピン挿入孔22の内径よりも若干大きい外径を持つ頭部21aを有している。ピン21の先端部には貫通孔21bが形成され、貫通孔21bにはピン21がピン挿入孔22から抜けないようにするための抜止ピン23が挿入されている。抜止ピン23は、自身が貫通孔21bから抜けないように、貫通孔21bに挿入した後に先端部が屈曲される。
【0022】
一対の外リンクプレート16は、一対の内リンクプレート14を幅方向Yの外側から挟むように配置された状態で、ピン21及びブシュ19を介して一対の内リンクプレート14に対して回動自在に連結される。この場合、ピン21は、両端部以外の中間部が内リンク15の一対の内リンクプレート14間に組み付けられたブシュ19に回転可能に挿入された状態で、両端部が外リンク17の一対の外リンクプレート16のピン挿入孔22に対して回転不能に嵌合されている。
【0023】
したがって、長手方向Xで隣り合う内リンク15の内リンクプレート14と外リンク17の外リンクプレート16とが長手方向Xの端部同士でピン21及びブシュ19を介して回動自在に連結されている。つまり、コンベヤチェーン12は、長手方向Xにおいて内リンク15と外リンク17とが交互に複数配置された状態で内リンク15と外リンク17とがピン21及びブシュ19を介して回動可能に直列に連結された構成になっている。なお、ブシュ19の内周面とピン21の外周面との間には、潤滑剤を配置してもよい。
【0024】
図3及び図6に示すように、内リンク15の一対の内リンクプレート14におけるスプロケット13側とは反対側の位置には、幅方向Yにおいて一対の内リンクプレート14に跨るように配置された略矩形状のトッププレート25が例えば溶接などによって固定されている。同様に、外リンク17の一対の外リンクプレート16におけるスプロケット13側とは反対側の位置には、幅方向Yにおいて一対の外リンクプレート16に跨るように配置された略矩形状のトッププレート25が例えば溶接などによって固定されている。つまり、内リンク15及び外リンク17は、線材H(図1参照)を載置可能なトッププレート25をそれぞれ有している。
【0025】
図4及び図6に示すように、各トッププレート25は、スプロケット13と対応する位置において、リンク15,17の進行方向ともなる搬送方向Aの後側で隣り合うトッププレート25における搬送方向Aの前側の端部に上側から重なるように延びる重なり部26を有している。すなわち、各トッププレート25の重なり部26は、搬送方向Aの後側に向かって延びている。
【0026】
各トッププレート25における重なり部26が重ねられる部分は、重ねられ部27とされている。したがって、各トッププレート25は、搬送方向Aの前側の端部に重ねられ部27を有し、搬送方向Aの後側の端部に重なり部26を有している。各トッププレート25における重なり部26及び重ねられ部27は、円弧状に湾曲している。この場合、重なり部26の曲率半径と重ねられ部27の曲率半径とは互いに異なっているため、隣り合うリンク15,17同士の回動に伴って重なり部26と重ねられ部27とが干渉しないようになっている。
【0027】
長手方向Xで隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方の重なり部26と他方の重ねられ部27との間には、ステルモアコンベヤ11で搬送される最小径の線材Hの径よりも小さい隙間Sが形成されている。この場合、長手方向Xで隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方の重なり部26と他方の重ねられ部27とが上下に重なっているため、上側からは隙間Sが見えない。
【0028】
各トッププレート25の重ねられ部27におけるリンク15,17側の面には、長手方向Xで隣り合うリンク15,17同士が回動する際にリンク15,17との接触を回避するための凹部28が形成されている。すなわち、内リンク15のトッププレート25の重ねられ部27には、当該内リンク15と、当該内リンク15と搬送方向Aの前側で隣り合う外リンク17とが回動する際に、当該外リンク17との接触を回避するための凹部28がトッププレート25の幅方向Yの全体にわたって延びるように形成されている。
【0029】
同様に、外リンク17のトッププレート25の重ねられ部27には、当該外リンク17と、当該外リンク17と搬送方向Aの前側で隣り合う内リンク15とが回動する際に、当該内リンク15との接触を回避するための凹部28がトッププレート25の幅方向Yの全体にわたって延びるように形成されている。凹部28は、幅方向Yから見て、リンク15,17の長手方向Xにおける搬送方向Aの後側の端部の丸みに沿った円弧状をなしている。
【0030】
図3及び図4に示すように、トッププレート25における線材Hの載置面のほぼ中央部には、線材Hと係合可能な係合部材29が例えば溶接などによって固定されている。係合部材29は、長手方向Xの中央部の高さが最も高くなっており、長手方向Xの両端部に向かって徐々に高さが低くなっている。つまり、係合部材29は、幅方向Yから見て略三角形状をなしている。
【0031】
次に、コンベヤチェーン12の作用について説明する。
ステルモアコンベヤ11によって線材Hを搬送する場合には、各コンベヤチェーン12が噛合しているスプロケット13を回転駆動する。すると、各コンベヤチェーン12が一対のスプロケット13の周りを循環移動する。これにより、各コンベヤチェーン12のトッププレート25上の高温の線材Hが搬送方向Aに向かって搬送される。このとき、線材Hは、トッププレート25上の係合部材29と係合しながら搬送方向Aへ導かれる。
【0032】
線材Hは、搬送中にトッププレート25上で滑った場合には、相対的に搬送方向Aの後側に位置がずれる。しかし、重なり部26がトッププレート25における搬送方向Aの後側に向かって延びているため、トッププレート25上で滑った線材Hは、重なり部26に乗り上げたり重なり部26を乗り越えたりする。このため、線材Hが重なり部26と重ねられ部27との間の隙間Sに入り込もうとすることが抑制される。この場合、たとえ線材Hが隙間Sに入り込もうとしたとしても、隙間Sの大きさは線材Hの径よりも小さいので、線材Hが隙間Sに入り込むことはない。
