(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に電子回路を有すると共にラックに対して一方向に挿抜可能に収容される筐体と、前記筐体を前記ラックに収容した状態で外部に露出する前記筐体の正面板側に配されて前記電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチと、前記ラックの外側に向く前記正面板の一方の主面に配される取っ手と、を備え、
前記切換スイッチが、前記電子回路を導通状態とする導通位置と、前記電子回路を非導通状態とする非導通位置との間で移動可能とされ、
前記取っ手が、前記正面板との間に手指を挿入可能な把持可能位置と、前記手指を挿入できない把持不能位置との間で前記正面板の一方の主面に沿う軸を中心に回転可能とされ、
さらに、
前記取っ手を把持不能位置に固定し、かつ、前記切換スイッチの非導通位置から導通位置への切り換え操作を許容する切換許容位置と、前記取っ手の回転移動を許容し、かつ、前記切換スイッチの導通位置への切り換え操作を規制する切換規制位置との間で、移動可能に配される規制部を備え、
前記規制部が切換許容位置に配され、かつ、前記切換スイッチが導通位置に配されている状態で、前記切換スイッチが、前記規制部の切換規制位置への移動を規制する電子機器。
前記取っ手は、前記手指で把持される把持部と、把持部から前記軸まで延びる腕部と、前記規制部に係止することで前記取っ手を把持不能位置に固定するための係止部と、を備え、
前記係止部は、前記腕部のうち前記軸側に位置する端部に配されている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1〜13参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る電子機器10は、ラック1に対して一方向(
図1におけるX方向、挿抜方向とも呼ぶ)に挿抜可能に収容されるものである。本実施形態では、電子機器10の挿抜方向がラック1の前面1aに直交する方向に設定されている。
【0011】
ラック1は、その前面1aに開口する収容部2を有する。
図1において、収容部2は、複数の電子機器10をラック1の高さ方向(Z方向)に並べて収容できるように縦長に形成されているが、これに限ることはない。収容部2は、例えばラック1の幅方向(Y方向)に並べて収容できるように形成されてもよい。
収容部2内には、電子機器10の挿抜方向に延びるガイドレール3が配されている。ガイドレール3は、電子機器10をラック1に対して挿抜する際に電子機器10を一方向(X方向)に摺動させる役割を果たす。
また、収容部2内には、電子機器10に電気接続するためのラック側コネクタ4が配されている。ラック側コネクタ4は、電子機器10を収容部2に収容した状態で、電子機器10に備える機器側コネクタ(不図示)に電気接続される。
【0012】
電子機器10は、
図1〜5,7〜13に示すように、筐体20と、切換スイッチ30と、取っ手40と、を備える。
筐体20は、その内部にラック1と電気接続するための電子回路(不図示)を有する。電子回路は、前述した機器側コネクタ及び切換スイッチ30と電気的に接続されている。筐体20は、ラック1に収容された状態で外部に露出する正面板21を備える。
【0013】
正面板21は平板状に形成されている。筐体20がラック1に収容された状態では、正面板21の前面(一方の主面)21aが外部に露出する。幅方向(Y方向)における正面板21の両端部は、筐体20の他の部分よりも幅方向に張り出している。すなわち、正面板21は、その幅方向の両側において筐体20の他の部分よりも張り出す一対の張出部22を備える。張出部22は正面板21の両端部は、筐体20がラック1に収容された状態においてラック1の前面1aに当接する。
【0014】
切換スイッチ30は、筐体20内部の電子回路の導通/非導通状態を切り換えるものであり、電子回路を導通状態とする導通位置30B(
図10〜13参照)と、電子回路を非導通状態とする非導通位置30A(
図2〜5,7〜9参照)との間で移動可能とされている。切換スイッチ30は、筐体20内に配されると共に、正面板21に形成された開口部23を介して、外部に露出する。
【0015】
本実施形態の切換スイッチ30は、筐体20に対して揺動可能に設けられたシーソースイッチである。切換スイッチ30は、
図5,13に示すように、導通位置30Bに配された状態で基準面30aから突出する第一突起部31と、非導通位置30Aに配された状態で基準面30aから突出する第二突起部32と、を備える。基準面30aは、正面板21の背面(他方の主面)21bに間隔をあけて対向する切換スイッチ30の面である。
