(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の補正動作がさらに、前記領域(P)に少なくとも1つの追加的な所定の体積要素(14)を堆積することを含み、前記堆積は曲率の追加と言われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
− 実際の幾何学的包囲線を決定する前記ステップが、前記領域(P)の平均曲率(Cm)を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定するステップ(200)を含み、及び
− 前記領域(P)の前記平均曲率の差(Ecdif)を決定するために、前記方法が、前記平均曲率(Cm)を示す前記少なくとも1つの幾何学的な値を、前記領域(P)に必要とされ且つ前記目標幾何学的包囲線(18)から決定された目標平均曲率(Cmc)を示す幾何学的な値と比較するステップ(300)を含む
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
前記平均曲率(Cm)を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップ(200)が、前記領域(P)の所与の地点に関連付けられる少なくとも一対の曲率半径(Rc1、Rc2)を測定するステップ(202)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
前記平均曲率(Cm)を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップ(200)がさらに、前記領域(P)の前記所与の地点の前記平均曲率の幾何学的な値、及び/又は前記領域(P)の平均曲率の幾何学的な値の最大差を示す値を、前記少なくとも一対の曲率半径(Rc1、Rc2)の測定された幾何学的な値から決定するステップ(203)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
前記平均曲率(Cm)を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップ(200)がさらに、前記眼鏡レンズ(10)の実際の幾何学的特徴を決定し、前記実際の幾何学的包囲線を、前記少なくとも一対の曲率半径(Rc1、Rc2)の測定された幾何学的な値から、及び/又は前記領域(P)内で測定された前記平均曲率の幾何学的な値から、及び/又は前記領域(P)の平均曲率の幾何学的な値の最大差を示す前記値から画定するステップ(204)を含むことを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、少なくとも1つの光学的機能を有する眼鏡レンズを製作するための方法を提供することを目的とし、この方法は旋削方法と異なり、及び特に実行するのが簡単、便利及び経済的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って本発明の主題は、第1の態様によれば、少なくとも1つの光学的機能を有する眼鏡レンズを製作するための方法において、
− 目標幾何学的包囲線に従い、所定の屈折率を有する少なくとも1つの材料の複数の所定の体積要素を堆積することによって、前記眼鏡レンズを付加的に製作するステップと、
− 前記付加的な製作ステップを実行する間、実際の幾何学的包囲線を少なくとも1回測定するステップと、
− ある領域において前記目標幾何学的包囲線と前記実際の幾何学的包囲線との間に所定の閾値を超える差がある場合、補正動作をトリガするステップと
を含むことを特徴とする方法である。
【0016】
付加的製作技術は、本発明の目的を満たす特に適した方法である。
【0017】
表現「付加的な製作」は、国際標準ASTM2792−12によれば、従来式の機械加工などの減法的製作方法論と対照的に、3Dモデリングデータ(典型的にコンピュータ支援設計(以下CAD)ファイル)から、通常一層ずつ、物体を製作するために、材料を一緒に置く、すなわち組み合わせることを伴う方法を含む製作技術を意味するものと理解される。
【0018】
付加的な製作技術は、CADファイル中にデジタル形態で含まれた所定の配置に従って固体材料要素を並置することによって物体を製作するものである。
【0019】
「ボクセル」と称されるこれらの基本的な体積要素は、多様な異なる技術原理を用いて、例えば、プリントヘッドを用いて光重合可能なモノマーの液滴を提供することによって、モノマー槽の表面近くでUV光源を使用して選択的に光重合することによって(光造形技術)、又はポリマー粉体を溶融することによって(選択的レーザ溶融(SLM)又は選択的レーザ焼結(SLS))、作製及び並置可能である。
【0020】
付加的な製作技術は、物体の形状を非常に柔軟に形成することを可能にするが、光を散乱せずまたレンズの両面において非常に正確なジオプター形状によって光学的処方を提供する透明な眼鏡レンズを製作することを望む場合に数多くの問題を生じ、これらのジオプターは半球状、又は疑似半球状又は球状円環状又は疑似球状円環状であり得る。
【0021】
特に以下の問題に直面する:
− 1ボクセルごとの構造は、光学用途に必要な滑らかな表面を得るためにそれ自体を上手く役立たせることがない、及び
− 付加的製作技術は、光学用途に必要な精度で製品要素の寸法特徴を制御することを困難にする、特に非常に正確にレンズの曲率半径の局所制御を達成することを困難にする。
【0022】
本発明は、付加的な製作を眼鏡レンズの製作に適合させるために、付加的な製作に固有のこれらの問題を考慮することが理解される。
【0023】
本発明による製作方法は、とりわけ、迅速且つ柔軟な製作方法を必要とする、(光学的機能の個人化のために)多様な光学的機能を作り出す状況において、特に単純、簡単、及び経済的である。
【0024】
表現「光学的機能」は、レンズに用いられるとき、このレンズの光学的応答、すなわち、入ってくる光学ビームの入射角がどのようなものであれ、及び入射光学ビームによって照射される入口ジオプターの幾何学的範囲がどのようなものであれ、対象のレンズを通過する光学ビームの伝播及び透過のあらゆる修正を決定する機能を意味するものと理解されることも注目される。
【0025】
