特許第6469118号(P6469118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6469118
(24)【登録日】2019年1月25日
(45)【発行日】2019年2月13日
(54)【発明の名称】バイポーラゲートドライバ
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20190204BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20190204BHJP
   H03K 17/16 20060101ALI20190204BHJP
   H03K 19/00 20060101ALI20190204BHJP
   H03K 19/094 20060101ALI20190204BHJP
【FI】
   H02M1/08 C
   H02M1/08 A
   H03K17/687 F
   H03K17/16 L
   H03K19/00 210
   H03K19/094 210
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-548089(P2016-548089)
(86)(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公表番号】特表2017-509293(P2017-509293A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2014013358
(87)【国際公開番号】WO2015116031
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501439828
【氏名又は名称】シュナイダー エレクトリック アイティー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ミリンダ ダイラスカー
(72)【発明者】
【氏名】マヘンドラクマ ハリブハ リパレ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシ ゴーシュ
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−211703(JP,A)
【文献】 特開2013−070530(JP,A)
【文献】 特開2013−070263(JP,A)
【文献】 特開2013−179821(JP,A)
【文献】 特開2009−022106(JP,A)
【文献】 特開2013−220016(JP,A)
【文献】 特開2013−219874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/00−3/44、
7/42−7/98
H03K17/00−17/70、
19/00、
19/01−19/082、
19/094−19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラに結合され、前記コントローラから各々が制御グランドに対する電圧を有する制御信号を受信し、各制御信号の前記電圧をチップグランドに対して再設定し、再設定された制御信号を発生するレベルシフタ回路と、
前記レベルシフタ回路に結合され、ハイサイドゲートドライバ及びローサイドゲートドライバを含むゲートドライバチップであって、前記ハイサイドゲートドライバは、第1の半導体デバイスに結合されるように構成された第1の出力端子を有し、前記第1の出力端子から前記第1の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づいて第1のバイポーラ制御信号を供給するように構成され、前記ローサイドゲートドライバは、第2の半導体デバイスに結合されるように構成された第2の出力端子を有し、前記第2の出力端子から前記第2の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づいて第2のバイポーラ制御信号を供給するように構成される、ゲートドライバチップと、
正電源を含み、前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに結合された電源であって、前記ハイサイドゲートドライバに第1の正電源電圧及び第1の負電源電圧を供給し、前記ローサイドゲートドライバに第2の正電源電圧を供給し、前記ローサイドゲートドライバと前記チップグランドに第2の負電源電圧を供給し、さらに、前記第1の正電源電圧、前記第1の負電源電圧、前記第2の正電源電圧、及び前記第2の負電源電圧を前記正電源の電圧から導出するように構成される、電源と、
を備え、
前記電源は、
前記正電源、前記ゲートドライバチップ、及び前記チップグランドに結合され、前記正電源の前記電圧から前記第の負電源電圧を発生し、前記第の負電源電圧を前記ゲートドライバチップと前記チップグランドに供給するように構成された第1のチャージポンプ回路を含み、
前記第1のチャージポンプ回路は、
前記第2の出力端子に結合された第1のキャパシタと、
前記第2の出力端子と前記第1のキャパシタとの間に結合されたスイッチと、
前記第1のキャパシタと前記チップグランドに結合された第2のキャパシタとを備え、
第1の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のハイ制御信号によりターンオフされ、前記第1のキャパシタが前記ハイ制御信号により充電され、
第2の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のロー制御信号によりターンオンされ、前記第1のキャパシタが放電され、前記第1のキャパシタから放電されたエネルギーが前記第2のキャパシタを充電し、前記第の負電源電圧を前記チップグランドに発生する、
ゲートドライバ。
【請求項2】
前記第1のチャージポンプ回路は前記ローサイドゲートドライバに結合され、前記第の負電源電圧を前記ローサイドゲートドライバに供給するように構成されている、請求項1記載のゲートドライバ。
【請求項3】
