【実施例】
【0093】
実施例1
安定な融合前RSV Fポリペプチドの調製−リンカーおよび三量体形成ドメイン
本発明に導いた研究では、可溶性融合前Fタンパク質(sF)の安定化された変異体を、リフォールディングを惹起する2つの主要な領域を安定化することにより設計した。最初の戦略は、短いループによりF1−F2ドメインを固定しかつ連結することによって、融合ペプチドをその位置に拘束し、融合ペプチドが頭部領域から放出されるのを防止することであった。融合ペプチドの放出は、F1のN末端のF2のC末端への共有結合形成を再構築することにより防止することができる。この実施例で示すように、いくつかの異なるリンカーを試みた。具体的にはアミノ酸配列GSGSG(配列番号5)を含む、F1とF2との間への5アミノ酸ループの挿入によって最も好結果が得られた。このリンカーは、3D構造が公開されている(Yin et.al.,2006)パラインフルエンザ5型のF配列との配列アライメントに基づいてRSV−F A2型について作製した3Dホモロジーモデルで測定した距離に基づいて設計した。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
融合前RSV−Fのホモロジーモデルを構築するために使用した、HRSV A型およびB型とPIV5(最上部配列)のF配列間のアライメント
【0094】
他の不安定領域は、融合前Fタンパク質において三量体ヘリックス基部領域を形成する第2の7アミノ酸繰り返し(HRB)領域である。可溶性Fタンパク質中の膜貫通ドメイン(TM)の欠失により、この領域はさらに不安定化するが、これは種々の異種三量体形成ドメインの付加により補償される。完全にプロセシングされた成熟RSV−F外部ドメインを、種々の三量体形成ドメインとC末端側の種々の位置(すなわち、F1ドメインは種々のアミノ酸残基で短縮された)で融合した。
【0095】
RSV A2株またはB1株のいずれかに基づいて、いくつかのコンストラクトを作製した。種々の三量体形成ドメインを、種々の位置で短縮されたRSV F1ドメインに連結した。試験した三量体形成ドメインには、フィブリチンモチーフ(アミノ酸配列:GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号4)を含む)、およびその天然ヘリックス領域(アミノ酸配列:SSLQGDVQALQEAGYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号6)を含む)を含む、より長い、N末端伸長のフィブリチンドメインである「長いフィブリチン」モチーフが含まれ、これらは、HRB領域の推定7アミノ酸繰り返しとインフレーム(インレジスター)でRSV F1ドメインに付加された。
【0096】
作製したさらなるコンストラクトは、7つ組の理想的ヘリックス三量体コイルドコイル、またはアミノ酸配列:IEAIEKK(配列番号7)を含むイソロイシンジッパードメイン(IZ)(Suzuki et al.,Protein Engineering 11:1051−1055(1998))を含んだ。本発明によれば、アミノ酸配列:(I)EKKIEAIEKKIEAIEKKIEAIEAIEKKIEA(配列番号8)を含むイソロイシンジッパー(L)およびアミノ酸配列EKKIEAIEKKIEAIEKKIEA(配列番号3)を含むイソロイシンジッパー(S)と呼ばれる、異なるIZドメインが使用された。
【0097】
これらのIZドメインは、構造的にGCN4と同等であるが、IZドメインは、天然配列ではなく、最適な三量体形成ドメインになるように、したがって、より安定であるように設計されたものである。
【0098】
以下に示す他の公知の三量体形成ドメインを含む、さらなるコンストラクトを作製した:
【化11】
【0099】
以下のコンストラクトを作製した:
コンストラクトF18は、F1ドメインのアミノ酸残基513に連結されたフィブリチン三量体形成ドメイン(配列番号4)を含んだ。
コンストラクトF19は、F1ドメインのアミノ酸残基499に連結されたフィブリチン三量体形成ドメイン(配列番号4)を含んだ。
コンストラクトF20は、F1ドメインのアミノ酸残基516に連結されたイソロイシンジッパー(L)ドメイン(配列番号8)を含み、7つ組位置の疎水性を最適化し、IZドメインとのインフレーム融合を容易にするような追加の改変を含んだ。
コンストラクトF21もまた、イソロイシンジッパー(L)ドメイン(配列番号8)を含んだが、それはF1ドメインのアミノ酸残基501に連結されたものであり、またHRB領域に追加の改変はなかった。
コンストラクトF22は、F1ドメインのアミノ酸残基495に連結されたイソロイシンジッパー(L)ドメイン(配列番号8)を含み、HRBに追加の改変を含んだ。
コンストラクトF23は、アミノ酸残基495に連結されたイソロイシンジッパー(S)ドメイン(配列番号3)を含んだ。
コンストラクトF46もまた、イソロイシンジッパー(S)ドメイン(配列番号3)を含んだが、それはより長いRSV−F外部ドメインに連結されたものであった、すなわち、F1ドメインは、アミノ酸残基513の後で短縮されたものであった。
すべてのコンストラクトはHISタグを含んだ。
【0100】
コンストラクトについて、発現レベル、安定性、抗体CR9501との抗体結合を試験した。この抗体の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列および重鎖および軽鎖CDRのアミノ酸配列を以下に示す。CR9501は、国際公開第2012/006596号パンフレット中の58C5と呼ばれる抗体の結合領域を含む。
【0101】
コンストラクトを、Gene Art(Life Technologies,Carlsbad,CA)で合成しコドン最適化した。部位特異的突然変異誘発およびPCRに関する分野内で広く知られている標準的方法によって、コンストラクトをpCDNA2004にクローニングまたは生成し、配列決定した。使用した発現プラットフォームは、293Freestyle細胞(Life Technologies)とした。製造業者の説明書に従い、293Fectin(Life Technologies)を用いて、細胞に一過性にトランスフェクトし、37℃および10%CO
2で5日間培養した。培養上清を回収し、300gで5分間遠心して、細胞および細胞デブリを除去した。次いで、0.22umの真空フィルターを用いて、遠心上清を滅菌濾過し、使用するまで4℃に保存した。
【0102】
5日目の上清について、RSV F抗体モタビズマブの重鎖および軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体CR9503(CR9503と呼ばれる)を用いるウエスタンブロットにより、Fタンパク質発現を評価した。融合前RSV Fタンパク質コンストラクトのおよその発現レベルを、CR9503、抗ヒトIR−色素コンジュゲート二次抗体(Li−Cor,Lincoln,NE)、またはHRPコンジュゲートマウス抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)を用いて評価した。次いで、段階希釈した精製RSV標準タンパク質を用い、視覚によりまたはOdyssey CLx赤外線イメージングシステムを用いて、タンパク質量を評価した。あるいは、Quantitative Octet(BioLayer Interferometry)を使用して上清中のタンパク質濃度を測定した。コンストラクト安定性を評価するために、また導入した三量体形成モチーフの正または負の安定化効果を確認するために、CR9501に結合することができるコンストラクトを、45〜65℃の温度範囲で30分間処理して、CR9501エピトープの安定性を試験した。この手順は、実施例8に詳細に記載されている。結果を表1に要約した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1でわかるように、発現されたコンストラクトは、フィブリチン変異体(F18)およびF23のみであった。F18は三量体であり、発現を示したが、4℃での保存で不安定であった。これに対して、F23は4℃で安定であり、融合前特異的抗体に結合するが、単量体であるように見えた。したがって、変異体F18およびF28の両方を使用して、安定性と三量体形成の両方について最適化した。
【0105】
次に、F1のN末端の融合ペプチドがF2ドメインのC末端に融合することによって固定されるいくつかのコンストラクトを作製した。すべてのコンストラクトはHisタグを含んだ。
【0106】