より正確には、眼の分野では、光学的機能は、装用者のパワー(power)及び乱視特徴の分散、及びこのレンズの装用者のゲージの全方向に関するレンズに関連する高次収差の分散として定義される。勿論これは、装用者の目に対するレンズの幾何学的位置が既に知られているものと考える。
【0026】
本発明による方法は、光学の分野で標準的な数学的ツールを用いて達成することが可能であるという有用性に基づいて、眼鏡レンズを正確に付加的に製作することを特に単純且つ簡単にし、前記の数学的ツールは、そのそれぞれがその座標により、例えば直交座標系に与えられる有限地点数によって表面を決定するファイルから、レンズの目標幾何学的包囲線を、及び付加的な製作の過程でレンズの実際の幾何学的包囲線を決定すること、及びこれらの目標及び実際の包囲線の間の形状の差異に依存して、必要であれば補正動作をトリガすることを可能にする。
【0027】
従って、本発明による方法において、製作中に実行される監視は、ノズルなどの材料堆積工具の位置ではなく、その製作中のレンズの実際の幾何学的包囲線であり、及び必要であれば、製作中に補正動作が眼鏡レンズにトリガされる。
【0028】
有利な特徴によれば、前記補正動作は、前記領域に少なくとも1つの追加的な所定の体積要素を堆積すること及び/又は前記目標幾何学的包囲線に置き換わる修正された目標幾何学的包囲線を決定することを含む。
【0029】
目標幾何学的包囲線はレンズの開始製作設定値(又はフレーム構造)に対応するが、修正された目標幾何学的包囲線はレンズの修正された製作設定値に対応し、この修正は目標(目標レンズ)と実際の事例(製作されたレンズ)との間で所定の閾値を超える差が検出された後に実行されることが注目される。
【0030】
少なくとも1つの追加的な所定の体積要素を堆積すること及び/又は形成される目標幾何学的包囲線に置き換わる修正された目標幾何学的包囲線を決定することは、新しく生じるあらゆる欠点を補正する優れた方法であり、材料中のいかなる不足も満たされ、及び/又は眼鏡レンズの目標とされる形状は製作中に変更され、その結果、前記レンズが完成されると必要な光学機能が前記レンズによって得られる。
【0031】
従って眼鏡レンズの製作の間考慮される主な要素は、最初に設定された形状が尊重されているかどうかではなく、その光学的機能が尊重されているかどうかであり、特定の場合に組み立てられる眼鏡レンズは最初に設定された形状と異なる形状を有する。
【0032】
勿論、補正は適切である限り何回でも実行される。
【0033】
補正動作を実行するかどうかを決定するときに考慮される主な要素の1つは、眼鏡レンズ製作方法の終了点までの時間である。
【0034】
有利な特徴によれば、補正動作をトリガする前記ステップは、
− 前記領域において前記目標幾何学的包囲線と前記実際の幾何学的包囲線との間に、第1の所定の閾値より大きく第2の所定の閾値未満である差がある場合、第1の補正動作を実行すること、及び
− 前記領域において前記目標幾何学的包囲線と前記実際の幾何学的包囲線との間に、第2の所定の閾値より大きい差がある場合、第1の補正動作と異なる第2の補正動作を実行すること
を含む。
【0035】
これらの特徴により、必要であれば実行される補正動作は特に優れ、それにより高精度の眼鏡レンズを得ることが可能になる。
【0036】
有利な特徴によれば、前記第1の補正動作は、目標幾何学的包囲線を置き換えることなく前記領域に少なくとも1つの追加的な所定の体積要素を堆積することを含み、この堆積は高さの追加と言われ、一方で第2の補正動作は、前記目標幾何学的包囲線に置き換わる修正された目標幾何学的包囲線を決定することを含む。
【0037】
本発明による方法は、開始製作設定値に基づいてレンズの付加的な製作を開始することを可能にし、目標包囲線と実際の包囲線との間に差異が観察される場合、及びこの差異の幾何学的な値に基づいて、所定の体積要素の設定数がレンズの高さに関して追加され、製作方法は開始製作設定値を使用し続ける、又は修正された目標幾何学的包囲線が決定され、製作方法はこれらの修正された製作設定値を使用する。
【0038】
有利な特徴によれば、第2の補正動作はさらに、前記領域に少なくとも1つの追加的な所定の体積要素を堆積することを含み、この堆積は曲率の追加と言われる。
【0039】
従って、閾値に依存して、補正動作は、高さの追加、曲率の追加又は材料の追加のない目標幾何学的包囲線の単純な修正であり得る。有利な特徴によれば、
− 実際の幾何学的包囲線を決定する前記ステップは、前記領域の平均曲率を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定するステップを含み、及び
− 前記領域の前記差を決定するために、前記方法は、平均曲率を示す前記少なくとも1つの幾何学的な値を、前記領域の、前記目標幾何学的包囲線から決定された目標平均曲率を示す幾何学的な値と比較するステップを含む。
【0040】
本発明による方法では、そのような差異は、付加的な製作の間、レンズの様々な地点の平均曲率を示す幾何学的な値を得ることを可能にする計算から決定される。平均表面曲率に関連するそのような値を考慮することは、レンズの幾何学的包囲線を決定することを可能にし、及び、表面を形成することすなわち所望の光学的機能を得ることがどの程度難しいかを完全に示すのは値の問題であるため、本発明による方法を特に正確にする。具体的には、これらの幾何学的な値は、眼鏡レンズの表面のある地点における平均幾何学的球面を計算することを特に可能にし得、これはジオプターで表現され、及びこの光学的機能を少なくとも部分的に示す。
【0041】
従って、本発明による方法は、比較的簡単な計算によって、光学表面を計算する従来のツールに基づいて、表面のあらゆる製作上の誤り(差異)を決定すること、及び付加的な製作によってそれらを補正する方法を決定することを可能にする。
【0042】
勿論、誤りが補正される方法(換言すると閾値)を決定する規則が目標平均曲率及び修正された目標平均曲率を示す幾何学的な値の比較の結果から設定されることは、妥当な試行回数内で簡単に達成される較正に基づく。
【0043】
本発明による方法の有利な特徴によれば、
− 平均曲率を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップは、前記領域の所与の地点に関連付けられる少なくとも一対の曲率半径を測定するステップを含み、