第1の出力端子によって第1の半導体デバイスに結合されたハイサイドゲートドライバと、第2の出力端子によって第2の半導体デバイスに結合されたローサイドゲートドライバとを含むゲートドライバチップを動作させる方法であって、前記方法は、
コントローラから各々が制御グランドに対する電圧を有する制御信号を受信するステップと、
各制御信号の前記電圧をチップグランドに対して再設定し、再設定された制御信号を発生させるステップと、
前記ゲートドライバチップによって前記再設定された制御信号に基づいて第1のバイポーラ制御信号と第2のバイポーラ制御信号を発生させるステップと、
前記ハイサイドゲートドライバによって前記第1のバイポーラ制御信号を前記第1の出力端子から前記第1の半導体デバイスに供給するステップと、
前記ローサイドゲートドライバによって前記第2のバイポーラ制御信号を前記第2の出力端子から前記第2の半導体デバイスに供給するステップと、
正電源を含む電源によって、第1の正電源電圧、第1の負電源電圧、第2の正電源電圧、及び第2の負電源電圧を発生させるステップであって、前記第1の正電源電圧、前記第1の負電源電圧、前記第2の正電源電圧、及び前記第2の負電源電圧は、前記正電源の電圧から導出されるステップと、
前記電源によって、前記第1の正電源電圧及び前記第1の負電源電圧を前記ハイサイドゲートドライバに供給するステップと、
前記電源によって、前記第2の正電源電圧及び前記第2の負電源電圧を前記ローサイドゲートドライバに供給するステップと、
を含み、
前記電源は、
前記正電源、前記ゲートドライバチップ、及び前記チップグランドに結合され、前記正電源の前記電圧から前記第の負電源電圧を発生し、前記第の負電源電圧を前記ゲートドライバチップと前記チップグランドに供給するように構成された第1のチャージポンプ回路を含み、
前記第1のチャージポンプ回路は、
前記第2の出力端子に結合された第1のキャパシタと、
前記第2の出力端子と前記第1のキャパシタとの間に結合されたスイッチと、
前記第1のキャパシタと前記チップグランドに結合された第2のキャパシタとを備え、
第1の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のハイ制御信号によりターンオフされ、前記第1のキャパシタが前記ハイ制御信号により充電され、
第2の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のロー制御信号によりターンオンされ、前記第1のキャパシタが放電され、前記第1のキャパシタから放電されたエネルギーが前記第2のキャパシタを充電し、前記第の負電源電圧を前記チップグランドに発生する、
方法。
【請求項4】
前記第1の正電源電圧を前記ゲートドライバチップの前記ハイサイドゲートドライバに供給するステップは、前記第2の正電源電圧をブートストラップして前記第1の正電源電圧を発生させるステップを含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
ハイサイドゲートドライバとローサイドゲートドライバを含み、コントローラ、第1の半導体デバイス、及び第2の半導体デバイスに結合されるように構成されたゲートドライバチップと、
前記コントローラから受信されるユニポーラ制御信号に基づいて、前記ハイサイドゲートドライバを、第1の出力端子から前記第1の半導体デバイスに第1のバイポーラ制御信号を供給するように動作させ、前記ローサイドゲートドライバを、第2の出力端子から前記第2の半導体デバイスに第2のバイポーラ制御信号を供給するように動作させるとともに、第1の正電源電圧及び第1の負電源電圧を前記ハイサイドゲートドライバに供給し、第2の正電源電圧及び第2の負電源電圧を前記ローサイドゲートドライバに供給する手段であって、前記第1の正電源電圧、前記第1の負電源電圧、前記第2の正電源電圧、及び前記第2の負電源電圧は、単一の電源からの正電圧から導出される手段と、
を備え、
前記電源は、
前記正電源、前記ゲートドライバチップ、及びチップグランドに結合され、前記正電源の前記電圧から前記第の負電源電圧を発生し、前記第の負電源電圧を前記ゲートドライバチップと前記チップグランドに供給するように構成された第1のチャージポンプ回路を含み、
前記第1のチャージポンプ回路は、
前記第2の出力端子に結合された第1のキャパシタと、
前記第2の出力端子と前記第1のキャパシタとの間に結合されたスイッチと、
前記第1のキャパシタと前記チップグランドに結合された第2のキャパシタとを備え、
第1の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のハイ制御信号によりターンオフされ、前記第1のキャパシタが前記ハイ制御信号により充電され、
第2の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のロー制御信号によりターンオンされ、前記第1のキャパシタが放電され、前記第1のキャパシタから放電されたエネルギーが前記第2のキャパシタを充電し、前記第の負電源電圧を前記チップグランドに発生する、
ゲートドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してゲートドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲートドライバはコントローラからの低電力入力を受け取り、絶縁ゲートバイポーラトランシーバ(IGBT)又は金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのトランジスタのゲートのための高電流駆動入力を発生する電力増幅器である。ゲートドライバはハーフ/フルブリッジインバータ及びハーフ/フルコンバータなどの電力変換装置用に広く使用されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の少なくとも一つの態様はゲートドライバであり、前記ゲートドライバは、コントローラに結合され、前記コントローラから各々が制御グランドに対する電圧を有する制御信号を受信し、各制御信号の前記電圧をチップグランドに対して再設定し、再設定された制御信号を発生するレベルシフタ回路と、前記レベルシフタ回路に結合されたゲートドライバチップであって、少なくとも一つの半導体デバイスに結合されるように構成され、更に前記少なくとも一つの半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づいてバイポーラ制御信号を供給するように構成されたゲートドライバチップと、前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに結合された少なくとも一つの電源であって、少なくとも一つの正電源電圧を前記ゲートドライバチップに供給するとともに、少なくとも一つの負電源電圧を前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに供給するように構成された少なくとも一つの電源とを備える。