両方のフューリン切断部位の突然変異によって、p27ペプチドを依然として含有する可溶性Fタンパク質(すなわち、F12、F15.1およびF17)を生じるコンストラクトを含む、いくつかのコンストラクトを作製した。他のコンストラクトでは、RSV−Fの領域をPIV−5 F(生成および結晶化に成功した融合前Fタンパク質)の「相同」領域に置き換えることによって(F25)、またはその領域をF2およびF1の末端を架橋する最小(GS)nループに置き換えることによって(F24)、またはその領域をRSV−Gの中心保存領域に置き換えることによって(F26)、前駆体F0から切断される27残基領域(P27ループ)を別の閉ループもしくは連結配列に置き換える。PIV−5に基づくRSV−Fのホモロジーモデリングによって、残基108と136との間の5アミノ酸残基の最小ループが選択された。リンカーとして、柔軟性および極性があり、かつ適合する見込みが高いGly(G)およびSer(S)残基を選択した(F24)。加えて、このループによって引き起こされる局所的な変化が疎水的なFを動かして不安定にさせ得るため、F137をSに突然変異させた。これを下記に示す。また、R106をQに突然変異させ、27残基(109〜135)をGSGSGに置き換えている。
【化12】
【0107】
表2に示すように、野生型RSV Fコンストラクト、すなわち、前記リンカーを含まない類似のコンストラクト(F11)に比較して、極めて高い発現(44μg/ml)を示す短いGSGSGループを有する変異体(F24)以外のすべての変異体は、発現を示さないかほんのわずかな発現しか示さなかった。しかしながら、三量体であるF24は、C末端フィブリチン三量体形成モチーフを有する他のすべての変異体と同様に、保存時不安定であった。すべての変異体はHISタグを含有した。
【0108】
【表2】
【0109】
次に、最適な融合前Fポリペプチドを見出すために、最も好ましい改変を組み合わせた。GSGSGループ、F1のC末端短縮、およびフィブリチン(配列番号4)またはイソロイシンジッパー(S)モチーフ(配列番号3)のいずれかの付加を有する変異体から組合せを作製した(表3を参照)。
【0110】
【表3】
【0111】
GSGSGループを付加すると、機能的なコンストラクトの発現およびタンパク質の熱安定性が常に増大した。短縮Fおよびイソロイシンジッパー(S)モチーフ(F43、F47)とGSGSGループの組合せは、良好な発現、熱安定性、および4℃での保存時における良好な安定性を示した。しかしながら、これらの変異体は依然として単量体であった。イソロイシンジッパー(S)三量体形成モチーフでは、位置495でC末端短縮されたFであるF変異体が高い発現を示した(F43とF56との比較、およびF23とF46との比較)。これに対して、フィブリチン三量体形成ドメインを有する変異体については、位置513での短縮体が、発現を示さない位置495での短縮体に比較して、高い発現を示した(F24とF44との比較)。
【0112】
HISタグが三量体の天然フォールディングに干渉する可能性があるので、フィブリチンおよびイソロイシンジッパー(S)変異体について、HISタグを有しない変異体を作製した(表4)。
【0113】
【表4】
【0114】
顕著なことには、HISタグが欠失すると、F47において発現が増大した。さらに、F47の場合には、三量体含量がわずかに増大し、F24の場合には、発現レベルが中程度増大しただけであった。
【0115】
次に、いくつかの別の三量体形成ドメインおよび短縮について、GSGSGループ安定化F変異体(F47)と組み合わせて試験した(表5を参照)。すべての変異体は、GSGSGループを有し、かつHISタグを含有する。
【0116】
【表5】
【0117】
N末端ジッパードメインと三量体間ジスルフィド架橋を形成する可能性があるシステイン残基を有するC末端部分との両方を含有するマトリリン1ドメイン(Dames−SA et.al.,Nat.Struc.Biol.,5(8),1998)のみが、F47よりも高い発現レベルを可能にすることが見出された(表5、長いマトリリン)。さらに、長いマトリリン三量体形成モチーフを有する変異体は、三量体Fタンパク質を示す。しかしながら、この生成物は、融合前特異的Mab CR9501に結合せず、さらに、マトリリン1三量体形成ドメインを三量体天然Fタンパク質の産生に適さないようにする六量体の化学種を示した。マトリリンベースおよびGCN4IIベースのジッパーモチーフはいずれも、F47に比較して発現および安定性の増大を示さなかった(表5、短いマトリリン、最適化GCN4II)。再び、495での短縮により、発現レベルが高くなる。最適化トリガー配列を含有するGCN4モチーフを付加しても発現は示されなかった。
【0118】
GCN4IIは、使用されてパラインフルエンザ5型の融合前三量体の安定化に成功した三量体形成ドメインであり(Yin et al.,Nature 439:38−44,2006)、RSV融合前Fを安定化するために他研究者により試みられてきた(例えば、国際公開第2010/149743号パンフレット、国際公開第2010/14975号パンフレット、国際公開第2009/079796号パンフレット、国際公開第2010/158613号パンフレットに開示のように)。GCN4II三量体形成ドメインを評価し、イソロイシンジッパー(S)ドメイン(配列番号3)またはフィブリチン(配列番号4)ドメインを含有するコンストラクトと比較した(結果を表6に示す)。また、これらの変異体について、別の改変、すなわち、単一リジンに基づく短いリンカーおよびL512K突然変異と比較した。すべての変異体はHISタグを含有した。
【0119】
【表6】
【0120】
F1とF2との間の短い連結はGSGSGループに匹敵するように見える。GCN4IIモチーフを付加した場合、試験したコンストラクトのいずれにおいても(すなわち、国際公開第2010/149743号パンフレットまたは国際公開第2010/149745号パンフレットに記載のRSV A2 F配列、本発明により使用されたRSV A2 F配列、およびRSV B1 F配列のいずれについても)Fタンパク質の発現はまったく得られなかった。
【0121】
これらの2つのタイプの改変の導入、すなわち、連結配列および異種三量体形成ドメインの導入は、安定な三量体融合前Fタンパク質の発現を可能にするのには十分ではないことが本発明により示された。安定化された、不安定性の2つの主要な領域、すなわち、上記のHRBおよび融合ペプチドは別として、融合前Fタンパク質の他の領域も、融合後Fへの劇的なリフォールディングに寄与および/または適応しており、配列中のより多くの位置を最適化して、融合前Fタンパク質のリフォールディングを止められる可能性がある。したがって、以下の実施例に記載のように、HRAおよびHRBドメイン、ならびに融合前F中でこれらの領域に接触するすべてのドメインの種々のアミノ酸残基を、融合前構造の安定性を増大させるために突然変異させた。
【0122】
実施例2
安定な融合前RSV Fポリペプチドの調製−安定化突然変異
三量体含量(コンストラクトF47について)および保存安定性(コンストラクトF24について)が最適ではなかったので、発現レベル、安定性、および天然三量体構造を増大させるための点突然変異を含有するさらなる変異体を作製した。結果を表7および8に示す。
【0123】
【表7】
【0124】
突然変異の名称は野生型配列(配列番号1)に基づいた。すべてのコンストラクトは、F47−:A2型、イソロイシンジッパー(S)モチーフ(配列番号3)、GSGSGリンカー;末端ポイント495、HISタグなしの変異体である(配列番号16)。表7に示すように、多くの突然変異がF47−の発現を増大させたが、変異体F47_S46Gのみが、高発現に加えてより高レベルの三量体を示した。
【0125】
表8に、F24変異体の発現および安定性の結果を示す。すべての変異体はRSV A2型であり、フィブリチンモチーフ、GSGSGリンカー;末端ポイント513を有し、HISタグを有していなかった。
【0126】
【表8】
【0127】
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
多くの突然変異により、A2_F24−の発現が増大した。ほとんどの突然変異について、F47−バックグラウンド(表7)とA2_F24−バックグラウンド(表8)の改善された発現間に明らかな相関があった。N67Iは、A2_F24−バックグラウンドのF発現に対して、より正の影響を及ぼした。発現の最も顕著な増大が、単一点突然変異:S46G、S215P、N67I、K80E、E92D、D486N、G184N、V185N、E487N、N175P、K209Q、E487I、E487Q、K77E、K201Q、N426S、およびK465Qで得られた。終了点安定性アッセイを用いる初期スクリーニングでは(実施例7)、最も高い発現を示す変異体は、保存においても最良の安定性を示した(E92D、K465Q、K465E、N426S、S46G、S215P、およびN67I)。これらの突然変異が実際に融合前コンフォメーションを安定化しているか否かを評価するために、培養上清を、定量的ウエスタンの結果に基づき5および10μg/mlに希釈し、4℃で33日目まで保存した。単一点突然変異体として、N67IおよびS215Pのみが、経時的に完全に安定であった(実施例9を参照)。
