特許第6468912号(P6468912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6468912円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置及びそれに用いるガイド装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6468912
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置及びそれに用いるガイド装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 1/14 20060101AFI20190204BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20190204BHJP
   B23B 45/14 20060101ALI20190204BHJP
   B23B 45/02 20060101ALI20190204BHJP
   B23B 47/18 20060101ALI20190204BHJP
   B28D 7/00 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   B28D1/14
   G01N33/38
   B23B45/14
   B23B45/02
   B23B47/18 C
   B28D7/00
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-68946(P2015-68946)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-187921(P2016-187921A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】常本 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】奈良場 勇人
(72)【発明者】
【氏名】清水 政利
(72)【発明者】
【氏名】大竹 由行
(72)【発明者】
【氏名】金谷 雄大
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−181409(JP,U)
【文献】 特開2014−008586(JP,A)
【文献】 特開昭57−048410(JP,A)
【文献】 特開2001−145917(JP,A)
【文献】 実開平03−106002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/14
B23B 45/02
B23B 45/14
B23B 47/18
B28D 7/00
G01N 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、本体の一端側に設けられるドリルチャックと、本体の他端側に設けられるハンドルと、ドリルチャックに基端側が着脱自在に固定されるドリルビットと、を具備するピストルグリップ式の電動ドリルと、
前記電動ドリルの本体に着脱自在に装着され、被検体である円柱状コンクリート柱の円弧状表面に電動ドリルの本体を支持し、被検体の円弧状表面への前記ドリルビットの穿孔方向と穿孔深さを規制するガイド部材組立体とを具備し、
前記ガイド部材組立体は、前記電動ドリルの本体を把持するクランプ部材と、このクランプ部材に固定され先端側に前記ドリルビットの先端側を所定長さ突出させるように前記ドリルチャックと前記ドリルビットとを相対回転自在に貫通させる貫通部を有するビットカバー組立体と、当該ビットカバー組立体の貫通部を中心にそれの四囲を等距離で囲むように配置されそれぞれ前記ビットカバー組立体から前記ドリルビットの軸線方向に伸縮自在に延出して先端が被検体の円弧状表面へ押し当てられる4つの支持脚を有する伸縮脚組立体と、を具備し、
前記ビットカバー組立体は、基端側が前記クランプ部材に固定される筒状のカバー本体と、当該カバー本体の先端側に前記ドリルビットの突出長さを変更できるようにドリルビットの軸線方向の相対位置を調整自在に螺合される調整ヘッドと、を具備し、
前記伸縮脚組立体の4つの支持脚は、前記ビットカバー組立体に対して前記ドリルビットの軸線方向にそれぞれ等距離を保って一体に伸縮するように設けられることを特徴とする円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置。
【請求項2】
前記伸縮脚組立体は、前記カバー本体を中心にそれの四囲を囲むように前記クランプ部材から前記ドリルビットの軸線方向に延出する4本のガイドピンと、これらのガイドピンをそれぞれ軸線方向摺動自在に受け入れ当該ガイドピンの先端との間にばねを保持して互いに一体に結合された前記支持脚としての4本の支柱シリンダとを具備し、
前記支柱シリンダの先端には、被検体コンクリート面へ押し当てられる尖端部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置。
【請求項3】
前記クランプ部材は、前記電動ドリル本体の前端部外周を包囲するように固定され、
前記カバー本体は、前記ドリルチャックの外周を間隔を置いて包囲する大径筒部と、この大径筒部の先端側に連続して前記ドリルビットの外周を間隔を置いて包囲する小径筒部と、大径筒部の基端側外周に拡がり四隅部に前記ガイドピンの基端側を螺合させるねじ孔を有する取り付け板部と、小径筒部の先端側外周に形成される雄ねじ部とを具備し、取り付け板部において前記クランプ部材にねじ止めされ、
前記調整ヘッドは、前記カバー本体の雄ねじ部に軸線方向の相対位置を調整自在に螺合する雌ねじ部を内周に有する接続筒部を具備し、
