【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1、2、9、12及び13の特徴部に記載の構成により解決される。本発明の有利な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲及び/又は図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも本発明の範疇にあるものである。値範囲については、記載した範囲内にある値も制限値として開示されたとみなすべきであって、任意の組み合わせで請求の範囲とすることができる。
【0006】
本発明の基本思想は、第1の基板を第2の基板から剥離する際に第1の基板を保持する基板保持装置を、基板保持装置が第1の基板の曲げを許容するように構成することにある。本発明によれば基板保持装置は、第1の基板を第2の基板から、特に持ち上げにより剥離し、特に専ら第1の基板の縁部から剥離する剥離力を発生させる十分な曲げ剛性を有している。この場合、本発明によれば、特に45°よりも小さい、好適には40°よりも小さい、さらに好適には30°よりも小さい、特に好適には20°よりも小さい、極めて好適には10°よりも小さい、最も好適には5°よりも小さい曲げ角度で僅かな屈曲のみを行うのが望ましい。屈曲は特に、制御可能な力の負荷により、かつ/又は剥離速度の制御により、特に基板保持装置の周囲で制御される。このようにして、所定の、特に基板保持装置と同様の曲げ剛性を有した第1の基板と、とりわけ第2の基板とが損傷から保護される。屈曲により、剥離力の大部分は、特に第1の基板の縁部から中心に向かう方向で移動する剥離前線に作用する。さらに本発明による態様は、(相対的に)高いボンディング力を有した基板を互いに分離するのに適している。
【0007】
従って、第1の基板及び第2の基板が、本発明による、特に制御可能な屈曲により剥離の際に丁寧に扱われるので、本発明は特に、フュージョンボンディングにより接合された2つの基板を剥離する際にも使用可能である。
【0008】
従って、本発明の核心は、第1の基板を第2の基板から剥離する際に第1の基板を保持する可撓性の基板保持装置にあり、この場合、第1の基板を曲げながら第2の基板を剥離する剥離手段が基板保持装置に設けられている。
【0009】
即ち本発明によれば、特に所定の弾性若しくは曲げ剛性を備えたポリマから成る、リング状ではなく全面的な基板保持装置の構成も考えられる。このような構成は、第1の基板の位置固定及び収容のために真空通路を有している。この場合、特に付加的に、保持力を高めるために、第1の基板を基板保持装置に静電気的に位置固定することができる。
【0010】
基板保持装置は、少なくとも部分的に、金属、セラミック、又は複合材料から形成されていて良い。使用材料は、本発明による機能性のみを許容しなければならない。
【0011】
独立請求項記載の本発明としてさらに、第1の基板を第2の基板から剥離方向で剥離する装置が設けられており、該装置は以下の特徴、即ち、
第1の基板を保持する、前記剥離方向Lで可撓性の第1の基板保持装置と、
第2の基板を保持する第2の基板保持装置と、
特に曲げ力に関して制御されて、第1の基板を曲げながら第1の基板を第2の基板から剥離する剥離手段と、を有している。
【0012】
この場合、敏感な、特に薄い(好適には製品ウェハである)基板を収容するために第2の基板保持装置が使用されると特に好適である。
【0013】
剥離方向Lは本発明によれば、第1の基板及び/又は第2の基板の表面に対してほぼ、好適には正確に、垂直である。基板保持装置、及び/又は基板保持装置によって収容された第1の基板の屈曲の屈曲軸線は、剥離方向Lに対して垂直である。曲げ軸線は特に、第2の基板及び/又は第1の基板の表面に対して平行である。本発明によれば、基板の周囲に沿って複数の、特に半径方向対称的な剥離方向が設けられていることが考えられ、これにより複数の曲げ軸線が設けられている。このような構成は、両基板が工具の係合により、特に保持リングにより、周囲に沿って互いに分離される場合に生じる。
【0014】
本発明による装置は、好ましい構成では、負圧によって基板保持装置に位置固定された第1の基板をさらに強力に基板保持装置に位置固定するために、過圧を負荷することができる圧力室を有することができる。この圧力室の圧力は、この場合1barよりも高く、好適には2barよりも高く、さらに好適には5barよりも高く、さらに好適には10barよりも高く、特に100barよりも小さくて良い。
