特許第6469108号(P6469108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6469108ルミネッセンス粒子、これを含む材料および製品、ならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469108
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】ルミネッセンス粒子、これを含む材料および製品、ならびに方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/08 20060101AFI20190204BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20190204BHJP
   G02B 5/20 20060101ALN20190204BHJP
【FI】
   C09K11/08 G
   F21V9/32
   !G02B5/20
【請求項の数】35
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-532053(P2016-532053)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-540852(P2016-540852A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】US2014066461
(87)【国際公開番号】WO2015077372
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/906,380
(32)【優先日】2013年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニック,ロバート・ジェイ
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0152824(US,A1)
【文献】 特開2005−344025(JP,A)
【文献】 特表2002−544365(JP,A)
【文献】 特開2002−173675(JP,A)
【文献】 特開2008−007779(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/034877(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/147429(WO,A1)
【文献】 特開平11−349340(JP,A)
【文献】 特開平08−188411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/08
F21V 9/32
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含み、
前記粒子がホスト材料にカプセル化され、前記ガラスがカプセル化粒子を囲む、ルミネッセンス粒子。
【請求項2】
前記粒子の量は、前記ホスト材料の0.05質量%以上および10質量%以下である、請求項1に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項3】
前記ホスト材料は、予備選択された光に対して少なくとも部分的に透明であるポリマー材料から選択される、請求項1または2に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項4】
前記ホスト材料は、非硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性樹脂を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載のルミネッセンス粒子。
【請求項5】
前記ホスト材料は、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの樹脂を形成するモノマーまたはオリゴマーを含有するコポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のルミネッセンス粒子。
【請求項6】
1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子を囲み、ガラス固化(vitrified)された金属酸化物を含むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子。
【請求項7】
ルミネッセンス粒子が、ガラスに分配された1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子を含む、請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項8】
発光ナノ材料の少なくとも1つが量子ドットを含む、請求項1、6または7に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項9】
発光ナノ材料の少なくとも1つがナノ蛍光体を含む、請求項1、6または7に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項10】
前記粒子の量は、前記ホスト材料の0.1質量%以上である、請求項2に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項11】
ガラスがビトリファイドヒュームド金属酸化物を含む、請求項またはに記載のルミネッセンス粒子。
【請求項12】
ガラスが熱分解により形成される、請求項またはに記載のルミネッセンス粒子。
【請求項13】
ガラスがシリカグラスを含む、請求項またはに記載のルミネッセンス粒子。
【請求項14】
ガラスが黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない、請求項または請求項6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項15】
請求項1のルミネッセンス粒子を製造するための方法であって、前記方法が、ガスストリーム中に、1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部にガラス固化ガラスを形成するための前駆体を含む前記1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を懸濁させる工程およびガスストリーム中に懸濁した1つ以上の発光材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上の前記前駆体を熱分解し、前記前駆体をガラス固化ガラスに転化して、前記ルミネッセンス粒子を形成する工程を含み、
粒子がガラスをこの上に形成するための前駆体を優先的に含むホスト材料中にカプセル化される方法。
【請求項16】
前駆体がガラス固化可能な金属酸化物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前駆体がガラス固化可能なヒュームド金属酸化物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を製造するための方法であって、前記方法が、ガスストリーム中に、1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部にガラス固化ガラスを形成するための前駆体を含む前記1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子を懸濁させる工程およびガスストリーム中に懸濁した1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上の前記前駆体を熱分解し、前記前駆体をガラス固化ガラスに転化して、前記ルミネッセンス粒子を形成する工程を含む方法。