【0130】
次いで、融合前コンフォメーションの高発現および良好な安定性を示すいくつかの突然変異を組み合わせて、安定化が相加的であるか、または相乗効果の可能性があるかを評価した(表9)。
【0131】
【表11】
【0132】
すべての変異体は、F24−:A2型、フィブリチンモチーフ、GSGSGリンカー;末端ポイント513、すべてのMabに結合、HISタグなしの変異体である(配列番号19)。
【0133】
前に同定された点突然変異を組み合わせる場合、最も効力のあるものとしてN67Iを含む組合せにより、特に発現レベルの点から極めて興味深い相乗効果を観察できる可能性がある。N67IおよびS215Pのいずれかが含まれる生成二重突然変異体はすべて、4℃で30日を超える保存後安定であった(実施例9)。顕著なことには、突然変異N67Iは、二重突然変異体に含まれた場合、融合前Fの発現レベルに対して最も強力な効果を示すことが見出された。次に、S215P突然変異との組合せは、妥当な発現をもたらした。N67IおよびS215Pの組合せは、極めて高い発現レベルをもたらし、また両方の点突然変異とも保存時安定であったので、この組合せを選択した。加えて、N67IおよびS215Pは両方とも、単一突然変異として不安定である突然変異体の一部を安定化する能力を有することが観察され、これらの2つの突然変異が見出される領域が、融合後コンフォメーションへの移行の間にタンパク質が受けるコンフォメーション変化にとって重要であることが示された。
【0134】
したがって、本発明によれば、少なくとも一部の突然変異は、融合前RSVタンパク質の発現レベルの増大および安定性の増大をもたらすことが示された。これらの現象が連結されることが期待される。この実施例に記載の突然変異はすべて、融合前Fポリペプチドの生成を増大させた。これらのポリペプチドの選択によってのみ、長期保存時に安定性が維持された(実施例9を参照)。使用した安定性アッセイは、結合アッセイにおける、融合前Fタンパク質の上部にある融合前特異的CR9501エピトープの減少に基づいており、タンパク質全体の安定性に寄与するものすべてを測定するのに十分な感度はない可能性がある。したがって、発現の増大のみが観察される突然変異は、他の安定化突然変異と組み合わせて、高い安定性および高い発現レベルを有する融合前Fコンストラクトを得ることができる(極めて可能性の高い)有望な突然変異である。
【0135】
次に、N67I−S215P二重突然変異が、単一突然変異のように、使用した基準に基づいて単一突然変異として不安定と考えられる点突然変異を安定化することができるか否かを確認した。追加の突然変異を、表8に記載の好ましい発現レベルおよび安定性に基づいて選択した。三重突然変異のRSV−F変異体を構築し、発現レベルおよび安定性について試験した(表10)。
【0136】
【表12】
【0137】
さらに、発現レベルに対する相加効果が観察された。D479NおよびE487Rの三重突然変異体は、これらの単一突然変異体も、選択された突然変異のうちの最低レベルのものであったので(表8)、予想通り、いくぶん低いレベルで発現する。N67I+S215P突然変異の安定化効果のために、単一突然変異体としては不安定となる突然変異を追加しても、それらがA2_F24 N67I+S215Pバックグラウンドに加えられた場合には、安定な融合前F変異体が得られた。極めて例示的な例の一部として、単一突然変異体としては高発現を示すものの安定性が低いが、A2_F24 N67I+S215Pバックグラウンドに加えられた場合には、一層高い発現を示しかつ高度に安定である、V185N、G184N、またはE487N(表8)を追加された三重突然変異体がある。
【0138】
安定化突然変異はまた、他の株に由来するRSV−Fタンパク質と共に、プロセシングされたF変異体のRSV−Fタンパク質も安定化する。
融合前コンフォメーションの高発現および良好な安定性を示すいくつかの突然変異を、他の株のRSV Fタンパク質(配列番号69および70)に適用し、またフューリン切断部位突然変異を含まないRSV A2 F変異体(F18:配列番号71)に適用して、この改変がRSV融合前Fを安定化するための汎用の解決策であるか否かを評価した(表11)。
【0139】
【表13】
【0140】
前に同定された点突然変異をA2_F18(配列番号71)に導入した場合、安定性および発現レベルは、F1とF2との間に短いループを含有する単一鎖F24(配列番号21)変異体と比較すると、極めて類似していた。さらに、突然変異が、N67Iまたは二重突然変異N67I、S215Pを含有する変異体に追加された場合、より高い発現および安定性を示す相乗作用が観察された。二重点突然変異N67I、S215Pは、A2株の融合前Fを安定化するだけでなく、B1およびCL57−v224株の融合前も安定化する(表11)。
【0141】
安定化突然変異はまた、完全長RSV−Fタンパク質を安定化する。
外部ドメインに対応するRSV−Fの可溶性バージョンにおいて融合前コンフォメーションの高発現および良好な安定性を示すいくつかの突然変異を、完全長RSV−Fタンパク質に適用した。これらの突然変異を、フューリン切断部位の突然変異を含むまたは含まない完全長RSV−Fに導入した。三量体形成ドメインはこれらの変異体に融合しなかった(表12)。
【0142】
【表14】
【0143】
【表15】
【0144】
前に同定された安定化点突然変異はまた、完全長Fタンパク質でも安定化していた。発現レベルの増大は、それほど明白ではなかったが、同じ傾向を示した。これは、突然変異が導入されたバックグラウンドが異なることが原因である可能性があるが、定量化方法が異なること(FACS対ウエスタンブロット)および表面タンパク質の再利用により発現に生物学的最大値があることが原因である可能性もある。連結配列(または短いループ)の導入により、発現および安定性が増大し、また点突然変異によっても増大した。点突然変異は、短いループと相乗的ではないかまたはほとんど相乗的でなかった(可溶性タンパク質について見出されたことに類似(表9〜11))。
【0145】
位置67の点突然変異が発現レベルおよび安定性に対してこのような正の効果を及ぼしたので、最適なものが選ばれているか否か、またはこれらの位置に改善の余地があるか否かを試験するために、この位置についてすべてのアミノ酸置換を試験した(表13)。
【0146】
【表16】
【0147】
表13に示すように、位置67の主として疎水性残基、特にIle、Leu、およびMetは、発現および安定性を増大させることができた。Ileは、発現および安定性を最も増大させた残基である。残基GluおよびGln、最小残基Gly、ならびに正電荷残基ArgおよびLysは、融合前コンフォメーションに対して、位置67における最大の不安定化効果を示した。
【0148】
本発明によれば、RSV Fタンパク質の融合前コンフォメーションを安定化するアミノ酸突然変異は、異なる様式でコンフォメーションを安定化する、異なるカテゴリに分類することができる。融合前F安定化のための戦略は、PIV5結晶構造(Yin et.al.,2006)および27ページのアライメントに基づくRSV−Fのホモロジーモデルに基づいている。
【0149】
アミノ酸残基67および215:
位置67および215のアミノ酸残基は、融合前モデルおよび融合後結晶構造の両方の3D構造で極めて近接している。これらの残基は、ヒンジを形成するDIII領域の上部の保存的ジスルフィド架橋に近接しており、HRA領域は、このヒンジに沿って、細長く伸びたコイルドコイル伸長ヘリックス三量体にリフォールディングする。この領域の突然変異はヒンジ機能に影響を及ぼすことになり、したがって、導入された突然変異はヒンジ機能の妨害により融合前コンフォメーションを安定化する。
【0150】
アミノ酸残基77、80
位置77および80のアミノ酸残基は、融合後コンフォメーションの長いコイルドコイル構造にリフォールディングする、F1のN末端にあるDIIIの二次構造のアンサンブルに密接している、F2のC末端の長いヘリックス(残基76〜98)内に位置している。これらの2つの領域は、融合前から融合後へのリフォールディング中に分離されなければならないので、この分離を妨げる、この領域のアミノ酸は融合前コンフォメーションを安定化するであろう。これらの2つの領域は、リフォールディング中に離れるべきであるので、残基の一部を最適化して相互作用を増強することができる。観察された斥力の一例として、正電荷のLys80との間がある。負電荷のGlu残基へのLys80の突然変異は、融合前Fの発現を増大させた。融合後コンフォメーションに連続的に移行するため、表10に示すように、これらの突然変異をN67IおよびS215Pのような他の安定化突然変異と組み合わせて、この安定化の有益性を十分に得ることができる。
【0151】
アミノ酸残基92
