特許第6468685号(P6468685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6468685
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】枚葉印刷機
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20190204BHJP
   B41F 21/00 20060101ALI20190204BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20190204BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B65H5/36
   B41F21/00
   B65H31/24
   B65H31/26
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-71940(P2015-71940)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-190716(P2016-190716A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
(72)【発明者】
【氏名】元泉 徹宗
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−137373(JP,A)
【文献】 特開2010−047338(JP,A)
【文献】 特開2011−168402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/04
B65H 5/08− 5/20
B65H 5/24− 5/38
B65H 29/52
B65H 31/00−31/40
B41F 21/00−30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷部と、該印刷部により印刷され、搬送された枚葉紙が排紙される排紙台を有する排紙部とが設けられ、該排紙台の上方には枚葉紙を案内するガイド部材が進退自在に設けられた枚葉印刷機において、
該ガイド部材は排紙台を挟んで搬送方向の上流側と下流側に少なくとも一対設けられており、該上流側のガイド部材の進出速度は該排紙台の上方を搬送される際の枚葉紙の搬送速度と同速もしくはそれ以下に制御されることを特徴とする枚葉印刷機。
【請求項2】
該上流側のガイド部材の進出速度は該排紙台の上方を搬送される際の枚葉紙の搬送速度の変化に追従するよう制御されることを特徴とする請求項1記載の枚葉印刷機。
【請求項3】
該下流側のガイド部材の進出速度は該上流側のガイド部材の進出速度よりも速く制御されることを特徴とする請求項1又は2記載の枚葉印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷された枚葉紙を積層保持する排紙台を備えた枚葉印刷機に関し、特に枚葉紙の通過を案内するガイド部材を備えた枚葉印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷機では、印刷された枚葉紙を排紙部に搬送する際、排紙台の上方に出没可能にガイド部材(案内部材)を設け、このガイド部材を駆動するエアシリンダを作動させてガイド部材を進出させ、搬送される枚葉紙をガイドして枚葉紙の傷つきを防ぎ、印刷品質の向上を図ろうとする技術が存在する。特許文献1にはこのような枚葉印刷機の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−47338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガイド部材の進出時において、進出するガイド部材が搬送、排紙される枚葉紙に接触して枚葉紙の品質を損ねる可能性があった。また、ガイド部材の進出が搬送、落下する枚葉紙に追いつかない可能性があった。特許文献1の技術によると、ガイド部材の衝撃力を抑え、ガイド部材出没機構の耐久性を向上する技術の開示はあるものの、上述のガイド部材の進出時の問題に関する記載はなく、改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、ガイド部材進出時における枚葉紙の傷つきを防ぎ、印刷品質の向上を図ることが出来る枚葉印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、印刷部Bと、該印刷部Bにより印刷され、搬送された枚葉紙Sが排紙される排紙台21を有する排紙部Cとが設けられ、該排紙台21の上方には枚葉紙Sを案内するガイド部材310、320が進退自在に設けられた枚葉印刷機において、該ガイド部材310、320は排紙台21を挟んで搬送方向の上流側と下流側に少なくとも一対設けられており、該上流側のガイド部材310の進出速度は該排紙台21の上方を搬送される際の枚葉紙Sの搬送速度と同速もしくはそれ以下に制御されることを特徴としている。
【0007】
また、該上流側のガイド部材310の進出速度は該排紙台21の上方を搬送される際の枚葉紙Sの搬送速度の変化に追従するよう制御されることを特徴としている。
【0008】
また、該下流側のガイド部材320の進出速度は該上流側のガイド部材310の進出速度よりも速く制御されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の枚葉印刷機においては、排紙台にガイド部材を有する印刷機において、印刷品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る枚葉印刷機の概略断面側面図である。
図2】排紙部の拡大側面図である。
図3】排紙部の拡大平面図であり、ガイド部材が退避した状態を示す。
図4】排紙部の拡大平面図であり、ガイド部材が進出した状態を示す。
図5】制御部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る枚葉印刷機を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。 図1は本発明に係る排紙部のガイド部材を供えた枚葉印刷機の一例である。図1に示す通り、本実施例に係る枚葉印刷機は枚葉オフセット枚葉印刷機である。この枚葉印刷機は、紙積み台からフィーダ装置や用紙分離装置等により一枚ずつ印刷用紙としての枚葉紙Sを送り出すための給紙部Aと、この給紙部Aからの枚葉紙Sに印刷を行うための印刷部Bと、枚葉紙Sを排紙するための排紙部Cとを備えている。ここで印刷部Bは、4色の印刷が行えるように4台の印刷ユニット5を備えた印刷部Bとしているが、4色以外の色、つまり1色又は2色以上の印刷が行える印刷部であってもよい。又、印刷機を構成する各部の具体的な構成は図に示されるものに限定されるものではない。なお、印刷機は図示しない本機モータMにより駆動される。