【請求項19】
前記熱分解工程が、熱分解炉において少なくとも部分的に行われる、請求項15または18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱分解工程が火炎熱分解を含む、請求項15または18に記載の方法。
【請求項21】
発光ナノ材料の少なくとも1つが量子ドットを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
発光ナノ材料の少なくとも1つがナノ蛍光体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
ガラスがシリカグラスを含む、請求項15または18に記載の方法。
【請求項24】
粒子が、ガラス固化ガラスをこの上に形成するための前駆体を優先的に含むホスト材料中にカプセル化される、請求項15または18に記載の方法。
【請求項25】
ガラスが、黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない、請求項15または18に記載の方法。
【請求項26】
請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子を含むルミネッセンス材料。
【請求項27】
請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子を含む発光デバイス。
【請求項28】
請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子を含むバックライトユニット。
【請求項29】
請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子を含むディスプレイ。
【請求項30】
粒子が、nmから00μmの範囲の最小寸法を有する、請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項31】
粒子が、1つ以上の発光材料の2つ以上の粒子を含む、請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項32】
前記ガラスコーティングが黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない、請求項31に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項33】
前記ガラスのコーティングがガラス固化ガラスを含む、請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項34】
粒子がホスト材料にカプセル化され、ガラスがカプセル化粒子を囲む、請求項1または6に記載のルミネッセンス粒子。
【請求項35】
前記ガラスがガラス固化された金属酸化物を含む、請求項1に記載のルミネッセンス粒子
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、すべての趣旨についてこの全体が参照として本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第61/906,380号(2013年11月19日出願)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ナノ材料を含むルミネッセンス材料を含むルミネッセンス材料の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
遠隔および近接照明およびディスプレイに使用するためのルミネッセンス粒子を改良することは、当該技術分野に進展をもたらす。遠隔および近接照明およびディスプレイに使用するためのナノ材料を含むルミネッセンス粒子を改善することは、当該技術分野にさらなる進展をもたらす。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、遠隔および近接照明およびディスプレイに有用なルミネッセンス粒子、こうしたルミネッセンス粒子を製造するための方法、こうしたルミネッセンス粒子を含むルミネッセンス材料、ならびにこうしたルミネッセンス粒子または材料を含む光学部品および他の製品に関する。
【0005】
本発明の1つの態様によれば、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子が提供される。発光材料は、2つ以上の発光材料の組み合わせを含むことができる。発光材料は、発光ナノ材料を含むことができる。こうした発光ナノ材料の例としては、量子ドットおよびナノ蛍光体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
ガラスは、好ましくはビトリファイドガラスである。
【0007】
ガラスは、好ましくは光学的に透明である。
【0008】
好ましくはガラスコーティングは、黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない。
【0009】
特定の態様において、本発明に従うルミネッセンス粒子はさらに、ガラスに分配された1つ以上の発光材料および/または発光ナノ材料の1つ以上の粒子を含むことができる。
【0010】
特定の態様において、本発明に従うルミネッセンス粒子は、1つ以上の発光材料の2つ以上の粒子を含む。
【0011】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含むルミネッセンス材料が提供される。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を製造するための方法が提供され、この方法が、キャリアストリーム中に、1つ以上の発光材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を懸濁させる工程およびキャリアストリーム中に懸濁した1つ以上の発光材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上の前駆体を熱分解し、前駆体をビトリファイドガラスに転化して、ルミネッセンス粒子を形成する工程を含む。
【0013】
発光材料は、2つ以上の発光材料の組み合わせを含むことができる。発光材料は、発光ナノ材料を含むことができる。こうした発光ナノ材料の例としては、量子ドットおよびナノ蛍光体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
熱分解工程は、熱分解炉において少なくとも部分的に行われることができる。
【0015】
熱分解工程は、火炎熱分解を含むことができる。
【0016】
好ましくは、熱分解工程は、黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まないガラスコーティングを形成するために行われる。
【0017】
ガラスは、好ましくはビトリファイドガラスである。
【0018】
ガラスは、好ましくは光学的に透明である。
