(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップには、前記物体の後ろにつくよう前記車両を減速させることが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップには、第1の方向へ前記車両を操縦することが含まれ、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップには、前記車両を前記物体の後ろに位置させるために前記第1の方向とは異なる第2の方向へ前記車両を操縦することが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップには、第1の速度で前記車両を操縦することが含まれ、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップには、前記第1の速度とは異なる第2の速度で前記車両を操縦することが含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記プロセッサーは、前記物体の後ろにつくよう前記車両を減速させることにより、前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールすることができることを特徴とする請求項9に記載の装置。
コンピュータ読み取り可能なプログラムの命令が保存された、実体のあるコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、該命令が、プロセッサーにより実行されたとき、プロセッサーは自律走行運転モードを有する車両のコントロール方法を実行し、該方法は、
第1のコントロール方針に基づく車両の運転をコントロールするステップと、
前記車両の1以上のセンサーの視野に基づくセンサー場を特定するステップと、
前記1以上のセンサーのうち選択されたものからセンサーデータを受け取るステップと、
前記受け取ったセンサーデータに基づき前記センサー場内の、道路上の物体及び該物体の位置を検出するステップと、
前記センサー場内の前記物体の位置に基づき前記センサー場が狭まっていると判断するステップと、
前記センサー場が狭まっているとの前記判断に基づき、前記センサー場を増大させるために第2のコントロール方針を決定するステップと、
前記第2のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
前記センサーデータに基づき前記センサー場が狭まっている状態が続いていないと判断するステップと、
前記センサー場が狭まっている状態が続いていないとの前記判断に基づき、前記第1のコントロール方針に基づき前記車両の運転をコントロールするステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、ここに開示した1つの形態による自律走行運転システム100には、種々の構成部品を有する車両101が含まれる。開示した特定の形態では、特定のタイプの車両について特に実益があり、これらの車両として、乗用車、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプター、芝刈り機、RV車、遊園地の乗り物、農機具、建設用機器、市街電車、ゴルフカート、列車、及び路面電車を含むあらゆるタイプの車両があげられるがこれらに限定されるものではない。車両は、プロセッサー120、メモリー130、及び汎用コンピュータに一般的に用いられる他の構成部品を有するコンピュータ110のような、1以上のコンピュータを有することができる。
【0012】
メモリー130は、プロセッサー120により実行或いは用いることができる命令132及びデータ134を含む、プロセッサー120がアクセス可能な情報を保存する。メモリー130は、コンピュータ読み取り可能媒体、又は、ハードディスクドライブ、メモリーカード、ROM、RAM、DVD又は他の光ディスクのみならず、他の書き込み可能なメモリー及び読み込み専用メモリーのような、電子装置により読み込むことのできるデータを保存するコンピュータ読み取り可能媒体、又は他の媒体を含むプロセッサーがアクセス可能な情報を保存することのできるあらゆるタイプとすることができる。システム及び方法には、前述の種々の組み合わせを含むことができ、命令及びデータの異なる部分は異なるタイプの媒体に保存される。
【0013】