【0033】
また、各コンベヤチェーン12は、スプロケット13と噛合する位置で隣り合うリンク15,17同士が屈曲するように回動しても、当該リンク15,17同士の隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方の重なり部26が他方の重ねられ部27との重なり状態を維持する。このため、隣り合うリンク15,17のトッププレート25同士の間に、各コンベヤチェーン12の延びる方向の隙間が形成されない。つまり、隣り合うリンク15,17のトッププレート25同士の間に線材Hや異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることが抑制される。したがって、各コンベヤチェーン12に線材Hが噛み込むことが抑制される。
【0034】
加えて、各コンベヤチェーン12は、トッププレート25の重ねられ部27に凹部28が形成されているため、隣り合うリンク15,17同士が屈曲するように回動しても、重ねられ部27が隣り合うリンク15,17と接触することが抑制される。このため、トッププレート25の重ねられ部27によって隣り合うリンク15,17同士の回動が妨げられることが抑制される。
【0035】
また、各コンベヤチェーン12は、高温の環境下で使用されるため、スプロケット13と噛合するローラ20の内側は、酸化されて錆びが発生しやすい。この点、本実施形態のコンベヤチェーン12では、リンク15,17の内側に幅方向Yに並ぶ2つのローラ20が配置されている。このため、リンク15,17の内側に配置されるローラ20が1つである場合に比べてローラ20の長さを半分にすることができるので、ローラ20の内側で発生する錆が排出され易くなる。
【0036】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)コンベヤチェーン12において、隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方は、スプロケット13と対応する位置において他方と重なるように延びる重なり部26を有している。このため、コンベヤチェーン12がスプロケット13と噛合する位置で隣り合うリンク15,17同士が屈曲するように回動しても、当該リンク15,17同士の隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方の重なり部26が他方との重なり状態を維持する。したがって、隣り合うリンク15,17のトッププレート25同士の間に線材Hや異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることを抑制できる。
【0037】
(2)コンベヤチェーン12において、トッププレート25の重ねられ部27には、隣り合う内リンク15と外リンク17とが回動する際に、内リンク15または外リンクとの接触を回避するための凹部28が設けられている。このため、隣り合う内リンク15と外リンク17との回動が重ねられ部27との接触によって妨げられることを抑制できる。
【0038】
(3)コンベヤチェーン12において、トッププレート25の重なり部26及び重ねられ部27は、円弧状に湾曲している。このため、スプロケット13との噛合による隣り合うリンク15,17同士の回動に伴って、重なり部26と重ねられ部27とを干渉させずに円滑に回動させることができる。
【0039】
(4)コンベヤチェーン12において、重なり部26は、搬送方向Aの後側に向かって延びている。このため、線材Hの搬送中にトッププレート25上の線材Hが搬送方向Aの後側に滑っても線材Hが隣り合うリンク15,17のトッププレート25同士の間に入り込むことを効果的に抑制できる。
【0040】
(5)コンベヤチェーン12において、リンク15,17の内側には、スプロケット13と噛合する2つのローラ20が幅方向Yに並んで回転可能に配置されている。このため、ローラ20が1つである場合のローラの長さに比べて2つのローラ20の長さを短くすることができるので、2つのローラ20の内側で発生する錆を排出され易くすることができる。
【0041】
(変更例)
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
・コンベヤチェーン12は、隣り合う2つの平らなトッププレート同士を互いに重ならないように配置し、これら2つのトッププレートのうちの一方に、他方と重なるように延びる重なり部を例えば溶接などによって後付けで設けるようにしてもよい。
【0042】
・コンベヤチェーン12において、ローラ20の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
・コンベヤチェーン12において、トッププレート25の重なり部26は、搬送方向A(リンク15,17の進行方向)の前側に向かって延びるようにしてもよい。
【0043】
・コンベヤチェーン12において、トッププレート25の重なり部26及び重ねられ部27は、必ずしも円弧状に湾曲させる必要はない。
・コンベヤチェーン12において、トッププレート25の重ねられ部27には、必ずしも凹部28を設ける必要はない。
【0044】
・搬送物は、必ずしも線材Hである必要はない。
【符号の説明】
【0045】
12…コンベヤチェーン、15…内リンク(リンク)、17…外リンク(リンク)、20…ローラ、13…スプロケット、25…トッププレート、26…重なり部、27…重ねられ部、28…凹部、H…搬送物の一例としての線材。
【要約】
【課題】隣り合うリンクのトッププレート同士の間に搬送物や異物などが入り込むおそれのある隙間が形成されることを抑制できるコンベヤチェーンを提供する。
【解決手段】コンベヤチェーン12は、線材を載置可能なトッププレート25を有した複数のリンク15,17が回動可能に直列に連結され、スプロケット13に噛合させて使用される。隣り合う2つのトッププレート25のうちの一方は、スプロケット13と対応する位置において他方と重なるように延びる重なり部26を有している。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6