(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
(B)フェノール性水酸基を有するビニルモノマーと、
(C)前記(A)及び(B)成分と共重合可能な不飽和モノマーと、
(D)有機過酸化物重合開始剤と、
を含有し、かつ、
前記(B)成分と前記(C)成分の合計に対する前記(A)成分の質量割合が、(A)/{(B)+(C)}=5/95〜80/20であり、
前記(A)成分と前記(C)成分の合計に対する前記(B)成分の質量割合が、(B)/{(A)+(C)}=3/97〜30/70であり、
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の合計に対する前記(D)成分の質量割合が、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.5/99.5〜10/90であり、
前記(C)成分がスチレン又はアクリレート系化合物のモノマーであることを特徴とする、型内被覆組成物。
さらに、(E)成分として、炭素数が1〜5のアルキル基を有するアルキルフェノールを型内被覆組成物中に0.5〜5質量%含有する、請求項1に記載の型内被覆組成物。
前記アルキルフェノールが、2−メチル−5−イソプロピルフェノールあるいは5−メチル−2−イソプロピルフェノールであることを特徴とする、請求項2に記載の型内被覆組成物。
前記樹脂成形体が、ガラス繊維、カーボン繊維及び天然繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種で強化された繊維強化樹脂を成形して得られることを特徴とする、請求項4に記載の型内被覆成形体。
前記樹脂成形体が、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタールからなる群から選ばれる少なくとも1種類の結晶性熱可塑性樹脂、又はこれらのアロイ、又は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタールからなる群より選ばれる少なくとも1種類以上の結晶性熱可塑性樹脂とポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェレンエーテル、ABS樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類以上の非晶性熱可塑性樹脂とを含むアロイを成形して得られることを特徴とする、請求項4又は5に記載の型内被覆成形体。
前記樹脂成形体が、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法、反応射出成形法、RTM成形法又はスタンピング成形法を用いて樹脂を成形することにより作製される、請求項7に記載の型内被覆成形体。
前記樹脂成形体を作製する工程が、射出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、圧縮成形法、反応射出成形法、RTM成形法又はスタンピング成形法を用いて樹脂を成形する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0023】
<型内被覆組成物>
本発明で用いられる型内被覆組成物は、(A)ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
(B)フェノール性水酸基を有するビニルモノマーと、
(C)前記(A)及び(B)成分と共重合可能な不飽和モノマーと、
(D)有機過酸化物重合開始剤と、
を含有する。
【0024】
<(A)成分>
(A)成分は、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、中でも、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
これらのオリゴマーの質量平均分子量は、それぞれの種類により変動し得るが、一般に500〜20,000、好ましくは800〜10,000である。質量平均分子量が500以上であれば強靭な硬化塗膜が得られ、20000以下であれば型内流動性に優れた型内被覆組成物が得られる。
なお、質量平均分子量は、例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーで測定することができる。また、標準物質には一般的にポリスチレンを使用する。
【0025】
(A−1)ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、(1)有機ジイソシアネート化合物と、(2)有機ポリオール化合物と、(3)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを、NCO/OH比が、例えば、0.8〜1.0、好ましくは、0.9〜1.0となるような存在比で混合し、通常の方法により製造することができる。
【0026】
具体的には、(1)有機ジイソシアネート化合物と、(2)有機ポリオール化合物等とを例えば、ジブチル錫ラウレート等のウレタン化触媒の存在下で反応させて、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを得る。次いで、ほとんど遊離イソシアネート基が反応するまで、(3)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより、上記ウレタン系(メタ)アクリレートのオリゴマーを製造することが出来る。なお、(2)有機ポリオール化合物と、(3)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの割合は、後者1モルに対し、例えば、前者0.1〜0.5モル程度が適当である。
【0027】
上記の反応に使用される(1)有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニル)メタン、1,2−ジイソシアナトエタン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン等を使用することができる。これら有機ジイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、また、それらの2種以上の混合物として使用することもできる。
【0028】
上記反応で使用される(2)有機ポリオール化合物は、好ましくは、有機ジオール化合物として、例えば、アルキルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
アルキルジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,8−ジヒドロキシトリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等を代表的なものとして挙げることができる。
【0029】
有機ジオール化合物としてのポリエーテルジオールは、例えば、既知の方法により、アルデヒドや、アルキレンオキサイド、グリコール等の重合により合成することができる。