位置92のアミノ酸残基もまた、融合後コンフォメーションの長いコイルドコイル構造にリフォールディングする、F1のN末端にあるDIIIの二次構造のアンサンブルに密接している、F2のC末端の長いヘリックス(残基76〜98)内に位置している。このヘリックスは、HRA領域から分離される場合、シナジス(Synagis)エピトープ(エピトープII)(Arbiza et al.,J.Gen.Virol.73:2225−2234,1992)を含有するDIII領域に引っ張られ、負電荷のGlu92が移動して、融合後コンフォメーションにおいて正電荷のArg282に近接する。この引っ張りを低減する突然変異は、融合前コンフォメーションを安定化することになる。Glu92の保存的Asp残基への突然変異は、AspがArg282に到達することができないので、この引っ張りを低減することになる。
【0152】
アミノ酸残基486、487
融合前コンフォメーションにおいてHRBの上部にあるアミノ酸残基486、487、および489は、負電荷のパッチを形成する。Glu487のAsnまたはIleへの突然変異は、融合前F発現を増大させた。Asp486のAsnもしくはGlnへの突然変異および/またはGlu489のAsn、Ile、もしくはGlnへの突然変異には、同じ効果がある。融合後に連続的に移行するため、例えばD486Nについて表10に示すように、これらの突然変異をN67IおよびS215Pのような他の安定化突然変異と組み合わせて、この安定化の有益性を十分に得ることができる。
【0153】
アミノ酸残基175、184、185
融合前から融合後コンフォメーションにリフォールディングするためには、残基175と193との間の領域は、ループ−βヘアピンからヘリックスに変換しなければならない。この領域は最も劇的な構造移行を示す。この領域の一部については、実際に最も高いαヘリックス予測がある。融合前モデルにおける実際のヘリックス構造を、灰色で強調して以下に示す。この領域全体は、融合後コンフォメーションにリフォールディングすると、1つの大きなヘリックスに変換される。下位配列では、Agadir(http://agadir.crg.es/)に基づいて最も高いヘリックス予測をされた残基を灰色で強調している。融合前コンフォメーションにおいてβ−ヘアピンに維持されているC末端部分(残基187〜202)がα−ヘリックスを形成する傾向が高いことが、この比較から明らかになる。
【化13】
【0154】
RSV−Fの残基150〜212の配列を上記に示す。2番目の行に、1番目の行の二次構造を、PIV−5の3Dホモロジーモデルに基づいて、h(ヘリックスの場合)およびs(ストランドの場合)によって示す。ヘリックスは灰色の陰影で強調される。最後の行は、配列のヘリックス傾向に基づいてヘリックスに灰色で陰影をつけた同じ配列である。
【0155】
したがって、このターンを安定化し、ヘリックスへのリフォールディングを妨げるために、プロリンを位置175に導入したところ、単一突然変異として発現レベルが増大し、プロリンが融合前コンフォメーションを安定化し、タンパク質のより良好なプロセシングを可能にすることが示された。ヘアピンのターン(残基184および185)に関し、リフォールディングをしない安定なタンパク質に由来する構造的に相同なヘアピンについて、Brookhavenデータベースを検索した。高い構造相同性が、プロテインキナーゼA(pdbコード3FHI)のヘアピンループで発見された。下記に示すアライメントに従い、このターンを安定化し、それがリフォールディングすることを妨げるために、残基184Glyまたは185ValをAsnに置き換えた。
【化14】
【0156】
表10に示すように、これらの突然変異をN67IおよびS215Pのような他の安定化突然変異と組み合わせて、この安定化の有益性を十分に得ることができる。
【0157】
アミノ酸残基421、426、および46
位置421および426のアミノ酸残基はDII領域のループにある。残基S46は、DIからDIIIに交差する鎖の上にある。位置426のアミノ酸残基をセリンに突然変異させ、位置46のアミノ酸残基をグリシンに突然変異させた。これらの突然変異により、安定性および融合前発現レベルが増大した。
【0158】
アミノ酸残基465
アミノ酸残基Lys465は、大きなコンフォメーション変化を受ける別の領域に位置する。Lys465は、DII領域の上部をHRBに連結する交差ループに位置する。HRB領域が下部から上部に上昇し、HRAと複合体形成して、6ヘリックスバンドルを形成するので、交差ループも下部から上部に再配置される。したがって、DIIの分離および別の環境への移動を可能にするためには、このループは準安定でなければならない。交差ループのLys465は、DII領域のLys445に近接している。Lys465のGlnまたはGluへの突然変異は、斥力を中和し、安定性および融合前Fの発現レベルを増大させた。
【0159】
実施例3
融合前Fタンパク質の発現
組換え融合前RSV Fタンパク質をコードする発現プラスミドを、部位特異的突然変異誘発およびPCRを含む、当技術分野内に広く知られる標準的方法により作製した。使用した発現プラットフォームは、293Freestyle細胞(Life Technologies,Renfreshire,UK)とした。製造業者の説明書に従い、293Fectin(Life Technologies)を用いて、細胞に一過性にトランスフェクトし、37℃および10%CO
2で5日間、振盪インキュベーター中で培養した。培養上清を回収し、300gで5分間遠心して、細胞および細胞デブリを除去した。次いで、0.22umの真空フィルターを用いて、遠心上清を滅菌濾過し、使用するまで4℃に保存した。
【0160】
実施例4
融合前RSV Fタンパク質の精製
組換えポリペプチドを、初期精製用の陽イオンイオン交換カラム、次いで残存する混入物を除去する洗練ステップ用のセファデックス200カラムを適用する2ステップ精製プロトコールによって精製した。初期イオン交換ステップのために、培養上清を2容量の50mM NaOAc、pH5.0で希釈し、5mlのHiTrap Capto Sカラムに毎分5mlで通した。次いで、カラムを、10カラム容量(CV)の20mM NaOAc、50mM NaCl、0.01%(v/v)tween20、pH5で洗浄し、2CVの20mM NaOAc、1M NaCl、0.01%(v/v)tween20、pH5で溶出した。スピン濃縮器を用いて溶出液を濃縮し、ランニング緩衝液として40mM Tris、500mM NaCl、0.01%(v/v)tween20、pH7.4を用い、セファデックス200カラムを使用してタンパク質をさらに精製した。
図1Aに、ゲル濾過カラムからのクロマトグラムを示すが、主要ピークに融合前RSV Fタンパク質が含有される。このピークを含有する画分を再びプールし、OD280を用いてタンパク質濃度を測定し、使用するまで4℃に保存した。
図1Bに、最終タンパク質調製物の還元SDS−PAGE分析を示すが、見てわかるように、純度は95%超であった。バンドの同一性はウエスタンブロッティングおよびタンパク質F特異的抗体を用いて確認した(図示せず)。
【0161】
実施例5
NativePAGE
本発明による融合前Fポリペプチドの多量体状態の初期測定のために、一過性にトランスフェクトされた細胞からの培養上清を、NativePAGE Bis−Trisゲルシステム(Life Technologies)で分析した。次いで、ゲルを、製造業者の説明書に従い、iBlot技術(Life Technologies)を用いてブロットした。RSV Fタンパク質特異的抗体CR9503(下記の表17に示す配列)を、融合前RSV Fタンパク質の検出用一次プローブとして使用し、次いでHRPコンジュゲートマウス抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)またはIRDye800CWコンジュゲート親和性精製抗ヒトIgG(ウサギ)(Rockland Immunochemicals,Gilbertsville,PA)を使用した。ブロットは、標準フィルム(Codak)またはOdyssey CLx赤外線イメージングシステムを用いて検出した。
図2に、単量体F47−からの上清(レーン1)、融合後および主として三量体のRSV Fタンパク質(レーン2)、ならびに精製された融合前RSV Fタンパク質(レーン3)のNativePAGE分析を示すが、これから、精製後には、融合後三量体バンドと同様に泳動するため、三量体化学種のみが、融合前RSV Fタンパク質調製物中に存在することがわかる。これは、ゲル濾過カラムからの溶出容量によっても支持される(
図1A)。
【0162】
実施例6
定量的ウエスタンブロッティング