− 平均曲率を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップはさらに、前記領域の前記所与の地点の平均曲率の幾何学的な値、及び/又は前記領域の平均曲率の幾何学的な値の最大差を示す値を、前記少なくとも一対の曲率半径の測定された幾何学的な値から決定するステップを含み、
− 平均曲率を示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定する前記ステップはさらに、前記眼鏡レンズの実際の幾何学的特徴を決定し、前記実際の幾何学的包囲線を、前記少なくとも一対の曲率半径の測定された幾何学的な値から、及び/又は前記領域内で測定された前記平均曲率の幾何学的な値から、及び/又は前記領域の平均曲率の幾何学的な値の最大差を示す値から画定するステップを含み、及び/又は
− 前記領域は最終的な目標曲率プロファイルを有する。
【0044】
本発明の別の主題は、第2の態様によれば、付加的製作機械であり、付加的製作機械は眼鏡レンズを製作するように構成され、及び上記の方法のステップのそれぞれを実行するように構成された指示を含むコンピュータプログラムを実行するように構成されたシステム要素を設けられた命令/制御ユニットを含む。
【0045】
好ましい、単純、簡単で経済的な特徴によれば、本発明による機械はさらに、前記眼鏡レンズの少なくとも1つの領域の少なくとも所与の地点における平均曲率を示す幾何学的な値を測定するように構成された測定装置を含む。
【0046】
ここで本発明の主題を、付随の図面を参照して以下に非限定的な説明として与えられるその1つの実施形態の記載を通して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は眼鏡レンズ10を付加的に製作するための機械1、ここではデジタル制御式3次元プリント機械を示す。
【0049】
デジタル制御式は、付加的製作機械1がこの機械に含まれるすべてのユニットに動的な指示を与えるように構成された一組のハードウェアを含むことを意味する。
【0050】
付加的製作機械1はここでは、眼鏡レンズ10を形成するために、製作ホルダ12の上に少なくとも1つの材料の重複された層(換言すると1層ずつの堆積)を形成する並置された複数の所定の体積要素を堆積するように構成される。
【0051】
この眼鏡レンズ10は例えば累進式であり、さらに環状且つプリズム状の構成要素を有する。
【0052】
各所定の体積要素は所定の組成及び所定の寸法で形成される。
【0053】
それはここでは付加的な製作の及び特に3次元プリントの問題であるため、体積的要素又は体積要素(ボクセル(3次元ピクセル)とも呼ばれる)という用語も用いられる。
【0054】
この眼鏡レンズ10は従って製作ホルダ12によって支持される。
【0055】
この製作ホルダ12は付加的製作機械1の所定のホルダであり、従ってその幾何学的特徴は知られており、付加的製作機械1の第1命令/制御ユニット2に記憶されるかロードされるファイルに含まれることが注目される。
【0056】
付加的製作機械1のハードウェアはさらに、材料及び付加的製作機械1が含む重合装置に対する動的な処理及び制御指示を生成するように構成される。
【0057】
付加的製作機械1の製作ホルダ12は、ここでは全体的に平坦な形状(不図示)を示す製作表面を設けられた本体を含む。
【0058】
付加的製作機械1は命令/制御ユニット2に加えてノズル又はノズルのバンク13を含み、命令/制御ユニット2は、メモリ4、特に不揮発性メモリを設けられたマイクロプロセッサ3を含むデータ処理システムを設けられ、メモリ4、特に不揮発性メモリは、マイクロプロセッサ3が、マイクロプロセッサ3によって作動されると付加的製作方法が実行されることを可能にするソフトウェアパッケージ、換言するとコンピュータプログラムをロード且つ記憶することを可能にする。この不揮発性メモリ4は例えば読出し専用メモリ(ROM)である。
【0059】
ユニット2はさらにメモリ5、特に揮発性メモリを含み、これはソフトウェアパッケージの実行中、及び付加的製作方法の実行中、データを記憶することを可能にする。
【0060】
この揮発性メモリ5は例えばランダムアクセスメモリ(RAM)又は電気的に消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)である。
【0061】
付加的製作機械1はさらに開口6を含み、開口6はここでは窓で満たされ、製作ホルダ12に機械1によって付加的に製作される眼鏡レンズ10へのアクセスを許容するように構成される。
【0062】
付加的製作機械1はさらに、その付加的な製作の間、前記眼鏡レンズ10の少なくとも1つの領域P(
図3)の少なくとも所与の地点における平均曲率Cmを示す幾何学的な値を測定するように構成された測定装置(不図示)を含む。
【0063】
この測定装置は、所定の直径を有する測定用瞳(pupil)30(
図4)を設けられる。この測定装置は例えば知られている偏向測定原理に従って機能し得ることが注目される。
【0064】
眼鏡レンズ10を付加的に製作するために、1つ又は複数のノズル13の前進速度、エネルギー及び実装されるエネルギー源などの付加的製作の特定パラメータの正確な情報が必要であることが注目され、エネルギー源はここでは3次元プリント機械用の紫外線を放出する源であるが、それは光造影機械の場合にはレーザであり得、又は熱可塑性糸押出し(thermoplastic thread extrusion)とも呼ばれる張力を受けた糸堆積(tensioned thread deposition)の場合には熱源であり得る。
【0065】
ここでは光ポリマー液体の形態である、使用される1種又は複数の材料及びそれらの状態の正確な情報が同じく必要である。
【0066】
眼鏡レンズ10に処方された単純又は複雑な光学的機能を正確に知ることも必要であり、この光学的機能は眼鏡レンズ10の単純又は複雑な光学特性を示す製作ファイル内に定義される形状によって特徴付けられる。変形形態によれば、この眼鏡レンズの光学的機能をその最終的な使用条件に対して調整するために、装用者の個人的パラメータ及び/又は眼鏡レンズ10を受けるための専用のフレームの形状のパラメータを知ることも必要である。