第一突起部31及び第二突起部32は、ラック1や筐体20の高さ方向(Z方向)に配列され、第一突起部31が上側、第二突起部32が下側に配されている。また、第一突起部31や第二突起部32は、基準面30aから突出した状態であっても、正面板21の前面21aから突出しない、特に本実施形態では正面板21の開口部23に入り込まない。
【0016】
本実施形態では、例えば
図5に示すように、第二突起部32が基準面30aから突出した状態において、第二突起部32を基準面30aに向けて押すことで、
図13に示すように、第二突起部32が基準面30aから突出しない位置に移動すると共に第一突起部31が基準面30aから突出する位置に移動するように、切換スイッチ30が揺動する。すなわち、切換スイッチ30が非導通位置30Aから導通位置30Bに移動し、これによって電子回路が導通状態となる。
切換スイッチ30は、
図1〜4,7〜12に示すように、幅方向(Y方向)において筐体20(正面板21)の一方の端部(
図1において左側の端部)に配されている。また、切換スイッチ30は、筐体のうち幅方向において正面板21の張出部22よりも内側の部位に配されている。
【0017】
取っ手40は、ラック1に対する電子機器10の挿抜作業時に作業者が把持する(掴む)部分であり、筐体20の幅方向の両端部に一対配されている。以下の説明では、
図2〜4,7〜12に示すように筐体20の幅方向の一方の端部に配された一方の取っ手40を参照して説明するが、筐体20の他方の端部に配された他方の取っ手40も同様に構成されてよい。
【0018】
取っ手40は、筐体20をラック1に収容した状態でラック1の外側に向く正面板21の前面21aに配される。
取っ手40は、筐体20に対して、正面板21との間に作業者の手指を挿入可能な把持可能位置40A(
図2〜4参照)と、手指を挿入できない把持不能位置40B(
図7〜12参照)との間で、正面板21の前面21aに沿う軸L1を中心に回転可能とされている。以下、本実施形態の取っ手40について具体的に説明する。
【0019】
取っ手40を正面板21に対して回転可能とする軸L1は、例えば蝶番によって構成されてもよいが、本実施形態では、正面板21の前面21aとの間に間隔をあけて配される柱状の軸体部51によって構成されている。
軸体部51は、取っ手40を正面板21に対して回転可能に連結する。軸体部51は、正面板21の前面21aに沿って延びている。本実施形態において、軸体部51は、ラック1や筐体20の高さ方向(Z方向)に延びている。すなわち、本実施形態における軸L1は筐体20の高さ方向に延びる。軸体部51は、正面板21の前面21aから突出する延出部52を介して正面板21に固定されている。図示例において、軸体部51はその延在方向に二つに分けて配されているが、これに限ることはない。
【0020】
本実施形態の取っ手40は、軸体部51(軸L1)と間隔をあけた位置に配され、手指で把持される把持部41と、把持部41から軸体部51(軸L1)まで延びる腕部42と、を備える。
把持部41は、軸体部51に平行するように筐体20の高さ方向に延びている。把持部41は、例えば棒状に形成されてもよいが、本実施形態では平板状に形成されている。平板状の把持部41は、その主面(把持部41のうちその板厚方向に直交する面)が軸体部51の径方向に直交するように配される。
【0021】
腕部42は、その延在方向先端部において軸体部51に接続される。腕部42は、例えば棒状に形成されてもよいが、本実施形態では、平板状に形成されている。軸体部51は、平板状の腕部42をその板厚方向に貫通するように腕部42に取り付けられている。また、本実施形態において、腕部42は把持部41の延在方向の両端に配されている。二つの腕部42は、二つに分けて配された軸体部51にそれぞれ接続されている。
本実施形態において、腕部42は、筐体20の高さ方向(Z方向)において軸体部51や延出部52よりも外側に位置する。すなわち、軸体部51や延出部52は、筐体20の高さ方向(Z方向)において二つの腕部42の間に位置する。
【0022】
上記構成の取っ手40が
図2〜4に示す把持可能位置40Aに配された状態では、腕部42が軸体部51に対して正面板21の前面21aから離れる方向に延びる。本実施形態において、腕部42は、正面板21の前面21aに対して直交する方向に延びる。これにより、把持部41が正面板21の前面21aに対して離れて位置する。この状態では、正面板21の前面21aと把持部41との隙間に作業者の手指を挿入できる程度に、当該隙間が広がる。