【0015】
本発明の好適な構成によれば、第1の基板を収容するための基板保持装置は剥離方向Lで弾性的に変形可能である。基板保持装置の弾性により、本発明によれば、特に制御可能な引張力は第1の基板の周面にのみ加えられるにもかかわらず、剥離力はそれぞれ、移動する剥離前線に集中させることができる。
【0016】
本発明の別の好適な構成では、剥離手段により、第2の基板を収容するための基板保持装置の周面に作用する少なくとも1つの引張力と、基板保持装置の周面に作用する前記引張力に抗して作用する少なくとも1つの対抗力とを、剥離前線に沿って剥離モーメントを発生させるために加えることができる。これにより、特に剥離の開始時における負荷全体を減じることができる。このようにして第1の基板及び第2の基板はさらに著しく丁寧に扱われる。この場合特に、引張力は、基板保持装置の周囲に引張力を特に同様に付与することにより、基板保持装置の中央で合力としての引張力にまとめられ、対抗力は、1つの合力としての対抗力となり、基板保持装置の縁部に加えられ、相応の剥離モーメントが移動する剥離前線で合力となる。従って基板保持装置は基板保持装置に対して傾けられる。
【0017】
特に極めて敏感又は極めて高価な第2の基板の場合に、第2の基板をさらに丁寧に扱うために、本発明によれば、第2の基板保持装置を、剛性的な、特に第2の基板を全面的に収容する収容体として形成している。
【0018】
本発明のさらに好適な構成によれば、第1の基板保持装置及び/又は第2の基板保持装置が、調節可能な内径Diを備えた、特に開かれたリングとして形成されている。リング形状により、曲げ剛性は、リングジオメトリ、特にリング直径Da及び/又はリングの高さにH対するリング幅によって、良好に第1の基板に合わせて調節することができる。リング形状によりさらに、リング開口の範囲で、第1の基板のより大きな運動自由度が許容されるので、基板保持装置の曲げ剛性と第1の基板の曲げ剛性の協働が得られる。この場合、基板保持装置の曲げ剛性は特に、第1の基板の曲げ剛性と少なくとも同じであるか、又はこれよりも大きい。好適には、第2の基板保持装置は、第1の基板保持装置と異なるように形成されていて、特に開かれたリングとしては構成されておらず、好適には全面的な基板収容体、特にチャックとして形成されている。
【0019】
第1の基板保持装置の曲げ剛性は、本発明によれば好適には、第1の基板の曲げ剛性の1/20〜20倍、特に1/10〜10倍、好適には1/5〜5倍、さらに好適には1/2〜2倍であるように選択されている。第1の基板としては特に、500〜750μmの、好適には600μmの厚さdを有したシリコーンから成るウェハが適している。このウェハは200又は300mmの直径Dtを有することができる。
【0020】
この場合、特にばね弾性的に戻る周方向肩部の形の、特にリング全周にわたって延在する保持手段が設けられていると特に好適である。これにより、安価に製造可能な単純な形状的な構成によって、剥離力が第1の基板、特に第1の基板の全周に加えられ、剥離の開始時に剥離前線の特に臨界的な誘発が、キャリア基板の周面の1つ又は複数の個所に集中させられる。
【0021】
別の構成では、本発明によれば、基板保持装置は第1の基板をほぼ全体的に、特に、全周の少なくとも98%まで、好適には少なくとも99%まで、さらに好適には少なくとも99.5%まで側方から取り囲むように形成されている。これにより第1の基板はほぼ全周にわたって支持される。基板保持装置は特に、その全周の好適には少なくとも98%まで、さらに好適には少なくとも99%まで、さらに好適には少なくとも99.5%まで周方向で閉じられたリングとして形成されている。このリングは、個別セグメントから構成されていても良い。
【0022】
好適な構成によれば、剥離手段は、剥離方向Lで第1の基板を収容するための基板保持装置の少なくとも1つの周面区分の並進運動を行わせる並進的な駆動手段を有している。
【0023】
独立請求項記載の本発明としては、第1の基板を第2の基板から剥離方向Lで剥離する方法が設けられており、該方法は以下のステップ、特に以下の経過、即ち、
第2の基板保持装置による第2の基板の保持、及び前記剥離方向Lで可撓性の第1の基板保持装置による第1の基板の保持のステップと、
第1の基板を曲げながら第1の基板を第2の基板から剥離するステップと、を有している。
【0024】
さらに本発明によれば、第1の基板を第2の基板から剥離する際に、第1の基板を保持するために使用する、可撓性の第1の基板保持装置の使用が提案されている。特に第2の基板保持装置として、可撓性の基板保持装置も使用される。