【0067】
表現「眼鏡レンズの光学的機能」は、このレンズの光学的応答、すなわち、入ってくる光学ビームのどのような入射角であれ、及び入射光学ビームによって照射される入口ジオプターのどのような幾何学的範囲であれ、対象のレンズを通過する光学ビームの伝播及び透過のあらゆる修正を決定する機能を意味するものと理解されることが再認識される。
【0068】
より正確には眼の分野において光学的機能は、装用者のパワー及び乱視特徴の分散、プリズムによる光のフレの分散、及びこのレンズの装用者のゲージの全方向に関するレンズに関連する高次収差の分散として定義される。勿論これは、装用者の目に対するレンズの幾何学的位置が既に知られているものと考える。
【0069】
装用者のパワーは眼鏡レンズのパワーを計算及び調整する方法であり、これはレンズメータのパワーと異なることも注目される。装用者のパワーの計算は、装用者によって受け止められるパワー(すなわち目に入る光のビームのパワー)が、いったんレンズがフレームに取り付けられ装用者に装用されると、処方されたパワーに一致することを保証する。一般に、累進眼鏡に関して、眼鏡のいずれの地点においても、及び特にその遠視及び近視基準点において、レンズメータによって測定されるパワーは装用者のパワーと異なる。しかしながら、単焦点レンズの光学中心における装用者のパワーは、この地点に配置されたレンズメータによって観察されたパワーに一般に近い。
【0070】
図2及び3は付加的に製作する間の眼鏡レンズ10を概略的に示すが、
図4はこのレンズ10の様々な製作ステップを同じく概略的に示す。
【0071】
眼鏡レンズ10は、正面と呼ばれここでは凸面である第1面15と、後面と呼ばれここでは実質的に平坦である第2面16とを設けられた本体を有する。
【0072】
第1面15及び第2面16は眼鏡レンズ10の光学的機能を特徴付ける2つのジオプターを定めることが注目される。
【0073】
この第2面16は、眼鏡レンズ10がその上で付加的に製作される製作表面に面するのがこの面であるため、平坦である。
【0074】
眼鏡レンズ10は第1面15を第2面16に結合する周縁部を有する。
【0075】
眼鏡レンズ10はここでは、材料12の複数の重複された層を形成するために並置且つ重複される複数の所定の体積要素によって形成される。
【0076】
この複数の重複された層は、この眼鏡レンズ10の第1面15及び第2面16とともに本体を形成する。
【0077】
第1材料12の重複された層はここではこの眼鏡レンズ10の第1及び第2面15及び16を形成するように異なる長さを有することが注目される。
【0078】
「層」の考えは特定の付加的製作技術にもっぱら名目上適用可能であり、層は単に所与のノズル経路において又は所与のマスクを用いて人工的に堆積されたボクセルの組であることが注目される。しかしながら、本発明の教示はこれらの技術に簡単に移される。
【0079】
これらの層はここではそれぞれそれらの長さの上に実質的に一定の厚さを有し、及びそれらは全て実質的に同じ厚さを有する。特定の付加的製作技術は、層を通して変わる厚さを有する層を製造し得ることが注目される。しかしながら、本発明の教示はこれらの技術に簡単に移される。
【0080】
この等しい厚さは、付加的製作機械1のノズル又はノズルのバンク13による、材料12の各重複された層の所定の体積要素の設定数の制御された噴霧によってここでは得られることが注目される。
【0081】
ここで材料12はアクリルポリマーであり、より正確には光ポリマー、例えば商標VeroClear(商標)の下でOBJET Ltdによって市販される製品などの光ポリマーであることが注目される。
【0082】
眼鏡レンズ10の付加的な製作は、複数の連続的に重複される層の堆積に加えて、1つ又は複数の光重合ステップを必要とし得ることが注目される。光重合ステップは各体積要素の堆積時に実行され得るか、又は、ノズル及び/又はノズルのバンクのワンパスの後、又は各材料層が堆積された後、包括的な光重合が実行され得る。さらに、以下でより詳細に分かるように、眼鏡レンズ10はこの眼鏡レンズ10の付加的な製作ステップの終了時に完全に重合されなくてもよいことが注目される。
【0083】
図2は部分的にのみ製作された眼鏡レンズ10を示し、より詳細には、その第1面15は完成されていないが、その第2面16は完成されている。
【0084】
点線が眼鏡レンズ10の本体に示され、この線は眼鏡レンズ10の第1及び第2面15及び16の、断面における形状を定義することが観察される。
【0085】
この点線は製造される眼鏡レンズ10の幾何学的包囲線18に一致し、この包囲線は目標幾何学的包囲線と呼ばれる(同じくEcと記載される)。
【0086】
この目標幾何学的包囲線18は眼鏡レンズ10の目標製作設定を示す。
【0087】
点線の湾曲部分は、点線が眼鏡レンズ10の第1面15を定義するため、特に視認可能であり、この第1面15はここでは完成されていない。
【0088】
点線のこの湾曲部分は、第1面15が画定しなければならないジオプターの最高地点を含み、この地点は
図2及び3においてPHDと記載される。
【0089】
図3は
図2に示される眼鏡レンズ10の複数の領域を上から示し、そのいくつかはPと記載される。
【0090】
領域Pは、「目標」付加製作が完成された眼鏡レンズ10の領域を示す。換言すると、領域Pはそれぞれ、完成された目標曲率プロファイルと呼ばれる目標曲率プロファイルを有するが、他の領域はそれぞれ、未完成目標曲率プロファイルと呼ばれるものである目標曲率プロファイルを有する。
【0091】
眼鏡レンズ10の表面は従って領域ごとのサンプリング(「完成」又は「未完成」領域に対応するサンプル)によって特徴付けられる。
【0092】
眼鏡レンズ10の表面に地点PHD(ここでは眼鏡レンズ10の中心)上で中心に置かれた2つの同心円20及び21も示されていることが観察される。
【0093】
これらの2つの円20及び21は眼鏡レンズ10の周辺と中心の間に配置され、それぞれは所定の直径を有する。
【0094】
図4は眼鏡レンズ10を製作するための方法の様々なステップを示し、前記ステップは部分的にのみ示される。
【0095】
図4の左側に
図2に示された眼鏡レンズ10の詳細が示され、このレンズは