融合前RSV Fタンパク質コンストラクトの定量のために、定量的ウエスタンブロッティングを使用した。培養上清の稀釈液を、4〜12%(w/v)Bis‐Tris NuPAGEゲル(Life Technology)上で還元泳動し、iBlot技術(Life Technology)を用いてブロットした。ブロットをCR9503でプローブし(上記のように)、コンジュゲートマウス抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)またはIRDye800CWコンジュゲート親和性精製抗ヒトIgG(ウサギ)(Rockland Immunochemicals,Gilbertsville,PA)で検出した。次いで、タンパク質量を、段階希釈した精製RSV標準タンパク質と、Odyssey CLx赤外線イメージングシステムまたは視覚によって評価した。
図3で、全体的な発現レベルの点から、A2_F24(配列番号19)コンストラクトに相対的な効果を見ることができる。単一突然変異では、発現レベルは5倍まで増大することが示された。これらの突然変異の一部からなる二重突然変異体を作製すると、相乗効果が観察される場合があり、場合によっては、A2_F24の11倍までさらに増大した発現が観察された。
【0163】
実施例7
終了点安定性アッセイ
本発明による発現ポリペプチドの融合前コンフォメーションの確認は、融合前特異的抗体CR9501またはCR9502またはモタビズマブの重鎖および軽鎖可変領域を含む非コンフォメーション特異的抗体CR9503を用い、BioLayer Interferometry(Octet)技術を使用して行った。標準プロトコールにより抗体をビオチン化し、ストレプトアビジンバイオセンサー(ForteBio,Portsmouth,UK)上に固定した。手順は以下のとおり。カイネティック緩衝液(ForteBio)中で60秒間、センサーを平衡化した後、Tipssを、5ug/mlの所望の抗体を含むPBSに移した。負荷を250秒間行った。次いで、カイネティック緩衝液中で200秒間のさらなる平衡化ステップを入れた。最後に、融合前RSV Fポリペプチドを含有する発現培養上清にTipssを移し、1200秒後に結合応答(nm)を記録した。この段階は結合段階とも呼ばれる。これを、回収直後(1日目)および5日後(5日目)に行い、CR9501結合の差を、融合前コンフォメーションを安定化することができる突然変異を同定するためのスクリーニングツールとして使用した。5日目に20%未満しか結合減少が観察されなかった場合、コンストラクトは安定であると考えられ、20%超の結合減少が観察された場合、不安定と考えられた。次いで、必要に応じて、よりストリンジェントな安定性試験を安定なコンストラクトに課すこともあった。データ解析は、ForteBioデータ解析6.4ソフトウェア(ForteBio)を用いて行った。
【0164】
実施例8
熱安定性アッセイ
RSV Fポリペプチドに導入した形質の安定化能を、熱ストレスにより評価した。この目的のために、一過性にトランスフェクトされた細胞からの培養上清または精製されたタンパク質を一連の温度を用いて加熱した。次いで、さらなる熱誘導コンフォメーション変化を防止するために、試料を氷上で冷却し、実施例7に記載のように、octet技術プラットフォーム上でCR9501抗体を用いてプローブした。種々の温度での結合段階の終了時に得られた応答を、温度の関数としてプロットし、Prismソフトウェアを用いて、非線形回帰によりフィットさせた。これにより、抗体結合レベルが最大の50%である温度を評価し、この値を使用して、融合前熱安定性の点から、種々のコンストラクトを比較することができる。
図4では、未改変外部ドメイン(配列番号13)とA2_F24 N67I+S215Pコンストラクト(配列番号21)が比較される。温度誘発ストレスの効果が、未改変外部ドメインに比較して、A2_F24 N67I+S215Pコンストラクト(配列番号21)に対して少ないことを観察することができる。したがって、本発明による、ポリペプチドに導入した安定化モチーフ、すなわち、三量体形成部位、F1−F2リンカー、および2つの点突然変異は、より安定な融合前Fタンパク質をもたらすと結論することができる。
【0165】
実施例9
結合段階安定性アッセイ
種々の点突然変異の安定性を評価するために、前に記載した終了点安定性アッセイ(実施例7)の変法であるoctet結合アッセイを開発した。結合段階解析は、よりストリンジェントであり、かつ発現レベルバイアスを完全に防止するので、極めて高い発現レベルを示す一部の点突然変異体のために実行した。CR9501抗体をまた使用するが、結合段階の終了時の結合応答を選択する代わりに、終了点アッセイの濃度バイアスの可能性を低減するために結合曲線全体を使用した。これは、指示されたA2_F24点突然変異体を用い、実験の結合段階全体からのデータポイントを使用して行った。データはチップ上の結合抗体の量について補正した。測定は1、5、および33日目に行い、この3日の曲線の形状を比較した。同一の曲線が得られた場合、このコンストラクトは、安定であると考えられ、そうでなければ、不安定と考えられる。
図5に、4つの異なる変異体の解析を見ることができる。不安定なタンパク質融合前コンストラクトは、CR9501結合の時間依存的な減少によって同定することができるが(A2_F24、K465Q、S46G)、安定な融合前コンストラクト(N67I)はそのような低下を示さなかった。突然変異E92Dは、曲線形状にほんのわずかな変化が観察されたので、中間の安定性を有する、この2つの間のグループに入ると考えられる。
図6では、選択された点突然変異を組み合わせて、二重突然変異体を作製し、それらを解析した。見てわかるように、異なる突然変異は、安定性および安定性誘導の点から異なる表現型を示した。ポリペプチドが突然変異K465QまたはS46Gを単独でまたは組み合わせて含む場合、3つ、すなわち、2つの単一突然変異体および1つの二重突然変異体はすべて不安定であり、融合前特異的抗体結合は経時的に減少する。突然変異S46Gを、単一突然変異として中間の安定性を有することが前に示されたE92Dと組み合わせた場合、安定性の変化を観察することができなかったが、これは、E92D突然変異によって不安定なタンパク質コンストラクトを補正することができないことを示す。突然変異N67IをS46GまたはE92D突然変異と組み合わせた場合、結果は完全に安定なコンストラクトを示す。これはまた、S215P突然変異をE92D突然変異と組み合わせた場合にも観察することができ、不安定な融合前コンストラクトを安定化する、これらの2つの突然変異のユニークな能力が示された。
【0166】
実施例10
定量的Octet
細胞培養上清中の融合前RSV Fタンパク質の濃度を測定するために、定量的Octetベースの方法を使用した。CR9501およびCR9503抗体を標準プロトコールによりビオチン化し、ストレプトアビジンバイオセンサー(ForteBio,Portsmouth,UK)上に固定した。その後、コーティングされたバイオセンサーをmock細胞培養上清でブロックした。定量的実験を以下のとおりに行った:温度30℃、振盪速度1000rpm、アッセイ時間300秒。標準曲線を用いて細胞培養上清中のタンパク質濃度を算出した。mock細胞培養上清で希釈したA2_F24_N67I+S215P(配列番号21)タンパク質を用いて、コーティング抗体それぞれについて標準曲線を作成した。測定は、上清回収日(1日目)および4℃で5日間以上の上清保存後に行った。CR9501で測定した濃度の差を、融合前コンフォメーションを安定化することができる突然変異を同定するためのスクリーニングツールとして使用した。5日目に20%未満しか測定濃度の減少が観察されなかった場合、コンストラクトは安定であると考えられた。データ解析は、ForteBioデータ解析6.4ソフトウェア(ForteBio)を用いて行った。
【0167】
実施例11
FACS解析および熱安定性
組換え完全長融合前RSV Fタンパク質をコードする発現プラスミドを、部位特異的突然変異誘発およびPCRを含む、当技術分野内に広く知られる標準的方法により作製した。製造業者の説明書に従い、293Fectin(Life Technologies)を用いて、HEK293−T細胞に一過性にトランスフェクトし、37℃および10%CO
2で48時間培養した。FACS緩衝液(FBS中5mM EDTA、1%FBS)を用いて、細胞培養ディッシュから細胞を剥離し、同じ緩衝液で洗浄し再懸濁した。ビオチン化されたCR9501またはCR9503抗体、次いでAPC標識ストレプトアビジンにより、表面RSV Fタンパク質に対して細胞を染色した。生細胞と死細胞を識別するために、ヨウ化プロピジウムを染色手順の終わりに細胞懸濁液に加えた。当業者に周知の標準的方法に従って、FACS Canto(BD Biosciences)上で細胞を解析した。データ解析は、FlowJo 9.0ソフトウェア(Tree Star Inc.)を用いて行った。平均蛍光強度(MFI)を、APC陽性生細胞の集団について算出した。
【0168】
