(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、トンネル覆工コンクリートを成形するための型枠を支持するようにした型枠支持装置が開示されている。
この種の型枠支持装置を用いて、トンネル覆工コンクリートを成形する場合には、
図11(a),(b)に示すように、型枠支持装置10上に正面ドーム形状の型枠101が支持される。この型枠101は、例えば、天井フォーム102,一対のサイドフォーム103及び一対のインバートフォーム104を有する。そして、型枠101の外周面とトンネル105の内壁面との間にコンクリートが打設されて、トンネル覆工コンクリート106が成形される。
【0003】
ところで、型枠支持装置10の従来の組み付け方法は、例えば、以下の手順で実行されている。
すなわち、
図18(a),(b)に示すように、トンネル105外において、トンネル105の内部まで延長された一対のレール11上に走行装置12,13が載置される。そして、この走行装置12,13が転倒したり、レール11上から脱落したりしないように、枕木107とキャンバー118とにより、走行装置12,13が地面Eに支持される。
【0004】
次いで、
図19(a),(b)に示すように、レール11から外れた位置において、地面E上に架台108を用いてトラス材42が仮置きされる。そして、この仮置き状態において、トラス材42が転倒しないように、トラス材42と地面Eとの間に、パイプ材109がつっかえ棒のようにして立てかけられる。パイプ材109は、クランプ金具110を用いてトラス材42に連結される。パイプ材109の下部間には別のパイプ材111が掛け渡され、縦横のパイプ材109,111の交差部は一般にキャッチクランプと称されるクランプ金具112やバンドなどの結束材によって結束される。
【0005】
その後、
図20(a),(b)に示すように、前記トラス材42に桁材受けステー45,側部足場81及びネット支持具82が組み付けられ、ネット支持具82の上端間に側部足場81上の作業者の手摺りとなる親綱113が張られる。
【0006】
そして、
図21(a),(b)に示すように、前記走行装置12,13上に脚材24が搬送されて組み付けられるとともに、その脚材24上に前記トラス材42が組み付けられて、型枠支持装置10の脚部34が構成される。加えて、脚材24及びトラス材42,すなわち脚部34が転倒しないように、トラス材42及び桁材受けステー45と地面Eとの間に、前記パイプ材109より長いパイプ材114が前記と同様につっかえ棒のようにして立てかけられる。そして、同じく前記と同様に、パイプ材114は、クランプ金具110などを用いてトラス材42に連結される。パイプ材114の下部間には別のパイプ材116が掛け渡され、パイプ材114,116の交差部は前記のようにクランプ金具117や結束材によって結束される。
【0007】
次いで、
図22(a),(b)に示すように、脚部34の上端間に桁材73が架設される。その後、前記パイプ材114,116が撤去されるとともに、前記枕木107やキャンバー118が撤去される。
【0008】
その後、桁材73や脚部34の上側に各種部品や機材が搭載されて、
図11(b)に示すガントリー形状の型枠支持装置10が組み上げられる。そして、この型枠支持装置10がレールに沿ってトンネル105内に移動され、トンネル105内において型枠支持装置10上に型枠101が支持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態を示すものであって、(a)は走行装置の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図2】第1実施形態を示すものであって、(a)は脚材の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図3】第1実施形態を示すものであって、(a)はトラス材の仮置き状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図4】第1実施形態を示すものであって、(a)はステーの組み付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図5】第1実施形態を示すものであって、(a)は外側足場及びネット支持具の組み付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図6】第1実施形態を示すものであって、(a)は脚部の組み付け過程を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図7】第1実施形態を示すものであって、(a)は中央部ネットの設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図8】第1実施形態を示すものであって、(a)は桁材の