一方、取っ手40が
図7〜12に示す把持不能位置40Bに配された状態では、腕部42が軸体部51に対して正面板21の前面21aに沿う方向に延びる。本実施形態において、腕部42は、幅方向において筐体20の外側に延びる。これにより、把持部41が正面板21の前面21aの近くに位置する。この状態では、正面板21の前面21aと把持部41との隙間に作業者の手指を挿入できない程度に、当該隙間が狭くなる、又は、無くなる。
【0023】
さらに、本実施形態の取っ手40は、
図2〜4,7〜12に示すように、後述する規制部60に係止することで取っ手40を把持不能位置40Bに固定するための係止部43を備える。
係止部43は、腕部42のうち軸体部51(軸L1)側の端部に配される。すなわち、係止部43は、把持部41との間に腕部42や軸体部51が位置するように配される。
本実施形態において、係止部43は、把持部41と同様に、軸体部51に平行するように筐体20の高さ方向に延びている。係止部43の延在方向の両端は、前述した二つの腕部42に接続されている。これにより、把持部41、二つの腕部42及び係止部43は、全体で矩形環状に形成されるように配列されている。
【0024】
係止部43は、取っ手40が
図7〜12に示す把持不能位置40Bに配された状態で、筐体20の幅方向において軸体部51と規制部60との間に位置するように配される。また、係止部43は、取っ手40が
図2,4に示す把持可能位置40Aに配された状態で、正面板21の板厚方向において正面板21の前面21aと軸体部51との間に配される。
【0025】
係止部43には、これを貫通して形成され、規制部60を挿通させるための挿通孔44が形成されている。挿通孔44の貫通方向は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、筐体20の幅方向に一致し、取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態で、正面板21の板厚方向に一致する。
後述する規制部60は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態でのみ、係止部43の挿通孔44に挿通させることができる。規制部60が係止部43の挿通孔44に挿通されることで、係止部43が規制部60に係止され、取っ手40の回転移動が規制部60によって規制される、すなわち、取っ手40を把持不能位置40Bに固定することができる。
【0026】
本実施形態において、上記した係止部43は板状に形成されている。係止部43の板厚方向は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で筐体20の幅方向に一致する。すなわち、挿通孔44は係止部43の板厚方向に貫通して形成される。
また、挿通孔44は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、正面板21の前面21a側に開口するように形成されている。すなわち、本実施形態の挿通孔44は、板状の係止部43の縁部から窪むように形成されている。これにより、取っ手40が把持不能位置40Bに配され、かつ、規制部60が係止部43の挿通孔44に挿通された状態では、規制部60が正面板21の前面21aと係止部43との間に挟み込まれる。
【0027】
さらに、
図2〜4,7〜12に示すように、本実施形態の取っ手40は、カバー部45を有する。カバー部45は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で固定ネジ53を覆うものである。
固定ネジ53は、正面板21の板厚方向に挿通され、筐体20がラック1に収容された状態でラック1に螺着することで正面板21をラック1に固定するものである。固定ネジ53は、正面板21の張出部22に挿通される。固定ネジ53は、ラック1のうち筐体20がラック1に収容された状態で正面板21が当接する部位(当接部位5)に螺着される。本実施形態において、ラック1の当接部位5は、電子機器10の挿抜方向(X方向)を板厚方向とする板状に形成されている。
【0028】
カバー部45は、取っ手40が
図7〜12に示す把持不能位置40Bに配された状態で固定ネジ53を覆う位置に配され、取っ手40が
図2〜4に示す把持可能位置40Aに配された状態で固定ネジ53の外部への露出を阻害しない位置に配されるように、取っ手40の把持部41や腕部42に接続される。カバー部45は、少なくとも取っ手40の把持部41及び腕部42の一方に接続されていればよいが、本実施形態では、把持部41及び腕部42の両方に接続されている。