【0019】
好ましくはガラスは、黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない。
【0020】
本発明のなおさらなる態様によれば、本明細書に記載される方法によって調製されたルミネッセンス粒子が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含む光学部品が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含む発光デバイスが提供される。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含むバックライトユニットを含む発光デバイスが提供される。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含むバックライトユニットが提供される。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書に記載されるルミネッセンス粒子を含むディスプレイが提供される。
【0026】
本明細書に記載される先の態様および他の態様はすべて本発明の実施形態を構成する。
【0027】
本発明は、本発明のいずれかの特定の態様および/または実施形態に関して本明細書で記載される特徴のいずれかが、本明細書に記載される本発明のいずれかの他の態様および/または実施形態の他の特徴のいずれかの1つ以上と組み合わせることができ、この組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更を伴うことを述べることが当業者には認識されるべきである。こうした組み合わせは、本開示によって想定される本発明の一部であると考えられる。
【0028】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、例示および説明に過ぎず、特許請求されるような本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。
【0029】
他の実施形態は、説明および図面の考慮から、特許請求の範囲からおよび本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に従う複数のバリア層を含む量子ドットの蒸気不透過性マイクロカプセル化のための方法の工程を概説する。
図2】本発明に従う1つのバリア層を含む量子ドットの蒸気不透過性マイクロカプセル化のための方法の工程を概説する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面は、例示を目的としてのみ示される単純な表示であり;実際の構造は、特に、示される物品の相対的な大きさおよびこの外観を含む多数の観点で異なり得る。
【0032】
本発明の理解を深めるために、本発明の他の利点および機能と共に、以下の開示および添付の特許請求の範囲を上記で記載した図面と関連させて参照する。
【0033】
本発明の種々の態様および実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに記載される。
【0034】
本発明の1つの態様によれば、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子が提供される。発光材料は、2つ以上の発光材料の組み合わせを含むことができる。発光材料は、無機フォトルミネッセンス材料を含むことができる。無機フォトルミネッセンス材料の例としては、無機蛍光体が挙げられるが、これらに限定されない。発光材料は、発光ナノ材料を含むことができる。こうした発光ナノ材料の例としては、量子ドットおよびナノ蛍光体が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子は、無機半導体ナノ結晶を含む。
【0035】
ガラスは、好ましくはビトリファイドガラスを含む。ガラスは、好ましくは光学的に透明なガラスを含む。好ましくはガラスは、黒鉛化副生成物を含まないまたは実質的に含まない。
【0036】
本発明のルミネッセンス粒子は、照明およびディスプレイ用途に含まれ得る。例えば、本発明に従うルミネッセンス粒子は、ルミネッセンス材料、光学部品、無機半導体発光デバイス(LED)または他の発光デバイス、バックライトユニットおよび/またはディスプレイに含まれることができる。
【0037】
本明細書に記載されるルミネッセンス粒子に含まれるガラスを含む表面は、ルミネッセンス粒子に含まれる1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子の周りに気密バリアを提供できる。こうしたバリアは、1つ以上の粒子の酸化を防止できる。こうした防止はさらに、ダウンコンバージョン能の後続損失を低減もしくは遅延、または理想的には防止できる。ガラスを含む表面はまた、ルミネッセンス粒子が含まれる最終用途において遭遇し得る有害な種から、ルミネッセンス粒子に含まれる発光粒子および/または発光ナノ粒子を保護できる。例えば、ルミネッセンス粒子がLEDのためのシリコーンカプセル化剤に含まれる場合、ガラスコーティングは、シリコーンカプセル化剤に存在する酸から、ルミネッセンス粒子に含まれる発光粒子および/または発光ナノ粒子を保護できる。ガラスを含む表面はまた、例えばナノ粒子の拡散を制限することによってルミネッセンス粒子に含まれることができるナノサイズ化された発光粒子のアグロメレーションおよびオストワルド熟成を防止できる。
【0038】
好ましくはガラスを含む表面は、酸素ガスまたは水蒸気のルミネッセンス粒子への拡散に対するバリアを、1つ以上の発光材料またはナノ材料の1つ以上の粒子に与え、空気中で安定であることができるルミネッセンス粒子を提供する。これは、ルミネッセンス粒子が1つ以上の発光材料またはナノ材料の空気感受性粒子を含み、ルミネッセンス粒子が酸素を含む環境においてハイライトフラックスおよび/または高温に曝される用途に特に有利であることができる。こうした用途の1つの例としては、高温で操作できるハイフラックスライトLEDの色ダウンコンバージョンでの使用が挙げられる。
【0039】
ルミネッセンス粒子はさらに、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子が含まれるホスト材料または主部を含んでいてもよく、この表面は1つ以上の粒子を含むホスト材料または主部の外側表面にわたって配設されているガラスを含む。
【0040】
例えば本明細書に記載されるルミネッセンス粒子に含まれることができるホスト材料の例としては、ポリマー、オリゴマー、モノマー、樹脂、バインダー、ガラス、金属酸化物および他の非ポリマー性材料を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましいホスト材料としては、予備選択された波長の光に対して少なくとも部分的に透明であり、好ましくは完全に透明であるポリマー性および非ポリマー性材料が挙げられる。特定の実施形態において、予備選択された波長は、電磁スペクトルの可視(例えば400から700nm)領域の波長の光を含むことができる。好ましいホスト材料としては、架橋ポリマーおよび溶媒キャストポリマーが挙げられる。他の好ましいホスト材料の例としては、ガラスまたは透明樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。特に、非硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性樹脂のような樹脂が、加工性の観点から好適に使用される。オリゴマーまたはポリマーのいずれかの形態であるこうした樹脂の具体的な例としては、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、マレイン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの樹脂を形成するモノマーまたはオリゴマーを含有するコポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