命令132は、プロセッサーにより(機械語のように)直接的に又は(スクリプトのように)間接的に実行できる命令のどのようなセットでもよい。例えば、コンピュータ読み取り可能媒体上のコンピュータコードとして命令を保存することができる。これに関連して、「命令」及び「プログラム」の語は、ここでは互いに置き換え可能に用いることができる。命令は、プロセッサーで直接処理ができるオブジェクトコードフォーマット、又は、要求によりインタープリトされ又はあらかじめコンパイルされる独立のソースコードのスクリプト又はコレクションを含む他のあらゆるコンピュータ言語で保存することができる。命令の機能、方法、及び業務については以下に詳述する。
【0014】
命令132に従い、プロセッサー120によりデータ134を検索し、保存し、変更することができる。例えば、要求の対象が、特定のデータ構造により制限されていなくても、複数の異なるフィールド及びレコードを有するテーブル、XMLドキュメント、又はフラットファイルとして、リレーショナルデータベースとしてデータをコンピュータレジスターに保存することができる。データは、いろいろなコンピュータ読み取り可能フォーマットにフォーマットすることもできる。さらにほんの例示として、グラフィックを描画するためのコンピュータ命令のみならず、圧縮又は非圧縮、損失のない(例えば、BMP)又は損失のある(例えば、JPEG)、及びビットマップ又はベクトルベース(例えば、SVG)のフォーマットで保存されたピクセルのグリッドからなるビットマップとして、イメージデータを保存することができる。データは、数値、説明文、所有者コード、同じメモリー又は異なるメモリー(他のネットワーク中のものも含む)の他の領域に保存されたデータへの参照、又は、対応するデータを計算する機能により用いられる情報のような、対応する情報を特定するのに十分なあらゆる情報を具備することができる。
【0015】
プロセッサー120は、商業上入手可能なCPUのような、従来のどのようなプロセッサーでもよい。代替的に、プロセッサーをASICその他のハードワイヤベースのプロセッサーのような専用装置とすることもできる。
図1には、同じブロック内にあるものとして、プロセッサー、メモリー、及び他のコンピュータ110要素を機能的に図示しているが、当業者であれば、プロセッサー、コンピュータ、又は、メモリーは、実際には、同じ物理的な筺体内に収納することも同じ筺体内に収納しないこともできる、複数のプロセッサー、コンピュータ、又は、メモリーであってもよいことは理解できるであろう。例えば、メモリーは、コンピュータ110の筺体とは別の筺体内に収納したハードディスクドライブ又は他の記憶媒体とすることができる。従って、当然のことながら、プロセッサー又はコンピュータと言うときには、並列運転していることも並列に運転していないこともあるプロセッサー又はコンピュータ又はメモリーを言うことが含まれる。ここで記載するステップを実行させるために単一のプロセッサーを使わないで、ステアリング用部品及び減速用部品のような構成部品の各々に、その構成部品特有の機能に関する計算のみを実行するような特有のプロセッサーを持たせることもできる。
【0016】
ここに記載した種々の形態において、プロセッサーを、車両から隔てて配置し、車両と無線で交信させることもできる。他の形態において、ここに記載した処理は車両中に配置したプロセッサーにより実行され、1つの操作を実行するために必要なステップを行う場合も含めて、他の処理は遠隔のプロセッサーにより実行される。
【0017】
コンピュータ110は、中央演算処理装置(CPU)、ウェブブラウザのようなデータ134や命令を保存するメモリー(例えば、RAM及び内部ハードディスクドライブ)、電子表示142(例えば、スクリーン、小型LCDタッチスクリーン、又は、情報を表示することのできる他の電子装置)、ユーザー入力140(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、及び/又は、マイクロフォン)、及び、人の状態又は人が求める明確な(例えば、ジェスチャー)又は間接的な(例えば、「居眠りしている」)情報を収集するための種々のセンサー(例えば、ビデオカメラ)を具備する。
【0018】
1つの実施例では、コンピュータ110は、車両101に組み込まれた自律走行運転演算システムとすることができる。
図2は、自律走行車両の内装の典型的なデザインを示す。自律走行車両は、例えば、ステアリングホイール210のようなステアリング装置やナビゲーション表示215のようなナビゲーション表示装置や変速装置220のようなギア比選択装置のような、自律走行車両でない車両のすべての機構が含まれる。自律走行車両はまた、1つ以上の自律走行運転モードを始動又は停止させるため、及び、ナビゲーション目的地のような情報をドライバー又は乗客290が自律走行運転コンピュータ110に提供することができるようにするために、変速装置220、タッチスクリーン217、又はボタン入力219のような種々のユーザー入力装置を有することができる。