前記ガイドピンは、基端部に前記取り付け板部のねじ孔に螺合固定されるねじ部を有する小径部と、この小径部の先端側に段部を介して連続する大径部とを具備し、
前記支柱シリンダは、前記ガイドピンの大径部を摺動自在に受け入れるシリンダ本体と、前記ガイドピンの小径部を貫通させ大径部を抜け止めするようにシリンダ本体の基端側に螺合固定される蓋リングとを具備し、前記調整ヘッドを自由に挿通させる開口を中央に有する連結板により先端側において互いに一体に結合されることを特徴とする請求項2に記載の円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置。
【請求項4】
前記クランプ部材には、一方の手で前記電動ドリル本体の先端側を支持するためのグリップ部材が取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリル装置。
【請求項5】
本体と、本体の一端側に設けられるドリルチャックと、本体の他端側に設けられるハンドルと、ドリルチャックに基端側が着脱自在に固定されるドリルビットと、を具備するピストルグリップ式の電動ドリルに着脱自在に取り付けられるガイド装置であって、
前記電動ドリルの本体を把持するクランプ部材と、
このクランプ部材に固定され、先端側に前記ドリルビットの先端部を所定長さ突出させるように前記ドリルチャックと前記ドリルビットとを相対回転自在に貫通させる貫通部を有するビットカバー組立体と、
前記ビットカバー組立体の貫通部を中心にそれの四囲を等距離で囲むように配置されそれぞれ前記ビットカバー組立体から前記ドリルビットの軸線方向に伸縮自在に延出する伸縮脚組立体と、を具備し、
前記ビットカバー組立体は、基端側が前記クランプ部材に固定される筒状のカバー本体と、当該カバー本体の先端側に前記ドリルビットの突出長さを変更できるようにドリルビットの軸線方向の相対位置を調整自在に螺合される調整ヘッドと、を具備し、
前記伸縮脚組立体は、先端が被検体である円柱状コンクリート柱の円弧状表面へ押し当てられる4つの支持脚を有し、
これら4つの支持脚は、前記ビットカバー組立体に対して前記ドリルビットの軸線方向にそれぞれ等距離を保って一体に伸縮するように設けられることを特徴とする円柱状コンクリート柱の中性化測定用ドリルのガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の中性化深さを測定するためのドリル孔を形成するドリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物の中性化深さをドリル孔を利用して測定する方法が特許文献1に提案されている。この方法は、ドリルによりコンクリート構造物の表面から所定深さに削孔し、このドリル孔の内表面にフェノールフタレイン溶液を付着させて非中性化部分を発色させ、ハンドライトによってドリル孔の内部を照射すると共に、ドリル孔内にノギスを挿入してフェノールフタレイン溶液の発色部と非発色部との境界の位置からコンクリート構造物の表面までの距離を測定して中性化深さを求めるものである。
一方、回転ドリル工具における垂直孔穿設用補助具として、特許文献2に記載されたものが提案されている。この補助具は、回転ドリル工具に付設する止着部を設け、この止着部に取付枠を固定し、この取付枠に回転ドリル工具の先端に着脱自在に装着されるドリル刃の軸芯と平行に支承杆を設け、支承杆に対し取付枠を摺動可能に設け、支承杆に発条を被嵌して止着部を支承杆に対して一方向に摺動させた際該止着部が該発条の復元力により復帰動するように設け、支承杆の先端に支承杆と直交する当接板を付設し、該当接板にドリル刃の先端が貫挿される窓孔を設け、ドリル刃が被加工物に入り込んでいく際ドリル刃の被加工物に対する進入を阻止するストッパー杆を支承杆と平行に設け、ドリル刃の先端とストッパー杆の先端との差を測定する測定杆をストッパー杆及びドリル刃と平行にして摺動自在に設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230383号公報
【特許文献2】実開平4−86108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコンクリート構造物の中性化深さを測定するためのドリル孔を形成する装置として、上記従来の垂直孔穿設用補助具を用いようとする場合、被検体であるコンクリート構造物の表面が平面であるときは、適切な穿孔ができるが、被検体がコンクリート柱のような曲面を持つものであるときには、当接板が曲面に対して定位置に固定できず、ドリルビットの進入角度が定まらないという問題点がある。
したがって、本発明は、被検体の表面が平面であっても、曲面であっても、表面に対して垂直に穿孔することができる、コンクリート構造物の中性化深さ測定専用のドリル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明のドリル装置1は、電動ドリル2と、電動ドリル2の本体4に着脱自在に装着されるガイド部材組立体3とを具備する。ガイド部材組立体3は、被検体コンクリート面に電動ドリル2の本体4を支持し、被検体コンクリートへのドリルビット7の穿孔方向と穿孔深さ規制する。ガイド部材組立体3は、電動ドリル2の本体4を把持するクランプ部材8と、ドリルチャック5とドリルビット7とを相対回転自在に貫通させるビットカバー組立体9と、ドリルビット7の軸線方向に伸縮自在に延出して先端が被検体コンクリート面へ押し当てられる伸縮脚組立体10とを具備する。ビットカバー組立体9は、基端側がクランプ部材8に固定される筒状のカバー本体15と、カバー本体15の先端側にドリルビット7の突出長さを変更できるように相対位置を調整自在に螺合される調整ヘッド16とを具備する。伸縮脚組立体10は、ビットカバー組立体9を中心にそれの四囲を囲むようにクランプ部材8からドリルビット7の軸線方向に伸縮自在に延出する4つの支持脚26を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のドリル装置によれば、コンクリート柱のように表面が曲面である被検体に対しても、4つの支持脚の先端が当接すれば、確実にその表面に対して所望深さの垂直の孔を開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るドリル装置の正面図である。