ホスト材料の他の例としては、光硬化性樹脂、光重合性樹脂、例えば反応性ビニル基を含有するアクリル酸またはメタクリル酸系樹脂、光架橋性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されず、これは一般にポリビニルシンナメート、ベンゾフェノンなどの光増感剤を含有する。熱硬化性樹脂は、光増感剤が使用されない場合に使用されてもよい。これらの樹脂は、個々にまたは2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。
【0042】
ホスト材料の他の例としては、溶媒キャスト樹脂を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリウレタン樹脂、マレイン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、これらの樹脂を形成するモノマーまたはオリゴマーを含有するコポリマーなどのポリマーは、当業者に既知の溶媒中に溶解できる。溶媒の蒸発時に、樹脂は、半導体ナノ粒子のための固体ホスト材料を形成する。
【0043】
特定の実施形態において、RadcureおよびSartomerから市販されているアクリレートモノマーおよび/またはアクリレートオリゴマーが好ましいことがある。
【0044】
他の好適なホスト材料は、関連分野の当業者によって同定できる。ホスト材料の選択は、ルミネッセンス粒子のための意図する最終用途に依存し得る。
【0045】
ルミネッセンス粒子においてホスト材料に含まれる発光粒子またはナノ粒子の総量は、目的とする最終用途に依存して変動できる。特定の態様においては、例えばナノ粒子の量は、ホスト材料の約0.05から約10重量%、例えば約0.05重量%から約5重量%、約0.1重量%から約5重量%の範囲であることができる。こうした範囲内または範囲外の量も意図する用途に基づいて有用な場合もある。
【0046】
他の添加剤(例えば光散乱粒子などがあるが、これらに限定されない。)も、ルミネッセンス粒子に含まれてもよい。
【0047】
特定の態様において、ガラスは、ルミネッセンス粒子に含まれる1つ以上の発光材料またはナノ材料の1つ以上の粒子の格子溶融温度より実質的に低いT(ガラス転移温度)を有することができる。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を製造するための方法が提供され、この方法が、キャリアストリーム中に、1つ以上の発光材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を懸濁させる工程およびキャリアストリーム中に懸濁した1つ以上の発光材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上の前駆体を熱分解し、前駆体をビトリファイドガラスに転化して、ルミネッセンス粒子を形成する工程を含む。
【0049】
方法はさらに、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部に前駆体を配設するためにビトリファイドガラスを形成するための前駆体と接触させる工程を含むことができる。
【0050】
こうした接触工程は、場合により、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を、ビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含むコーティング材料でコーティングする工程を含むことができる。例えば、ビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む液体は、混合、スプレーコーティング、または当業者によって選択される他の利用可能な技術によって、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子に適用できる。前駆体はまた、1つ以上の発光材料および/または発光ナノ材料の1つ以上の粒子に固体形態、例えば粉末(例えばヒュームド金属酸化物粉末があるが、これらに限定されない。)として適用されてもよい。
【0051】
こうした接触工程は、場合により、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を、1つ以上の粒子が含まれる前駆体主部を形成するためのビトリファイドガラスを形成するための前駆体中にカプセル化する工程を含むことができる。こうした前駆体主部は、例えば固体または多孔質であることができる。(1つ以上の粒子は主部の表面にあることができ、前駆体によって完全に覆われていなくてもよいことが可能である)。前駆体主部を形成するために1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子をこうしてカプセル化するために使用される前駆体の例としては、エアロゲル、キセロゲルおよび低バルク密度を有する他のゾル−ゲル粒子が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくはこうしたエアロゲル、キセロゲルおよび他のゾル−ゲル粒子は、シリカまたは他のビトリファイド可能な金属酸化物を含む。こうした他のビトリファイド可能な金属酸化物は、当業者によって容易に同定できる。前駆体中に1つ以上の発光材料および/またはナノ材料をカプセル化できる他の前駆体の例としては、相変化材料、例えばPおよび相変化を行うことによって熱を吸収する他の低溶融ガラスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明の方法に使用できるビトリファイドガラスを形成するための前駆体の追加の例としては、ホスフェートまたはシリケートガラス、シリケート体またはメソリスまたはゾルーゲルまたは高温安定性特性を有する有機ガラスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書に記載される方法によれば、これらの外側表面の少なくとも一部にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子は、キャリアストリーム中に懸濁され、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子上の前駆体は、熱分解されて、前駆体をビトリファイドガラスに転化し、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を形成する。
【0054】
キャリアストリームは、前駆体が熱分解によってビトリファイドガラスに転化される火炎または炉に、前駆体を含む1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を輸送するために使用できる。
【0055】
