(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469013
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】自動車用の交通標識を認識するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20190204BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20190204BHJP
G01S 13/93 20060101ALI20190204BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20190204BHJP
G01S 17/93 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/0962
G01S13/93 220
G01S13/86
G01S17/93
【請求項の数】9
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-540048(P2015-540048)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(65)【公表番号】特表2016-502178(P2016-502178A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】DE2013200238
(87)【国際公開番号】WO2014071939
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】102012110595.2
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・マルク
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デア・フェフテ・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】メルラー・ウルリヒ
【審査官】
岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−286566(JP,A)
【文献】
特開2002−189075(JP,A)
【文献】
特開2012−198774(JP,A)
【文献】
特表2000−501835(JP,A)
【文献】
特表2011−511281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G01S 13/86
G01S 13/93
G01S 17/93
G08G 1/0962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのカメラ・センサー及び一つのレーダー・センサー又はライダー・センサーを包含する自動車用周辺把握センサー・システムによって交通標識を認識するための方法であって、
少なくとも一つの前記レーダー・センサー又はライダー・センサーのデータに基づいて、以下の情報、
a)交通標識の有無、又は
b)交通標識の大きさ
c)交通標識の位置
d)交通標識までの距離及び/又は方向
e)ブリッジ状の構成物
f)前方を走行している自動車又はトラックの位置又は種類
g)レーンを制限する構成物の位置
のうち少なくとも一つの情報が取得され、交通標識を認識するために使用される当該方法において、
f)による情報が存在する領域内で、交通標識が探索されないように、当該情報f)が取得され、画像が、カメラ・データを評価するために処理される当該方法。
【請求項2】
レーダー・データ若しくはライダー・データからの少なくとも1つの情報又は情報a)〜e)のうちの一つの情報が、前記カメラ・センサーのデータの妥当性検証のために使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)〜e)による情報が存在する領域内で、交通標識が適切に探索されるように、画像が、カメラ・データを評価するために処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
a)〜e)による情報が存在する領域内だけで、交通標識が探索されるように、画像が、カメラ・データを評価するために処理されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複数の走行レーンを有する自動車周辺において、交通標識のための有効範囲を割り当てるための情報c)又はd)のうちの一つの情報が評価されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
レーダー・システム又はライダー・システムのデータに基づく交通標識が、以下のパラメーター、
− 物体の位置
− 距離
− 反射の強度
− 相対速度
− 物体の寸法
のうちの少なくとも一つのパラメーターに依存して認識されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
物体が、レーダー・センサー又はライダー・センサーのデータに基づいて、可能な交通標識として認識され、当該対応する物体がどのくらいの確率で交通標識であるかを示す確率値が、前記物体に割り当てられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
物体の位置に関する情報が、ナビゲーション・システムの情報にさらに相関されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
交通標識を認識するための自動車用装置において、
当該装置は、
− レーダー・センサー・システム又はライダー・センサー・システム
− カメラ・センサー・システム
− 制御ユニット又は評価ユニットを有し、この制御ユニット又はこの評価ユニットは、前記レーダー・センサー・システム又はライダー・センサー・システム及び前記カメラ・センサー・システムに接続可能であり、この制御ユニット又はこの評価ユニットは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法が格納されている電子記憶装置を有する当該装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
交通標識認識用の無線ベースのシステムは、従来の技術である。交通標識は、その内容と必要に応じてその位置を、無線を介して
自動車の無線受信手段に伝送する。
【背景技術】
【0002】
交通標識認識の代案的アプローチも、量産車量において既に実施されている。ここでは、交通標識は、
カメラ・センサー・システムによって認識される。このようなシステムは、電子地図を用いるナビゲーション・システムによってサポートされることもできる。カメラ・システムによる交通標識認識手段(VZE=独:Verkehrszeichenerkennung)は、二つの重要なステップから構成されている。ステップ1は、円形の(例えば、制限速度等)
又は長方形(例えば、地名表示等)の