【0004】
一実施形態によれば、前記少なくとも一つの電源は、前記ゲートドライバチップに結合され、前記少なくとも一つの正電源電圧を前記ゲートドライバチップに供給するように構成された少なくとも一つの正電源と、前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに結合され、前記少なくとも一つの負電源電圧を前記ゲートドライバチップと前記チップグランドに供給するように構成された少なくとも一つの負電源とを含む。一実施形態では、前記ゲートドライバチップは、前記レベルシフタ回路に結合されたハイサイド(高圧側)ドライバであって、第1の半導体デバイスに結合されるように構成され、更に前記第1の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づいて第1のバイポーラ制御信号を供給するように構成されたハイサイドドライバと、前記レベルシフタ回路に結合されたローサイド(低圧側)ドライバであって、第2の半導体デバイスに結合されるように構成され、更に前記第2の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づいて第2のバイポーラ制御信号を供給するように構成されたローサイドドライバとを含む。
【0005】
一実施形態によれば、前記少なくとも一つの正電源は、前記ハイサイドドライバに結合され、前記ハイサイドドライバに第1の正電源電圧を供給するように構成された第1の正電源と、前記ローサイドドライバに結合され、前記ローサイドドライバに第2の正電源電圧を供給するように構成された第2の正電源とを含み、前記少なくとも一つの負電源は、前記ハイサイドドライバに結合され、前記ハイサイドドライバに第1の負電源電圧を供給するように構成された第1の負電源と、前記ローサイドドライバと前記チップグランドに結合され、前記ローサイドドライバと前記チップグランドに第2の負電源電圧を供給するように構成された第2の負電源とを含む。
【0006】
別の実施形態によれば、前記少なくとも一つの電源は、前記ゲートドライバチップに結合され、前記ゲートドライバチップに前記少なくとも一つの正電源電圧を供給するように構成された少なくとも一つの正電源と、前記少なくとも一つの正電源、前記ゲートドライバチップ、及び前記チップグランドに結合され、前記少なくとも一つの正電源電圧から第1の負電源電圧を発生し、前記第1の負電源電圧を前記ゲートドライバチップと前記チップグランドに供給するように構成された第1のチャージポンプ回路とを含む。一実施形態では、前記ゲートドライバチップは、前記レベルシフタ回路に結合されたハイサイドドライバであって、第1の半導体デバイスに結合されるように構成された第1の出力端子を有し、更に前記第1の出力端子から前記第1の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づく第1のバイポーラ制御信号を供給するように構成されたハイサイドドライバと、前記レベルシフタ回路に結合されたローサイドドライバであって、第2の半導体デバイスに結合されるように構成された第2の出力端子を有し、更に前記第2の出力端子から前記第2の半導体デバイスに前記再設定された制御信号に基づく第2のバイポーラ制御信号を供給するように構成されたローサイドドライバとを含み、前記第1のチャージポンプ回路は前記ローサイドドライバに結合され、前記第1の負電源電圧を前記ローサイドドライバに供給するように構成される。
【0007】
一実施形態によれば、前記少なくとも一つの電源は更に、前記少なくとも一つの正電源と前記ハイサイドドライバに結合された第2のチャージポンプ回路を含み、前記第2のチャージポンプ回路は前記少なくとも一つの正電源電圧から第2の負電源電圧を発生し、前記第2の負電源電圧を前記ハイサイドドライバに供給するように構成される。一実施形態では、前記第1のチャージポンプ回路は第1の正電源に結合され、且つ前記第1の正電源により供給される第1の正電源電圧から前記第1の負電源電圧を発生するように構成され、前記第2のチャージポンプ回路は第2の正電源に結合され、且つ前記第2の正電源により供給される第2の正電源電圧から前記第2の負電源電圧を発生するように構成される。別の実施形態では、前記第1のチャージポンプ回路は正電源に結合され、且つ前記正電源により供給される正電源電圧から前記第1の負電源電圧を発生するように構成され、前記第2のチャージポンプ回路は前記正電源に結合され、且つ前記正電源により供給される前記正電源電圧から前記第2の負電源電圧を発生するように構成される。
【0008】
一実施形態では、前記第1のチャージポンプ回路は、前記第2の出力端子に結合された第1のキャパシタと、前記第2の出力端子と前記第1のキャパシタとの間に結合されたスイッチと、前記第1のキャパシタと前記チップグランドに結合された第2のキャパシタとを備え、第1の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のハイ制御信号によりターンオフされ、前記第1のキャパシタが前記ハイ制御信号により充電され、第2の動作モードにおいて、前記スイッチが前記第2の出力端子のロー制御信号によりターンオンされ、前記第1のキャパシタが放電され、前記第1のキャパシタから放電されたエネルギーが前記第2のキャパシタを充電し、前記第1の負電源電圧を前記チップグランドに発生する。別の実施形態では、前記第1のチャージポンプ回路は、前記少なくとも一つの正電源に結合された発振器と、前記発振器に結合された第1のキャパシタと、前記第1のキャパシタと前記チップグランドに結合された第2のキャパシタとを備え、第1の動作モードにおいて、前記発振器がハイパルス信号を前記第1のキャパシタに供給し、前記第1のキャパシタが前記ハイパルス信号により充電され、第2の動作モードにおいて、前記発振器がローパルス信号を前記第1のキャパシタに供給し、前記第1のキャパシタを放電し、前記第1のキャパシタから放電されたエネルギーが前記第2のキャパシタを充電し、前記第1の負電源電圧を前記チップグランドに発生する。