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図9】第1実施形態を示すものであって、(a)は連結材などの撤去状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図10】第1実施形態を示すものであって、(a)は天井フォームの組み付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図11】第1実施形態を示すものであって、(a)は型枠の組み付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図12】第1実施形態を示すものであって、(a)はネット支持具の一部断面分解正面図、(b)は同じく一部拡大断面図。
【
図13】第2実施形態を示すものであって、連結材などの設置状態を示す側面図。
【
図14】第2実施形態を示すものであって、連結などを示す分解斜視図。
【
図15】第3実施形態を示すものであって、外側足場及びネット支持具の組み付け状態を示す側面図。
【
図16】第3実施形態を示すものであって、(a)はネット支持具の一部断面分解正面図、(b)は締め付けねじによる固定部分を示す一部拡大断面図、(c)は係留部の先端部を示す一部拡大斜視図。
【
図17】変更例を示すものであって、(a)は走行装置の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図18】(a)は従来方法における走行装置の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図19】(a)は従来方法におけるトラス材の仮置き状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図20】(a)は従来方法におけるステーの組み付け状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図21】(a)は従来方法における脚部の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【
図22】(a)は従来方法における桁材の設置状態を示す側面図、(b)は同じく正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜
図12の図面に基づいて第1実施形態の組み立て方法及び構成について説明する。
【0018】
(走行装置12,13など)
図1(a),(b)に示すように、坑外(トンネルの外部)には、あらかじめ坑内(トンネルの内部)に向かって延びる一対のレール11が敷設されている。左右のレール11上の前後位置に走行装置12,13が載置される。なお、
図1の左側をトンネルのラップ側,右側を妻側とする。走行装置12,13においては、フレーム14に車輪15が設けられ、その車輪15がレール11上を転動可能である。一方(実施形態ではラップ側)の走行装置12は、車輪15を回転駆動させるためのモータ16を有する。
【0019】
走行装置12,13のフレーム14には、ラップ側及び妻側の2箇所において取付金具17がボルト及びナット18により取り付けられている。なお、以降の説明においては、ボルト及びナットを単にボルトと称する。この場合、ナットを用いることなく、型枠支持装置に形成したタップ穴にボルトを螺入することもある。ジャッキ19の上部側のネジ部に内周の雌ネジにおいて螺合された受け具20は、ネジの作用によって上下位置を調節可能である。この受け具20に対して前記取付金具17が載置支持される。このため、前記フレーム14は、ジャッキ19によって支持されている。このジャッキ19は、各走行装置12,13にそれぞれ合計4基設けられ、フレーム14のラップ側及び妻側においてレール11の両側に位置する。
【0020】
従って、ネジの作用により受け具20の高さを調節して、ジャッキ19の下端を地面E上におけば、走行装置12,13を4本足状態のジャッキ19及び受け具20を介して車輪15がレール11上に位置する状態において水平姿勢で安定支持させることができる。
【0021】
この走行装置12,13は型枠支持装置10の脚部34の下端を構成する。
(脚部34の脚材24など)
次いで、
図2(a),(b)に示すように、各走行装置12,13のシャフト22上のブラケット23の上面に脚材24がボルト(図示しない)により組み付けられるとともに、脚材24の側面の軸241と走行装置12,13のフレーム14の上面の軸141との間に、ネジの作用により長さ調節可能なジャッキ状のサポート部材26が介在される。このサポート部材26により下部脚材としての脚材24が直立状態に保持される。
【0022】
また、左右の脚材24間にH型鋼よりなる連結材27がボルト28により連結される。この連結材27は、一対の連結片271,272よりなり、両連結片271,272は連結板278を介してボルト29により相互に連結される。両連結片271,272の連結部と地面Eとの間には設置部材としてのジャッキ30が設けられる。すなわち、ジャッキ30のネジ部上の受け具31により連結片271,272の下面が支持される。このため、連結片271,272はそれらの間の部分が折れ曲がり状に離間することなく直線状に保持される。