図1の付加的製作機械を使用して付加的に製作される方法中にあり、レンズは眼鏡レンズ10の目標幾何学的包囲線18を定める目標製作設定値(開始設定値とも呼ばれる)に対して製作される。
【0096】
眼鏡レンズ10の目標幾何学的包囲線18は目標幾何学的特徴から定められ、及び眼鏡レンズ10の表面の設定点における目標平均曲率を示す目標幾何学的値を特徴とすることが注目される。
【0097】
図4の左側で、目標幾何学的包囲線18を示す点線の湾曲部分と、実際に付加的に製作された眼鏡レンズ10との間に形状の差異があることが見られ、この形状の差異は製作上の誤りを示す。
【0098】
具体的にはこの詳細では、材料12の5つの重ねられた層が部分的に示され、その第1面側端部を見ることができる。その厚さ(又は高さ)が予め決められている2つの隣接して重ねられた層の間にある長さを有する段が形成される。第2面16に最も近い2つの段は目標幾何学的包囲線18を示す点線の湾曲部分まで延在するが、上の3つの段(第2面からより遠く、第1面により近い)はこの湾曲部分から離れていることを見ることができる。
【0099】
形状の差異は、眼鏡レンズ10の領域Pで実行される測定によって、及びこれらの測定値を目標特徴(以下でより詳細に記載する)と比較することによって決定される。
【0100】
決定された形状の差異に応じて、眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的包囲線19(
図4の右側)が、修正された目標幾何学的特徴(以下でより詳細に記載する)に基づいて続いて決定され、修正された目標製作設定値がそれから推測される。
【0101】
図4の右側に
図3に示される眼鏡レンズ10の詳細が示され、このレンズはここでも
図1の付加的製作機械を使用して付加的に製作される方法中にあり、レンズは修正された目標製作設定値に対してここで製作される。
【0102】
換言すると、眼鏡レンズ10は、所望の光学的機能を得るために、領域Pで実行された測定から決定された補正製作設定値に対して付加的に製作される。
【0103】
修正された目標製作設定値に従って所定の体積要素14の設定数が3つの上部の段に加えられ、その結果、
図4の右側に示される段のそれぞれが、修正された目標幾何学的包囲線19を示す点線の湾曲部分まで延在することがここで観察される。
【0104】
機械1内におけるその製作の間、眼鏡レンズ10にこれらの製作ステップを実行することは、それに対して処方された、ここでは複雑である光学的機能を有する眼鏡レンズ10が得られることを可能にする。
【0105】
ここでこの眼鏡レンズ10を製作するための方法を
図5〜8を参照してより詳細に記載する。
【0106】
製作方法は、目標幾何学的包囲線18によって示される設定目標形状に従って、付加的製作機械1によって眼鏡レンズ10を付加的に製作するステップ100を含む。
【0107】
従って付加的製作機械1の命令/制御ユニット2は、眼鏡レンズ10が所定の目標幾何学的特徴を有するように眼鏡レンズ10を付加的に製作するべく構成される。
【0108】
さらにユニット2はステップ200で、完成された目標曲率プロファイルを有する付加的に製作された領域Pの少なくとも1つの所与の地点における平均曲率Cmを示す少なくとも1つの幾何学的な値を決定するように構成される。
【0109】
ユニット2はさらに、ステップ300において、平均曲率Cmを示す決定された幾何学的な値を、前記領域Pの前記所与の地点における目標平均曲率Cmcを示す幾何学的な値と比較するように構成され、後者の幾何学的な値は、眼鏡レンズ10がそれに対して製作される眼鏡レンズ10の目標幾何学的包囲線から決定される。
【0110】
ステップ300で実行された比較は、目標(目標レンズ)と実際の事例(製作されたレンズ)との間の平均曲率の差Ecdif(幾何学的包囲線の差異を決定する)を示す結果を送出する。
【0111】
比較の結果が平均曲率の差Ecdifが第1の所定の閾値S
1未満である場合、眼鏡レンズ10の付加的な製作は目標製作設定値を続ける。
【0112】
比較の結果が平均曲率の差Ecdifが第1の所定の閾値S
1を超える場合、ユニット2は、ステップ400で、領域Pに加えられる所定の体積要素14の数と、それがこの領域Pに必要とされる高さ又は曲率付加かどうかとを、決定するように構成される。
【0113】
同じステップ400において、所定の体積要素の設定数の曲率付加が必要とされるものであると決定されると、ユニット2は、眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的包囲線19を決定するようにさらに構成される(以下を参照)。
【0114】
従って眼鏡レンズ10の付加的な製作は、比較の結果に応じて、目標製作設定値を続けるか、補正された製作設定値を続ける。
【0115】
上記の方法ステップはまた、眼鏡レンズ10の他の領域Pにおいて、及び少なくとも特定の既に補正された領域Pにおいて実行され、それにより、実行された付加が決定された補正を示すことを、及び従って眼鏡レンズ10の実際の幾何学的包囲線が修正された目標幾何学的包囲線に一致することを点検する。
【0116】
眼鏡レンズ10の付加的な製作中又は眼鏡レンズ10が完成されると、方法は得られた眼鏡レンズ10を照射するステップ(不図示)を任意選択的に含むことが注目される。このステップは眼鏡レンズ10の重合を達成する。
【0117】
方法は、そのようにして付加的な製作によって得られた眼鏡レンズ10の前面及び/又は後面を処理するステップ(不図示)を任意選択的に含み、それによりそれに1つ又は複数の所定のコーティング、例えば曇り止め及び/又は反射防止コーティング及び/又は着色されたコーティング及び/又は調光及び/又は傷防止コーティング等を付加する。
【0118】
図6は製作方法のステップを、より正確には、眼鏡レンズ10の目標幾何学的包囲線を、従って眼鏡レンズ10の目標製作設定値を決定するためのステップを示す。
【0119】
ユニット2は、ステップ101で、製作される眼鏡レンズ10の装用者の処方値を含むファイルを受け取るように構成される。
【0120】
装用者のこれらの処方値は一般にジオプター(D)で表現される。
【0121】