【0012】
印刷部Bの前記印刷ユニット5は、版胴1とゴム胴2とインキ供給部としての図示しないインキローラ群、そして圧胴3と渡し胴6とを備えている。版胴1には図示しないが、その周面に巻回された版を固定するための一対の版クランプが設けられている。ゴム胴2には図示しないブランケットが巻回されている。また、圧胴3のそれぞれには、送り出されてきた枚葉紙Sを爪台と爪とで把持する図示しないグリッパを、円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。符号7は給紙胴であり、フィーダーボード8上を搬送され、図示しない前当てにより搬送方向(図1中矢印Z方向)が位置決めされる枚葉紙Sを図示しないスイングアームから受け取り、圧胴3に渡す役割を果たす。給紙胴7、スイングアームにも前記の爪台と爪が設けられている。
【0013】
図1、2に示すように排紙部Cはチェーン搬送装置にて構成されている。すなわち、最終印刷ユニット5の圧胴3に隣接した、枚葉紙Sの搬送方向上流側に設けられたスプロケット11と搬送方向下流側に設けられたスプロケット12に無端状の排紙チェーン13が巻回されており、スプロケット11、12の回転により、図示しないチェーンガイドに規制された状態で排紙チェーン13は周回する。排紙チェーン13には前述の爪台と爪と同様な構成を有するチェーングリッパ14が設けられており、枚葉紙Sを搬送可能となっている。
【0014】
排紙部Cには2つの排紙台21、22が設けられている。この2つの排紙台21、22は、印刷部に設けられた図示しない印刷品質検査装置により検査を行い、印刷が良好な正紙と印刷が不良な損紙とをそれぞれ分けて排紙したり、1つの排紙台で収まらない数の印刷を行う場合に、印刷された枚葉紙Sを2つの排紙台に排紙したりするために使用される。
【0015】
図2図4に示すように、一方の排紙台21の上方であって、排紙台21を挟んで搬送方向(矢印Z方向)の上流側と下流側に、それぞれ本発明におけるガイド部材310、320が設けられている。ガイド部材310、320は排紙部Cの左右(搬送方向に直交する方向)のフレームF、F間に設けられた案内板50、50の下方に位置している。
【0016】
上流側のガイド部材310はエアシリンダ311と、このエアシリンダ311のロッドに固定され、案内板50の下方から搬送方向(Z方向)へ進退可能なガイド板312により構成される。下流側のガイド部材320についても同様に、エアシリンダ321と、このエアシリンダ321のロッドに固定され、案内板50の下方から搬送方向(Z方向)へ進退可能なガイド板322により構成される。ガイド板312は案内板50と同様に、枚葉紙Sが当接しても傷が付かないよう、滑らかな平面として形成されている。なお、符号51は案内板50と略面一状に配置された公知のシートブレーキであり、回転、吸引しながら枚葉紙Sの後端部に当接して枚葉紙Sの搬送速度を減速させる。
【0017】
図5は本発明に係る制御部80の構成を示す概略ブロック図であり、制御部80には、前述の給紙部A、印刷部B、排紙部C、前述の本機モータM、ガイド部材310、320が接続されている。制御部80は、演算処理等を行うマイクロプロセッサ81(シーケンサでもよい)、データ及び所定のプログラム(演算式あるいはテーブル等)を記憶するROM82、機械回転数等に関する種々の情報を記憶可能なRAM83を備えるとともに、マイクロプロセッサ81と制御部80の外部に設けられた装置(全ては図示せず)との間における各種信号のやりとりを仲介するインターフェイス84等を備えて構成されている。
【0018】
本発明の作用について説明する。排紙台21の使用時には、ガイド部材310、320のガイド板312、322は図2の実線や図3に示すとおり、退避位置にあり、排紙台21に枚葉紙Sが排紙される。枚葉紙Sは案内板50に当接しながら傷つくことなく、搬送、排紙される。
【0019】
排紙台21を使用しない場合(排紙台22を使用する場合)は、図2の点線や図4に示すように、ガイド部材310、320のガイド板312、322が進出位置まで進出する。このとき、制御部80は上流側のガイド板312が枚葉紙Sの搬送速度と同速もしくはそれよりも遅くなるよう、エアシリンダ311に供給するエア量を調整する。このように制御することにより、上流側のガイド板312が、その進出時に、搬送される枚葉紙Sを押すことがなくなり、枚葉紙Sの傷つきが発生せず、印刷品質の向上を図ることが出来る。
【0020】
また、上流側のガイド板312の進出速度は枚葉紙Sの搬送速度の変化、すなわち印刷機の速度に追従するように制御される。このように制御することにより、常にガイド板312の進出速度を枚葉紙Sの搬送速度と同速もしくは遅くすることが可能となり、確実に印刷品質の向上を図ることが出来る。
【0021】
また、下流側のガイド板322の進出速度は上流側のガイド板312の進出速度よりも速く制御される。このように制御することにより、搬送、排紙される枚葉紙Sの落下にガイド板322の進出が間に合わないようなことがなくなり、搬送トラブルを確実に防ぐことが出来る。
【0022】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば前述の実施形態では、1つの排紙台21にのみガイド部材310、320が設けられていたが、もう1つの排紙台22にもガイド部材を設けてもよい。また、2つの排紙台が設けられていたが、1つの排紙台を有する印刷機にも本発明は適用可能である。
【0023】
また、前述の実施形態では、オフセット枚葉印刷機であったが、これに限定されず排紙台にガイド部材を有する枚葉印刷機であれば他の種類の枚葉印刷機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る枚葉印刷機は、排紙台にガイド部材を有する枚葉印刷機において極めて有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 :版胴
2 :ゴム胴
3 :圧胴
5 :印刷ユニット
6 :渡し胴
7 :給紙胴
8 :フィーダーボード
11 :スプロケット
12 :スプロケット
13 :排紙チェーン
14 :チェーングリッパ
21 :排紙台
22 :排紙台
50 :案内板
80 :制御部
81 :マイクロプロセッサ
82 :ROM
83 :RAM
84 :インターフェイス
310 :ガイド部材
311 :エアシリンダ
312 :ガイド板
320 :ガイド部材
321 :エアシリンダ
322 :ガイド板
A :給紙部
B :印刷部
C :排紙部
F :フレーム
M :本機モータ
S :枚葉紙
Z :矢印
図1
図2
図3
図4
図5