【0019】
車両101には、1以上の表示装置を含めることができる。例えば、車両には、自律走行車両又はその車両のコンピュータの状態に関する情報を表示するための表示装置225を含めることができる。他の実施例では、車両101の現在の状態を表示するための、ステータスバー230のような、状態表示装置138(
図1参照)を含めることができる。
図2の例では、ステータスバー230は、車両が現在ドライブモードで、毎時2マイルで走っていることを示す「D」及び「2mph」を表示している。これに関して、車両は、ステアリングホイール210のような車両101の一部を照らすことで文字を電子表示することや、他の表示を行うことができる。
【0020】
自律走行運転演算システムは、車両の種々の構成部品と通信することができる。例えば、
図1に戻って、コンピュータ110は車両の中央プロセッサー160と通信することができ、車両101の動き、速度等をコントロールするために、車両101の種々のシステム、例えばブレーキングシステム180、加速システム182、信号システム184、及びナビゲーションシステム186と情報を送受信することができる。加えて、スイッチをいれたとき、コンピュータ110は、車両101のこれらのすべての機能または一部の機能をコントロールし、完全な自律走行又は部分的な自律走行にすることができる。種々のシステム及びコンピュータ110は車両101内にあるように示されているが、これらの構成要素は、車両101の外部又は物理的に遠く離しておくことができる。
【0021】
車両にはまた、装置の地理的位置を決定するためにコンピュータ110と通信を行う地理的位置検出要素144を含めることができる。例えば、この位置検出要素には、装置の緯度、経度、及び/又は高度を判断するためにGPS受信機を含めることができる。レーザーベースの位置特定システム、慣性援用GPS、又はカメラベースの位置検出のような他の位置検出システムも、車両の位置を特定するために用いることができる。車両の位置には、絶対的地理的位置より少ないノイズで判断することのできる、すぐ近くの他の乗用車等との相対位置のような、相対位置情報のみならず、緯度、経度、及び高度のような、絶対的地理的位置を含めることができる。
【0022】
車両には、車両の方向と速度又はその変化を決定するための、加速度計、ジャイロスコープ、又は他の方向/速度検出装置146のような、コンピュータ110との通信を行う他の装置を含めることもできる。単なる例として、加速装置146は、重力の方向又は重力に垂直な平面の方向に対するピッチ、振れ、揺れ(又はそれらの変化)を決定することができる。この装置は、このような変化の速さ及び方向の増加又は減少を追跡することもできる。ここに述べたようなこの装置の位置及び方向データについての項目は、ユーザー、コンピュータ110、他のコンピュータ、及びこれらを組み合わせたものに自動的に提供される。
【0023】
コンピュータ110は、種々の構成部品を制御することにより車両の方向及び速度をコントロールすることができる。例示として、車両を完全に自律走行モードで運転している場合、コンピュータ110は、(例えば、エンジンに供給される燃料又は他のエネルギーを増加させることにより)車両を加速させること、(例えば、エンジンに供給される燃料を減少させること、又はブレーキをかけることにより)車両を減速させること、及び(例えば、前方の2つの車輪の向きを変えることにより)車両の方向を変えることができる。
【0024】
車両には、他の車両、道路上の障害物、交通信号、標識、樹木、等のような、車両の外にある物体を検出するための構成部品を含めることができる。検出システムには、コンピュータ110で処理することのできるデータを記録するレーザー、ソナー、レーダー、カメラ又はその他の検出装置を含めることができる。例えば、車両が小型乗用車である場合、この乗用車には、屋根又は他の具合のいい場所に取り付けたレーザーを含めることができる。
【0025】
図3に示すように、小型乗用車301には、それぞれ乗用車の前方及び屋根に取り付けたレーザー310及び311を含めることができる。レーザー310は、約150メートルの到達距離、13度の垂直視野、約30度の水平視野を有することができる。レーザー311は、約50〜80メートルの到達距離、13度の垂直視野、360度の水平視野を有することができる。レーザーにより、車両は、種々の物体の位置と距離を特定するためにコンピュータが用いることのできる距離と強さの情報を得ることができる。1つの特徴によれば、レーザーは、レーザー軸を回転し傾きを変更することにより車両と物体の車両のほうを向く面との距離を計測することができる。