例えば、ホルムアルデヒドや、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を適当な条件下でアルキルジオールに付加重合させることによって、ポリエーテルジオールが得られる。
有機ジオール化合物としてのポリエステルジオールとしては、例えば、飽和又は不飽和のジカルボン酸及び/又はそれらの酸無水物と、過剰のアルキルジオールとを反応させて得られるエステル化反応生成物、及びアルキルジオールにヒドロキシカルボン酸及び/又はその分子内エステルであるラクトン及び/又は分子間エステルであるラクチドを重合させて得られるエステル化反応生成物を用いることができる。
具体的な(2)有機ポリオール化合物としては、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、2,2−ビス(4−ギドロキシフェニル)のエチレンオキサイド付加物、ポリカーボネートジオール、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
これらの有機ポリオール化合物は単独で用いてもよく、また、それらの2種以上を併用して使用することもできる。
これらの有機ポリオール化合物の質量平均分子量は、100〜5,000であり、好ましくは150〜3,000である。
【0030】
上記(3)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。その他、本発明で使用されるオリゴマーとしてのウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、1分子中に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有する化合物と、有機ジイソシアネート化合物とを、NCO/OHの比が、例えば、0.9〜1.0の割合で、例えば、ジブチル錫ジラウリレート等のウレタン化触媒の存在下で反応しても製造することができる。
【0031】
(A−2)エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるエポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸とを、エポキシ基1当量当たりのカルボキシル基当量を、例えば、0.5〜1.5となるような割合で用い、通常のエポキシ基への酸の開環付加反応によって製造させたものが挙げられる。ここで使用されるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ、フェノール性ノボラック型エポキシ等を好適に挙げることができる。
【0032】
(A−3)エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるエステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、主鎖にポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。
エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、水酸基を末端に有するポリエステルポリオールと、(メタ)アクリル酸との反応によって製造することができる。このようなポリエステルポリオールは、代表的には飽和又は不飽和のジカルボン酸又はその酸無水物と、過剰量のアルキレンジオールとをエステル化反応することによって製造することができる。使用されるジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸や、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、マレイン酸等が代表的なものとして挙げられる。また、使用されるアルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール等が代表的なものとして挙げることができる。
エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーは公知であり、市場において入手することもできる。
【0033】
(A−4)エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるエーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、主鎖にポリエーテル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。
エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエチレングリコールや、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオールと、前述の(メタ)アクリル酸との反応によって製造することができる。
エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマーは公知であり、市場において入手することもできる。
(A)成分としては、上記(A−1)〜(A−4)の(メタ)アクリレートオリゴマーを単独で使用してもよく、又は、これらの混合物として使用することができる。
【0034】
<(B)成分について>
本発明で使用される(B)成分は、上記(A)成分と共重合することができるフェノール性水酸基を有するビニルモノマーである。(B)成分を配合することにより、結晶性熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM))及びこれらのアロイを含む成形体、又はこれらの結晶性熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化成形体との付着性が向上する。
【0035】
(B)成分として代表的なものとして、具体的には、2−ビニルフェノール、3−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、4−(1−メチルエテニル)フェノール、カビコール(p-アリルフェノール又は4−アリルフェノール)、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、5−ビニルサリチル酸、オイゲノール(4−アリル−2−メトキシフェノール)、2−アリルフェノール、3−アリルフェノール、4−ビニル−2−メトキシフェノールなどが挙げられる。さらに(B)成分は、20℃で液状であることがより好ましい。
(B)成分としては、上記フェノール性水酸基を有するビニルモノマーを単独で使用してもよく、又は、これらの混合物として使用することができる。
フェノール性水酸基を有するビニルモノマーは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0036】
<(C)成分について>