【0009】
本発明の別の態様は少なくとも一つの半導体デバイスに結合されたゲートドライバチップを動作させる方法を対象とし、前記方法は、コントローラから各々が制御グランドに対する電圧を有する制御信号を受信するステップと、各制御信号の前記電圧をチップグランドに対して再設定し、再設定された制御信号を発生させるステップと、前記ゲートドライバチップによって前記再設定された制御信号に基づいてバイポーラ制御信号を発生させるステップと、前記バイポーラ制御信号を前記少なくとも一つの半導体デバイスに供給するステップと、少なくとも一つの電源によって、少なくとも一つの正電源電圧を前記ゲートドライバチップに供給するとともに、少なくとも一つの負電源電圧を前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに供給するステップとを含む。
【0010】
一実施形態によれば、前記少なくとも一つの正電源電圧を前記ゲートドライバチップに供給するステップは、第1の正電源電圧を前記ゲートドライバチップのハイサイドドライバに供給するステップと、第2の正電源電圧を前記ゲートドライバチップのローサイドドライバに供給するステップとを含む。一実施形態では、前記第1の正電源電圧を前記ゲートドライバチップの前記ハイサイドドライバに供給するステップは、前記第2の正電源電圧をブートストラップして前記第1の正電源電圧を発生させるステップを含む。別の実施形態では、前記少なくとも一つの負電源電圧を前記ゲートドライバチップ及び前記チップグランドに供給するステップは、第1の負電源電圧を前記ゲートドライバチップの前記ハイサイドドライバに供給するステップと、第2の負電源電圧を前記ゲートドライバチップの前記ローサイドドライバと前記チップグランドに供給するステップとを含む。
【0011】
別の実施形態によれば、前記第2の負電源電圧を前記ゲートドライバチップの前記ローサイドドライバと前記チップグランドに供給するステップは、前記第2の正電源電圧から前記第2の負電源電圧を発生させるためにチャージポンプ回路を動作させるステップを含む。一実施形態では、前記チャージポンプ回路を動作させるステップは、第1の動作モードにおいて、前記チャージポンプ回路内の第1のキャパシタを充電するステップと、第2の動作モードにおいて、前記第1のキャパシタを放電させるステップと、前記第2の動作モードにおいて、前記チャージポンプ回路内の第2のキャパシタを前記第1のキャパシタからの放電エネルギーで充電するステップと、前記充電された第2のキャパシタによって前記第2の負電源電圧を発生させるステップとを含む。一実施形態では、前記チャージポンプ回路内の前記第1のキャパシタを充電するステップは、前記第1のキャパシタを前記ローサイドドライバの出力からのエネルギーで充電するステップを含む。別の実施形態では、前記チャージポンプ回路内の前記第1のキャパシタを充電するステップは、前記第1のキャパシタを前記チャージポンプ回路内の発振器からのエネルギーで充電するステップを含む。
【0012】
本発明の一つの態様はゲートドライバを対象とし、前記ゲートドライバは、コントローラに結合されるように構成され且つ少なくとも一つの半導体デバイスに結合されるように構成されたゲートドライバチップと、前記ゲートドライバチップを、前記コントローラから受信されるユニポーラ制御信号に基づいて前記少なくとも一つの半導体デバイスにバイポーラ制御信号を供給するように動作させるとともに、単一の電源からの電圧から導出した少なくとも一つの正電源電圧及び少なくとも一つの負電源電圧を前記ゲートドライバチップに供給する手段とを備える。
【0013】
添付の図面は一定の寸法比で描かれていない。図面において、様々な図に示される同一もしくはほぼ同一の各コンポーネントは同等の番号で示されている。明瞭のために、すべてのコンポーネントがすべての図で番号付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】コモンゲートドライバのブロック図である。
図2】本発明の実施形態によるバイポーラゲートドライバのブロック図である。
図3】本発明の実施形態によるチャージポンプ回路のブロック図である。
図4】本発明の実施形態による発振器ベースのチャージポンプ回路のブロック図である。
図5】本発明の実施形態による単一電源バイポーラゲートドライバのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で検討される方法及びシステムの例はその適用が、以下に詳細に記載され、図面に示されるコンポーネントの構成及び配置の詳細に限定されるものではない。本発明の方法及びシステムは他の実施形態が可能であり、様々に実施又は実行することができる。特定の実施形態の様々な例は本明細書中に説明のためにのみ示され、限定を意図するものではない。特に、任意の一つ以上の例と関連して記載される、作用、コンポーネント、要素及び機能は他の例における類似の役割から除外されることを意図するものではない。
【0016】