【0029】
カバー部45は、任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では、板状に形成されている。板状のカバー部45は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、カバー部45の板厚方向が正面板21の板厚方向に一致するように、張出部22をなす正面板21の前面21aに対して間隔をあけて配される。また、板状のカバー部45は、取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態で、カバー部45のカバー部45の板厚方向が筐体20の幅方向に一致するように、筐体20の幅方向において固定ネジ53と規制部60との間に配される。また、板状のカバー部45は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、軸体部51や延出部52も覆う。
【0030】
上記した板状のカバー部45に対し、把持部41や腕部42は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、正面板21の前面21aとカバー部45との間に配される。また、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、把持部41は筐体20の幅方向において張出部22に挿通された固定ネジ53よりも筐体20の外側に位置する。また、腕部42は筐体20の高さ方向(Z方向)において固定ネジ53の両側に位置する。
また、把持部41及び腕部42は、取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態で、固定ネジ53の外部への露出を阻害しない位置に配される。本実施形態では、把持可能位置40Aに配された把持部41が固定ネジ53の露出を阻害しないように、把持部41に切欠き46が形成されている(
図2〜4参照)。
【0031】
本実施形態において、把持部41の切欠き46は、
図9,12に示すように、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、把持部41と正面板21の前面21aとの間に隙間ができるように形成されている。切欠き46は、例えば把持部41と正面板21の前面21aとの隙間の大きさが手指を挿入できない程度に形成されてもよいが、これに限ることはない。正面板21の前面21aには、例えば、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で切欠き46を塞ぐ閉塞壁部54が配されてもよい。
閉塞壁部54は、切欠き46全体を塞いでもよいが、例えば手指を切欠き46に挿入できない程度に切欠き46の一部を塞いでもよい。本実施形態において、閉塞壁部54は保護カバー55の一部を構成している。
【0032】
図2〜4,7〜12に示すように、保護カバー55は、正面板21の前面21aに配され、取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態であっても、正面板21の前面21a側に位置する固定ネジ53の部位(固定ネジ53の頭)を保護するものである。
保護カバー55のうち正面板21の前面21aに対向して配される部位には、固定ネジ53を操作する工具(ドライバーや六角レンチなど)を固定ネジ53に到達させるための操作用孔56が形成されている。保護カバー55は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、固定ネジ53と共にカバー部45を含む取っ手40によって覆われる。
【0033】
以上のように構成される本実施形態の取っ手40は、開口部を有する箱状に形成されている。箱状の取っ手40は、平面視矩形状に形成された底板部と、底板部の周縁に立設される四つの側板部と、を備える。
底板部は、前述した取っ手40のカバー部45を構成する。四つの側板部のうち、軸L1方向に対向する一対の第一側板部は、前述した取っ手40の腕部42を構成する。また、四つの側板部のうち、軸L1方向に直交する一対の第二側板部は、前述した取っ手40の把持部41及び係止部43を構成する。
【0034】
本実施形態の電子機器10は、上記した取っ手40を少なくとも把持可能位置40Aに保持する保持部70を備える。本実施形態の保持部70は、取っ手40を把持可能位置40A及び把持不能位置40Bに保持するように構成される。保持部70は、把持可能位置40Aや把持不能位置40Bに配された取っ手40に所定以上の力が作用した際に把持可能位置40Aや把持不能位置40Bから回転移動するように構成されるとよい。