完全長膜結合型RSV Fに導入した形質の安定化能を、熱ストレスにより評価した。上記のように、トランスフェクション後48時間の細胞を細胞培養ディッシュから剥離し、細胞懸濁液を、一連の温度(37、46、55.3、60℃)を用いて5〜10分間加熱した。次いで、上記のように、細胞を染色してFASCにより解析した。APC陽性生細胞の集団について、MFIを算出した。APC陽性細胞のパーセントを生細胞集団について算出した。CR9503による染色により、温度上昇による熱ショックに曝された試料において、同様のMFIおよび%APC陽性細胞が得られた。CR9501による染色は、不安定タンパク質でトランスフェクトされた細胞試料において低下した。CR9501結合の減少から、細胞表面上の融合前RSV Fタンパク質の減少が示された。
【0169】
実施例12
融合前F免疫原性の前臨床評価
安定化された融合前RSV F(A2F24、N67I、S215P)(配列番号21)の免疫原性を評価するために、0週目および4週目の初回免疫−追加免疫レジメンで、0.5または5ugを用い、表14に従ってマウスを免疫した。
図7に示すように、融合前Fで免疫されたマウスは、融合後RSV Fで免疫されたマウスよりも高いVNA力価を示した。
【0170】
【表17】
【0171】
次に、融合後または融合前コンフォメーションのRSV−Fの異なる2用量でコットンラットを免疫した(表15)。動物を0週目および4週目にi.m.で免疫した。
図8に、チャレンジの日(7週目)の高い中和抗体価を示す。
【0172】
【表18】
【0173】
チャレンジの5日後に、肺および鼻のウイルス負荷を測定した(
図9を参照)。示すように、本発明による融合前Fポリペプチドは、肺、さらには鼻においてもウイルス負荷を低減する強力な防御免疫応答を誘導することができる。
【0174】
【表19】
【0175】
【表20】
【0176】
融合前RSV Fコンストラクトのいくつかのアミノ酸配列を以下に示す。本明細書に記載する種々のコンストラクトのアミノ酸番号は、野生型配列(配列番号1)に基づいており、これは、融合前コンストラクトの位置108を含めて、位置1から108のすべてのアミノ酸が野生型配列のアミノ酸位置1〜108に対応するが、位置138から末端までのアミノ酸の番号は、22アミノ酸だけシフトしている、すなわち、野生型配列(配列番号1)におけるL138は、すべての融合前コンストラクトにおいてL116に対応することを意味することに留意されたい。これは融合前コンストラクトで欠失がなされたという事実による、すなわち、GSGSGリンカーの挿入、F1の実際の番号はコンストラクト間で同じではない。したがって、本発明による特定の突然変異に関して用いられる番号、例えばS215Pは、野生型配列のアミノ酸の位置を指す。
本発明は以下の態様を包含し得る。
[1] 組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)ポリペプチドであって、融合前コンフォメーションFタンパク質に特異的な少なくとも1つのエピトープを含み、前記少なくとも1つのエピトープが、配列番号54の重鎖CDR1領域、配列番号55の重鎖CDR2領域、配列番号56の重鎖CDR3領域と、配列番号62の軽鎖CDR1領域、配列番号63の軽鎖CDR2領域、および配列番号64の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体、ならびに/または配列番号58の重鎖CDR1領域、配列番号59の重鎖CDR2領域、配列番号60の重鎖CDR3領域と、配列番号66の軽鎖CDR1領域、配列番号67の軽鎖CDR2領域、および配列番号68の軽鎖CDR3領域を含む融合前特異的モノクローナル抗体により認識される、組換え融合前呼吸器合胞体ウイルス(RSV)融合(F)ポリペプチド。
[2] 前記ポリペプチドが三量体である、上記[1]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[3] 前記ポリペプチドが、位置67のアミノ酸残基の突然変異および/または位置215のアミノ酸残基の突然変異を含む、上記[1]または[2]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[4] 前記ポリペプチドが、F1ドメインおよびF2ドメイン、ならびに前記F1ドメインを前記F2ドメインに連結する、1〜10アミノ酸残基を含む連結配列を含む、上記[1]、[2]、または[3]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[5] 短縮されたF1ドメインおよびF2ドメイン、ならびに前記F1ドメインを前記F2ドメインに連結する、1〜10アミノ酸残基を含む連結配列を含み、ポリペプチドが、野生型RSV Fタンパク質のRSV F1および/またはF2ドメインに対して、F1および/またはF2ドメインに少なくとも1つの安定化突然変異を含み、前記少なくとも1つの安定化突然変異が、
(a)位置67のアミノ酸残基N/Tの突然変異、
(b)位置215のアミノ酸残基Sの突然変異
からなる群から選択される、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[6] 前記少なくとも1つの安定化突然変異が、
(a)位置67のアミノ酸残基N/TのIへの突然変異;および
(b)位置215のアミノ酸残基SのPへの突然変異
からなる群から選択される、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[7] 前記ポリペプチドが、前記短縮されたF1ドメインに連結された異種三量体形成ドメインを含む、上記[5]または[6]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[8] 前記ポリペプチドが少なくとも1つのさらなる突然変異を含み、前記突然変異が、
(a)位置46のアミノ酸残基の突然変異;
(b)位置77のアミノ酸残基の突然変異;
(c)位置80のアミノ酸残基の突然変異;
(d)位置92のアミノ酸残基の突然変異;
(e)位置175のアミノ酸残基の突然変異;
(f)位置184のアミノ酸残基の突然変異;
(g)位置185のアミノ酸残基の突然変異;
(h)位置201のアミノ酸残基の突然変異;
(i)位置209のアミノ酸残基の突然変異;
(j)位置421のアミノ酸残基の突然変異;
(k)位置426のアミノ酸残基の突然変異;
(l)位置465のアミノ酸残基の突然変異;
(m)位置486のアミノ酸残基の突然変異;
(n)位置487のアミノ酸残基の突然変異;および
(o)位置508のアミノ酸残基の突然変異
からなる群から選択される、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[9] 前記少なくとも1つのさらなる突然変異が、
(a)位置46のアミノ酸残基SのGへの突然変異;
(b)位置77のアミノ酸残基KのEへの突然変異;
(c)位置80のアミノ酸残基KのEへの突然変異;
(d)位置92のアミノ酸残基EのDへの突然変異;
(e)位置175のアミノ酸残基NのPへの突然変異;
(f)位置184のアミノ酸残基GのNへの突然変異;
(g)位置185のアミノ酸残基VのNへの突然変異;
(h)位置201のアミノ酸残基KのQへの突然変異;
(i)位置209のアミノ酸残基KのQへの突然変異;
(j)位置421のアミノ酸残基KのNへの突然変異;
(k)位置426のアミノ酸残基NのSへの突然変異;
(l)位置465のアミノ酸残基KのEまたはQへの突然変異;
(m)位置486のアミノ酸残基DのNへの突然変異;
(n)位置487のアミノ酸残基EのQ,N、またはIへの突然変異;および
(o)位置508のアミノ酸残基KのEへの突然変異
からなる群から選択される、上記[8]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[10] 前記ポリペプチドが少なくとも2つの突然変異を含む、上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[11] 前記少なくとも2つの突然変異が、位置67のアミノ酸残基N/TのIへの突然変異および位置215のアミノ酸残基SのPへの突然変異を含む、上記[10]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[12] 前記ポリペプチドが、
(a)位置46のアミノ酸残基SのGへの突然変異;
(b)位置77のアミノ酸残基KのEへの突然変異;
(c)位置80のアミノ酸残基KのEへの突然変異;
(d)位置92のアミノ酸残基EのDへの突然変異;
(e)位置175のアミノ酸残基NのPへの突然変異;
(f)位置184のアミノ酸残基GのNへの突然変異;
(g)位置185のアミノ酸残基VのNへの突然変異;
(h)位置201のアミノ酸残基KのQへの突然変異;