キャリアストリームは、不活性ガスを含むことができる。例としては、窒素およびアルゴンなどが挙げられるが、これらに限定されない。キャリアストリームはまた、超臨界流体、例えばCOを含むことができる。キャリアストリームはさらに、熱分解または燃焼工程の一部として除去されるキャリア溶媒を含むことができる。キャリア溶媒が有機溶媒を含む場合、酸素バランスは、好ましくは、熱分解中の黒鉛化を防止するために空気ストリームまたは酸化剤の導入によって制御される。
【0056】
キャリアはまた、1つ以上の発光材料および/または発光ナノ材料の1つ以上の粒子の少なくとも一部(さらにホスト材料または主部に含まれていてもよい。)をコーティングでき、ビトリファイドされて熱分解工程中にビトリファイドガラスを形成する金属酸化物前駆体、例えばTEOS、SiCl、SiHまたは別の反応性金属酸化物前駆体を含むことができる。一部の場合において、水または酸素は、こうした前駆体を酸化物に転化できるように、キャリアストリームに導入される必要がある場合がある。
【0057】
場合により、ガラスは、複数の前駆体から形成できる。
【0058】
固体粒子のエントレインメントまたは固体粒子の溶液のエアロゾル化は、例えばこれらに限定されないが、超音波噴霧または空気霧化もしくは液圧霧化を介して行われることができ、粒子を、約200ミクロン平均サイズ以下の熱分解またはビトリファイド粒子に縮小する。より大きな粒子も生じてよく、これは場合により、後に細砕できる。使用できる細砕技術の例としては、ボールミル、ジェットミルまたは別の既知の粒子縮小技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
熱分解工程は、これらの外側表面の少なくとも一部にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を含むキャリアストリームを、Lindberg炉のような管状炉に、ルミネッセンス粒子内に含有されるべき1つ以上の粒子の外側表面の少なくとも一部、好ましくはすべての周りに前駆体を融合させるのに十分な滞留時間で通す工程を含むことができる。前駆体のすべてを完全にビトリファイドしなくてもよい。しかし、粒子表面の未反応または未ビトリファイド前駆体の一部はまた、炉中において吸熱相変化または反応を行うことによって熱損傷から粒子を保護してもよい。例えば、低溶融ホスフェートガラスで1つ以上の粒子を囲むことにより、使用される熱が、シリケート体またはメソリスの外側コーティングをビトリファイドし、部分的に融合して、発光粒子またはナノ粒子に到達する熱パルスを最小限にする。
【0060】
別の方法では熱分解工程は、これらの外側表面の少なくとも一部にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を含むキャリアストリーム(好ましくはガスストリーム)を、バーナー火炎に通過させる工程を含むことができ、ここで前駆体はビトリファイドガラスに転化される。
【0061】
例えば、これらの外側表面の少なくとも一部にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子(「前駆体ストリーム」)は、バーナーノズルに供給される。バーナーノズルは、複数のアニュラスで構成されてもよい。1つの場合において、前駆体粒子ストリームは、中心アニュラスにある。外側2つのアニュラスはそれぞれ、燃焼に必要とされるHおよび酸素(または空気)を供給する。別の方法では、前駆体ストリームは、同様に冷却ゾーンにおいて、火炎に対して直角に導入できる。
【0062】
熱分解工程後のルミネッセンス粒子を含む熱ガスストリームは、好ましくは回復または回収される前に冷却される。例えば、ルミネッセンス粒子は、熱分解炉または火炎から出て、さらに熱交換器を通過してストリームの温度をある温度に低下させることができる。例えば、ルミネッセンス粒子に含まれる発光材料の1つ以上の粒子が量子ドットを含む場合、温度は、好ましくは量子ドットが負の影響を受けない温度、例えば<400℃、<350℃、<320℃に低下される。特定の量子ドットに依存して、他の温度が選択されてもよい。好ましくは、温度はまた、ルミネッセンス粒子が反応ストリームから分離されるまで、熱分解工程のいずれかの凝縮性副生成物が蒸気状態のままであるのに十分高く維持される。
【0063】
方法はさらに、ルミネッセンス粒子を回収する工程を含むことができる。ルミネッセンス粒子の回収は、バッグフィルタ、電気集塵機、またはフィルタもしくは遠心分離機での後続固体/液体分離のためのスプレーコンデンサによる回収を含むことができる。他の好適な既知の粉末回収技術は、当業者によって容易に確定できる。
【0064】
場合により、本明細書に教示される方法の実施形態は、マトリックス(またはホスト材料(例えば本明細書に記載されるホスト材料)に組み込まれる1つ以上の発光材料および/またはナノ材料(例えばQD)を含む1つ以上の粒子を形成する工程、キャリアストリーム中に、粒子の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上にビトリファイドガラスを形成するための前駆体を含む1つ以上の粒子を懸濁する工程およびキャリアストリーム中に懸濁される1つ以上の少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部上の前駆体を熱分解して、前駆体をビトリファイドガラスに転化し、ルミネッセンス粒子を形成する工程を含むことができる。
【0065】
図1は、本明細書に記載される方法の例の実施形態の工程を概説する。(本明細書に記載される1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を製造するための方法は、有利なことには、発光材料および/またはナノ材料の蒸気不透過性マイクロカプセル化を提供できる。)図1に概説される方法は量子ドット(QD)について参照するが、同じ工程はまた、本明細書に記載される他の発光材料および/またはナノ材料のいずれかを用いても行われることができる。マトリックスカプセル化工程は、マトリックスに組み込まれる1つ以上の発光材料および/またはナノ材料(例えばQD)を含む1つ以上の粒子を形成する工程を含むことができる。こうしたマトリックスは、例えば本明細書に記載されるホスト材料を含むことができる。こうした粒子は、例えば約0.5から約200ミクロンの範囲の最小寸法を有することができる。次いでこうした粒子は、こうした粒子の1つ以上の外側表面にビトリファイドガラスを形成するための前駆体に曝される(図のバリア層カプセル化工程において、前駆体は「マトリックス」と称される。)。緻密化工程は、粒子を囲む前駆体の少なくとも外側表面を緻密化またはビトリファイドするために前駆体によって囲まれる粒子を処理(例えば熱処理)する工程を含む。好ましくは粒子を囲む前駆体のすべてがビトリファイドまたは緻密化される。
【0066】
図2は、本明細書に記載される方法の別の例の実施形態の工程を概説する。(本明細書に記載される1つ以上の発光材料および/またはナノ材料の1つ以上の粒子を囲むガラスを含む表面を含むルミネッセンス粒子を製造するための方法は、有利なことには、発光材料および/またはナノ材料の蒸気不透過性マイクロカプセル化を提供できる。)図2に概説される方法は量子ドット(QD)について参照するが、同じ工程はまた、本明細書に記載される他の発光材料および/またはナノ材料のいずれかを用いても行われることができる。図2のマトリックスカプセル化工程は、こうした粒子の1つ以上の外側表面にビトリファイドガラスを形成するための前駆体に、1つ以上の発光材料および/またはナノ材料(例えばQD)を曝すことを指す。緻密化工程は、粒子を囲む前駆体の少なくとも外側表面を緻密化またはビトリファイドするために前駆体によって囲まれる粒子を処理(例えば熱処理)する工程を含む。好ましくは粒子を囲む前駆体のすべてがビトリファイドまたは緻密化される。