保持部70は、
図6に示すように、筐体20及び取っ手40の一方に配される挿入部71と、筐体20及び取っ手40の他方に形成され、挿入部71の一部が挿入される凹部72と、挿入部71を凹部72内に向けて付勢する付勢部73と、を備える。本実施形態においては、挿入部71が筐体20に配され、凹部72が取っ手40に形成されている。
【0035】
挿入部71は、球体であり、延出部52を介して筐体20に固定された有底の筒部74内に収容されている。筒部74は、その軸方向が筐体20の高さ方向(Z方向)に向くように、かつ、筒部74の開口が取っ手40の腕部42に対向するように配されている。挿入部71は、筒部74内おいて筐体20の高さ方向(Z方向)に移動可能とされている。
【0036】
付勢部73は、挿入部71を筒部74の開口に向けて付勢する。筒部74の開口には、挿入部71の一部だけを筒部74の開口から突出することを許容するが、挿入部71が筒部74から完全に抜け出すことを防ぐ抜け止め部75が配されている。抜け止め部75はリング状に形成され、抜け止め部75の内径寸法は、挿入部71の直径よりも小さく設定されている。
【0037】
凹部72は、取っ手40の腕部42に形成されている。凹部72は、腕部42のうち筒部74の開口が対向する面から窪んで形成されている。凹部72は、例えば有底であってもよいが、本実施形態では腕部42を貫通して形成されている。凹部72は、
図2〜4に示すように、腕部42のうち取っ手40が把持可能位置40Aや把持不能位置40Bに配された状態で挿入部71や筒部74に対向する部位に形成されている。すなわち、取っ手40が把持可能位置40Aや把持不能位置40Bに配された状態では、
図6に示すように、挿入部71の一部が凹部72に挿入される。
【0038】
図2〜5,7〜13に示すように、本実施形態の電子機器10は、電子機器10とラック1との間に電流が流れている状態(活線状態)で電子機器10がラック1から引き抜かれることを防ぐことを目的としたインターロック構造を備える。本実施形態のインターロック構造は、規制部60を備える。
【0039】
規制部60は、取っ手40を把持不能位置40Bに固定し、かつ、切換スイッチ30の非導通位置30Aから導通位置30Bへの切り替え操作を許容する切換許容位置60B(
図10〜13参照)と、取っ手40の回転移動を許容し、かつ、切換スイッチ30の導通位置30Bへの切り替え操作を規制する切換規制位置60A(
図2〜5,7〜9参照)との間で、移動可能に配される。
また、切換スイッチ30は、規制部60が切換許容位置60Bに配され、かつ、切換スイッチ30が導通位置30Bに配されている状態で、規制部60の切換規制位置60Aへの移動を規制する。
また、本実施形態において、取っ手40は、規制部60が切換規制位置60Aに配され、かつ、取っ手40が把持不能位置40Bに配されている状態で、規制部60の切換許容位置60Bへの移動を規制する。
以下、本実施形態の規制部60について具体的に説明する。
【0040】
本実施形態において、規制部60は、正面板21に対して、主に切換スイッチ30と取っ手40との間において筐体20の幅方向に移動可能に配されている。
本実施形態の規制部60は、正面板21の背面側に配されるスイッチ規制部61と、正面板21の前面21a側に配される取っ手規制部62と、を備える。スイッチ規制部61及び取っ手規制部62は、例えば一体に形成されてもよいし、別個に形成された上で互いに固定されてもよい。
【0041】
スイッチ規制部61は、切換スイッチ30の非導通位置30Aから導通位置30Bへの切り替え操作を規制するように構成されている。
本実施形態のスイッチ規制部61は、切換スイッチ30の基準面30aと正面板21の背面21bとの隙間に入り込むことが可能な板状に形成されている。スイッチ規制部61は、上記隙間のうち、切換スイッチ30の第一突起部31が基準面30aから突出する領域に入り込むように正面板21の背面21b側に配される。
【0042】
スイッチ規制部61は、切換スイッチ30の非導通位置30Aから導通位置30Bへの切り替え操作を許容する位置(規制部60の切換許容位置60B)と、切換スイッチ30の導通位置30Bへの切り替え操作を規制する位置(規制部60の切換規制位置60A)との間で、正面板21の背面21bに沿って筐体20の幅方向に移動可能とされている。
【0043】
スイッチ規制部61は、