(i)位置209のアミノ酸残基KのQへの突然変異;
(j)位置421のアミノ酸残基KのNへの突然変異;
(k)位置426のアミノ酸残基NのSへの突然変異;
(l)位置465のアミノ酸残基KのEまたはQへの突然変異;
(m)位置486のアミノ酸残基DのNへの突然変異;
(n)位置487のアミノ酸残基EのQ,N、またはIへの突然変異;および
(o)位置508のアミノ酸残基KのEへの突然変異
からなる群から選択される、少なくとも1つのさらなる突然変異を含む、上記[11]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[13] 前記異種三量体形成ドメインが、アミノ酸配列EKKIEAIEKKIEAIEKKIEA(配列番号3)を含む、上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[14] 前記三量体形成ドメインが、前記RSV Fタンパク質のアミノ酸残基495に連結している、上記[13]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[15] 前記異種三量体形成ドメインが、アミノ酸配列GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号4)を含む、上記[1]〜[14]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[16] 前記三量体形成ドメインが、前記RSV Fタンパク質のアミノ酸残基513に連結している、上記[15]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[17] 前記F1と前記F2ドメインとの間の前記リンカーが5アミノ酸残基を含む、上記[1]〜[16]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[18] 前記リンカーがアミノ酸配列GSGSG(配列番号5)を含む、上記[17]に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[19] 前記F1ドメインおよび/または前記F2ドメインがRSV A株由来である、上記[1]〜[18]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[20] 前記F1ドメインおよび/または前記F2ドメインがRSV B株由来である、上記[1]〜[19]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[21] 前記ポリペプチドが、55℃で、好ましくは58℃で、より好ましくは60℃で、少なくとも30分間安定である、上記[1]〜[20]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[22] 前記ポリペプチドが、4℃での保存後、少なくとも30日間、好ましくは少なくとも60日間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、一層より好ましくは少なくとも1年間安定である、上記[1]〜[21]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[23] 前記ポリペプチドが、配列番号21〜配列番号52および71〜89からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、上記[1]〜[22]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[24] 前記ポリペプチドがHISタグを含まない、上記[1]〜[23]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド。
[25] 上記[1]〜[24]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチドをコードする核酸分子。
[26] 前記核酸分子が、哺乳動物細胞における発現用にコドン最適化されている、上記[25]に記載の核酸分子。
[27] 上記[25]または上記[26]に記載の核酸分子を含むベクター。
[28] 上記[1]〜[24]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド、上記[25]もしくは上記[26]に記載の核酸分子、および/または上記[27]に記載のベクターを含む組成物。
[29] RSV Fタンパク質に対する免疫応答の誘導に使用するための、上記[1]〜[24]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド、上記[25]もしくは上記[26]に記載の核酸分子、および/または上記[27]に記載のベクター。
[30] ワクチンとして使用するための、上記[1]〜[24]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド、上記[25]もしくは上記[26]に記載の核酸分子、および/または上記[27]に記載のベクター。
[31] RSV感染の予防および/または処置に使用するための、上記[1]〜[24]のいずれか一項に記載の融合前RSV Fポリペプチド、上記[25]もしくは上記[26]に記載の核酸分子、および/または上記[27]に記載のベクター。
[32] RSV Fポリペプチドの融合前コンフォメーションを安定化するための方法であって、野生型RSV F1および/またはF2ドメインに対して、RSV F1および/またはF2ドメインに1つまたは複数の突然変異を導入することを含み、前記1つまたは複数の突然変異が、
(e)HRAドメインがヒンジで動かないように固定する、保存的69−212ジスルフィド架橋に隣接した領域中の安定化変異であって、前記領域がアミノ酸残基66〜68および214〜216を含む安定化変異、
(f)前記F2ドメインのC末端にあるアミノ酸残基76〜98を含むヘリックスの突然変異;
(g)アミノ酸486、487を含むHRB基部領域の上部間の負電荷斥力を低減する突然変異;および
(h)HRA領域の安定化突然変異
からなる群から選択される方法。
[33] HRAヒンジ領域の前記突然変異が位置67にある、上記[32]に記載の方法。
[34] HRAヒンジ領域の前記突然変異が位置215にある、上記[32]または[33]に記載の方法。
[35] HRAヒンジ領域の前記突然変異が、位置66または68にあり、かつ/または位置214または216にある、上記[32]、[33]、または[34]に記載の方法。
[36] ヘリックスの前記突然変異が位置77にある、上記[32]に記載の方法。
[37] ヘリックスの前記突然変異が位置80にある、上記[32]に記載の方法。
[38] 位置77および/または80の前記アミノ酸残基が負荷電のアミノ酸に変更される、上記[36]または[37]に記載の方法。
[39] 前記突然変異が位置92にある、上記[32]〜[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40] 前記突然変異が、アミノ酸486、487、489を含むHRB基部領域の上部間の負電荷斥力を低減する、上記[32]に記載の方法。
[41] 前記突然変異が位置489にある、上記[40]に記載の方法。
[42] 前記突然変異が位置486にある、上記[40]に記載の方法。
[43] 前記突然変異が、アミノ酸残基175〜193間のβターンを安定化する、上記[32]に記載の方法。
[44] 前記突然変異が、位置175でターンを安定化している、上記[43]に記載の方法。
[45] 前記突然変異が、位置184〜185でターンを安定化している、上記[43]に記載の方法。
[46] 上記[32]〜[45]のいずれか一項に記載の方法により得ることができる、安定化された融合前RSV Fポリペプチド。
【0177】
配列
RSV Fタンパク質A2の完全長配列(配列番号1)
【化15】
RSV Fタンパク質B1の完全長配列(配列番号2)
【化16】
配列番号3
【化17】
配列番号4
【化18】
配列番号5
【化19】
F8:RSV A2、野生型外部ドメイン(配列番号13)
【化20】
F11:RSV B1、野生型外部ドメイン(配列番号14)
【化21】
F47:RSV A2、リンカー安定化、IZ(S)(配列番号15)
【化22】
F47−:RSV A2、リンカー安定化、IZ(S)(配列番号16)
【化23】
F43:RSV B1、リンカー安定化、IZ(S)(配列番号17)
【化24】
F24:RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号18)
【化25】
A2_F24:RSV A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号19)