また、本明細書で使用する語句及び用語は説明を目的とし、限定とみなすべきではない。本明細書で単数で言及されるシステム及び方法の例、実施形態、コンポーネント、要素又は作用への任意の言及はその何れかを複数含む実施形態を含んでもよく、本明細書で複数で言及される実施形態、コンポーネント、要素又は作用への任意の言及はその何れかを単数含む実施形態を含んでもよい。単数又は複数での言及は開示のシステム又は方法、それらのコンポーネント、作用又は要素を限定する意図はない。本明細書における「含む」「備える」「有する」「包含する」及びそれらの活用形の使用は、その前に列挙される要素のみからなる代替実施形態に加えて、その前に列挙される要素、その等価物及び追加の要素を含むことを意図している。「又は」への言及は包括的として解釈し、「又は」を用いて記述された用語のすべては、記載された用語の1つ、2つ以上又はすべてを示すものと解釈してよい。更に、本明細書と参照することにより本明細書に援用される文献との間で用語の使用法に一貫性がない場合には、援用文献における用語の使用法は本明細書の用語の使用法を補足し、相いれない不一致の場合には本明細書での用語の使用法が優先する。
【0017】
上述したように、ゲートドライバはハーフ/フルブリッジインバータ及びハーフ/フルブリッジコンバータなどの変換装置用に広く使用されている。例えば、図1はコモンゲートドライバ100のブロック図である。コモンゲートドライバ100は、コンバータ/インバータレグの2つの半導体デバイス(Q1)102及び(Q2)104を標準の(比較的安価な)ハイサイド及びローサイドドライバチップ106で駆動する。ゲートドライバ100は単一電源108(グランドに対して+12V)を利用する。半導体デバイス(Q2)104に必要とされるDC電圧は電源108から直接供給される。半導体デバイス(Q1)102に必要されるDC電圧は電源108からブートストラップ技術を用いて供給される。ドライバチップ106は各半導体デバイス(Q1)102及び(Q2)104のゲートとソースの間にユニポーラパルス幅変調(PWM)パルス(+12V/0V)を供給する。例えば、ドライバチップ106は半導体デバイスをターンオンするために+12Vゲート電圧を供給し、半導体デバイスをターンオフする(及びオフに維持する)ためにゼロゲート電圧を供給する。半導体デバイスをターンオン及びオフすることによって、ドライバチップ106はコンバータ/インバータの出力を制御する。
【0018】
電力半導体デバイス技術の発展とともに、新世代の電力スイッチングデバイス、例えば金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、クールMOSトランジスタ、スーパー接合MOSFET、及び炭化ケイ素(SiC)/窒化ガリウム(GaN)高電子移動度トランジスタ(HEMT)、は極めて低いゲート閾値電圧(例えば、1V〜2V)を有するとともに、極めて高いスイッチング速度のドレイン−ソース電圧の変化(dv/dt)を有する。高速度のドレイン−ソース電圧の変化(dv/dt)は相補デバイスのスイッチング(オン/オフ)によってオフ半導体デバイスのゲート電圧に振動を生じ得る。ゲート電圧はオフデバイスではゼロであるため、この振動によりゲート電圧がゲート閾値電圧(例えば<2V)を超えて、コンバータ/インバータのオフレグに短絡障害が生じ得る。
【0019】
本明細書に記載される少なくともいくつかの実施形態ではコンバータ/インバータの適切なデバイスターンオフ及び高信頼動作を確実にするために負のゲート電圧が使用される。比較的安価な標準のハイ及びローサイドドライバチップを利用するバイポーラゲートデバイスが本明細書に記載される。少なくとも一つの実施形態によれば、バイポーラゲートドライバは正電源から負電源電圧を発生するためにチャージポンプ回路を利用する。
【0020】
図2はバイポーラゲートドライバ200のブロック図である。バイポーラゲートドライバ200は、ハイ及びローサイドドライバチップ206、ディジタルレベルシフタ回路202、制御グランド204、チップグランド205、ハイサイド+12V電源208、ローサイド−5V電源210、ローサイド+12V電源212、及びローサイド−5V電源214を含む。一実施形態によれば、ハイ及びローサイドドライバチップ206は、カリフォルニア州サンノゼ所在のフェアチャイルド社製のFAN7390MXゲートドライバICである。別の実施形態では、ハイ及びローサイドドライバチップ206は、カリフォルニア州エルセガンド所在のインターナショナルレクティフィア社製のIRS2001(S)PbFハイアンドローサイドドライバである。他の実施形態では、別のタイプのハイ及びローサイドドライバチップを利用してよい。
【0021】
ディジタルレベルシフタ回路202はPWMハイサイド制御ライン201及びPWMローサイド制御ライン203を介してPWMコントローラに結合されるよう構成される。ディジタルレベルシフタ回路202は制御グランド204及びチップグランド205にも結合される。ドライバチップ206のハイサイド入力及びローサイド入力はディジタルレベルシフタ回路202に結合される。ドライバチップ206のハイサイドドライバ216の出力はコントローラ/インバータレグの半導体デバイス(Q1)220のゲート端子に結合される。ドライバチップ206のローサイドドライバ218の出力はコントローラ/インバータレグの半導体デバイス(Q2)222のゲート端子に結合される。
【0022】
ハイサイド+12V電源208の正端子はドライバチップ206のハイサイドドライバ216の電源入力に結合され.その電源入力に+12Vを供給する。ハイサイド−5V電源の負端子はハイサイドドライバ216のグランド入力に結合され、そのグランド入力に−5Vを供給する。ハイサイド+12V電源208の負端子及びハイサイド−5V電源の正端子は半導体デバイス(Q1)220のソース端子に結合される。ローサイド+12V電源212の正端子はドライバチップ206のローサイドドライバ218の電源入力に結合され、その電源入力に+12Vを供給する。ローサイド−5V電源214の負端子はローサイドドライバ218のグランド入力に結合され、そのグランド入力に−5Vを供給する。ローサイド+12V電源212の負端子及びローサイド−5V電源214の正端子は半導体デバイス(Q2)222のソース端子に結合される。
【0023】
図1のコモンゲートドライバトランジスタ異なり、ゲートドライバ200のチップグランド205は制御グランド204に接続されないで、ローサイド−5V電源214に接続される。一実施形態によれば、ハイサイド+12V電源208、ハイサイド−5V電源210、ローサイド+12V電源212、及び/又はローサイド−5V電源214は別個の電源であるが、他の実施形態では、ハイサイド及び/又はローサイド電源は以下で詳細に説明されるように発生させることができる。