【0026】
車両には、適応巡航コントロールシステムに用いるような、種々のレーダー検出装置を含めることもできる。レーダー検出装置は、乗用車のフロントバンパーのどちらか一方の側のみならず、前方及び後方に配置することもできる。
図3の例に示すように、車両301には、車両の側面(一方だけが示されている)、前方及び後方に、レーダー検出装置320〜323が含まれている。これらのレーダー検出装置は、約56度の視野で60メートルの到達距離を持つのみならず、約18度の視野で約200メートルの到達距離を持つことができる。
【0027】
他の実施例では、種々のカメラを車両に取り付けることができる。カメラは、2つ以上のカメラからの視差を種々の物体までの距離を計算するために用いることができるよう、所定の距離を置いて取り付けることができる。
図3に示すように、車両301には、バックミラー(不図示)の近くのフロントガラス340の裏に取り付けたカメラ330〜331を含めることができる。カメラ330は、約200メートルの到達距離及び約30度の水平視野を持つことができる一方、カメラ331は、約100の到達距離及び約60度の水平視野を持つことができる。
【0028】
各センサーは、センサーが物体を検出するために用いることのできる特定のセンサー場と関連付けることができる。
図4Aは、種々のセンサーの概略センサー場を上から見た図である。
図4Bは、レーザー310及び311の概略センサー場410及び411を示し、それぞれ、これらのセンサーの視野に基づく。例えば、センサー場410は、約150メートルで、約30度の水平視野を有し、センサー場411は、約80で、360度の水平視野を有する。
【0029】
図4Cは、レーダー検出装置320〜323についての概略センサー場420A〜423Bを示し、それぞれ、これらのセンサーの視野に基づく。例えば、レーダー検出装置320は、センサー場420A及び420Bを有する。センサー場420Aは、約200メートルで、約18度の水平視野を有し、センサー場420Bは、約80メートルで、約56度の水平視野を有する。同様に、レーダー検出装置321〜323はセンサー場421A〜423A及び421B〜423Bを有する。センサー場421A〜423Aは、約200メートルで、約18度の水平視野を有し、センサー場421B〜423Bは、約80メートルで、約56度の水平視野を有する。センサー場421A及び422Aは、
図4A及び4Cの縁まで伸びる。
【0030】
図4Dは、カメラ330〜331の、これらのセンサーの視野に基づく、概略センサー場430〜431を示す。例えば、カメラ330のセンサー場430は、約200メートルで約30度の視野を有し、カメラ430のセンサー場431は、約100で約60度の視野を有する。
【0031】
他の実施例では、自律走行車両には、ソナー装置、ステレオカメラ、定位カメラ、レーザー、及びレーダー検出装置が含まれ、それぞれ異なる視野を有する。ソナーは、約6メートルの最大距離で、約60度の水平視野を有することができる。これらのステレオカメラは、重複する領域で、約50度の水平視野、約10度の垂直視野、約30メートルで約30度の視野を有することができる。定位カメラは、約75度の水平視野、約90度の垂直視野、そして、約10メートルの最大距離を有することができる。レーザーは、約360度の水平視野、約30度の垂直視野、そして、約100メートルの最大距離を有することができる。レーダーは、近接ビームで60度の水平視野、遠隔ビームで30度の水平視野、そして、200メートルの最大距離を有することができる。
【0032】
1つの実施例では、車両101はゴルフカートのような小さなカートとすることができる。