【0025】
本発明の好適な構成では、剥離が、200℃よりも低い、好適には100℃よりも低い、さらに好適には50℃よりも低い温度で、理想的には室温で、特に全面的な加熱手段なしに行われる。本発明によれば剥離は特に、第1の基板及び/又は第2の基板の永久接合が、特に基板の再結晶温度のもとで行われる温度よりも低い温度で行われる。
【0026】
本発明による方法の別の構成では、ファンデルワールス力によるボンディング後、第1の基板及び/又は第2の基板の永久接合が行われる温度以上の温度に第1の基板及び第2の基板が加熱される前に、第1の基板の剥離を行う。
【0027】
好適には接合形式は、剥離が、0.2J/m
2よりも大きい、好適には0.4J/m
2よりも大きい、さらに好適には0.8J/m
2よりも大きいボンディング力まで行われるように形成されている。SiO2バルクの破断強度はこの場合、約2.0〜2.5J/m
2である。
【0028】
本発明によれば、局所的に剥離前線に、剥離手段、特に分離手段により作用することにより、特に剥離前線における剥離を加速することが考えられる。分離手段は、機械的な分離及び/又は局所的な加熱、好適には方向付けられた加熱空気流を含む。具体的には、分離楔、分離ブレード、又は剥離前線に向けられた好適には高温の圧縮空気噴流を個別に又は組み合わせて使用することができる。このような類似の技術はこの業界ではいわゆる「割断加工(Cleaving)」を実施するために使用されている。割断加工は主に、薄い層及び極めて薄い層を移送するために、弱められた領域に沿って、基板を、主としてSi又はGeのような極めて脆い基板を分割するものである。本発明による構成は、このような割断加工にも使用することができる。
【0029】
分離楔とは、好適にはv字型のプロフィールを備えた工具を意味する。分離ブレードとは、極めて鋭いエッジを備えた工具を意味する。分離ワイヤは、中間層の平面で緊張状態で相応の装置により中間層に押し込まれる、極めて細い、好適には強度の高いワイヤである。分離ワイヤは、特に加熱ワイヤとして、即ち、加熱可能に形成されている。
【0030】
本発明によれば、剥離前線がいわば螺旋状に、第2の基板の周囲に沿って剥離する間に、中心に向かって内側に延在する構成も考えられる。これは、周面に作用する剥離力が、周囲を取り囲むように上昇することにより得られる。
【0031】
独立請求項として記載された本発明は、特に専らファンデルワールス力によって第2の基板に接合された第1の基板を、第2の基板から剥離するための、支持体保持装置の使用、又は装置、又は方法である。これは特に、まだ熱処理されていない、又はそのボンディング力がまだ1.0J/m
2よりも小さいような、フュージョンボンディングされた基板に該当する。
【0032】
第1の基板及び/又は第2の基板としては特に、加工されたSiO
2ウェハが使用される。
【0033】
従って本発明によれば、特にチェックステップを設けた場合(方法)、又はチェック装置を設けた場合(装置)の、既に少なくとも部分的にボンディングされた基板対の分離が考えられる。ボンディングされた基板対(第1及び第2の基板)のチェックが、品質基準が、規定された基準を相応に満たしていない又は完全には満たしていないことを示すと、本発明による剥離は行われる。品質基準とは、それだけではないが主として、物理的及び/又は化学的ボンディング強度、両基板の互いの位置調整精度、又は全面的なボンディングインターフェース、即ちボンディングされていない個所はないボンディングインターフェースを意味している。しかしながらここでは詳しく言及されていないが、別の形のいずれにせよ望ましくない状態又は過程が発見されると、かつ/又は生じると、必然的に本発明による剥離が行われる。従って第1の基板及び/又は第2の基板は、仕上げ作業のために供給することができ、今や場合によっては、第1の基板及び第2の基板の新たな組み合わせでもボンディングすることができる。従って、製造プロセスのその後の時点までの再加工及び/又は再磨きが本発明により可能である。再加工及び/又は再磨きにより、相応のエラーなしに基板の新たなボンディングが可能であり、製造プロセスの歩留まりが劇的に高まる。
【0034】
記載した特徴は、本発明による装置、本発明による方法、本発明による使用について同様に該当する。
【0035】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、図示した好適な実施態様の説明に記載される。