構成物を探すことである。該当する候補が見つかった場合、次のステップにおいて分類される。例えば、パターン認識を用いて、数字が認識される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、
カメラ・センサー・システムのデータをベースとしている交通標識認識のためのシステムの機能を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、上記
の課題は
、請求項1に記載の少なくとも一つのカメラ・センサー及び一つのレーダー・センサー又はライダー・センサーを包含する自動車用周辺把握センサー・システムによって交通標識を認識するための方法によって解決される。
【0005】
本発明の基本的な
思想は、カメラ・システムをベースとする交通標識認識を、レーダー・センサー・システムやライダー・センサー・システムの情報によってサポートすると言う事にある。これには、特に、ACC機能や緊急ブレーキ機能に用いられる
センサー・システムを用いることができる。
少なくとも一つの前記レーダー・センサー又はライダー・センサーのデータに基づいて、以下の情報、
a)交通標識の有無、又は
b)交通標識の大きさ
c)交通標識の位置
d)交通標識までの距離及び/又は方向
e)ブリッジ状の構成物
f)前方を走行している自動車又はトラックの位置又は種類
g)レーンを制限する構成物の位置
のうち少なくとも一つの情報が取得され、交通標識を認識するために使用される当該方法において、
f)による情報が存在する領域内で、交通標識が探索されないように、当該情報f)が取得され、画像が、カメラ・データを評価するために処理される。
【0006】
本発明のある好ましい実施形態においては、レーダー・データ
若しくはライダー・データからの
少なくとも1つの情報
又は情報a)〜e)
のうちの一つの情報が、
前記カメラ・センサーのデータの妥当性検証
のために使用される。これは特に、請求項1の情報a)〜e)に当てはまる。
【0007】
レーダーによって交通標識
又は交通標識の候補が、認識された場合、これをVZEに伝達することができる。ここでは、情報(有無、距離、大きさ、方向など)を妥当性検証に用いることができる。
【0008】
本発明の更なる肯定的な実施形態では、
a)〜e)による情報が存在する領域内で、交通標識が適切に探索されるように、画像が、カメラ・データを評価するために処理されるこれは、例えば、より高い(計算)処理による画像データのより正確な評価によって、
又は交通標識の形状や内容に対して特有の、予めメモリーにセーブされた関連するストラクチャーや、パターン、色を優先的に探すことによって、実施可能である。セーブされているパターンは、国に応じて評価されることが特に好ましい。
当該国情報は、ナビゲーション
若しくは無線情報(c2x、ラジオ、交通無線など)
又は周辺把握センサーから、提供されることができる。最後の例は、例えば、交通標識認識のために構成されているカメラ・センサーなどである。このようなやり方によって、一つの交通標識をも見逃さないようにすることが可能である。
【0009】
本発明の更なる肯定的な実施形態では、
a)〜e)による情報が存在する領域内だけで、交通標識が探索されるように、画像が、カメラ・データを評価するために処理される。このやり方によれば、カメラ・システムの画像データの処理における計算時間を節約できるため、
又はデータ処理用の計算時間を限定できるため、指定された領域にある交通標識に関しては、より計算時間を要する、即ち、カメラ・データの改善された評価を実施できるようになる。
【0010】
本発明の更なる肯定的な実施形態では、
複数の走行レーンを有する自動車周辺において、交通標識の
ための有効範囲
を割り当てるための情報c)
又はd)
のうちの一つの情報が評価されるこれは、特に、複数の走行レーンからなる
自動車周辺部
内で有効である。レーダー・センサー・システムやライダー・センサー・システムを用いれば、レーンを区画する
構成物(例えば、ガードレール)を認識することができる。レーダー・センサー・システムやライダー・センサー・システムによって認識された交通標識は、空間的に、このようなストラクチャーに
割り当てられ得る。これは、レーンを区画する
構成物に対する交通標識候補の位置に応じて、
当該交通標識候補を除外する、
又は確認するための妥当性検証に用いる特徴として役立つ。距離情報
又は位置情報を
割り当てるために用いることが特に好ましい。特に、複数レーンの道路、合流地点、平行する道路などでは、交通標識の位置は、レーン、道路などへの
割り当てにとって重要である。即ち、交通標識の位置が分かっていれば、自分の走行レーンと関連付けることができる。例えば、遠くにある標識は、自分の走行レーンに
割り当てられていない場合、除外することができる。
【0011】
ある好ましい実施形態では、カメラ・データの評価のための画像処理が、情報f)がある領域については、交通標識を
探索されないようにされている。
【0012】
ここでは
、前方を走行
している自動車、
特に貨物車量が
、レーダー・センサー・システムやライダー・センサー・システムによ
って認識され、その
情報が、交通標識認識に提供される。これは、例えば、その車体の後方に、
当該自動車に有効な速度制限値が記載されているような
自動車において有用である。
これらは、他の道路使用・利用者には、なんら効力を有さな
い。
【0013】
レーダー・システム
又はライダー・システムのデータに基づく交通標識の存在の認識は、以下のパラメーターのうち一つに依存して実施されることが好ましい:
− オブジェクトの位置:交通標識は特に、車線縁
若しくは車線
又は走行レーンの上空に配置されている。付加的
又は代案的には、
当該位置情報は、ナビゲーション・データ
に相関され得る。これにより、交通標識は、例えば、交差点付近に多く存在すると言うことを考慮できる。
− 距離:特に交通標識の自分の走行レーンに対する重要度を評価する際に用いることができる。
− オブジェクトに反射した電磁線の強度、
又はそれから
算出された、例えば、レーダーやライダーの後方散乱断面の大きさ:交通標識は、その構造から(通常、金属製)、優れた反射板である、即ち、後方散乱断面や反射の強度が、設定された閾値を超える、
又は設定された値の範囲になければならないことは、認識の際に利用できる。
− 相対速度:交通標識は、定置オブジェクトである、即ち、相対速度が、
自動車速度と同じである、
又は他の、例えば、ガードレールなどの定置オブジェクトとの相対速度がゼロであると言う事は、認識の際に用いることができる。
−
物体の寸法:交通標識の大きさは、決まっているため、定められた値の範囲の大きさの
物体しか、交通標識ではありえない。定められた値の範囲は、特に、例えば、交通標識の位置などと言った他の情報に依存する。特に、交通標識用架橋は、比較的大き
い寸法を有する、車線上空に位置する定置
な物体である。
【0014】
本発明の更なる肯定的な実施形態では、
物体が、レーダー・センサー
又はライダー・センサーのデータ
に基づいて、可能な交通標識
として認識され
、当該対応する物体がどのくらいの確率で
交通標識であるかを示す確率値が
、前記物体に割り当てられる。
特に、
当該確率
の算出のため、
当該物体の位置に関する情報が、ナビゲーション・システムの情報
にさらに相関される。特に、交差点付近では、交通標識である
確率が高い。