図5A〜5Bは、小さなカート501の側面及び上から見た図であり、カートのセンサー場を形成する典型的な視野の集合体の側面及び上から見た図である。小さなカート501には、ソナー、ステレオカメラ、及び定位カメラのようなセンサーを含めることができる。定位カメラは、地図情報上の地図の上にセンチメートルの精度で車両を定位するためにもといることができる。これらのセンサーの各々は、ある水平角度及び垂直角度である距離までの視野を得ることができる。例えば、カート501には、カートの前方約1.5メートルから7メートルの範囲で約35度の水平視野を持つセンサー場560を持つ、カートの前方に取り付けた定位カメラを含めることができる。カートはまた、カートの前方に横切って取り付けた複数のソナー検出装置を持つこともできる。これらのソナー装置は、特定の周波数の範囲の周波数で、音波を送受信することで物体を検出するために用いることができる。これらの装置の各々は、センサー場570〜575のようなセンサー場を得ることができ、各々、カートの前方約3メートルの範囲で約35度の水平視野を持つ。カート501にはまた、カートの前方に取り付けたステレオカメラを含めることもできる。ステレオカメラは、各々がカートの前方約10メートルの範囲で約30度の水平視野を持つセンサー場580を得ることができる。
【0033】
他の実施例では、カートには、定位カメラ、ステレオカメラ、及び1以上のソナー検出装置が含まれ、カートのカート定位カメラは、約75度の水平視野、約90度の垂直視野、そして、約10メートルの範囲の視野を有することができる。ステレオカメラの重複領域には、約50度の水平視野、約10度の垂直視野、そして、約30メートルの範囲の視野を含めることができる。ソナー検出装置は各々、約60度水平視野及び約6メートルの範囲の視野を有することができる。
【0034】
前述のセンサーにより、車両は判断を行うことができ、周囲の物体や人々だけでなく乗客の安全を最大限にするために、周囲状況に応答する能力を有することができる。車両の形式、センサーの数量や形式、センサーの位置、センサーの視野、及びセンサーのセンサー場は、単なる例示であることは理解されよう。
【0035】
上述のセンサーに加え、コンピュータは、自律走行でない一般的な車両のセンサーからの入力も使うことができる。例えば、これらのセンサーには、タイヤ空気圧センサー、エンジン温度センサー、ブレーキ熱センサー、ブレーキパッド状態センサー、タイヤトレッドセンサー、燃料センサー、オイルのレベル及び質センサー、(温度、湿度、又は空気中の微粒子を検出するための)空気特性センサー、等を含めることができる。
【0036】
これらのセンサーの多くは、リアルタイムでコンピュータにより処理されるデータを提供する。すなわち、センサーは、ある時間範囲で測定中の周囲状況を反映する出力を連続的に更新し、コンピュータが、車両のその時の最新の方向又は速度を検出した周囲状況に応じて修正すべきかどうか判断することができるように、連続的に又は要求に応じて更新された出力をコンピュータに提供することができる。
【0037】
種々のセンサーから提供されたデータの処理に加えて、コンピュータは、時間的に先に得られた、周囲に車両の存在の有無にかかわらず存続する周囲データに頼ることができる。例えば、
図1に戻って、データ134には、地図情報136、例えば、道路の形や高さ、レーンライン、交差点、横断歩道、又はそのような物や情報を特定する非常に詳細な地図を含めることができる。例えば、地図情報には、道路の種々の区画での系統立てた速度制限情報を含めることができる。速度制限データは、人手により、又は、例えば、光学式文字認識を用いて速度制限標識のイメージをあらかじめ読み込むことにより入力することができる。地図情報には、上述の1つ以上の対象物を組み込んだ3次元地形図を含めることができる。例えば、車両は、リアルタイムデータ(例えば、他の乗用車の現在のGPSを特定するためのセンサーを用いて)及び他のデータ(例えば、この他の乗用車が右(左)折レーン内にあるかどうかを判断するための、あらかじめ保存されているレーン専用の地図データとGPSとを比較することで)に基づき他の乗用車が向きを変えようとしているかどうかを判断することができる。
【0038】
さらに、地図情報はここでは画像ベースの地図として示されているが、地図情報は完全に画像ベース(例えば、ラスタ)である必要はない。例えば、地図情報には、道路、レーン、交差点、及びこれらのつながりのような情報の1つ以上のロードグラフ又はグラフネットワークを含めることができる。各地形は、グラフデータとして保存することができ、地理的位置及び関連地形と関連しているかどうかのような情報と関係づけることができ、例えば、ストップ表示は、道路及び交差点等と関連付けることができる。いくつかの例では、関連付けたデータには、効率的にロードグラフの地形を参照することができるよう、ロードグラフのグリッドベースの標識を含めることができる。
【0039】
上述し図示した動作に加え、種々の動作について説明する。以下の動作は以下に正確に記載の順序で行わなければならないわけではないことは理解されよう。むしろ、種々のステップは異なる順序又は同時に行うことができ、ステップを付け加えることも省略することもできる。