【0024】
PWMコントローラ224は、ゲートドライバ200の出力(及び対応するコントローラ/インバータの出力)を制御するために、PWM制御信号(制御グランド204(例えば0V)に対して決定される)をPWMハイサイド制御ライン201及びPWMローサイド制御ライン203に供給する。ディジタルレベルシフタ回路202がPWMコントローラ224からのPWM制御信号を受信し、PWM制御信号をチップグランド205(例えば−5V)に対して再設定し、再設定したPWM制御信号をドライバチップ206に供給する。
【0025】
一実施形態によれば、ディジタルレベルシフタ回路202は比較器チップを含む。例えば、一実施形態では、ディジタルレベルシフタ回路202は、テキサス州ダラス所在のテキサスインスツルメント社製のLM339クワッド差動比較器を含むが、他の実施形態では他の比較器を利用してもよい。別の実施形態では、ディジタルレベルシフタ回路202はアナログMUXチップを含む。例えば、一実施形態では、ディジタルレベルシフタ回路202は、テキサス州ダラス所在のテキサスインスツルメント社製のCD4051/2/3CMOSアナログマルチプレクサを含むが、他の実施形態では他のアナログMUXチップを利用してもよい。他の実施形態によれば、PWM制御信号をチップグランド205に対して再設定するために他のレベルシフタ回路を利用してしてもよい。
【0026】
ドライバチップ206は、所望の制御パルスを各半導体デバイス220,222のゲート端子に供給するために、ディジタルレベルシフタ回路202から受信される再設定されたPWM制御信号に基づいてハイサイドドライバ216及びローサイドドライバ218を動作させる。ドライバチップ206をチップグランド205に対して再設定されたPWM制御信号で動作させると、ドライバチップ206(典型的にはユニポーラパルス(+12V/0V)を供給する)は代わりにバイポーラパルス(+12V/−5V)を各半導体デバイス(Q1)220及び(Q2)222のゲート及びソース端子間に供給するように駆動される。例えば、ディジタルレベルシフタ回路202から受信される再設定されたPWM制御信号(PWMコントローラ224から受信された原PWM制御信号に基づく)に応答して、ドライバチップ206は、+12Vを半導体デバイス220,222のゲート端子に供給して半導体デバイス220,222をターンオンするように、又は−5Vを半導体デバイス220,222のゲート端子に供給して半導体デバイス220,222をターンオフ(及びキープオフ)するようにドライバ216,218を動作させる。
【0027】
半導体デバイス220,222を(+12V及び−5Vで)ターンオン及びオフすることによって、ドライバチップ206はコンバータ/インバータの出力を制御する。半導体デバイス220,222の状態を制御するためにバイポーラゲート電圧を利用することによって、ドライバチップ206は半導体デバイスのゲート電圧の振動に起因してコンバータ/インバータのオフレグに生じる短絡障害を防止することができる。オフ半導体デバイスのゲート電圧は−5Vに維持されるため、半導体デバイスのゲート電圧の振動がゲート閾値電圧(例えば、2V)を超えることはあり得ない。
【0028】
上述したように、一実施形態では、ハイ及び/又はローサイド−5V電源210,214は別個の電源であるが、他の実施形態では、これらの−5V電源電圧は別の電源から発生させてもよい。例えば、図3は、−5V電源電圧を少なくとも一つの実施形態で使用される+12V電源から発生するように構成されたチャージポンプ回路300のブロック図である。
【0029】
チャージポンプ回路300は、抵抗302、第1ダイオード304、第2ダイオード306、第3ダイオード308、スイッチ310、第1キャパシタ312、及び第2キャパシタ314を含む。抵抗302はハイ又はローサイドドライバチップのハイ又はローサイドドライバ(例えば、図2について上述したハイ及びローサイドドライブチップ206のハイサイドドライバ216)の出力301に結合される。ドライバ216の出力301は半導体デバイス(例えば、図2について上述した半導体デバイス(Q1)220)のゲート端子303にも結合される。
【0030】
第1ダイオード304は抵抗302と第1キャパシタ312の正端子との間に結合される。スイッチ310はグランド316と第1キャパシタ312の正端子との間に結合される。一実施形態では、スイッチ310はPチャネル電界効果と(FET)であるが、他の実施形態では、任意の他のスイッチ310又はトランジスタを利用してもよい。第2ダイオード306は第1キャパシタ312の負端子とグランド316との間に結合される。グランド316は電源キャパシタ317の負端子にも結合される。電源キャパシタ317の正端子は+12V電源(例えば、図2について上述したハイサイド+12V電源208)に結合される。ハイサイド+12V電源208はハイサイドドライバ216の電源入力318にも結合される。第3ダイオード308は第1キャパシタ312の負端子とハイサイドドライバ216のグランド入力320との間に結合される。第2キャパシタ314の正端子はグランド316に結合される。第2キャパシタ314の負端子はハイサイドドライバ216のグランド入力320に結合される。
【0031】
チャージポンプ回路300は、+12V電源208により供給される利用可能な+12Vから第2キャパシタ314の両端間に−5V電源電圧を発生する。最初に、PWMコントローラ224からのPWM制御信号(従ってディジタルレベルシフト回路202からの再設定されたPWM制御信号)がない場合、第2キャパシタの電圧はゼロであり、ドライバチップ206に対する実効バイアス電圧は+12V(例えば、+12V電源208からの)である。PWMコントローラ224からのPWM制御信号はディジタルレベルシフタ回路202に供給され、再設定されたPWM制御信号がディジタルレベルシフタ回路202からドライバチップ206(従ってハイサイドドライバ216)に供給されるので、ハイサイドドライバ216は出力301から、半導体デバイス220のゲート端子303にユニポーラPWMパルスを供給するように動作する。