本発明で使用される(C)成分は、上記(A)成分及び(B)成分と共重合することができる不飽和モノマーである。
【0037】
このような不飽和モノマーとしては、例えば、スチレンや、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)クリル酸、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジヒドロシクトメンタジエチルアクリレート等が代表的なものとして挙げられる。
(C)成分としては、上記不飽和モノマーを単独で使用してもよく、又は、これらの混合物として使用することができる。
上記不飽和モノマーは公知であり、市場において容易に入手することができるか、又は調製可能である。
【0038】
前記(A)成分の質量割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分として使用される化合物等の種類にもよるが、通常、(A)/{(B)+(C)}=5/95〜80/20であり、更に10/90〜70/30が好ましい。(A)/{(B)+(C)}が5/95以上であると、塗装後に得られる型内被覆成形体の耐湿性に優れる。一方、80/20以下であると、型内被覆組成物の粘度が適度となるため、型内被覆組成物を塗装することが容易である。
前記(B)成分の質量割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分として使用される化合物等の種類にもよるが、通常、(B)/{(A)+(C)}=3/97〜30/70であり、更に5/95〜25/75が好ましい。(B)/{(A)+(C)}が3/97以上であると、結晶性熱可塑性樹脂成形体との付着性に優れ、30/70以下であると、塗装後に得られる型内被覆成形体は耐湿性に優れる。
前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の質量割合はこの範囲であれば、結晶性熱可塑性樹脂成形体との付着性及び耐湿性に優れた硬化塗膜が得られる、また、被覆組成物の型内での流動性が良く、気泡の混入もなく均一な被覆が得られるため、塗装作業性にも優れる。
【0039】
<(D)成分について>
本発明で使用される(D)成分は、フリーラジカルを発生し、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を重合させるために使用する有機過酸化物重合開始剤である。特に有機過酸化物重合開始剤としては、型内被覆組成物を金型内で硬化させる時の金型温度にもよるが、1分間半減期温度が85℃以上170℃未満のものが好ましい。1分間半減期温度とは、半減期が1分間となる温度である。半減期は、例えば、ラジカルに対して不活性な溶媒を使用して、0.1mol/L濃度の有機過酸化物溶液を調製し、窒素置換を行ったガラス管中に密封し、これを所定温度にセットした恒温槽に浸して熱分解させることにより、測定することができる。
1分間半減期温度が、85℃以上170℃未満の有機過酸化物重合開始剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物が代表的なものとして挙げられる。
(D)成分としては、上記の有機過酸化物を単独で使用してもよく、又は、これらの混合物として使用することができる。特に型内被覆組成物の硬化時間を短く且つポットライフ時間を長くさせるため、1分間半減期温度の低い有機過酸化物重合開始剤と1分間半減期温度の高い有機過酸化物重合開始剤を併用することが好ましい。
有機過酸化物重合開始剤は公知であり、市場において容易に入手することができる。
【0040】
(D)成分の有機過酸化物重合開始剤の質量割合は、(D)/{(A)+(B)+(C)}=0.5/95.5〜10/90であり、より好ましくは、0.7/99.3〜6/94であることが適当である。(D)/{(A)+(B)+(C)}が、0.5/95.5以上であると(A)、(B)及び(C)成分の反応がうまく進み、正常な被覆膜が得られる。また、10/90以下であると、型内被覆組成物の硬化反応が適度に進行し、塗装作業性が良くなる。更に、上塗り塗装をした場合に、上塗塗膜の外観や付着性が良好となる。
【0041】
また、本発明で使用される型内被覆組成物は、結晶性熱可塑性樹脂、特にポリアミド樹脂及びそのアロイ材に対する付着性を向上させるため、更に、炭素数が1〜5のアルキル基を有するアルキルフェノール(E成分)を0.5〜5質量%含有することが好ましい。前記アルキルフェノールとしては、例えば、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、5−メチル−2−イソプロピルフェノール、2−エチル−5−イソプロピルフェノール、5−エチル−2−イソプロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、2−イソブチルフェノール、3−イソブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−パラターシャリーブチルフェノール、2−メチル−5−イソブチルフェノール、5−メチル−2−イソブチルフェノール、2−エチル−5−イソブチルフェノール、5−エチル−2−イソブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−ターシャルペンチルフェノール、4−ネオペンチルフェノール、2−4−ジ−ターシャルペンチルフェノールなどが挙げられるが、中でも、2−メチル−5−イソプロピルフェノールあるいは5−メチル−2−イソプロピルフェノールがより好ましい。
型内被覆組成物の(E)成分含有量が0.5質量%以上であると付着性がより向上する。一方、5質量%以下であると被覆塗膜が硬くなり、耐湿性能が向上する。
前記アルキルフェノールは、公知であり、市場において容易に入手することができる。
【0042】
本発明で使用される型内被覆組成物は、更に必要に応じ炭酸カルシウムやタルク等の平均粒子径が0.1μm以上30μm以下である体質顔料の少なくとも1種を含むことができる。このようなものとして、例えば、炭酸カルシウムや、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー等を好適に挙げることができる。これら体質顔料は、被膜硬化に伴う収縮応力を分散させ、成形体との付着性を向上させたり、表面の凹凸を平滑にしたり、成形体表面の外観を改良する目的で配合する。
本発明の型内被覆組成物は、体質顔料を5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%含有してもよい。
【0043】
本発明で使用される型内被覆組成物は、更に必要に応じ着色顔料の少なくとも1種を含むことができる。着色顔料としては、従来から通常プラスチックス用、塗料用として使用されている各種着色顔料を使用することができる。