【0040】
自律走行車両は、車両自体、乗客、及び/又は、貨物を、道順に従って、2点間で輸送することができる。例えば、ドライバーは、目的地を入力し車両の自律走行モードを始動させることができる。これに応答して、車両のコンピュータは、ロードグラフ、現在位置、及び目的地に基づき道順を算出する。この道順(又は生成した道順の一部)に基づき車両は、目的地への道順に沿って車両をコントロールするコントロール方針を決定する。例えば、コントロール方針として、方向転換する位置、走行速度、交通信号を見る点、交差点又はストップ表示により停止する位置、等を含めることができる。
【0041】
上記説明の通り、道順の途上で、車両はセンサー場の範囲内で車両の周囲に物体を検出することができる。検出した物体に応じて、コンピュータは自律走行車両の速度の調整又は方向の変更を行うことができる。いくつかの例では、しかしながら、車両の周囲の物体又はその他の状況に基づき、センサー場は、変化し、あるいは信頼性が低下する可能性がある。
【0042】
物体は、車両のセンサー場の一部を占有する可能性がある。例えば、
図6Aに示すように、車両301は、トレーラトラック610のような他の大きな移動物体の側方を走る可能性がある。
図6Bに示すように、トレーラトラック610は、車両301のセンサー場の範囲内の領域620を占有する。他の実施例では、
図7Aに示すように、車両301は、ビルディング710に沿って走り道路の曲がり角に近付く。これらのビルディングは、車両301のセンサー場の範囲内の領域720を占有する。
【0043】
障害物が車両のセンサー場の一部を占有する場合、障害物の存在により1以上のセンサーの感知能力が変化し、例えば他の物体の検知が制限されることがある。車両のコンピュータは、障害物の後ろの領域、又は、センサーの検出線の内側にない領域にある他の物体を正確に検出することができないことがある。場合によっては、ガラスのように障害物が半透明又は透明である場合、センサーはその障害物を「通り抜けて」検出することができるかもしれないが、その障害物がない場合より精度が低くなる。従って、車両のセンサー場の大きさ及び精度は低下する可能性がある。その結果、車両のコンピュータは、センサーの削減された領域の大きさ及び形状を算出し、削減された領域に基づいて、新しい現在のセンサー場を算出することができる。
【0044】
例えば、
図6Bに戻って、コンピュータはトレーラトラックを物体として認識し、領域620の大きさと形、領域620内のセンサー場の大きさと形、及び/又は、領域620の外のセンサー場の大きさと形を算出することができる。領域620内の物体は、車両301のセンサーによりもはや検出されない。この領域は、概ね「盲目」の領域を表す。コンピュータは、ロードグラフからの情報に基づき、或いは、最近この領域に入ってきた物体を追跡している場合、物体の位置を推定することができる。例えば、ソナーセンサー、レーザーセンサー、又はカメラセンサーは、トレーラトラックにより不透明になっているので、領域620内のデータを集めることはできない。
【0045】
図7の例に戻って、車両のセンサー場はビルディングの影響を受ける。車両のコンピュータは、ビルディングを物体として認識し、領域720の大きさと形、領域720内のセンサー場の大きさと形、及び/又は、領域720の外のセンサー場の大きさと形を算出することができる。この例では、車両は、ビルディング710の傍に駐車しているが領域720内にあるトラック730を検出することができない。例えば、車両730の位置は、
図7Bの領域720内にあることも明らかである。
【0046】
物体に加えて、他の状況により、1つ以上のセンサーによる車両の周囲を認知する能力が減少または抑制されるという形で、自律走行車両のセンサー場が影響を受けることがある。例えば、明るい太陽光の中ではカメラに画像は飽和し信頼度が低下する可能性がある。従って、光によりカメラの効率が影響を受けるので、カート501のセンサー場は損なわれる。従って、
図8aに示すように、明るい太陽光880のために、カメラセンサーの視野560及び580では、もはや物体を検出することはできない。従って、これらの視野は破線で示されている。上記の物体の例で示すように、カートのセンサー場の大きさ及び精度も低下する可能性がある。そして、カートのコンピュータは、例えば、ソナー検出装置570〜576のみに基づき新たなセンサー場を算定することができ、或いは、カートがソナー装置の視野からのセンサー場にのみ信頼を置くよう決定することができる。
【0047】
他の実施例では、