【0032】
ハイサイドドライバ216の出力301のハイゲート駆動パルス(例えば、ハイサイドドライバ216に供給される+12V電源208からの+12Vパルス)の一部分が抵抗302及び第1ダイオード304を経て第1キャパシタ312に供給され、第1キャパシタ312を充電する。第1キャパシタ312を充電している間、FET310はオフのままである。一実施形態によれば、チャージポンプ回路300は第1キャパシタ312の正端子と第1キャパシタ312の負端子との間に結合された任意選択のツェナーダイオード322も含む。ツェナーダイオード322は第1キャパシタ312の両端間電圧、従って第2キャパシタ314の両端間電圧を所要の電圧(例えば5V)に制限するために使用し得る。
【0033】
ハイサイドドライバ216の出力301のローゲート駆動パルスはFET310をターンオンし、それによって第1キャパシタ312を放電し、第2キャパシタ314を充電する。この第1キャパシタ312の放電及び第2キャパシタ314の充電は、第1キャパシタ312の正端子、FET310、グランド316、第2キャパシタ314、第3ダイオード308及び第1キャパシタ312の負端子を含む通路を経て行われる。第1ダイオード304は第1キャパシタ312がハイサイドドライバ216を経て逆方向に放電するのを阻止する。
【0034】
このように第1キャパシタを充電し、それを第2キャパシタ314へと放電することによって、−5V電源電圧が第2キャパシタ314の負端子に発生する。この−5V電源電圧がハイサイドドライバ216のグランド入力320に供給され、ハイサイドドライバ216によってバイポーラパルス(+12V/−5V)を半導体デバイス220のゲート端子303に供給するために利用される。ハイサイドドライバ216からの小数の初期ゲート駆動パルスは、(例えば、第1キャパシタ312及び第2キャパシタ314の両端間の初期電圧はゼロであるため)比較的短時間の間、ユニポーラ(+12V/0V)であるが、ドライバ216の最終的駆動パルスはバイポーラになる。
【0035】
上述したように、チャージポンプ回路300は−5V電源電圧をハイサイドドライバ216に供給するが、チャージポンプ回路300は−5V電源電圧をローサイドドライバ218にも供給することができる。このような実施形態では、チャージポンプ回路300はローサイド+12V電源212から−5V電源電圧を発生させることができる。また、このような実施形態では、第2キャパシタ314の負端子に発生される−5V電源電圧は、ローサイドドライバ218のグランド入力320に供給するのに加えて、チップグランド205を−5Vに維持するためにチップグランド205にも供給する。
【0036】
図4は、+12V電源から−5V電源電圧を発生するように構成された別のチャージポンプ回路400のブロック図である。チャージポンプ回路400は図3について上述したチャージポンプ回路300と、チャージポンプ回路400では、抵抗302、第1ダイオード304及びスイッチ310が発振器402及び抵抗404と置き換えられている点を除いて、ほぼ同じである。発振器402はハイサイド+12V電源208に結合され、抵抗404は発振器402と第1キャパシタ312の正端子との間に結合される。一実施形態によれば、発振器402は555タイマベースの方形波発振器であるが、他の実施形態では、別の適切なタイプの発振器を利用してもよい。
【0037】
チャージポンプ回路300と異なり、チャージポンプ回路400による負電源電圧の発生はドライバ216により出力されるゲート駆動パルスに依存しない。代わりに、発振器402がユニポーラ高周波数パルス(例えば、12V/0V)をチャージポンプ回路400に供給する。
【0038】
発振器402からのハイパルス(例えば、発振器402に供給された+12V電源208からの+12Vパルス)が抵抗404を経て第1キャパシタ312に供給され、第1キャパシタ312を充電する。発振器のローパルスによって第1キャパシタ312の放電及び第2キャパシタ314の充電が生じる。第1キャパシタ312の放電及び第2キャパシタの充電は、キャパシタ312の正端子、抵抗404、発振器402、グランド316、第2キャパシタ314、第3ダイオード308及び第1キャパシタ312の負端子を含む通路を経て行われる。
【0039】
第1キャパシタを充電し、それを第2キャパシタ314へと放電することによって、−5V電源電圧が第2キャパシタ314の負端子に発生する。この−5V電源電圧がハイサイドドライバ216のグランド入力320に供給され、ハイサイドドライバ216によってバイポーラパルス(+12V/−5V)を半導体デバイス220のゲート端子303に供給するために利用される。
【0040】
上述したように、チャージポンプ回路400は−5V電源電圧をハイサイドドライバ216に供給するが、チャージポンプ回路400は−5V電源電圧をローサイドドライバ218に供給することもできる。このような実施形態では、チャージポンプ回路400はローサイド+12V電源212から−5V電源電圧を発生させることができる。また、このような実施形態では、第2キャパシタ314の負端子に発生される−5V電源電圧は、ローサイドドライバ218のグランド入力320に供給するのに加えて、チップグランド205を−5Vに維持するためにチップグランド205にも供給する。
【0041】
チャージポンプ回路300,400は+12V電源から−5V電源電圧を発生させるために利用し得る。同じ+12V電源から−5V電源電圧と+12V電源電圧の両方を発生させることによって、このようなチャージポンプ回路を使用するゲートドライバ(例えば、ゲートドライバ200)のコストは、1つのサイドにつき1つの電源(例えば、ドライバチップ206のハイサイドにつき1つ及びローサイドにつき1つ)が必要とされるだけであるので、低減することができる。
【0042】