着色顔料は、型内被覆成形品を着色し、美観を持たせ、成形品表面の外観を改良する目的で配合する。例えば、白色系の二酸化チタン、黄色系のベンジジンエロー、チタンエロー、ハンザエロー、橙系のモリブデートオレンジ、ベンジジンオレンジ、赤系のキナクリドン、緑系のフタロシアニングリーン、クロムグリーン、青系のフタロシアニンブルー、コバルトブルー、群青、黒系のカーボンブラック、酸化鉄等の顔料を使用することができる。また、着色顔料は、粉末状やフレーク状の酸化鉄、ニッケル、アルミニウム、グラファイト、酸化チタン等で処理した雲母等の鱗片状顔料であっても良い。
硬化塗膜に導電性を付与する目的で、導電性カーボンブラックや、二酸化チタンの表面に金属酸化物をコーティングした化合物が使用できる。
【0044】
本発明で使用される型内被覆組成物は、更に必要に応じ硬化塗膜の平滑性や型内被覆成形品のソリを低減する目的で、ジアリルフタレートオリゴマー、飽和ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等の改質樹脂を配合することができる。
本発明の型内被覆組成物は、改質樹脂を2〜20質量%、好ましくは5〜10質量%含有してもよい。
【0045】
本発明では、硬化被覆膜を金型からスムーズに離型させるために、任意に、離型剤を併用することができる。離型剤は、例えば、ステアリン酸や、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸塩、大豆油レシチン、シリコーン油、脂肪酸エステル、脂肪酸アルコール二塩基酸エステル類等を挙げることができる。これら離型剤の配合量は、前記{(A)+(B)+(C)}成分の合計100質量部に対して、例えば、0.1〜5質量部、更には、0.2〜2質量部であることが好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
【0046】
本発明で使用される型内被覆組成物には、更に必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、帯電防止剤、重合防止剤、硬化促進剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0047】
<樹脂成形体>
本発明の型内被覆組成物は、結晶性熱可塑性樹脂及びこれらのアロイを含む成形体、又はこれらの結晶性熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化成形体に好ましく適用できる。結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタールあるいはこれらのアロイ材などが挙げられるが、特にポリアミド及びポリアミドアロイ材が好ましい。また、上記繊維強化成形体に用いられる繊維には、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維や天然繊維等が挙げられる。
尚、本発明の型内被覆組成物は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェレンエーテル、ABS樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のような熱硬化型樹脂の成形体にも優れた付着性を示すため、上記の結晶性熱可塑性樹脂あるいはこれらのアロイを含む成形体、又はこれらの結晶性熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化成形体には、非晶性熱可塑性樹脂が混合されていても良い。
尚、本発明の型内被覆組成物は、上述した結晶性熱可塑性樹脂及びこれらのアロイを含む成形体、又はこれらの結晶性熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化成形体に好ましく適用可能であるが、その他の熱硬化性樹脂をマトリックスとした樹脂成形体にも適用することが可能である。
【0048】
<型内被覆組成物の製造方法>
本発明の型内被覆組成物は、各成分を混合することにより調製することができる。
例えば、まず(A)、(B)及び(C)成分を水冷ジャケットが装備されたタンクに仕込み、高せん断ミキサー用いて緩やかに撹拌する。次いで、体質顔料及び着色顔料を含有する場合はこれらを上記タンクに仕込んだ後、高せん断ミキサーにて30分間撹拌する。さらに(D)成分を除く他の成分を更に含有する場合はそれらを上記タンクに仕込み、高せん断ミキサーにて10分間撹拌する。(D)成分は、型内被覆作業を実施する直前に添加されるのが好ましい。
【0049】
<型内被覆成形体の製造方法>
本発明の型内被覆成形体は、固定金型部と可動金型部からなる金型を型締めする工程と、金型キャビティ内で樹脂を成形して、樹脂成形体を作製する工程と、樹脂成形体表面とキャビティ面との間に本発明の型内被覆組成物を注入し、前記樹脂成形体表面に前記型内被覆組成物を塗装する工程と、注入した前記型内被覆組成物を硬化させて、型内被覆成形体を作製する工程と、前記型内被覆組成物が硬化した後に前記型内被覆成形体を金型から取り出す工程、を含む方法により製造される。
以下、本発明の型内被覆成形体の製造方法について、それを実施するための成形機の構成、成形型及び被覆組成物注入装置を、図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明の範囲はこのような具体的な成形機、成形型及び被覆組成物注入装置によって何ら限定されるものではない。
【0050】
図1は熱可塑性樹脂成形材料の射出成形法の場合の態様を示すものである。
図1において、符号1は射出成形機の型締め装置の固定盤、2は可動盤であり、それぞれ互いに対向する成形型部材である固定金型部3及び可動金型部4を備えている。可動盤2が型締めシリンダ5によって進退動作される構成になっている。そして、固定金型部3及び可動金型部4の嵌合個所には、所要形状のキャビティ6が形成されていて、このキャビティ6中に溶融もしくは軟化状態の熱可塑性樹脂成形材料を射出、充填し固化させる。
【0051】
溶融樹脂成形材料を射出、充填する場合、上記キャビティ6にはスクリューを有する射出シリンダ7から、ノズル8及びスプルー9を介して樹脂成形材料が射出できるようになっている。
【0052】
また、
図1において型内被覆組成物の注入手段としては、シャットオフピン10Aを備えたインジェクタ10、上記インジェクタ10に所定量の型内被覆組成物を供給する計量シリンダ11及び型内被覆組成物をその貯蔵部12から上記計量シリンダ11に供給するための供給ポンプ13が装備されている。なお、上記計量シリンダ11には型内被覆組成物注入用のプランジャーレギュレータ11Aが備えられている。
【0053】
成形に際しては、先ず型締めシリンダ5を動作して、固定金型部3と可動金型部4を閉じ、型締め圧を付加する。この型締め圧は、樹脂成形材料の射出圧力に対抗できる必要がある。通常この射出圧力はノズル8の部分で40〜250MPaの高圧である。この過程で供給ポンプ13が動作し、計量シリンダ11に必要な量の型内被覆組成物を供給しておく。
【0054】