図2〜5,7〜9に示すように規制部60が切換規制位置60Aに配された状態において、非導通位置30Aに配された切換スイッチ30に対し、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動方向前側に位置する。具体的には、スイッチ規制部61が、切換スイッチ30の基準面30aと正面板21の背面21bとの隙間に入り込んで、基準面30aから突出しない位置に配された第一突起部31上の位置に配される。この状態では、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させようとしても、切換スイッチ30の第一突起部31がスイッチ規制部61に当接するため、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動させることができない。
【0044】
スイッチ規制部61は、
図10〜13に示すように規制部60が切換許容位置60Bに配された状態において、導通位置30Bと非導通位置30Aとの間で移動する切換スイッチ30の作動領域から外れて位置する。具体的には、スイッチ規制部61が、第一突起部31上から離れ、切換スイッチ30の第一突起部31が基準面30aから突出する領域に対して筐体20の幅方向に隣り合う位置に配される。この状態では、切換スイッチ30を導通位置30Bと非導通位置30Aとの間で移動させることができる。
【0045】
また、スイッチ規制部61が切換許容位置60Bに配され、かつ、切換スイッチ30が導通位置30Bに配された状態では、切換スイッチ30の第二突起部32が基準面30aから突出して、スイッチ規制部61の切換規制位置60Aへの移動方向前側に位置する。このため、スイッチ規制部61を切換規制位置60Aに移動させようとしても、スイッチ規制部61が第一突起部31の側部に当接し、スイッチ規制部61を切換許容位置60Bから切換規制位置60Aに移動させることはできない。すなわち、導通位置30Bに配された切換スイッチ30は、スイッチ規制部61の切換規制位置60Aへの移動を規制する。
【0046】
図2〜4,7〜12に示すように、取っ手規制部62は、取っ手40の把持不能位置40Bから把持可能位置40Aへの回転移動を規制するように構成されている。
取っ手規制部62は、前述した取っ手40の係止部43に係止される規制部60の部位である。本実施形態において、取っ手規制部62は、
図7〜12に示すように取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、係止部43の挿通孔44に挿通される部位である。取っ手規制部62は、少なくとも係止部43の挿通孔44に挿通可能であれば任意の形状に形成されてよい。本実施形態の取っ手規制部62は、平板状に形成され、その板厚方向が筐体20の高さ方向に一致するように配されている。
【0047】
取っ手規制部62は、取っ手40を把持不能位置40Bに固定する位置(規制部60の切換許容位置60B)と、取っ手40の回転移動を許容する位置(規制部60の切換規制位置60A)との間で、正面板21に対して正面板21の前面21aに沿って移動可能とされている。
【0048】
取っ手規制部62は、
図10〜12に示すように規制部60が切換許容位置60Bに配された状態において、把持不能位置40Bに配された取っ手40の係止部43に係止する。具体的には、取っ手規制部62が係止部43の挿通孔44に挿通される。この状態では、取っ手40を把持不能位置40Bから把持可能位置40Aに向けて回転移動させることができない。すなわち、取っ手40が把持不能位置40Bに固定される。
【0049】
取っ手規制部62は、
図2〜4,7〜9に示すように、規制部60が切換規制位置60Aに配された状態において、取っ手40と干渉しない位置に配される、すなわち、取っ手40の係止部43との係止状態が解除される。この状態では、取っ手40を把持不能位置40Bと把持可能位置40Aとの間で回転移動させることができる。
【0050】
また、
図2〜4に示すように、取っ手規制部62が切換規制位置60Aに配され、かつ、取っ手40が把持可能位置40Aに配された状態では、取っ手40の係止部43やカバー部45が取っ手規制部62の切換規制位置60Aから切換許容位置60Bへの移動方向前側に位置する。このため、取っ手規制部62を切換許容位置60Bに移動させようとしても、取っ手規制部62が取っ手40の係止部43やカバー部45に当接し、取っ手規制部62を切換規制位置60Aから切換許容位置60Bに移動させることはできない。すなわち、把持可能位置40Aに配された取っ手40は、取っ手規制部62の切換許容位置60Bへの移動を規制する。
【0051】