【0023】
連結片271,272の先端部上面には、ブラケット33があらかじめ溶着固定されている。
前記ブラケット33を有する連結材27により連結手段が構成されている。
【0024】
(トラス材42など)
次に、
図3(a),(b)に示すように、両レール11からそれぞれ外れた位置において、地面Eのラップ側及び妻側の計4箇所の位置には、それぞれ型鋼よりなる架台41が設置され、左右位置の前後(ラップ側と妻側)の架台41間には、左右のトラス材42が仮置き載置される。各架台41には、それぞれ一対の支持片43があらかじめ溶着などによって固定されている。そして、各支持片43に対してクランプ金具44によりトラス材42が直立状態で固定される。
【0025】
(桁材受けステー45など)
次に、
図4(a),(b)に示すように、両トラス材42の対向する側面に桁材受けステー45がボルト46により組み付けられる。また、トラス材42の桁材受けステー45とは反対側の側面に外側足場47の複数の骨格471がボルト48により組み付けられる。外側足場47の骨格471の上面には足場板(図示しない)が架け渡される。トラス材42と桁材受けステー45とにより上部脚材が構成され、このトラス材42,桁材受けステー45及び前記脚材24により脚部本体35が構成されている。
【0026】
(ネット支持具50など)
次に、
図5(a),(b)及び
図12(a),(b)に示すように、前記外側足場47の骨格471の下部側にネット支持具50が組み付けられる。このネット支持具50は、支持部材51を備え、この支持部材51は、パイプ状をなす水平な取付部52と、その取付部52の先端に傾斜状に固定された支持パイプ53とを有する。取付部52の軸線L1に対する支持パイプ53の軸線L2の角度θは、0〜40度の範囲内のいずれかの角度の鋭角であることが好ましい。取付部52は、複数のクランプ金具よりなる取付金具54により外側足場47に固定される。
【0027】
支持パイプ53には保持パイプ56が挿入されている。従って、保持パイプ56は、支持パイプ53と同様に取付部52に対して前記角度θで傾斜されている。保持パイプ56にはその軸線方向に沿って相互間隔をおいて複数の止め孔57が形成されている。
【0028】
支持パイプ53には、ネジ孔531を有するプレート532が溶接などによって固着されている。ネジ孔531には、プランジャ59がその外周のネジ591において螺着されている。このプランジャ59内のボール592がスプリング58のバネ力により前記止め孔57の内周縁に係合されている。そして、保持パイプ56を上下(前記軸線L2の延長方向)に移動させて位置調節した状態で、プランジャ59と止め孔57の内周縁との係合により、保持パイプ56が支持パイプ53からの所要の突出量の上下位置で保持される。また、保持パイプ56をスプリング58のバネ力による保持力に抗して移動させることにより、支持パイプ53からの保持パイプ56の突出長さを変更できる。そして、所要の突出長さになったところで、止め孔57に対するボール592の係合により、保持パイプ56を固定できる。
【0029】
取付部52及び保持パイプ56の各先端部には、ネット係留具60が取り付けられている。
そして、このネット係留具60に側部ネット61の両幅端部を係留することにより、両トラス材42の外側に側部ネット61が張られる。この側部ネット61は、同ネット61の上方からの落下物を受けるものである。
【0030】
落下物などによって側部ネット61を介して保持パイプ56に下方への力が作用した場合、その保持パイプ56は支持パイプ53に対して、40度以下の鋭角の角度θをなしているため、言い換えれば水平面に対して40度以下の鋭角の角度θをなしているため、保持パイプ56はその軸方向への移動が抑制されて、下方への力を受け止める。
【0031】
(トラス材42及びサポート材65など)
図6(a),(b)に示すように、前記桁材受けステー45の下側には、ブラケット62がクランプ金具63により固定される。
【0032】
次に、トラス材42が前記架台41上からレッカーブーム(図示しない)を用いて脚材24上に搬送され、その脚材24上に載置されて、ボルト67により固定され、脚部本体35が構成される。そして、
図6(a),(b)及び
図7(a),(b)に示すように、桁材受けステー45上の前記ブラケット62と前記連結材27のブラケット33との間にサポート材65が介在される。このサポート材65は、ネジ651を有するジャッキ状の構造であって、ネジ651の作用により長さ調節可能である。そして、脚部本体35と走行装置12,13とにより脚部34が構成されており、前記サポート材65により脚部34が直立状態に保持される。
【0033】
(中央部ネット71など)