次いで、溶融もしくは軟化状態の樹脂成形材料を射出シリンダ7からノズル8及びスプルー9を介してキャビティ6内に射出する。上記樹脂成形材料が金型内で、型内被覆組成物の注入圧力、流動圧力に耐える程度に固化した段階で、上記型締め圧を減圧するか、又は下記の所望の硬化被膜厚よりも大きいが、固定金型部3と可動金型部4との嵌合を離脱させることがない距離だけ、好ましくは0.2〜5mmだけ可動金型部4を後退させる。
【0055】
次いで、シャットオフピン10Aを動作させてインジェクタ10の注入口を開放する。
【0056】
次いで、計量シリンダ11の型内被覆組成物注入用のプランジャーレギュレータ11Aを動作させ、キャビティ6、すなわち固定金型部3の内壁と樹脂成形体の型内被覆する表面との間に所望の膜厚、好ましくは20〜1,000μmの硬化被膜が得られるだけの量の型内被覆組成物を注入する。
【0057】
型内被覆組成物を注入した後、再びシャットオフピン10Aで注入口を閉じ、必要に応じて型締めシリンダ5を動作させ型締め操作を行い、型内で型内被覆組成物を押し広げ成形体表面への被覆を行い、キャビティ6の成形体の表面上で型内被覆組成物を脱型可能な程度に熱により半硬化させる。次いで、型締めシリンダ5を動作させ、固定金型部3と可動金型部4を離間して、型内被覆組成物が被覆された型内被覆成形体を金型から取り出す。
【0058】
図2は熱可塑性樹脂成形材料のスタンピング成形法の場合の態様を示すものである。
図2に示す装置において、割り型の上型14及び下型15はそれぞれ互いに対向する成形用型部材である。上型14及び下型15はそれぞれ型締め装置の可動盤16及び固定盤17に固定されており、可動盤16は型締めシリンダ18によって進退動作する構成となっている。上型14及び下型15により所要形状の割り型キャビティ19を形成できるようになっており、上型14の移動で型内成形体の型内被覆する表面方向へのキャビティの拡張が可能である。この型内被覆する表面が1面であっても、2面以上であってもよく、従って、この型内被覆する表面方向へのキャビティの拡張は1方向であっても、2方向以上であってもよい。上型14と下型15との間にスタンパブル成形材料を入れ、型締めシリンダ18を動作させ、上型14と下型15とを接近させて該成形材料をキャビティの形状に成形し、型締め圧を付加して固化させる。
【0059】
また、
図2に示す装置においては、型内被覆用組成物の注入手段であるシャットオフピン20Aを備えたインジェクタ20、インジェクタ20に所定量の型内被覆用組成物を供給する計量シリンダ21及び型内被覆用組成物をその貯蔵部23から計量シリンダ21に供給するための供給ポンプ22が整備されている。なお、計量シリンダ21には型内被覆用組成物注入用のプランジャーレギュレータ21Aが備えられている。
【0060】
成形に際しては、まず型締めシリンダ18を動作させて上型14を下型15から離間し、下型15の上にあらかじめマトリックス樹脂の融点以上の温度まで加熱したスタンパブル成形材料を乗せ、その後、型締めシリンダ18を動作させ、上型14と下型15とを接近させて該成形材料をキャビティの形状に成形し、型締め圧を付加する。この型締め圧は通常4〜15MPaである。成形温度は、成形時間、成形材料の種類等に応じて任意に決定されるが、通常60〜120℃が適当であり、成形材料を入れる前に金型を予め上記の温度にセットし、後記する硬化被膜が得られるまで該温度を維持するか、型内被覆用組成物を注入後直ちに金型温度を例えば130〜160℃に昇温し硬化被膜が得られた後直ちに60〜120℃に冷却しても良い。
【0061】
次いで、上記のキャビティ内の成形体が型内被覆用組成物の注入圧力、流動圧力に耐え得る程度に固化した段階で、上記の型締め圧をそのまま維持しながら、又は上記の型締め圧を減圧した後、又は下記の所望の硬化被膜厚よりも大きいが、上型14と下型15との嵌合を離脱させることがない距離だけ、好ましくは0.2〜5mmだけ上型14を成形体の表面から離した後、所望の膜厚、好ましくは20〜1,000μmの硬化被膜が得られるだけの量の型内被覆用組成物をインジェクタ20から上型14の内壁と成形体の型内被覆する表面との間に注入する。
【0062】
型内被覆用組成物を注入した後、シャットオフピン20Aで注入口を閉じ、必要に応じて型締めシリンダ18を動作させ型締め操作を行い、キャビティ19内の成形体の表面上で型内被覆用組成物を硬化させる。型内被覆用組成物が成形体表面を均一に被覆するように、通常約1〜10MPaに(再)加圧し、その圧力を硬化被膜が形成されるまで、通常約10〜300秒程度保持する。このようにして成形体表面に硬化被膜が形成された後、型締めシリンダ18を動作させ、上型14及び下型15を離間して、硬化被膜を有する成形体を金型から取り出す。
【0063】
本発明の型内被覆成形体には、更に、着色塗膜又はクリヤー塗膜を少なくとも1層積層させても良い。着色塗膜を積層させることにより、意匠性を付与させることができ、クリヤー塗膜を積層させることにより、耐候性を高めることができる。着色塗膜又はクリヤー塗膜を形成する方法としては、例えば、公知の着色塗料やクリヤー塗料を塗装する方法が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
【0065】
<ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーの合成>
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは各種公知の方法で重合して作製することができる。合成例として、表1に示す量の(1)成分に、(1)〜(3)成分の合計量100質量部当たり0.02質量部となる量のジブチル錫ジラウレートを仕込み、40℃に保ちつつ、表1に示す量の(2)成分を滴下し、十分な時間反応させた後、表1に示す(3)成分に(1)〜(3)成分の合計量100質量部当たり0.1質量部となる量のハイドロキノンを溶解させたものを滴下して、更に十分な時間75℃で加熱攪拌を続け、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーUAC−1〜UAC−7を得た。
【表1】
【0066】
<エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの合成>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート828(油化シェルエポキシ社製))1,000質量部、メタクリル酸490質量部、トリエチルアミン3質量部、ハイドロキノン0.01質量部を反応器中に入れ(エポキシ基1当量当たりのカルボキシ基当量0.98)、125℃、3時間反応させ、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーEAC−1(質量平均分子量800)を得た。
<エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー>
ダイセル・オルネクス社製EBECRYL 812(ポリエステルアクリレート、質量平均分子量:800)を用いた。
<エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー>