【化26】
F24−:RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号20)
【化27】
A2_F24 N67I+S215P:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号21)
【化28】
F24−N67I+S215P:RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号22)
【化29】
A2_F24 N67I+E92D:RSV A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号23)
【化30】
F24− N67I+E92D RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号24)
【化31】
A2_F24 N67I+K465Q RSV A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号25)
【化32】
F24− N67I+K465Q RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号26)
【化33】
A2_F24 N67I+S46G RSV A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号27)
【化34】
F24− N67I+S46G RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号28)
【化35】
A2_F24 E92D+S215P:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号29)
【化36】
F24−E92D+S215P:RSV B1、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号30)
【化37】
A2_F24 N67I+S215P+K508E:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号31)
【化38】
A2_F24 N67I+S215P+E487I:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号32)
【化39】
A2_F24 N67I+S215P+E487Q:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号33)
【化40】
A2_F24 N67I+S215P+E487N:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号34)
【化41】
A2_F24 N67I+S215P+D486N:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号35)
【化42】
A2_F24 N67I+S215P+K465E:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号36)
【化43】
A2_F24 N67I+S215P+K465Q:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号37)
【化44】
A2_F24 N67I+S215P+N426S:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号38)
【化45】
A2_F24 N67I+S215P+K421N:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号39)
【化46】
A2_F24 N67I+S215P+K209Q:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号40)
【化47】
A2_F24 N67I+S215P+K201Q:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号41)
【化48】
A2_F24 N67I+S215P+V185N:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号42)
【化49】
A2_F24 N67I+S215P+G184N:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号43)
【化50】
A2_F24 N67I+S215P+N175P:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号44)
【化51】
A2_F24 N67I+S215P+E92D:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号45)
【化52】
A2_F24 N67I+S215P+K80E:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号46)
【化53】
A2_F24 N67I+S215P+K77E:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号47)
【化54】
A2_F24 N67I+S215P+S46G:A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号48)
【化55】
A2_F24:RSV S46G A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号49)
【化56】
A2_F24:RSV K465Q A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号50)
【化57】
A2_F24:RSV N67I A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号51)
【化58】
A2_F24:RSV E92D A2、リンカー安定化、フィブリチン(配列番号52)
【化59】
RSV Fタンパク質CL57−v224完全長配列(配列番号69)
【化60】
外部ドメイン、RSV CL57−v224(配列番号70)
【化61】
PreF、RSV A2、フィブリチン(配列番号71)
【化62】
PreF N67I S215P、RSV A2、フィブリチン(配列番号72)
【化63】
PreF N67I S215P、RSV B1、フィブリチン(配列番号73)
【化64】
RSV N67I S215P、RSV CL57−v224、フィブリチン(配列番号74)
【化65】
PreFL N67I S215P、RSV B1、フィブリチン、ループ(配列番号22)
【化66】
PreFL N67I S215P、RSV CL57−v224、フィブリチン、ループ(配列番号75)
【化67】
PreF N67I S215P E487Q、RSV A2、フィブリチン(配列番号76)
【化68】
PreF N67I S215P K201N、RSV A2、フィブリチン(配列番号77)
【化69】
PreF N67I S215P E92D、RSV A2、フィブリチン(配列番号78)
【化70】
PreF N67I S215P D486N、RSV A2、フィブリチン(配列番号79)
【化71】
Fwt N67I S215P、膜結合型RSV F、A2、(配列番号80)
【化72】
Fsl N67I S215P、膜結合型RSV F、A2、(配列番号81)
【化73】
Fwt N67I S215P E92D、膜結合型RSV F、A2、(配列番号82)
【化74】
Fsl N67I S215P E92D、膜結合型RSV F、A2、(配列番号83)
【化75】
Fwt N67I S215P E487Q、膜結合型RSV F、A2、(配列番号84)
【化76】
Fsl N67I S215P E487Q、膜結合型RSV F、A2、(配列番号85)
【化77】
Fwt N67I S215P D486N、膜結合型RSV F、A2、(配列番号86)
【化78】
Fsl N67I S215P D486N、膜結合型RSV F、A2、(配列番号87)
【化79】
Fwt N67I S215P S46G、膜結合型RSV F、A2、(配列番号88)
【化80】
Fsl N67I S215P S46G、膜結合型RSV F、A2、(配列番号89)
【化81】
CR9501重鎖(配列番号53):
【化82】
CR9501軽鎖(配列番号61):
【化83】
CR9502重鎖(配列番号57):
【化84】
CR9502軽鎖(配列番号65):
【化85】