【実施例】
【0030】
次に、第1導水パイプ8及び第2導水パイプ9が備えられている場合と備えられていない場合におけるバタフライ弁1の開状態において液体が管路2を流れるときのノイズ音量の測定結果を示す。
<実施例1>
【0031】
前述の実施形態で説明した本発明に係るバタフライ弁がフロート弁に用いられた場合の排水時の騒音を測定した。測定には、CUSTOM製のデジタル騒音計SL−1320を用いた。なお、フロート弁とは、フロートをタンク内の水面に浮かべておき、水位が下がるとフロートに接
触されているレバーが作動して弁体が開いて排水され、一定の水位になるとフロートが浮き上がってレバーが押し上げられ弁体が閉じる仕組みの弁である。
【0032】
測定方法として、タンクからの一回の排水において複数時刻における水位及び騒音量を測定結果として記録した。実施例1の測定結果を表1に示す。
<比較例1>
【0033】
前述の実施形態において第1導水パイプ8及び第2導水パイプ9を備えていない従来のバタフライ弁がフロート弁に用いられた場合の排水時の騒音を測定した。測定方法は、実施例1と同一とした。比較例1の測定結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1に示される結果から、実施例1の結果に示される本発明に係るバタフライ弁1を用いた場合、比較例1の結果に示される従来技術を用いたバタフライ弁と比較して、管路を水が流れるときのノイズ音量が減少することがわかる。
【0036】
以上のように、バタフライ弁1は、管路2内に管路2の軸方向に直交する弁棒3と、管路2内に配置され、弁棒3を回動軸として回動可能な弁体5と、管路2の内周に固定され、弁体5が所定の回動位置にあるときに弁体5と液密に当接するシートリング7と、シートリング7より下流側において管路2に設けられた開口である第1開口11と、第1開口11より下流側において管路2に設けられた開口である第2開口12とを接続する第1導水パイプ8と、シートリング7より下流側において管路2に設けられた開口である第1開口13と、第1開口13より下流側において管路2に設けられた開口である第2開口14とを接続する第2導水パイプ9とを備える。
【0037】
そのため、第1導水パイプ8および第2導水パイプ9を備えない構成と比較して、管路2を液体が流れるときのノイズ音量を減少させることができる。
【0038】
これは、第1導水パイプ8および第2導水パイプ9を通った液体が管路2内に噴き出すことにより、弁体5を通過する液体の流速が弱まるためと考えられる。
【0039】
バタフライ弁1は、弁体5の閉状態における下流側に向けて弁体5のノズル側の端部から突出し、弁棒3の回動軸心から所定の半径の外面6aを有する抵抗体6をさらに備える。
【0040】
そのため、オリフィス側とノズル側との流量のアンバランスを抑制することができ、キャビテーションの発生を抑制することができる。また、その結果、管路2を液体が流れるときのノイズ音量を減少させることができ、第1導水パイプ8および第2導水パイプ9によるノイズ音量の減少効果と相まって、ノイズ音量をさらに減少することができる。
【0041】
第1導水パイプ8がオリフィス側に設けられ、第2導水パイプ9がノズル側に設けられることにより、導水パイプは、ノズル側とオリフィス側の両側に設けられている。
【0042】
そのため、管路2を液体が流れるときのノイズ音量をさらに減少させることができる。
【0043】
弁棒3は、シール面20より下流側に位置している。
【0044】
そのため、弁体5とシートリング7との隙間は、オリフィス側と比較してノズル側が遅れて開くか、または、オリフィス側の隙間がノズル側より大きく開く。そのため、オリフィス側とノズル側との流量のアンバランスを抑制することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0046】
例えば、上記の実施形態においては、バタフライ弁1は、弁体5が、弁棒3に対して管路2の上流側に偏心している一重偏心形バタフライ弁であったが、バタフライ弁1は、弁体5が弁棒3に対して偏心していないバタフライ弁であってもよいし、弁体5が、弁棒3に対して、管路2の軸方向および径方向の両方に偏心した
二重偏心形バタフライ弁であってもよい。
【0047】
また、上記の実施形態においては、オリフィス側とノズル側の両側に導水パイプ(第1導水パイプ8と第2導水パイプ9)が設けられていたが、オリフィス側とノズル側のいずれか一方
に導水パイプが設けられていてもよい。また、導水パイプは、3本以上設けられてもよい。
【0048】
また、導水パイプの内径は、とくに問われない。導水パイプの数をより多くする場合は、導水パイプの内径をより小さくしてもノイズ音量を抑制できる可能性がある。また、複数の導水パイプが設けられる場合は、それぞれの導水パイプの内径が異なっていてもよい。導水パイプの数や内径は、実験や理論によってノイズ音量効果が高くなるように設定することができる。
【0049】
また、上記の実施形態においては、管路2は円筒形状を有していたが、円筒以外の筒形状、例えば、断面四角形等の筒形状であってもよい。この場合、弁体5の形状も円盤形状でなく、四角平板等、管路2の内周形状に合わせた形状であるとよい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、第1導水パイプ8と第2導水パイプ9は、管路2の軸方向に沿っていたが、必ずしも管路2の軸方向に沿っている必要はない。第1導水パイプ8と第2導水パイプ9は、管路2の軸方向に対して斜めに配置されていてもよい。
また、抵抗体5と弁体5とは一体的に形成されている必要はなく、抵抗体5は、弁体5とは別体に構成されて弁体5に固着されていてもよい。
【0051】
また、弁体5が管路2に対して回動可能な構成であれば、弁体5が弁棒3に固着されて弁棒3が回動可能に管路2に保持されていてもよいし、弁棒3が管路2に固着されて弁体5が回動可能に弁棒3に保持されていてもよい。
【0052】
また、バタフライ弁1に含まれる構成は任意であり、導水パイプ(第1導水パイプ8、第2導水パイプ9)がバタフライ弁1の構成に含まれず、バタフライ弁が取り付けられた管路に導水パイプが備えられた構成であっても本発明に含まれる。