ダイセル・オルネクス社製EBECRYL 80(アミン変性ポリエーテルアクリレート、質量平均分子量:1000)を用いた。
【0067】
<実施例1〜3及び比較例1〜2>
表2に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物1〜3及び(B)/{(A)+(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物1〜2を調製した。
【表2】
【0068】
長さ300mm、幅200mm、高さ10mm、板厚2.5mmの箱形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、
図1に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。なお、金型キャビティ6表面は#8000ダイヤモンドペーストにて入念に磨いた。金型温度は固定金型部3を100℃に、可動金型部4を100℃に設定し、バレル温度を250℃に加熱し、まずPA66樹脂を射出シリンダ7内で加熱溶融させ、80MPaの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、40秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0069】
次いで、可動金型部4を約0.5mm離間させた後、表2に記載した各型内被覆組成物8cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約0.7秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて6MPaまで加圧し35秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体1〜3及び比較成形体1〜2を得た。得られた被覆膜の厚さは約100μmであった。
【0070】
得られた型内被覆成形体1〜3及び比較成形体1〜2の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性及び被覆組成物の金型内での流動性を下記の試験方法により測定した。それらの結果を表3に示す。
【0071】
〔被覆膜の外観〕
被覆成形品を取り出し後室内に2時間静置した後の目視による観察によって、被覆膜につやむら、色むら、しわ、膨れ、割れ、はがれ、はじき及びぶつ等が認められないときは“良好”、上記のいずれかが認められるときは“不良”とする。
【0072】
〔基材と被覆膜との付着性〕
JIS K 5600−5−6:付着性(クロスカット法)に従って初期の被覆膜付着性試験を実施した。被覆膜の付着性はJIS K 5600−5−6に記載の試験結果の分類に基づき下記の0〜5の6段階で評価した。なお、評価は各5ヶ所で行い結果を平均値で表示した。
〈6段階評価〉
0…カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない。
1…カットの交差点における被覆膜の小さな剥がれ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2…被覆膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3…被覆膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4…被覆膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数カ所の目が部分的又は全面的に剥がれている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
5…剥がれの程度が分類4を超える場合。
【0073】
〔被覆成形体の耐湿性〕
JIS K 5600−7−2:耐湿性(連続結露法)に従って被覆膜の長期耐久性試験(試験条件は、50±1℃、相対湿度95%以上、試験時間240時間)を実施した。評価は、試験直後及び室内2時間静置した後の観察によって、被覆膜にしわ、膨れ、割れ、さび及びはがれ等が認められず、2時間静置した後の観察でくもり、白化及び変色等がないときは“異常がない”、上記のいずれかが認められるときは“異常があり”とする。
【0074】
〔耐湿性試験後の付着性〕
耐湿性試験後室温で24時間静置した後、被覆膜の付着性を前記〔基材と被覆膜との付着性〕に従って試験した。
【0075】
〔被覆組成物の金型内流動性〕
被覆成形品を成形機から取り出し、室内に2時間静置した後の目視による観察によって、被覆を必要とする表面を全て被覆していたときは金型内流動性が“良好”とする。
【表3】
【0076】
<実施例4〜6及び比較例3〜4>
表4に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物4〜6及び(A)/{(B)+(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物3〜4を調製した。
【表4】
【0077】
実施例1と同様の金型を用い、
図1に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。なお、金型キャビティ6表面は#8000ダイヤモンドペーストにて入念に磨いた。金型温度は固定金型部3を130℃に、可動金型部4を130℃に設定し、バレル温度を250℃に加熱し、まずガラス繊維強化PA66樹脂を射出シリンダ7内で加熱溶融させ、80MPaの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、45秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0078】
次いで、可動金型部4を約0.5mm離間させた後、表4に記載した各型内被覆組成物11cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約1.2秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて6MPaまで加圧し50秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体4〜6及び比較成形体3〜4を得た。得られた被覆膜の厚さは約150μmであった。
【0079】
得られた型内被覆成形体4〜6及び比較成形体3〜4の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表5に示す。
【表5】
【0080】
<実施例7〜12及び比較例5〜9>
表6に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物7〜12及び(B)/{(A)+(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物5〜9を調製した。
【表6】
【0081】