本実施形態の取っ手規制部62は、作業者が規制部60の移動を操作するための操作部63を有する。操作部63の形状は、少なくとも作業者が手指で摘むことが可能な形状に形成されていればよい。本実施形態の操作部63は、把持不能位置40Bに配された係止部43の挿通孔44に挿通されない程度の大きさを有するブロック状に形成されている。
【0052】
さらに、本実施形態の規制部60は、
図4,5,9,12,13に示すように、筐体20の幅方向(筐体20の挿抜方向に直交する方向)に移動することで、筐体20の挿抜方向に沿う筐体20の側面20cに対して出没可能とされた規制用突起部64を備える。
規制用突起部64は、規制部60が切換許容位置60Bに配された状態で筐体20の側面20cから突出する。規制用突起部64は、筐体20の側面20cから突出した状態で正面板21の張出部22に対して筐体20のラック1への挿入方向(X1方向)に間隔をあけた位置に配される。すなわち、規制用突起部64は正面板21の背面21b側に配される。
【0053】
正面板21の張出部22と筐体20の側面20cから突出した規制用突起部64との間隔は、筐体20がラック1に収容された状態で正面板21の張出部22が当接するラック1の当接部位5を正面板21の張出部22と規制用突起部64との間に挟み込むことが可能な大きさに設定される。これにより、規制用突起部64は、筐体20がラック1に収容され、かつ、規制部60が切換許容位置60Bに配された状態で、筐体20がラック1から抜け出すことを防ぐ役割を果たす。
【0054】
上記した規制用突起部64は、規制部60の移動に関わらず切換スイッチ30と干渉しないようにスイッチ規制部61に対して配される。規制用突起部64は、例えばスイッチ規制部61と一体に形成されてもよいし、スイッチ規制部61と別個に形成された上でスイッチ規制部61に固定されてもよい。
【0055】
次に、上記構成の電子機器10の作用について説明する。
例えば電子機器10がラック1に収容された状態において、切換スイッチ30を導通位置30Bに配して電子機器10の電子回路とラック1との間に電流を流す場合には、
図10〜13に示すように、取っ手40を把持不能位置40Bに配した上で、規制部60を切換許容位置60Bに配しておけばよい。
【0056】
この状態においては、取っ手40が取っ手規制部62によって把持不能位置40Bに固定されるため、作業者はその手指を正面板21と取っ手40の把持部41との間に挿入できない。また、取っ手40が把持不能位置40Bに配されることで、固定ネジ53が取っ手40のカバー部45によって覆われるため、固定ネジ53を操作することもできない。さらに、この状態では、正面板21の張出部22と規制部60の規制用突起部64との間にラック1の当接部位5が挟み込まれる。これにより、電子機器10をラック1から引き抜くための作業が阻止される。
【0057】
また、上記状態において、切換スイッチ30が導通位置30Bに配されると、切換スイッチ30の第一突起部31がスイッチ規制部61の切換規制位置60Aへの移動方向前側に位置するため、規制部60が切換許容位置60Bから切換規制位置60Aに移動することも阻止される。したがって、電子機器10の電子回路とラック1との間に電流を流れている状態(活線状態)では、電子機器10をラック1から引き抜く作業を確実に阻止できる。
【0058】
一方、ラック1に収容された電子機器10をラック1から引き抜く場合には、
図5,7〜9に示すように、切換スイッチ30を非導通位置30Aに移動させた上で、規制部60を切換規制位置60Aに移動させればよい。この状態においては、規制部60の規制用突起部64が筐体20内に没入する。これにより、規制用突起部64及び正面板21の張出部22によるラック1の当接部位5の挟み込み状態が解除される。
【0059】
その後、
図2〜4に示すように、取っ手40を把持不能位置40Bから把持可能位置40Aまで回転移動させることで、作業者は、その手指を正面板21と取っ手40の把持部41との間に挿入できる。また、取っ手40が把持可能位置40Aに配されることで、固定ネジ53が外部に露出するため、固定ネジ53を操作することができる。したがって、電子機器10をラック1から引き抜くことができる。
【0060】
また、この状態においては、規制部60のスイッチ規制部61が、切換スイッチ30に対し、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動方向前側に位置する。このため、切換スイッチ30の導通位置30Bへの移動が阻止され、電子機器10の電子回路が導通状態となることを防止できる。