図8Bの音890は、カートのソナー装置で用いられる周波数の近傍又はその周波数の範囲にある。例えば、この音は、他のソナー装置により生じる場合もあり、近くの車両のノイズの場合もある。これらの音は、ソナーデータを、物体を検出するために十分な信頼性が得られない状態にするような影響を与える。従って、ソナー検出装置の視野570〜575では、もはや物体を検出することができない。従って、これらの視野は破線で示されている。カートのコンピュータは、例えば、カメラ装置560及び580のみに基づき新たなセンサー場を算定することができ、或いは、カートがカメラの視野からのセンサー場にのみに信頼を置くよう決定することができる。
【0048】
センサー場における変化の発見に応答して、車両のコンピュータは車両のコントロール方針を変えることができる。例えば、車両の速度及び方向を維持しないで、車両のコンピュータは、原則、レーンの維持、(速度制限を考えた上での)加速、又は他の応答を採用することができる。他の実施例では、向きを変えるような、その道順に必要な行動をとるために第1の速度の速度へ減速するのではなく、もっと遅い速度の第2の速度に車両を減速することができる。いくつかの例では、車両は、具体的な対策は取る必要はなく、現在の速度及び方向を維持するだけとすることができる。
【0049】
1つの実施例では、
図6Aに戻って、車両301は、(トレーラトラック610に向かって)1以上左のレーンに移動することを必要とするルートに従うことができる。通常は、車両がトレーラトラックより速く走行するなら、車両301は、トレーラトラック610を追い抜いてからレーンの変更を行うことができる。しかし、車両のコンピュータが減少したセンサーの領域又は現在のセンサー場を決定した場合、コンピュータは、車両301がトレーラトラック610の左の物体を検出することができるようセンサー場を増大させるためにトレーラトラックの後ろにつくよう車両を減速させることができる。
【0050】
図7Aに戻って、他の実施例では、車両301は、ビルディングの周りの道に通る必要のある道順を通る可能性がある。通常は、車両が曲がり角の周りを通る時は、コンピュータ車両の速度を維持することができる。しかし、車両のコンピュータが減少したセンサーの領域又は現在のセンサー場を決定した場合、コンピュータは、車両のセンサー場がトラック730の近くにある物体を検出できた時、その物体を避けるのに必要なあらゆる行動を取るために必要な十分な時間を車両に与えることができるように、車両を減速させることができる。
【0051】
同様に、
図8Aの実施例では、カートがもはやカメラセンサーを信頼できなくなった場合、ソナーの視野範囲の約3メートル内に物体を検出した場合、カート501を停止、又は物体の側方をすり抜けさせるために必要な十分な時間をカート501に与えることができるように、カートは急減速することができる。カートのセンサー場がカメラの視野に限定されている場合、
図8Bに示すように、カート501は、向きを帰る前に再度急減速することができる。この例では、カートが、ソナー検出装置の効果がなくなる前に速度を維持しようとしていた場合、カート501は速度を維持すること、少し減速させること、又は速度を上げることもできる。
【0052】
自律走行車両のコンピュータは、連続的に又は周期的に、センサー場が変化したので対策を講じるか、又は、コントロール方針をそれに従い変更するかを判断する。例えば、
図7Aに戻って、車両301が道路の曲がり角を通り抜けトラック710を通過した場合、車両のコンピュータは、元のコントロール方針に戻り、再び速度を上げることができる。同様に、(
図8Aの)カート501が、光880がカメラセンサーに同様の作用をもはや及ぼさなくなる影の領域に入った場合、カートのコンピュータは、再び物体を検出するカメラを信頼し、元のコントロール方針に戻り、再び速度を上げることができる。この速度及び操縦の調整とコントロール方針の変更は、領域の減少又は車両の現在のセンサー場に基づいて連続的に生じさせることができる。
【0053】
図9のフロー線