図2図1のドリル装置の側面図である。
図3図1のドリル装置の一部の平面図である。
図4図1のドリル装置におけるガイド部材組立体の正面図である。
図5図1のドリル装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ドリル装置1は、電動ドリル2と、電動ドリル2に着脱自在に装着されるガイド部材組立体3とを具備する。
【0009】
電動ドリル2は、ピストルグリップ式のもので、本体4と、本体4の一端側に設けられるドリルチャック5と、本体4の他端側に設けられるハンドル6と、ドリルチャック5に着脱自在に固定されるドリルビット7とを具備する。
【0010】
ガイド部材組立体3は、被検体であるコンクリート構造物Sの表面に電動ドリル2の本体4を支持し、被検体Sへのドリルビット7の穿孔方向と穿孔深さを規制する。ガイド部材組立体3は、クランプ部材8と、ビットカバー組立体9と、伸縮脚組立体10とを具備する。
【0011】
クランプ部材8は、本体4の円柱形先端部4aを上下に把持する上部材11と下部材12とを具備する。下部材12からは、一方の手で前記電動ドリル本体4の先端側を支持するためのグリップ部材13が延出する。上下部材11,12間は、ねじ14で締め付けられる。
【0012】
ビットカバー組立体9は、それぞれ概略筒状のカバー本体15と調整ヘッド16とを具備する。ビットカバー組立体9は、ドリルチャック5とドリルビット7とを相対回転自在に貫通させるように、カバー本体15の基端側においてクランプ部材8に固定される。調整ヘッド16は、カバー本体15の先端側に、ドリルビット7の突出長さを変更できるように、相対位置を調整自在に螺合される。
【0013】
カバー本体15は、大径筒部17と、小径筒部18と、取り付け板部19とを具備する。大径筒部17は、ドリルチャック5の外周を間隔を置いて包囲する。小径筒部18は、大径筒部17の先端側に連続し、ドリルビット7の外周を間隔を置いて包囲する。小径筒部18の外周には、雄ねじ部18aが形成される。取り付け板部19は、大径筒部17の基端側外周にほぼ矩形状に拡がり、四隅部にガイドピン27の基端側を螺合させるねじ孔21を有する。カバー本体15は、取り付け板部19において、フランジ付きブッシング23を介して、クランプ部材8にねじ20で固定される。
【0014】
調整ヘッド16は、接続筒部24と、それの先端の内側フランジ部25とを具備する。接続筒部24の内周には、カバー本体17の雄ねじ部18aに軸線方向の相対位置を調整自在に螺合する雌ねじ部24aを具備する。
【0015】
伸縮脚組立体10は、ビットカバー組立体9を中心に、それの四囲を囲むようにクランプ部材8からドリルビット7の軸線方向に伸縮自在に延出する4つの支持脚26を有する。支持脚26は、4本のガイドピン27と、これらのガイドピン27をそれぞれ軸線方向摺動自在に受け入れる4本の支柱シリンダ28とを具備する。
【0016】
ガイドピン27は、小径部29と、この小径部29の先端側に段部30を介して連続する大径部31とを具備する。小径部29の基端部に取り付け板部19のねじ孔21に螺合固定されるねじ部32を有する。
【0017】
支柱シリンダ28は、シリンダ本体33と、蓋リング34とを具備し、先端側において連結板36により、互いに一体に結合される。シリンダ本体33は、内部にばね35を保持して先端が閉塞し、ガイドピン27の大径部31を摺動自在に受け入れる。蓋リング34が、シリンダ本体33の基端側に螺合固定される。蓋リング34は、ガイドピン27の小径部29を自由に貫通させ、大径部31を抜け止めする。支柱シリンダ28の先端には、被検体コンクリート面へ押し当てられる尖端部37が形成される。連結板36は、調整ヘッド16を自由に挿通させる開口38を中央に有する。
【0018】
ドリル装置1を用いてコンクリート構造物Sの中性化を測定するための所定深さの孔を開ける場合には、調整ヘッド16をカバー本体15に対して螺合調整して、ドリルビット7の突出長さを適宜設定する。ハンドル6とグリップ部材13を握って、4つの支柱シリンダ28の尖端部37をコンクリート構造物Sの面に当接させることにより、ドリルビット7を面に垂直に配置する。構造物Sの面が湾曲面であっても、容易にドリルビット7を位置決めすることができる。尖端部37がコンクリート構造物Sの表面に食い込むので、孔開け作業中、ドリル装置1をコンクリート構造物Sに安定して固定することができる。ドリルビット7がコンクリート構造物Sに対して、その突出長さ分だけ穿孔すると、調整ヘッド16の先端がコンクリート構造物Sの表面に当接するので、常に一定深さの孔を容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 ドリル装置
2 電動ドリル
3 ガイド部材組立体
4 ドリル本体
4a 円柱形先端部
5 ドリルチャック
6 ハンドル
7 ドリルビット
8 クランプ部材
9 ビットカバー組立体
10 伸縮脚組立体
11 上部材
12 下部材
13 グリップ部材
14 ねじ
15 カバー本体
16 調整ヘッド
17 大径筒部
18 小径筒部
19 取り付け板部
20 ねじ
21 ねじ孔
23 フランジ付きブッシング
24 接続筒部
24a 雌ねじ部
25 内側フランジ部
26 支持脚
27 ガイドピン
28 支柱シリンダ
29 小径部
30 段部
31 大径部
32 ねじ部
33 シリンダ本体
34 蓋リング
35 ばね
36 連結板
37 尖端部
38 開口
S コンクリート構造物
図1
図2
図3
図4
図5