次に、
図7(a),(b)に示すように、左右の桁材受けステー45の上部間に、中央部ネット71がクランプ金具72を用いて張られる。この中央部ネット71は、型枠支持装置10の以降の組み立ての後工程において、落下物を受けるためのものである。
【0034】
(桁材73など)
次に、
図8(a),(b)に示すように、左右の脚部34の上端間に複数の桁材73が前後に相互間隔をおいて載置されて、ボルト74により固定される。この段階で、型枠支持装置10は、全体として門形を呈する。
【0035】
(サポート部材65などの撤去)
次いで、脚部34に張出し足場(図示しない)が組み付けられ、その張出し足場に昇降階段(図示しない)が組み付けられる。張出し足場の上面には足場板(図示しない)が架け渡される。
【0036】
そして、
図9(a),(b)に示すように、前記側部ネット61,中央部ネット71,連結材27,サポート材65などが取り外されて撤去されるとともに、走行装置12,13のジャッキ19が取り外される。すなわち、脚部34の上端に桁材73が取り付けられることにより、型枠支持装置10が門型をなして、安定した形状となるため、脚部34を支持するサポート材65などが不要になる。また、張出し足場の上面や桁材間には足場板が架け渡されるため、側部ネット61や中央部ネット71が不要になる。ただし、側部ネット61や中央部ネット71は、邪魔にはならないため、必ずしも撤去される必要はない。
【0037】
(型枠101などの装設)
その後、型枠支持装置10上に各種の部品や機材が搭載されて、型枠支持装置10の組み立てが終了される。
【0038】
そして、
図10(a),(b)及び
図11(a),(b)に示すように、型枠支持装置10が走行装置12のモータ16の駆動によってレール11上を走行されてトンネル105外からトンネル105内に移動され、型枠支持装置10上に型枠101が支持されて、トンネル覆工用のコンクリート106が打設される。なお、型枠支持装置10上への型枠101の支持は、トンネル105外で行ない、その後、型枠支持装置10を型枠101とともにトンネル105内に移動させてもよい。
【0039】
トンネル覆工用のコンクリート106の硬化後における型枠支持装置10の解体は、前述した作業工程と逆順の作業工程において実行される。
そして、本実施形態においては、以下の効果がある。
【0040】
(1)
図6及び
図7に示すように、型枠支持装置10の組み立てに際して、脚部34の脚材24間に連結材27が架設される。そして、脚材24を構成する桁材受けステー45と連結材27との間にサポート材65が介在される。従って、地面Eと脚材24との間にパイプ材109,114が立てかけられる
図19〜
図22に示す従来例と比較して、脚部34を直立状態に安定保持できて、型枠支持装置10の組み立て作業を能率よく行なうことができる。
【0041】
(2)連結材27の連結片271,272の連結部が地面E上に設置されるジャッキ30によって支持されるため、連結材27は、折れ曲がることなく、直線状に維持される。従って、サポート材65を介して脚部34を直立状態に安定保持できる。
【0042】
(3)サポート材65は、脚材24間の連結材27と桁材受けステー45との間に設けられるため、サポート材65が脚部34の外側に突出することはない。このため、サポート材65が脚部34の横を通る車両の通行などの邪魔になるようなことを回避できて、型枠支持装置10の組み立て作業を効率よく行なうことができる。
【0043】
(4)
図1に示すように、走行装置12,13をジャッキ19を用いてレール11上に安定支持させることができる。従って、走行装置12,13上への脚材24の組み付けや、脚材24間に対する連結材27の組み付けなどを容易かつ安定して迅速に行なうことができる。
【0044】
(5)
図5に示すように、外側足場47に支持部材51を設けて、その支持部材51上の取付金具54に側部ネット61を張るようにしたことにより、側部ネット61の設置を簡単かつ短時間で行うことができるとともに、その側部ネット61を位置ずれすることなく安定した張設状態に維持することができる。
【0045】
(6)側部ネット61の外側部を係留する保持パイプ56を支持パイプ53に対して、言い換えれば水平面に対して鋭角をなす角度θで支持するようにした。このことにより、側部ネット61の自重や、その側部ネット61上に受けられる落下物の自重などによって保持パイプ56に対して下方への力が作用しても、保持パイプ56が軸方向の下方,すなわち突出量が少なくなる方向に移動することを抑制できる。
【0046】
(7)
図12に示すように、支持部材51の保持パイプ56が外側への突出量を調節可能であって、任意の突出位置においてプランジャ59によって弾性的に保持される。従って、例えば、型枠101の組み付けに際して、保持パイプ56をプランジャ59の弾性力に抗して内側に移動させることができ、従って、突出量を少なくできる。逆に、保持パイプ56をプランジャ59の弾性に抗して外側に移動させれば、突出量を大きくすることができる。このように、保持パイプ56の突出量を必要に応じて簡単に調節できる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を