図900は、上述した自律走行車両制御のもう1つの例である。車両のコンピュータは、ブロック910で、コントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールする。ブロック920で、自律走行車両のセンサーの1つ以上の視野に基づきセンサー場を特定する。センサー場における物体及びその位置がブロック930で検出される。例えば、1以上のセンサーからのデータは、物体及びその位置を特定するために車両のコンピュータにより受け取られ処理されることが可能となる。センサーによる検知が狭まった領域は、ブロック940で、センサー場との相対的な物体の位置に基づき計算される。次に、新しいコントロール方針が、ブロック950で、現在のセンサー場に基づき定められる。そして、コンピュータは、ブロック960で、センサーによる検知が狭まった領域に基づき車両の方向と速度をコントロールする。次いで、コンピュータは、ブロック970で、センサー場が狭まっている状態が続いているかどうかを判断する。センサー場が狭まっている状態が続いている場合は、コンピュータは、ブロック980で、新しいコントロール方針を維持し、又は、必要に応じてコントロール方針を調整し、ブロック970に戻ることができる。車両のセンサー場がもはや狭まってはいないと判断された場合は、コンピュータは、ブロック990で、再び元のコントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールし、新しい物体が発見されたときブロック930にもどる。
【0054】
図10のフロー線
図1000は、上述した自律走行車両制御のさらにもう1つの例である。車両のコンピュータは、ブロック1010で、コントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールする。ブロック1020で、自律走行車両の1つ以上のセンサーの視野に基づきセンサー場を特定する。センサー場における物体及びその位置がブロック1030で検出される。例えば、1つ以上のセンサーからのデータは、物体及びその位置を特定するために車両のコンピュータにより受け取られ処理されることが可能となる。現在のセンサー場は、ブロック1040で、センサー場との相対的な物体の位置に基づき計算される。新しいコントロール方針が、ブロック1050で、現在のセンサー場に基づき定められる。コンピュータは、ブロック1060で、新しいコントロール方針に基づき車両の方向と速度をコントロールする。次に、コンピュータは、ブロック1070で、センサー場が狭まっている状態が続いているかどうかを判断する。センサー場が狭まっている状態が続いている場合は、コンピュータは、ブロック1080で、必要に応じて、新しいコントロール方針を維持し、又は、コントロール方針を調整し、ブロック1070に戻ることができる。車両のセンサー場がもはや狭まってはいないと判断された場合は、コンピュータは、ブロック1090で、再び元のコントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールし、新しい物体が発見されたときブロック1030にもどる。
【0055】
図11のフロー線
図1100は、上述した自律走行車両制御のさらなる例である。車両のコンピュータは、ブロック1110で、コントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールする。ブロック1120で、自律走行車両のセンサーの1つ以上の視野に基づきセンサー場を特定する。1以上のセンサーの識別力の変化を1130で特定する。例えば、1以上のセンサーからのデータが信頼できないことを示す1以上のセンサーからのデータが、車両のコンピュータにより受け取られ処理されることが可能となる。次いで、新しいコントロール方針が、ブロック1140で、この変化に基づき定められる。そして、コンピュータは、ブロック1150で、新しいコントロール方針に基づき車両の方向と速度をコントロールすることができる。コンピュータは、ブロック1160で、この変化がまだ有効かどうかを、例えば、センサーからの付加的なデータを受け取ることにより判断する。変化が続いている場合は、コンピュータは、ブロック1170で、必要に応じて、新しいコントロール方針を維持し、又は、コントロール方針を調整し、ブロック1160に戻ることができる。変化がもはや存在しないとコンピュータが判断した場合は、コンピュータは、ブロック1180で、再び元のコントロール方針に基づき自律走行車両をコントロールし、新しい物体が発見されたときブロック1130にもどる。
【0056】
上述の特徴のこれらの及び他の変形及び組み合わせは、特許請求の範囲で定義した対象から離れることなく利用することができるので、これまで説明した典型的な実施の形態は、特許請求の範囲で定義した発明を限定するものではなく、概説するためにものであると理解すべきである。当然のことながら、ここに記載した例示的な実施の形態(及び、「のような」、「例えば」、「含む」、のような語句)は、権利化を要求する対象を特定の実施例に限定するものと解釈すべきでなく、実施例は多くの形態の一部を概説するためのものである。