さらに、この状態においては、取っ手40が、取っ手規制部62の切換許容位置60Bへの移動方向前側に位置する。このため、規制部60の切換許容位置60Bへの移動を阻止することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の電子機器10によれば、切換スイッチ30による電子機器10の電子回路の導通状態の切り換え操作、及び、電子機器10をラック1から引き抜く作業の一方のみを許容し、他方を阻止することができる。したがって、電子機器10とラック1との間に電流が流れている活線状態で電子機器10がラック1から引き抜かれることを防止できる。
また、本実施形態の電子機器10によれば、取っ手40が正面板21の前面21aに配されると共に、把持可能位置40Aと把持不能位置40Bとの間で回転可能であるため、取っ手40が筐体20の内部に入り込むことがない。したがって、電子機器10の小型化を容易に図ることができる。
【0062】
また、本実施形態の電子機器10によれば、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、固定ネジ53が取っ手40のカバー部45によって覆われる。このため、固定ネジ53の操作を阻止することができる。すなわち、活線状態で固定ネジ53を操作してラック1に対する筐体20の固定状態の解除を阻止することができる。
また、本実施形態の電子機器10によれば、取っ手40と固定ネジ53とを正面板21の前面21a上に重ねて配することができるため、正面板21の前面21aにおける取っ手40及び固定ネジ53の占有面積を小さくすることができる。したがって、電子機器10の小型化をさらに図ることができる。
【0063】
また、本実施形態の電子機器10によれば、保持部70によって取っ手40を把持可能位置40Aに保持することができる。このため、取っ手40を把持して電子機器10をラック1に対して挿抜する際に取っ手40が不意に回転することを防止できる。したがって、電子機器10を安定した状態で挿抜することができる。
また、本実施形態の電子機器10によれば、保持部70は取っ手40を把持不能位置40Bにも保持する。このため、規制部60が切換規制位置60Aに配された状態であっても、取っ手40が不意に把持不能位置40Bから回転移動することを防止できる。したがって、規制部60を切換規制位置60Aから切換許容位置60Bに移動させる作業を円滑に行うことができる。
【0064】
また、実施形態の電子機器10によれば、規制部60が規制用突起部64を備える。このため、筐体20がラック1に収容され、切換スイッチ30を導通位置30Bに移動できるように規制部60を切換許容位置60Bに配した状態では、ラック1の当接部位5が正面板21の張出部22と規制用突起部64との間に挟み込まれる。これにより、仮に固定ネジ53が当接部位5に螺着されていなくても、活線状態で筐体20が不意にラック1から抜け出すことを確実に防ぐことができる。
【0065】
また、本実施形態の電子機器10によれば、取っ手40のうち規制部60に係止する係止部43が、腕部42のうち軸体部51(軸L1)側に位置する端部に配されている。このため、係止部43が腕部42のうち把持部41側の端部に配される場合と比較して、係止部43を簡素に構成することができる。
【0066】
具体的に説明すれば、係止部43が腕部42のうち把持部41側の端部に配される場合には、挿通孔44を係止部43の縁部から窪むように形成することができない。このため、挿通孔44の寸法精度や挿通孔44と取っ手規制部62との相対的な位置精度を高く設定する必要がある。
これに対し、本実施形態のように係止部43が腕部42のうち軸体部51(軸L1)側の端部に配される場合には、挿通孔44を係止部43の縁部から窪むように形成できるため、挿通孔44の寸法精度や挿通孔44と取っ手規制部62との相対的な位置精度が要求されない。すなわち、係止部43を簡素に構成することができる。
【0067】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0068】
取っ手40は箱状に形成されることに限らない。また、軸体部51は、例えば一つの取っ手40に対して一つだけ配されてもよい。また、取っ手40の腕部42は、例えば把持部41に対してその延在方向(Z方向)の中間部分に接続されてもよい。
【0069】
取っ手40の係止部43は、例えばカバー部45によって構成されてもよい。この場合、規制部60の取っ手規制部62は、取っ手40が把持不能位置40Bに配された状態で、正面板21の前面21aとカバー部45との間に配されることで、取っ手40を把持不能位置40Bに固定することができる。