さらにユニット2は、ステップ102で、装用者に関する、眼鏡レンズ10を受け入れるように作られたフレームに関する、及び処方に関する補完的な装用及び個人データを受け取るように構成される。
【0122】
これらの補完的な装用及び個人データは例えば、フレーム及び装用者の視覚行動を特に特徴付ける幾何学的な値に対応することが注目される。それは例えば、重要なアイレンズの距離及び/又は目の回転中心の位置、及び/又は目−頭部係数、及び/又は装用時前傾角、及び/又はフレームの面形成角度であり得る。
【0123】
ユニット2は、ステップ103で、各ステップ101及び102で受け取られた装用者処方値及び補完的な装用及び個人データから、及び装用者の目に対するレンズ10の幾何学的位置に応じて、装用者に対して調整された補正光学的機能を決定するように構成される。
【0124】
装用者に対して調整された補正光学的機能は、製作される眼鏡レンズ10の目標光学的機能に対応する。
【0125】
装用者に対して調整された補正光学的機能は例えば光線追跡ソフトウェアパッケージを使用して決定可能であり、光線追跡ソフトウェアパッケージは、装用者のパワー及び得られるレンズの収差がレンズの装用位置に対して決定されることを可能にすることが注目される。最適化は周知の光学最適方法を使用して実行可能である。
【0126】
ステップ102は任意であること、従って装用者に対して調整された補正光学的機能は、ステップ101で受け取られた処方値からのみ、及び装用者の目に対する眼鏡レンズ10の幾何学的位置に応じて、ステップ103においてユニット2によって決定可能であることが同じく注目される。
【0127】
ユニット2は、ステップ103で決定された装用者に対して調整された補正光学的機能を特徴付ける「光学的機能」と呼ばれるファイルをステップ104で作成するように構成される。
【0128】
この「光学的機能」ファイルは表面ファイルと呼ばれるものであり、例えば有限地点数のx、y、z、θ座標の形態又は各面を定義する表面機能z=f(x、y)の形態をとる幾何学的特徴を含み、これらの特徴は屈折率と、及び上記したものなどの様々な距離及び角度と関連付けられることが注目される。
【0129】
装用者に対して調整された補正光学的機能は、ステップ103においてユニット2によって決定される代わりに、そのようなファイルの形態でこのユニット2によって直接受け取られてもよいことが注目される。
【0130】
ユニット2は、ステップ104で作成された「光学的機能」ファイルから、及びステップ102で受け取られた補完的な装用及び個人データから、及び特に眼鏡レンズ10を受け入れるように提供されるフレームに関連するデータから、製作される眼鏡レンズ10の目標幾何学的特徴をステップ105で決定するように構成される。
【0131】
ユニット2は、ステップ105で決定された製作される眼鏡レンズ10の幾何学的特徴を特徴付ける「目標形状」と呼ばれるファイルをステップ106で作成するように構成される。
【0132】
この「目標形状」ファイルは表面ファイルと呼ばれるものでもあり、例えば有限地点数のx、y、z、θ座標の形態又は各面を定義する表面機能z=f(x、y)の形態をとる幾何学的特徴を含み、これらの特徴は屈折率と、及び上記したものなどの様々な距離及び角度と関連付けられることが注目される。ファイル「目標形状」は実際には眼鏡レンズ10に与えられる光学的機能及び形状の両方を示す。
【0133】
ユニット2はさらに、眼鏡レンズ10を付加的に製作するために使用される材料12の屈折率に関連する特徴を含むファイルを受け取る(示されないステップ)ように構成されることが注目される。
【0134】
ユニット2は任意選択的に眼鏡レンズ10の寸法収縮及び指標の変化を決定する(示されないステップ)ように構成されることも注目される。それはここでは、一方では眼鏡レンズ10が製作される材料12の屈折率に、及び他方では眼鏡レンズ10の形状(寸法収縮)に起こり得るその後の変化の問題である。
【0135】
眼鏡レンズ10の形状は、レンズ10が取り付けられるように構成されたフレームの輪郭に直接一致するように決定されることが注目される。変形形態として、このファイル中に決定されるようなレンズ10の輪郭はフレームの輪郭に一致せず、縁取り作業が必要とされる。
【0136】
さらにユニット2は、「目標形状」ファイルに含まれる特徴から、及び任意選択的に使用される材料に関連する特徴から、眼鏡レンズ10の製作設定値を決定する(示されないステップ)ように構成される。
【0137】
ユニット2は、(この機械の知られている座標系における)付加的製作機械1の製作ホルダ12上の眼鏡レンズ10の製作設定値に対応する製作ファイルを作成(示されないステップ)するように構成される。
【0138】
この「設定値」ファイルはステップ106で作成された眼鏡レンズの目標形状ファイルに類似するものであり、その差異は、それが、製作される眼鏡レンズ10の所望の形状の書き換えられた記載を反映し、ここで実際に、1つ又は複数の材料の所定の体積要素の配置が、その製作するための製作ホルダ12上の眼鏡レンズ10の設定角度向きと、眼鏡レンズ10の起こり得る寸法収縮及び起こり得る指標の変化に関連する修正とを含むことである。
【0139】
図7は製作方法の他のステップを、より正確には領域Pの所与の地点における平均曲率を決定するためのステップを示す。
【0140】
ユニット2は、ステップ201において、完成された目標曲率プロファイルを有する付加的に製作された領域Pを検出するように構成される。
【0141】
さらにユニット2は、ステップ202において、領域Pの1つ又は複数の所与の地点に関連する曲率半径Rc
1、Rc
2の少なくとも1つの対を測定するように構成される。
【0142】
この測定ステップ202は、付加的製作機械1の測定用瞳30を設けられた測定装置を使用して、例えば偏向測定によって実行される。
【0143】
測定用瞳30は例えば、眼鏡レンズ10の縁面の領域Pの縁部を起点にして地点PHDまで移動される。
【0144】
変形形態として、測定用瞳30は例えば、眼鏡レンズ10の縁面の領域Pの縁部を起点にして2つの円20及び21の一方まで移動可能である、又は実際に2つの円20及び21の間で移動可能である、又は円20及び21の一方から地点PHDまで移動可能でさえある。
【0145】