【0067】
空気安定性が所望される用途について、ルミネッセンス粒子の酸素安定性は、ルミネッセンス粒子をシリコーンまたは他の酸素透過性モノマーに含ませ、このフィルムを引き伸ばし、モノマーフィルムを重合することによって特徴付けられることができる。(非反応性媒体も使用できる。)次いで重合されたフィルムは、450nmの青色LEDまたはレーザーのような供給源からの光で照射され、この発光は、熱管理システムによって調節されるような種々の異なる温度での強度、ピーク波長、FWHM、吸収によって特徴付けられる。温度は、室温から200℃を超えて変動でき、照射出力は、20mW/cmのフラックス密度から50W/cm程度に高く変動する。これらの測定は、加速経年モデルを展開するために、製品性能の変化の割合を評価するために経時的に追跡できる。
【0068】
予備選択されたO安定性を有するルミネッセンス粒子を含むルミネッセンス材料であって、ここで発光材料の1つ以上の粒子が量子ドットを含む材料は、LEDの縁部に適用できる色変換材料として有用であることができ、またはそうでなければLEDカプセル化剤の加工処理の容易性と共に量子ドットの光学色利益のすべてを与えるために現在の蛍光体の代わりにLEDに含まれることができる。
【0069】
本明細書に記載されるルミネッセンス粒子はまた、高い色域および効率を有する白色LEDを生じるLED製作において有用であることができる。
【0070】
本明細書に記載される本発明の特定の実施形態および態様において、1つ以上の発光ナノ材料の1つ以上の粒子は、1つ以上の発光材料の1つ以上の粒子を含む。発光ナノ材料の粒子は、量子閉じ込めから生じる光学的特性を有することができるナノメートルサイズの粒子である、好ましくは無機半導体ナノ結晶(これはまた本明細書において量子ドットとも称され得る。)である。量子ドットの特定の組成、構造および/またはサイズは、特定の励起源による刺激時に量子ドットから放出される所望波長の光を得るように選択できる。本質的に、量子ドットは、これらのサイズを変更することによって可視スペクトルにわたって光を放出するように調整されてもよい。
【0071】
量子ドットは、約1から約1000ナノメートル(nm)の範囲、好ましくは約1から約100nmの範囲の平均粒径を有することができる。特定の実施形態において、量子ドットは、約1から約20nm(例えば約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nm)の範囲の平均粒径を有する。特定の実施形態において、量子ドットは、約1から約10nmの範囲の平均粒径を有する。量子ドットは、約150オングストローム(Å)未満の平均直径を有することができる。特定の実施形態において、約12から約150Åの範囲の平均直径を有する量子ドットが特に望ましいことがある。しかし、量子ドットの組成、構造および所望の発光波長に依存して、平均直径はこれらの範囲外であってもよい。
【0072】
好ましくは、量子ドットは半導体ナノ結晶を含む。特定の実施形態において、半導体ナノ結晶は、約1から約20nm、好ましくは約1から約10nmの範囲の平均粒径を有する。しかし、量子ドットの組成、構造および所望の発光波長に依存して、平均直径はこれらの範囲外であってもよい。
【0073】
量子ドットは、1つ以上の半導体材料を含むことができる。
【0074】
量子ドット(例えば半導体ナノ結晶を含む。)に含まれることができる半導体材料の例としては、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物または合金を含む。)が挙げられるが、これらに限定されない。例の非限定リストとしては、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物または合金を含む。)が挙げられる。
【0075】
特定の実施形態において、量子ドットは、1つ以上の半導体材料を含むコアおよび1つ以上の半導体材料を含むシェルを含むことができ、ここでシェルは、コアの外側表面の少なくとも一部にわたって、好ましくはすべてにわたって配設される。コアおよびシェルを含む量子ドットはまた、「コア/シェル」構造と称される。
【0076】
例えば、量子ドットは、式MXを有するコアを含むことができ、ここでMは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムまたはこれらの混合物であり、Xは酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、またはこれらの混合物である。量子ドットコアとして使用するのに好適な材料の例としては、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物または合金を含む。)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
シェルは、コアの組成と同じまたは異なる組成を有する半導体材料であることができる。シェルは、コアの表面にある1つ以上の半導体材料を含むオーバーコートを含むことができる。シェルに含まれることができる半導体材料の例としては、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物(三元および四元混合物または合金を含む。)が挙げられるが、これらに限定されない。例としては、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、これらのいずれかを含む合金および/またはこれらのいずれかを含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ZnS、ZnSeまたはCdSオーバーコートは、CdSeまたはCdTe半導体ナノ結晶において成長し得る。
【0078】
コア/シェル量子ドットにおいて、シェルまたはオーバーコーティングは、1つ以上の層を含んでいてもよい。オーバーコーティングは、コアの組成と同じまたは異なる少なくとも1つの半導体材料を含むことができる。好ましくは、オーバーコーティングは、約1から約10の単層の厚さを有する。オーバーコーティングはまた、10を超える単層の厚さを有することができる。特定の実施形態において、複数のオーバーコーティングが、コアに含まれることができる。
【0079】
特定の実施形態において、周囲の「シェル」材料は、コア材料のバンドギャップを超えるバンドギャップを有することができる。特定の他の実施形態において、周囲「シェル」材料は、コア材料のバンドギャップ未満のバンドギャップを有することができる。
【0080】
特定の実施形態において、シェルは、「コア」基材の原子間隔に近い原子間隔を有するように選択できる。特定の他の実施形態において、シェルおよびコア材料は同じ結晶構造を有することができる。
【0081】
量子ドット(例えば半導体ナノ結晶)(コア)シェル材料の例としては、これらに限定されないが、赤(例えば(CdSe)CdZnS(コア)シェル)、緑(例えば(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)および青(例えば(CdS)CdZnS(コア)シェル)が挙げられる。
【0082】