図13及び
図14に基づいて説明する。
第2実施形態においては、連結材27などの構成が第1実施形態と異なる。
【0048】
すなわち、
図13及び
図14に示すように、第2実施形態の連結材27は、連結材27の本体部273と、第1介装部材274と、その第1介装部材274と連結材27の長さ方向の長さが異なる第2介装部材275とを備えている。また、連結材27は、その連結材27の中央部において本体部273の上面に位置する受け板277と、脚として機能する設置部材としてのジャッキ30とを備えている。前記本体部273は、第1本体片120及び第2本体片121と、その両本体片120,121間に固着された筒状部材122とを備えている。
【0049】
本体部273の中央部には、第1本体片120及び第2本体片121と筒状部材122との固定を兼ねる縦横方向に延びる補強リブ123が固着されている。一方の本体片120の端部には端板124が固着されている。他方の本体片121の端部には角筒状の保持部材125が固着されている。この保持部材125の上壁及び両側壁には、本体部273の長さ方向に延びるそれぞれ複数の長孔126が透設されている。第1本体片120及び第2本体片121の中央部寄りの上面にはブラケット33が固着されている。
【0050】
本体部273の端板124に第2介装部材275がボルト127によって固定され、その第2介装部材275に別の第2介装部材275がボルト127によって固定されている。そして、前記保持部材125の端部開口から第1介装部材274が挿入されて、前記長孔126を通るボルト128によって固定されている。第1介装部材274の端部には第2介装部材275がボルト127により固定され、その第2介装部材275に別の第2介装部材275がボルト127によって連結固定されている。
【0051】
前記筒状部材122の上面には、その筒状部材122に形成した装着孔276の上端開口を閉鎖するように、前記受け板277がボルト129によって固定されている。そして、前記ジャッキ30が前記装着孔276の下端開口から同装着孔276に挿入されて、その上端が受け板277によって受け止められるとともに、ボルト133によって受け板277に固定されている。
【0052】
そして、
図13に示すように、本体部273の両端の第2介装部材275がボルト28により脚材24に固定されて、連結材27が両脚材24間に介在されるとともに、ジャッキ30の下端が地面E上に設置されて、連結材27の脚となる。また、ブラケット33と桁材受けステー45のブラケット62との間にサポート材65が介在される。第2実施形態においては、ブラケット33を有する連結材27によって連結手段が構成されている。
【0053】
従って、第2実施形態においては、以下の効果がある。
(8)保持部材125の長孔126の延長方向に沿って第1介装部材274を固定するためのボルト127に締め付け位置を調節することにより、連結材27の長さを無段階に調節できる。また、第2介装部材275の数を選択することによって、第2介装部材275の長さを1単位として連結材27の長さを大きく調節できる。このため、脚材24間の間隔に応じて連結材27の長さを自在に調節できて、脚材24間の間隔を自在に設定できる。よって、トンネル覆工の現場の状況に対して柔軟な対処が可能になる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を
図15及び
図16について説明する。
第3実施形態においては、ネット支持具50の構成が第1実施形態と異なる。
【0055】
すなわち、
図15及び
図16(a)〜(c)に示すように、この第3実施形態においては、プランジャ59が設けられていない。それに代えて、支持パイプ53には、ナットよりなる雌ねじ部材130が固着されている。この雌ねじ部材130のねじ孔と対向するように、支持パイプ53には透孔131が形成されている。雌ねじ部材130には蝶ねじよりなる締め付けねじ132が螺合されている。保持パイプ56には、前記第1実施形態の止め孔57は形成されていない。
【0056】
そして、締め付けねじ132が透孔131を通して保持パイプ56の外周面を締め付けることにより、保持パイプ56が固定されている。従って、締め付けねじ132を緩めることにより、支持パイプ53からの保持パイプ56の突出長さを無段階に調節できる。
【0057】
また、第3実施形態においては、保持パイプ56の先端部の係留具60が保持パイプ56に溶着されている。
従って、第3実施形態においては、以下の効果がある。
【0058】
(9)ボール592やスプリング58を有するプランジャ59が設けられておらず、保持パイプ56の突出長さを無段階に調節できる。従って、部品点数が少なくなって、構成が簡単になる。また、保持パイプ56の先端部の係留具60が保持パイプ56に溶着されているため、同様に部品点数が少なくなって、構成が簡単になる。