領域Pは、その最も狭い地点において測定用瞳30と少なくとも同程度に広い空間を画定する輪郭を有することが注目される。
【0146】
領域Pは変形形態として、眼鏡レンズ10の表面上に画定され且つ測定用瞳のそれと少なくとも同程度に大きい所定の直径を有するセル(サンプルに対応する)を示し得ることも注目される。
【0147】
ユニット2は、ステップ203において、各所与の地点における平均曲率Cmの幾何学的な値及び/又は領域Pの平均曲率の幾何学的な値の最大差ΔCmを示す値を、曲率半径Rc
1、Rc
2の測定された幾何学的な値から決定するように構成される。
【0148】
ステップ202及び203は例えば複数の領域Pの複数の所与の地点で実行される。
【0149】
ユニット2はさらに、ステップ204において、検出された領域の所与の地点の平均曲率Cmの幾何学的な値及び/又は検出された領域Pの平均曲率の幾何学的な値の最大差ΔCmを示す値から、付加的に製作される眼鏡レンズ10の領域Pの実際の幾何学的特徴を、従ってこの眼鏡レンズ10の(少なくとも部分的な)実際の幾何学的包囲線を決定するように構成される。
【0150】
図8は製作方法の他のステップを、より正確には、所定の体積要素14の数を決定するためのステップ、及び必要であれば付加的に製作される眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的包囲線19(Ecmとも記載される)を決定するためのステップを示す。
【0151】
ユニット2は、ステップ401及び403において、ステップ300で実行された比較の結果を含むファイルを、この比較の結果に応じて受け取るように構成される。
【0152】
比較の結果が平均曲率の差Ecdifが第1の所定の閾値S
1を超え且つ第2の所定の閾値S
2未満である場合(ステップ401)、ユニットはさらに、ステップ402において、製作される眼鏡レンズ10の領域Pに高さに関して加えられる所定の体積要素14の数を決定するように構成される。
【0153】
閾値S1及びS2は対象の領域Pに、及び眼鏡レンズにより得られる光学的機能に依存し、当業者に知られる計算方法によりこれらの閾値を加えることが可能になる。
【0154】
例えば、閾値S1は0.06ジオプター〜0.12ジオプターに含まれ、閾値S2は0.1ジオプターより高く、閾値S2は閾値S1より高いことが理解される。
【0155】
ユニット2はまた、領域Pの所定の体積要素の設定数の付加的に製作される高さ付加を開始し、続いて目標製作設定値(開始設定値)で眼鏡レンズ10の付加的な製作を続けるように構成される。
【0156】
比較の結果が平均曲率の差Ecdifが第1の所定の閾値S
1を超え且つ同じく第2の所定の閾値S
2を超える場合(ステップ403)、ユニットはさらに、ステップ404において、製作される眼鏡レンズ10の領域Pに曲率に関して加えられる所定の体積要素14の数を決定するように構成される。
【0157】
ユニット2はさらに、ステップ405において、ステップ105、202、203、204及び404で決定されたように、製作される眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的特徴を、目標幾何学的特徴、実際の幾何学的特徴、及び加えられる所定の体積要素の数から、決定するように構成される。
【0158】
同じステップ405において、眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的包囲線が、眼鏡レンズ10の修正された目標幾何学的特徴から決定される。
【0159】
決定ステップ405は眼鏡レンズ10を付加的に製作するために使用される材料12の屈折率に関連する特徴を、及び(目標幾何学的包囲線を決定するステップに関連して上で記載したような)眼鏡レンズ10の起こり得る寸法収縮及び指標の変化を任意選択的に考慮し得ることが注目される。
【0160】
ユニット2はさらに、ステップ406において、修正された目標幾何学的特徴を特徴とするファイルを作成するように構成され、このファイルは「修正された目標幾何学的包囲線」と呼ばれる。
【0161】
この「修正された目標幾何学的包囲線」ファイルは表面ファイルと呼ばれるものでもあり、例えば有限地点数のx、y、z、θ座標の形態又は各面を定義する表面機能z=f(x、y)の形態をとる幾何学的特徴を含み、これらの特徴は屈折率と、及び上記したものなどの様々な距離及び角度と関連付けられることが注目される。ファイル「修正された目標幾何学的包囲線」は実際には眼鏡レンズ10に付与される光学的機能及び形状の両方を示す。
【0162】
ユニット2はさらに、「修正された目標幾何学的包囲線」ファイルに含まれる特徴及び任意選択的に使用される材料に関連する特徴から、眼鏡レンズ10の補正された製作設定値を決定する(示されないステップ)ように構成される。
【0163】
ユニット2は、(この機械の知られている座標系における)付加的製作機械1の製作ホルダ12上の眼鏡レンズ10の補正された製作設定値に対応する補正された製作ファイルを作成(示されないステップ)するように構成される。
【0164】
この「補正された設定値」ファイルはステップ406で作成された眼鏡レンズの修正された目標形状ファイルに類似するものであり、その差異は、それが、製作される眼鏡レンズ10の所望の形状の書き換えられた記載を反映し、ここで実際に、1つ又は複数の材料の所定の体積要素の配置が、その製作するための製作ホルダ12上の眼鏡レンズ10の設定角度向きと、眼鏡レンズ10の起こり得る寸法収縮及び起こり得る指標の変化に関連する修正とを含むことである。
【0165】
ユニット2はまた、領域Pの所定の体積要素の設定数の付加的に製作される湾曲付加を開始し、続いて修正された目標製作設定値(補正設定値)で眼鏡レンズ10の付加的な製作を続けるように構成される。
【0166】
従って命令/制御ユニット2は、この眼鏡レンズ10を製作するために、受け取ったパラメータを使用して眼鏡レンズ10の製作方法の上に記載した様々なステップを実行するためにソフトウェアパッケージを実行するように構成される。
【0167】
1つの変形形態(不図示)では、クライアントサーバ通信インターフェースが、プロバイダ側と呼ばれるものと、クライアント側と呼ばれるものとを有し、これら2つの側はネットワーク例えばインターネットを経由して交信する。