量子ドットは種々の形状を有することができ、これらとしては、球体、棒、円盤、他の形状および種々の形状粒子の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
量子ドット(例えば半導体ナノ結晶が挙げられるが、これらに限定されない。)を製造する方法の1つの例は、コロイド状成長方法である。得られた量子ドットは、量子ドットの集団である。個々の核生成および制御された成長の結果として、得られる量子ドット集団は、狭い単分散の直径分布を有する。単分散の直径分布はまた、サイズと称され得る。好ましくは、粒子の単分散集団は、粒子の少なくとも約60%が特定の粒径範囲内にあるような粒子集団を含む。単分散粒子の集団は、好ましくは直径の15%rms(二乗平均平方根)未満、より好ましくは10%rms未満、最も好ましくは5%未満で外れる。
【0084】
オーバーコーティング方法の例は、例えば米国特許第6,322,901号に記載されている。オーバーコーティングする間の反応混合物の温度を調節し、コアの吸収スペクトルをモニタリングすることによって、高い発光量子効率および狭いサイズ分布を有するオーバーコーティングされた材料を得ることができる。
【0085】
量子ドットまたは半導体ナノ結晶の狭いサイズ分布は、狭いスペクトル幅での発光を可能にする。単分散半導体ナノ結晶は、この全体が参照として本明細書に組み込まれるMurray et al.(J.Am.Chem.Soc,115:8706(1993))に詳細に記載されている。
【0086】
半導体ナノ結晶および他のタイプの量子ドットは、好ましくはそこに結合したリガンドを有する。
【0087】
特定の態様において、これは、無機リガンドを含むことが望ましい場合がある。
【0088】
好ましくは、リガンドは、使用される前駆体と化学的に適合性であるように選択される。
【0089】
1つ以上の発光材料および/または発光ナノ材料の1つ以上の粒子がさらに、ルミネッセンス材料内のホスト材料に含まれる場合、リガンドは、好ましくはホスト材料およびそこに含まれていてもよいいずれかの他の添加剤と化学的に適合性であるように選択される。
【0090】
リガンドは、成長工程の間に反応混合物に含まれ得る配位溶媒から誘導され得る。
【0091】
リガンドは、反応混合物に添加できる。
【0092】
リガンドは、量子ドットを合成するための反応混合物中に含まれる試薬または前駆体から誘導できる。
【0093】
特定の実施形態において、量子ドットは、外側表面に結合された複数のタイプのリガンドを含むことができる。
【0094】
成長工程から誘導されるまたはそうではないリガンドを含む量子ドット表面は、過剰の競合リガンド基(これらとしては、例えば配位基が挙げられるが、これらに限定されない。)への露呈が繰り返されることによって変更され、被覆層を形成できる。例えば、キャップされた量子ドットの分散物は、配位有機化合物、例えばピリジンで処理でき、結晶子を生じるが、これはピリジン、メタノールおよび芳香族物質中に容易に分散するが、脂肪族溶媒にはもはや分散しない。こうした表面交換工程は、ナノ粒子の外側表面と配位できまたは結合できるいずれかの化合物を用いて行うことができ、これらとしてはホスフィン、チオール、アミンおよびホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
追加のリガンドの例としては、脂肪酸リガンド、長鎖脂肪酸リガンド、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルホスホン酸、またはアルキルホスフィン酸、ピリジン、フランおよびアミンが挙げられる。より具体的な例としては、ピリジン、トリ−n−オクチルホスフィン(TOP)、トリ−n−ホスフィンオキシド(TOPO)、トリス−ヒドロキシルプロピルホスフィン(tHPP)およびオクタデシルホスホン酸(「ODPA」)が挙げられるが、これらに限定されない。工業銘柄TOPOが使用できる。
【0096】
好適な配位リガンドは、市販品を購入でき、または従来の合成有機技術によって調製できる。
【0097】
発光できる量子ドットからの発光は、量子ドットのサイズ、量子ドットの組成またはこの両方を変更することによって、スペクトルの紫外、可視、または赤外領域の完全な波長範囲を通して調整できる狭いガウス型発光バンドであることができる。例えば、CdSeを含む半導体ナノ結晶は、
可視領域に調整でき;InAsを含む半導体ナノ結晶は、赤外領域に調整できる。発光できる量子ドット集団の狭いサイズ分布は、狭いスペクトル範囲の光の発光をもたらすことができる。この集団は単分散性であることができ、こうした量子ドットの直径において、好ましくは15%rms(二乗平均平方根)未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の偏差を示す。可視領域で発光するこうした量子ドットに関して、約75nm以下、好ましくは約60nm以下、より好ましくは約40nm以下、最も好ましくは約30nm以下の半値全幅(FWHM)が観察できる。IR発光量子ドットは、150nm以下、または100nm以下のFWHMを有することができる。発光エネルギーの観点で表される場合、発光は0.05eV以下、または0.03eV以下のFWHMを有することができる。発光の幅は、発光量子ドット直径の分散性が低下するにつれて低下する。
【0098】
量子ドットは、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超えるような発光量子効率を有することができる。
【0099】
量子ドットの狭いFWHMは、飽和色発光をもたらし得る。単一材料系の可視スペクトル全体にわたる広範囲に調整可能な飽和色発光は、いずれかのクラスの有機発色団では一致しない(例えばこの全体が参照として組み込まれるDabbousi et al,J.Phys.Chem.101,9463(1997)を参照のこと)。単分散の量子ドット集団は、狭い波長範囲に及ぶ光を発光する。
【0100】
本発明に従う有用な量子ドットは、赤色光を特徴とする波長を発光するものを含む。特定の好ましい実施形態において、赤色光を発光できる量子ドットは、約615nmから約635nmの範囲にピーク中心波長および重なるかどうかにかかわらず、この間のいずれかの波長または範囲を有する光を発光する。例えば、量子ドットは、約635nm、約630nm、約625nm、約620nm、約615nmのピーク中心波長を有する赤色光を発光できる。
【0101】
本発明に従う有用な量子ドットはまた、緑色光を特徴とする波長を発光するものを含む。特定の好ましい実施形態において、緑色光を発光できる量子ドットは、約520nmから約545nmの範囲にピーク中心波長および重なるかどうかにかかわらず、この間のいずれかの波長または範囲を有する光を発光する。例えば、量子ドットは、約520nm、約525nm、約535nm、約540nm、約540nmのピーク中心波長を有する緑色光を発光できる。
【0102】
本発明の量子ドットの狭い発光プロファイルは、飽和色を発光するために量子ドットおよび量子ドットの混合物を調整でき、これによって従来のLED発光ディスプレイの場合を超える色域および出力効率を増大させる。1つの態様によれば、主な波長、例えば約523nmを発光するように設計され、例えば約37nmのFWHMを有する発光プロファイルを有する緑色量子ドットは、例えば約617nmの主な波長を発光するように設計され、例えば約32nmのFWHMを有する発光プロファイルを有する赤色量子ドットと組み合わされ、混合され、またはそうでなければ組み合わせて使用される。こうした組み合わせは、青色光によって刺激され、三色白色光を創出できる。