【0059】
なお、この第3実施形態において、保持パイプ56にその長さ方向に間隔をおいて複数の凹部または孔を形成して締め付けねじ132の先端がその凹部または孔に係合するように構成してもよい。
【0060】
(変更例)
本発明は、前記第1〜第3の各実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
【0061】
・前記各実施形態においては、走行装置12,13のフレーム14には、ラップ側及び妻側の2箇所において取付金具17がボルト18により取り付けられている。これに対し、
図17(a),(b)に示すように、取付金具17を走行装置12,13のフレーム14に対してフレーム14及び取付金具17を挟持するクランプ金具181を用いて取り付けること。このようにすれば、取付金具17の取り付けや解体が容易になる。
【0062】
・走行装置12,13を
図18に示す従来例のように枕木107やキャンバー118を用いて支持すること。
・走行装置12,13間を連結材27により連結すること。そして、この連結材27と脚部34との間にサポート材65を介在させること。
【0063】
・第1実施形態において、連結材27を3以上の連結片を連結して構成し、各連結片間の連結部をジャッキ30により支持すること。
・走行装置12,13を有しない型枠支持装置10において本発明を適用すること。
【0064】
・型枠支持装置10の組み立てをトンネル105内において行うこと。
・前記第1実施形態においては、連結材27を一対の連結片271,272によって構成し、第2実施形態においては、連結材27を本体部273,第1介装部材274,第2介装部材275などの複数の部材によって構成したが、連結材27をひとつの部材によって一体構成すること。このように構成した場合、型枠支持装置の脚部34間の間隔の変化に対応するために、複数種類の長さの連結材27が用意される。このような構成の場合、連結材27を地面Eに支持するジャッキ30を省略することが可能になる。
【0065】
・前記第2実施形態においては、脚材24と本体部273との間に介装される介装部材として、長さの異なる2種類の介装部材、すなわち、第1介装部材274及び第2介装部材275が用いられた。これに対し、介装部材として、1種類だけ用いたり、長さの異なる3種類以上の介装部材を用いたりすること。具体的には、第1介装部材274を用いなかったり、あるいは第2介装部材275を用いなかったり、第2介装部材275として長さの異なるものを複数種類用意して、それらを適宜に使用したりすること。第1介装部材274を用いない場合は、第2本体片121の保持部材125は設けられない。
【0066】
・前記第2実施形態において、本体部273の両端に保持部材125を設けること。
(他の技術的思想)
前記実施形態から把握される技術的思想は以下の通りである。
【0067】
(A)前記連結材を、複数に分割して構成し、各分割片間の連結部をジャッキを介して地面に支持する請求項1に記載の型枠支持装置の組み立て方法。
この方法によれば、連結材として、長い連結材を用意する必要がなく、取り扱いが容易になる。
【0068】
(B)上部脚材を地面上で組み立てた後に前記下部脚材上に組み立てる請求項3に記載の型枠支持装置の組み立て方法。
この方法によれば、脚材を分割して組み立てることができるため、その組み立てが容易になる。
【0069】
(C)前記走行装置上に下部脚材を組み付けるとともに、その下部脚材間に連結材を介在させ、次いで、下部脚材上に上部脚材を組み付け、その上部脚材と前記連結材との間にサポート材を介在させる請求項2に記載の型枠支持装置の組み立て方法。
【0070】
(D)トンネル覆工コンクリート施工用の型枠支持装置の組み立てにおいて、
前記支持装置の脚部の外側に複数のネット支持具50を支持し、次いで、そのネット支持具50により落下物を受けるためのネット61を支持する型枠支持装置の組み立て方法。
【0071】
(E)トンネル覆工コンクリート施工用の型枠支持装置に取り付け可能な取付部52と、
その取付部52の先端に同先端から突出状態に支持された保持パイプ56と、
少なくとも保持パイプ56に設けられ、ネット61を係留可能な係留具60と
を備えたネット支持具。
【0072】
(F)連結材27は、その端部に設けた固定側部材(保持部材)125と、その固定側部材125に対して連結材27の長さ方向にスライド可能に支持される移動側部材(第1介装部材)274とを備えた請求項4〜6のうちのいずれか一項に記載の型枠支持装置用の脚部連結装置。
【0073】
(G)連結材27は、本体部273と、その本体部273と脚部34との間に介装されるように、本体部273に対して着脱可能な介装部材274,275とを備えた請求項4〜6、前記技術的思想(F)項のうちのいずれか一項に記載の型枠支持装置用の脚部連結装置。