本実施例で使用するスタンパブルシートは公知の方法で作成されるものである。すなわち炭素繊維(三菱レイヨン社製の炭素繊維“PYROFIL”(登録商標)TR50S6L)を、開繊させながら長さ20mmにカットし、炭素繊維の供給量を300g/minでテーパ管内に導入し、テーパ管出口の下部に設置したテーブル上に散布した。またマトリックス樹脂として、PA12樹脂を500g/minでテーパ管内に供給し、炭素繊維と同時に散布することで、平均繊維長20mmの炭素繊維とPA12が混合された、厚み約3mm程度のランダムマットを得た。得られたランダムマットを455mm×595mmに切り出し、100℃の加熱炉で4時間乾燥した後、遠赤外線加熱機により230℃まで昇温した。
図2に示す態様に従って、端末に塗料注入口を具備した500mm×600mm平板形状金型の上型14、下型15を130℃に設定し、上記ランダムマットを加熱後、三枚を重ねて直ちに同金型内に導入し、プレス圧力8MPaで1分間加圧し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0082】
次いで、上型14を約1mm離間させた後、表6に記載した各型内被覆組成物45cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約3秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて4MPaまで加圧し50秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体7〜12及び比較成形体5〜9を得た。得られた被覆膜の厚さは約150μmであった。
【0083】
得られた型内被覆成形体7〜12及び比較成形体5〜9の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表7に示す。
【0084】
さらに、得られた被覆成形体に、上塗り塗料(商品名「プラニット#1000クリヤー」、大日本塗料社製)を乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、80℃で20分間熱風乾燥炉で加熱し塗膜硬化させた。得られた上塗り塗装成形体について、下記の試験方法により測定した。それらの結果を表7に示す。
【0085】
〔上塗り塗装後の塗膜外観〕
得られた上塗り塗装成形体を乾燥炉から取り出し、室内に2時間静置した後の目視による観察によって、塗膜につやむら、色むら、しわ、膨れ、割れ、はがれ、はじき及びぶつ等が認められないときは“良好”、上記のいずれかが認められるときは“不良”とする。
【0086】
〔上塗り塗装後の耐湿性〕
JIS K 5600−7−2:耐湿性(連続結露法)に従って塗膜の長期耐久性試験(試験条件は、50±1℃、相対湿度95%以上、試験時間240時間)を実施した。評価は、試験直後及び室内2時間静置した後の観察によって、塗膜にしわ、膨れ、割れ、さび及びはがれ等が認められず、2時間静置した後の観察でくもり、白化及び変色等が認められないときは“異常がない”、上記のいずれかが認められるときは“異常があり”とする。
【0087】
〔耐湿性試験後の上塗り塗装付着性〕
耐湿性試験後室温で24時間静置した後、被覆膜及び塗膜の付着性を前記〔基材と被覆膜との付着性〕に従って測定した。
【表7】
【0088】
<実施例13〜15及び比較例10〜11>
表8に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物13〜15及び(D)/{(A)+(B)+(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物10〜11を調製した。
【表8】
【0089】
表8に示す型内被覆組成物を用い、実施例7と同様の方法にて型内被覆を実施した。
得られた型内被覆成形体13〜15及び比較成形体10〜11の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表9に示す。
さらに、得られた被覆成形体に、前記実施例7と同様上塗り塗料(商品名「プラニット#1000クリヤー」、大日本塗料社製)を乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、80℃で20分間熱風乾燥炉で加熱し塗膜硬化させた。得られた上塗り塗装成形体について、前記実施例7と同様の試験を行った。それらの結果を表9に示す。
【表9】
【0090】
<実施例16〜27>
表10に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物16〜27を調製した。
【表10】
【0091】
長さ300mm、幅200mm、高さ10mm、板厚2.5mmの箱形状の樹脂成形体を得るためのキャビティを有する金型を用い、
図1に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。なお、金型キャビティ6表面は#8000ダイヤモンドペーストにて入念に磨いた。金型温度は固定金型部3を130℃に、可動金型部4を130℃に設定し、バレル温度を260℃に加熱し、まずPPE/PAアロイ樹脂(商品名「NORYL GTX964」SABIC社製)を射出シリンダ7内で加熱溶融させ、75MPaの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、40秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0092】
次いで、可動金型部4を約0.5mm離間させた後、表10に記載した各型内被覆組成物8cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約0.7秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて8MPaまで加圧し50秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体14〜25を得た。得られた被覆膜の厚さは約100μmであった。
【0093】
得られた型内被覆成形体16〜27の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表11に示す。
【表11】
【0094】
<実施例28〜32、比較例12〜13>
表12に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物28〜32及び(B)/{(A)+(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物12〜13を調製した。
【表12】
【0095】
表12に示す型内被覆組成物を用い、実施例7と同様の方法にて型内被覆を実施した。
得られた型内被覆成形体28〜32及び比較成形体12〜13の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表13に示す。
【0096】