【0103】
本明細書に記載され、または本明細書に記載される方法によって製造されるルミネッセンス粒子は、種々広範の他の消費者製品(平坦パネルディスプレイ、コンピュータモニタ、オールインワンコンピュータ、ノート型パソコン、タブレット、テレビ、ビルボード、内部または外部照明および/またはシグナル伝達のためのライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ファインダー、超小型表示装置、車両、大面積の壁、劇場またはスタジアムのスクリーン、標識、照明器具および各種の固体照明デバイスを含む。)に組み込まれてもよい。
【0104】
本明細書に記載されるまたは本明細書に記載される方法によって製造されるルミネッセンス粒子は、光学的に励起でき、光学励起は、発光粒子、好ましくは半導体ナノ結晶からの発光を介してダウンコンバージョンされる。こうしたフォトルミネッセンスは、LED光源が使用されるいずれかのデバイス/システムにおいて有用である(例えば固体照明、LEDバックライト(LED−BLU)、液晶ディスプレイ(LCD))。こうしたフォトルミネッセンスはまた、光源が他の波長にダウンコンバージョンされるいずれかのデバイス/システムに有用であることができる(例えば太陽光が、システムに使用される太陽電池の最も高い効率ウィンドウに調整された特定の波長に変換されるソーラーコンセントレイターまたはダウンコンバーター;高エネルギープラズマ発光が半導体ナノ結晶「蛍光体」ダウンコンバーターを励起できるプラズマ系システム;タガント;バイオラベリングまたは画像形成;バーコーディングまたはセキュリティ/秘密ラベリング用途)。
【0105】
半導体ナノ結晶を含む発光粒子を好ましくは含む、本明細書に記載されるまたは本明細書に記載される方法によって製造されるルミネッセンス粒子はまた、例えば半導体ナノ結晶材料が光学的に励起され、励起が半導体ナノ結晶からのキャリア励起により電流および/または電圧を発生させる光起電性(PV)用途に有用であることができる。
【0106】
本開示および本明細書に記載される発明と関連して有用であり得る追加の情報は、国際出願第PCT/US2009/002796(Coe−Sullivan et al、2009年5月6日出願、発明の名称「Optical Components,Systems Including An Optical Component,And Devices」);国際出願第PCT/US2009/002789号(Coe−Sullivan et al、2009年5月6日出願、発明の名称「Solid State Lighting Devices Including Quantum Confined Semiconductor Nanoparticles,An Optical Component For A Solid State Light Device,And Methods」);国際出願第PCT/US2010/32859(Modi et al、2010年4月28日出願、発明の名称「Optical Materials,Optical Components,And Methods」);国際出願第PCT/US2010/032799号(Modi et al、2010年4月28日出願、発明の名称「Optical Materials,Optical Components,Devices,And Methods」);国際出願第PCT/US2011/047284(Sadasivan et al、2011年8月10日出願、発明の名称「Quantum Dot Based Lighting」);国際出願第PCT/US2008/007901号(Linton et al、2008年6月25日出願、発明の名称「Compositions And Methods Including Depositing Nanomaterial」;米国特許出願第12/283609号(Coe−Sullivan et al、2008年9月12日出願、発明の名称「Compositions,Optical Component,System Including An Optical Component,Devices,And Other Products」);国際出願第PCT/US2008/10651号(Breen et al、2008年9月12日出願、発明の名称「Functionalized Nanoparticles And Method」;米国特許第6,600,175号(Baretz,et al.、2003年7月29日登録、発明の名称「Solid State White Light Emitter And Display Using Same」);および米国特許第6,608,332号(Shimizu, et al.、2003年8月19日登録、発明の名称「Light Emitting Device and Display」);および米国特許出願第13/762,354号(Nick,et al.、2013年2月7日出願、発明の名称「Methods of Making Components Including Quantum Dots,Methods,and Products」);これらそれぞれが参照としてこの全体が本明細書に組み込まれる。)に含まれる。
【0107】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は、内容が明確に示されない限り、複数を含む。故に、例えば発光材料についての言及は、こうした材料の1つ以上の言及を含む。
【0108】
出願人は、特に、この開示においてすべての引用文献の全体の内容を組み込む。さらに、量、濃度または他の値もしくはパラメータが範囲、好ましい範囲または上側の好ましい値と下側の好ましい値の列記として与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、いずれかの上側の範囲限界もしくは好ましい値といずれかの下側の範囲限界もしくは好ましい値のいずれかのペアから形成されるすべての範囲を具体的に開示しているものと理解されるべきである。ある範囲の数値が本明細書で挙げられている場合、別段の断りがない限り、この範囲はこれの端の値ならびにこの範囲に含まれるすべての整数および分数を含むことを意図する。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及される具体的な値に限定されることを意図しない。
【0109】
本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示された本発明の実施を考慮することによって当業者に明らかになる。本明細書および実施例は、例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲およびこの均等物によって示されることが意図される。
【0110】
主題が構造上の特徴および/または方法論的作用に特異な言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲に規定される主題が上記で記載される特定の特徴または作用に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、上記で記載される特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する例の形態として開示される。
図1
図2