上述したように、チャージポンプ回路(例えば、図3及び図4につき記載されている)を含むゲートドライバは、ハイサイド電源を含み、その電源から正及び負のハイサイド電源電圧を発生するとともに、ローサイド電源を含み、その電源から正及び負のローサイド電源電圧を発生するようにできる。少なくとも一つの他の実施形態では、ゲートドライバは、単一の正の電源からバイポーラハイサイド電源電圧とバイポーラローサイド電源電圧の両方を発生するようにできる。例えば、図5及び図6は単一電源バイポーラゲートドライバ500のブロック図である。
【0043】
単一電源のバイポーラゲートドライバ500は、図2について上述したバイポーラゲートドライバ200と、単一電源のバイポーラドライバ500では、ハイサイド+12V電源208、ハイサイド−5V電源210、及びローサイド−5V電源214が、ハイサイドチャージポンプ回路502(例えば、図3及び図4について上述したチャージポンプ回路300、400の一つ)、ローサイドチャージポンプ回路504(例えば、図3及び図4について上述したチャージポンプ回路300、400の一つ)、ブートストラップダイオード508、及びブートストラップキャパシタ510と置き換えられている点を除いて、ほぼ同じである。
【0044】
ローサイドチャージポンプ回路504はローサイド+12V電源212の正及び負端子、チップグランド205、及びハイ及びローサイドドライバチップ206のローサイドドライバ218の出力507に結合される。ローサイド+12V電源212の正端子はブートストラップダイオード508を経てハイサイドドライバ216の電源入力に結合される。ハイサイドドライバ216の電源入力はブートストラップキャパシタ510を経てハイサイドチャージポンプ回路502にも結合される。ハイサイドチャージポンプ回路502はハイサイドドライバの電源入力、ハイサイドドライバ216の出力506、及びハイサイドドライバ216のグランド入力にも結合される。
【0045】
ローサイド+12V電源212は+12V電源電圧をローサイドドライバ218に供給する。ローサイドチャージポンプ回路504は(図3及び図4について上述したように)ローサイド+12V電源212により供給される+12Vから−5Vの負電源電圧を発生し、−5V電源電圧をチップグランド205に(従ってローサイドドライバ218のグランド入力に)供給する。
【0046】
ハイサイドドライバ216の電源入力に供給される+12V電源電圧は、ローサイド+12V電源212から、ブートストラップダイオード508によるブートストラップ技術を用いてブートストラップキャパシタ510の両端間に発生される。ハイサイドチャージポンプ回路502は、(図3及び図4について上述したように)ブートストラップキャパシタ510の両端間に発生される+12V電源電圧から−5Vの負電源電圧を発生し、その−5V電源電圧をハイサイドドライバ216のグランド入力に供給する。各ゲートドライバ216,218はバイポーラゲート駆動電圧(例えば+12V正駆動電圧及び−5V負駆動電圧)をそれぞれの半導体デバイス220,222に供給する。
【0047】
バイポーラハイサイド電源電圧及びバイポーラローサイド電源電圧を単一の正電源から発生させることによって、一つの電源を使用するのみとなるので、ゲートドライバのコストを低減することができる。
【0048】
本明細書に記載したように、ゲートドライバはコンバータ/インバータのレグ内の半導体デバイスのゲート端子にバイポーラパルスを出力するように構成されるが、他の実施形態では、このゲートドライバはパルス幅変調を利用する任意の他の用途で使用される半導体デバイスのゲート端子にバイポーラパルスを出力するように構成してもよい。また、他の実施形態によれば、このゲートドライバは任意の他のタイプのスイッチングデバイスにバイポーラパルスを出力するように構成してもよい。
【0049】
本明細書に記載したように、ゲートドライバは+12V及び−5Vパルスを出力するように構成されるが、他の実施形態では、このゲートドライバは異なる振幅を有するパルスを出力するように構成してもよい。また、本明細書に記載したように、このゲートドライバは+12V及び−5Vの電源電圧を使用するように構成されるが、他の実施形態では、このゲートドライバは異なる振幅を有する電源で動作するように構成してもよい。
【0050】
本明細書に記載したように、バイポーラゲートドライバは2つの半導体デバイスに制御信号を供給するが、他の実施形態では、このバイポーラゲートドライバは任意の数のハードウェアデバイスに制御信号を供給するように構成してもよい。また、本明細書に記載したように、このバイポーラゲートドライバは2つの出力(ハイサイド出力及びローサイド出力)を含むが、他の実施形態では、このバイポーラゲートドライバは任意の数の出力を含んでもよい。また、本明細書に記載したように、このバイポーラゲートドライバは単一のゲートドライバチップを使用するが、他の実施形態では任意の数のドライバチップを使用してもよい。
【0051】
本明細書に記載した少なくともいくつかの実施形態は比較的安価で標準的なハイ及びローサイドドライバチップを使用するバイポーラゲートドライバを提供する。少なくとも一つの実施形態では、このバイポーラゲートドライバはもとのPWM制御信号を負のチップグランドに対して再設定する。PWM制御信号を再設定することによって、(典型的にはユニポーラパルスを供給する)ドライバチップを半導体デバイスのゲート端子にバイポーラPWMパルスを供給するように動作させることができる。半導体デバイスの状態を制御するためにバイポーラゲート電圧を使用することによって、ドライバチップはオフ半導体デバイスのゲート電圧の振動に起因する偶発的な短絡障害を防止することができる。
【0052】
少なくとも一つの実施形態によれば、バイポーラゲートドライバは正電源から負の電源電圧を発生するように構成された少なくとも一つのチャージポンプ回路も含む。少なくとも一つのチャージポンプ回路を使用することによって、バイポーラゲートドライバを給電するために必要とされる個別の電源の数を低減することができる。
【0053】
本発明の少なくとも一つの実施形態のいくつかの態様を記載したが、様々な変更、修正及び改良が当業者に容易に想到し得ることを理解されたい。このような変更、修正、改良は本開示の一部分であり、本発明の精神及び範囲に包含されることが意図される。従って、以上の詳細な説明及び図面はほんの一例に過ぎない。
図1
図2
図3
図4
図5