さらに、得られた被覆成形体に、中塗り塗料(商品名「デリコン中塗りMD−1」、大日本塗料社製)を乾燥膜厚30μmになるようにスプレー塗装し、140℃で20分間熱風乾燥炉で加熱し塗膜硬化させた。
次いで、上塗り白色塗料(商品名「デリコン#1500ホワイト」大日本塗料社製)を、乾燥膜厚35μmとなるように塗装し、140℃で20分間熱風乾燥炉で加熱し塗膜硬化させた。得られた塗装成形体について、下記の試験方法により測定した。それらの結果を表13に示す。
【0097】
〔上塗り塗装後の塗膜外観〕
得られた塗装成形体を乾燥炉から取り出し、室内に2時間静置した後の目視による観察によって、塗膜につやむら、色むら、しわ、膨れ、割れ、はがれ、はじき及びぶつ等が認められないときは“良好”、上記のいずれかが認められるときは“不良”とする。
【0098】
〔上塗り塗装後の耐湿性〕
JIS K 5600−7−2:耐湿性(連続結露法)に従って塗膜の長期耐久性試験(試験条件は、50±1℃、相対湿度95%以上、試験時間240時間)を実施した。評価は、試験直後及び室内2時間静置した後の観察によって、塗膜にしわ、膨れ、割れ、さび及びはがれ等が認められず、2時間静置した後の観察でくもり、白化及び変色等が認められないときは“異常がない”、上記のいずれかが認められるときは“異常があり”とする。
【0099】
〔耐湿性試験後の上塗り塗装付着性〕
耐湿性試験後室温で24時間静置した後、被覆膜及び塗膜の付着性を前記〔基材と被覆膜との付着性〕に従って測定した。
【表13】
【0100】
<実施例33〜34、比較例14>
表14に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物33〜34及び(B)成分を含まない比較組成物14を調製した。
【表14】
【0101】
実施例1と同様の金型を用い、
図1に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。なお、金型キャビティ6表面は#8000ダイヤモンドペーストにて入念に磨いた。金型温度は固定金型部3を130℃に、可動金型部4を130℃に設定し、バレル温度を200℃に加熱し、まずガラス繊維強化ポリアセタール樹脂(商品名「ジュラコンGH−25」ポリプラスチックス社製)を射出シリンダ7内で加熱溶融させ、60MPaの型締め圧力で型締めされた金型内に約1秒かけて射出し、45秒間冷却し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に固化させた。
【0102】
次いで、可動金型を約0.5mm離間させた後、表14に記載した各型内被覆組成物8cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約0.8秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて3MPaまで加圧し50秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体33〜34、比較成形体14を得た。得られた被覆膜の厚さは約100μmであった。
【0103】
得られた型内被覆成形体33〜34、比較成形体14の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表15に示す。
【表15】
【0104】
<実施例35〜42>
表16に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物35及び36を調製した。
【表16】
【0105】
実施例1と同様の金型を用い、
図1に示す態様に従って成形体に対する型内被覆を実施した。なお、金型キャビティ6表面は#8000ダイヤモンドペーストにて入念に磨いた。金型温度は固定金型部3を130℃に、可動金型部4を130℃に設定し、まず成形樹脂を公知の方法にて射出成形を行い、樹脂成形体を得た。なお、ここで用いた成形樹脂は以下のものであった。
ガラス繊維強化PET樹脂(商品名「レマペット215」三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
ガラス繊維強化PBT樹脂(商品名「ジュラネックス3105」ポリプラスチックス社製)
PC/PETアロイ(商品名「XENOY2230」SABIC社製)
PC/PBTアロイ(商品名「XENOY1103」SABIC社製)
【0106】
次いで、可動金型部4を約0.5mm離間させた後、表16に記載した型内被覆組成物8cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約0.8秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて3MPaまで加圧し60秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体35〜42を得た。得られた被覆膜の厚さは約100μmであった。
【0107】
得られた型内被覆成形体35〜42の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表17に示す。
さらに、得られた被覆成形体に、前記実施例28〜32と同様中塗り塗料、上塗り塗料を順次塗装し、得られた上塗り塗装成形体について、前記実施例28〜32と同様の試験を行った。それらの結果を表17に示す。
【表17】
【0108】
<実施例43、比較例15>
表18に記載の各成分を混合し、型内被覆組成物43及び(B)/{(A)++(C)}の値が本発明の範囲外である比較組成物15を調製した。
【表18】
【0109】
図2に示す態様に従って、端末に塗料注入口を具備した500mm×600mm平板形状金型の上型14を150℃、下型15を140℃に設定し、熱硬化性成形材料SMC(シートモールディングコンパウンド)(商品名「ポリマールマット自動車用」ジャパンコンポジット社製)を450mm×550mmの大きさにカットしたものを3枚重ね、直ちに同金型内に導入し、プレス圧力10MPaで15秒間加圧し、次いで5MPaで45秒加圧し、得られた成形体の表面が型内被覆組成物の注入、流動圧力に耐えうる程度に硬化させた。
【0110】
次いで、プレス圧力を1MPaに減圧させた後、表18に記載した各型内被覆組成物32cm
3を金型表面と成形体の表面との間に約3秒かけて注入した。注入完了後、型締め圧力を1秒間かけて6MPaまで加圧し60秒間保持し、型内被覆組成物を脱型可能になるまで硬化させた後、金型から被覆成形品を取り出し、型内被覆成形体43及び比較成形体15を得た。得られた被覆膜の厚さは約100μmであった。
【0111】
得られた型内被覆成形体43、比較成形体15の被覆膜の外観、基材と被覆膜との付着性、被覆成形体の耐湿性、耐湿性試験後の付着性及び被覆組成物の金型内での流動性を前記記載の試験方法により測定した。それらの結果を表19に示す。
【0112】
得られた被覆成形体に、前記実施例28〜32と同様中塗り塗料、上塗り塗料を順次塗装し、得られた上塗り塗装成形体について、前記実施例28〜32と同様の試験を行った。それらの結果を表19に示す。
【表19】