【0168】
プロバイダ側は、
図1のものと同じタイプの命令/制御ユニットに接続されるがこのとき付加的製作機械に一体化されないサーバを含み、このサーバはインターネットインターフェースと通信するように構成される。
【0169】
クライアント側はインターネットインターフェースと通信するように構成され、プロバイダ側のものと同じタイプの命令/制御ユニットに接続される。
【0170】
さらに、クライアント側ユニットは眼鏡レンズを製作するために
図1のものと同じタイプの付加的製作機械に接続される。
【0171】
クライアント側ユニットはステップ101及び102に対応するデータファイルを受け取るように構成され、このデータは使用される材料を特徴付ける。
【0172】
クライアント側ユニットはインターネットインターフェース及びサーバを経由してこれらのデータをプロバイダ側ユニットに伝送し、眼鏡レンズの目標及び修正された目標製作設定値を決定する。
【0173】
プロバイダ側ユニットは、そのデータ処理システムを介して、製作方法を実行するためにそれが含むコンピュータプログラムを実行し、従って一方で眼鏡レンズの目標製作設定値を、他方で眼鏡レンズの修正された目標製作設定値を決定する。
【0174】
プロバイダ側ユニットは、リアルタイムで、サーバ及びネットワークを経由して、眼鏡レンズの目標製作設定値を示すファイルを、続いて眼鏡レンズの決定された修正された目標製作設定値を示すファイルを、クライアント側命令/制御ユニットに伝送する。
【0175】
クライアント側ユニットは、眼鏡レンズを製作するために、受け取ったパラメータを使用して、眼鏡レンズの製作方法を実行するためのプログラムを実行するように構成される。
【0176】
変形形態として(不図示):
− 重複され且つ並置される複数の所定の体積要素は重複された層を形成し、重複された層は、一定である又はそれらの長さにわたって変化する厚さをそれぞれが有する、及び/又は全てが同じ厚さを有する又は有さず、
− 材料は例えば光造形によって堆積される透明材料であり、この材料は例えば商標Accura(登録商標)ClearVueの下で3D SYSTEMSによって市販されるエポキシポリマーであり、
− 材料は、1つ又は複数のアクリル酸、メタクリル酸、アクリレート又はメタクリレート官能基を有する分子の1つ又は複数の群;1つ又は複数のエポキシ、チオエポキシ又はチオールエン官能基を有する分子群;1つ又は複数のビニルエーテル、ビニルカプロラクタム又はビニルピロリドン官能基を有する分子群;超分岐又はハイブリッド有機/無機材料の群;又はこれらの官能基の組合せを含む光ポリマーであり、記載された化学化合物はモノマー又はオリゴマーによって場合により担持され、又は眼鏡レンズの分野において当業者に周知の材料であり、又はモノマー及びオリゴマーの組合せであり、
− 材料は少なくとも1種の光開始剤を含み得、
− 材料はコロイド、特に視認できる波長より小さい寸法のコロイド粒子、例えば、酸化ケイ素SiO2のコロイド粒子又は酸化ジルコニウムZrO2のコロイド粒子などを含み得、
− 材料は、少なくとも特定の所定の体積要素中に、顔料又は染料、例えばアゾ又はローダミン又はシアニン又はポリメチン又はメロシアニン又はフルオレセイン又はピリリウム又はフタロシアニン又はペリレン又はベンズアントロン又はアントラピリミジン又はアントラピリドン群に属する染料、又は希土類クリプテート又はキレートなどの金属錯体染料を含み得、
− 眼鏡レンズは、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミドなどの他の材料から、又は以下のポリマー:チオウレタンポリマー又はエピスルフィドポリマーから製作され、これらの材料は眼鏡レンズの分野において当業者に良く知られており、
− 方法はさらに1つ又は複数の他の製作ステップ、例えば縁取りステップ及び/又は一時的なマーキングと一般に呼ばれるものを形成するために使用されるマーキングステップを含み、
− 付加的製作ホルダは、眼鏡レンズがその上で付加的に製作される製作表面を有し、製作表面は少なくとも部分的に平坦及び/又は少なくとも部分的に半球状であり、
− 製作方法は、例えばスペクトルの紫外線波長領域などにおける追加の熱照射ステップ及び/又は追加の光化学照射ステップを含まず、及び照射ステップさえ含まず、
− 製作方法は、眼鏡レンズの材料の指標の変化が考慮されるステップを含み、これは知られている最適化手順に従う繰返し最適化ループの形態を取り、
− 眼鏡レンズの材料は任意選択的に、1種又は複数の染料、及び/又はその光透過性及び/又はその外観を改良するように構成されるナノ粒子及び/又はその機械的特性を改良するように構成されるナノ粒子又は添加剤を含み、
− 付加的製作機械は3次元プリント機械ではなく、光造形機械(又は光造形装置(stereolithography apparatus)の略であるSLA)であるか、張力を受けたフィラメント堆積機械(tensioned filament deposition machine)(又はFDM機械、FDMは熱溶解積層法(fuse deposition modeling)を表す)とも呼ばれる熱可塑性フィラメント押出機であり、
− 命令/制御ユニットはマイクロプロセッサに代わりにマイクロコントローラを含み、
− クライアント−サーバ通信インターフェースは、眼鏡レンズの目標及び修正された目標製作設定値を伝送するように構成された装置を含み、これらの設定値はコンピュータプログラムによって決定され、コンピュータプログラムは、このコンピュータプログラムが前記コンピュータプログラムを実行するように構成されたシステム要素を含む命令/制御ユニットで実行されると、上記の製作方法のステップのそれぞれを実行するように構成された命令を含み、
− 通信インターフェースは、インターネット以外の手段を介した、例えばイントラネット又は安全なプライベートネットワークを介した通信を可能にし、及び/又は、
− 通信インターフェースは、別の付加的製作機械において、及び任意選択的には1つ又は複数の他の加工/処理機械において製作方法を実行するように、全体コンピュータプログラムを遠隔データ処理システムに伝送することを可能にする。
【0177】
本発明は記載し且つ示した例に限定されないことがより一般的に再認識される。